JP4644549B2 - シートベルトリトラクタ、シートベルト装置、シートベルト装置付車両 - Google Patents
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Description
下記特許文献1には、モータ等の駆動によってシートベルト巻き取り及び巻き出しを行うシートベルト装置の構成が開示されている。この特許文献1に記載の技術では、シートベルトリトラクタの構造として、スプールによるシートベルトの巻き取り動作及び巻き出し動作をモータによって行う構成を採用したうえで、当該モータの動作を用いてシートベルトの張力を断続的に変化させ拘束力を可変とすることによって、運転者に対し車両衝突に関する警報を行う可能性が提示されている。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、車両に搭載され、電動モータの駆動に伴って乗員拘束用のシートベルトの巻き取り動作及び巻き出し動作を行うシートベルトリトラクタにおいて、車両乗員に対し注意を促す警報をシートベルトを用いて確実に行うのに有効な技術を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりのシートベルトリトラクタである。
請求項1に記載のこのシートベルトリトラクタは、車両に搭載されるものであって、電動モータ、スプール、制御手段を少なくとも備える。
そこで、本発明では、制御手段は、複数回の動作のうちの初期動作時において、スプールのシートベルト巻取り方向の動作量が相対的に多くなるように電動モータを駆動制御する構成とされる。ここでいう「初期動作」には、複数回の動作のうち初回から数えて1または複数の動作が包含されるものとする。一例として、初回から数えて3回の動作のうち、2回目動作時や3回目動作時のスプール動作量と比較して、「初期動作」としての初回動作時のスプール動作量を多くする構成や、3回目動作時のスプール動作量と比較して、「初期動作」としての初回動作時及び2回目動作時のスプール動作量を多くする構成等を採用することができる。
前記課題を解決する本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりのシートベルトリトラクタである。
請求項2に記載のこのシートベルトリトラクタは、請求項1の構成において、制御手段は、初回動作時において、電動モータのモータ出力及びモータ回転時間の少なくとも一方を相対的に増やす制御によって、スプールのシートベルト巻取り方向の動作量を相対的に多くする構成とされる。本発明には、初回動作時において、モータ出力及びモータ回転時間のいずれかを相対的に増やす制御や、モータ出力及びモータ回転時間の両方を相対的に増やす制御が包含される。電動モータのモータ出力を増やすことでモータ回転速度を高めることができるため、例えば各回の動作時のモータ回転時間を同じとした場合、スプールの動作量を多くすることが可能となる。一方、電動モータのモータ回転時間を増やすことで、例えば各回の動作時のモータ出力を同じとした場合、スプールの動作量を多くすることが可能となる。なお、モータ出力を増やす制御に関しては、初回動作時における電動モータの電流値(「制御電流値」ともいう)や電圧値(「印加電圧値」ともいう)が、それ以降の動作時よりも高くなるように設定する方法を用いることができる。
前記課題を解決する本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりのシートベルト装置である。
請求項3に記載のこのシートベルト装置では、車両に搭載される装置であって、シートベルト、バックル、タング、検知センサ、前記のシートベルトリトラクタを少なくとも備える。
本発明のシートベルトは、シートに着座した車両乗員に装着される長尺状のベルトであり、「ウェビング」とも称呼される。典型的には、車両シートに着座した車両乗員が、車両衝突などの乗員拘束時にシートベルトにより拘束される。本発明のバックルは、車両に対し固定される部材として構成される。本発明のタングは、シートベルトに設けられシートベルト装着時に、本発明のバックルに係合する部材として構成される。本発明の検知センサは、タングがバックルに係合したことを検知する手段として構成される。
すなわち、本発明のシートベルト装置は、シートベルトによって車両乗員を拘束する拘束手段としての機能に加えて、シートベルトを用いて車両乗員に対し注意を促す警報を行う警報手段(警報システム)としての機能を兼ね備えている。また、本発明では、制御手段は、複数回の動作のうちの初期動作時において、スプールのシートベルト巻取り方向の動作量が相対的に多くなるように電動モータを駆動制御する構成とされる。
前記課題を解決する本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりのシートベルト装置である。
請求項4に記載のこのシートベルト装置は、請求項3の構成において、更に制御手段は、初回動作時において、電動モータのモータ出力及びモータ回転時間の少なくとも一方を相対的に増やす制御によって、スプールのシートベルト巻取り方向の動作量を相対的に多くする構成とされる。
従って、請求項4に記載のシートベルト装置のこのような構成によれば、電動モータのモータ出力やモータ回転時間を増やす制御によって、電動モータの複数回の動作のいずれにおいても、注意を促す警報をシートベルトを介して迅速且つ確実に車両乗員に感知させることが可能となる。
前記課題を解決する本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりのシートベルト装置付車両である。
請求項5に記載のこのシートベルト装置付車両は、請求項3または請求項4に記載のシートベルト装置を少なくとも備える。本発明の車両は、当該シートベルト装置が、車両内の収容空間、例えばピラー内の収容空間、シート内の収容空間、あるいは車両内のその他の部位の収容空間に収容された構成とされる。
このような構成によれば、電動モータの複数回の動作のいずれにおいても、注意を促す警報をシートベルトを介して迅速且つ確実に車両乗員に感知させることが可能なシートベルト装置が、車両内の収容空間に収容された構成の車両が提供される。
ここで、図1は、本発明にかかる「シートベルト装置」の一実施の形態であるシートベルト装置100の構成を示す図である。また、図2は、図1中のシートベルトリトラクタ1まわりの構成を示す図である。
なお、このECU20は、シートベルトリトラクタ1に専用の制御手段として設けられてもよいし、或いは当該シートベルトリトラクタ1のみならず、車両の駆動系や電装系を制御する制御手段として兼用とされてもよい。
なお、この動力伝達機構9にかえて、スプールの回転トルク及び回転数を複数段階に可変とするような構成の動力伝達機構を用いることもできる。例えば、スプールの回転トルク及び回転数を2段階に可変とする2段クラッチを用いる場合において、シートベルトを強いベルト張力でスプールに巻き取る動作を行いたいときには、動力伝達機構を、相対的に回転トルクが高く、且つ相対的に回転速度が低い高減速比モードに設定することができる。これに対し、シートベルトをスプールに巻き取る動作を迅速に行いたいときには、当該動力伝達機構を、相対的に回転トルクが高く、且つ相対的に回転速度が低い高減速比モードに設定することができる。
ベルト格納モードは、シートベルト3が使用されずスプール5に完全に巻き取られている状態のベルトモードである。このベルト格納モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ7が駆動されず、かつ動力伝達機構9が動力伝達遮断モードに設定される。したがって、シートベルト3にごく弱いベルト張力が生じているだけであり、また消費電力がゼロである。
ベルト引出しモードは、シートベルト3を装着するためにスプール5から引き出す状態のベルトモードである。同様にこのベルト引出しモードでも、シートベルトリトラクタ1は動力伝達遮断モードに設定される。したがって、シートベルト3を弱い力で引き出すことが可能となっている。このときにも、モータ7が駆動されず、消費電力がゼロである。
フィッティング用ベルト巻取りモードは、シートベルト3を引き出してタング(図1中のタング(トング)12)をバックルに挿入係合してバックルスイッチ(図1中のバックルスイッチ16a)がONした後、シートベルト3を車両乗員にフィットさせるために、余分に引き出されたシートベルト3を巻き取る状態、およびシートベルト3の通常装着状態(このとき、バックルスイッチはON状態となっている)で、車両乗員が動いてシートベルト3が所定量引き出された後、車両乗員が再び正規位置に着座したとき、引き出されたシートベルト3を巻き取る状態のベルトモードである。このフィッティング用ベルト巻取りモードでは、シートベルトリトラクタ1は、動力伝達機構9が動力伝達モードに設定され、且つモータ7がベルト巻取り方向に高回転で回転駆動されるように制御される。従って、シートベルト3は迅速にスプール5に巻き取られ、ごく弱い所定のベルト張力が生じたときモータ7が停止することで、シートベルト3は車両乗員にフィットした状態で装着される。
通常装着モード(コンフォートモード)は、フィッティング用ベルト巻取りモード終了後に設定される、シートベルト3の通常装着状態のベルトモードである。この通常装着モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ7が駆動されず、かつ動力伝達機構9が動力伝達遮断モードに設定される。したがって、シートベルト3にごく弱いベルト張力が生じているだけであるので、車両乗員はシートベルト3が装着されても圧迫感を抱くことはない。また、消費電力がゼロである。
警報モードは、通常装着モードで車両走行中に運転者の居眠りや自車両周辺の障害物を検知して、シートベルト3の巻取りを所定回数繰り返すことで、運転者に警報を発する状態のベルトモードである。この警報モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ7が繰り返し駆動されるように設定される。したがって、シートベルト3に比較的強いベルト張力(後述する緊急モードのベルト張力より弱い)と、ごく弱いベルト張力とが車両乗員に繰り返し加えられるので、運転者は居眠りや自車両周辺の障害物に対して注意を促される。この警報モードの詳細な制御内容については後述する。
緊急モードは、通常装着モードで車両走行中に、或いは上記警報モードに引き続いて、自車両が障害物等に衝突するおそれがきわめて高い場合に設定されるベルトモードである。この緊急モードでは、シートベルトリトラクタ1は、動力伝達機構9が動力伝達モードに設定され、且つモータ7がベルト巻取り方向に高回転、高トルクで回転駆動されように制御される。従って、シートベルト3は迅速にスプール5に巻き取られた後、最終的にシートベルト3にきわめて強い所定のベルト張力が生じたときモータ7が停止することで、このシートベルト3によって車両乗員が確実に拘束される。
格納用ベルト巻取りモードは、シートベルト3の装着を解除するために、タング(図1中のタング(トング)12)をバックルから抜き出し、バックルスイッチ(図1中のバックルスイッチ16a)がOFFとなったとき、シートベルト3を格納状態にするために完全に巻き取る状態のベルトモードである。この格納用ベルト巻取りモードでは、シートベルトリトラクタ1は、動力伝達機構9が動力伝達モードに設定され、且つモータ7がベルト巻取り方向に回転駆動されるように制御されることで、引き出されたシートベルト3をスプール5に迅速に巻き取る。そして、シートベルト3が完全に巻き取られて、ごく弱い所定のベルト張力が生じたときにモータ7が停止することで、シートベルト3は前述のごく弱いベルト張力が生じているベルト格納モードとなる。
図3に示すように、このリトラクタ制御処理では、まずステップS10によって、シートベルト装着状態か否かを判定する。具体的には、図1中のバックルスイッチ16aがバックル16にタング(トング)12が挿入されたことを検知した場合に、シートベルト装着状態であると判定し、バックルスイッチ16aがタング12の挿入解除を検知した場合に、シートベルト装着解除状態であると判定する。
このステップS10においてシートベルト装着状態であると判定した場合(ステップS10のYES)には、ステップS20にすすむ。一方、ステップS10においてシートベルト装着解除状態であると判定した場合(ステップS10のNO)には、そのまま警報制御処理を終了する。
このステップS20において警報条件が成立していると判定した場合(ステップS20のYES)には、ステップS30にすすみ、シートベルト巻取り制御を遂行したのち警報制御処理を終了する。一方、ステップS20において警報条件が成立していないと判定した場合(ステップS20のNO)には、そのまま警報制御処理を終了する。
そこで、本実施の形態では、この警報モードによるシートベルト巻取り制御の複数回の動作のうちの初回動作において、スプール5のシートベルト巻取り方向の動作量が最大となるようにモータ7を駆動制御することとしている。また、本実施の形態では、スプール5のシートベルト巻取り方向の動作量(回転量)を最大するために、モータ7のモータ出力或いはモータ回転時間を相対的に高める制御を行っている。この制御態様が、本発明における「複数回の動作のうちの初期動作時において、スプールのシートベルト巻取り方向の動作量が相対的に多くなるように電動モータを駆動制御する」や、本発明における「初回動作時において、電動モータのモータ出力及びモータ回転時間の少なくとも一方を相対的に増やす」との制御態様に相当する。
ここで、図4中のベルト張力Taは、警報モード時の目標張力であって、車両乗員が警報を確実に感知できる張力として規定される。典型的には、スラック(弛み)がある場合の少なくともモータ出力とベルト張力との関係を、予め実施のテスト或いは解析によって求め、この結果に基づいてモータ出力P1,P2及びベルト張力Taを設定することができる。
ここで、図5中のベルト張力Taは、警報モード時の目標張力であって、車両乗員が警報を確実に感知できる張力として規定される。典型的には、スラック(弛み)がある場合の少なくともモータ回転時間とベルト張力との関係を、予め実施のテスト或いは解析によって求め、この結果に基づいてモータ回転時間Δt1,Δt2及びベルト張力Taを設定することができる。
また、本実施の形態では、図3中の警報制御処理に引き続き、車両衝突情報検知センサ32の検知情報に基づいて、自車両が障害物等に衝突するおそれがきわめて高い場合には、前述の緊急モードに移行し、最終的にシートベルト3にきわめて強い所定のベルト張力が生じたときモータ7が停止することで、このシートベルト3によって車両乗員を確実に拘束する制御を行うことができる。
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
3 シートベルト
5 スプール
7 モータ
9 動力伝達機構
10 ショルダーガイドアンカー
12 タング(トング)
14 アウトアンカー
16 バックル
16a バックルスイッチ
20 ECU
30 入力要素
32 車両衝突情報検知センサ
40 車両シート
42 Bピラー
100 シートベルト装置
Claims (5)
- 車両に搭載されるシートベルトリトラクタであって、
電動モータと、前記電動モータの駆動に伴って乗員拘束用のシートベルトの巻き取り動作及び巻き出し動作を行うスプールと、前記電動モータの駆動制御を行う制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記シートベルトが車両乗員に装着されたシートベルト装着時において、前記シートベルトによって前記車両乗員に対し注意を促す警報モードと、前記警報モードとは別に前記シートベルトによって前記車両乗員を拘束する緊急モードとを含み、前記警報モードでは、前記スプールを介して前記シートベルトに作用する張力を増減させる動作を複数回繰り返すように前記電動モータを駆動制御することで、前記車両乗員に対し注意を促す警報を行う構成であり、しかも当該複数回の動作のうちの初期動作時において、前記スプールのシートベルト巻取り方向の動作量が相対的に多くなるように前記電動モータを駆動制御することを特徴とするシートベルトリトラクタ。 - 請求項1に記載のシートベルトリトラクタであって、
前記制御手段は、初回動作時において、前記電動モータのモータ出力及びモータ回転時間の少なくとも一方を相対的に増やす制御によって、前記スプールのシートベルト巻取り方向の動作量を相対的に多くする構成であることを特徴とするシートベルトリトラクタ。 - 車両に搭載されるシートベルト装置であって、
車両乗員に対し装着される乗員拘束用のシートベルトと、車両に対し固定されたバックルと、前記シートベルトに設けられシートベルト装着時に前記バックルに係合するタングと、前記タングが前記バックルに係合したことを検知する検知センサと、請求項1又は2に記載のシートベルトリトラクタと、
を備え、
前記シートベルトリトラクタの前記制御手段は、前記検知センサの検知情報に基づいて前記シートベルトが車両乗員に装着されたシートベルト装着状態であると判定することを特徴とするシートベルト装置。 - 請求項3に記載のシートベルト装置であって、
前記制御手段は、初回動作時において、前記電動モータのモータ出力及びモータ回転時間の少なくとも一方を相対的に増やす制御によって、前記スプールのシートベルト巻取り方向の動作量を相対的に多くする構成であることを特徴とするシートベルト装置。 - 請求項3または4に記載のシートベルト装置が、車両内の収容空間に収容された構成のシートベルト装置付車両。
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