JP2006509823A - エチレン性不飽和化合物のアルコールへの変換のためのヒドロホルミル化方法 - Google Patents

エチレン性不飽和化合物のアルコールへの変換のためのヒドロホルミル化方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、高めた温度で反応器中において溶媒に溶解したエチレン性不飽和化合物、一酸化炭素、水素、およびホスフィン含有コバルトヒドロホルミル化触媒を反応させる第1のステップと、引き続き触媒および溶媒を含む溶液からアルコールおよび高沸分を含む混合物を分離する第2のステップと、引き続きその溶液を反応器にリサイクルする第3のステップを含むエチレン性不飽和化合物をアルコールに変換するヒドロホルミル化方法に関する。

Description

本発明は、触媒の存在下にエチレン性不飽和化合物を一酸化炭素および水素と反応させることによるヒドロホルミル化の方法に関する。
エチレン性不飽和化合物のヒドロホルミル化によるアルコールの形成は、工業的にかなり重要である。この方法は、数十年にわたり商業的運転が行われており、その間、反応条件、触媒システム、装置を最適化するために多くの開発研究が行われてきた。収率や所望の反応生成物への選択率を高めるという点において著しい進歩がなされたとはいうものの、いくつかの態様においてはこの方法の更なる改良がまだ必要である。
従来の運転法は、米国特許第3,418,351号に開示されているようにリサイクル溶液パージ流を使用してコバルトカルボニルヒドロカルビルtert−ホスフィン錯体を回収することに基づいている。その方法によれば、反応器の内容物をストリッパーに通し、そこで水素、一酸化炭素、エチレン性不飽和化合物をリサイクルコンプレッサーに導き、反応器に戻す。アルコール生成物はストリッパーの塔頂から抜き出し、ストリッパーの塔底は触媒錯体と高沸分として知られている高沸点副生物の溶液である。塔底溶液は反応器にリサイクルするが、高沸分の蓄積を防ぐために、この流れの少なくとも一部を高沸分から触媒錯体を分離する抜き出しプロセスに供する。残念ながら、この抜き出し手順によってかなりの量の活性触媒の損失が発生するが、これを高沸分から完全に分離することは容易ではない。触媒はこの方法において最も高価な構成成分なのでそういった活性触媒錯体の損失を防ぐ方法の必要性が存在する。
従って、本発明の目的は、リサイクルプロセス中の触媒の多大な損失をもたらさず、可能な限り高沸分の生成を防ぐ方法を提供することである。
従って、本発明は、反応器中において高めた温度でエチレン性不飽和化合物、一酸化炭素、水素、およびホスフィン含有コバルトヒドロホルミル化触媒を溶媒に溶かして反応させる第1のステップと、引き続きアルコールと高沸分を含む混合物を触媒と溶媒を含む溶液から分離する第2のステップと、引き続きその溶液を反応器にリサイクルする第3のステップを含むエチレン性不飽和化合物をアルコールに変換するヒドロホルミル化方法に関する。本発明による好ましい方法においては、ホスフィンは非イオン性極性部分に付いており、溶媒は、反応温度よりも低い温度でその触媒を溶解して前記アルコールと2相液体系を形成するように選択される。
本発明によれば、溶媒は反応温度において、エチレン性不飽和化合物、溶解した一酸化炭素、溶解した水素、ホスフィン含有コバルトヒドロホルミル化触媒、および反応中に形成されるアルコール生成物も含めてヒドロホルミル化反応の反応成分すべてと均一な単一液体相を形成するように使用される。しかし、反応混合物は、反応温度よりも低い温度、例えば室温または好ましくはそれより高い温度に冷却した後では、溶媒と触媒とを含む1相およびヒドロホルミル化反応中に形成されたアルコール生成物と高沸分とを含む他相の2相液体系を形成する。適当な溶媒は、室温で前記アルコールと2相系が形成され、反応温度に加熱するとこの系が1相系に移行するかどうかの簡単な試験管評価を実施することにより、容易に見いだすことができる。適当な溶媒はアミド、イミド、スルホン、ピロリジンおよびイミダゾールを含む溶媒、含窒素芳香族溶媒、ならびにそれらの混合物から選択することができる。最も好ましいのはスルホランおよびスルホランを含む混合物である。
出発物質として用いられるエチレン性不飽和化合物としては、1分子当たり2〜100個の炭素原子を有するオレフィン、あるいはその混合物が好ましい。それは1分子当たり1つまたは複数の二重結合を含むことができる。好ましいのは5〜60個の炭素原子を有する内部オレフィンであり、さらに好ましいのは6〜30個の炭素原子を有する内部オレフィンまたはその混合物である。そのようなオレフィン混合物は商業的に容易に入手可能であり、例えばエチレンのオリゴマー化と、それに続く二重結合の異性化および不均化反応のプロセスによる生成物として得られるオレフィン混合物がある。本発明の方法においては、これら内部オレフィンは、通常1分子当たり炭素原子2〜100個の線状内部オレフィン、あるいはそういった混合物に近い沸点留分との混合物であり、高い速度およびほぼ完全な変換率でヒドロホルミル化できる。C〜Cの線状内部オレフィン混合物やC10〜C14の線状内部オレフィン混合物が例示される。
例えば、不飽和カルボン酸、そのエステル、カルボン酸の不飽和エステル、例えば酢酸アリル、あるいは対応するニトリル、アミド、またはそれらのハロゲン化物等の置換オレフィンも使用可能である。
所望であれば、プロピレン三量体またはブテン異性体の二量体(DIMERSOL(商標)など)のような分岐オレフィンも使用可能であるが、当然、ヒドロホルミル化生成物も同様に分岐構造を含む。
オレフィン性不飽和ポリマー原料である、「Shubeの混合物」(C16オレフィンのオリゴマー混合物)などのアタクチックポリオレフィンも興味あるアルコール(合成潤滑油、機能性添加剤などの中間体として)に変換することができる。
さらに、1−オクテンおよびプロピレンなどのα−オレフィンやノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどのジオレフィンも使用することができる。ジオレフィンはもちろん(主として)ジヒドロホルミル化生成物を産生するが、モノヒドロホルミル化生成物も形成する可能性がある。
一酸化炭素と水素は等モル比または非等モル比、例えば5:1〜1:5、典型的には3:1〜1:3の範囲の比率で供給することができる。2:1〜1:2の範囲内で供給するのが好ましい。
このヒドロホルミル化反応は穏和な反応条件で好適に行うことができる。「高めた温度」という用語は、本明細書で使用する場合は室温よりも高い何らかの温度を意味する。50〜200℃の範囲の温度が推奨され、好ましい温度は70〜160℃の範囲である。反応圧力は5〜100barの範囲が好ましい。低すぎたり高すぎる圧力を選択するのは特に好ましいとは考えられない。さらに高い圧力の場合特別の装置を用意する必要がある。
この方法は、式Co−Lを有するホスフィン含有コバルトヒドロホルミル化触媒の存在下に行うのが好ましい。式中LはR−P−A−Bを表す配位子であり、RおよびRが独立にC〜C12炭素原子を有するヒドロカルビル基あるいはリン原子Pと一緒になって置換していてもよいC〜C20の炭素原子を有する環式ヒドロカルビル部分を形成する。またA−Bは、nが1〜12の式C2n、nが6〜12の環式C2n−2、あるいは1つまたは複数の炭素原子がN、O、および/またはC=Oで置き換えられていてもよい芳香族Cn−2である非極性スペーサーAおよび極性部分Bを含む非イオン性極性部分を有する基である。
で表される有機橋架け基においては、すべての橋架け基が炭素原子であるのが好ましい。RおよびRはリン原子Pと一緒になって環式ヒドロカルビル部分を形成するのが好ましい。RとRとが一緒になって表される(場合によっては置換した)2価の環式基は、一般に少なくとも5個の環原子、好ましくは6〜9個の環原子を含む。環式基は8個の環原子を含むのがさらに好ましい。置換基を持つとすれば通常1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。原則としてはすべての環原子は炭素原子であるが、1個または2個のヘテロ原子、例えば酸素または窒素原子を環中に含む二価の環式基も排除されない。適切な2価の環式基には1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘプチレン、1,3−シクロヘプチレン、1,2−シクロオクチレン、1,3−シクロオクチレン、1,4−シクロオクチレン、1,5−シクロオクチレン、2−メチル−1,5−シクロオクチレン、2,6−ジメチル−1,4−シクロオクチレン、2,6−ジメチル−1,5−シクロオクチレン基やリモネニレンがある。RとRはまた独立にエチル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル基等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル、トリル基などのアリール基でもよく、またRとRはヘキサメチレン基などの2価の基であってもよい。
好ましい2価の環式基は1,4−シクロオクチレン、1,5−シクロオクチレン、そのメチル(ジ)置換誘導体から選ばれる。
異なる2価の環式基を含む配位子混合物、例えば1,4−シクロオクチレンを有する配位子と1,5−シクロオクチレン基を有する配位子との混合物も同様に有用である。
A−Bは、非極性スペーサーAを含む非イオン性極性部分を有する基である。Aの性質は触媒活性には本質的ではなくアルキレン、シクロアルキレン、あるいはアリールスペーサーのいずれでもよい。スペーサーは置換していてもよくまたヘテロ原子、カルボニル基等を含んでいてもよい。好ましいスペーサーはnが1〜12のC2nまたはnが6〜12の環式C2n−2、あるいは、1個または複数の炭素原子がN、O、および/またはC=Oで置き換えられていてもよい芳香族Cn−2である。
Bは極性非イオン性基であれば何でもよい。Bはアミド基またはイミド基、好ましくはフタルイミド基を含むのが好ましい。最も好ましいのは以下の構造を有する配位子である。
Figure 2006509823
式中nは1〜3である。この配位子は保護を求める新規な化合物である。
これらの配位子は、当業者によく知られている方法で調製することができる。例えば、AおよびBが上記の意味を有し、Halが臭素またはヨウ素を表す有機臭化物またはヨウ化物B−A−Halを、RおよびRが上記の意味を有するホスフィンH−PRと反応させて、R−P−A−Bとすることができる。
非限定的な例として次のn=1、2または3のフタルイミド配位子を調製した。
Figure 2006509823
得られたHBr塩(HalがBrの場合)をアセトンで洗浄し、水にとかした塩基で中和し、トルエンで抽出した。生成物の全収率は約50%であった。
同様に、ピロリジンおよびベンズアミド誘導体を、例えば以下のようにそれぞれピロリジンアルコールおよびベンズアミド誘導体から合成した。
Figure 2006509823
触媒系の使用量は、クリティカルなものではなく広い限度内で変えることができる。通常エチレン性不飽和化合物1モル当たりコバルト族金属原子10−8から10−1モルの範囲、好ましくは10−7〜10−2モルの範囲で用いられる。またコバルト族金属原子1モル当たり0.5〜6、好ましくは1〜3モルの二座配位子を使用するように選択するのが好都合である。
本発明の方法において使用する溶媒の量はかなり変えてもよい。それぞれのケースにおいて、触媒を溶解して、2相液体反応媒体を形成するのに必要な溶媒の最適量を確立するのは当業者のできる範囲のことである。以下に提供する実験結果でも、好ましく用いられる溶媒量が示される。
本発明の方法は、上で定義したコバルトベースの触媒系を用いれば、内部オレフィンから高収率でアルコールを調製するのに使用するのに極めて優れている。
本発明を以下に実施例によって説明するがそれらは本発明を限定するものではない。
(実施例)
ハステロイC製250mlオートクレーブ中において、C11/C12のSHOP(Shell高級オレフィンプロセス)アルケン20ml、スルホラン10mlおよびEHA25mlの溶液に、ジコバルトオクタカルボニル(Co(CO))0.5ミリモルおよび配位子L(表参照)1.5ミリモルのEHA溶液5mLを加えた。オートクレーブを閉じ、50バールの窒素で2回フラッシュし、ついで20バールのCOおよび40バールのHを加えた。このオートクレーブを160℃に加熱しその温度に7時間保った。オートクレーブを室温まで冷却し圧力を下げた。生成物をGC法によって分析し、Varian Techtronの水銀中空陰極ランプを備えたPerkin Elmer 3100の原子吸光スペクトル(AAS)を用い、252.1nmで操作し、アセチレン/酸素炎を用いて、スルホラン層およびアルコール/高沸生成物層の両方について、コバルトを分析した。サンプルをメタノールで希釈し、検量線を用いて定量分析を行った。
以下の結果が得られた。
Figure 2006509823
配位子1=シクロ−オクチル=P−CH−CH−2−ピロリドン
配位子2=シクロ−オクチル=P−CH−CH−N−フタルイミド
配位子3=シクロ−オクチル=P−CH−CH−N−ベンズアミド
配位子4=シクロ−オクチル=P−C2042(従来技術による配位子)
従って、本発明の配位子を同様のアルコール製造および高沸副生物生成に使用した場合、従来技術の配位子と比較して実質的により多くの量の触媒が生成物層よりも溶媒層に残ると結論できる。
合成実施例
一般
空気に敏感な化合物または中間体による反応はすべて、シュレンク法を用い窒素雰囲気中において行った。出発物質はすべて、市場で入手可能であり、特に記載のない限り乾燥せずに使用した。出発物質である9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナンおよび9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン(SH/AH5)はCytec社から2:1(SH/AH5)の異性体混合物のトルエン溶液(1)として購入した。
1−(9−ホスファシクロノニル)−3−N−ピリミジルプロパン(2)(配位子2)の合成
N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド13.4g(50ミリモル)、15mlの(1)(60ミリモル)、脱気したアセトニトリル150mlの混合物は、白色の懸濁液となり、これを還流しながら12時間加熱した。加熱している間に懸濁液は澄明になり、(2)のHBr塩の沈殿物がゆっくりと形成された。この懸濁液をガラスフリットで濾過し、過剰の(1)を除去するためにアセトン(PA)で3度洗浄した。この塩を三角フラスコに移し、約100mlの純水に溶解し、その後、HBr塩をフェノールフタレインを指示薬としてNHOHで中和した。この白色沈殿物をトルエン30mlで2回抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空で濃縮した。生成物をトルエン/メタノールから結晶化し、その白色固体(9.3g、56%収率)は純粋な(2)であると同定された。
1−(2−クロロエチル)−2−ピロリジノン(3)(配位子1)の合成
塩化チオニル15ml(201ミリモル)を10℃に保ちながら攪拌し、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン20ml(177ミリモル)を2時間かけて加えた。非常に粘凋な白色の懸濁液が形成され、それを25℃に加熱した。この混合物を25℃で2時間攪拌し、その後65℃に加熱して真空(125mbar)下で攪拌して、形成されたSOおよび未反応の塩化チオニルを除去した。加熱している間に懸濁液は褐色に変わった。懸濁液を1M NaOH/HOで中和し、(3)をエーテル30mlで3回抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空で濃縮した。白色の粉末(21.2g、81%収率)が生成し、H−NMRで純粋な(3)(9.3g、56%収率)と同定された。
1−(2−ヨードエチル)−2−ピロリジノン(4)の合成
NaI15g(100ミリモル)のアセトン(PA)約100mlへの飽和溶液を調製し、13.9gの(3)(94ミリモル)に加えた。得られた溶液をよく攪拌し、還流しながら30分加熱した。NaCl沈殿物が形成され、それを濾過した。この濾液を真空で蒸発し、その工程の間に黄色い粉末が昇華した。このため乾燥は不完全であり、そのため正確な収率は決定できなかった。H−NMR分析によれば、純度90%超の(4)が形成された。
1−(9−ホスファシクロノニル)−2−N−ピロリドンエタン(5)の合成
よく攪拌した(4)(約10mlのアセトン中に約90ミリモル)、30mlの(1)(120ミリモル)および150mlの脱気したアセトニトリルの混合物は、白色の懸濁液を形成し、これを還流しながら12時間加熱した。加熱中に、懸濁液は澄明に変化し、(5)のHl塩の沈殿がゆっくりと形成された。この懸濁液をガラスフリットで濾過し、アセトン(PA)で3回洗浄して過剰の(1)を除去した。濾過後に多量の塩が沈殿するので、この手順を繰り返した。この塩のサンプルをH−および31P−NMRで分析し、(5)のHl塩であると同定した。この塩をよく攪拌した三角フラスコに移し、約100mlの純水に溶解し、その後Hl塩をフェノールフタレインを指示薬として用いてNHOHで中和した。白色の沈殿物を30mlのトルエンで2回抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し真空で濃縮した。この生成物をトルエン/メタノールから結晶化し、H−および31P−NMR分析により、白色の固体(9.2g、40%収率)は95%純度の(5)(5%は酸化物)と同定した。
N−(2−ヨードエチル)ベンズアミド(6)の合成
NaI15g(100ミリモル)のアセトン(PA)約100mlへの飽和溶液を調製し、N−(2−クロロエチル)−ベンズアミド18.2g(100ミリモル)に加えた。得られたよく攪拌した溶液はまず青に変わるが、1分以内に明るい黄色に変わった。還流しながら一晩加熱した。H−NMR分析を実施し、(6)への変換率は80%超であることがわかった。NaClの沈殿が形成され、それを濾過した。濾液を真空で蒸発し、プロセス中に黄色い粉末が昇華した。このため乾燥が不完全となり、正確な収率が決定できなかった。H−NMR分析により純度90%超の(6)が形成されたことがわかった。
N−(2−(9−ホスファシクロノニル)−エチル)−ベンズアミド(7)の合成
よく攪拌した(6)(30mlのアセトン中約75ミリモル)、(1)30ml(120ミリモル)および脱気したアセトニトリル100mlの混合物は、白色の懸濁液を形成するが、これを還流しながら16時間加熱した。N気流で溶媒をすべて蒸発し、非常に粘凋な黄褐色混合物を得た。取り扱い性を改善するために、混合物を20mlのn−ヘキサンで希釈し、ついで熱水80mlで3回抽出した。抽出物の13C−および31P−NMR分析により、(7)のHl塩の存在が示された。合わせた水層を20mlのn−ヘキサンで洗浄し、その塩をフェノールフタレインを指示薬として使用してNHOHで中和した。得られた非常に粘凋な白色の滴をエーテルとトルエンの混合物で2回抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空で濃縮した。得られた非常に粘凋で濁った白色の液体をH−、13C−および31P−NMRで分析し、その後酸化されていない(7)とトルエンの1:1(モル/モル)混合物の形成が明らかになった。補正後、18.4ミリモル(24.5%)の収量と計算された。
N−(3−クロロプロピル)−2−ピロリドン(8)の合成
塩化チオニル8.5ml(115ミリモル)を10℃に保ちながら攪拌し、N−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドン10ml(70ミリモル)を1.5時間かけて添加した。非常に粘凋な白色の懸濁液が形成され、それを25℃に加熱した。この混合物を25℃で20分間攪拌し、その後65℃まで加熱し、形成されたSOおよび未反応の塩化チオニルを除去した。この懸濁液を1M NaOH/HOで中和し、(8)をエーテル30mlで3回抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し真空で濃縮した。白色の粉末が生成し(7.4g、65%収率)、これはH−NMRで純粋な(8)と同定された。
N−(3−ヨードプロピル)−2−ピロリドン(9)の合成
NaI7.5g(50ミリモル)の約50mlのアセトン飽和溶液(PA)を調製し、7.4gの(8)(45ミリモル)に加えた。生成した懸濁液をよく攪拌しながら還流下に加熱し、1時間後にH−NMR分析によって、少ししか(9)に変換していないことが分かったので、還流しながら週末の間加熱した。H−NMR分析を行い、80%超の(6)への変換が示された。NaClの沈殿が形成され、これを濾過した。濾液を真空で蒸発し、白色の粉末(10g、87%)が得られた。
1−(9−ホスファシクロノニル)−3−N−ピロリドンプロパン(10)の合成
10gの(9)(40ミリモル)、15mlの(1)(60ミリモル)および脱気したアセトニトリル150mlのよく攪拌した混合物は、白色の懸濁液を形成するが、これを還流しながら16時間加熱した。沈殿物は検出されなかったが、CDClおよびDO中での31P−NMR分析によって、(10)の塩が溶液中に存在することが分かった(+12ppmにおけるシグナル)。従って、溶媒はすべてN気流で蒸発させ、非常に粘凋な褐色懸濁液が得られた。取り扱い性を改善するために、この混合物をn−ヘキサン20mlで希釈し、ついで熱水60mlで3回抽出した。合わせた水層をn−ヘキサン20mlで洗浄し、塩をフェノールフタレインを指示薬として使用してNHOHで中和し、エーテルで3回抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空で濃縮し、澄明な黄色液体(5.1g、48%)が残った。13C−および31P−NMRにより純粋な(10)が形成されていることが分かった。

Claims (9)

  1. 反応器中において高めた温度でエチレン性不飽和化合物、一酸化炭素、水素およびホスフィン含有コバルトヒドロホルミル化触媒を溶媒に溶かして反応させる第1のステップと、引き続きアルコールと高沸分を含む混合物を前記触媒と前記溶媒を含む溶液から分離する第2のステップと、引き続き前記溶液を前記反応器にリサイクルする第3のステップとを含む、エチレン性不飽和化合物をアルコールに変換するヒドロホルミル化方法。
  2. 前記ホスフィン含有コバルトヒドロホルミル化触媒のホスフィンが非イオン性極性部分に結合しており、前記溶媒が前記高めた反応温度未満の温度において前記触媒を溶解してアルコールと2相液体系を形成することができるものである請求項1記載の方法。
  3. 前記ホスフィン含有コバルトヒドロホルミル化触媒がCo−Lの式を有し、LがR−P−A−Bを意味する配位子であり、RおよびRが独立にC−C12炭素原子を有するヒドロカルビル基であるいは、リン原子Pと一緒になってC−C20炭素原子を有する置換していてもよい環状ヒドロカルビル部分を形成し、A−Bはnが1〜12の式C2n、nが6〜12の環状C2n−2あるいは1つまたは複数の炭素原子がN、O、および/またはC=Oで置換していてもよい芳香族Cn−2の非極性スペーサーAと極性部分Bとを含む非イオン性極性部分を有する基である請求項1または2に記載の方法。
  4. とRがリン原子Pと一緒になって環状ヒドロカルビル部分を形成し、Bがアミドまたはイミド基好ましくはフタルイミド基を含む請求項3に記載の方法。
  5. 前記ホスフィン含有コバルトヒドロホルミル化触媒が次の構造の配位子を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
    Figure 2006509823
    (式中、nは1〜3である)
  6. 前記第1のステップが50〜200℃の温度、5〜100バールの圧力で実施される請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記溶媒がアミド、イミド、スルホン、ピロリジン、イミダゾール、含窒素芳香族溶媒およびその混合物から選択される請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記溶媒がスルホランまたはスルホラン含有混合物である請求項7に記載の方法。
  9. 次の構造の配位子を有する環状ホスフィニル基含有コバルトヒドロホルミル化触媒。
    Figure 2006509823
    (式中、nは1〜3である)
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