JP2006333732A - 容器詰め千切り葉野菜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
葉野菜にダメージを与える塩素系殺菌剤等を使用することなく、葉野菜を十分に除菌及び殺菌することができる容器詰め千切り葉野菜の製造方法を提供する。
【解決手段】
容器詰め千切り葉野菜の製造方法であって、ホールの葉野菜を10℃以下の清水にて洗浄する第1洗浄工程、第1洗浄した後の葉野菜を2〜8つ割りにカットするカット工程、カットした後の葉野菜を10℃以下の清水にて洗浄する第2洗浄工程、第2洗浄した後の葉野菜を千切りする千切り工程、千切りした後の葉野菜を10℃以下の清水にて洗浄する第3洗浄工程、第3洗浄した後の葉野菜を、オゾン濃度5ppm以上かつ10℃以下のオゾン水を葉野菜に対し質量比で8倍以上使用して殺菌するオゾン水殺菌工程、オゾン水殺菌した後の葉野菜を脱水する脱水工程、及び、脱水した後の葉野菜を合成樹脂製容器に収容する収容工程を有する。
Description
ところで、このような千切り葉野菜は、商品価値を高め販売ロスを減ずるために、冷蔵環境下で数日間品位を保持し得るものとしておく必要がある。したがって、保存中の細菌の増殖を抑えるために、十分な殺菌処理を行うことが必須とされている。
一方、葉野菜の細胞にダメージを与え難い殺菌処理としては、清水にオゾンを含有させたいわゆるオゾン水による殺菌処理が知られているが、オゾン水は、塩素系殺菌剤に較べて殺菌力が弱いため、葉野菜を十分に殺菌することが難しく、日持ちのする高品位の千切り葉野菜を製造することはできないとされてきた。
ホールの葉野菜を10℃以下の清水にて洗浄する第1洗浄工程、
第1洗浄した後の葉野菜を2〜8つ割りにカットするカット工程、
カットした後の葉野菜を10℃以下の清水にて洗浄する第2洗浄工程、
第2洗浄した後の葉野菜を千切りする千切り工程、
千切りした後の葉野菜を10℃以下の清水にて洗浄する第3洗浄工程、
第3洗浄した後の葉野菜を、オゾン濃度5ppm以上かつ10℃以下のオゾン水を葉野菜に対し質量比で8倍以上使用して殺菌するオゾン水殺菌工程、
オゾン水殺菌した後の葉野菜を脱水する脱水工程、及び、
脱水した後の葉野菜を合成樹脂製容器に収容する収容工程
を有することを特徴とする製造方法を提供する。
次に、本発明を工程毎に説明する。
カットする前のホール(丸のままの状態)の葉野菜を10℃以下の清水を用いて洗浄する工程である。細菌数の最も多いホールの状態で洗浄することにより、葉野菜の表面に付着している多数の細菌を効率良く除去して細菌数の減少を図り、次のカット工程への細菌汚染を防止する。また、10℃以下の清水を用いることで、野菜の温度上昇を防ぎ細菌の増殖を抑えることができる。
洗浄方法は、清水をオーバーフローさせた水槽に葉野菜を浸漬する方法や、葉野菜に対して清水をシャワリングする方法等を任意に選択することができるが、流水による洗浄が望ましい。
第1洗浄した後の葉野菜を後の千切り工程で取り扱いし易いように、また、葉部間に入り込み付着している細菌等を次の第2洗浄工程で除去し易いように、葉野菜を2〜8つ割りにカットし、更に、不可食部である外葉や芯を除去する工程である。第1洗浄工程で細菌数が軽減されており、本工程でも包丁、まな板等を清潔に管理し、細菌汚染を防止することが重要である。
カット工程でカットした後の葉野菜を10℃以下の清水を用いて洗浄する工程である。第1洗浄工程で細菌数が軽減されているが、第2洗浄工程では、更に葉部間に入り込み付着している細菌を効率良く除去して細菌数を減らし、次の千切り工程への細菌汚染を防止する。また、10℃以下の清水を用いることで、野菜の温度上昇を防ぎ細菌の増殖を抑えることができる。
洗浄方法は、第1洗浄工程と同じく、清水をオーバーフローさせた水槽に葉野菜を浸漬する方法や、葉野菜に対して清水をシャワリングする方法等を任意に選択することができるが、流水によることが望ましい。
第2洗浄した後の葉野菜をスライサー等の手段で千切り状に切断する工程である。千切り時には、葉野菜の切断面から流出する有機物を含んだ野菜汁を除去して細菌の増殖を防止するために、スライサー等の刃部を継続的に流水洗浄する等の対策を行うことが望ましい。また、葉野菜の千切り幅は、一般には5mm程度以下であるが、本発明においては、葉野菜に与えるダメージが少ないので、千切り幅を1mm以下と細くした場合でも、数日間に亘って風味が新鮮でシャキッとした歯応えを維持することができるものであり、あらゆる千切り幅の葉野菜に対して適用が可能である。
千切りにした葉野菜を10℃以下の清水を用いて洗浄する工程である。千切りされた葉野菜はその切断面から有機物を含んだ野菜汁が流出するが、この有機物は細菌の増殖を助長し、また、次工程におけるオゾン水の殺菌効果を低減させてしまうので、本工程において十分に有機物を除去する。また、第1、第2洗浄工程で取り残した細菌の除去も図る。
洗浄方法は、第1、第2洗浄工程と同じく、清水をオーバーフローさせた水槽に葉野菜を浸漬する方法や、葉野菜に対して清水をシャワリングする方法等を任意に選択することができるが、流水によることが望ましい。
第3洗浄した後の千切り葉野菜を、オゾン水を用いて殺菌する工程である。殺菌方法としては、オゾン水に千切り葉野菜を浸漬する方法や千切り葉野菜にオゾン水をシャワリングする方法等により千切り葉野菜とオゾン水を十分に接触させる。オゾン水のオゾン濃度が低過ぎる場合や葉野菜に対するオゾン水の使用量が少ないと、十分な殺菌効果が得られないため、オゾン水のオゾン濃度は5ppm以上、オゾン水の使用量は葉野菜に対し質量比で8倍以上使用する必要がある。
オゾン水の製造は常法により行えばよく、例えば、市販のオゾン水発生装置を用いて水を電気分解することにより、容易にオゾン水を製造することができる。また、オゾン水のオゾン濃度の測定は、紫外線吸収方式等の常法により行えばよい。尚、一般に市販されているオゾン水発生装置を使用すると、オゾン水のオゾン濃度を任意に設定できるため、容易に所望のオゾン濃度のオゾン水を大量に製造することができる。
オゾン水殺菌した千切り葉野菜の水分を除去する工程である。葉野菜に多くの水分が残っており、葉野菜から水滴が滴り落ちるような状態では、保存中に細菌が増殖し易い環境になり、また、千切りキャベツ特有のふっくらとしたボリューム感が失われてベチャッとした外観を呈し、見栄えが悪く商品価値が下がってしまうため、適度に脱水することが必要である。しかし本工程で葉野菜の水分を除去しすぎると、保存中に萎びたような状態となってシャキシャキ感がなくなるため、過度の脱水は好ましくない。
本脱水処理は、一般的な遠心分離式の野菜脱水機等を適宜用いて行うことができる。
脱水工程で水分を除去した葉野菜を合成樹脂製容器に収容する工程である。ここで合成樹脂製容器としては、収容する葉野菜を清潔に保持することができる材質・形態のものであればどのようなものであってもよく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、PET等の単層又は複層フィルムからなる袋状容器や、これらの袋状容器にPET、ポリスチレン等により成型されたトレーを封入した容器等の使用が可能である。また、かかる合成樹脂製容器には、収容した葉野菜の呼吸により生ずる炭酸ガスを、容器外に排出できるように小孔等を設けておくことも可能である。
また、合成樹脂製容器への葉野菜の充填は、一般的な充填機等を用いて行えば良い。
尚、一般生菌数とは、標準平板菌数ともいわれ食品の微生物汚染の程度を示す最も代表的な指標であり、「食品衛生検査指針」(2004年6月30日社団法人日本食品衛生協会発行、厚生労働省監修)に従って測定可能である。
ホールのキャベツを、10℃の清水を流しオーバーフローさせた水槽に1分間浸漬して洗浄した(第1洗浄工程)。次いで、キャベツの外葉を取り除き、清潔な包丁で4つ割りにカットして芯部を取り除いた(カット工程)。得られた4つ割りのキャベツを10℃の清水を流しオーバーフローさせた水槽に1分間浸漬して洗浄した(第2洗浄工程)。次いで、キャベツをスライサー(吉泉産業株式会社製)を用いて0.8mmの幅に千切りした(千切り工程)。得られた千切りキャベツを10℃の清水を流しオーバーフローさせた水槽に1分間浸漬して洗浄した(第3洗浄工程)。次いで、軽く水切りした千切りキャベツを、野菜洗浄機(株式会社神戸製鋼所製、商品名WA−300)に投入し、オゾン濃度15ppmかつ10℃のオゾン水を、キャベツの質量に対し10倍の質量を使用して、キャベツとオゾン水を撹拌しつつ1分間殺菌した(オゾン水殺菌工程)。その後、オゾン水で殺菌した後の千切りキャベツを、脱水機(株式会社大栄製作所製)に投入し回転数1000rpmで1分間脱水処理した(脱水工程)。得られた脱水処理済みの千切りキャベツを、ポリプロピレン系樹脂の積層シートからなる袋状容器に150gずつ収容し密封して(収容工程)、容器詰め千切りキャベツ(実施品1)を製造した。
ホールのキャベツを、10℃の清水を流しオーバーフローさせた水槽に1分間浸漬して洗浄した(第1洗浄工程)。次いで、キャベツの外葉を取り除き、清潔な包丁で2つ割りにカットして芯部を取り除いた(カット工程)。得られた2つ割りのキャベツを10℃の清水を流しオーバーフローさせた水槽に1分間浸漬して洗浄した(第2洗浄工程)。次いで、キャベツをスライサー(実施例1に同じ。)を用いて1.0mmの幅に千切りした(千切り工程)。得られた千切りキャベツを10℃の清水を流しオーバーフローさせた水槽に1分間浸漬して洗浄した(第3洗浄工程)。次いで、軽く水切りした千切りキャベツを、野菜洗浄機(実施例1に同じ。)に投入し、オゾン濃度5ppmかつ10℃のオゾン水を、キャベツの質量に対し8倍の質量を使用して、キャベツとオゾン水を撹拌しつつ1分間殺菌した(オゾン水殺菌工程)。その後、オゾン水で殺菌した後の千切りキャベツを、脱水機(実施例1に同じ。)に投入し回転数1000rpmで1分間脱水処理した(脱水工程)。得られた脱水処理済みの千切りキャベツを、ポリプロピレン系樹脂の積層シートからなる袋状容器(実施例1に同じ。)に150gずつ収容し密封して(収容工程)、容器詰め千切りキャベツ(実施品2)を製造した。
ホールのキャベツの外葉を取り除き、清潔な包丁で4つ割りにカットして芯部を取り除いた(カット工程)。次いで、キャベツをスライサー(実施例1に同じ。)を用いて0.8mmの幅に千切りした(千切り工程)。得られた千切りキャベツを10℃の清水を流しオーバーフローさせた水槽に3分間浸漬して洗浄した(殺菌前洗浄工程)。次いで、軽く水切りした千切りキャベツを、野菜洗浄機(実施例1に同じ。)に投入し、オゾン濃度15ppmかつ10℃のオゾン水を、キャベツの質量に対し10倍の質量を使用して、キャベツとオゾン水を撹拌しつつ1分間殺菌した(オゾン水殺菌工程)。その後、オゾン水で殺菌した後の千切りキャベツを、脱水機(実施例1と同じ。)に投入し回転数1000rpmで1分間脱水処理した(脱水工程)。得られた脱水処理済みの千切りキャベツを、ポリプロピレン系樹脂の積層シートからなる袋状容器(実施例1に同じ。)に150gずつ収容し密封して(収容工程)、容器詰め千切りキャベツ(比較品1)を製造した。
ホールのキャベツから外葉を取り除き、清潔な包丁で4つ割りにカットして芯部を取り除いた(カット工程)。次いで、4つ割りのキャベツをスライサー(実施例1に同じ。)を用いて0.8mmの幅に千切りした(千切り工程)。得られた千切りキャベツを10℃の清水を流しオーバーフローさせた水槽に3分間浸漬して洗浄した(殺菌前洗浄工程)。次いで、軽く水切りしたキャベツを、次亜塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸ナトリウムを各々150ppmの濃度で含有させた殺菌液を満たした水槽に5分間浸漬した(塩素系殺菌工程)。その後、殺菌済みの千切りキャベツを10℃の清水を流しオーバーフローさせた水槽に3分間浸漬して殺菌液を洗い流した(殺菌後洗浄工程)。さらに、脱水機(実施例1に同じ。)に投入し回転数1000rpmで1分間脱水処理した(脱水工程)。得られた脱水処理済みの千切りキャベツを、ポリプロピレン系樹脂の積層シートからなる袋状容器(実施例1に同じ。)に150gずつ収容し密封して(収容工程)、容器詰め千切りキャベツ(比較品2)を製造した。
上記の実施品1、実施品2、比較品1及び比較品2の各サンプルにつき、製造直後と、10℃の冷蔵庫において4日間保管した後の、一般生菌数(SPC)を測定し、外観、風味について評価を行った。尚、一般生菌数の測定は、上記の「食品衛生検査指針」記載の方法により行った。また、外観は目視により、風味は試食により評価した。結果を表1に示す。
外観の評価
A:キャベツ本来の色調が保持されており良好である。
B:部分的に変色が見られる。
風味の評価
A:キャベツ本来の風味が強く感じられ良好である。
B:キャベツ本来の風味が弱くやや不良である。
C:塩素臭等の異臭が感じられ不良である。
Claims (4)
- 容器詰め千切り葉野菜の製造方法であって、
ホールの葉野菜を10℃以下の清水にて洗浄する第1洗浄工程、
第1洗浄した後の葉野菜を2〜8つ割りにカットするカット工程、
カットした後の葉野菜を10℃以下の清水にて洗浄する第2洗浄工程、
第2洗浄した後の葉野菜を千切りする千切り工程、
千切りした後の葉野菜を10℃以下の清水にて洗浄する第3洗浄工程、
第3洗浄した後の葉野菜を、オゾン濃度5ppm以上かつ10℃以下のオゾン水を葉野菜に対し質量比で8倍以上使用して殺菌するオゾン水殺菌工程、
オゾン水殺菌した後の葉野菜を脱水する脱水工程、及び、
脱水した後の葉野菜を合成樹脂製容器に収容する収容工程
を有することを特徴とする製造方法。 - 千切り工程において、葉野菜を1mm以下の幅に千切りすることを特徴とする請求項1記載の容器詰め千切り葉野菜の製造方法。
- オゾン水殺菌工程において、オゾン水のオゾン濃度を5〜20ppmとしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器詰め千切り葉野菜の製造方法。
- 製造後4日間0〜10℃で保存した場合の一般生菌数が2.0×105個/g未満である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造した容器詰め千切り葉野菜。
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