JP4953686B2 - 制振材 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた制振性及び難燃性を有する制振材に関する。
従来から、電化製品ではモーターなどの駆動装置の振動を低減させるために制振材が用いられており、その他に、建築用途では、折板屋根などにおける雨音の低減のために制振材が、自動車用途では、走行中に発生する振動によって屋根や扉などが微振動することに起因する振動音やエンジンなどの駆動系の振動を低減するために制振材が用いられている。
このような制振材としては、特許文献1に、ゴム又は熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂及び無機粉体からなる制振性シート基材の一面にポリエチレンテレフタレート樹脂層が積層されてなる折板屋根用制振シートが提案されている。
そして、上記制振材は、家電製品や自動車用途などに用いられる場合には、難燃性を付与しなければならないことが多く、制振材の難燃化のために、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、デカブロモジフェニルエーテルなどの臭素系難燃剤、ポリリン酸アンモニウムなどのリン系難燃剤を含有させる方法がある。
一般的に、制振材に使用される有機物質は、分子量の小さい高分子物質であることが多いことから、制振材は燃焼性が高く、JIS D1201やUL規格に規定される難燃性を満たすには、多量の難燃剤を配合する必要がある。
しかしながら、制振材に多量の難燃剤を配合すると、制振材の制振性が低下するといった問題が発生し、制振材の制振性と難燃性とを両立することは困難とされていた。そして、難燃化が不可欠な部位の制振化を図る場合、難燃性を付与した制振材を用いることになるが、このような場合、制振材は、難燃性を付与している分だけ制振性が低下しており、、制振材の使用量を増加させざるを得ず、その結果、軽量性が損なわれるといった問題を生じていた。
特開平10−183883号公報
本発明は、制振性及び難燃性に優れた制振材を提供する。
本発明の制振材Aは、図1に示したように、難燃剤を含有する有機化合物層Bの一面に、難燃剤を含有する発泡粘着剤層Cが積層一体化されてなり、上記発泡粘着剤層に含有されている難燃剤量が、この発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤量の40〜80重量%であると共に、上記有機化合物層には、この有機化合物層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤量と、上記発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤の量に不足する不足量の20〜150重量%の量との合計量の難燃剤が含有されていることを特徴とする。
上記制振材Aの有機化合物層Bとしては非発泡層又は発泡層の何れであってもよいが、制振材Aの軽量性に優れている点で発泡層を含有していることが好ましい。そして、上記有機化合物層Bを構成する有機化合物としては、難燃剤を含有させることができれば、特に限定されず、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルなどのポリエチレン系樹脂や、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などのポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂の他に、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、石油樹脂などの熱可塑性樹脂などが挙げられ、制振材が剛性に優れており、取扱中に撓みや反りが発生しにくく作業性に優れている点で、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
又、有機化合物層Bは、図2に示したように、発泡シートB1と非発泡シートB2とが積層一体化してなるものが好ましい。このように有機化合物層Bを発泡シートB1と非発泡シートB2とが積層一体化してなるものとすることによって、制振材A全体の曲げ強度及び引張弾性を向上させて制振性能の向上を図ることができると共に、発泡シートB1を存在させることによって制振材Aの成形性、断熱性及び軽量性を確保することができる。
そして、上記有機化合物層Bの一面には全面的に発泡粘着剤層Cが積層一体化されている。有機化合物層Bが発泡シートB1と非発泡シートB2とを積層一体化させたものである場合には、発泡粘着剤層Cは、発泡シートB1又は非発泡シートB2の何れに積層一体化されてもよいが、発泡粘着剤層Cは発泡シートB1の一面に積層一体化されていることが好ましい。
この発泡粘着剤層Cを構成する粘着剤としては、特に限定されず、例えば、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤などが挙げられ、アクリル系粘着剤を含有していることが好ましい。
更に、上記有機化合物層B及び発泡粘着剤層Cの双方には難燃剤が含有されている。このような難燃剤としては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物の他に、デカブロモジフェニルエーテル、エチレンビスペンタブロモジフェニルなどの臭素系難燃剤、ポリリン酸アンモニウムなどのリン系難燃剤などが挙げられ、より少量で難燃性を付与できる臭素系難燃剤が好ましい。
なお、難燃剤と共に難燃助剤を併用してもよい。このような難燃助剤としては、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ピロアンチモン酸ナトリウム、三塩化アンチモン、三硫化アンチモン、オキシ塩化アンチモン、二塩化アンチモンパークロロペンタン、アンチモン酸カリウムなどのアンチモン化合物、メタホウ酸亜鉛、四ホウ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、塩基性ホウ酸亜鉛などのホウ素化合物、ジルコニウム酸化物、スズ酸化物、モリブデン酸化物などが挙げられ、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三塩化アンチモン、三硫化アンチモン、ホウ酸亜鉛が好ましい。
ここで、上記制振材Aの発泡粘着剤層Cは、制振材Aの制振性能を決定づける重要な層であり、制振性能は発泡粘着剤層Cを構成している樹脂の粘弾性に依存することが知られている。この発泡粘着剤層Cを構成している樹脂の粘弾性パラメータとしてはtanδ(損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’)が代表的であり、このtanδは樹脂に特有のパラメータではあるが、樹脂中に無機化合物やその他の樹脂が含有されると、これらに大きく影響されて発泡粘着剤層Cの制振性能が低下する。
そして、発泡粘着剤層Cには難燃剤が含有されており、この難燃剤に起因して発泡粘着剤層Cの制振性能が低下する。そこで、本発明では、制振材Aの難燃性は、制振材Aに着火した炎の外炎に難燃剤成分を如何に供給することができるかが、制振材Aの難燃性を決定づける要素となっており、制振材Aに着火した炎の外炎に供給する難燃剤成分は、発泡粘着剤層C又は有機化合物層Bの何れの難燃剤に由来するものであるかは比較的、重要でないことに注目し、発泡粘着剤層Cの制振性能の低下を最小限に抑えつつ、制振材Aの難燃性を維持するために、発泡粘着剤層Cに含有させるべき所定量の難燃剤の一部を削減すると共に、この削減した難燃剤量の所定割合を有機化合物層Bに添加することによって、発泡粘着剤層Cに含有させる難燃剤量を低減させて発泡粘着剤層Cの制振性能の低下を最小限に抑えて優れた制振性能を確保していると共に、有機化合物層Bが本来、含有していなければならない難燃剤量よりも過剰量の難燃剤を添加させて、発泡粘着剤層Cの難燃性の低下を補完し、制振材A全体の難燃性を確保している。
具体的には、発泡粘着剤層Cに含有されている難燃剤量が、この発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤量の40〜80重量%であると共に、有機化合物層Bには、この有機化合物層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤量と、上記発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤の量に不足する不足量の20〜150重量%の量との合計量の難燃剤が含有されている。
そして、発泡粘着剤層C中に含有させる難燃剤量は、少ないと、発泡粘着剤層Cの難燃性が低下し過ぎてしまい、有機化合物層に含有させた過剰量の難燃剤によって補完することができず、全体として制振材Aの難燃性が低下する一方、多いと、発泡粘着剤層の制振性能が低下して制振材Aの制振性能が低下するので、発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤量の40〜80重量%となるように調整され、45〜65重量%となるように調整することが好ましい。
又、有機化合物層B中に含有される難燃剤量は、少ないと、発泡粘着剤層の難燃性の低下を補完することができず、或いは、有機化合物層自体の難燃性が低下する一方、多いと、有機化合物層の制振性能が低下し、制振材の制振性能が低下するので、有機化合物層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤量と、上記発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤の量に不足する不足量の20〜150重量%の量との合計量に限定される。
又、有機化合物層Bが発泡シートB1と非発泡シートB2とが積層一体化されたものである場合、発泡シートB1に難燃剤を含有させると、発泡シートの製造工程において、発泡シートの原反となる発泡性シートの発泡性が著しく低下することがある。従って、有機化合物層Bにおいて、非発泡シートB2に発泡シートB1よりも多量に難燃剤を含有させておくことが好ましく、発泡シートに難燃剤を含有させない一方、非発泡シートに有機化合物層Bに含有させる難燃剤の全量を含有させることがより好ましい。
このように、有機化合物層Bにおいて、発泡シートB1に難燃剤を含有させない一方、非発泡シートB2に有機化合物層Bに含有させる難燃剤の全量を含有させている場合には、有機化合物層Bの発泡シートB1上に発泡粘着剤層Cを積層一体化させていることが好ましい。 これは、非発泡シートB2に含有させた難燃剤を炎の外炎にできるだけ円滑に供給できるように、非発泡シートB2の露出面積を大きくしておくことが好ましいからである。
そして、有機化合物層Bが発泡シートB1と非発泡シートB2とを積層一体化させてなる場合、非発泡シートB2の厚みは、薄いと、制振材の曲げ剛性や引張弾性が低下し、制振材の制振性能が低下することがある一方、厚いと、制振材の製造後の巻取りが困難となって制振材の取扱性が低下することがあるので、0.1〜1.0mmが好ましく、0.3〜0.6mmがより好ましい。
又、有機化合物層Bが発泡シートB1と非発泡シートB2とを積層一体化させてなる場合、発泡シートB1の厚みは、薄いと、制振材の成形性が低下し、或いは、制振材の制振性能が低下することがある一方、厚いと、制振材の軽量性が低下することがあるので、0.5〜4mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。
更に、有機化合物層Bが発泡シートB1と非発泡シートB2とを積層一体化させてなる場合において、発泡シートB1が熱可塑性樹脂発泡シートであるとき、熱可塑性樹脂発泡シートB1の全体の見掛け密度は、小さいと、制振材の防音性や制振性能が低下することがある一方、大きいと、制振材の軽量性が低下することがあるので、0.02〜0.2g/cm3が好ましく、0.03〜0.1g/cm3がより好ましい。なお、本発明において、発泡シートの見掛け密度は、JIS K6767に準拠して測定されたものをいう。
一方、有機化合物層Bが熱可塑性樹脂発泡シートのみからなる場合、熱可塑性樹脂発泡シート全体の見掛け密度は、小さいと、制振材の防音性や制振性が低下することがある一方、大きいと、制振材の軽量性が低下することがあるので、0.02〜0.2g/cm3が好ましく、0.03〜0.1g/cm3がより好ましい。
又、有機化合物層Bが熱可塑性樹脂発泡シートのみからなる場合、上記熱可塑性樹脂発泡シートの厚みは、薄いと、制振材の防音性や機械的強度が低下することがある一方、厚いと、制振材を巻き取る際に制振材に皺が発生するなど、制振材の取扱性が低下することがあるので、2〜4mmが好ましい。
次に、本発明の制振材Aの製造方法について説明する。先ず、有機化合物層Bの製造方法について説明する。有機化合物層Bに発泡層が含有されている場合、発泡層の製造方法としては特に限定されず、例えば、(1)熱可塑性樹脂、難燃剤及び熱分解型発泡剤からなる発泡性樹脂組成物をラボプラストミルなどの汎用の攪拌装置に供給して溶融混練した上でプレス成形などの汎用の成形方法によって発泡性樹脂シートを作製し、この発泡性樹脂シートに、必要に応じて電子線、α線、β線などの電離性放射線を照射することによって発泡性樹脂シートを架橋した後、発泡性樹脂シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上の温度に加熱して発泡させて熱可塑性樹脂発泡シートを製造する方法、(2)熱可塑性樹脂、難燃剤及び熱分解型発泡剤からなる発泡性樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練して押出機から発泡性樹脂シートを連続的に押出し、この発泡性樹脂シートに必要に応じて電子線、α線、β線などの電離性放射線を照射することによって発泡性樹脂シートを架橋した後、発泡性樹脂シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上の温度に加熱して発泡させて熱可塑性樹脂発泡シートを連続的に製造する方法などが挙げられる。
なお、上記熱分解型発泡剤としては、従来から発泡シートの製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられ、これらは単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
又、上記有機化合物層Bが非発泡層である場合、非発泡層の製造方法としては、例えば、熱可塑性樹脂及び難燃剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出す熱可塑性樹脂非発泡シートの製造方法が挙げられる。
そして、有機化合物層Bが、発泡シートB1と非発泡シートB2とを積層一体化してなる場合には、有機化合物層Bとしては、例えば、上述の要領で製造された熱可塑性樹脂発泡シートの一面に、上述の要領で製造された熱可塑性樹脂非発泡シートを粘着剤又は両面テープを介して積層一体化させる方法や、上述の要領で製造された熱可塑性樹脂発泡シートの一面に、熱可塑性樹脂非発泡シートを押出ラミネートする方法などが挙げられる。
上記発泡粘着剤層Cを製造する方法としては、汎用されている方法を用いることができ、例えば、粘着剤のエマルジョンに空気を混合して発泡させた後、この発泡粘着剤エマルジョンを任意の面に所定厚みで塗布して乾燥させる方法が挙げられる。
更に、発泡粘着剤層C中に架橋剤を含有させて発泡粘着剤層Cを架橋させることによって、発泡粘着剤層Cの粘弾性による制振性能を維持しつつ発泡粘着剤層Cの厚み精度を向上させることができる。このような架橋剤としては、発泡粘着剤層Cを架橋させることができれば、特に限定されず、例えば、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、シラン系架橋剤などが挙げられる。
又、発泡粘着剤層C中における架橋剤の含有量としては、多いと、発泡粘着剤層の架橋密度が高くなり過ぎて、発泡粘着剤層の粘弾性による制振性能が却って低下することがあるので、発泡粘着剤層Cを構成する樹脂成分100重量部に対して6重量部以下が好ましく、1〜4重量部がより好ましい。
そして、発泡粘着剤層Cの密度は、低いと、発泡粘着剤層の粘弾性による制振性能が低下することがある一方、高いと、制振材の軽量性が低下することがあるので、0.05〜1g/cm3 が好ましく、0.1〜1g/cm3 がより好ましく、0.15〜1g/cm3 が特に好ましい。
更に、発泡粘着剤層Cの厚みは、薄いと、制振材の制振性が低下することがある一方、厚いと、制振材の軽量性が低下することがあるので、0.5〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。
又、制振材Aの軽量性を向上させるために発泡粘着剤層Cには無機充填剤が含有されていないことが好ましい。このような無機充填剤としては、例えば、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(カオリン、タルクなど)、ケイ酸(珪藻土、軽質無水ケイ酸、ホワイトカーボンなど)、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。
次に、上記有機化合物層Bの一面に発泡粘着剤層Cを積層一体化して制振材Aを製造する方法としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂発泡シートと熱可塑性樹脂非発泡シートとを積層一体化してなる積層シート、熱可塑性樹脂発泡シート、又は、熱可塑性樹脂非発泡シートBの一面に両面粘着テープを介して発泡粘着剤層Cを積層一体化して制振材を製造する方法、熱可塑性樹脂発泡シートと熱可塑性樹脂非発泡シートとを積層一体化してなる積層シート、熱可塑性樹脂発泡シート、又は、熱可塑性樹脂非発泡シートBの一面に粘着剤を介して発泡粘着剤層Cを積層一体化して制振材Aを製造する方法、熱可塑性樹脂発泡シートと熱可塑性樹脂非発泡シートとを積層一体化してなる積層シート、熱可塑性樹脂発泡シート又は熱可塑性樹脂非発泡シートBの一面に上記発泡粘着剤エマルジョンを直接塗布した後、発泡粘着剤エマルジョンを乾燥させて、熱可塑性樹脂発泡シート又は熱可塑性樹脂非発泡シートBの一面に発泡粘着剤層Cを積層一体化して制振材Aを製造する方法などが挙げられる。
又、上記制振材Aの厚みは、薄いと、制振材の制振性が低下し或いは機械的強度が低下することがある一方、厚いと、制振材の軽量性が低下することがあるので、4〜7mmが好ましい。
なお、上記制振材Aとして、有機化合物層Bの一面に発泡粘着剤層Cが積層一体化された場合を説明したが、複数個の制振材A,A・・・を厚み方向に積層一体化させてもよい。この場合、有機化合物層Bと発泡粘着剤層Cとが互いに交互になるように、複数個の制振材A、A・・・を積層する必要がある。
そして、上記制振材Aは、その発泡粘着剤層Cが振動体側となるようにして振動体の表面に固着させて用いられるが、上記制振材Aは、成形性に優れた有機化合物層Bの一面に発泡粘着剤層Cを積層一体化させてなるものであり優れた成形性を有していることから、振動体の形状に沿った形状に成形させることができる。
従って、制振材Aを振動体の表面に該振動体との間に隙間を生じさせないように固着させることができ、振動体の振動エネルギーを制振材Aによって確実に熱エネルギーに変換して振動体の振動を減衰させ振動体の振動を低減させ或いは停止させることでき、更に、振動体の振動の低減或いは停止によって振動体から発生する騒音の低減或いは停止を図ることができる。
そして、制振材Aは、有機化合物層Bが熱可塑性樹脂発泡シートを含んでいる場合、熱可塑性樹脂発泡シートBによって防音性能をも付与することができ、振動体から発生する騒音の遮蔽効果も発揮すると共に、制振材Aを挟んだ反対側から発生する騒音も遮蔽し、優れた防音性を発揮する。
なお、制振材Aを振動体の表面に固着させる方法としては、例えば、両面粘着テープや粘着剤を用いて、制振材Aを振動体の表面に固着させる方法、制振材Aの発泡粘着剤層Cの粘着力で、制振材Aを振動体の表面に固着させる方法などが挙げられる。又、制振材を成形する成形方法としては、従来から公知の成形方法を用いることができ、例えば、真空成形、圧空成形などが挙げられる。
本発明の制振材は、難燃剤を含有する有機化合物層の一面に、難燃剤を含有する発泡粘着剤層が積層一体化されてなり、上記発泡粘着剤層に含有されている難燃剤量が、この発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤量の40〜80重量%であると共に、上記有機化合物層には、この有機化合物層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤量と、上記発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤の量に不足する不足量の20〜150重量%の量との合計量の難燃剤が含有されていることを特徴とするので、発泡粘着剤層の制振性能の低下を最小限に抑えて優れた制振性能を維持していると共に、発泡粘着剤層の難燃性の低下を有機化合物層によって補完しており、制振材は優れた制振性能及び難燃性を有している。
そして、本発明の制振材は、上述のように、発泡粘着剤層の制振性能を確保しつつ難燃性を付与しており、制振材の制振性能を保持するために、発泡粘着剤層の厚みを増加させるなどの措置を施す必要がなく、よって、本発明の制振材は、軽量性に優れている上に、原材料費の増加を防止することもでき経済的である。
更に、上記制振材において、有機化合物層がポリオレフィン系樹脂発泡シートである場合には、ポリオレフィン系樹脂発泡シートが剛性に優れており、制振材の取扱中に、制振材に撓みや反りが発生しにくく、作業性に優れている。
そして、上記制振材において、有機化合物層が、発泡シートと非発泡シートとが積層一体化されてなるものである場合には、非発泡シートによって制振材の曲げ強度や引張弾性がより向上されており更に優れた制振性能を有している。
加えて、上記制振材において、有機化合物層が、発泡シートと非発泡シートとが積層一体化されてなり、発泡シートに難燃剤が含有されていない場合には、制振材の成形性に大きく影響を与える発泡シートの成形性の低下を防止しており、制振材は優れた成形性を有している。
(実施例1)
水−アクリル系粘着剤エマルジョン(大日本インキ化学社製 商品名「ボンコート350」、アクリル系粘着剤成分(樹脂成分):50重量%)90重量部、水−ウレタン系粘着剤エマルジョン(大日本インキ化学社製 商品名「ハイドランHW−930」、ウレタン系粘着剤成分(樹脂成分):60重量%)10重量部、水−デカブロモジフェニルエーテル−三酸化アンチモン混合液(大日本インキ化学社製 商品名「VF−170」、デカブロモジフェニルエーテル:47重量%、三酸化アンチモン:19重量%)12重量部、塩化アンモニウム系気泡剤の水溶液(大日本インキ化学社製 商品名「F−1」、塩化アンモニウム系気泡剤:32重量%)5重量部、エポキシ系架橋剤(大日本インキ化学社製 商品名「CR−5L」)2重量部、シリコーン系整泡剤(大日本インキ化学社製 商品名「ボンコートNBA−1」)0.5重量部及びカルボキシメチルセルロース水溶液(ダイセル化学工業社製、カルボキシメチルセルロース:4重量%)6重量部を均一に混合後に濾過して粘着剤エマルジョンを作製し、この粘着剤エマルジョンに泡立て器を用いて空気を混合して発泡させ、発泡粘着剤エマルジョンを作製した。なお、水−デカブロモジフェニルエーテル−三酸化アンチモン混合液は、デカブロモジフェニルエーテル及び三酸化アンチモンを水中に分散させてなるものである。
次に、一面が離型処理面とされたポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、このポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面に上記発泡粘着剤エマルジョンを均一な厚みとなるように塗布した後、発泡粘着剤エマルジョンの水分を蒸発、除去させて、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚み2.8mmの発泡粘着剤層(密度:0.20g/cm3 )を積層してなる発泡粘着シートを作製した。なお、発泡粘着剤層中における各成分の含有量を表1に示した。
エチレン−プロピレンランダム共重合体(チッソ社製 商品名「XK0235」)45重量部、アイソタクチックホモポリプロピレン(出光社製 商品名「SH152」)15重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(出光社製 商品名「0238CN」)40重量部、デカブロモジフェニルエーテル(日宝化学社製 商品名「FR−PE」)20重量部、三酸化アンチモン6.6重量部、アゾジカルボンアミド(大塚化学社製 商品名「SO−L」)7重量部、架橋剤(共栄化学社製 商品名「TND−23H」)3重量部、酸化防止剤A(旭電化社製 商品名「アデカスタブAO−60」)1重量部、酸化防止剤B(旭電化社製 商品名「アデカスタブCDA−1」)0.5重量部及び酸化防止剤C(大内新興化学社製 商品名「ノクラック400S」)0.5重量部を押出機に供給して溶融混練して押出し、厚みが1.2mmの発泡性樹脂シートを得た。
得られた発泡性樹脂シートの両面に電子線を加速電圧800kVで3.6Mrad照射して発泡性樹脂シートを架橋させた。次に、この発泡性樹脂シートを250℃に加熱して厚みが3.0mmで且つ見掛け密度が0.07g/cm3 の熱可塑性樹脂発泡シートを得た。なお、熱可塑性樹脂発泡シート中における各成分の含有量を表1に示した。
そして、熱可塑性樹脂発泡シートの一面に両面粘着テープ(積水化学工業社製 商品名「No5761」)を介して発泡粘着シートをその発泡粘着剤層が熱可塑性樹脂発泡シートに対向した状態に積層一体化させて、熱可塑性樹脂発泡シートの一面に発泡粘着剤層を積層一体化してなる制振材を得た。
なお、制振材の発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な、発泡粘着剤層中におけるデカブロモジフェニルエーテルの含有量は、104g/m2 であった。
又、制振材の熱可塑性樹脂発泡シートがJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な、熱可塑性樹脂発泡シート中におけるデカブロモジフェニルエーテルの含有量は、13.7g/m2 であった。
(実施例2)
発泡粘着剤層を作製するにあたって、水−デカブロモジフェニルエーテル−三酸化アンチモン混合液を12重量部の代わりに15重量部としたこと、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚み2.8mmで且つ密度が0.20g/cm3 の発泡粘着剤層を積層させて発泡粘着シートを作製する代わりに、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚み2.7mmで且つ密度が0.22g/cm3 の発泡粘着剤層を積層させて発泡粘着シートを作製したこと、熱可塑性樹脂発泡シートを作製するにあたって、デカブロモジフェニルエーテルを20重量部の代わりに15重量部としたこと、三酸化アンチモンを6.6重量部の代わりに5重量部としたこと以外は、実施例1と同様の要領で制振材を作製した。
なお、制振材の発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な発泡粘着剤層中におけるデカブロモジフェニルエーテルの含有量は、110g/m2 であった。
又、制振材の熱可塑性樹脂発泡シートがJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な熱可塑性樹脂シート中におけるデカブロモジフェニルエーテルの含有量は、15.1g/m2 あった。
(実施例3)
水−アクリル系粘着剤エマルジョン(大日本インキ化学社製 商品名「ボンコート350」、アクリル系粘着剤成分(樹脂成分):50重量%)90重量部、水−ウレタン系粘着剤エマルジョン(大日本インキ化学社製 商品名「ハイドランHW−930」、ウレタン系粘着剤成分(樹脂成分):60重量%)10重量部、水−デカブロモジフェニルエーテル−三酸化アンチモン混合液(大日本インキ化学社製 商品名「VF−170」、デカブロモジフェニルエーテル:47重量%、三酸化アンチモン:19重量%)12重量部、塩化アンモニウム系気泡剤の水溶液(大日本インキ化学社製 商品名「F−1」、塩化アンモニウム系気泡剤:32重量%)5重量部、エポキシ系架橋剤(大日本インキ化学社製 商品名「CR−5L」)2重量部、シリコーン系整泡剤(大日本インキ化学社製 商品名「ボンコートNBA−1」)0.5重量部及びカルボキシメチルセルロース水溶液(ダイセル化学工業社製、カルボキシメチルセルロース:4重量%)6重量部を均一に混合後に濾過して粘着剤エマルジョンを作製し、この粘着剤エマルジョンに泡立て器を用いて空気を混合して発泡させ、発泡粘着剤エマルジョンを作製した。なお、水−デカブロモジフェニルエーテル−三酸化アンチモン混合液は、デカブロモジフェニルエーテル及び三酸化アンチモンを水中に分散させてなるものである。
次に、一面が離型処理面とされたポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、このポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面に上記発泡粘着剤エマルジョンを均一な厚みとなるように塗布した後、発泡粘着剤エマルジョンの水分を蒸発、除去させて、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚み2.8mmの発泡粘着剤層(密度:0.20g/cm3 )を積層してなる発泡粘着シートを作製した。なお、発泡粘着剤層中における各成分の含有量を表4に示した。
次に、エチレン−プロピレンランダム共重合体(チッソ社製 商品名「XK0235」)45重量部、アイソタクチックホモポリプロピレン(出光社製 商品名「SH152」)15重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(出光社製 商品名「0238CN」)40重量部、アゾジカルボンアミド(大塚化学社製 商品名「SO−L」)4.5重量部、架橋剤(共栄化学社製 商品名「TND−23H」)3重量部、酸化防止剤A(旭電化社製 商品名「アデカスタブAO−60」)1重量部、酸化防止剤B(旭電化社製 商品名「アデカスタブCDA−1」)0.5重量部及び酸化防止剤C(大内新興化学社製 商品名「ノクラック400S」)0.5重量部を押出機に供給して溶融混練して押出し、厚みが0.6mmの発泡性樹脂シートを得た。
得られた発泡性樹脂シートの両面に電子線を加速電圧800kVで2.6Mrad照射して発泡性樹脂シートを架橋させた。次に、この発泡性樹脂シートを250℃に加熱して厚みが1.0mmで且つ見掛け密度が0.1g/cm3 の熱可塑性樹脂発泡シートを得た。なお、熱可塑性樹脂発泡シート中における各成分の含有量を表4に示した。
一方、エチレン−プロピレンブロック共重合体(出光興産株式会社製 商品名「E−253G」)100重量部、デカブロモジフェニルエーテル(日宝化学社製 商品名「FR−PE」)15重量部及び三酸化アンチモン5重量部を押出機に供給して溶融混練し、押出機の先端に取り付けたTダイから上記熱可塑性樹脂発泡シートの一面に、エチレン−プロピレンブロック共重合体からなる熱可塑性樹脂非発泡シートを厚みが0.4mmとなるように押出ラミネートして、熱可塑性樹脂発泡シートの一面に全面的に熱可塑性樹脂非発泡シートを積層一体化した。
そして、熱可塑性樹脂発泡シートの一面に両面粘着テープ(積水化学工業社製 商品名「No5761」)を介して発泡粘着シートをその発泡粘着剤層が熱可塑性樹脂発泡シートに対向した状態に積層一体化させることによって、熱可塑性樹脂発泡シートと熱可塑性樹脂非発泡シートとが積層一体化されてなる有機化合物層の熱可塑性樹脂発泡シートの一面に発泡粘着剤層を積層一体化させてなる制振材を得た。
なお、制振材の発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な、発泡粘着剤層中におけるデカブロモジフェニルエーテルの含有量は、104g/m2 であった。
又、制振材の有機化合物層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な、有機化合物層中におけるデカブロモジフェニルエーテルの含有量は、24.7g/m2 であった。
(実施例4)
押出ラミネートにおいて、デカブロモジフェニルエーテルを15重量部の代わりに20重量部とし、三酸化アンチモン5重量部の代わりに7重量部としたこと、発泡粘着剤層の厚みが2.7mmとなるように調整したこと以外は実施例3と同様にして制振材を得た。
(比較例1)
熱可塑性樹脂発泡シートを作製するにあたって、デカブロモジフェニルエーテルを20重量部の代わりに8重量部としたこと、三酸化アンチモンを6.6重量部の代わりに2.6重量部としたこと以外は、実施例1と同様の要領で制振材を作製した。
(比較例2)
発泡粘着剤層を作製するにあたって、水−デカブロモジフェニルエーテル−三酸化アンチモン混合液を12重量部の代わりに30重量部としたこと、熱可塑性樹脂発泡シートを作製するにあたって、デカブロモジフェニルエーテルを20重量部の代わりに8重量部としたこと、三酸化アンチモンを6.6重量部の代わりに2.6重量部としたことに以外は、実施例1と同様の要領で制振材を作製した。
(比較例3)
実施例1で作製した発泡粘着剤層単独を制振材とした。
(比較例4)
実施例2で作製した発泡粘着剤層単独を制振材とした。
(比較例5)
比較例1で作製した熱可塑性樹脂発泡シート単独を制振材とした。
(比較例6)
押出ラミネートにおいて、デカブロモジフェニルエーテルを15重量部の代わりに7.2重量部とし、三酸化アンチモンを5重量部の代わりに2.4重量部としたこと以外は実施例3と同様にして制振材を得た。
(比較例7)
押出ラミネートにおいて、デカブロモジフェニルエーテルを15重量部の代わりに7.2重量部とし、三酸化アンチモンを5重量部の代わりに2.4重量部としたこと、発泡粘着シートの製造において、水−デカブロモジフェニルエーテル−三酸化アンチモン混合液を12重量部の代わりに、30重量部としたこと以外は実施例3と同様にして制振材を得た。
(比較例8)
熱可塑性樹脂非発泡シートを積層一体化させなかったこと以外は実施例3と同様にして制振材を得た。
(比較例9)
発泡粘着シートの製造において、水−デカブロモジフェニルエーテル−三酸化アンチモン混合液を12重量部の代わりに15重量部とし、発泡粘着剤層の見掛け密度が0.22g/cm3 に厚みが2.7mmとなるように調整したこと、熱可塑性樹脂非発泡シートを積層一体化させなかったこと以外は実施例3と同様にして制振材を得た。
(比較例10)
発泡粘着剤層を設けなかったこと以外は比較例6と同様にして制振材を得た。
実施例及び比較例で得られた制振材における熱可塑性樹脂非発泡シート、熱可塑性樹脂発泡シート及び発泡粘着剤層中の各成分の含有量を表1,2,4,5に示した。なお、熱可塑性樹脂非発泡シート、熱可塑性樹脂発泡シート又は発泡粘着剤層1m2 当たりに含まれている各成分の重量(g/m2 )を「目付」の欄に記載した。
実施例1〜4及び比較例1,2,6,7で得られた制振材の制振性、並びに、実施例1〜4及び比較例1〜10で得られた難燃性を下記の要領で測定し、その結果を表7〜10及び図3,4に示した。
有機化合物層又は発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な、有機化合物層又は発泡粘着剤層中におけるデカブロモジフェニルエーテルの目付(g/m2 )を表3、6の「自消性必要量」の欄に記載すると共に、発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な、発泡粘着剤層中における難燃剤の目付(g/m2 )に対する、発泡粘着剤層中に含有されている難燃剤の目付(「実際含有量」と表記した)(g/m2 )の百分率(重量%)を表3,6の「含有百分率」の欄に記載した。
更に、有機化合物層において、有機化合物層に含有されているデカブロモジフェニルエーテルの目付(「実際含有量」と表記した)(g/m2 )から、有機化合物層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な、有機化合物層中における難燃剤の目付(g/m2 )を引いた値を算出し、この値を「過剰難燃剤量(g/m2 )」として表3,6に記載した。
一方、発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な、発泡粘着剤層中における難燃剤の目付(g/m2 )から、発泡粘着剤層中に含有されている難燃剤の目付(g/m2 )を引いた値を算出し、この値を「不足量(g/m2 )」とした。なお、比較例2では、発泡粘着剤層中に、自消性必要量以上の難燃剤が含有されており、「不足量」の欄には「マイナス」の値で表示した。そして、下記式1にて算出された値を「過剰難燃剤百分率」として表3,6に記載した。
過剰難燃剤百分率(重量%)=100×過剰難燃剤量/不足量・・・式1
〔制振性〕
JIS G0602に規定する中央支持定常加振法に準拠して270〜5000Hzにおける損失係数を測定した。具体的には、制振材から縦15mm×横250mmの平面長方形状の試験片を切り出し、この試験片をJIS G3141に規定されているSPCC鋼板(平面長方形状(縦15mm、横250mm)、厚さ0.8mm)上に両面粘着テープ(積水化学工業社製 商品名「セキスイテープNo.5761」)を介して貼着して270〜5000Hzにおける損失係数を測定し、図3,4及び表7,8にその結果を示した。なお、試験片を鋼板上に貼着させるにあたっては、試験片の発泡粘着剤層が鋼板側となるようにした。
なお、実施例1〜4において、約3500Hz以上の周波数領域の損失係数が測定されていない。この理由は、約3500Hz以上の周波数領域において、制振材の共振点を見つけることができない程充分に、制振材が制振性を発揮しているからである。実施例1〜4の制振材は、約3500Hz以上の周波数領域においても、約3500Hz付近と同程度の制振性を示す。なお、表7,8中の平均は、各周波数にて測定された損失係数の相加平均値であり、0.1以上であれば十分な制振性能を有していると判断することができる。
〔難燃性(JIS D1201)〕
JIS D1201に規定されている難燃材料試験方法にしたがって、制振材の難燃性を評価した。「自消性」とは、着火による材料の延焼が、火源側のサンプル端部から38mm以内で且つ60秒以内に終わることをいい、自消性を有するものを「○」とし、自消性を有しないものを「×」と表記した。
〔難燃性(UL94)〕
UL94に規定する、発泡材料の難燃性試験方法にしたがって制振材の難燃性を評価した。「HF−1」とは、着火による材料の延焼が、火源側のサンプル端部から25mmに達してから2秒以内で炎が消えることいい、HF−1を満たすものを「○」とし、HF−1を満たさないものを「×」とした。
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本発明の制振材を示した縦断面図である。 本発明の制振材の他の一例を示した縦断面図である。 実施例及び比較例において測定した損失係数を示したグラフである。 実施例及び比較例において測定した損失係数を示したグラフである。
符号の説明
A 制振材
B 有機化合物層
C 発泡粘着剤層

Claims (7)

  1. 難燃剤を含有する有機化合物層の一面に、難燃剤を含有する発泡粘着剤層が積層一体化されてなり、上記発泡粘着剤層に含有されている難燃剤量が、この発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤量の40〜80重量%であると共に、上記有機化合物層には、この有機化合物層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤量と、上記発泡粘着剤層がJIS D1201の難燃材料試験方法に規定する自消性を発現するのに必要な難燃剤の量に不足する不足量の20〜150重量%の量との合計量の難燃剤が含有されていることを特徴とする制振材。
  2. 発泡粘着剤層がアクリル系粘着剤を含有していることを特徴とする請求項1に記載の制振材。
  3. 有機化合物層が発泡シートを含有していることを特徴とする請求項1に記載の制振材。
  4. 有機化合物層が、発泡シートと非発泡シートとが積層一体化されてなるものであることを特徴とする請求項3に記載の制振材。
  5. 発泡シートがポリオレフィン系樹脂発泡シートであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の制振材。
  6. 発泡シート上に発泡粘着剤層が積層一体化されていることを特徴とする請求項4に記載の制振材。
  7. 発泡シートに難燃剤が含有されていないことを特徴とする請求項4に記載の制振材。
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