JP2007014158A - 回転子とその製造方法および電動機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の回転子は、回転軸と、回転軸に固定する外周面の周方向に等間隔に突起部21が形成された鉄心板を積層した鉄心2と、突起部を有し回転軸に積層される鉄板5と、積層された鉄心の突起部間に固定された永久磁石4とを有するもので、鉄板5はその突起部が鉄心の形状と略同形状であり、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し、軸方向に曲げ成形した爪部52が設けられたものである。
【選択図】 図1
Description
図8はその回転子の部分端面図である。図8において、軸に嵌挿固着された積層鉄心の外周部に等間隔に形成された突起の側面に永久磁石の側面を位置決め当接し、接着固定している。
また、他の従来技術として軸の所定部分にプレス加工などにより直接形成された突起を利用し、位置決めし、接着固定する方法などがとられている(例えば特許文献2)。
図9は他の従来技術における回転子の一部を切り開いた正断面図である。図9において、軸に直接形成された突起により永久磁石は位置決め当接され、接着固定されている。
この際、この拘束力により、隙間に起因した永久磁石の位置ずれが生じる場合があり、この場合、バインドを緩めるなどして永久磁石の位置修正を行い、再度バインドで拘束するなどの手直しが必要となり生産性の低下を招き、さらに、位置ずれのまま接着固定した場合には、回転特性が悪化するなどの品質上の問題が発生する。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、バインドなどによる拘束力を永久磁石に付加しても永久磁石の位置ずれが生じない状態で接着固定することにより、生産性が高く、品質の向上が可能な回転子および電動機を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、回転軸と、前記回転軸に固定される外周面の周方向に等間隔に突起部が形成された鉄心板を積層した鉄心と、突起部を有し前記回転軸に積層される鉄板と、前記鉄心の突起部間に固定された永久磁石とを有する回転子において、
前記鉄板は、その突起部が前記鉄心板の形状と略同形状であり、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し軸方向に曲げ成形した爪部を設けたものである。
請求項2に記載の発明は、前記鉄板が前記鉄心の両側端部に設けられたものである。
請求項3に記載の発明は、前記鉄板が鉄心の積層途中に一定間隔をもって少なくとも2箇所設けられたものである。
請求項4に記載の発明は、前記一定間隔に設けられた前記鉄板および鉄心の位置を、周方向に一定の角度ずらせたものである。
請求項5に記載の発明は、回転軸と一体に形成され外周面の周方向に等間隔に突起部が形成された鉄心部と、前記鉄心部の突起部の間に固定された永久磁石とを有する回転子において、前記鉄心部の両端部に、突起部の形状が前記鉄心部の突起部の形状と略同形状であり、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し、軸方向に曲げ成形した爪部が設けられた鉄板を備えたものである。
請求項6に記載の発明は、回転軸と、前記回転軸に設けられた鉄心部と、前記鉄心部の外周面に固定された永久磁石とを有する回転子において、前記鉄心部は外周面の周方向に等間隔に突起部が形成された別体の一体ものであり、前記鉄心部の両端部に突起部の形状が前記鉄心部の突起部の形状と略同形状であり、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し、軸方向に曲げ成形し、爪部を設けた鉄板を備えたものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6記載の回転子を用いて固定子に組み込まれた電動機である。
請求項8に記載の発明は、外周面の周方向に等間隔に突起部が形成された鉄心板を積層した鉄心を回転軸に固定し、突起部を有し前記回転軸に装着する鉄板を成形し、前記鉄板を前記回転軸に装着し、前記積層した鉄心の突起部間に永久磁石を接着して固定する回転子の製造方法において、前記鉄板の突起部を前記鉄心板の形状と略同形状に成形し、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し、軸方向に曲げ成形して、爪部を設け、前記永久磁石を接着する際は、前記鉄心の突起部間の面または永久磁石の少なくとも一方に接着剤を塗布し、前記鉄板の爪部に前記永久磁石の一方の側面を押した状態で位置決めし、前記永久磁石が周方向に動かないように保持しながら装着するものである。
請求項9に記載の発明は、前記鉄板を前記回転軸に装着する位置が前記鉄心の両端部としたものである。
請求項10に記載の発明は、前記鉄板を前記回転軸に装着する位置が前記鉄心の途中に一定間隔をもって少なくとも2箇所設けられたものである。
請求項11に記載の発明は、前記一定間隔に設けられた前記鉄板および鉄心を、周方向に一定の角度ずらせた位置にするものである。
請求項12に記載の発明は、回転軸と鉄心部とを一体に形成し、前記鉄心部の外周面の周方向に等間隔に突起部を形成し、前記鉄心部の突起部と突起部との間に永久磁石を固定する回転子の製造方法において、前記鉄心部の両端部に、突起部の形状が前記鉄心部の突起部の形状と略同形状であり、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し、軸方向に曲げ成形して爪部を設けた鉄板を備えたものである。
請求項13に記載の発明は、回転軸に鉄心部を設け、前記鉄心部の外周面に永久磁石を固定する回転子の製造方法において、前記鉄心部は外周面の周方向に等間隔に突起部を形成して別体のものとし、前記鉄心部の両端部に、突起部の形状が前記鉄心部の突起部の形状と略同形状とし、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し、軸方向に曲げ成形して爪部を設けた鉄板を固定するものである。
請求項14に記載の発明は、請求項8から請求項13記載の回転子の製造方法を用いて固定子に組み込む電動機の製造方法である。
また、請求項4、11に記載の発明によれば、一定間隔に設けられた鉄板および鉄心の位置を、周方向にずらせることができるので、上記効果に加え、スキューを形成することが可能となる。
また、請求項6、13に記載の発明よれば、外周面の周方向に等間隔に突起部が形成された鉄心部を別体にすることにより、製造が容易になり、かつ回転軸の共用化ができる。したがって、回転子、電動機のコスト低下につながる。
鉄心2は、その外周面の周方向に等間隔に突起部21が複数個形成されている。
鉄板5の形状を図3および図4に示す。図3は成形する前の平面図であり、図4は図3の爪部52の部分斜視図である。鉄板5は、図3に示すようにプレス加工などにより、突起部51と突起部51の端部から周方向に伸延する爪成形部52aとをもつ形状に成形されている。そして、爪成形部52aは、図4に示すようにプレス加工などによりほぼ90度の角度で、曲げ根元部から先端部にかけ外側に凸形状になるように曲げた爪部52に成形されている。
つぎに、本実施例の回転子の製造方法について説明する。
(1)工程1 鉄心2を回転軸3に固定する。
軸方向の寸法が所定の寸法となるように複数個の鉄心板をその突起部21が完全に重なるように積層し、鉄心2を形成し、鉄心2の内径部に回転軸3を圧入あるいは焼ばめなどの方法で挿入固定する。
(2) 工程2 予め成形した鉄板5を回転軸3に固定する。
鉄板5を、鉄心2の両側に突起部21が完全に重なり、爪部52の曲げ根元部が軸方向外側に位置するように回転軸3に圧入固定する。
(3) 工程3 鉄心2に永久磁石4を接着する。
鉄心2の永久磁石4の取り付け面(突起部21と突起部21との間の面)、あるいは永久磁石4の内径側の凹面に接着剤を塗布し、永久磁石4を軸方向から鉄心2の突起部21および鉄板5の突起部51の側面に沿って所定の位置まで押し入れる。この際、永久磁石4の一方側面は、爪部52により鉄心2の突起部21の側面側に押され、永久磁石4の反対側側面は鉄心2の突起部21の側面に押し当てられた状態となり、周方向の位置ずれが生じない様になる。
(4) 工程4 永久磁石4を鉄心2にバインド固定する。
接着層を均一にし、接着加熱硬化過程時に発生する可能性がある永久磁石4の浮き上がりを防止するため、永久磁石4の外周を金属バンドなどによりバインドして、永久磁石4を拘束し、所定の条件で接着剤を硬化させて永久磁石4の鉄心2の外周への固定を完了させる。
(5) 工程5 永久磁石4をテーピングする。
永久磁石4の外周に熱硬化性ガラス入りプリプレグテープ8などを巻回、加熱硬化するなどして、永久磁石4の表面を保護する。
(1)工程1 回転軸3に突起部31を形成する。
回転軸3と一体形成された鉄心2の外周面にプレス加工などで等間隔に突起部31を形成する。
(2) 工程2 予め成形した鉄板5を回転軸3に圧入固定する。
工程2から工程5は、実施例1と同じ方法であるため、説明を省略する。
(3) 工程3 鉄心2に永久磁石4を接着する。
(4) 工程4 永久磁石4をバインド固定する。
(5) 工程5 永久磁石4をテーピングする。
このように回転子を製造することにより実施例1と同じ効果が得られる。
なお、本実施例では、回転軸3と一体に形成された鉄心2を用いたが、これに替えて突起を形成した別体の鉄心を使用することもできる。これにより、永久磁石4の周方向の位置ずれを防止できるため、位置ずれに伴う位置の修正などの手間を省くことができる。
本実施例は、実施例1と同じく積層した鉄心2を回転軸3に設けたもので、積層途中に鉄板5を鉄心の所要積層寸法がほぼ3分割になるように配設したものである。
鉄心2および鉄板5は、実施例1と同じように作製されている。
(1)工程1 鉄心2と鉄板5を回転軸3に固定する。
爪部52を成形した鉄板5を2枚と、鉄心の所要積層寸法を鉄板5を含めてほぼ3分割するように3ピースに分割した積層鉄心を製作し、鉄板5が鉄心2をほぼ3分割する位置に配設する。3ピースに分割された積層鉄心と鉄板5を、突起部21および突起部51が完全に重なるように、順じ回転軸3に圧入あるいは焼きばめなどの方法で挿入固定する。この場合、鉄板5の軸方向の向きは、特に制限しない。
(2) 工程2 鉄心2に永久磁石4を接着する。
工程2から工程4は、実施例1、2の工程3から工程5と同じ方法であるため、説明を省略する。
(3) 工程3 永久磁石4をバインド固定する。
(4) 工程4 永久磁石4をテーピングする。
このように回転子を製造することにより実施例1、2と同じ効果が得られる。
なお、本実施例では、鉄板5を積層鉄心2の途中に設けたが、さらに、実施例1における鉄心2の両側に配設した鉄板5を加えてもよい。このようにすれば、永久磁石4側面の押し付け力がさらに強くなり、永久磁石4の外周バインドにより永久磁石4に外力が加わっても、永久磁石4の周方向の位置ずれを強固に防止できる。
鉄心2の突起部21および鉄板5は、実施例1、実施例3と同じである。
つぎに、本実施例の回転子の製造方法について説明する。
(1)工程1 鉄心2を回転軸3に固定する。
まず、軸方向の寸法が所定の寸法となるように複数個の鉄心板を突起部21が完全に重なるように積層し、1個目の鉄心2aを形成し、鉄心2aの内径部に回転軸3を圧入あるいは焼ばめなどの方法で挿入固定する。
(2) 工程2 予め成形した鉄板5を回転軸3に圧入固定する。
工程2〜4は、実施例1、2の工程2〜4と同じ方法であるため、説明を省略する。
(3) 工程3 鉄心2に永久磁石4を接着する。
(4) 工程4 永久磁石4を鉄心2にバインド固定する。
(5) 工程5 鉄心2を回転軸3に固定する。
工程1の1個目の鉄心2aと同様に、軸方向の寸法が所定の寸法となるように複数個の鉄心板を積層し、2個目の鉄心2bを形成し、1個目の鉄心2aに対して周方向に所定量位置をずらして回転軸3に圧入あるいは焼ばめなどの方法で1個目の鉄心2aに当たるまで挿入し固定する。この際、1個目の鉄心2aと接する側の鉄板5は、2個目の鉄心2bの挿入前に所定位置に挿入固定しておき、2個目の鉄心2bの挿入固定後に反対側の鉄板5を挿入固定する。この際、2個目の鉄心2bと鉄板5の位置関係は1個目の鉄心2aでのこれらの位置関係と同じとする。
(6) 工程6
工程3、工程4を繰り返し、永久磁石4の外周をバインドして拘束するまで1個目の鉄心2aに対して行った手順と同様の手順で作業を行う。
(7) 工程7
さらに2個目の鉄心2bに対して行った手順と同様の手順で、3個目の鉄心2cに対し永久磁石4を拘束するまで作業を行い、所定の条件で接着剤を硬化させて永久磁石4を各鉄心の外周に固着させる。
なお、接着剤を加熱硬化させる場合などは、各鉄心の永久磁石4外周へのバインド作業を各鉄心への永久磁石の位置決めがすべて完了した後に、まとめて行ってもかまわない。
(8) 工程8 永久磁石4をテーピングする。
永久磁石4の外周に熱硬化性ガラス入りプリプレグテープ8などを巻回、加熱硬化するなどして、永久磁石4の表面を保護する。
以上、本発明の実施例1から実施例4に述べた回転子を用いてれば、品質が高く、コストの安価なモータを製造できる。
2、2a、2b、2c 鉄心
21 突起部
3 回転軸
31 突起部
4 永久磁石
5 鉄板
51 突起部
52 爪部
52a 爪成形部
6 テープ
Claims (14)
- 回転軸と、前記回転軸に固定される外周面の周方向に等間隔に突起部が形成された鉄心板を積層した鉄心と、突起部を有し前記回転軸に積層される鉄板と、前記鉄心の突起部間に固定された永久磁石とを有する回転子において、
前記鉄板は、その突起部が前記鉄心板の形状と略同形状であり、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し軸方向に曲げ成形した爪部を設けたことを特徴とする回転子。 - 前記鉄板は、前記鉄心の両側端部に設けられたものであることを特徴とする請求項1記載の回転子。
- 前記鉄板は、鉄心の積層途中に一定間隔をもって少なくとも2箇所設けられたものであることを特徴とする請求項1または2記載の回転子。
- 前記一定間隔に設けられた前記鉄板および鉄心を、周方向に一定の角度ずらせた位置にあることを特徴とする請求項3記載の回転子。
- 回転軸と一体に形成され外周面の周方向に等間隔に突起部が形成された鉄心部と、前記鉄心部の突起部の間に固定された永久磁石とを有する回転子において、
前記鉄心部の両端部に、突起部の形状が前記鉄心部の突起部の形状と略同形状であり、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し、軸方向に曲げ成形した爪部が設けられた鉄板を備えたことを特徴とする回転子。 - 回転軸と、前記回転軸に設けられた鉄心部と、前記鉄心部の外周面に固定された永久磁石とを有する回転子において、
前記鉄心部は外周面の周方向に等間隔に突起部が形成された別体のものであり、前記鉄心部の両端部に突起部の形状が前記鉄心部の突起部の形状と略同形状であり、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し、軸方向に曲げ成形し、爪部を設けた鉄板を備えたことを特徴とする回転子。 - 請求項1から請求項6記載の回転子を用いて固定子に組み込まれたことを特徴とする電動機。
- 外周面の周方向に等間隔に突起部が形成された鉄心板を積層した鉄心を回転軸に固定し、突起部を有し前記回転軸に装着する鉄板を成形し、前記鉄板を前記回転軸に装着し、前記積層した鉄心の突起部間に永久磁石を接着して固定する回転子の製造方法において、
前記鉄板の突起部を前記鉄心板の形状と略同形状に成形し、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し、軸方向に曲げ成形して、爪部を設け、
前記永久磁石を接着する際は、前記鉄心の突起部間の面または永久磁石の少なくとも一方に接着剤を塗布し、前記鉄板の爪部に前記永久磁石の一方の側面を押した状態で位置決めし、前記永久磁石が周方向に動かないように保持しながら装着することを特徴とする回転子の製造方法。 - 前記鉄板を前記回転軸に装着する位置は、前記鉄心の両端部としたことを特徴とする請求項8記載の回転子の製造方法。
- 前記鉄板を前記回転軸に装着する位置は、前記鉄心の途中に一定間隔をもって少なくとも2箇所設けたことを特徴とする請求項8または9記載の回転子の製造方法。
- 前記一定間隔に設けられた前記鉄板および鉄心を、周方向に一定の角度ずらせた位置にすることを特徴とする請求項10記載の回転子の製造方法。
- 回転軸と鉄心部とを一体に形成し、前記鉄心部の外周面の周方向に等間隔に突起部を形成し、前記鉄心部の突起部と突起部との間に永久磁石を固定する回転子の製造方法において、
前記鉄心部の両端部に、突起部の形状が前記鉄心部の突起部の形状と略同形状であり、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し、軸方向に曲げ成形して爪部を設けた鉄板を備えたことを特徴とする回転子の製造方法。 - 回転軸に鉄心部を設け、前記鉄心部の外周面に永久磁石を固定する回転子の製造方法において、
前記鉄心部は外周面の周方向に等間隔に突起部を形成して別体のものとし、前記鉄心部の両端部に、突起部の形状が前記鉄心部の突起部の形状と略同形状とし、かつその突起部の端部から円周方向に伸延し、軸方向に曲げ成形して爪部を設けた鉄板を固定することを特徴とする回転子の製造方法。 - 請求項8から請求項13記載の回転子の製造方法を用いて固定子に組み込むことを特徴とする電動機の製造方法。
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