JP2007008217A - シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両 - Google Patents

シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両 Download PDF

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Abstract

【課題】 車両に搭載されるシートベルトリトラクタにおいて、シートベルトが巻き出されたままの状態が維持されるのを防止するべく行う、電動モータを用いたシートベルト巻き取り動作に関し、当該シートベルト巻き取り動作の合理化を図るのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 車両に搭載されるシートベルト装置100のシートベルトリトラクタ1は、シートベルト格納制御において、特に車両乗員Cに対するシートベルト3の装着解除状態にて、モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、車両ドア50の開閉状態に基づいて、当該モータのモータ出力を可変とする構成とされる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両に搭載されるシートベルトリトラクタの構築技術に関するものである。
従来、車両乗員を拘束するシートベルト(ウェビング)によって当該車両乗員の保護を図る構成のシートベルト装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、シートベルト装置において、電動モータによってスプール(巻き取り軸)を回転駆動させてシートベルトの巻き取り及び巻き出しを行うシートベルトリトラクタの構成が開示されている。
特表2003−507252号公報
特許文献1に記載の技術では、シートベルトリトラクタの構造として、スプールによるシートベルト巻き取り動作を、電動モータによって行う可能性が提示されているが、この構成を、シートベルトがスプールから巻き出されたままの状態が維持されるのを解消するべくシートベルトを巻き取る制御(シートベルト格納制御)に用いる場合には、電動モータによるシートベルト巻き取り動作をより合理的に制御する要請がある。
具体的には、このシートベルト格納制御は、スプールから巻き出されたままのシートベルトやそのシートベルト側のトングが車両ドアに挟み込まれるのを防止するのが本来の目的であるところ、シートベルトやトングを挟み込む直接的な対象物である車両ドアの挙動を、このシートベルト巻き取り動作時の制御に少なくとも反映させることによって、洗練された(きめ細かい)合理的な制御が可能となる。そこで、本発明者は、シートベルト巻き取り制御時における車両ドアの挙動に着目し、この車両ドアの挙動に基づいてシートベルト巻き取り動作の態様を可変とする構成を想到したものである。
本発明では、車両に搭載されるシートベルトリトラクタにおいて、シートベルトが巻き出されたままの状態が維持されるのを防止するべく行う、電動モータを用いたシートベルト巻き取り動作に関し、当該シートベルト巻き取り動作の合理化を図るのに有効な技術を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明が構成される。本発明は、典型的には自動車の車両に搭載されるシートベルトリトラクタに適用することができるが、自動車以外の車両、例えば飛行機、船舶、電車、バス等に搭載されるシートベルトリトラクタの構築技術に対し本発明を応用し得る。
(本発明の第1発明)
前記課題を解決する本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりのシートベルトリトラクタである。
請求項1に記載のこのシートベルトリトラクタは、車両に搭載されるものであって、電動モータ、スプール、制御手段を少なくとも備える。
本発明のスプールは、電動式の電動モータの駆動に伴って作動し、乗員拘束用のシートベルトの巻き取り動作及び巻き出し動作を行う部材として構成される。このスプールに対し巻き取り及び巻き出しされるシートベルトは、シートに着座した車両乗員に装着される長尺状のベルトであり、「ウェビング」とも称呼される。典型的には、車両シートに着座した車両乗員が、車両衝突などの乗員拘束時にこのシートベルトにより拘束されることとなる。なお、本発明では、電動モータとスプールとの間に、モータとスプールとが接続された接続状態、及び当該接続状態が解除された接続解除状態を形成する機構としての動力伝達機構を、必要に応じて適宜介在させることができる。また、本発明において、スプールによるシートベルト巻き取り動作は、電動モータの駆動力のみで行われてもよいし、或いはスプールに作用するリターンスプリング等の弾性部材による巻き取り力に加え、電動モータの駆動力が補助的に用いられることで行われてもよい。
本発明の制御手段は、少なくとも電動モータの駆動制御を行う手段として構成され、電動モータの駆動方向、駆動時間、駆動力等を制御する。この制御手段は、典型的にはCPU(演算処理装置)、入出力装置、記憶装置、周辺装置等によって構成される。この制御手段は、本発明のシートベルトリトラクタに専用の制御手段として設けられてもよいし、或いは当該シートベルトリトラクタのみならず、車両の駆動系や電装系を制御する制御手段と兼用されてもよい。
特に、本発明における制御手段は、車両乗員に対するシートベルトの装着の状態、及び当該シートベルトに対応する車両ドアの開閉の状態により定まる駆動開始条件の成立によって、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、この駆動開始条件の成立パターンに基づいて当該電動モータのモータ出力を可変とする構成とされる。すなわち、本発明では、シートベルトの巻き取り開始が、シートベルトの装着の状態(装着或いは装着解除)及び車両ドアの開閉の状態(開放或いは閉止)の組み合わせに応じて規定されるとともに、この駆動開始条件の成立パターンによって電動モータのモータ出力が変わるようになっている。この駆動開始条件の成立パターンは、シートベルトの装着の状態と車両ドアの開閉の状態との組み合わせや成立の順序などに応じて適宜設定することができ、また成立パターンの数は必要に応じて設定することができる。このとき、電動モータのモータ出力は、電流値(「制御電流値」ともいう)と電圧値(「印加電圧値」ともいう)との積であることから、電流値や電圧値を適宜変化させて、モータ出力を変更することが可能である。
従って、請求項1に記載の発明によれば、シートベルトリトラクタによるシートベルト格納制御において、電動モータを用いてシートベルト巻き取り動作を行うことで、シートベルトが巻き出されたままの状態が発生するのを防止するとともに、当該シートベルト巻き取り動作の制御にシートベルトの装着の状態や車両ドアの挙動を反映させることが可能となる。かくして、電動モータを用いたシートベルト巻き取り動作に関し、洗練された(きめ細かい)合理的な制御が可能なシートベルトリトラクタが提供される。
(本発明の第2発明)
前記課題を解決する本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりのシートベルトリトラクタである。
請求項2に記載のこのシートベルトリトラクタでは、請求項1に記載の制御手段は、車両乗員に対する前記シートベルトの装着解除状態にて、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、当該シートベルトに対応する車両ドアの開閉状態に基づいて当該電動モータのモータ出力を可変とする構成とされる。
ここで、この種のシートベルトリトラクタにて、シートベルトがスプールから巻き出されたままの状態が維持されると、シートベルト自体や当該シートベルトに取り付けられたタングが車両ドアに挟み込まれるという不具合の発生が懸念される。そこで、このような不具合を防止するべく、スプールから一旦引き出されたシートベルトを、電動モータを用いて積極的にスプールに巻き取るシートベルト巻き取り動作(シートベルト格納動作)を行う構成が要請される。この場合、例えばシートベルト等を挟み込む直接的な対象物である車両ドアの挙動を、このシートベルト巻き取り動作の制御に反映させることによって、洗練された(きめ細かい)合理的な制御が可能となる。
そこで、本発明では、車両乗員に対するシートベルトの装着解除状態にて、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、当該シートベルトに対応する車両ドアの開閉状態(駆動開始条件の成立パターン)に基づいて当該電動モータのモータ出力を可変としている。ここで、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するタイミングは、シートベルトの装着状態が解除されたことを検知した時点であってもよいし、或いはシートベルトの装着状態が既に解除されていることを検知した時点であってもよい。
このシートベルト巻き取り動作(シートベルト格納制御)は、スプールから巻き出されたままのシートベルトやそのシートベルト側のトングが車両ドアに挟み込まれるのを防止するのが本来の目的であるところ、本発明は、シートベルトやトングを挟み込む直接的な対象物である車両ドアの挙動を、このシートベルト巻き取り動作時の制御に少なくとも反映させることによって、洗練された合理的な制御に有効であるという前提に基づいている。この場合、電動モータによるシートベルト巻き取り動作が完了するまでの速さや時間を、車両ドアが閉止されるまでの時間的余裕の度合いに基づいて設定することができる。
具体的には、車両ドアが閉止されるまでの時間的余裕がある場合には、車両乗員に対しシートベルトを極力優しく巻き取るべく、電動モータのモータ出力を相対的に小さく抑えた設定、或いは電動モータの駆動制御なしの設定が可能となる。これに対し、車両ドアが閉止されるまでの時間的余裕が少ない場合には、シートベルトを迅速に巻き取るべく、電動モータのモータ出力を相対的に高めた設定が必要となる。そして、電動モータがシートベルト巻き取り方向へ駆動制御されることで、シートベルトが巻き出されたままの状態が維持されるのが防止されることとなる。
従って、請求項2に記載の発明によれば、シートベルトリトラクタによるシートベルト格納制御において、シートベルト巻き取り動作に関し洗練された合理的な制御が可能とされる。
(本発明の第3発明)
前記課題を解決する本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりのシートベルトリトラクタである。
請求項3に記載のこのシートベルトリトラクタでは、請求項1または請求項2に記載の制御手段は、シートベルトの装着が解除されたとき、当該シートベルトに対応する車両ドアが閉止状態である場合には、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ第1のモータ出力で駆動制御する構成とされる。一方、本発明の制御手段は、当該シートベルトに対応する車両ドアが開放状態である場合には、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ第1のモータ出力よりも大きい第2のモータ出力で駆動制御する構成とされる。シートベルト装着が解除されたとき、車両ドアが閉止状態の場合には、その後当該車両ドアが開放されて再び閉止されるまでに比較的多くの時間的余裕があり、従って車両乗員に対しシートベルトを極力優しく巻き取るべく、電動モータのモータ出力を相対的に小さく抑えた設定、或いは電動モータの駆動制御なしの設定が可能となる。これに対し、シートベルト装着が解除されたとき、車両ドアが既に開放状態の場合には、その後当該車両ドアが閉止されるまでの時間的余裕が少なく、従ってシートベルトを迅速に巻き取るべく、電動モータのモータ出力を相対的に高めた設定が必要となる。
従って、請求項3に記載の発明によれば、シートベルトリトラクタによるシートベルト格納制御において、特にシートベルトの装着が解除されたときにおける車両ドアの開閉状態に応じてモータ出力を変える構成によって、シートベルト巻き取り動作に関し洗練された合理的な制御が可能とされる。
なお、本発明において、第1のモータ出力と第2のモータ出力の相対的な大きさに関しては、第2のモータ出力が第1のモータ出力よりも大きい関係を満たしていればよく、この第1のモータ出力は、第2のモータ出力を下回る所定の値(スプールが回転しないしモータ出力を含む)であってもよいし、或いはゼロ(モータ出力なし)であってもよい。
(本発明の第4発明)
前記課題を解決する本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりのシートベルトリトラクタである。
請求項4に記載のこのシートベルトリトラクタでは、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の制御手段は、シートベルトに対応する車両ドアが閉止状態から開放状態とされたとき、当該シートベルトの装着が解除されている場合には、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御する構成とされる。一方、本発明の制御手段は、当該シートベルトが装着されている場合には、記電動モータを駆動制御しない構成とされる。すなわち、車両ドアが開放された直後にて、シートベルトの装着が解除されている状態である場合には、当該車両ドアは、暫くは閉止されない可能性が高く、従って車両乗員に対しシートベルトを極力優しく巻き取るべく、電動モータのモータ出力を相対的に小さく抑えた設定が可能となる。これに対し、シートベルトが装着されている状態である場合には、シートベルト巻き取り動作は不要である。
従って、請求項4に記載の発明によれば、シートベルトリトラクタによるシートベルト格納制御において、特に車両ドアが閉止状態から開放状態とされたときにおけるシートベルトの状態に応じてモータ出力を変える構成によって、シートベルト巻き取り動作に関し洗練された合理的な制御が可能とされる。
(本発明の第5発明)
前記課題を解決する本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりのシートベルト装置である。
請求項5に記載のこのシートベルト装置では、車両に搭載される装置であって、乗員拘束用のシートベルト、電動モータ、スプール、制御手段、シートベルトバックル、タング、検知センサを少なくとも備える。
本発明のシートベルトは、シートに着座した車両乗員に装着される長尺状のベルトであり、「ウェビング」とも称呼される。典型的には、車両シートに着座した車両乗員が、車両衝突などの乗員拘束時にシートベルトにより拘束される。本発明のシートベルトバックルは、車両に対し固定される部材として構成される。本発明のタング(「トング」ともいう)は、シートベルトに設けられシートベルト装着時に、本発明のシートベルトバックルに挿入係合する部材として構成される。本発明の検知センサは、タングがシートベルトバックルに挿入係合したことを検知する手段として構成される。
本発明の制御手段は、検知センサの検知情報に基づいて車両乗員に対するシートベルトの装着状態を判定し、当該シートベルトの装着の状態、及び当該シートベルトに対応する車両ドアの開閉の状態により定まる駆動開始条件の成立によって、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、この駆動開始条件の成立パターンに基づいて当該電動モータのモータ出力を可変とする構成とされる。
その他、本発明の電動モータ、スプールは、請求項1に記載のシートベルトリトラクタの構成要素と実質的に同様の機能を有する。
従って、請求項5に記載の発明によれば、シートベルト装置によるシートベルト格納制御において、電動モータを用いてシートベルト巻き取り動作を行うことで、シートベルトが巻き出されたままの状態が発生するのを防止するとともに、当該シートベルト巻き取り動作の制御にシートベルトの装着の状態や車両ドアの挙動を反映させることが可能となる。かくして、電動モータを用いたシートベルト巻き取り動作に関し、洗練された(きめ細かい)合理的な制御が可能なシートベルトリトラクタが提供される。
(本発明の第6発明)
前記課題を解決する本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりのシートベルト装置である。
請求項6に記載のこのシートベルト装置では、請求項5に記載の制御手段は、シートベルトの装着解除状態にて、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、当該シートベルトに対応する車両ドアの開閉状態に基づいて当該電動モータのモータ出力を可変とする構成とされる。
従って、請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の発明による作用効果と実質的に同様に作用効果を奏するものであり、本発明によれば、シートベルト装置によるシートベルト格納制御において、シートベルト巻き取り動作に関し洗練された合理的な制御が可能とされる。
(本発明の第7発明)
前記課題を解決する本発明の第7発明は、請求項7に記載されたとおりのシートベルト装置である。
請求項7に記載のこのシートベルト装置では、請求項5または請求項6に記載の制御手段は、検知センサの検知情報に基づいて前記シートベルトの装着が解除されたと判定したとき、当該シートベルトに対応する車両ドアが閉止状態である場合には、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ第1のモータ出力で駆動制御する構成とされる。一方、本発明の制御手段は、当該シートベルトに対応する車両ドアが開放状態である場合には、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ第1のモータ出力よりも大きい第2のモータ出力で駆動制御する構成とされる。
従って、請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の発明による作用効果と実質的に同様に作用効果を奏するものであり、本発明によれば、シートベルト装置によるシートベルト格納制御において、シートベルト巻き取り動作に関し洗練された合理的な制御が可能とされる。
(本発明の第8発明)
前記課題を解決する本発明の第8発明は、請求項8に記載されたとおりのシートベルト装置である。
請求項8に記載のこのシートベルト装置では、請求項5〜請求項7のいずれかに記載の制御手段は、シートベルトに対応する車両ドアが閉止状態から開放状態とされたとき、検知センサの検知情報に基づいて、当該シートベルトの装着が解除されている場合には、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御する構成とされる。一方、本発明の制御手段は、当該シートベルトが装着されている場合には、電動モータを駆動制御しない構成とされる。
従って、請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の発明による作用効果と実質的に同様に作用効果を奏するものであり、本発明によれば、シートベルト装置によるシートベルト格納制御において、シートベルト巻き取り動作に関し洗練された合理的な制御が可能とされる。
(本発明の第9発明)
前記課題を解決する本発明の第9発明は、請求項9に記載されたとおりのシートベルト装置付車両である。
請求項9に記載のこのシートベルト装置付車両は、請求項5〜請求項8のいずれかに記載のシートベルト装置を少なくとも備える。本発明の車両は、当該シートベルト装置が、車両内の収容空間、例えばピラー内の収容空間、シート内の収容空間、あるいは車両内のその他の部位の収容空間に収容された構成とされる。
従って、請求項9に記載の発明によれば、電動モータを用いてシートベルト巻き取り動作を行うことで、シートベルトが巻き出されたままの状態が発生するのを防止するとともに、当該シートベルト巻き取り動作の制御に車両ドアの挙動を反映させた合理的なシートベルト装置が、車両内の収容空間に収容された構成の車両が提供される。
以上のように、本発明によれば、電動モータの駆動に伴ってスプールが乗員拘束用のシートベルトの巻き取り動作及び巻き出し動作を行うシートベルト構造に関し、特に、車両乗員に対する前記シートベルトの装着の状態、及び当該シートベルトに対応する車両ドアの開閉の状態により定まる駆動開始条件の成立によって、電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、この駆動開始条件の成立パターンに基づいて当該電動モータのモータ出力を可変とすることで、当該シートベルト巻き取り動作の合理化を図ることが可能となった。
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1及び図2を参照しながら、本発明の一実施の形態を説明する。
ここで、図1は、本発明にかかる「シートベルト装置」の一実施の形態であるシートベルト装置100の構成を示す図である。また、図2は、図1中のシートベルトリトラクタ1まわりの構成を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態のシートベルト装置100は、本発明の「シートベルト装置付車両」である自動車車両に搭載される車両用のシートベルト装置であり、シートベルトリトラクタ1、シートベルト3、ショルダーガイドアンカー10、タング(トング)12、アウトアンカー14、シートベルトバックル16、ECU20等を主体に構成されている。また、車両には、当該車両の衝突予知や衝突発生に関する情報、当該車両の運転状態に関する情報、シートに着座している車両乗員の着座位置や体格に関する情報、周辺の交通状況に関する情報、天候や時間帯に関する情報などの各種の情報を検出して、その検出情報をECU20に対し入力する入力要素30が搭載されている。この入力要素30の検出情報が、常時又は所定時間毎にECU20に伝達され、シートベルト装置100などの動作制御に用いられる。
特に、本実施の形態の入力要素30には、車両の衝突予知や実際の衝突発生といった、車両衝突に関する情報を検知する車両衝突情報検知センサ32が含まれている。この車両衝突情報検知センサ32は、自車両に対する衝突対象物(別車両、障害物、歩行者など)との間の距離、相対速度、相対加速度や、自車両に作用する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の加速度等の検出情報(検出信号)を検出(計測)可能なセンサとして構成される。この車両衝突情報検知センサ32は、単一の検出センサとして構成されてもよいし、或いは単一の検出センサを複数組み合わせて構成されてもよい。具体的には、ミリ波レーダ、レーザーレーダ、加速度センサ、カメラセンサ等を用いて車両衝突情報検知センサ32を構成することができる。
また、本実施の形態では、車両に搭載された車両ドア開閉センサ52によって車両ドア50の開閉状態が検出されるようになっている。この車両ドア開閉センサ52としては、例えば車両ドア側の第1接点と、車体ピラー側の第2接点とが接触することで車両ドアの閉止状態を検出可能な接触式センサを用いることができる。この車両ドア開閉センサ52を、シートベルトリトラクタ1ないしシートベルト装置100の構成要素とすることもできる。この車両ドア開閉センサ52によって検出された検出情報はECU20に伝達され、図3を用いて後述する「リトラクタ制御処理A〜C」に用いられる。
シートベルト3は、運転席である車両シート40に着座した車両乗員C(「運転者」ともいう)の拘束または拘束解除に用いられる長尺状のベルト(ウェビング)である。このシートベルト3が、本発明における「乗員拘束用のシートベルト」に対応している。このシートベルト3は、車両に対し固定されたシートベルトリトラクタ1から引き出され、車両乗員Cの乗員肩部領域に設けられたショルダーガイドアンカー10を経由し、タング(トング)12を通ってアウトアンカー14に連結されている。ショルダーガイドアンカー10は、車両乗員Cの乗員肩部領域においてシートベルト3を係止しガイド(誘導)する機能を有する。そして、車体に対し固定されたシートベルトバックル16にタング12が挿入係合されることによって、当該シートベルト3が車両乗員Cに対し装着状態となる。このタング12が、本発明における「タング」に相当し、このタング12が挿入係合されるシートベルトバックル16が、本発明における「シートベルトバックル」に相当する。
なお、シートベルトバックル16にはバックルスイッチ16aが内蔵されており、シートベルトバックル16にタング(トング)12が挿入されシートベルトバックル操作がなされたこと(実質的にはシートベルト装着状態になったこと)が、このバックルスイッチ16aによって検知される。このバックルスイッチ16aが検知した情報はECU20に伝達され、シートベルト装着状態であるか否かが判定されるようになっている。このバックルスイッチ16aが、本発明における「タングがシートベルトバックルに係合したことを検知する検知センサ」に相当する。
シートベルトリトラクタ1は、後述するスプール5及びモータ7を介してシートベルト3の巻き取り動作及び巻き出し動作を可能とする装置であり、本発明における「シートベルトリトラクタ」に対応している。このリトラクタ1は、図1に示す例では、車両のBピラー42内の収容空間に装着されている。
ECU20は、入力要素30からの入力信号に基づいて、シートベルトリトラクタ1をはじめ、各種の動作機構に関する制御を行う機能を有し、CPU(演算処理装置)、入出力装置、記憶装置、周辺装置等によって構成されている。特に本実施の形態の説明では、このECU20が、シートベルトリトラクタ1の後述するモータ7に関する制御を行う。具体的には、ECU20が、モータ7の電磁コイルに供給される電流供給量や電流供給方向を制御することによって、モータシャフトの、回転速度、回転方向、回転時間、回転トルク(出力)などが可変とされる。詳細については後述するが、このECU20は、モータ7の駆動制御を行う手段として構成されるとともに、後述する動力伝達機構9を制御してスプール5にモータ7の動力が伝達される状態を切り換える手段として構成される。更に、このECU20には、モータ7の動作時のモータ電流値を検出(測定)する機能が組み込まれている。このECU20が、本発明における「制御手段」に対応している。
なお、このECU20は、シートベルトリトラクタ1に専用の制御手段として設けられてもよいし、或いは当該シートベルトリトラクタ1のみならず、車両の駆動系や電装系を制御する制御手段として兼用とされてもよい。
図2に示すスプール5は、円柱状ないし円筒状に形成され、そのスプール外周面(シートベルト当接面)がシートベルト3の巻き取り面を構成する。このスプール5は、本発明における「電動モータ」としてのモータ7の駆動に伴って、乗員拘束用のシートベルト3の巻き取り動作及び巻き出し動作を行う部材であり、本発明における「スプール」に相当する。
また、本実施の形態では、このスプール5とモータ7との間に動力伝達機構9が介在する。この動力伝達機構9は、スプール5とモータ7とが接続された接続状態(動力伝達モード)、及び当該接続状態が解除された接続解除状態(動力伝達遮断モード)を形成する機構として構成される。この動力伝達機構9は、ギア部材等を組み合わせて形成されるいわゆる「クラッチ」とも称呼される。この動力伝達機構9の接続状態は、モータ7の動力を当該動力伝達機構9を介してスプールに伝達可能な状態である。従って、この接続状態においてモータ7が駆動されることによって、当該モータ7の動力が動力伝達機構9を介してスプール5に伝達される。このとき、モータ7の回転は、動力伝達機構9によって減速されることとなる。これに対し、動力伝達機構9の接続解除状態においては、スプール5とモータ7との物理的な接続が解除され、スプール5からシートベルト3を容易に巻き出す(引き出す)操作が可能となる。なお、必要に応じては、スプール5とモータ7との間に動力伝達機構9を介在させないで、スプール5とモータ7とを直接的に接続する構成を採用することもできる。
本実施の形態において、この動力伝達機構9は、特に図示しないものの、いわゆる「単段式クラッチ」として構成される。従って、動力伝達機構9の動力伝達モードにおいて、モータ7が所定のモータ出力で駆動されるとき、モータ7の回転が減速されてスプール5に伝達され、当該スプール5は所定の回転トルク、所定の回転数で回転駆動されることとなる。
なお、この動力伝達機構9にかえて、スプールの回転トルク及び回転数を複数段階に可変とするような構成の動力伝達機構を用いることもできる。例えば、スプールの回転トルク及び回転数を2段階に可変とする2段クラッチを用いる場合において、シートベルトを強いベルト張力でスプールに巻き取る動作を行いたいときには、動力伝達機構を、相対的に回転トルクが高く、且つ相対的に回転速度が低い高減速比モードに設定することができる。これに対し、シートベルトをスプールに巻き取る動作を迅速に行いたいときには、当該動力伝達機構を、相対的に回転トルクが高く、且つ相対的に回転速度が低い高減速比モードに設定することができる。
本実施の形態では、上記シートベルト3の状態に関し次の7つのシートベルト制御モードが設定されており、これらのシートベルト制御モードに基づいてECU20によるモータ7及び動力伝達機構9の制御が行われるようになっている。
(1)ベルト格納モード
ベルト格納モードは、シートベルト3が使用されずスプール5に完全に巻き取られている状態の制御モードである。このベルト格納モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ7が駆動されず、かつ動力伝達機構9が動力伝達遮断モードに設定される。したがって、シートベルト3にごく弱いベルト張力が生じているだけであり、また消費電力がゼロである。
(2)ベルト引出しモード
ベルト引出しモードは、シートベルト3を装着するためにスプール5から引き出す状態の制御モードである。同様にこのベルト引出しモードでも、シートベルトリトラクタ1は動力伝達遮断モードに設定される。したがって、シートベルト3を弱い力で引き出すことが可能となっている。このときにも、モータ7が駆動されず、消費電力がゼロである。
(3)フィッティング用ベルト巻取りモード
フィッティング用ベルト巻取りモードは、シートベルト3を引き出してタング(図1中のタング(トング)12)をシートベルトバックルに挿入係合してバックルスイッチ(図1中のバックルスイッチ16a)がONした後、シートベルト3を車両乗員にフィットさせるために、余分に引き出されたシートベルト3を巻き取る状態、およびシートベルト3の通常装着状態(このとき、バックルスイッチはON状態となっている)で、車両乗員が動いてシートベルト3が所定量引き出された後、車両乗員が再び正規位置に着座したとき、引き出されたシートベルト3を巻き取る状態の制御モードである。このフィッティング用ベルト巻取りモードでは、シートベルトリトラクタ1は、動力伝達機構9が動力伝達モードに設定され、且つモータ7がベルト巻取り方向に高回転で回転駆動されるように制御される。従って、シートベルト3は迅速にスプール5に巻き取られ、ごく弱い所定のベルト張力が生じたときモータ7が停止することで、シートベルト3は車両乗員にフィットした状態で装着される。
(4)通常装着モード(コンフォートモード)
通常装着モード(コンフォートモード)は、フィッティング用ベルト巻取りモード終了後に設定される、シートベルト3の通常装着状態の制御モードである。この通常装着モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ7が駆動されず、かつ動力伝達機構9が動力伝達遮断モードに設定される。したがって、シートベルト3にごく弱いベルト張力が生じているだけであるので、車両乗員はシートベルト3が装着されても圧迫感を抱くことはない。また、消費電力がゼロである。
(5)警報モード
警報モードは、通常装着モードで車両走行中に運転者の居眠りや自車両周辺の障害物を検知して、シートベルト3の巻取りを所定回数繰り返すことで、運転者に警報を発する状態の制御モードである。この警報モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ7が繰り返し駆動されるように設定される。したがって、シートベルト3に比較的強いベルト張力(後述する緊急モードのベルト張力より弱い)と、ごく弱いベルト張力とが車両乗員に繰り返し加えられるので、運転者は居眠りや自車両周辺の障害物に対して注意を促される。
(6)緊急モード
緊急モードは、通常装着モードで車両走行中に、或いは上記警報モードに引き続いて、自車両が障害物等に衝突するおそれがきわめて高い場合に設定されるベルトモードである。この緊急モードでは、シートベルトリトラクタ1は、動力伝達機構9が動力伝達モードに設定され、且つモータ7がベルト巻取り方向に高回転、高トルクで回転駆動されように制御される。従って、シートベルト3は迅速にスプール5に巻き取られた後、最終的にシートベルト3にきわめて強い所定のベルト張力が生じたときモータ7が停止することで、このシートベルト3によって車両乗員が確実に拘束される。
(7)格納用ベルト巻取りモード
格納用ベルト巻取りモードは、シートベルト3を格納状態にするために当該シートベルト3をスプール5に完全に巻き取る制御モードである。この格納用ベルト巻取りモードでは、シートベルトリトラクタ1は、動力伝達機構9が動力伝達モードに設定され、且つモータ7がベルト巻取り方向に回転駆動されるように制御されることで、引き出されたシートベルト3をスプール5に迅速に巻き取る。そして、シートベルト3が完全に巻き取られて、ごく弱い所定のベルト張力が生じたときにモータ7が停止することで、シートベルト3は前述のごく弱いベルト張力が生じているベルト格納モードとなる。
この格納用ベルト巻取りモードに関し、本実施の形態では、シートベルト3やトング12を挟み込む直接的な対象物である車両ドア50の挙動を、シートベルト巻き取り動作時の制御に少なくとも反映させることによって、洗練された合理的な制御を行うように設定されている。すなわち、本実施の形態の格納用ベルト巻取りモードにおける制御は、スプール5から巻き出されたままのシートベルト3やトング12が車両ドア50に挟み込まれるのを防止するのが、シートベルト巻き取り動作(シートベルト格納制御)の本来の目的であるという前提に基づいている。この制御は、制御手段(図1及び図2中のECU20)が、例えば図3〜図5に示す各リトラクタ制御処理(シートベルト格納制御処理)を遂行することによって可能とされる。
(リトラクタ制御処理A)
ここで、本実施の形態のリトラクタ制御処理Aのフローチャートが図3に示される。
図3に示すリトラクタ制御処理Aでは、まずステップS10によって、シートベルト(図1中のシートベルト3)が装着状態から装着解除状態に切り換えられたか否かを判定する。具体的には、図1中のシートベルトバックル16にタング(トング)12が挿入係合されたことを検知するバックルスイッチ16aの検知情報に基づいて、当該スイッチがON状態からOFF状態へと切り換ったときに、シートベルト3が装着状態から装着解除状態へと切り換えられたと判定される。当該判定は、バックルスイッチ16aによる検出情報をECU20が検出することによって可能となる。このステップS10では、シートベルト3が装着状態から装着解除状態へと切り換えられるまで当該処理を継続し、シートベルト3が装着状態から装着解除状態へと切り換えられたと判定した場合(ステップS10のYES)にステップS12にすすむ。
ステップS12では、車両ドア(図1中の車両ドア50)が開放状態であるか否かを判定する。具体的には、図1中の車両ドア開閉センサ52の検知情報に基づいて、当該センサがON状態であるときに、車両ドア50が開放状態であると判定される。当該判定は、車両ドア開閉センサ52による検出情報をECU20が検出することによって可能となる。このステップS12では、車両ドア50が開放状態であると判定した場合(ステップS12のYES)にステップS14にすすみ、そうでない場合、すなわち車両ドア50が閉止状態であると判定した場合(ステップS12のNO)にステップS16にすすむ。
ステップS14では、モータ7による高出力モータ制御(モータ出力P1)でのシートベルト巻き取り制御(シートベルト格納制御)を行い、ステップS16では、モータ7による低出力モータ制御(モータ出力P2<P1)でのシートベルト巻き取り制御(シートベルト格納制御)を行う。
具体的には、シートベルト装着が解除されたとき、車両ドア50が既に開放状態の場合には、その後当該車両ドア50が閉止されるまでの時間的余裕が少なく、従ってシートベルト3を迅速に巻き取るべく、ステップS14にてモータ7のモータ出力をモータ出力P1に高めた制御を行う。これに対し、シートベルト装着が解除されたとき、車両ドア50が閉止状態の場合には、その後当該車両ドア50が開放されて再び閉止されるまでに比較的多くの時間的余裕があり、従って車両乗員Cに対しシートベルト3を極力優しく巻き取るべく、ステップS16にてモータ7のモータ出力をモータ出力P2に抑えた制御を行う。すなわち、ステップS14とステップS16とでは、モータ7のモータ出力が相対的に異なるように制御している。
ステップS14及びS16における制御に関しては、シートベルトリトラクタ1の動力伝達機構9を動力伝達モードに設定し、且つモータ7をベルト巻取り方向に回転駆動する。また、このときのモータ7のモータ出力は、電流値(「制御電流値」ともいう)と電圧値(「印加電圧値」ともいう)との積であることから、電流値や電圧値を適宜変化させて、モータ出力を変更することが可能である。
なお、本実施の形態のリトラクタ制御処理A〜Cに関し、格納用ベルト巻取りモードについてのシートベルト巻き取り動作は、モータ7の駆動力のみで行われてもよいし、或いはスプール5に作用するリターンスプリング等の弾性部材による巻き取り力に加え、モータ7の駆動力が補助的に用いられることで行われてもよい。
上記リトラクタ制御処理Aによれば、シートベルト格納制御において、特にシートベルト3の装着が解除されたときにおける車両ドア50の開閉状態(駆動開始条件の成立パターン)に応じてモータ7のモータ出力を変える構成によって、シートベルト巻き取り動作に関し洗練された(きめ細かい)合理的な制御が可能とされる。このリトラクタ制御処理Aが、請求項3ないし請求項7に記載の制御態様に相当する。
(リトラクタ制御処理B)
次に、本実施の形態のリトラクタ制御処理Bのフローチャートが図4に示される。
図4に示すリトラクタ制御処理Bでは、まずステップS20によって、車両ドア(図1中の車両ドア50)が閉止状態から開放状態へと切り換えられたか否かを判定する。具体的には、図1中の車両ドア開閉センサ52の検知情報に基づいて、当該センサがON状態からOFF状態へと切り換ったときに、車両ドア50が閉止状態から開放状態へと切り換えられたと判定される。当該判定は、車両ドア開閉センサ52による検知情報をECU20が検出することによって可能となる。このステップS20では、車両ドア50が閉止状態から開放状態へと切り換えられるまで当該処理を継続し、車両ドア50が閉止状態から開放状態へと切り換えられたと判定した場合(ステップS20のYES)にステップS22にすすむ。
ステップS22では、シートベルト(図1中のシートベルト3)が装着状態であるか否かを判定する。具体的には、図1中のシートベルトバックル16にタング(トング)12が挿入係合されたことを検知するバックルスイッチ16aの検知情報に基づいて、当該スイッチがON状態であるときに、シートベルト3が装着状態であると判定される。当該判定は、バックルスイッチ16aによる検知情報をECU20が検出することによって可能となる。このステップS22では、シートベルト3が装着解除状態であると判定した場合(ステップS22のNO)にステップS24にすすみ、そうでない場合、すなわちシートベルト3が装着状態であると判定した場合(ステップS22のYES)にステップS26にすすむ。
ステップS24では、モータ7による低出力モータ制御(モータ出力P3)でのシートベルト巻き取り制御(シートベルト格納制御)を行い、ステップS26では、モータ7による駆動制御を行わない(モータ出力ゼロ)。なお、ステップS26において、スプール5が回転しない程度の出力にモータ7のモータ出力を設定することもできる。
具体的には、車両ドア50が開放された直後にて、シートベルト3の装着が解除されている状態である場合には、当該車両ドア50は、暫くは閉止されない可能性が高く、従って車両乗員Cに対しシートベルト3を極力優しく巻き取るべく、ステップS24にてモータ7のモータ出力をモータ出力P3に抑えた制御を行う。このときのモータ出力P3は、予め設定された基準値を下回る範囲で適宜設定可能である。これに対し、シートベルト3が装着されている状態である場合には、ステップS26にてシートベルト巻き取り動作は不要である。すなわち、ステップS24とステップS26とでは、モータ7のモータ出力が相対的に異なるように制御している。
ステップS24における制御に関しては、シートベルトリトラクタ1の動力伝達機構9を動力伝達モードに設定し、且つモータ7をモータ出力P3にてベルト巻取り方向に回転駆動する。また、ステップS26における制御に関しては、シートベルトリトラクタ1の動力伝達機構9を動力伝達モードに設定し、且つモータ7のモータ出力をゼロにするか、或いはシートベルトリトラクタ1の動力伝達機構9を動力伝達遮断モードに設定する。
上記リトラクタ制御処理Bによれば、シートベルト格納制御において、特に車両ドア50が閉止状態から開放状態とされたときにおけるシートベルト3の状態(駆動開始条件の成立パターン)に応じてモータ7のモータ出力を変える構成によって、シートベルト巻き取り動作に関し洗練された(きめ細かい)合理的な制御が可能とされる。このリトラクタ制御処理Bが、請求項4ないし請求項8に記載の制御態様に相当する。
(リトラクタ制御処理C)
次に、本実施の形態のリトラクタ制御処理Cのフローチャートが図5に示される。
図5に示すリトラクタ制御処理Cでは、ステップS30及びステップS32における処理を、上述のリトラクタ制御処理AでのステップS10及びステップS12における処理と同様の処理によって遂行する。そして、ステップS32において、車両ドア50が開放状態であると判定した場合(ステップS32のYES)にステップS34にすすみ、そうでない場合、すなわち車両ドア50が閉止状態であると判定した場合(ステップS32のNO)にステップS36にすすむ。
ステップS34では、モータ7による高出力モータ制御(モータ出力P4)でのシートベルト巻き取り制御(シートベルト格納制御)を行い、ステップS36では、モータ7による駆動制御を行わない(モータ出力ゼロ)。なお、ステップS36において、スプール5が回転しない程度の出力にモータ7のモータ出力を設定することもできる。
具体的には、シートベルト装着が解除されたとき、車両ドア50が既に開放状態の場合には、その後当該車両ドア50が閉止されるまでの時間的余裕が少なく、従ってシートベルト3を迅速に巻き取るべく、ステップS34にてモータ7のモータ出力をモータ出力P4に高めた制御を行う。このときのモータ出力P4は、予め設定された基準値を上回る範囲で適宜設定可能である。これに対し、シートベルト装着が解除されたとき、車両ドア50が閉止状態の場合には、その後当該車両ドア50が開放されて再び閉止されるまでに比較的多くの時間的余裕があり、ステップS36にてシートベルト巻き取り動作は不要であるとしている。すなわち、ステップS34とステップS36とでは、モータ7のモータ出力が相対的に異なるように制御している。
ステップS34における制御に関しては、シートベルトリトラクタ1の動力伝達機構9を動力伝達モードに設定し、且つモータ7をモータ出力P4にてベルト巻取り方向に回転駆動する。また、ステップS46における制御に関しては、シートベルトリトラクタ1の動力伝達機構9を動力伝達モードに設定し、且つモータ7のモータ出力をゼロにするか、或いはシートベルトリトラクタ1の動力伝達機構9を動力伝達遮断モードに設定する。
上記リトラクタ制御処理Cによれば、シートベルト格納制御において、特にシートベルト3の装着が解除されたときにおける車両ドア50の開閉状態(駆動開始条件の成立パターン)に応じてモータ7のモータ出力を変える構成によって、シートベルト巻き取り動作に関し洗練された(きめ細かい)合理的な制御が可能とされる。このリトラクタ制御処理Cが、請求項3ないし請求項7に記載の制御態様に相当する。
かくして、本実施の形態によれば、モータ7を用いたシートベルト巻き取り動作に関し合理的な制御が可能とされた、シートベルトリトラクタ1、シートベルト装置100及び当該シートベルト装置100を備えたシートベルト装置付車両が提供される。
なお、本発明においては、本実施の形態において説明した上記リトラクタ制御処理A〜Cの各処理のうち、各々を独立して採用することもできるし、或いは上記リトラクタ制御処理A及び上記リトラクタ制御処理Bを組み合わせた第1の構成や、上記リトラクタ制御処理B及び上記リトラクタ制御処理Cを組み合わせた第2の構成を採用することができる。第1の構成においては、ステップS16におけるモータ出力P1と、ステップS24におけるモータP3が合致するように設定することができる。
本実施の形態において、車両乗員Cに対するシートベルト3の装着の状態、及び当該シートベルト3に対応する車両ドア50の開閉の状態により定まる駆動開始条件の成立によって、モータ7をシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、この駆動開始条件の成立パターンに基づいて当該モータ7のモータ出力を可変とする構成を種々採用することができる。すなわち、シートベルト3の巻き取り開始が、シートベルト3の装着の状態(装着或いは装着解除)及び車両ドア50の開閉の状態(開放或いは閉止)の組み合わせに応じて規定されるとともに、この駆動開始条件の成立パターンによってモータ7のモータ出力が変わるように構成されていればよい。この駆動開始条件の成立パターンは、シートベルト3の装着の状態と車両ドア50の開閉の状態との組み合わせや成立の順序などに応じて適宜設定することができ、また成立パターンの数は必要に応じて設定することができる。
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上記実施の形態では、自動車に装着されるシートベルトリトラクタ1の構成について記載したが、本発明のシートベルトリトラクタの構成は、例えば自動車、飛行機、船舶、電車、バス等、車両乗員を乗せて移動する各種の車両に装着されるシートベルト装置の構成に適用され得る。
本発明にかかる「シートベルト装置」の一実施の形態であるシートベルト装置100の構成を示す図である。 図1中のシートベルトリトラクタ1まわりの構成を示す図である。 本実施の形態のリトラクタ制御処理Aのフローチャートである。 本実施の形態のリトラクタ制御処理Bのフローチャートである。 本実施の形態のリトラクタ制御処理Cのフローチャートである。
符号の説明
1 シートベルトリトラクタ
3 シートベルト
5 スプール
7 モータ
9 動力伝達機構
10 ショルダーガイドアンカー
12 タング(トング)
14 アウトアンカー
16 シートベルトバックル
16a バックルスイッチ
20 ECU
30 入力要素
32 車両衝突情報検知センサ
40 車両シート
42 Bピラー
50 車両ドア
52 車両ドア開閉センサ
100 シートベルト装置

Claims (9)

  1. 車両に搭載されるシートベルトリトラクタであって、
    電動モータと、前記電動モータの駆動に伴って乗員拘束用のシートベルトのシートベルト巻き取り動作及びシートベルト巻き出し動作を行うスプールと、前記電動モータの駆動制御を行う制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、車両乗員に対する前記シートベルトの装着の状態、及び当該シートベルトに対応する車両ドアの開閉の状態により定まる駆動開始条件の成立によって、前記電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、この駆動開始条件の成立パターンに基づいて当該電動モータのモータ出力を可変とする構成であることを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  2. 請求項1に記載のシートベルトリトラクタであって、
    前記制御手段は、車両乗員に対する前記シートベルトの装着解除状態にて、前記電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、当該シートベルトに対応する車両ドアの開閉状態に基づいて当該電動モータのモータ出力を可変とする構成であることを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  3. 請求項1または2に記載のシートベルトリトラクタであって、
    前記制御手段は、前記シートベルトの装着が解除されたとき、当該シートベルトに対応する車両ドアが閉止状態である場合には、前記電動モータをシートベルト巻き取り方向へ第1のモータ出力で駆動制御する一方、当該シートベルトに対応する車両ドアが開放状態である場合には、前記電動モータをシートベルト巻き取り方向へ前記第1のモータ出力よりも大きい第2のモータ出力で駆動制御する構成であることを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のシートベルトリトラクタであって、
    前記制御手段は、前記シートベルトに対応する車両ドアが閉止状態から開放状態とされたとき、当該シートベルトの装着が解除されている場合には、前記電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御する一方、当該シートベルトが装着されている場合には、前記電動モータを駆動制御しない構成であることを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  5. 車両に搭載されるシートベルト装置であって、
    車両乗員に対し装着される乗員拘束用のシートベルトと、電動モータと、前記電動モータの駆動に伴って前記シートベルトのシートベルト巻き取り動作及びシートベルト巻き出し動作を行うスプールと、前記電動モータの駆動制御を行う制御手段と、車両に対し固定されたシートベルトバックルと、前記シートベルトに設けられシートベルト装着時に前記シートベルトバックルに係合するタングと、前記タングが前記シートベルトバックルに係合したことを検知する検知センサと、
    を備え、
    前記制御手段は、前記検知センサの検知情報に基づいて車両乗員に対する前記シートベルトの装着の状態を判定し、当該シートベルトの装着の状態、及び当該シートベルトに対応する車両ドアの開閉の状態により定まる駆動開始条件の成立によって、前記電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、この駆動開始条件の成立パターンに基づいて当該電動モータのモータ出力を可変とする構成であることを特徴とするシートベルト装置。
  6. 請求項5に記載のシートベルト装置であって、
    前記制御手段は、前記シートベルトの装着解除状態にて、前記電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御するとともに、当該シートベルトに対応する車両ドアの開閉状態に基づいて当該電動モータのモータ出力を可変とする構成であることを特徴とするシートベルト装置。
  7. 請求項5または6に記載のシートベルト装置であって、
    前記制御手段は、前記検知センサの検知情報に基づいて前記シートベルトの装着が解除されたと判定したとき、当該シートベルトに対応する車両ドアが閉止状態である場合には、前記電動モータをシートベルト巻き取り方向へ第1のモータ出力で駆動制御する一方、当該シートベルトに対応する車両ドアが開放状態である場合には、前記電動モータをシートベルト巻き取り方向へ前記第1のモータ出力よりも大きい第2のモータ出力で駆動制御する構成であることを特徴とするシートベルト装置。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載のシートベルト装置であって、
    前記制御手段は、前記シートベルトに対応する車両ドアが閉止状態から開放状態とされたとき、前記検知センサの検知情報に基づいて、当該シートベルトの装着が解除されている場合には、前記電動モータをシートベルト巻き取り方向へ駆動制御する一方、当該シートベルトが装着されている場合には、前記電動モータを駆動制御しない構成であることを特徴とするシートベルト装置。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載のシートベルト装置が、車両内の収容空間に収容された構成のシートベルト装置付車両。
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