JP2006327005A - 成形用金型および成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 可動金型A1(第1の金型)と固定金型A2(第2の金型)との間でキャビティCを形成し、キャビティC内で成形品を成形するための成形用金型Aを構成する。可動金型A1は、固定金型A2に向かって先細りとなる第1の凸型テーパ11bを有し、固定金型A2は、第1の凸型テーパ11bに嵌合可能な第1の凹型テーパ31を有する。第1の凸型テーパ11bおよび第1の凹型テーパ31は、互いに嵌合させたときに、最初に互いのテーパ面が当接するとともに、その後、可動金型A1と固定金型A2の型締め力により可動金型A1と固定金型A2のキャビティC周りの互いの型割面である先端面11aと底面31aが当接するように形成されている。このような成形用金型Aにより射出成形などにより成形品を得る。
【選択図】 図3
Description
そのため、分割した金型を高精度に位置合わせする場合には、単なるピンと穴による嵌合で位置決めをするのではなく、凸型のテーパと凹型のテーパを嵌合させることで、隙間を無くそうとする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)
しかし、この隙間を設けると、成形品の厚みに誤差が生じ、バリの原因ともなることから、成形用金型の位置決めでは、凸型のテーパの頂面と凹型のテーパの底面とが確実に当接することを優先し、テーパ面同士に隙間が空く設計にするのが通常であった。そうすると、この隙間が位置決めの誤差の原因となるという問題があった。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、分割した金型同士を正確に位置決めすることで、高精度な形状の成形品を成形可能な成形用金型を提供することを課題とする。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は、本発明の第1実施形態に係る成形用金型の断面図であり、図2は、図1の成形用金型を分解した断面図である。
図1および図2に示すように、第1実施形態に係る成形用金型Aは、第1の金型としての可動金型A1と、第2の金型としての固定金型A2とを備えて構成されている。一例として、成形用金型Aは、筒状の成形品Wを射出成形するための金型であるが、これに限定されるものではない。もっとも、本発明の成形用金型Aは、光学レンズや、光学レンズを支持する鏡枠などの光学部品など、可動金型A1と固定金型A2の互いの位置関係が重要視され、高い形状精度を必要とされる成形品を成形するのに特に好適に使用できる。
可動金型A1は、図示しない射出成形機の駆動装置により図1に示す中心軸Zに沿って、固定金型A2に当接・離間するように移動させられる。
また、型割形成部11とスライド案内部12の境(嵌入穴11cと案内穴12aとの切り替わり部分)には、段差があり、この段差面が中心軸Zと直交する平面に形成されている。この段差面を位置決め面11dとする
なお、型割形成部11とキャビティ形成部21との間には、溶融樹脂が入らない程度の数μm〜十数μmの隙間が設けられている。
取付部42は、固定側本体部材30に対面する側が、中心軸Zに直交する平面(組合せ面42aとする)を有して形成されている。
固定側入れ子40と、固定側本体部材30とは、第3の凸型テーパ41cと第3の凹型テーパ32とを嵌め合い、複数のボルト61(1つのみ図示)で両者を締結することで一体にされている。また、固定側入れ子40と固定側本体部材30の中心軸Z周りの位相を合わせるために、一以上のノックピン62で両者の位置決めをするとよい。
第3の凸型テーパ41cと第3の凹型テーパ32は、互いに嵌め合ったときに、頂面41bと底面33の当接より先に当接するように形成されるとともに、ボルト61の締結力により、固定側本体部材30および固定側入れ子40が僅かに弾性変形して、頂面41bと底面33が当接するように形成されている。言い換えれば、頂面41bと第3の凸型テーパ41cの互いの位置関係、および第3の凹型テーパ32と底面33の互いの位置関係がそのように設定されているということもできる。なお、この弾性変形は、主として固定側本体部材30で発生し、第3の凹型テーパ32が外側に広がるように変形する。
また、頂面41bと底面33が当接した状態でも、後端面34と組合せ面42aの間には、僅かな隙間が残っている。
成形用金型Aを使用する際には、固定側本体部材30の第3の凹型テーパ32に固定側入れ子40の第3の凸型テーパ41cを嵌合させ、ノックピン62で互いの位置合わせをし、ボルト61で両者を締結する。この組立作業により、第3の凹型テーパ32と第3の凸型テーパ41cとが当接した後、ボルト61の締結力により頂面41bと底面33とが当接する。そのため、第1の凹型テーパ31に対するキャビティ形成部41におけるキャビティ面41aの位置が正確に決まる。つまり、頂面41bと底面33との当接により中心軸Z方向の位置が決まり、第3の凹型テーパ32と第3の凸型テーパ41cとの当接によりと中心軸Zに直交する方向の位置が正確に決まる。また、ノックピン62により、中心軸Z周りの位置も正確に決まる。
この時、図3(a)に示す拡大断面図のように、最初に第1の凸型テーパ11bと第1の凹型テーパ31とが当接する。その後、型締め力により、主として固定側本体部材30が外側に広がるように弾性変形し、第1の凸型テーパ11bが第1の凹型テーパ31にさらに入り込んで第1の凸型テーパ11bの先端面11aと第1の凹型テーパ31の底面31aとが当接する。これにより、可動金型A1と固定金型A2の中心軸Z方向の位置が正確に決まり、中心軸Zに直交する方向の位置を含めた両者の相対的な位置が正確に定まる。したがって、可動金型A1側のキャビティ面21aと固定金型A2側のキャビティ面41aとの相対的な位置を正確に決めることができる。
次に、第1の実施形態の変形例として、図4を参照して本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態に係る成形用金型の断面図である。なお、第1実施形態と同様の部分は、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図4に示すように、第2実施形態に係る成形用金型Bは、可動金型B1と、固定金型B2とからなる。
こうして、可動側本体部材10′と可動側入れ子70との中心軸Z方向の位置と、中心軸Zに直交する位置との双方が正確に位置決めされ、第1の凸型テーパ11b′と可動側入れ子70のキャビティ面75との互いの位置関係が正確になる。
固定側本体部材30′は、第1実施形態の固定側本体部材30と同様に、中心軸Zに沿って(第1の凹型テーパ31と同心に)第3の凹型テーパ32′を有している。第3の凹型テーパ32′の底面33′は、中心軸Zに直交する平面からなる。底面33′の中央には、キャビティCに通じる円柱状の中空形状からなる穴部35′が形成されている。
また、固定側本体部材30′の後端面34は、中心軸Zに直交する平面を有してなる。
このようにして組み合わされた固定側本体部材30′と固定側入れ子40′は、互いの位置が正確に合わされているので、第1の凹型テーパ31と固定側入れ子40′のキャビティ面41aとが正確な位置関係になる。
例えば、前記した成形用金型では、主として凹型テーパの外側の部分が弾性変形するように構成したが、凸型テーパ(第1〜第3の凸型テーパ)をより弾性変形し易く構成することもできる。
さらに、実施形態においては、本体部材と入れ子とを取り外し容易な構成としたが、特に取り外す必要がない場合には、入れ子構造とせずに一体の構成としたり、もしくは、入れ子を本体部材に圧入、焼きばめにより固着させてもよい。
A2,B2 固定金型
10,10′ 可動側本体部材
11a 先端面
11b,11b′ 第1の凸型テーパ
11c′ 第2の凹型テーパ
11d′ 底部
20 入れ子
21a キャビティ面
22a 突き当て面
30,30′ 固定側本体部材
31 第1の凹型テーパ
31a 底面
32,32′ 第3の凹型テーパ
33,33′ 底面
34 後端面
35′ 穴部
40,40′ 入れ子
41a キャビティ面
41b 頂面
41c,41c′ 第3の凸型テーパ
70 入れ子
71 第2の凸型テーパ
72 突き当て面
75 キャビティ面
A,B 成形用金型
C キャビティ
W 成形品
Z 中心軸
Claims (6)
- 第1の金型と第2の金型との間でキャビティを形成し、当該キャビティ内で成形品を成形するための成形用金型であって、
前記第1の金型は、前記第2の金型に向かって先細りとなる第1の凸型テーパを有し、
前記第2の金型は、前記第1の凸型テーパに嵌合可能な第1の凹型テーパを有し、
前記第1の凸型テーパおよび前記第1の凹型テーパは、互いに嵌合させたときに、最初に互いのテーパ面が当接するとともに、その後第1の金型と第2の金型の型締め力により前記第1の金型と前記第2の金型の前記キャビティ周りの互いの型割面が当接するように形成されたことを特徴とする成形用金型。 - 前記第1の金型は、前記キャビティの表面の少なくとも一部を有する第1の入れ子と、当該第1の入れ子を取り囲む第1の本体部材とからなり、
前記第1の入れ子は、第2の凸型テーパを有するとともに、前記第1の本体部材は当該第2の凸型テーパに嵌合可能な第2の凹型テーパを有し、
前記第2の凸型テーパおよび前記第2の凹型テーパは、互いに嵌合させたときに、最初に互いのテーパ面が当接するとともに、その後、第1の入れ子と第1の本体部材を互いに押し付け合う所定の押圧力により、前記第2の凸型テーパおよび前記第2の凹型テーパの軸に直交する面同士で当接されたことを特徴とする請求項1に記載の成形用金型。 - 前記第1の入れ子は前記第1の凸型テーパの内側かつ同心に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の成形用金型。
- 前記第2の金型は、前記キャビティの表面の少なくとも一部を有する第2の入れ子と、当該第2の入れ子を取り囲む第2の本体部材とからなり、
前記第2の入れ子は、第3の凸型テーパを有するとともに、前記第2の本体部材は当該第3の凸型テーパに嵌合可能な第3の凹型テーパを有し、
前記第3の凸型テーパおよび前記第3の凹型テーパは、互いに嵌合させたときに、最初に互いのテーパ面が当接するとともに、その後、第2の入れ子と第2の本体部材を互いに押し付け合う所定の押圧力により、前記第3の凸型テーパおよび前記第3の凹型テーパの軸に直交する面同士で当接されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の成形用金型。 - 前記第2の入れ子は前記第1の凹型テーパの内側かつ同心に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の成形用金型。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項の成形用金型を用い、前記第1の金型と前記第2の金型を合わせて型閉めし、このときの型締め力により前記第1の金型と前記第2の金型の互いの型割面を当接させる工程と、
前記キャビティ内に材料を射出する工程と、
前記第1の金型と前記第2の金型とを型開きする工程と、
前記キャビティから成形品を取り出す工程とを有することを特徴とする成形品の製造方法。
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