JP4349831B2 - 固定子鉄心の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるストレートコアを用いた固定子鉄心製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、固定子鉄心として、ストレートコアの構造が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
このストレートコアとは、略ストレート状にコア分割部を多数連結したものであり、このストレートコアをリング状に折曲すると固定子鉄心が形成される。そして、各コア分割部は、折曲可能なように節部で連結されていると共に、それぞれからティースが突出した構造となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−258186
【0005】
【特許文献2】
特開2002−247788
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のストレートコアよりなるリング状の固定子鉄心に、絶縁層を樹脂によって形成する場合について図4及び図5に基づいて説明する。
【0007】
図4は、従来の固定子鉄心100の平面図であり、図5はその固定子鉄心100に絶縁層108を設けた状態の平面図である。
【0008】
まず、図4に示すように、鋼板を積層したストレートコアの各コア分割部102を節部106で折曲してリング状の固定子鉄心100を形成する。
【0009】
次に、図4に示す固定子鉄心100を金型に収納すると共に、固定子100の内周、すなわち、複数のティース104の内周に金型の芯金を挿入する。
【0010】
次に、この金型内部に樹脂を注入して、図5に示すように固定子鉄心100の表面に絶縁層108を形成する。
【0011】
しかしながら、この絶縁層108の形成方法においては、各コア分割部102を連結する節部106の剛性が低いため、金型内部で樹脂を注入する際に樹脂の圧力によりこの節部106が変形する。すなわち、図5における各ティース104の間の矢印に示す方向に樹脂の圧力がかかり、ティース104が軸心方向に向くべきところが異なる方向に向き、固定子鉄心100の内径と各ティースのピッチ精度が悪くなるという問題点がある。
【0012】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、ストレートコアを使用した固定子に絶縁層を樹脂によって形成する場合でも、固定子鉄心の内径及び各ティースのピッチ精度を精度よく行うことができる固定子鉄心製造方法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、リング状のコアの内周から複数のT字状のティースが突出した固定子鉄心の表面に絶縁層を設ける固定子鉄心の製造方法において、ティースが内周から突出したコア分割部が節部で連結され、前記コア分割部の一方の側部に突部が突出し、他方の側部に凹部が形成され、前記ティースの先端部の中央部に係合凹部が設けられたストレートコアを形成し、前記ストレートコアを折曲することで、前記突部を隣り合うコア分割部の前記凹部に挿入し、リング状の前記コアを形成し、金型内部に固定子鉄心を収納し、前記金型内部に固定されている芯金の外周に軸方向に突出した突条と前記係合凹部とを係合し、前記金型内部にモールド樹脂を注入して前記固定子鉄心の表面に絶縁層を前記モールド樹脂によって設けることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、前記コアが、複数個のコア分割部を節部で連結したストレートコアを円弧状に折曲したものを複数個連結してリング状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固定子鉄心の製造方法である。
【0015】
請求項3の発明は、前記コアは、6個のコア分割部を節部で連結したストレートコアを4個連結してリング状に形成したことを特徴とする請求項2に記載の固定子鉄心の製造方法である。
【0018】
【作 用】
請求項1に係る発明の固定子鉄心の製造方法、すなわち、略ストレート状に多数連結されたコア分割部をリング状に折曲し、かつ、各コア分割部からティースがそれぞれ突出し、ティースの内周側の先端部の中央に係合凹部を有する固定子鉄心の表面に絶縁層を形成する場合、まず、前記固定子鉄心を金型内部に収納する。また、固定子鉄心の内周へ円柱状の芯金を挿入し、ティースの係合凹部と芯金の外周に軸方向に突出した突条を係合させる。
【0020】
次に、金型内部にモールド樹脂を注入すると、固定子鉄心の表面に絶縁層がプレモールドされる。
【0021】
この時、芯金の突条とティースの係合凹部が係合しているため、樹脂の圧力によってティースが移動することがない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態の固定子鉄心10を図1から図3に基づいて説明する。
【0023】
図1に示すように、ストレートコア18から形成した固定子鉄心10は、リング状のコア12の内周からT字状のティース14が24個等間隔に軸心に向かって突出している。なお、この固定子鉄心10を使用するモータとしては、例えばブラシレスDCモータよりなるモールドモータである。
【0024】
(1)ストレートコア18の構造
まず、ストレートコア18の構造について図3に基づいて説明する。
【0025】
リング状のコア12を24個のコア分割部16に分け、その24個のうち6個のコア分割部16を連結してストレートコア18を形成している。なお、これら各コア分割部16からティース14が突出している。
【0026】
6個のコア分割部16は、半リング状の節部20のみによって連結されている。この節部20は、固定子鉄心10の外周側に位置し、その他の部分は略V字状の切欠部22が形成されている。図3の拡大図に示すように、この切欠部22の一方の側部から半円形の突部24が突出し、他方の縁部はこの半円形の突部24が挿入される凹部26を形成している。これによって、ストレートコア18を節部20でリング状に折曲した時に、半円形の突部24が半円形の凹部26に挿入される。
【0027】
ティース14の内周側の先端部の中央には、係合凹部28が設けられている。
【0028】
ストレートコア18を積層するためのかしめ部30が、コア分割部16に二個所、ティース14に一個所設けられている。
【0029】
ストレートコア18の一方の端部に位置するコア分割部16には、連結突部32が設けられ、コア分割部16の他方の端部には連結凹部34が設けられている。
【0030】
(2)固定子鉄心10の製造方法
ストレートコア18から固定子鉄心10を製造する方法について説明する。
【0031】
まず、鋼板から6個のコア分割部16を打ち抜くと同時に、かしめ部30を介して複数枚積層して、6つのコア分割部16を有するストレートコア18を製造する。
【0032】
次に、積層したストレートコア18を円弧状に折曲し、別に積層して折曲されている3個のストレートコア18と連結して、図1に示すように4個のストレートコア18から一つのリング状の固定子鉄心10を形成する。この場合に、隣接するストレートコア18は、連結突部32と連結凹部34を連結することによって一体に連結される。
【0033】
次に、上記のように形成した固定子鉄心10を、金型内部に収納すると共に、固定子鉄心10の内周側、すなわち24個のティース14の内周側に金型の芯金36を挿入する。この芯金36は、円柱形であり、その外周には軸方向に係合突条38が24個突出している。図2の拡大図に示すように、芯金36を固定子鉄心10の内周側に挿入する時に、係合突条38がティース14の係合凹部28に係合するように嵌め込む。
【0034】
次に、固定子鉄心10を収納した金型内部にモールド樹脂を注入する。すると、図2に示すように、固定子鉄心10の表面にモールド樹脂によって絶縁層40が形成される。
【0035】
次に、この絶縁層40が形成された固定子鉄心10に、固定子巻線を巻回して固定子を形成する。
【0036】
本実施形態の場合、芯金36の係合突条38とティース14の係合凹部28が係合しているため、金型内部にモールド樹脂を注入した場合に、この樹脂の圧力によってティース14が移動しようとする。しかし、係合突条38と係合凹部28の係合によりティース14が移動せず、各ティース14のピッチが所定の間隔に保たれ、その内径も所定の大きさに保持することができる。
【0037】
したがって、ストレートコア18が、節部20のみで連結された剛性の弱い形状であっても、ティース14の内径及びピッチ精度を確保することができる。
【0038】
(変更例1)
上記実施形態では、ティース14に設けた係合凹部28は一個所であったが、モータの特性に影響を及ぼさない限り、中心を対称に二個所設けてもよいし、また、三箇所設けてもよい。
【0039】
(変更例2)
上記実施形態では回転子を固定子鉄心10の内周側に配するインナーロータ型であったが、これに代えて固定子鉄心10の外周に回転子を配するアウターロータ型でもよい。
【0040】
この場合には、固定子鉄心10のコア12の外周から複数のティース14が突出し、そのティース14の先端に係合凹部28を設けるものである。
【0041】
【発明の効果】
以上により本発明あると、絶縁層をモールド樹脂によって形成する場合に、金型の芯金の突条とティースの係合凹部とが係合して、ティースが移動せず、その内径及びピッチ精度を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す固定子鉄心の平面図である。
【図2】同じく絶縁層を形成した固定子鉄心の平面図である。
【図3】同じくストレートコアの平面図である。
【図4】従来の固定子鉄心の平面図である。
【図5】同じく従来の固定子鉄心に絶縁層を設けた平面図である。
【符号の説明】
10 固定子鉄心
12 コア
14 ティース
16 コア分割部
18 ストレートコア
20 節部
22 切欠部
24 突部
26 凹部
28 係合凹部
36 芯金
38 係合突条
40 絶縁層

Claims (3)

  1. リング状のコアの内周から複数のT字状のティースが突出した固定子鉄心の表面に絶縁層を設ける固定子鉄心の製造方法において、
    ティースが内周から突出したコア分割部が節部で連結され、前記コア分割部の一方の側部に突部が突出し、他方の側部に凹部が形成され、前記ティースの先端部の中央部に係合凹部が設けられたストレートコアを形成し、
    前記ストレートコアを折曲することで、前記突部を隣り合うコア分割部の前記凹部に挿入し、リング状の前記コアを形成し、
    金型内部に固定子鉄心を収納し、
    前記金型内部に固定されている芯金の外周に軸方向に突出した突条と前記係合凹部とを係合し、
    前記金型内部にモールド樹脂を注入して前記固定子鉄心の表面に絶縁層を前記モールド樹脂によって設ける
    ことを特徴とする固定子鉄心の製造方法。
  2. 前記コアが、複数個のコア分割部を節部で連結したストレートコアを円弧状に折曲したものを複数個連結してリング状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固定子鉄心の製造方法。
  3. 前記コアは、6個のコア分割部を節部で連結したストレートコアを4個連結してリング状に形成したことを特徴とする請求項2に記載の固定子鉄心の製造方法。
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