JP2009225710A - 生鮮食品の殺菌方法及び製造方法 - Google Patents

生鮮食品の殺菌方法及び製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生鮮食品の残存塩素臭がほとんどなく、付着している残存生菌数(初発菌数)が顕著に低く、長期保存しても、雑菌の繁殖を抑えて生鮮食品の鮮度が維持できる生鮮食品の殺菌方法及び該殺菌方法を用いた安全性に優れた生鮮食品の製造方法を提供すること。
【解決手段】次亜塩素酸塩水溶液で生鮮食品を殺菌処理する工程を有する生鮮食品の殺菌方法であって、殺菌処理工程の前及び/又は後に生鮮食品を0.1〜1.5重量%食塩水溶液に浸漬処理する工程を有し、前記殺菌処理及び前記浸漬処理後の生鮮食品の残存生菌数を103個/g未満、残留塩素濃度を0.5ppm以下にすることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、生鮮食品の殺菌方法及び該殺菌方法を用いた生鮮食品の製造方法に関する。
野菜類、果物類、魚介類、精肉類等の生鮮食品には安全性の点から殺菌処理が施されているが、この殺菌方法としては、生鮮食品の鮮度を保持する目的から非加熱の殺菌処理を行うのが一般的であり、塩素系殺菌剤、中でも、次亜塩素酸塩水溶液がよく使用されている。
例えば、喫食用サイズにカットする前の野菜に対し、次亜塩素酸塩水溶液を用いた第1の殺菌処理を行う第1殺菌工程、第1の殺菌処理された野菜を喫食用サイズにカットする野菜カット工程、及び喫食用サイズにカットした後の野菜に対し、第1の殺菌処理において使用した殺菌剤よりも弱い殺菌力を有する殺菌剤を使用して、第2の殺菌処理を行うカット野菜の処理方法が知られている(特許文献1)。
しかしながら、次亜塩素酸塩水溶液の殺菌処理は、生鮮食品に塩素臭を与え易く、また生鮮食品の食味にも影響を及ぼすことが知られている。そこで、殺菌液中の次亜塩素酸濃度を低くして、殺菌処理を複数に分けて行う殺菌処理が行われているが、次亜塩素酸塩水溶液に生鮮食品を接触させる時間が長くなるため、やはり塩素臭や食味の点で問題がある。
特に、内部組織が切断されて、むき出しになっているカットされた生鮮食品では、次亜塩素酸塩が食品の組織内に入り込み易いため、次亜塩素酸塩による食品の食味への影響が強くなる。また、カット処理物は、カット面から組織内液等の成分が漏れて、カット面付近で雑菌が繁殖し易いことから、未処理の生鮮食品に比べると、殺菌処理により付着している生菌数をより低減しておく必要があるが、上記のように、次亜塩素酸塩水溶液を用いた場合には、十分な殺菌効果を得ることは食味等の関係から十分ではなく、その結果、殺菌処理を施しても鮮度が維持される時間は長いとはいえなかった。
そこで、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に他の薬剤を混合する殺菌方法(特許文献2)、次亜塩素酸塩水溶液のかわりに水の電気分解によって生成した強酸性水を用いる殺菌方法(特許文献3)等が知られているが、処理工程が増加したり、処理後の廃液処理が別途必要となるため、製造コストの点で十分とはいえない。
特開2006−61069号公報 特許2004−154095号公報 特開平10−179020号公報
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、生鮮食品の残存塩素臭がほとんどなく、付着している残存生菌数(初発菌数)が顕著に低く、長期保存しても、雑菌の繁殖を抑えて生鮮食品の鮮度が維持できる生鮮食品の殺菌方法及び該殺菌方法を用いた安全性に優れた生鮮食品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するため、鋭意検討したところ、次亜塩素酸塩水溶液による殺菌処理の前後に0.1〜1.5重量%食塩水溶液中に生鮮食品を浸漬させることで、殺菌効果を十分に発揮させながら、次亜塩素酸塩による生鮮食品に対する悪影響を抑え、しかも生鮮食品の鮮度を長期間維持できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、
(1) 次亜塩素酸塩水溶液で生鮮食品を殺菌処理する工程を有する生鮮食品の殺菌方法であって、
殺菌処理工程の前及び/又は後に生鮮食品を0.1〜1.5重量%食塩水溶液に浸漬処理する工程を有し、前記殺菌処理及び前記浸漬処理後の生鮮食品の残存生菌数を103個/g未満、残留塩素濃度を0.5ppm以下にすることを特徴とする、生鮮食品の殺菌方法、
(2) 前記浸漬処理1回あたり、前記食塩水溶液に生鮮食品を3〜30分浸漬する前記(1)記載の生鮮食品の殺菌方法、
(3) 前記次亜塩素酸塩水溶液中の次亜塩素酸塩濃度が50〜200ppmである前記(1)又は(2)記載の生鮮食品の殺菌方法、
(4) 前記生鮮食品が野菜類、果物類、魚介類、精肉類又はこれらのカット処理物である前記(1)〜(3)いずれか記載の生鮮食品の殺菌方法、
(5) 前記(1)〜(4)いずれか記載の殺菌方法を用いて処理した生鮮食品を脱水処理した後に、包装を行う生鮮食品の製造方法、
(6) 包装後に生鮮食品を4〜8℃で保存する前記(5)記載の生鮮食品の製造方法
に関する。
本発明により、保存しても、色合いが鮮やかで、食感や食味が維持された生鮮食品を安全に消費者に提供することができる。
また、本発明で処理された生鮮食品は、次亜塩素酸塩由来の塩素臭が顕著に低減され、付着している残存生菌数(初発菌数)が103個/g未満にまで低減されたものであり、長時間保存しても雑菌の増殖が抑えられ、見た目、食感、食味等の鮮度が維持される、安全性に優れたものである。
したがって、本発明を用いることで、従来方法で得られた生鮮食品に比べて、消費者、生産業者及び流通業者にとって、種々の魅力に富んだ生鮮食品を提供することができる。
なお、本発明において鮮度とは、主に、食品の色合い、食感及び食味をいう。
本発明の生鮮食品の殺菌方法は、次亜塩素酸塩水溶液で生鮮食品を殺菌処理する工程を有する方法であって、
殺菌処理工程の前及び/又は後に生鮮食品を0.1〜1.5重量%食塩水溶液に浸漬処理する工程を有し、前記殺菌処理及び前記浸漬処理後の生鮮食品の残存生菌数を103個/g未満、残留塩素濃度を0.5ppm以下にすることを特徴とする。
通常、水洗いしただけの生鮮食品には、104個/g以上の雑菌が付着しているため、殺菌処理を行うことが必須とされている。しかしながら、殺菌液として高濃度の次亜塩素酸塩水溶液を用いたり、次亜塩素酸塩水溶液に生鮮食品を何度も浸漬すると、食品の組織間に薬剤が浸透して、塩素臭がしたり、生鮮食品が変敗したり、食味に悪影響を与えることが懸念される。したがって、殺菌処理後に生鮮食品を水で洗浄しているが、十分とはいえない。
これに対して、本発明では、前記殺菌処理の前及び/又は後に、生鮮食品を0.1〜1.5重量%食塩水溶液に浸漬することで、塩素臭及び残存生菌数を顕著に低減できるだけでなく、生鮮食品に対する次亜塩素酸塩の影響(変敗、香味、食味の悪化)を顕著に低減し、さらに生鮮食品自体の鮮度(色合い、食感、食味)も向上することができるという優れた効果が奏される。
具体的には、前記のように、0.1〜1.5重量%食塩水溶液に生鮮食品を浸漬することで、次亜塩素酸塩水溶液による殺菌処理を施すことによる殺菌・除菌効果を生菌数が103個/g未満まで低減させることを可能にし、生鮮食品からの水分、成分の漏出を低減することで鮮度を長く保持することを可能にする。また、得られた生鮮食品の残留塩素濃度は0.5ppm以下であり、塩素臭が顕著に低減されたものである。したがって、カット野菜のように、組織が切断されてむき出しになっていて薬剤が浸透し易く、傷み易い生鮮食品でも、塩素臭が少なく、その色艶が良好で、しかもその状態を長く保持できる。
本発明のように次亜塩素酸塩の生鮮食品への影響を特定濃度の食塩水溶液を用いて顕著に低減し、しかも生鮮食品自体の鮮度が向上するという作用効果は、本発明者が初めて見出したものである。このメカニズムの詳細は不明であるが、以下のことが考えられる。
すなわち、食塩水溶液中の微量の食塩が、食品を構成する組織中に浸透したり、さらには各細胞の細胞膜に存在する各種のイオンチャンネルを介して細胞内に進入して、細胞や組織を満たしている液中に形成されている水分子のクラスター構造を調整して、各細胞及び組織からの水や成分の流出を抑制しながら、次亜塩素酸塩の組織内への浸透を妨げることが考えられる。この結果、次亜塩素酸塩の殺菌作用は生鮮食品の表面に限定されることになり、薬剤の組織内への進入することで生じる様々な悪影響が顕著に低減され、しかも生鮮食品自体も張りと弾力を維持できて、鮮度が維持されると考えられる。
前記食塩水溶液中の食塩濃度は0.1〜1.5重量%である。前記食塩濃度が0.1重量%未満であれば、生鮮食品への次亜塩素酸塩の影響を抑えることは困難になり、一方、1.5重量%を超えると、食塩水溶液中への食品を構成する組織からの水分や成分の滲み出しが生じ、結果として生鮮食品の張りと弾力を低減させてしまう傾向がある。
前記食塩水溶液に使用される食塩としては、市販の食塩であればよい。
前記食塩水溶液の媒体としては、純水、イオン交換水、蒸留水、水道水、電解水等が挙げられるが、コストの観点から、水道水が好ましい。
前記食塩水溶液は、安全性及びコストの観点から、食塩と水を含有していればよいが、2成分のみから構成されてもよい。
前記食塩水溶液のpHとしては、4.5〜6.9が好ましく、5.0〜5.5がより好ましい。
前記pHの調整には、食品用に用いられているpH調整剤を適宜選択して用いることができる。例えば、酢酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、リン酸等、及びこれらの塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等を用いることができる。
前記食塩水溶液に生鮮食品を浸漬する具体的手段は特に制限されない。例えば、食塩水溶液が入った容器中に生鮮食品を入れ、必要であれば水面から生鮮食品が浮き上がらないようにするために上から蓋や網で押さえて、その後、容器から生鮮食品を取り出す態様が挙げられる。また、生鮮食品をあらかじめ金網や繊維製ネット等で構成される収納具に入れておき、食塩水溶液が入った容器中に収納具ごと浸漬して殺菌後に取り出す態様も挙げられる。これらの浸漬処理は、自動化や連続化して処理することが可能である。
前記食塩水溶液に生鮮食品を浸漬する時間としては、生鮮食品の種類やカットされる形状により一概に限定できないが、3〜30分間が好ましい。前記浸漬時間は、処理効果を得る観点から、3分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、一方、上限値は効果の点では限定はないが、生産性の観点から、30分以下が好ましく、15分以下がより好ましい。
また、前記食塩水溶液の温度条件としては、生鮮食品の種類により一概に限定できないが、2〜20℃が好ましく、4〜8℃がより好ましい。
前記食塩水溶液による浸漬処理は、殺菌処理の前及び/又は後に施す。
本発明において、前記殺菌処理は、生鮮食品を次亜塩素酸塩水溶液に接触させて行う。前記次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸アルカリ金属塩、特に次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
次亜塩素酸塩水溶液中の次亜塩素酸塩濃度は、経済性、殺菌効果及び生鮮食品の薬剤焼け抑制の観点から、50〜200ppmであることが好ましい。
前記次亜塩素酸塩水溶液の媒体としては、純水、イオン交換水、蒸留水、水道水等が挙げられるが、コストの観点から、水道水が好ましい。
また、前記次亜塩素酸塩水溶液は、次亜塩素酸塩と水を含有していればよいが、2成分のみから構成されてもよい。
本発明で用いる次亜塩素酸塩水溶液のpHは、殺菌の目的、態様、生食用野菜の種類等に応じて適宜決定すればよいが、一般に4〜10であり、殺菌力を高めたい場合は、例えばpHを4〜7にすることが好ましい。pHの調整には、前記食塩水溶液で使用される食品用に用いられているpH調整剤を適宜選択して用いることができる。
前記次亜塩素酸塩水溶液の温度は、特に限定はないが、好ましくは、2〜20℃であり、より好ましくは4〜8℃である。
前記殺菌処理で行われる殺菌手段としては、生鮮食品に次亜塩素酸塩水溶液が接触できる手段であればよく、噴霧、浸漬等が挙げられる。中でも、効率的に生鮮食品を処理できる観点から、浸漬を行うことが好ましい。
また、殺菌処理時間は、前記次亜塩素酸塩水溶液と生鮮食品とが接触している時間をいうが、食品の種類、カットされる大きさ、次亜塩素酸塩水溶液中での薬剤濃度により一概に限定できないが、3〜30分程度が好ましい。また、殺菌処理で使用する次亜塩素酸塩水溶液中の薬剤濃度を変えた場合には、それに応じて殺菌処理時間を調整すればよい。
次亜塩素酸塩水溶液の温度と浸漬時間は、殺菌処理する生食用野菜の種類、形状、用途、食するまでの時間、流通形態に応じて適宜選択して決定することができる。例えば、殺菌する生鮮食品が比較的大きい場合は、次亜塩素酸塩水溶液の温度を高めに設定したり、浸漬時間を長めに設定したりすることが好ましい。一般に、次亜塩素酸塩水溶液の温度を高く設定した場合は、浸漬時間を短くすることができる。
前記殺菌処理の回数としては、生鮮食品の種類、大きさ等により一概に限定できないが、1回でもよく2回以上でもよい。また、カット野菜等のカット処理物の場合、生鮮食品をカットする前に次亜塩素酸塩水溶液で1次殺菌処理し、カットした後に次亜塩素酸塩水溶液で2次殺菌処理してもよい。このように2段階で殺菌処理することで、製造後にカット処理物に付着している生菌数(初発菌数)を顕著に低減することができる。
また、本発明では、前記殺菌処理及び食塩水溶液への浸漬処理の前後に、脱水処理や水洗を行ってもよい。脱水処理や水洗方法としては、公知の方法であればよい。
本発明では、前記のように殺菌処理及び浸漬処理された生鮮食品における初発菌数(生菌数)は103個/g未満に調整される。通常、殺菌処理した後に水で洗浄された場合には、生菌数は104個/g程度が下限値である。したがって、本発明では、前記食塩水溶液を用いた浸漬処理を行うことで、生鮮食品に付着している初発生菌数を顕著に低減することが可能となる。なお、生菌数は、平板寒天培地法に基づいて測定することができる。
また、得られた生鮮食品の残留塩素濃度は0.5ppm以下であり、塩素臭が顕著に低減されたものである。前記残留塩素濃度は、DPD(ジエチル−p−フェニレンジアミン)法によって測定することができる。
中でも、本発明の殺菌方法の好適例としては、以下のものが挙げられる。
次亜塩素酸塩水溶液で1次殺菌処理した生鮮食品をカットした後、カットした生鮮食品を次亜塩素酸塩水溶液で2次殺菌処理するカットした生鮮食品の殺菌方法であって、
2次殺菌処理前及び/又は2次殺菌処理後に、カットした生鮮食品を0.1〜1.5重量%食塩水溶液に浸漬することを特徴とする、カットした生鮮食品の殺菌方法。
上記の工程を有する殺菌方法は、生鮮食品の鮮度保持効果が特に優れた方法であり、好適に使用することができる。
本発明で生鮮食品とは、野菜類、果物類、魚介類、精肉類又はこれらのカット処理物が挙げられる。
野菜類としては、葉菜類(水菜、白菜、ホウレン草、小松菜、春菊、チンゲンサイ、キャベツ、レタス、サラダナ、パセリ、ミツバ、クレソン、グリーンカール、サニーレタス、トレビス、レッドキャベツ、等)、茎菜類(長ネギ、九条ネギ、アサツキ、セロリ、モヤシ、カイワレ大根、アスパラガス、等)、根菜類(人参、大根、タマネギ、ミョウガ、エシャーレット、ゴボウ、ジャガイモ等)、果菜類(キュウリ、ピーマン、トマト、オクラ、パプリカ、アボガド、パパイヤ、トウモロコシ等)、花菜類(ブロッコリー、カリフラワー等)の野菜を挙げることができる。
果物類としては、イチゴ、バナナ、リンゴ等が挙げられる。
魚介類としては、ヒラメ、カレイ、タイ、スズキ、キス、フグをはじめとする白身魚全般、カキ等の貝類等が挙げられる。
精肉類としては、牛肉、豚肉、鶏肉、その他の食用肉が挙げられる。
また、カット処理物とは、所望の大きさ、形状にカット処理された生鮮食品をいう。カット処理は、公知の手段により行えばよい。このカット処理では、スライサー等の手段を使用して、野菜を所望の大きさにカットすればよく、具体的な手段や、処理条件(温度、時間)としては、公知のものであればよい。また、野菜は、剥皮や分割を行ってから殺菌してもよい。分割する場合、例えば葉菜類の場合は葉を1枚ずつ切り離してもよいし、刃物で細断してもよい。分割後の野菜の大きさは特に制限されない
中でも、上記効果が顕著に奏されることから、野菜類全般、そのカット野菜及び白身魚が好ましい。
本発明の殺菌方法は、必要に応じて通常用いられている殺菌方法と組み合わせて実施しても構わない。例えば、通常用いられている殺菌方法で殺菌済みの生鮮食品に対して、さらに本発明の殺菌方法を実施しても構わない。
本発明の殺菌方法を実施した生鮮食品は、塩素臭及び初発生菌数が顕著に低減されたものであるため、食品の種類によって生のままでも安全に食することができる。
本発明の殺菌方法は、上述のようにさまざまな大きさや形状の生鮮食品に広く適用することができることから、本発明の殺菌方法は、生鮮食品の製造工程における殺菌方法として使用することができる。また、あらかじめ所望の大きさや形状に加工された生鮮食品に対して本発明を適用し、その後、直ちにパーケージングなどを行って市場に流通させることが可能である。
すなわち、本発明は、前記殺菌方法で処理した生鮮食品を脱水処理した後に、包装を行う生鮮食品の製造方法に関する。このように、前記殺菌方法を用いて得られた生鮮食品を包装することで、雑菌等の生鮮食品への付着を防止し、かつ生鮮食品の鮮度をさらに長時間保つことが可能になる。
本発明の殺菌方法では、初発菌数が顕著に低減されているため、前記減圧処理を施さずに、通気を制限できる包装のみでも十分な鮮度保持効果があるが、前記包装時に脱気を行えばさらに生鮮食品の鮮度を長時間保つことが可能になる。脱気処理としては、公知の手段を用いて、生鮮食品の種類に応じて最適な包装内気圧に調整すればよい。
前記包装に用いる包装体としては、食品に使用される公知のものであればよいが、脱気を行う場合は減圧に耐えられるものであれば特に限定はない。
また、前記脱気処理された生鮮食品は4〜8℃で保存することが好ましい。このように4〜8℃で保存することで、様々な要因で付着する雑菌の繁殖を抑え、さらには生鮮食品の鮮度をより長時間保つことが可能になる。保存方法としては、生鮮食品用の冷蔵庫等の中で保存する方法が挙げられるが、特に限定はない。
以上の工程を経て製造された生鮮食品は、従来よりも長く保存した場合でも、雑菌の繁殖を効率的に抑えられているだけでなく、色合い、食感、食味等の鮮度が維持される。
また、本発明の殺菌方法は、生鮮食品の鮮度保持方法としても使用できる。すなわち、本発明は、次亜塩素酸塩水溶液で生鮮食品を殺菌処理する工程を有する生鮮食品の鮮度保持方法であって、
殺菌処理工程の前及び/又は後に生鮮食品を0.1〜1.5重量%食塩水溶液に浸漬処理する工程を有し、前記殺菌処理及び前記浸漬処理後の生鮮食品の残存生菌数を103個/g未満、残留塩素濃度を0.5ppm以下にすることを特徴とする生鮮食品の鮮度保持方法に関する。
前記生鮮食品の鮮度保持方法においては、殺菌処理、カット、食塩水溶液処理等はいずれも前記製造方法と同じであればよい。
中でも、前記食塩水溶液に生鮮食品を5〜30分浸漬することが好ましい。また、前記鮮度保持用法では、殺菌処理で用いる次亜塩素酸塩水溶液中の次亜塩素酸塩濃度が50〜200ppmであることが好ましい。また、得られた生鮮食品を脱水処理した後に、脱気包装を行うことが好ましい。また、脱気包装後、生鮮食品を4〜8℃で保存することが好ましい。
実施例1
レタスを殺菌液(次亜塩素酸ナトリウム200ppm、残部水)中に5分間浸漬して1次殺菌処理した後、3cm×4cmにカットして、0.9重量%食塩水溶液中に7分間浸漬した。次いで、食塩水溶液中からカットしたレタスを取り出し、殺菌液(前記と同じ組成)中に5分間浸漬して2次殺菌処理を施した後、0.9重量%食塩水溶液中に7分間浸漬した。殺菌処理及び食塩水処理は5℃付近で行った。
次いで、カットしたレタスを取りだし、遠心脱水機にて脱水処理を施したところ、初発菌数が102個/g未満(実質的には無菌と判定)であり、塩素臭がほとんどせず、残留塩素濃度0.5ppm以下(検出限界)であった。このレタスをナイロンポリ袋(150mL容)に入れた後に脱気包装を行った。
比較例1
食塩水溶液のかわりに水を用いた以外は、実施例1と同様にしてカットレタスを得たが、初発菌数が3.0×104個/gであり、塩素臭がはっきりと感じられた(推定残留塩素濃度10ppm)であった。このカットレタスについて脱気包装を行った。
試験例1(鮮度保持試験)
実施例1及び比較例1で得られたカットレタスを12日間、5℃で保存した後、包装体から取り出し、レタスの色合い、食感、食味を10人のモニターが評価したところ、実施例1で得られたカットレタスは、12日後でも、形状に変化はなく、色合い、食感、食味の評価がいずれも「最も優れている」とされた。一方、比較例1で得られたカットレタスは、3日で形状がくずれはじめ、12日後では完全に液状化していたため、鮮度の評価は不可能であった。
また、12日後の野菜に付着した生菌数を測定したところ、実施例1では2.0×103個/gであったのに対して、比較例1では測定不能なまでに増殖しており、顕著な違いがあった。
実施例2
タマネギ、ホウレンソウ、キャベツ、ジャガイモ、サニーレタス、カールレタス等の野菜、イチゴ、バナナ、リンゴ等の果物類、ヒラメ、カレイ、カキ等の魚介類・貝類等の生鮮食品について、0.1〜1.5重量%食塩水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして殺菌処理したところ、実施例1と同様に、すべての生鮮食品で、残存塩素臭はほとんど感じられずに初発菌数を103個/g未満に抑えることができ、また、水で洗浄した場合と比べると、12日程度の長期間保存をした場合、顕著な鮮度保持効果が見られた。

Claims (6)

  1. 次亜塩素酸塩水溶液で生鮮食品を殺菌処理する工程を有する生鮮食品の殺菌方法であって、
    殺菌処理工程の前及び/又は後に生鮮食品を0.1〜1.5重量%食塩水溶液に浸漬処理する工程を有し、前記殺菌処理及び前記浸漬処理後の生鮮食品の残存生菌数を103個/g未満、残留塩素濃度を0.5ppm以下にすることを特徴とする、生鮮食品の殺菌方法。
  2. 前記浸漬処理1回あたり、前記食塩水溶液に生鮮食品を3〜30分浸漬する請求項1記載の生鮮食品の殺菌方法。
  3. 前記次亜塩素酸塩水溶液中の次亜塩素酸塩濃度が50〜200ppmである請求項1又は2記載の生鮮食品の殺菌方法。
  4. 前記生鮮食品が野菜類、果物類、魚介類、精肉類又はこれらのカット処理物である請求項1〜3いずれか記載の生鮮食品の殺菌方法。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の殺菌方法を用いて処理した生鮮食品を脱水処理した後に、包装を行う生鮮食品の製造方法。
  6. 包装後に生鮮食品を4〜8℃で保存する請求項5記載の生鮮食品の製造方法。
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