JP2006342342A - イオン伝導性ポリマ及びイミドモノマ - Google Patents

イオン伝導性ポリマ及びイミドモノマ Download PDF

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Abstract

【課題】高い強度及び高いイオン伝導度を有するイオン伝導性ポリマ及びこれを製造するためのイミドモノマを提供すること。
【解決手段】(1)式で表されるユニットを含むイオン伝導性ポリマ。
−SO[NSO(M)]X1− ・・・(1)
但し、X>1の整数、M: H又はLi
(A)式で表されるイミドモノマ。
−SO[NSO]−Z ・・・(A)
但し、Y: Y≧2の整数、Z: OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、Z: OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、M: H又はLi
【選択図】なし

Description

本発明は、イオン伝導性ポリマ並びにイミドモノマに関し、さらに詳しくは、燃料電池、二次電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる電解質膜、触媒層内電解質等に用いられるプロトン伝導体、あるいは、リチウムイオン電池等に用いられるリチウムイオン伝導体として好適なイオン伝導性ポリマ、並びに、これを製造するためのイミドモノマに関する。
固体高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基等のイオン交換基を有する固体高分子材料であり、プロトンやリチウムイオンなどのイオンを輸送するイオン伝導体として機能する。
例えば、固体高分子型燃料電池や水電解装置などの各種電気化学デバイスにおいて、固体高分子電解質は、膜状に成形され、その両面に電極を接合した膜電極接合体(MEA)の状態で使用される。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボン繊維、カーボンペーパー等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、電極触媒と固体高分子電解質との複合体からなる。
このような各種電気化学デバイスに用いられる固体高分子電解質としては、デュポン社製ナフィオン(登録商標)に代表される各種のフッ素系電解質や、各種の炭化水素系電解質が知られている。これらの中でも、パーフルオロ系電解質は、炭化水素系電解質に比べて耐久性に優れているので、水の電界や燃料電池等に広く使用されている。しかしながら、ナフィオン(登録商標)等のパーフルオロ系電解質は、極めて高価である。また、電気化学デバイスの性能を向上させるために、これに使用される固体高分子電解質に対し、より高い性能が求められるようになっている。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、ポリフェニレン骨格、ポリエステル骨格等の炭化水素系高分子を主鎖とし、スルホン酸基等のプロトン酸基と、主鎖との間がアルキル、アリール等のスペーサ構造により隔てられているイオン伝導性高分子が開示されている。同文献には、プロトン酸基と主鎖とをスペーサ構造により隔てることによって、高イオン伝導性、及び高耐熱性を示す点が記載されている。
また、特許文献2には、スルホン酸基等のプロトン酸基を含有するポリアミドからなる燃料電池用イオン伝導性高分子膜が開示されている。また、特許文献3には、このようなプロトン酸基含有ポリアミドと、ハロゲン化炭化水素樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等との混合物からなるイオン伝導性高分子膜が開示されている。特許文献2には、プロトン酸基含有ポリアミドからなる高分子膜は、優れた膜形成能、高イオン伝導性、高耐熱性を示す点が記載されている。
また、特許文献4には、リチウムN−(トリフルオロメタンスルホニル)−2−(4−エテニルフェノキシ)テトラフルオロエタンスルホンイミド(CH=CH−C−O−CFCFSON(Li)SOCF)をホモ重合させることにより得られる重合体が開示されている。同文献には、スチレンを基とする重合体は、多数種の有機溶媒中で高い溶解度を示すので、成形が容易であり、また、フッ素含有量が少ないので低コストである点が記載されている。
また、特許文献5には、繰り返し単位として、−CFCF−、−CFCF(−O−(CFCF(CF)−O)−(CF)−SOF)−、及び、−CFCF(−O−(CFCF(CF)−O)n’−(CF2)m’−SONHR)−を含むパーフルオロ共重合体と、−(R−O)−で表される一種又は二種以上の繰り返し単位からなる液状フルオロオリゴエーテルとを含むフッ素系共重合体含有組成物が開示されている。同文献には、ルイス塩基を用いてSOF型官能基とSONHR型官能基とを反応させることにより、パーフルオロ共重合体にスルホンイミド架橋構造を導入することができる点、及びこれによって耐久性が向上する点が記載されている。
さらに、非特許文献1には、CSONHNaとHN(SOCl)とを反応させることにより得られるトリナトリウムビス[(パーフルオロアルキル)スルホニル]トリイミド(C−SONaSONaSONaSO)が開示されている。同文献には、トリナトリウム塩は、NaHFPSI(((CF)CHO−SO)NNa)及びNaTFSI((CFSO)NNa)より電気化学的安定性に優れている点、及び、トリナトリウム塩のDMF溶液(0.01M)は、NaHFPSI又はNaTFSIのDMF溶液(0.01M)より高い電気伝導度を示す点が記載されている。
特開2002−289222号公報の段落番号「0007」、「0022」〜「0026」 特開2002−280019号公報の請求項1、段落番号「0009」 特開2003−109624号公報の請求項3、段落番号「0072」 特表2003−525957号公報の段落番号「0032」、「0100」 特開2003−246906号公報の請求項1、段落番号「0057」 "Synthesis and characterization of a Novel electrolyte based on bis(perfluoroalkyl)sulfonyl)triimide trianion", J.Nie et al., J.Fluorine Chemistry, 125(2004)27-31
特許文献1〜4に開示されている固体高分子電解質は、いずれもその分子内にC−H結合を有しており、過酸化物ラジカルに対する耐性が低い。これを水電界の隔膜や燃料電池の電解質膜に使用した場合には、過酸化物ラジカルにより膜が劣化し、高い耐久性は得られない。従って、これらの用途には、耐酸化性、耐久性に優れたパーフルオロ系電解質を用いるのが一般的である。しかしながら、パーフルオロ系電解質であっても、使用条件が過酷になると膜が劣化する場合がある。そのため、これらの用途に使用される固体高分子電解質には、より高い耐酸化性、耐久性が求められている。
また、電気化学デバイスの性能は、これに用いられる固体高分子電解質の性能に依存し、一般に、固体高分子電解質のプロトン伝導度が高くなるほど、電気化学デバイスの性能も向上する。固体高分子電解質のプロトン伝導度を高くする場合、通常は、固体高分子電解質内部の酸性基(例えば、スルホン酸基)の量を増加させる方法が用いられる。しかしながら、一般に、固体高分子電解質中の酸性基の量が多くなるほど、固体高分子電解質が水により膨潤し、あるいは水に可溶化しやすくなる傾向がある。そのため、このような方法では、強度、及び耐熱性に優れた固体高分子電解質は得られない。
また、燃料電池の効率を向上させるためには、作動温度を高くするのが望ましく、そのためには、強度及び耐熱性に優れた固体高分子電解質を用いるのが望ましい。しかしながら、ナフィオンに代表される従来のパーフルオロ系電解質は、非架橋であり、かつ、結晶性が低いために、強度及び耐熱性に劣るという問題がある。
これに対し、スルホンイミド基(−SONHSO−)は、相対的にプロトン伝導度が高く、ラジカルに対する耐性も高いという特徴がある。また、特許文献5に開示されているように、SOF型官能基とSONHR型官能基とを反応させ、膜中にスルホンイミド架橋構造を導入すると、強度及び耐熱性を向上させることができる。
しかしながら、スルホンイミド基には有効なプロトンが1つしかない。一方、電解質中の有効なプロトン量を増加させるために、スルホンイミド基の導入量を増加させると、電解質の耐膨潤性・耐水溶解性が低下する。また、スルホンイミド基の親水性が不十分であるため、電解質中に有効なイオンチャンネルが形成されにくい。さらに、架橋によってスルホンイミド基を導入する方法では、架橋構造を導入する際に酸性基が消費される。
そのため、スルホンイミド基を備えた従来の電解質では、高い強度及び耐熱性と、高いプロトン伝導度とを同時に達成するには限界がある。
また、非特許文献1には、トリイミドアニオンが開示されているが、そのナトリウム塩は、低分子量であり、成膜性がない。さらに、固体高分子電解質の強度及びイオン伝導度を同時に向上させるために、このようなトリイミドアニオンを固体高分子電解質に適用した例は、従来にはない。
本発明が解決しようとする課題は、高い強度及び高いイオン伝導度を有するイオン伝導性ポリマ及びこれを製造するためのイミドモノマを提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、強度及びイオン伝導度に加えて、高い耐膨潤性・耐水溶解性を有するイオン伝導性ポリマ及びこれを製造するためのイミドモノマを提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、強度、イオン伝導度及び/又は耐膨潤性・耐水溶解性に加えて、ラジカルに対する高い耐性を有するイオン伝導性ポリマ及びこれを製造するためのイミドモノマを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るイオン伝導性ポリマは、(1)式で表されるユニットを含むものからなる。
−SO[NSO(M)]X1− ・・・(1)
但し、X>1の整数、
: H/又はLi
また、本発明に係るイミドモノマの1番目は、(A)式で表されるものからなる。
−SO[NSO]−Z ・・・(A)
但し、Y : Y≧2の整数、
: OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
: OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
: H/又はLi
さらに、本発明に係るイミドモノマの2番目は、(B)式で表されるものからなる。
−SO[NSO]Y1+1−R−SO[NSO]Y2+1−Z ・・・(B)
但し、Y: Y≧0の整数、
: Y≧0の整数、
: −(CF)−(但し、mは、1≦m<20の整数)
: OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
: OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
: H又はLi
(1)式で表されるユニット(以下、これを「マルチイミドユニット」という。)は、スルホンイミド基に比べて、ユニット当たりの有効なイオン種の数が多い。また、マルチイミドユニットは、スルホンイミド基に比べて親水性が高い。そのため、高分子鎖にマルチイミドユニットを導入すると、高いイオン伝導度が得られる。また、高分子鎖の骨格を最適化すると、強度及び/又は耐膨潤性・耐水熔解性を維持しながらイオン伝導度を向上させることができる。さらに、高分子鎖の骨格が炭化フッ素骨格からなる時には、ラジカルに対する高い耐性が得られる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。本発明に係るイオン伝導性ポリマは、次の(1)式で表されるマルチイミドユニットを備えている。
−SO[NSO(M)]X1− ・・・(1)
但し、X>1の整数、
: H/又はLi
は、マルチイミドユニットに含まれるイオン種(M)であって、イオン伝導に有効に寄与するものの数を表す。一般に、Xが大きくなるほど、ユニット当たりのイオン種の数が多くなり、かつ、マルチイミドユニットの親水性も大きくなるので、高いイオン伝導度を有するイオン伝導性ポリマが得られる。但し、Xが大きくなりすぎると、耐膨潤性・耐水溶解性が低下する。耐膨潤性・耐水溶解性に優れたイオン伝導性ポリマを得るためには、Xは、2以上4以下が好ましい。
マルチイミドユニットは、高分子鎖中のいずれの部分に導入されていても良い。例えば、マルチイミドユニットは、直鎖状高分子の骨格の一部を構成しているものでも良い。また、例えば、マルチイミドユニットは、主鎖と側鎖からなる分岐状高分子において、主鎖又は側鎖のいずれか一方の一部を構成していても良く、あるいは、双方の一部を構成していても良い。また、例えば、マルチイミドユニットは、架橋構造を備えた高分子の架橋点を構成していても良く、あるいは、架橋点以外の部分を構成していても良い。
マルチイミドユニットが導入される高分子鎖は、炭化水素骨格からなるものでも良く、あるいは、炭化フッ素骨格からなるものでも良い。また、炭化フッ素骨格は、部分炭化フッ素骨格であっても良く、あるいは、全炭化フッ素骨格であっても良い。
ここで、「炭化水素骨格」とは、その骨格中にC−H結合を含み、かつ、C−F結合を含まないものをいう。「炭化フッ素骨格」とは、その骨格中にC−F結合を含むものをいう。「部分炭化フッ素骨格」とは、その骨格中にC−H結合とC−F結合の双方を含むものをいう。さらに、「全炭化フッ素骨格」とは、その骨格中にC−F結合を含み、かつ、C−H結合を含まないものをいう。本発明において、「全炭化フッ素骨格」というときは、その骨格中に、C−F結合以外に、C−Cl結合(例えば、−CFCl−、−CCl−など)や、その他の構造(例えば、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R)−等。但し、「R」は、アルキル基。)を有するものも含まれる。
高分子鎖は、上述した各種の骨格の内、いずれか1種類のみを含むものであっても良く、あるいは、2種以上を含むものであっても良い。これらの中でも、炭化フッ素骨格(特に、全炭化フッ素骨格)は、ラジカルに対する高い耐性を有しているので、特に好適である。
炭化水素骨格としては、具体的には、以下の(a1)〜(a12)式に示すものがある。
Figure 2006342342
また、部分炭化フッ素骨格としては、具体的には、以下の(a13)〜(a17)式に示すものがある。
Figure 2006342342
また、全炭化フッ素骨格としては、具体的には、以下の(a18)〜(a23)式に示すものがある。
Figure 2006342342
高分子鎖中に含まれるマルチイミドユニットの量は、特に限定されるものではない。一般に、単位重量当たりのマルチイミドユニットのモル数が多くなるほど、イオン伝導度が高くなる。一方、マルチイミドユニットの量が多くなりすぎると、耐膨潤性・耐水溶解性が低下する。従って、マルチイミドユニットの量は、イオン伝導性ポリマの用途や要求される特性等に応じて、最適な量を選択するのが好ましい。
さらに、イオン伝導性ポリマの分子量は、特に限定されるものではない。一般に、分子量が多くなるほど、強度や製膜性が向上する。高い強度や製膜性を得るためには、その分子量は、10000以上が好ましく、さらに好ましくは、20000以上、さらに好ましくは、50000以上である。
一方、分子量が高くなりすぎると、溶融粘度が高くなりすぎたり、有機溶媒に対して難溶あるいは溶液粘度が高くなりすぎ、成膜が困難となる。高い耐膨潤性・耐水溶解性と、適度な製膜性を得るためには、その分子量は、1000万以下が好ましく、さらに好ましくは、500万以下、さらに好ましくは、100万以下である。
本発明に係るイオン伝導性ポリマは、単独で使用しても良く、あるいは、多孔膜、フィブリル繊維等の補強材と複合化させて使用しても良い。この場合、補強材の材質は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。
例えば、本発明に係るイオン伝導性ポリマと多孔膜とを複合化させる場合、多孔膜として、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン六フッ化プロピレン共重合体)、多孔質シリカ、多孔質セラミックス等を用いることができる。
この場合、多孔膜の気孔率、平均気孔径、厚さ等は、複合体の用途、要求特性等に応じて最適な値を選択する。また、イオン伝導性ポリマは、多孔膜中に均一に分散していても良く、あるいは、多孔膜の表面又は内部に偏在していても良い。
(1)式で表されるイオン伝導性ポリマの具体例には、以下のようなものがある。
イオン伝導性ポリマの第1の具体例は、次の(2)式で表されるユニット(以下、これを「ユニット(2)」という。)を含むものからなる。
−(CF)−SO[NSO(M)]X1− ・・・(2)
但し、n : 1≦n<20の整数、
: X>1の整数、
: H又はLi
ユニット(2)は、直鎖状の全炭化フッ素骨格にマルチイミドユニットが結合したものである。(2)式において、nは、骨格中に含まれる炭素数を表す。一般に、nが大きくなるほど、耐膨潤性・耐水溶解性は向上するが、有機溶媒に対して難溶となったり、溶融粘度が高くなり、製膜が困難となる。適度な製膜性を得るためには、nは、20未満の整数が好ましい。
一方、nが小さくなるほど、イオン伝導度は高くなるが、耐膨潤性・耐水溶解性や膜強度は低下する。適度なイオン伝導度と、適度な耐膨潤性・耐水溶解性・膜強度を得るためには、nは、8以上が好ましい。
イオン伝導性ポリマは、
(1)高分子鎖の一部に、ユニット(2)を含むもの、
(2)高分子鎖の一部に、2個以上のユニット(2)の繰り返しを含むもの、又は、
(3)高分子鎖が、実質的にユニット(2)の繰り返しのみからなるもの、
のいずれであっても良い。
この場合、単位重量当たりのマルチイミドユニットの量及びイオン伝導性ポリマの分子量は、(2)式中のnの値、高分子鎖にユニット(2)以外の構造を含むときはその構造、ユニット(2)の繰り返し数等を最適化することにより、調節することができる。
イオン伝導性ポリマの第2の具体例は、次の(3)式で表されるユニット(以下、これを「ユニット(3)」という。)を含むものからなる。
−(CF)−SO[NSO(M)]X1−(CF)−SO[NSO(M)]X2
・・・(3)
但し、n : 1≦n<20の整数、
m : 1≦m<20の整数、
: X>1の整数、
: X>1の整数、
: H又はLi
ユニット(3)は、2種類のユニット(2)が結合したものからなる。この場合、1つ目のユニット(2)(−(CF)−SO[NSO(M)]X1−)と、2つ目のユニット(2)(−(CF)−SO[NSO(M)]X2−)は、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。すなわち、全炭化フッ素骨格中の炭素数を表すn及びmは、同数であっても良く、あるいは、異なっていても良い。同様に、マルチイミドユニット中のイオン種の数を表すX及びXは、同数であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
ユニット(3)においても、n及び/又はmが大きくなるほど、耐膨潤性・耐水溶解性・膜強度は向上するが、成膜性は低下する。一方、n及び/又はmが小さくなるほど、イオン伝導度は高くなるが、耐膨潤性・耐水溶解性・膜強度は低下する。従って、適度なイオン伝導度と、適度な耐膨潤性・耐水溶解性・膜強度を得るためには、n又はmの少なくとも一方は、8以上が好ましい。
イオン伝導性ポリマは、
(1)高分子鎖の一部に、ユニット(3)を含むもの、
(2)高分子鎖の一部に、2個以上のユニット(3)の繰り返しを含むもの、又は、
(3)高分子鎖が、実質的にユニット(3)の繰り返しのみからなるもの、
のいずれであっても良い。
この場合、単位重量当たりのマルチイミドユニットの量及びイオン伝導性ポリマの分子量は、(3)式中のn及びmの値、高分子鎖にユニット(3)以外の構造を含むときはその構造、ユニット(3)の繰り返し数等を最適化することにより、調節することができる。
次に、本発明に係るイオン伝導性ポリマの作用について説明する。
イオン伝導性ポリマは、一般に高分子鎖内に疎水基と親水基があり、親水基が会合することによって、ポリマ内部にイオンチャンネルが形成される。このイオンチャンネルが相対的に大きくなるほど、イオンの移動が容易になるので、高いイオン伝導度が得られる。
しかしながら、スルホンイミド基は親水性が不十分なため、これを備えた固体高分子電解質においては、有効なイオンチャンネルが形成されにくい。しかも、スルホンイミド基は、プロトン伝導に有効に寄与するプロトンがスルホンイミド基当たり1つしかない。そのため、これを備えたイオン伝導性ポリマでは、到達可能なプロトン伝導度には限界がある。
これに対し、マルチイミドユニットは、スルホンイミド基に比べて親水性が高いので、これを適当な高分子鎖中に導入すると、ポリマ内部に相対的に大きなイオンチャンネルを形成することができる。しかも、マルチイミドユニットは、ユニット当たりの有効なイオン種の数も多い。そのため、これを備えたイオン伝導性ポリマは、従来のイオン伝導性ポリマに比べて、高いプロトン伝導度を示す。また、マルチイミドユニット及びこれが結合している骨格を最適化すると、耐酸化性、高強度、及び/又は、耐膨潤性・耐水溶解性に優れたイオン伝導性ポリマが得られる。
次に、本発明に係るイミドモノマについて説明する。
本発明に係るイミドモノマの第1の具体例は、次の(A)式で表されるものからなる。
−SO[NSO]−Z ・・・(A)
但し、Y: Y≧2の整数、
: OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
: OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
: H又はLi
Yは、イミドモノマに含まれるスルホンイミド基(−SOSO−)の数を表す。一般に、Yが大きくなるほど、ユニット当たりのイオン種(M)の数が多いマルチイミドユニットを形成することができる。但し、Yが大きくなりすぎると、ポリマの耐膨潤性・耐水溶解性・膜強度が低下する。従って、Yの値は、ポリマに要求される特性に応じて、最適な値を選択するのが好ましい。
イミドモノマの両端に結合している官能基Z、Zは、同種であっても良く、あるいは、異なっていても良い。官能基Z、Zの種類は、特に限定されるものではなく、ポリマの合成に使用する他のモノマの種類に応じて、最適なものを選択する。特に、官能基Z、Zが、F又はNHであるものは、比較的反応性が高いので、本発明に係るイオン伝導性ポリマを合成するための出発原料として好適である。
本発明に係るイミドモノマの第2の具体例は、(B)式で表されるものからなる。
−SO[NSO]Y1+1−R−SO[NSO]Y2+1−Z ・・・(B)
但し、Y: Y≧0の整数、
: Y≧0の整数、
: −(CF)−(但し、mは、1≦m<20の整数)
: OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
: OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
: H又はLi
及びYは、それぞれ、イミドモノマに含まれるスルホンイミド基(−SOSO−)の数を表す。この場合、Y及びYは、同数であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
なお、その他の点については、第1の具体例と同様であるので、説明を省略する。
次に、本発明に係るイミドモノマの製造方法について説明する。
(A)式において、Yが0又は1であるイミドモノマは、市販されている。また、(A)式及び(B)式で表されるイミドモノマは、市販のモノマを出発原料に用いて合成することができる。次の(a)〜(g)式に、合成スキームの一例を示す。
Figure 2006342342
例えば、ClSONHSOCl(ビススルホニルクロライド)は、(a)式に示す反応により得られる。すなわち、ClSONCOを入れたフラスコを氷浴中に入れて攪拌しながら、これにClSOHを1滴ずつ滴下する。全量を滴下した後、溶液を140〜150℃に加熱し、フラスコからCOを放出させる。12時間後、反応を停止させ、室温に冷却する。生成物を真空下、110〜120℃で蒸留し、さらにマイクロ蒸留装置で再蒸留すると、目的物が得られる。
また、例えば、NHSONHSONHは、(b)式に示す反応により得られる。すなわち、ビススルホニルクロライドのトリエチルアミン溶液(2.5倍モル)を、液体窒素温度まで冷却し、アンモニアガスを吹き込んで、一晩反応させる。得られた混合物を減圧にし、余分なアンモニア及びトリエチルアミンを除去して、さらにエーテルで目的物を抽出し、酸性水で洗浄後、アルコール中で再結晶させると、目的物が得られる。
また、例えば、HN(SONH)SONH(Y=3)は、(c)式に示す反応により得られる。すなわち、ジスルホニルクロライドに対して大過剰のHNSONHを加え、トリエチルアミン存在下、室温で72hr反応させる。余分なトリエチルアミンを除去して、さらにエーテルで目的物を抽出し、希塩酸、水で洗浄後、エーテルを留去すると、目的物が得られる。
また、例えば、Cl(SONH)Y+4SOCl(Yは、Y≧0の整数)は、(d)式に示す反応により得られる。すなわち、HN(SONH)SONH(Y≧0)に対して、大過剰のジスルホニルクロライドを加え、トリエチルアミン存在下、室温で72hr反応させる。余分なトリエチルアミンを除去して、さらにエーテルで目的物を抽出し、希塩酸、水で洗浄後、エーテルを留去すると、目的物が得られる。
また、例えば、HN(SONH)SONH(Yは、Y≧0の整数)は、(e)式に示す反応により得られる。すなわち、ビススルホニルクロライドのトリエチルアミン溶液(2.5倍モル)を、液体窒素温度まで冷却し、アンモニアガスを吹き込んで、一晩反応させる。さらに、得られた混合物を減圧にし、余分なアンモニア及びトリエチルアミンを除去して、さらにエーテルで目的物を抽出し、酸性水で洗浄後、溶媒を留去すると、目的物が得られる。
また、例えば、ClSO(NHSO)Y+1−R−(SONH)Y+1Cl(Yは、Y≧0の整数)は、(f)式に示すように、NHS−Rf−SONHに対し、大過剰のCl(SONH)SOClを加え、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で反応させることにより得られる。
同様に、NHSO(NHSO)Y+1−R−(SONH)Y+1SONH(Yは、Y≧0の整数)は、(g)式に示すように、FOS−Rf−SOFに対し、大過剰のNH(SONH)SONHを加え、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で反応させることにより得られる。
(A)式又は(B)式で表されるその他のイミドモノマは、上述した(a)〜(g)式の反応のいずれかを使用することにより合成することができる。また、官能基Z、ZがCl又はNH以外のイミドモノマは、上述の方法により合成されたイミドモノマに対し、公知の方法を用いて官能基変換することにより得られる。さらに、(f)式又は(g)式において、出発原料として、中間酸基(−SONHSO−)の数が異なる2種類のビススルホニルクロライド又はビススルホニルアミドを用いると、Rの両端に結合している中間酸基の数が互いに異なるイミドモノマを合成することができる。
次に、本発明に係るイオン伝導性ポリマの製造に用いられる第2モノマについて説明する。本発明に係るイオン伝導性ポリマは、イミドモノマと、第2モノマとを反応させることにより得られる。
ここで、「イミドモノマ」とは、上述した(A)式又は(B)で表されるモノマ、及び、(A)式において、Yが0又は1であるモノマをいう。
「第2モノマ」とは、その分子内に2個以上の反応性官能基を備えたモノマをいう。また、「反応性官能基」とは、イミドモノマの官能基Z又はZと反応することによってスルホンイミド基又はその誘導体(−SOSO−)を形成することが可能な官能基をいう。
第2モノマの分子量は、特に限定されるものではなく、イオン伝導性ポリマに要求される特性、用途等に応じて、最適な値を選択する。一般に、第2モノマの分子量が小さくなるほど、単位重量当たりのスルホンイミド基の数が多くなるので、イオン伝導度の高いポリマが得られる。一方、第2モノマの分子量が大きくなるほど、耐膨潤性・耐水溶解性・膜強度に優れたポリマが得られるが、分子量が大きくなりすぎると、成膜性が低下する。
反応性官能基は、イミドモノマの官能基Z、Zと直接反応させ、又は、これらの一方若しくは双方に対して適当な官能基変換を行った後に反応させることによって、結果的にスルホンイミド基又はその誘導体を形成可能なものであればよい。
例えば、官能基Z、Zがハライド系官能基である場合、反応性官能基は、イミド系官能基が好ましい。逆に、官能基Z、Zがイミド系官能基である場合、反応性官能基は、ハライド系官能基が好ましい。
ここで、「ハライド系官能基」とは、−SOX(但し、Xは、F、Cl、Br、I又はOH。)をいう。また、「イミド系官能基」とは、−SONZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M又はSiMe。Mは、金属イオン。)をいう。イミド系官能基に金属イオンMが含まれる場合、金属イオンMは、Li、K、Na等の1価の金属イオンが好ましい。
ハライド系官能基とイミド系官能基の組み合わせは、官能基変換を加えることなく、直接反応させることが容易である場合が多い。また、これらの官能基は、未反応のまま残った場合であっても、適当な処理を施すことによって、スルホン酸基等に変換できる。
また、ハライド系官能基の中でも、XがF、Cl、Br又はIからなるものは、高い反応性を有しているので、官能基Z、Z又は反応性官能基として好適である。さらに、イミド系官能基の中でも、(Z、Z)の組み合わせが、(H、H)、(H、M)、(SiMe、M)、又は、(H、SiMe)からなるものは、高い反応性を有しているので、官能基Z、Z又は反応性官能基として好適である。
第2モノマに含まれる反応性官能基は、2個以上であればよい。また、3個以上の反応性官能基を備えた第2モノマを出発原料として用いると、高分子鎖の一部が架橋されたポリマが得られる。この場合、第2モノマに含まれる反応性官能基は、それぞれ、同一種類の官能基であっても良く、あるいは、異なる種類の官能基であっても良い。
C−H結合のみを含む炭化水素系の第2モノマには、具体的には、以下の(b1)〜(b24)式に示すものがある。
Figure 2006342342
C−H結合とC−F結合の双方を含む部分フッ素系の第2モノマには、具体的には、以下の(b25)〜(b34)式に示すものがある。
Figure 2006342342
C−F結合を含み、C−H結合を含まない全フッ素系の第2モノマには、具体的には、以下の(b35)〜(b46)式に示すものがある。
Figure 2006342342
これらの中でも、全フッ素系のモノマは、高分子鎖がパーフルオロ骨格となり、耐熱性及び耐酸化性に優れたイオン伝導性ポリマが得られるので、第2モノマとして特に好適である。
このような第2モノマとイミドモノマとを用いてイオン伝導性ポリマを合成する場合、第2モノマは、1種類のみを用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。同様に、イミドモノマは、1種類のみを用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
イミドモノマと第2モノマを用いてマルチイミドユニットを形成するためには、イミドモノマ及び第2モノマのいずれかに、少なくとも1個のイミド系官能基(A)と、少なくとも1個のハライド系官能基(B)とを備えている必要がある。
また、マルチイミドユニットを備えたイオン伝導性ポリマを合成する場合において、高分子鎖内に複数個のマルチイミドユニットを導入するためには、イミドモノマ及び第2モノマのいずれかに、少なくとも2個のイミド系官能基(A)と、少なくとも2個のハライド系官能基(B)とを備えていることが好ましい。
例えば、2個のイミド系官能基(A)を備えたイミドモノマ(A−SO[NSO]−A。Yは、0以上の整数。)と、1個のイミド系官能基(A)と1個のハライド系官能基(B)を備えた第2モノマ(A−R−B。Rは、炭化水素骨格又は炭化フッ素骨格。)とを反応させると、イミド系官能基(A)とハライド系官能基(B)とが反応し、モノマの結合点には、スルホンイミド基又はその誘導体(−SOSO−)が形成される。その結果、
「A−R−SO[NSO]Y+2−R−A」
という構造を有するオリゴマが得られる。
反応をさらに続行させると、オリゴマの端部にあるいずれかのイミド系官能基(A)に第2モノマのハライド系官能基(B)が結合し、結合点には、スルホンイミド基又はその誘導体が形成される。以下、このような反応を順次繰り返すと、高分子鎖内に1個のマルチイミドユニットを含むイオン伝導性ポリマが得られる。
また、例えば、2個のイミド系官能基(A)を備えたイミドモノマ(A−SO[NSO]−A。Yは、0以上の整数。)と、2個のハライド系官能基(B)を備えた第2モノマ(B−R−B。Rは、炭化水素骨格又は炭化フッ素骨格。)とを反応させると、イミド系官能基(A)とハライド系官能基(B)とが反応し、モノマの結合点には、スルホンイミド基又はその誘導体(−SOSO−)が形成される。その結果、
「B−R−SO[NSO]Y+2−R−B」
という構造を有するオリゴマが得られる。
反応をさらに続行させると、オリゴマの両端にあるハライド系官能基(B)とイミドモノマのイミド系官能基(A)が結合し、結合点には、新たにスルホンイミド基又はその誘導体が形成される。その結果、
「A−SO[NSO]Y+1−R−SO[NSO]Y+2−R−SO[NSO]Y+1−A」
という構造を有するオリゴマが得られる。
このオリゴマ両端のイミド系官能基(A)にさらにハライド系官能基(B)が結合すると、結合点には、新たにマルチイミドユニットが形成される。その結果、
「B−{R−SO[NSO]Y+2}−R−B」
という構造を有するオリゴマが得られる。
以下、このような反応を順次繰り返すと、高分子鎖内に複数個のマルチイミドユニットを含むイオン伝導性ポリマが得られる。
(B)式で表されるイミドモノマを用いる場合、2種以上のイミドモノマを用いる場合、2種以上の第2モノマを用いる場合、及び/又は、3個以上の反応性官能基を持つ第2モノマを用いる場合も同様であり、種類の異なる複数個のモノマのいずれかに、少なくとも1個のイミド系官能基(A)と、少なくとも1個のハライド系官能基(B)とを含む場合には、これらの反応によってマルチイミドユニットを形成することができる。また、種類の異なる複数個のモノマのいずれかに、少なくとも2個のイミド系官能基(A)と、少なくとも2個のハライド系官能基(B)とを含む場合には、高分子鎖内に複数個のマルチイミドユニットを備えたイオン伝導性ポリマが得られる。
次に、第2モノマの製造方法について説明する。反応性官能基を備えた第2モノマは、市販されているか、あるいは、これらに類似する分子構造を有する市販のモノマを出発原料に用い、これに対して公知の方法を用いて所定の官能基変換を行うことにより合成することができる。
例えば、一般式:ClSO(CF)SOClで表される第2モノマは、
(1) オリゴマ化したTFE(テトラフルオロエチレン)とヨウ素とを反応させ、I−(CF)−Iを合成し、
(2) −IをNaで−SONaに変換し、
(3) −SONaをClで−SOClに変換する、
ことにより得られる。
また、得られた第2モノマと、KFとを反応させると、−SOClを−SOFに変換することができる。また、これとアンモニアとをさらに反応させると、−SOFを−SONHに変換することができる。さらに、上記工程(2)の、−SONaと酸とを反応させると、−SONaを−SOHに変換することができる。
また、例えば、一般式:ClSO−R−SOClで表される第2モノマは、常法により合成したHOSO−R−SOOHをPClで処理することにより得られる。
次に、本発明に係るイオン伝導性ポリマの製造方法について説明する。本発明に係るイオン伝導性ポリマは、1種又は2種以上のイミドモノマと、1種又は2種以上の第2モノマとを含む混合液を調製し、イミドモノマと第2モノマとを反応させることにより合成することができる。
この場合、イミドモノマ及び第2モノマは、そのまま反応させても良く、あるいは、適当な官能基変換を行った後に反応させても良い。また、イミドモノマ及び第2モノマは、双方を溶解可能な溶媒中に溶解させるのが好ましい。溶媒は、イミドモノマ及び第2モノマの種類に応じて、最適なものを選択すれば良く、特に限定されるものではない。また、溶液中に含まれるイミドモノマ及び第2モノマの濃度も特に限定されるものではなく、イミドモノマ及び第2モノマの種類に応じて最適なものを選択すればよい。
1種又は2種以上のイミドモノマと1種又は2種以上の第2モノマの配合比率は、合成されるイオン伝導性の形態、用途、要求特性等に応じて最適な比率を選択する。
例えば、(A)式で表される1種類のイミドモノマと、炭素数の異なる2種類の第2モノマとを用いると、疎水基の大きさが部分的に異なり、かつ、マルチイミドユニットを備えたイオン伝導性ポリマが得られる。
また、例えば、イオン種(M)の個数が異なる2種類のイミドモノマと、炭素数の異なる2種類の第2モノマとを用いると、疎水基の大きさが部分的に異なり、かつ、イオン種(M)の個数が異なる2種類のマルチイミドユニットを備えたイオン伝導性ポリマが得られる。
イミドモノマ及び第2モノマに含まれるイミド系官能基(A)とハライド系官能基(B)のモル数が同数となるようにこれらを配合すると、理想的には、ほぼすべての官能基からマルチイミドユニット又はスルホンイミド基を生成させることができる。しかしながら、モノマに含まれるこれらの官能基のモル数は、完全に同数である必要はなく、いずれか一方に過不足があっても良い。
但し、イミド系官能基(A)とハライド系官能基(B)の比率が理論値から大きく乖離すると、分子量が低下したり、イオン伝導性ポリマ内部に未反応のモノマ又は低分子量のオリゴマが残留し、使用中にこれらのモノマ又はオリゴマが溶出するおそれがあるので好ましくない。
イミドモノマと第2モノマとを反応させる際、これらに対し、イミド系官能基(A)とハライド系官能基(B)の反応速度を大きくする(すなわち、触媒作用を有する)試薬を加えても良い。
このような試薬としては、具体的には、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、DBU(ジアザバイシクロウンデセン)等の塩基性化合物が好適である。触媒作用を有する試薬の量は、イオン伝導性ポリマの用途、要求特性等に応じて最適な量を選択する。試薬の量を最適化すると、混合液の粘度を調節することができる。
次に、このようにして調製された混合液を、適当な容器に流し込む。例えば、膜状のポリマを作製する場合には、浅い容器に少量の混合液を流し込んで膜化し、この状態で反応させればよい。この時、流し込む混合液の量を調製することによって、膜厚を調製することができる。また、例えば、塊状又は粉末状のポリマを作製する場合には、深い容器に多量の混合液を流し込み、そのまま反応させればよい。また、例えば、得られたポリマが溶媒に可溶であるときには、溶液を加熱し、溶媒を揮発させればよい。
多孔膜で補強された複合膜は、例えば、
(1) 浅い容器の底に多孔膜を配置し、その上から少量の混合液を流し込み、多孔膜内部に混合液を含浸させ、多孔膜内部で反応させる方法、
(2) 塊状又は粉末状のポリマを合成した後、これを適当な溶媒に溶解させ、あるいは、加熱溶融させ、溶液又は融液を多孔質膜に含浸させる方法、
などにより作製することができる。
また、混合液に触媒作用を有する試薬が含まれている場合、既に混合液内部で反応がある程度進行し、混合液の粘度が増加している場合がある。このような混合液を用いて複合膜を作製する場合には、多孔膜の上から少量の混合液を流し込んだ後、圧力を加えて、混合液を多孔膜内部に圧入すればよい。この時、混合液の粘度及び/又は圧力を調節することによって、多孔質膜内部に混合液を均一に充填したり、あるいは、混合液を部分的に充填することが可能となる。
イミドモノマ及び第2モノマの反応は、イミドモノマ及び第2モノマの加水分解等の変質を防ぐために、Ar、N等の不活性雰囲気下で行うのが好ましい。また、反応温度、反応時間、及び反応時の圧力は、特に限定されるものではなく、イミドモノマ及び第2モノマの種類、混合液の濃度、触媒作用を有する試薬の種類及び量等に応じて最適な値を選択する。
反応が完了したところで、得られたポリマを容器から取り出し、あるいは、必要に応じて膜化した後、結合点及び未反応の官能基を酸性基に変換する。
酸性基に変換する方法としては、例えば、
(1)合成されたポリマを硝酸等の酸で処理してプロトン化する方法、
(2)合成されたポリマをアルカリ溶液でケン化し、次いで酸で処理してプロトン化する方法、などがある。また、得られた酸性基を水素化リチウムと反応させると、酸性基のプロトンをリチウムイオンに交換することができる。
(実施例1)
以下の手順に従い、組成式:−[(CF)−SONHSONHSO]−で表されるイオン伝導性ポリマを作製した。
(1) ポリテトラフルオロエチレンでコートされたマグネチック攪拌子、三方コック、及びArガス導入口を備えた100mLの丸底フラスコに、SA(スルホンアミド、3.12g、0.0325mol)を入れた。SAに対してDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウン−7−デカン、25mL)を加え、これらが完全に溶解するまで、混合物をAr中で混合した。
この混合物に対し、PPDSF(パーフルオロプロピルジスルホニルフロライド、10.27g、0.0325mol)を加えた。コックを閉じると、反応物は、攪拌できないほど粘性が高くなった。これをゆっくりと110℃に加熱し、16時間反応させた。黒色の混合物を室温まで冷却し、固化させた。
(2) 真空下(35Pa、110℃)で過剰のDBUを除去した。得られた混合物に対し、NaOH水溶液(44mL、2.93M溶液)を加え、残ったDBUは、エチルアセテートで抽出した。水性の溶離液がpH紙で酸性となるまで、水層をナフィオン(登録商標)コラム(250g、ナフィオン(登録商標)NR50 交換樹脂)を用いて酸性化した。ロータリーエバポレーションで水を除去すると、粘性のある褐色の液体が得られた。
(3) 残留物をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルを加えて析出させた。エーテルを除去し、白い析出物を乾燥させると、黄褐色のポリマが得られた。
水中において、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定されたポリマの重量平均分子量WMは、2.1×10であった。また、得られたポリマは、水溶性であった。次の化8の式に、合成スキームを示す。
Figure 2006342342
(実施例2)
以下の手順に従い、組成式:−[(CF)−SONHSONHSONHSO]−で表されるイオン伝導性ポリマを作製した。
(1) ワンピースリアクタにPPDSA(パーフルオロプロピルジスルホニルアミド、1.02g、3.29mmol)を入れた。これにTEA(トリエチルアミン、2.41mL、17.4mmol)を加えた。これを、均一な溶液が得られるまで、80℃で攪拌した。これにIBSCl(ビス(スルホニルクロライド)イミド、0.377mL、3.29mmol)を加えると、小さな黒色の固体が得られた。これを80℃で2時間保持し、室温まで冷却した。
(2) TEAを塩の形で除去するためにNaOH水溶液(2.25mL、6.6mmol)を使用し、TEAが放出されなくなるまで加熱した。次に、溶液を、ナフィオン(登録商標)(75g、ナフィオン(登録商標)NR50樹脂)コラムで酸性化した。得られた溶液から溶媒をロータリーエバポレーションで蒸発させ、暗黄褐色のポリマを得た。
水中において、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定されたポリマの重量平均分子量WMは、1.3×10であった。また、得られたポリマは、水溶性であった。次の化9の式に、合成スキームを示す。
Figure 2006342342
(実施例3)
以下の手順に従い、組成式:−[(CF)−SONHSONHSO]−で表されるイオン伝導性ポリマを作製した。
(1)予め乾燥させ、重量を測定した反応ガラス瓶に、N雰囲気下において、PODSF(パーフルオロオクチルジスルホニルフロライド、1.0g、1.77×10−3mol)及びSA(0.169g、1.76×10−3mol)を入れた。
(2) これに溶媒(THF(テトラヒドロフラン)、10.5mL)及び塩基(TEA、8.98g、8.8×10−2mol)をシリンジで加えた。
(3) この混合物を密閉された反応容器内において65℃で3日間加熱した。この間、混合物は、オレンジ色から褐色になった。
(4) 次に、溶媒を除去すると、粘性のある残留物が得られた。
(5) 残留物を25%HClで洗浄し、過剰の塩基を除去した。
(6) この試料を水で洗浄すると、有色のポリマが得られた。
得られたポリマは、水不溶であり、製膜することが可能であった。また、膜の導電率は、水中で0.1S/cmであった。次の化10の式に、合成スキームを示す。
Figure 2006342342
(実施例4)
以下の手順に従い、組成式:−[(CF)−SONHSONHSONHSO]−で表されるイオン伝導性ポリマを作製した。
(1) 100mL丸底フラスコに、攪拌子、不活性ガスバブラーシステム、並びに、無水CHCNとTEAの溶液中にジアミン(PODSA(パーフルオロオクチルジスルホニルアミド))溶解させた溶液を入れた。これを90分間還流させ、5℃に冷却した。
(2) 別のフラスコに、不活性雰囲気下において、無水CHCNとTEAの溶液中にジクロライド(IBSCl)を溶解させた溶液を用意した。
(3) 不活性雰囲気下において、滴下漏斗を用いて、ジクロライド溶液を1滴ずつジアミン溶液に加えた。すべてのジクロライド溶液が加えられた後、溶液を室温まで加温し、続いてさらに加熱して還流した。
(4) 得られた溶液から溶媒を除去し、HNOによる酸性化、洗浄、及び乾燥を行った。
得られたポリマは、水不溶であり、製膜することが可能であった。また、膜の導電率は、水中で0.14S/cmであった。次の化11の式に、合成スキームを示す。
Figure 2006342342
(比較例1)
以下の手順に従い、組成式:−[(CF)−SONHSO]−で表されるイオン伝導性ポリマを作製した。
(1) ガラステフロン(登録商標)コックとArガス導入口がはめ込まれた清浄で乾燥したガラス製反応容器に、THFに0.1796MのPPDSAを溶解させた溶液4.49mL(0.81mmol)を入れた。これに、0.5602mLのTEAを加えた。次いで、PPDSF(0.2804g、0.89mmol)をシリンジで加えた。さらに、フラスコをガス/酸素トーチで密封した。50℃で11日間加熱した後、試料を開け、揮発成分を除去し、粘性のある黄色がかった褐色の液体を得た。
(2) 得られた材料を、過剰のNaOH水溶液を用いてNa型に変換し、TEAのすべての痕跡が除去されるまで加熱した。酸型は、濃HCl又はCFCOHを用い、続いて4mmHgですべての揮発成分を除去することにより得た。得られたポリマは、塩を除去するために、少量の水で洗浄した。
水中において、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定されたポリマの重量平均分子量WMは、1.3×10であった。また、得られたポリマは、水溶性であった。次の化12の式に、合成スキームを示す。
Figure 2006342342
(比較例2)
[1. ClSO(CF)SOCl(PODSC)の合成]
30mLなすフラスコ中でI−(CF)−I(196mg、0.3mmol)をMeCNに溶かした後、HO(2mL)を加えて、サスペンションを得た。これにNa(270mg、1.3mmol)とNaHCO(140mL、1.7mmol)を手早く加えた。室温で1時間攪拌後、無色2層に分離した。上層(MeCN)を分取して溶媒を蒸発させると、白色固体(200mg)が析出した。これをHO(10mL)に溶かし、氷浴中、塩素ガスをヨウ素の黒紫色がなくなるまで吹き込むと、無色結晶が析出した。この無色のサスペンションを濾過後、風乾し、無色粉末(PODSC(パーフルオロオクチルジスルホニルクロライド))を得た。収量は125mg、収率は約70%であった。次の化13の式に、合成スキームを示す。
Figure 2006342342
[2. FSO(CF)SOF(PODSF)の合成]
窒素風船、三方コックを付けた300mLナスフラスコ中にKF(168mg、2.8mmol)を入れ、減圧下、ヒートガンで乾燥した。そこへ無水MeCN(90mL)を加えて、PODSC(312mg、0.75mmol)を手早く加えた。室温で24時間攪拌し、無色サスペンションを得た。これを氷水600mLにあけて、析出した白色固体(PODSF)をろ取した。収量は120mg、収率は約48%であった。次の化14の式に、合成スキームを示す。
Figure 2006342342
[3. HNSO(CF)SONH(PODSA)の合成]
攪拌子、滴下漏斗、並びに、ガスの導入口及び排出口を備えた500mLの三口フラスコに、−196℃で液体アンモニア(200mL)を凝縮させた。次いで、これを−80℃に加温した。滴下漏斗にPODSFのTHF溶液(122mLに22.4g)を加えた。アンモニア溶液を−70℃から−80℃に保ちながら、PODSF溶液を4時間かけて一滴ずつ液体アンモニアに加えた。次いで、過剰のアンモニアを逃がしながら8時間かけて室温まで加温した。
得られた材料は、体積が500mLとなるまで25%HClで酸性化した。ロータリーエバポレーションで溶媒を除去すると、100mLの溶液が得られた。室温で16時間攪拌した後、ワックス状の結晶質固体が得られた。固体を、再度、沸騰した25%HClで酸性化し、濾過し、pH紙で中性となるまで洗浄した。これを真空下において80℃で一昼夜乾燥し、白色の結晶質固体を得た。収量は、10g、NMRに基づく純度は、97%であった。次の化15の式に、合成スキームを示す。
Figure 2006342342
[4. 重合]
(1) 予め乾燥させ、重量を測定した反応ガラス瓶にPODSF(0.102g)、1.8×10−4mol)及びPODSA(0.101g、1.8×10−4mol)を加えた。
(2) これに溶媒(THF、1mL)及び塩基(TEA、0.072g、7.1×10−3mol)を含む溶液をシリンジで加えた。
(3) 混合物を揺動させて室温で試薬を溶解させ、次いで、50℃で3日間加熱した。
(4) 溶媒を除去し、残留物を25%HClで洗浄し、さらに水で洗浄した。
(5) 得られた材料は、粘性が極めて高く、引っ張ると、長く脆いファイバー状の糸になった。
(6) この材料を、0.5MのNaOHを用いてナトリウム型に変換し、80℃で4時間加熱した。
(7) この試料を15%HNOを用いて、50℃で4時間酸性化した。
(8) 得られた材料を洗浄し、乾燥すると、白色ワックス状のポリマが得られた。
得られたポリマは水不溶であり、製膜することが可能であった。また、水中25℃でのプロトン導電率は、0.05S/cmであった。次の化16の式に、合成スキームを示す。
Figure 2006342342
(実施例5)
マルチイミドユニット及びスルホンイミド基を有する各種イオン伝導性ポリマについて、そのチャンネル構造をメソシミュレーションにより予測した。本シミュレーションは、粗視化分子モデルを用いているが、これは、ナフィオン(登録商標)等のチャンネル構造の推定に用いられている(参考:「メソスケールシミュレーションによる高分子電解質膜Nafionの構造予測」、山本他、高分子学会第50回高分子討論会)。シミュレーションを行ったイオン伝導性ポリマは、以下の4種類である。
(1) ポリマA:
−[SONHSO−(CF)]−(但し、n=3、4、6、8、12)
(2) ポリマB:
−[SONHSO−(CF)−SONHSO−(CF)]−
(但し、n=6、8、12、16)
(3) ポリマC:
−[SONHSONHSONHSO−(CF)n]−
(但し、n=3、4、6、8、12)
(4) ポリマD:
−[SONHSONHSO−(CF)n]−(但し、n=3、4、6、8、12)
図1に、その結果を示す。図1より、スルホンイミド基を備えたポリマA、Bの場合、パーフルオロ骨格の炭素数が多くなっても、明確なチャンネル構造が形成されないのに対し、マルチイミドユニットを備えたポリマC、Dの場合、パーフルオロ骨格の炭素数が8以上になると、明確なチャンネル構造が形成されることがわかる。これは、マルチイミドユニットの親水性がスルホンイミド基より高いために、パーフルオロ骨格の炭素数がある一定数以上になると、疎水性部位と相分離が明確になるためと考えられる。
さらに、図1より、マルチイミドユニットを備えているポリマC、Dであっても、パーフルオロ骨格の炭素数が少なくなると、明確なチャンネル構造が形成されないことがわかる。これは、パーフルオロ骨格の炭素数がある値以下になると、ポリマが水溶性になることを示している。
図1のシミュレーション結果は、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた結果と良く一致している。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係るイオン伝導性ポリマは、固体高分子型燃料電池用の電解質膜及び触媒層内電解質として特に好適であるが、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、各種電気化学デバイスに用いられる電解質膜、触媒層内電解質等としても使用することができる。また、本発明に係るイオン伝導性ポリマは、リチウムイオン電池等に用いられるリチウムイオン伝導体として使用することができる。
マルチイミドユニット及びスルホンイミド基を有する各種イオン伝導性ポリマのメソシミュレーション結果である。

Claims (8)

  1. (1)式で表されるユニットを含むイオン伝導性ポリマ。
    −SO[NSO(M)]X1− ・・・(1)
    但し、X>1の整数、
    : H/又はLi
  2. (2)式で表されるユニットを含むイオン伝導性ポリマ。
    −(CF)−SO[NSO(M)]X1− ・・・(2)
    但し、n : 1≦n<20の整数、
    : X>1の整数、
    : H又はLi
  3. nは、8以上の整数である請求項2に記載のイオン伝導性ポリマ。
  4. (3)式で表されるユニットを含むイオン伝導性ポリマ。
    −(CF)−SO[NSO(M)]X1−(CF)−SO[NSO(M)]X2
    ・・・(3)
    但し、n : 1≦n<20の整数、
    m : 1≦m<20の整数、
    : X>1の整数、
    : X>1の整数、
    : H又はLi
  5. m又はnの少なくとも一方が、8以上の整数である請求項4に記載のイオン伝導性ポリマ。
  6. その分子量が10000以上である請求項1から5までのいずれかに記載のイオン伝導性ポリマ。
  7. (A)式で表されるイミドモノマ。
    −SO[NSO]−Z ・・・(A)
    但し、Y: Y≧2の整数、
    : OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
    : OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
    : H又はLi
  8. (B)式で表されるイミドモノマ。
    −SO[NSO]Y1+1−R−SO[NSO]Y2+1−Z ・・・(B)
    但し、Y: Y≧0の整数、
    : Y≧0の整数、
    : −(CF)−(但し、mは、1≦m<20の整数)
    : OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
    : OH、F、Cl、Br、I、又は、NZ(但し、Z、Zは、それぞれ、H、M、又は、SiMe。Mは、金属元素。)、
    : H又はLi
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