JP2007002389A - 紙用柔軟剤およびそれを用いた柔軟紙の製造方法 - Google Patents

紙用柔軟剤およびそれを用いた柔軟紙の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】紙の紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性およびサイズ性を付与することが可能な紙用柔軟剤を提供すること。
【解決手段】アミドアミン化合物と尿素との縮合物(A)および重量平均分子量が10万〜300万のアクリルアミド系高分子(B)からなる紙用柔軟剤であって、該縮合物(A)とアクリルアミド系高分子(B)との質量比が60:40〜99:1であり、該縮合物(A)が、アミド化率が異なる2種のアミドアミン化合物と、該アミドアミン化合物のアミノ基1モルに対して、0.1〜1モル当量の尿素とを反応させて得られる、紙用柔軟剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、紙用柔軟剤およびそれを用いた柔軟紙の製造方法に関する。より詳細には、紙の紙力を低減させずに、柔軟性を向上させ、さらに十分なサイズ性を発現させることができる紙用柔軟剤およびそれを用いた柔軟紙の製造方法に関する。
近年の製紙産業においては、印刷物のビジュアル化、カラー化が進み、印刷適正向上の面から柔軟性が良好な印刷用紙が求められている。また、書籍など印刷物のページのめくりやすさの点からも、より柔軟な印刷用紙が求められている。他方、製紙産業では、生産性を高めるために、製紙工程および印刷工程の高速化が図られている。一般に、紙に柔軟性を付与する目的で紙用柔軟剤が用いられている。しかし、柔軟剤の使用により柔軟性が向上した紙は、一方で引張強度等の紙力が低下することも知られており、製紙工程および印刷工程の高速化を図る場合に不利になる場合がある。
さらに、これまでに開発された柔軟剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、尿素、第4級アンモニウム塩等を使用した柔軟剤が知られている。しかしながら、このような柔軟剤は、分子内の親水基の影響により、紙に十分なサイズ性を付与することはできず、その上、柔軟剤とサイズ剤とを併用した場合であっても、十分なサイズ性が得られなくなるといった問題も生じ得る。
上記課題を解決するために、多価アルコールと高級不飽和脂肪酸とのエステル化合物とサイズ剤との混合物を使用し、柔軟性を向上させかつサイズ性を発現させる方法(例えば特許文献1)、アミノアンモニウム塩を使用し、紙力の低下を抑えながら柔軟性を向上させる方法(例えば特許文献2)、アクリルアミド系高分子とサイズ剤を使用し、紙力とサイズ性を向上させる方法(例えば特許文献3)などが報告されている。しかし、いずれも十分な柔軟性、サイズ性、および紙力を有する紙は得られていない。そこで、柔軟性、サイズ性、および紙力に優れた紙(特に印刷用紙)を得ることが可能な紙用柔軟剤が求められている。
特開2004−324024号公報 特開2001−355197号公報 特開2003−238631号公報
本発明の目的は、紙の紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性およびサイズ性を付与することが可能な紙用柔軟剤を提供することにある。本発明の他の目的は、上記紙用柔軟剤を用いて紙を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定のモル比でなる、アミド化率が異なる2種のアミドアミン化合物と尿素とを特定の割合で反応させて得られる縮合物、および重量平均分子量が10万〜300万のアクリルアミド系高分子を特定の割合で組み合わせることによって、上記目的を達成できる紙用柔軟剤が得られることを見出した。さらにこの紙用柔軟剤を用いた紙の製造方法を得るに至った。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
本発明の紙用柔軟剤は、アミドアミン化合物と尿素との縮合物(A)および重量平均分子量が10万〜300万のアクリルアミド系高分子(B)からなる紙用柔軟剤であって、該縮合物(A)と該アクリルアミド系高分子(B)との質量比が60:40〜99:1であり、該縮合物(A)が、アミドアミン化合物(d)とアミドアミン化合物(e)とのモル比が30:70〜90:10でなるアミドアミン化合物と、該アミドアミン化合物のアミノ基1モルに対して、0.1〜1モル当量の尿素とを反応させて得られ、該アミドアミン化合物(d)が、以下の式(1):
NH−(R−NH)−R (1)
(RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(1)と、炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸とを、該ポリアミン化合物(1)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.6〜0.85モル当量となるような割合で反応させて得られ、そして該アミドアミン化合物(e)が、以下の式(2):
NH−(R−NH)−R (2)
(RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(2)と、炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸とを、
該ポリアミン化合物(2)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.2〜0.45モル当量となるような割合で反応させて得られる。
本発明の紙用柔軟剤はまた、アミドアミン化合物と尿素との縮合物(A)、重量平均分子量が10万〜300万のアクリルアミド系高分子(B)、および炭素数が12〜24の飽和または不飽和カルボン酸からなるアルキルケテンダイマー(C)からなる紙用柔軟剤であって、該縮合物(A)と該アクリルアミド系高分子(B)との質量比が60:40〜99:1であり、かつ該縮合物(A)および該アクリルアミド系高分子(B)の合計量と、該アルキルケテンダイマー(C)との質量比が50:50〜99:1であり、該縮合物(A)が、アミドアミン化合物(d)とアミドアミン化合物(e)とのモル比が30:70〜90:10でなるアミドアミン化合物と、該アミドアミン化合物のアミノ基1モルに対して、0.1〜1モル当量の尿素とを反応させて得られ、該アミドアミン化合物(d)が、以下の式(1):
NH−(R−NH)−R (1)
(RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(1)と、炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸とを、該ポリアミン化合物(1)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.6〜0.85モル当量となるような割合で反応させて得られ、そして該アミドアミン化合物(e)が、以下の式(2):
NH−(R−NH)−R (2)
(RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(2)と、炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸とを、該ポリアミン化合物(2)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.2〜0.45モル当量となるような割合で反応させて得られる。
本発明の紙の製造方法は、パルプ100質量部に対して、上記紙用柔軟剤を、上記縮合物(A)と上記アクリルアミド系高分子(B)との合計量が0.03〜8質量部となるように添加する工程を包含する。
本発明の紙用柔軟剤は、紙の紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性およびサイズ性を付与することができる。
本発明の紙用柔軟剤は、アミドアミン化合物と尿素との縮合物(A)(以下、A成分という場合がある)および重量平均分子量が10万〜300万のアクリルアミド系高分子(B)(以下、B成分という場合がある)からなる。あるいはアミドアミン化合物と尿素との縮合物(A)、上記アクリルアミド系高分子(B)、およびアルキルケテンダイマー(C)(以下、C成分という場合がある)からなる。以下、各成分、紙用柔軟剤、およびそれを用いた紙の製造方法について説明する。
(縮合物(A);A成分)
アミドアミン化合物と尿素との縮合物(A)は、アミド化率が異なる2種のアミドアミン化合物と、尿素とを特定の割合で反応させることによって得られる。本発明においては、特に、アミド化率が異なる2種のアミドアミン化合物(d)および(e)を特定のモル比で用いる点が特徴の1つである。
(1)アミドアミン化合物
上記縮合物(A)の原料のアミドアミン化合物としては、上記のように、アミド化率が異なる2種のアミドアミン化合物、すなわち、相対的にアミド化率が高いアミドアミン化合物(d)および該アミドアミン化合物(d)に比べてアミド化率が低いアミドアミン化合物(e)が用いられる。本明細書において、アミド化率とは、アミドアミン化合物の製造に用いられるポリアミン化合物のアミノ基1モルに対するカルボン酸のカルボキシル基のモル当量をいう。したがって、このアミド化率は、例えば、ポリアミン化合物とカルボン酸との割合によって調節することが可能である。以下、まずアミドアミン化合物(d)および(e)についてそれぞれ説明し、次いで、アミドアミン化合物(d)および(e)の割合について説明する。
(1−1)アミドアミン化合物(d)
上記アミドアミン化合物(d)の製造に用いられるポリアミン化合物(1)は、以下の一般式(1):
NH−(R−NH)−R (1)
(RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)で表される。
上記一般式(1)において、RおよびRの炭素数が1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
上記一般式(1)において、Rの炭素数が1〜4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ブチレン基などが挙げられる。
上記アミドアミン化合物(d)の製造に用いられるカルボン酸は、炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸である。上記カルボン酸の炭素数は、好ましくは12〜18である。炭素数が10未満の場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果およびサイズ性向上効果が不十分となる。炭素数が24を超える場合、このようなアミドアミン化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性およびサイズ性を付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱いが困難になる場合がある。上記飽和カルボン酸の含有量が35質量%未満の場合は、得られる紙用柔軟剤のサイズ性向上効果が不十分となる。
炭素数が10〜24のカルボン酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、テトラコサン酸などの飽和カルボン酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。
上記アミドアミン化合物(d)は、上記ポリアミン化合物(1)と上記カルボン酸とを、該ポリアミン化合物(1)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.6〜0.85モル当量、好ましくは0.6〜0.75モル当量となるような割合で反応させて得られる。0.6モル当量未満の場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果およびサイズ性向上効果が不十分となる。0.85モル当量を超える場合は、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が不十分となる。上記アミドアミン化合物(d)を得るための反応は、例えば、反応器中に上記ポリアミン化合物(1)と上記カルボン酸とを仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら昇温し、生成する水を除去しながら数時間保持することによって行われる。
(1−2)アミドアミン化合物(e)
上記アミドアミン化合物(e)の製造に用いられるポリアミン化合物(2)は、以下の一般式(2):
NH−(R−NH)−R (2)
(RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である)で表される。
上記一般式(2)において、RおよびRの炭素数が1〜3のアルキル基については、上記式(1)のRおよびRと同様のアルキル基を用いることができる。Rの炭素数が1〜4のアルキレン基については、上記式(1)のRと同様のアルキレン基を用いることができる。
上記アミドアミン化合物(e)の製造に用いられるカルボン酸は、炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸である。上記カルボン酸の炭素数は、好ましくは12〜18である。炭素数が10未満の場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果およびサイズ性向上効果が不十分となる。炭素数が24を超える場合、このようなアミドアミン化合物を用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性およびサイズ性を付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱いが困難になる場合がある。上記飽和カルボン酸の含有量が35質量%未満の場合は、得られる紙用柔軟剤のサイズ性向上効果が不十分となる。このような炭素数が10〜24のカルボン酸としては、例えば、アミドアミン化合物(d)に用いられるカルボン酸が挙げられる。
上記アミドアミン化合物(e)は、上記ポリアミン化合物(2)と上記カルボン酸とを、該ポリアミン化合物(2)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.2〜0.45モル当量、好ましくは0.25〜0.4モル当量となるような割合で反応させて得られる。0.2モル当量未満の場合、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果およびサイズ性向上効果が不十分となる。0.45モル当量を超える場合は、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が不十分となる。上記アミドアミン化合物(e)を得るための反応は、例えば、上記アミドアミン化合物(d)と同様の方法で行うことができる。
上記アミドアミン化合物は、上記アミドアミン化合物(d)と上記アミドアミン化合物(e)とのモル比が30:70〜90:10、好ましくは35:65〜70:30でなる。上記モル比が30:70〜90:10の範囲を外れると、得られる紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が不十分となる。
(2)尿素
上記縮合物(A)の原料である尿素は、市販品を適宜用いることができる。
(3)縮合反応(縮合物(A)の調製)
上記縮合物(A)は、上記アミドアミン化合物と上記尿素とを、アミドアミン化合物のアミノ基1モルに対して、尿素が0.1〜1モル当量、好ましくは0.3〜0.7モル当量となるような割合で反応させて得られる。尿素が0.1モル当量未満の場合は、得られる紙用柔軟剤のサイズ性向上効果が不十分となり、1モル当量を超える場合は、使用量に見合った柔軟性およびサイズ性の向上効果は得られない。上記縮合物(A)の調製は、通常の縮合反応によって行われる。
上記縮合物(A)は、紙用柔軟剤の分散液の調製を容易にするために、未反応のアミン部分を、無機酸あるいは有機酸と反応させることによって塩にしておくことが好ましい。無機酸としては、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、イタコン酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、クエン酸、ヒドロキシ安息香酸、リンゴ酸、ヒドロキシマロン酸、乳酸、グルコン酸、サリチル酸、ヒドロキシ吉草酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリン、スルファミン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。これらの中では有機酸が好ましく、その中でも蟻酸、酢酸、およびプロピオン酸が特に好ましい。この酸による反応は、紙用柔軟剤を調製する際に行ってもよい。
(アクリルアミド系高分子(B);B成分)
アクリルアミド系高分子(B)は、重量平均分子量が10万〜300万、好ましくは30万〜270万、より好ましくは100万〜200万のアクリルアミド系高分子が用いられる。重量平均分子量が10万未満の場合、得られる紙用柔軟剤のサイズ性付与効果が不十分となる。重量平均分子量が300万を超える場合、得られる紙用柔軟剤は、紙に柔軟性およびサイズ性を付与する効果を有するものの、取り扱いが困難になる。
上記アクリルアミド系高分子としては、例えば、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどが挙げられる。好ましくは、カチオン性ポリアクリルアミドおよび両性ポリアクリルアミドである。
アニオン性ポリアクリルアミドとしては、アクリルアミドとアニオン性モノマー(アクリル酸またはメタクリル酸など)との共重合体、ポリアクリルアミドの部分加水分解物などが挙げられる。
カチオン性ポリアクリルアミドとしては、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、ホフマン分解物、あるいはアクリルアミドとカチオン性モノマー(ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジエチルアンモニウムクロライド、メタアクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタアクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルクロライド、メタアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなど)との共重合体が挙げられる。
両性ポリアクリルアミドとしては、アクリルアミドと上記アニオン性モノマーおよびカチオン性モノマーとの共重合体、アクリルアミドと上記のアニオン性モノマーとの共重合体のマンニッヒ変性物、ホフマン分解物などが挙げられる。
(アルキルケテンダイマー(C);C成分)
アルキルケテンダイマー(C)は、紙に更なるサイズ性(耐水性)を付与するために使用される。アルキルケテンダイマー(C)は、例えば、カルボン酸をリン法あるいはホスゲン法によってカルボン酸の塩化物とし、その後、3級アミンを触媒として脱塩酸することにより得られる。
上記アルキルケテンダイマー(C)の原料となるカルボン酸としては、炭素数が12〜24、好ましくは14〜18の飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸が挙げられる。カルボン酸の炭素数が12未満の場合は、サイズ性のさらなる向上効果が望めない場合があり、24を超える場合は、得られる紙用柔軟剤の取り扱いが困難になる場合がある。
飽和カルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、テトラコサン酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸などが挙げられる。これらのカルボン酸は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(紙用柔軟剤)
本発明の紙用柔軟剤は、上記アミドアミン化合物と尿素との縮合物(A成分)および上記重量平均分子量が10万〜300万のアクリルアミド系高分子(B成分)からなる。あるいはA成分、B成分、およびアルキルケテンダイマー(C成分)からなる。
本発明の紙用柔軟剤において、A成分とB成分との質量比は60:40〜99:1、好ましくは70:30〜85:15である。アクリルアミド系高分子(B)の割合が1質量部未満の場合は、紙力が不十分となる。40質量部を超える場合は得られる紙用柔軟剤の作業性が低下するとともに、紙用柔軟剤の柔軟性向上効果が不十分となる。
本発明の紙用柔軟剤が、A成分、B成分、およびC成分からなる場合、上記A成分および上記B成分の合計量と、上記C成分との質量比は50:50〜99:1、好ましくは70:30〜95:5である。
本発明の紙用柔軟剤は、水などの溶媒に分散した分散液として使用することが好ましい。分散液の調製は、分散剤、保護コロイドなどの添加剤を用いて混合した後、高圧ホモジナイザーなどの乳化機を使用して行われる。
(紙の製造方法)
本発明の紙の製造方法は、紙の製造において、上記紙用柔軟剤を使用することを特徴とする。紙用柔軟剤は、パルプ100質量部に対して、上記縮合物(A)と上記アクリルアミド系高分子(B)との合計量が0.03〜8質量部、好ましくは0.1〜5質量部となるように添加する。上記縮合物(A)とアクリルアミド系高分子(B)との合計量が0.03質量部未満の場合、紙に十分な柔軟性およびサイズ性を付与することができない。上記縮合物(A)とアクリルアミド系高分子(B)との合計量が8質量部を超える場合、使用量に見合った柔軟性およびサイズ性の向上効果が得られず、むしろ紙のコストアップにつながり経済的に不利となる。
上記パルプ(原料パルプ)としては、例えば化学パルプ(針葉樹若しくは広葉樹の晒しまたは未晒しクラフトパルプなど)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプなど)、脱墨パルプ(新聞、雑誌古紙など)などが用いられる。これらは単独で、または混合して用いることができる。
本発明の紙用柔軟剤は、紙の製造における種々の工程において利用され得る。すなわち、抄紙工程のいずれの段階においても抄紙系に添加され得(内部添加法)、さらに抄紙工程により得られたパルプシートの表面に付与することも可能である(外部添加法)。例えば、抄紙工程におけるミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱などの工程でパルプスラリーに添加する内部添加法、あるいは、抄紙により得られたパルプシート表面に塗工するサイズプレス、ゲートロール、スプレーなどの外部添加法が採用される。
特に、内部添加法が好適に採用される。例えば、パルプと水とを含む混合物(例えば、パルプスラリー)に上記紙用柔軟剤を添加し、通常の方法により抄造を行なうことにより紙が得られる。
本発明の紙の製造方法においては、一般に紙の抄造に用いられる長網抄紙機、ツインワイヤー機、ヤンキー機などの抄紙機を使用することができる。
本発明の紙の製造方法によって製造される紙としては、例えば、新聞用紙、印刷用紙、記録用紙、包装用紙、板紙、ライナー、中芯などの段ボール用紙、壁紙、襖紙原紙や裏打ち紙などの紙製品、トイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの衛生紙が挙げられる。特に、印刷用紙が好適である。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。以下、アミドアミン化合物(d)をアミドアミン化合物dといい、アミドアミン化合物(e)をアミドアミン化合物eという。
(合成例1.1:アミドアミン化合物dの合成)
攪拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500mL容量の4つ口フラスコに、表1に示すポリアミン化合物50.4g(0.27モル)およびステアリン酸287.5g(1モル)を仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら180〜190℃まで昇温し、生成する水を系外へ除去しながら3時間反応を行い、全アミン価が59.0のアミドアミン化合物d−1を得た。
(合成例1.2〜1.5)
表1に示すポリアミン化合物およびカルボン酸を表1に記載の割合となるように用いたこと以外は、合成例1.1と同様にして、アミドアミン化合物d−2〜d−5をそれぞれ得た。
(合成例1.6:アミドアミン化合物eの合成)
表1に示すポリアミン化合物100.9g(0.98モル)およびパルミチン酸256.2g(1モル)を用いたこと以外は、合成例1.1と同様にして、全アミン価が321.2のアミドアミン化合物e−1を得た。
(合成例1.7〜1.10)
表1に示すポリアミン化合物およびカルボン酸を表1に記載の割合となるように用いたこと以外は、合成例1.1と同様にして、アミドアミン化合物e−2〜e−5をそれぞれ得た。
(比較合成例1.1〜1.2)
表1に示すポリアミン化合物およびカルボン酸を表1に記載の割合となるように用いたこと以外は、合成例1.1と同様にして、アミドアミン化合物f−1〜f−2をそれぞれ得た。
(比較合成例1.3〜1.4)
表1に示すポリアミン化合物およびカルボン酸を表1に記載の割合となるように用いたこと以外は、合成例1.6と同様にして、アミドアミン化合物f−3〜f−4をそれぞれ得た。
Figure 2007002389
(合成例2.1:縮合物の合成)
攪拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500mL容量の4つ口フラスコに、上記合成例で得られたアミドアミン化合物d−1を237.3g(0.2モル)、およびアミドアミン化合物e−1を69.1g(0.2モル)仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら110〜120℃まで昇温した。この混合アミドアミン化合物のアミン価は190.0であった。次いで、さらに尿素を21.0g(0.35モル)仕込み、窒素雰囲気下、160℃〜170℃にて撹拌し、アンモニアを系外へ除去しながら1時間反応させ、全アミン価が76.0の縮合物A−1を得た。結果を表2に示す。
(合成例2.2〜2.5)
表2に記載のアミドアミン化合物dおよびeならびに尿素を用いたこと以外は、合成例2.1と同様にして、縮合物A−2〜A−5をそれぞれ得た。結果を表2に示す。
(比較合成例2.1〜2.7)
表2に記載のアミドアミン化合物および尿素を用いたこと以外は、合成例2.1と同様にして、縮合物A−6〜A−12をそれぞれ得た。結果を表2に示す。
Figure 2007002389
表2に示すような種々の縮合物が得られた。これらのうちで、比較合成例2.1〜2.7の縮合物は、本発明に用いられる縮合物の条件を満たしていない。すなわち比較合成例2.1〜2.4の縮合物は、アミドアミン化合物dおよびeのいずれかが含有されていない。比較合成例2.5および2.6の縮合物は、アミドアミン化合物dおよびeの割合(モル比)が適切ではない。比較合成例2.7の縮合物は、アミドアミン化合物のアミノ基に対する尿素の割合が少ない。
(実施例1:紙用柔軟剤の分散液の調製およびその評価)
1.紙用柔軟剤の分散液の調製
1Lのビーカーに、イオン交換水439.2g、合成例2.1で得られた縮合物A−1(A成分)56.0g、酢酸4.78g(縮合物のアミン価に対して1.05モル当量に相当)、表3に示すアクリルアミド系高分子(B成分)の7質量%水溶液200.0gをいれ、80℃に昇温した。次いで、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5000rpmにて5分間処理し、さらに加圧乳化機(マントンゴーリン、APV GAULIN,INC.社製)を用いて、40MPaにて2回処理して、紙用柔軟剤の分散液を調製した(分散液G−1とする)。分散液G−1中には、縮合物(A成分)およびアクリルアミド系高分子(B成分)が合計で10質量%含有されている。
2.紙用柔軟剤の評価
上記で得られた分散液G−1を用いて、以下のようにして手すきシートを製造し、得られた手すきシートの柔軟性(曲げ剛度および容量)、サイズ性、および紙力について評価した。
2−1.手すきシートの製造
フリーネスが400mLであるLBKP(広葉樹晒パルプ)を、離解機(熊谷理研株式会社製)を用いて離解し、パルプを1質量%含有するパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー100g(パルプ量1g)を200mL容量のビーカーに入れ、上記紙用柔軟剤の分散液G−1を0.05g(パルプ100質量部に対して縮合物およびアクリルアミド系高分子の合計量が0.5質量部)およびカチオン化デンプン(エースK−100、王子コーンスターチ株式会社製)を水で1質量%に希釈した糊状物1.0g(パルプ100質量部に対してカチオン化デンプンが1.0質量部)を添加し、径4.5cmのタービン羽根により、250rpmにて1分間撹拌した。その後、TAPPIスタンダードシートマシン(安田精機株式会社製)により抄紙し、油圧プレス機(安田精機株式会社製)を用いて、0.35Mpaで5分間プレスした後、ドラム式ドライヤー(安田精機株式会社製)により105℃にて2分間乾燥し、坪量約50g/mの手すきシートを製造した。この手すきシートをさらに温度23℃および湿度50%の恒温恒湿室に17時間保管して調湿した。
2−2.評価
得られた手すきシートの柔軟性(曲げ剛度および容量)、サイズ性、および紙力について以下の方法で評価した。結果を表5に示す。
(1)柔軟性の評価1(曲げ剛度)
純曲げ試験機(KES−FB2、カトーテック株式会社製)を用いて、手すきシートの縦方向および横方向の曲げ剛度を測定してその平均値を求めた。得られた平均値を以下の基準で評価した。
(評価基準)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m/m未満:柔軟性が良好である(○)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m/m以上:柔軟性が不十分である(×)
(2)柔軟性の評価2(容量)
手すきシートの坪量をJIS P8124にしたがって測定した。さらに厚みをJIS式紙圧測定機MEI−10(シチズン時計株式会社製)を用いて測定した。得られる坪量および厚みの測定値を用いて以下の式からシート容量を求め、以下の基準で評価した。
シート容量(cm/g)=厚み(μm)/坪量(g/m
(評価基準)
シート容量が1.60cm/g以上:柔軟性が良好である(○)
シート容量が1.60cm/g未満:柔軟性が不十分である(×)
(3)サイズ性の評価
JIS P8122に準じて、手すきシートのステキヒトサイズ度を測定し、サイズ性を以下のようにして評価した。◎または○であれば実用上問題はない。
(評価基準)
サイズ度が30秒以上 :サイズ性が非常に良好である(◎)
サイズ度が20秒以上30秒未満:サイズ性が良好である(○)
サイズ度が20秒未満 :サイズ性が不十分である(×)
(4)紙力の評価
手すきシートを15×120mmに裁断し、引張り試験機(株式会社今田製作所製)を用いて引張り強度を測定した。得られた引張り強度および坪量の値を用いて以下の式から、裂断長を算出した(試験裂断長とする)。裂断長が4.28km以上の場合は、紙力が良好である(○)とし、4.28km未満の場合は、紙力が不十分である(×)とした。
Figure 2007002389
(実施例2〜4)
表3に記載の縮合物(A成分)、アクリルアミド系高分子(B成分)、アルキルケテンダイマー(C成分)、および酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、分散液G−2〜G−4を得た。分散液G−2〜G−4を表3の添加量となるように用いたこと以外は、実施例1と同様に手すきシートを製造し、評価した。結果を表5に併せて示す。
(実施例5)
1Lのビーカーに、イオン交換水482.0g、合成例2.3で得られた縮合物A−3(A成分)50.6g、ステアリン酸とパルミチン酸との質量比が65:35である混合脂肪酸を原料脂肪酸とするアルキルケテンダイマー(C成分)10.5g、予め過硫酸ナトリウムで処理した10質量%カチオン化デンプン(HI−CAT260、Roquette Italia S.P.A社製)水溶液26.3g、酢酸3.02g(縮合物のアミン価に対して1.05モル当量に相当)、および表3に示すアクリルアミド系高分子(B成分)の7質量%水溶液127.6gをいれ、80℃に昇温した。次いで、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5000rpmにて5分間処理し、さらに加圧乳化機(マントンゴーリン、APV GAULIN,INC.社製)を用いて、40MPaにて2回処理して、紙用柔軟剤の分散液を調製した(分散液G−5とする)。この分散液G−5中には、縮合物およびアクリルアミド系高分子が合計で8.5質量%、およびアルキルケテンダイマーが1.5質量%含有されている。分散液G−5を用いて、実施例1と同様にして手すきシートを製造し、評価した。結果を表5に示す。
(実施例6〜8)
表3に記載の縮合物(A成分)、アクリルアミド系高分子(B成分)、アルキルケテンダイマー(C成分)、および酸を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、分散液G−6〜G−8を得た。各分散液を用いて実施例1と同様に手すきシートを製造し、評価した。結果を表5に併せて示す。
(比較例1)
1Lのビーカーに、イオン交換水455.0g、ステアリン酸とパルミチン酸との質量比が65:35である混合脂肪酸を原料脂肪酸とするアルキルケテンダイマー70.0g、および予め過硫酸ナトリウムで処理した10質量%カチオン化デンプン(HI−CAT260、Roquette Italia S.P.A社製)水溶液175.0gをいれ、80℃に昇温した。次いで、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5000rpmにて5分間処理し、さらに加圧乳化機(マントンゴーリン、APV GAULIN,INC.社製)を用いて、40MPaにて2回処理して、紙用柔軟剤の分散液を調製した(分散液G−9とする)。この分散液G−9中には、アルキルケテンダイマーが約10質量%含有されている。分散液G−9を用いて、実施例1と同様にして手すきシートを製造し、評価した。結果を表5に示す。
(比較例2〜5)
表4に記載の縮合物、アクリルアミド系高分子、および酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、分散液G−10〜G−13を調製した。分散液G−10〜G−13を表4の添加量になるように用いた以外は、実施例1と同様に手すきシートを製造し、評価した。結果を表5に併せて示す。
(比較例6〜11)
表4に記載の縮合物、アクリルアミド系高分子、アルキルケテンダイマー、および酸を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、分散液G−14〜G−19を調製した。分散液G−14〜G−19を表4の添加量になるように用いた以外は、実施例1と同様に手すきシートを製造し、評価した。結果を表5に示す。
Figure 2007002389
Figure 2007002389
Figure 2007002389
表5の結果から、実施例の紙用柔軟剤分散液G−1〜G−8を用いた場合は、優れた柔軟性、サイズ性および紙力を有する紙(手すきシート)が得られることがわかる。
これに対して、比較例の紙用柔軟剤分散液G−9〜G−19を使用して得られた紙は、柔軟性、サイズ性および紙力のいずれかの点で不十分であった。すなわち、比較例1の分散液G−9は、縮合物およびアクリアミド系高分子を含有していないため、紙の柔軟性が不十分であった。比較例2の分散液G−10は、縮合物A−6において、アミドアミン化合物dの代わりに、カルボン酸の炭素数が小さいアミドアミン化合物f−1を用いているため、得られる紙の柔軟性およびサイズ性が不十分であった。比較例3の分散液G−11は、縮合物A−7において、アミドアミン化合物dの代わりに、カルボン酸とポリアミン化合物とのモル比が適切でないアミドアミン化合物f−2を用いているため、得られる紙の柔軟性が不十分であった。比較例4の分散液G−12は、縮合物A−10において、アミドアミン化合物dとアミドアミン化合物eとの割合(モル比)が適切でないため、得られる紙の柔軟性が不十分であった。比較例5の分散液G−13は、縮合物A−12において、アミドアミン化合物のアミノ基に対する尿素の割合が少ないため、得られる紙のサイズ性が不十分であった。比較例6の分散液G−14は、縮合物A−8において、アミドアミン化合物eの代わりに、飽和カルボン酸を含有しないアミドアミン化合物f−3を用いているため、得られる紙のサイズ性が不十分であった。比較例7の分散液G−15は、縮合物A−9において、アミドアミン化合物eの代わりに、カルボン酸とポリアミン化合物とのモル比が適切でないアミドアミン化合物f−4を用いているため、得られる紙の柔軟性およびサイズ性が不十分であった。比較例8の分散液G−16は、縮合物A−11において、アミドアミン化合物dとアミドアミン化合物eとの割合(モル比)が適切でないため、得られる紙の柔軟性が不十分であった。比較例9の分散液G−17は、アクリルアミド系高分子を用いていないので紙力が不十分であった。比較例10の分散液G−18は、重量平均分子量が高いアクリルアミド系高分子を用いているため、得られる紙の柔軟性が不十分であった。比較例11の分散液G−19は、縮合物とアクリルアミド系高分子の質量比が適切でないため、得られる紙の柔軟性が不十分であった。
本発明によれば、紙の紙力を低減させずに、紙に優れた柔軟性およびサイズ性を付与することが可能な紙用柔軟剤が提供される。この紙用柔軟剤を用いると、十分な紙力で、優れた柔軟性およびサイズ性を有する紙、特に印刷用紙を得ることができる。得られた紙は、製本用紙、新聞用紙、印刷・情報用紙、ダンボール原紙、板紙などの各種分野の紙として広く利用される。

Claims (3)

  1. アミドアミン化合物と尿素との縮合物(A)および重量平均分子量が10万〜300万のアクリルアミド系高分子(B)からなる紙用柔軟剤であって、
    該縮合物(A)と該アクリルアミド系高分子(B)との質量比が60:40〜99:1であり、
    該縮合物(A)が、アミドアミン化合物(d)とアミドアミン化合物(e)とのモル比が30:70〜90:10でなるアミドアミン化合物と、該アミドアミン化合物のアミノ基1モルに対して、0.1〜1モル当量の尿素とを反応させて得られ、
    該アミドアミン化合物(d)が、以下の式(1):
    NH−(R−NH)−R (1)
    (RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(1)と、
    炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸とを、
    該ポリアミン化合物(1)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.6〜0.85モル当量となるような割合で反応させて得られ、そして
    該アミドアミン化合物(e)が、以下の式(2):
    NH−(R−NH)−R (2)
    (RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(2)と、
    炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸とを、
    該ポリアミン化合物(2)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.2〜0.45モル当量となるような割合で反応させて得られる、
    紙用柔軟剤。
  2. アミドアミン化合物と尿素との縮合物(A)、重量平均分子量が10万〜300万のアクリルアミド系高分子(B)、および炭素数が12〜24の飽和または不飽和カルボン酸からなるアルキルケテンダイマー(C)からなる紙用柔軟剤であって、
    該縮合物(A)と該アクリルアミド系高分子(B)との質量比が60:40〜99:1であり、かつ該縮合物(A)および該アクリルアミド系高分子(B)の合計量と、該アルキルケテンダイマー(C)との質量比が50:50〜99:1であり、
    該縮合物(A)が、アミドアミン化合物(d)とアミドアミン化合物(e)とのモル比が30:70〜90:10でなるアミドアミン化合物と、該アミドアミン化合物のアミノ基1モルに対して、0.1〜1モル当量の尿素とを反応させて得られ、
    該アミドアミン化合物(d)が、以下の式(1):
    NH−(R−NH)−R (1)
    (RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてmは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(1)と、
    炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸とを、
    該ポリアミン化合物(1)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.6〜0.85モル当量となるような割合で反応させて得られ、そして
    該アミドアミン化合物(e)が、以下の式(2):
    NH−(R−NH)−R (2)
    (RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(2)と、
    炭素数が10〜24の飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸とを、
    該ポリアミン化合物(2)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.2〜0.45モル当量となるような割合で反応させて得られる、
    紙用柔軟剤。
  3. パルプ100質量部に対して、請求項1または2に記載の紙用柔軟剤を、前記縮合物(A)と前記アクリルアミド系高分子(B)との合計量が0.03〜8質量部となるように添加する工程を包含する、紙の製造方法。
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