JP2002187171A - 樹脂パイプの成形方法 - Google Patents

樹脂パイプの成形方法

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JP2002187171A
JP2002187171A JP2000385150A JP2000385150A JP2002187171A JP 2002187171 A JP2002187171 A JP 2002187171A JP 2000385150 A JP2000385150 A JP 2000385150A JP 2000385150 A JP2000385150 A JP 2000385150A JP 2002187171 A JP2002187171 A JP 2002187171A
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cavity
molding
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gate
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JP2000385150A
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Kota Kono
耕太 河野
Takuya Morooka
琢哉 諸岡
Takashi Tsuda
孝 津田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法精度,表面精度に優れた樹脂パイプを得
ることができる樹脂パイプの成形方法を提供することを
目的とする。 【解決手段】 可動型3に入れ子4の一端部が嵌着され
る支持コマ7を取り付けると共に、固定型2にゲートコ
マ5を取り付け、支持コマ7のテーパ面とコア6基端部
のテーパ面とを接合させて該支持コマを介して上記入れ
子の一端部を位置決めすると共に、ゲートコマのテーパ
面と上記入れ子のテーパ面とを接合させて該入れ子の他
端部を位置決めすることにより、上記コアをキャビティ
ー41内の所定位置に正確に配置固定して、成形操作を
行うことを特徴とする樹脂パイプの成形方法を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真装置や静
電記録装置に用いられる感光ドラム用の円筒状基体、現
像スリーブ、現像ローラ、中間転写ドラム用の基体など
として好適に用いられる樹脂パイプの形成方法に関し、
更に詳述すれば、得られる樹脂パイプの寸法精度及び表
面精度を効果的に向上させることができ、上記電子写真
プロセスに用いられるパイプ状部材に求められる寸法精
度及び表面精度を容易に達成することができる樹脂パイ
プの成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】複写
機、ファクシミリ、プリンター等における静電記録プロ
セスでは、まず、感光ドラムの表面を一様に帯電させ、
この感光ドラム表面に光学系から映像を投射して光の当
たった部分の帯電を消去することによって静電潜像を形
成し、次いで、この静電潜像にトナーを供給してトナー
の静電的付着によりトナー像を形成し、これを紙,OH
P,印画紙等の記録媒体へと転写することにより、プリ
ントする方法が採られている。
【0003】このような静電記録プロセスに用いられる
感光ドラムとしては、従来、図5に示した構造のものが
一般に用いられている。
【0004】即ち、良導電性を有する円筒状基体aの両
端にフランジb1,b2を嵌合固定すると共に、該円筒
状基体aの外周面に感光層cを形成したものが一般に用
いられており、通常、この感光ドラムは、図5に示され
ているように、電子写真装置の本体dに設けられた支持
軸e,eが両フランジb1,b2に設けられた軸孔f,
fに挿入されて回転自在に支持され、一方のフランジb
1に形成された駆動用ギアgにモータ等の駆動源と連結
されたギアhを歯合させ、回転駆動されるようになって
いる。
【0005】この場合、上記円筒状基体1を形成する材
料としては、比較的軽量で機械加工性にも優れ、かつ良
好な導電性を有することから、アルミニウム合金が従来
から用いられているが、近年、軽量化や加工の容易性、
製造コストなどの観点からアルミニウム合金製の円筒状
基体に代えて、導電性樹脂からなる樹脂パイプを上記円
筒状基体1として用いることが提案,実施されている。
【0006】この場合、感光ドラム用基体として用いら
れる樹脂パイプは、一般にポリアセタール(POM)、
ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファィ
ド(PPS)等の熱可塑性成樹脂にカーボンなどの導電
剤を分散混合した導電性樹脂組成物を射出成形して製造
されている。具体的には、図4に示したように、金型本
体i内に円筒状の入れ子jを挿入してキャビティーkを
金型本体iに形成し、該金型本体iの一端にゲートmが
設けられた固定型nを接合すると共に、他端に円柱状の
コアpを有する可動型qを接合して、該コアpを上記キ
ャビティーh内に挿入配置し、該コアpの外周面と上記
キャビティーhの内周面との間に形成された成形用空間
部に上記ゲートmから上記導電性樹脂を溶融させた樹脂
成形材料を射出注入して、樹脂パイプrを成形する方法
が一般に採られている。
【0007】しかしながら、この従来の成形法では、上
記感光ドラム用基体などで要求される高度な寸法精度及
び表面精度を十分に満足する樹脂パイプを得ることは、
必ずしも容易ではない。
【0008】即ち、上記図4に示した射出成形法による
樹脂パイプの成形では、型組、成形、型分離、脱型を繰
り返して樹脂パイプを連続的に成形するが、この型組か
ら脱型までの操作を繰り返すうちに、入れ子jやコアq
の配置位置が微妙にずれる場合があり、常に良好な寸法
精度を有する樹脂パイプを得ることが困難である。ま
た、上記コアpとキャビティーh内面との間の成型用空
間部に樹脂成形材料を射出注入する際、樹脂成形材料の
注入によりキャビティー内圧が上昇し、特にゲートmか
ら遠い側の端部では逃げ場のなくなった空気により樹脂
の充填率が低くなる場合もあり、成形不良に至らない場
合でもこれが寸法精度や表面精度を低下させる原因とな
る場合がある。更に、成形された樹脂パイプを金型から
脱型する際に、パイプの表面精度が劣化する場合もあ
る。
【0009】また、パイプ状成形物の成形法としては、
効率上の観点から見れば押出成形法が射出成形法に優る
ものであるが、押出成形法では十分な寸法精度を達成す
ることは更に困難であり、感光ドラム用基体などに要求
される高度な寸法精度を達成することは難しい。
【0010】このため、従来は射出成形でも押出成形で
も、成形後に切断,表面研削などの後加工を行って、必
要な寸法精度及び表面精度を出しているが、これがコス
ト高を招く原因の1つとなっており、また成形時の寸法
精度や表面精度が低すぎて後加工により十分な精度を出
すことが困難な場合もあり、歩留まりが低くなるという
問題もある。
【0011】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、感光ドラム用基体などの高度な寸法精度,表面精度
が要求される用途にも好適に用いることができる、高精
度な樹脂パイプを得ることができる樹脂パイプの成形方
法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、下記成形方法を提供する。即ち、金型本体
内に円筒状の入れ子を挿入してキャビティーを形成し、
該金型本体の一端に樹脂成形材料注入用のゲートが設け
られた固定型を接合すると共に、他端に円柱状のコアを
有する可動型を接合して、該コアを上記キャビティー内
に配置し、該コアの外周面と上記キャビティーの内周面
との間に形成された成型用空間部に上記ゲートから樹脂
成形材料を射出注入して、樹脂パイプを成形する場合
に、 :上記可動型に上記入れ子の一端部が嵌着される支持
コマを取り付けると共に、上記固定型に上記ゲートが設
けられたゲートコマを取り付け、上記支持コマに形成さ
れたテーパ面と上記コアの基端部に形成されたテーパ面
とを接合させて該支持コマを介して上記入れ子の一端部
を位置決めすると共に、上記ゲートコマに設けられたテ
ーパ面と上記入れ子の他端部外周面に設けられたテーパ
面とを接合させて該入れ子の他端部を位置決めすること
により、上記コアを上記キャビティー内の所定位置に正
確に配置固定して、上記成形操作を行うことを特徴とす
る樹脂パイプの成形方法、 :上記コアの先端面に嵌合凹部を設けると共に、上記
固定型側に嵌合凸部を設け、該嵌合凹部と嵌合凸部とを
互いに嵌合させて、上記コアの先端部を位置決めするこ
とにより、該コアの先端側を上記キャビティー内の所定
位置に正確に配置固定して、上記成形操作を行うことを
特徴とする樹脂パイプの成形方法、 :上記コアの基端部外周にリング状の段差を設けると
共に、該段差の端面に開口するガス抜き溝をコアの基端
部外周面に成形し、該ガス抜き溝の開口が上記成型用空
間部の端面に開口するように型組し、該ガス抜き溝によ
りキャビティー内からガス抜きすることによって、上記
樹脂成形材料の射出注入によるキャビティー内圧の上昇
を緩和させることを特徴とする樹脂パイプの成形方法、 :上記コア内にコア冷却用配管を施すと共に、上記金
型本体に上記入れ子の周囲を取り巻くようスパイラル配
管を施し、これら配管に温度調節媒体を流通させて上記
コアの温度を比較的低く保持すると共に、上記スパイラ
ル配管によって上記キャビティー内周面を上記コア温度
よりもやや高い温度で均一に温調することを特徴とする
樹脂パイプの成形方法、及び、 :上記の位置決め操作、の位置決め操作、のガ
ス抜き操作、及びの温調操作の2以上を実施すること
を特徴とする樹脂パイプの成形方法、を提供する。
【0013】上記の発明は、上記キャビティーを形成
する入れ子の両端部をそれぞれ上記可動型に取り付けた
支持コマと上記固定型に取り付けたゲートコマで支持
し、かつ上記支持コマと可動型に設けられたコアの基端
部とを互いのテーパ面を接合させることにより、該支持
コマを介して入れ子の一端部とコアとの位置関係を正確
に位置決めすると共に、上記入れ子の他端部と上記ゲー
トコマとを互いのテーパ面を接合させることにより、該
入れ子の他端部を正確に位置決めするようにしたもので
ある。
【0014】これにより、上記コアが、入れ子により形
成されたキャビティーの所定位置に正確に配置固定さ
れ、寸法精度に優れた樹脂パイプが確実に得られもので
ある。また、このコアの位置決めは、上述のようにテー
パ面同士の接合によって行われるので、型組、成形、型
分離、脱型を繰り返しても、型組する際には上記テーパ
面の作用によって常に上記コアがキャビティーの所定位
置に正確にセットされ、所定の寸法精度を確実に達成す
ることができるものである。
【0015】また、上記の発明は、上記コアの先端面
に設けた嵌合凹部と、ゲートが設けられる固定型側に設
けた嵌合凸部とを嵌合させて、コアの先端部を正確に位
置決めすることにより、該コアの先端側を上記キャビテ
ィー内の所定位置に正確に配置固定するようにしたもの
であり、これにより固定型側に設けられたゲートから射
出注入される樹脂成形材料の射出圧によるコアの位置ず
れを確実に防止し得、寸法精度に優れた樹脂パイプが確
実に得られるものである。この場合、コアの先端面に凸
部を形成し、この凸部を固定型側に設けられた凹部に嵌
合させた場合には、樹脂成形材料の射出圧によりコアの
先端側が位置ずれし易く、本発明の目的を達成すること
ができない。
【0016】上記の発明は、固定型側(コアの先端
側)からキャビティー内に射出注入された樹脂成形材料
によって可動型側(コアの基端側)に押し込められ加圧
圧縮される空気を、上記コアの基端部に設けたガス抜き
溝によってキャビティー外へと逃がし、キャビティー内
圧の上昇による成形材料の充填率の不均一化によって生
じる寸法精度,表面精度の低下を確実に防止するように
したものである。
【0017】更に、上記の発明は、上記コア内に設け
たコア冷却用配管、及び金型本体に入れ子の周囲を取り
巻くように設けたスパイラル配管に水等の温度調節媒体
を流通させて、温調を行いながら成形を行うものであ
る。この場合、上記コアの温度を比較的低く調整して成
形物(樹脂パイプ)内面側を比較的急速に冷却すること
により、成形物(樹脂パイプ)を積極的に収縮させ、こ
れにより成形物(樹脂パイプ)のキャビティーからの脱
型を容易ならしめ、キャビティーの抜き勾配を不要にし
得ると共に,脱型時の表面荒れを効果的に防止すること
によって、寸法精度,表面精度の向上を図ることができ
る。また、上記スパイラル配管によりキャビティーの内
面側を上記コアよりも高めの温度に調整すると共に、キ
ャビティーの軸方向に対して均一温調して、成形物(樹
脂パイプ)外面側を比較的緩徐に冷却することによっ
て、寸法精度(真直度,振れ等)及び表面転写性(表面
精度)を向上させるようにしたものである。
【0018】そして、上記の発明は、これら位置決め
操作(及び)、ガス抜き操作()及び温調操作
()の2以上を適宜組み合わせることにより、得られ
る樹脂パイプの寸法精度,表面精度をより効果的に向上
させるものであり、特にこれらの操作をすべて行うこと
により、寸法精度及び表面精度が非常に優れた樹脂パイ
プが確実に得られるものである。
【0019】
【発明の実施の形態及び実施例】以下、実施例を示して
本発明をより具体的に説明する。図1は、本発明の成形
方法により、樹脂パイプを成形するための金型構造の一
例を示すものであり、成型用のキャビティーが設けられ
る金型本体1の一端に固定型2を接合すると共に、他端
に可動型3を接合して型組したものである。
【0020】上記金型本体1には、両端が開放した円柱
状の空洞部11が形成されており、この空洞部11内に
円筒状の入れ子4が挿入され、該入れ子4の内側に成形
用のキャビティー41が形成されている。また、この金
型本体1の上記空洞部11の周囲には、上記入れ子3を
螺旋状に取り巻くようにスパイラル配管12が設けられ
ていると共に、更にこのスパイラル配管12の外側にも
温調用の配管13が設けられており、上記スパイラル配
管12により上記キャビティー14の内周面温度を調整
すると共に、上記配管13により金型本体1全体の温度
を調整するようになっている。
【0021】上記固定型2には、溶融した樹脂成形材料
を上記キャビティー14内に射出注入するためのゲート
51を有するゲートコマ5が取り付けられている。この
ゲートコマ5の上記金型本体1との接合面には、図3に
示したように、内周面がテーパ面53とされている凹部
52が設けられており、この凹部52内に金型本体1の
端面から突出した上記入れ子4の端部が嵌入している。
この場合、図3に示されているように、金型本体1の端
面から突出した上記入れ子4の端部外周面はテーパ面4
2とされており、このテーパ面42と上記凹部5のテー
パ面53とが接合して、入れ子4の端部が正確に位置決
めされた状態で固定型2に支持固定されている。
【0022】また、上記ゲートコマ5の上記凹部52中
心部には、図3に示されているように、後述するコア6
の先端部と嵌合する嵌合凸部54が突設されている。更
に、図1に示されているように、固定型2には、上記ゲ
ートコマ5を囲むように温調用の配管55が設けられて
おり、この配管55によりゲートコマ5の温度が調節さ
れるようになっている。
【0023】上記可動型3には、図1に示されているよ
うに、円柱状のコア6が設けられており、このコア6が
上記キャビティー41内に挿入され、図3に示されてい
るように、このコア6の先端面に設けられた嵌合凹部6
1に上記ゲートコマ5の嵌合凸部54が嵌合して、コア
6の先端側が所定位置に位置決めされるようになってい
る。
【0024】また、このコア6の基端部外周面には、図
2に示されているように、テーパ面62が形成されてい
ると共に、該テーパ面62の終端はリング状の段差63
となっており、更にこのテーパ面62にはコア6の軸方
向に沿って複数のガス抜き溝64(図では4本)が均等
に配置形成されている。この場合、上記段差63は、入
れ子4の内周面(キャビティー41の内周面)とコア6
の外周面との間に形成される成形用空間部の端面の一部
を形成すると共に、この成型用空間部の端面に上記各ガ
ス抜き溝64が開口している。
【0025】更に、このコア6内には、図1に示されて
いるように、コア冷却用配管65が設けられており、コ
ア6の温度を調節できるようになっている。
【0026】この可動型3の接合面には、図1に示され
ているように、内周面がテーパ面31とされた円錐台状
の凹部32が形成されており、この凹部32の中心部に
上記コア6が突設されていると共に、この凹部32内に
は上記コア6の基端部外周に接合した状態で支持コマ7
が取り付けられている。この支持コマ7の金型本体1と
の接合面には、凹部71が設けられており、この凹部7
1内に金型本体1の端面から突出した上記入れ子4の端
部が嵌入している。これにより、入れ子4の端部がこの
支持コマ7を介して可動型3に支持されている。
【0027】ここで、上記支持コマ7とコア6の基端部
外周とは、図2(A)に示されているように、互いのテ
ーパ面62と72とが接合した状態となっており、これ
により支持コマ7を介して上記入れ子4の端部とコア6
との位置関係が正確に位置決めされている。更に、図1
に示されているように、支持コマ7の外周面もテーパ面
73とされており、このテーパ面73と可動型3に設け
られた凹部32内周のテーパ面31とが接合し、入れ子
4の端部がこの支持コマ7を介して可動型3に対しても
所定位置に正確に位置決めされている。
【0028】上記金型構造を構成する各部材の材質は、
特に制限されるものではなく、通常の射出成形用金型に
用いられるものでよいが、特にHRC35〜60の硬度
を有するものであることが好ましい。この場合、NAK
55などの快削鋼を用いる場合には、表面にハードC
r,Niなどのめっき処理や、窒化,ホウ化などの拡散
処理、PVD,CVDなどの蒸着処理を行ってもよい。
【0029】また、キャビティー41を形成する入れ子
4内周面の表面粗さは、特に制限されるものではない
が、得られる樹脂パイプの表面精度に直接的に影響する
ため、感光ドラム用基体を得る場合などの高度な表面精
度が要求される場合には、中心線平均粗さRa0.15
μm以下、最大高さRmax0.8μm以下とすること
が好ましく、上記入れ子4の内周面にホーニング加工に
よる鏡面仕上げを施すことによりこのような表面粗さを
達成すればよい。
【0030】上述のように、金型本体1、固定型2及び
可動型3を接合して型組し、上記各配管12,13,5
5,65に水等の温度調節媒体を流通させて各部の温度
調節を行いながら、上記コア6の外周面と上記入れ子4
の内側に形成されたキャビティー41の内周面との間に
形成された成形用空間部に上記ゲート51から溶融した
樹脂成形材料を射出注入して樹脂パイプ8を成形する。
【0031】ここで、上記各配管による温調は、次のよ
うに行う。即ち、コア6の温度を上記コア冷却用配管6
5により比較的低い温度に調整し、かつキャビティー4
1の内周面(入れ子4の内周面)を上記スパイラル配管
12により上記コア6の温度よりもやや高い温度に調節
すると共に、キャビティー41内周面を軸方向に対して
均一温度に調整する。また、上記配管13により金型本
体1全体の温度を調整して上記スパイラル配管12によ
る温度調節を容易に行うようにする。更に、配管55に
よりゲートコマ5の周囲の温度を調節して、溶融した樹
脂成形材料の射出注入を容易ならしめるようにする。
【0032】これら配管12,13,55,65により
調節される各部の具体的温度は、用いられる樹脂成形材
料、成形物(樹脂パイプ)の寸法や形状などに応じて適
宜設定され、特に制限されるものではないが、通常は次
の範囲に調整すればよい。 コア冷却配管65によるコア6の温度調節:40〜1
00℃ スパイラル配管12によるキャビティー41の温度調
節:80〜150℃(ただし、よりも高くなるように
設定) 配管13による金型本体1全体の温度調節:130〜
170℃(ただしよりもやや高くなるように設定) 配管55によるゲートコマ5周囲の温度調節:80〜
130℃
【0033】なお、上記以外の成形条件は、使用する樹
脂成形材料や目的とする樹脂パイプの用途などに応じ
て、通常の条件とすればよい。
【0034】上記金型構造及び温度調節により成形を行
うことによって、寸法精度及び表面精度に優れた樹脂パ
イプを確実かつ容易に得ることができる。即ち、上記金
型構造では、上記キャビティー41を形成する入れ子4
の両端部をそれぞれ上記可動型3に取り付けた支持コマ
7と上記固定型2に取り付けたゲートコマ5で支持し、
かつ上記支持コマ7と可動型3に設けられたコア6の基
端部とを互いのテーパ面62,72(図2参照)を接合
させることにより、該支持コマ7を介して入れ子4の一
端部とコア6との位置関係を正確に位置決めすると共
に、上記入れ子4の他端部と上記ゲートコマ5とを互い
のテーパ面42,53(図3参照)を接合させることに
より、該入れ子4の他端部を正確に位置決めし、上記コ
ア6が、入れ子4により形成されたキャビティー41の
所定位置に正確に配置固定されるので、寸法精度に優れ
た樹脂パイプが確実に得られものである。また、このコ
ア6の位置決めは、上述のようにテーパ面同士の接合に
よって行われるので、型組、成形、型分離、脱型を繰り
返しても、型組する際には上記テーパ面の作用によって
常に上記コア6がキャビティー41の所定位置に正確に
セットされ、所定の寸法精度を確実に達成することがで
きるものである。
【0035】また、上記コア6の先端面に設けた嵌合凹
部61(図3参照)と、固定型2に取り付けたゲートコ
マ5の嵌合凸部54(図3参照)とを嵌合させて、コア
6の先端部を正確に位置決めすることにより、該コア6
の先端側が上記キャビティー41内の所定位置に正確に
配置固定されるので、ゲート51から射出注入される樹
脂成形材料の射出圧によるコア6の位置ずれが確実に防
止され、寸法精度に優れた樹脂パイプが確実に得られる
ものである。
【0036】更に、樹脂成形材料を射出注入する際、固
定型2側(コア6の先端側)からキャビティー41内に
射出注入された樹脂成形材料によって可動型3側(コア
6の基端側)に押し込められ加圧圧縮される空気が、上
記コア6の基端部に設けたガス抜き溝64によってキャ
ビティー41外へと逃がされ、キャビティー内圧の上昇
による成形材料の充填率の不均一化によって生じる寸法
精度,表面精度の低下が確実に防止される。
【0037】また更に、上記コア6内に設けたコア冷却
用配管65、及び金型本体1に入れ子4の周囲を取り巻
くように設けたスパイラル配管12による温調によっ
て、射出注入された樹脂成形材料の冷却固化の進行を調
整し、寸法精度,表面精度の向上が図られる。
【0038】即ち、上記コア6の温度を比較的低く調整
して成形物8(樹脂パイプ)内面側を比較的急速に冷却
することにより、成形物8(樹脂パイプ)を積極的に収
縮させ、これにより成形物8(樹脂パイプ)のキャビテ
ィー41からの脱型を容易ならしめ、キャビティー41
の抜き勾配を不要にし得ると共に,脱型時の表面荒れを
効果的に防止し得、寸法精度,表面精度の向上を図るこ
とができる。
【0039】また、上記スパイラル配管12によりキャ
ビティー41の内面側を上記コア6よりも高めの温度に
調整すると共に、キャビティー46の軸方向に対して均
一に温調して、成形物8(樹脂パイプ)外面側を比較的
緩徐に冷却することにより、寸法精度(真直度,振れ
等)及び表面転写性(表面精度)を向上させるものであ
る。この場合、上記スパイラル配管12の外側に配設さ
れた配管13により金型本体1全体が温調されることに
より、上記スパイラル配管12による温調がより確実か
つ安定的に行われ、上記寸法精度(真直度,振れ等)及
び表面転写性(表面精度)の向上がより確実に図られ
る。
【0040】このように、本実施例の成形方法によれ
ば、上記位置決め操作、ガス抜き操作及び温調操作によ
り、寸法精度及び表面精度に優れた樹脂パイプを確実に
得ることができるものである。
【0041】次に、上記成形方法の実施試験及び比較試
験を行った結果を示す。 [実施試験]上記図1に示された構造の金型を用い、下
記組成の樹脂成形材料を射出成形して、外径24mm、
長さ260mm、肉厚2mmの導電性樹脂パイプを得
た。樹脂成形材料の組成 ナイロン66とナイロン6との等量混合物 70重量% チタン酸カリウムウィスカー 18重量% カーボンブラック 12重量%
【0042】得られた樹脂パイプにつき、JIS B0
021に規定の「全振れ」、及び真直度」を測定すると
共に、JIS B0601に規定の「表面粗さ」を測定
した。その結果、全振れ:45μm、真直度:36μ
m、中心線平均粗さRa:0.04μm、最大高さRm
ax:0.45μmが達成されており、非常に優れた寸
法精度及び表面精度を有していた。
【0043】[比較試験]図3におけるテーパ面53と
テーパ面42とのテーパ面同士の接合を行わず、また図
3とは逆にコア側に凸部、固定型側に凹部を設けてこれ
らを嵌合することにより、図4のようにして固定型と入
れ子及びコアを接合し、その他は上記図1と同様に型組
した金型を用いて、上記実施試験と同様に導電性樹脂パ
イプを成形した。
【0044】得られた樹脂パイプにつき上記実施試験と
同様に「全振れ」、「真直度」、「表面粗さ」を測定し
たところ、表面粗さはほぼ同等であったものの、全振れ
が80μm、真直度:50μmと、寸法精度に劣るもの
であった。
【0045】以上、実施例を示して本発明を説明した
が、本発明の樹脂パイプの成形方法は、上記実施例に限
定されるものではなく、上記金型構造を構成する部材及
びその構成は、適宜、変更,省略することができる。例
えば、配管13や55は場合によっては省略することも
でき、また上記実施例ではピンゲートを用いた例を示し
たが、ゲートはフィルムゲートやディスクゲートでもよ
く、更にコア6やキャビティー41には適宜な抜きテー
パを設けることができ、その他の構成についても本発明
の要旨を逸脱しない限り適宜変更,省略することができ
る。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の樹脂パイ
プの成形方法によれば、寸法精度,表面精度に優れた樹
脂パイプを確実かつ容易に得ることができ、例えば高度
な寸法精度,表面精度が要求される感光ドラム用の基体
を製造する場合でも、成形後の切削,研磨加工などの仕
上げ工程を省略又は簡略化することが可能であり、製造
コストの削減及び歩留まりの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂パイプの成形方法を実施するため
の金型構造の一例を示す断面図である。
【図2】(A)は同金型構造を構成するコアと支持コマ
とのテーパ合わせ面を示す拡大断面図であり、(B)は
同コアの基端部を示す拡大断面図である。
【図3】同金型構造を構成するゲートコマと入れ子及び
コア先端との接合部分を示す拡大断面図であり、(A)
は非接合状態、(B)は接合状態である。
【図4】従来の金型構造を示す概略断面図である。
【図5】感光ドラムの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 金型本体 12 スパイラル配管 2 固定型 3 可動型 4 入れ子 41 キャビティー 42 テーパ面 5 ゲートコマ 51 ゲート 53 テーパ面 54 嵌合凸部 6 コア 61 嵌合凹部 62 テーパ面 63 段差 64 ガス抜き溝 7 支持コマ 72 テーパ面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/16 G03G 15/16 21/00 350 21/00 350 // B29L 23:00 B29L 23:00 Fターム(参考) 2H032 BA08 2H035 CA07 CB02 2H077 AC04 AD06 FA00 4F202 AG08 AR06 CA11 CB01 CK06 CK42 CN01 4F206 AG08 AR064 JA07 JL02 JM05 JN43 JQ03 JQ81

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型本体内に円筒状の入れ子を挿入して
    キャビティーを形成し、該金型本体の一端に樹脂成形材
    料注入用のゲートが設けられた固定型を接合すると共
    に、他端に円柱状のコアを有する可動型を接合して、該
    コアを上記キャビティー内に配置し、該コアの外周面と
    上記キャビティーの内周面との間に形成された成型用空
    間部に上記ゲートから樹脂成形材料を射出注入して、樹
    脂パイプを成形する成形方法において、上記可動型に上
    記入れ子の一端部が嵌着される支持コマを取り付けると
    共に、上記固定型に上記ゲートが設けられたゲートコマ
    を取り付け、上記支持コマに形成されたテーパ面と上記
    コアの基端部に形成されたテーパ面とを接合させて該支
    持コマを介して上記入れ子の一端部を位置決めすると共
    に、上記ゲートコマに設けられたテーパ面と上記入れ子
    の他端部外周面に設けられたテーパ面とを接合させて該
    入れ子の他端部を位置決めすることにより、上記コアを
    上記キャビティー内の所定位置に正確に配置固定して、
    上記成形操作を行うことを特徴とする樹脂パイプの成形
    方法。
  2. 【請求項2】 金型本体内に円筒状の入れ子を挿入して
    キャビティーを形成し、該金型本体の一端に樹脂成形材
    料注入用のゲートが設けられた固定型を接合すると共
    に、他端に円柱状のコアを有する可動型を接合して、該
    コアを上記キャビティー内に配置し、該コアの外周面と
    上記キャビティーの内周面との間に形成された成型用空
    間部に上記ゲートから樹脂成形材料を射出注入して、樹
    脂パイプを成形する成形方法において、上記コアの先端
    面に嵌合凹部を設けると共に、上記固定型側に嵌合凸部
    を設け、該嵌合凹部と嵌合凸部とを互いに嵌合させて、
    上記コアの先端部を位置決めすることにより、該コアの
    先端側を上記キャビティー内の所定位置に正確に配置固
    定して、上記成形操作を行うことを特徴とする樹脂パイ
    プの成形方法。
  3. 【請求項3】 金型本体内に円筒状の入れ子を挿入して
    キャビティーを形成し、該金型本体の一端に樹脂成形材
    料注入用のゲートが設けられた固定型を接合すると共
    に、他端に円柱状のコアを有する可動型を接合して、該
    コアを上記キャビティー内に配置し、該コアの外周面と
    上記キャビティーの内周面との間に形成された成型用空
    間部に上記ゲートから樹脂成形材料を射出注入して、樹
    脂パイプを成形する成形方法において、上記コアの基端
    部外周にリング状の段差を設けると共に、該段差の端面
    に開口するガス抜き溝をコアの基端部外周面に成形し、
    該ガス抜き溝の開口が上記成型用空間部の端面に開口す
    るように型組し、該ガス抜き溝によりキャビティー内か
    らガス抜きすることによって、上記樹脂成形材料の射出
    注入によるキャビティー内圧の上昇を緩和させることを
    特徴とする樹脂パイプの成形方法。
  4. 【請求項4】 金型本体内に円筒状の入れ子を挿入して
    キャビティーを形成し、該金型本体の一端に樹脂成形材
    料注入用のゲートが設けられた固定型を接合すると共
    に、他端に円柱状のコアを有する可動型を接合して、該
    コアを上記キャビティー内に配置し、該コアの外周面と
    上記キャビティーの内周面との間に形成された成型用空
    間部に上記ゲートから樹脂成形材料を射出注入して、樹
    脂パイプを成形する成形方法において、上記コア内にコ
    ア冷却用配管を施すと共に、上記金型本体に上記入れ子
    の周囲を取り巻くようスパイラル配管を施し、これら配
    管に温度調節媒体を流通させて上記コアの温度を比較的
    低く保持すると共に、上記スパイラル配管によって上記
    キャビティー内周面を上記コア温度よりもやや高い温度
    で均一に温調することを特徴とする樹脂パイプの成形方
    法。
  5. 【請求項5】 金型本体内に円筒状の入れ子を挿入して
    キャビティーを形成し、該金型本体の一端に樹脂成形材
    料注入用のゲートが設けられた固定型を接合すると共
    に、他端に円柱状のコアを有する可動型を接合して、該
    コアを上記キャビティー内に配置し、該コアの外周面と
    上記キャビティーの内周面との間に形成された成型用空
    間部に上記ゲートから樹脂成形材料を射出注入して、樹
    脂パイプを成形する成形方法において、上記請求項1記
    載の位置決め操作、請求項2記載の位置決め操作、請求
    項3記載のガス抜き操作、及び請求項4記載の温調操作
    の2以上を実施することを特徴とする樹脂パイプの成形
    方法。
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