JP2006313638A - 光ディスク基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、高良品率で得ることができかつ信頼性の高い光ディスク基板の製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、ポリカーボネート樹脂を成形して、光ディスク基板を製造する方法であって、該ポリカーボネート樹脂が、粒径15μm以上である異物総個数が1個/40g以上、36個/40g以下であり、かつそのうち鉄または鉄含有異物が22個/40g以下であることを特徴とする光ディスク基板の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、異物を低減した光ディスク基板に関し、異物の総量を制限するのみならず、特にその熱物性を考慮に入れ、特定の熱物性を持つ異物の占める比率を制限したポリカーボネート樹脂よりなる光ディスク基板に関するものである。
透明熱可塑性樹脂には、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂などが存在するが、これらはコンパクトディスク、光磁気ディスク等の光ディスク基板に代表される光学用途材料として使用されている。光ディスクは基板上に形成されたミクロンサイズの凹凸を利用してレーザー光による情報の記録や再生を行う為に、基板中の異物(塵埃や炭化物など)が情報の記録や再生の信頼性に対して極めて大きな影響を与える。したがって、基板を構成する透明熱可塑性樹脂に対しては異物の量が少ないことが要求されている。こういった一連の透明熱可塑性樹脂の中でも特にポリカーボネート樹脂は、耐熱性や低吸水性に優れ、また特に透明性に優れているがゆえに、広く世界的に使用されている。この光ディスク基板材料として特に汎用的に使用されているポリカーボネート樹脂を例に取り説明すれば、基板を構成する透明熱可塑性樹脂に対しては異物の量が少ないことが要求されているため、従来は、原料中の異物を精製過程や造粒過程等においてフィルターで濾過するなどして異物の低減化を図っており、例えば特開昭61−90345号公報、特開昭63−91231号公報、特公平7−109655号公報、特開2000−173101号公報、等に記載されているような技術が提案されている。
このうち特開昭61−90345号公報には、光ディスク基板中に含まれる粒径0.5μm以上の大きさの異物の量を1×10個/g以下とし、かつこの条件を満足させるためにモノマー等の使用原料中の異物を蒸留および/または濾過によって除去するとともに、製造設備の洗浄および製造過程における異物の混入を防止する必要のあることが開示されている。
また、特開昭63−91231号公報には、信頼性の高い光ディスク基板を得るためには粒径1μm以上の大きさの異物の量を10,000個/g以下とすることが必要であり、かつこの条件を満足させるために有機溶媒により溶解せしめた溶液を濾過したり、溶融状態のときに焼結金属フィルタを通したりして異物微粒子を除去した樹脂組成物で光ディスク基板を形成する技術が開示されている。
また、特公平7−109655号公報には、光ディスク基板における情報の記録や再生に対して十分な信頼性を得るために、異物強度なる概念を用いて、特に粒径1.1μm以下の大きさの異物の量を10,000μm/g以下まで低減させる必要があると開示されている。
また、特開2000−173101号公報には、エラーが少なく、極めて信頼性の高い光ディスク基板を得るために、特に粒径区分ごとの異物個数を考慮に入れ、全ての粒径区分について異物を低減させた光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および該材料よりなる光ディスク基板についての技術が開示されている。
上記従来技術は、総異物量あるいは詳細な粒径区分ごとの異物量と最終的記録媒体の情報エラーとの関係について細かく検討しているものであるが、必ずしも実際のディスク製造工程の欠陥排除の実態を反映していない。現在、一般的に普及しているコンパクトディスク用の基板材料においては微小異物の全体量の低減のみで十分な再生信頼性が得られているが、それは一般に微小異物が少なければ総異物(より大きな異物)も少なくなるとの考えによるものである。しかしながら、デジタルバーサタイルディスク(DVD−ROM、DVD−video、DVD−R、DVD−RAM等)で代表される高密度光ディスク用の基板材料においては無差別に総異物を規制するのみでは品質および経済性の両面から見て必ずしも満足するものではないものであることがわかった。実際、光ディスク基板を生産するメーカーは日常的には欠陥検査機にて製品を検査し、良品あるいは不良品の判断をおこなっている。欠陥検査機とは、基板に光を当て、得られる透過あるいは反射光内の微小な影を検出して、良品あるいは不良品の判断をするものである。当然のことながら、この検査機に判断された特定値以上の欠陥を持つ光ディスク基板は、エラーが高く信頼性に劣るため、不良品として排除される。
このようにポリカーボネートに代表される光学用透明熱可塑性樹脂成形材料および該材料よりなる光ディスク基板についての品質的向上の要求が高まっている一方で、近年の光学式ディスク基板の普及に伴う生産量の増大から、基板生産性向上に対する要求も高まっている。現在光ディスク基板は大量生産されているが故に、たとえ数%の良品率の向上であっても光ディスク基板生産者における経済的メリットは甚大なものである。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、基板形成用樹脂中に、該樹脂との熱物性の差の大きい異物が存在すると、射出成形して基板を得る時の樹脂冷却過程において、該異物周辺の樹脂に光学的に大きな歪を生じることが判明した。これら樹脂との熱物性の差の大きい異物の周辺に生じた光学的歪は、欠陥検査機により欠陥として検出されてしまう。すなわち、該樹脂との熱物性の差の大きい異物は、結果的にその周辺の光学的歪を含めて検出される可能性が高くなり、その異物の実際の大きさ以上に大きな異物欠陥として検査機に判断される。このことが、高良品率で信頼性の高い光学用光ディス基板を得る妨げとなっていた。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、該問題点について鋭意検討を重ねた結果、樹脂中に存在する種々の異物のうち、鉄または鉄含有異物が樹脂との熱物性の差が大きいためか光学的歪みが大きいこと、その熱物性の差として比熱の差が大きく効いていることを見出した。一方で樹脂生産工程上、異物の低減は一般的に製造コストの上昇を伴うものである。本発明者らは、ある一定量以下の異物含有量を目指す場合には、樹脂生産工程上膨大なコストアップを伴わざるを得ないことも見出した。かくして、樹脂中の特定の大きさの異物量を製品品質および製造コストの両面から許容される範囲内に制限し、そのうち、樹脂との比熱の差が特定値以上の異物の占める比率を規定すること、殊に鉄または鉄含有異物の占める比率を特定値以下に規定することによって、異物の周辺に大きな光学的歪が発生するのが抑制され、驚くほど高良品率で信頼性の高い光学用ディスク基板が得られることを見出し本発明に到達した。
本発明によれば、下記(1)〜(5)の光ディスク基板の製造方法が提供される。
(1)ポリカーボネート樹脂を成形して光ディスク基板を製造する方法であって、該ポリカーボネート樹脂が、粒径15μm以上である異物総個数が1個/40g以上、36個/40g以下であり、かつそのうち鉄または鉄含有異物が22個/40g以下であることを特徴とする光ディスク基板の製造方法。
(2)該ポリカーボネート樹脂が、10,000〜22,000の粘度平均分子量を有する前記(1)項記載の方法。
(3)成形を射出成形で行う前記(1)項または(2)項記載の方法。
(4)射出成形をシリンダー温度300〜400℃、金型温度50〜140℃で行う前記(3)項記載の方法。
(5)光ディスク基板がDVD基板である前記(1)〜(4)項記載の方法。
本発明は、樹脂中に存在する異物の総量を制限するのみならず、それら種々の異物のうち、該樹脂との比熱差を基準として選択的にその異物の占める比率を制限したことを特徴とする光ディスク基板の製造方法に関するものであり、高良品率で信頼性の高い光学用光ディス基板を得られ、特にデジタルビデオディスク(DVD)等の高密度光ディスクの提供に対して、その奏する効果は格別のものである。
本発明において「異物」とは原料からポリカーボネート樹脂を製造し、さらに光ディスク基板を成形するまでのあらゆる工程から混入する汚染物質のことであり、例えば使用原料(モノマー、溶剤など)に含まれる不純物やダスト、製造設備に付着しているダストまたは成形過程で発生する炭化物など塩化メチレン等の溶媒に不溶な全ての成分を示す。
本発明によればデジタルビデオディスク等の高密度光ディスクに用いる高良品率で信頼性の高い光学用ディスク基板を得るには、該基板を成形するために供する成形材料として、前記(1)項に示す条件を満たすポリカーボネート樹脂であることが必要である。本発明の成形材料は前記(1)項の条件を満足していることが必要であり、条件が外れた材料から成形された高密度光ディスク基板では、経済的に高良品率で信頼性の高い光学用ディスク基板を得られない。
本発明において異物総個数をカウントする異物粒径を15μm以上としたのは、異物周辺の光学的歪みまで欠陥検査機が認識した場合、この位の粒径以上の異物、特に鉄含有異物が存在する場合に具体的に許容限界以上(例えば100μm以上)の欠陥として検出する場合が多いからである。但し、同じ大きさの異物であっても基板の厚さ方向のどの位置に存在するかによって光学的歪の程度が異なる。厚み方向で、中央部分から外れてくると歪は小さくなる。
このことは15μm未満の異物ならいくら存在しても良いことを意味するものではない。15μm未満の異物は別の観点から少ないほうが良い。
本発明では異物除去工程の製造コストに与える負担から、異物総個数の下限を1個/40gと設定している。該負担を軽減させる観点から言えば、3個/40gまで、さらには7個/40gまで許容することもできる。
なお、異物総個数がこれら下限値に近い場合、鉄または鉄含有異物の割合は、測定サンプルの数を増やして異物総数を多くしその平均値としてもとめることができる。
本発明で使用される樹脂は、光学用途に使用可能な透明性を有するポリカーボネート樹脂である。
ポリカーボネート樹脂は、その製法は限定されないが、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液重合法または溶融重合法で反応させて得られるものが挙げられる。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましく使用される。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を溶液重合法または溶融重合法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
溶液重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
Figure 2006313638
[式中、Aは水素原子または炭素数1〜9、好ましくは1〜8の脂肪族炭化水素基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である]。
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用することができ、これらを用いてポリカーボネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、基板としての物性、特に樹脂の吸水率を低くする効果があり、また、基板の複屈折が低減される効果もあり好ましく使用される。なかでも、下記一般式(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
Figure 2006313638
Figure 2006313638
[式中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。]
かかる式(2)の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。
また、式(3)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
これらの末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
溶融重合法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には反応系を10〜0.1Torr程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類、マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせ使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10−8〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−7〜5×10−4当量の範囲で選ばれる。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜22,000が好ましく、12,000〜20,000がより好ましく、13,000〜18,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、光学用材料として十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
原料ポリカーボネート樹脂は、従来公知の方法(溶液重合法、溶融重合法など)により製造した後、溶液状態において濾過処理をしたり、造粒(脱溶媒)後の粒状原料を例えば加熱条件下でアセトンなどの貧溶媒で洗浄したりして低分子量成分や未反応成分等の不純物や異物を除去することが好ましい。さらに射出成形に供するためのペレット状ポリカーボネート樹脂を得る押出工程(ペレット化工程)では溶融状態の時に濾過精度10μmの焼結金属フィルターを通すなどして異物を除去したりすることが好ましい。殊に樹脂との比熱の差が50[J/(kg・K)]以上である異物、就中鉄または鉄含有異物の混入量の少ない樹脂を得るには、重合原料としてかかる異物の少ない原料を選択することおよびかかる異物の発生の少ない装置を使用することなども要望される。またペレットにした後の工程でも、磁選機を設置するなどして、鉄または鉄含有異物を除去したりすることも好ましい。必要により、例えばリン系等の酸化防止剤などの添加剤を加えることも好ましい。いずれにしても射出成形前の原料樹脂は異物、不純物、溶媒などの含有量を極力低くしておくことが必要である。
上記ポリカーボネート樹脂より光ディスク基板を製造する場合には射出成形機(射出圧縮成形機を含む)を用いる。この射出成形機としては一般的に使用されているものでよいが、炭化物の発生を抑制しディスク基板の信頼性を高める観点からシリンダーやスクリューとして樹脂との付着性が低く、かつ耐食性、耐摩耗性を示す材料を使用してなるものを用いるのが好ましい。射出成形の条件としてはシリンダー温度300〜400℃、金型温度50〜140℃が好ましく、これらにより光学的に優れた光ディスク基板を得ることができる。成形工程での環境は、本発明の目的から考えて、可能な限りクリーンであることが好ましい。また、成形に供する材料を十分乾燥して水分を除去することや、溶融樹脂の分解を招くような滞留を起こさないように配慮することも重要となる。
実施例1
粘度平均分子量が15,000のビスフェノール−Aタイプのポリカーボネート樹脂パウダーを、外部異物の混入および内部異物の発生をコントロールした条件で、溶液重合法によって得た後、ペレタイズにてペレットを得た。該ペレットを、予め0.05μmのフィルターで濾過した塩化メチレンに溶解させ、この試料を15μmのフィルターにて濾過し、フィルター捕集物を得、目視にて異物個数を数えた。総異物個数は34個/40gであった。また、これら捕集異物を、XMA分析装置OXFORD社製Link ISIS 300−Iを用いてより詳細に分析したところ、鉄含有異物が14個/40g検出された。また、さらにこれら鉄含有異物のうち、SUS316よりなる異物が10個/40g検出された。製造工程内にSUS316を材質として使用されている部分があるため、このような異物が検出されたものと推察される。
次に光学用ディスク基板射出成形機である名機製作所M−35B−D−DMを使用し、シリンダ温度380℃、金型温度115℃にて連続的に1,000枚のDVD基板を成形し、得た基板の良品率をin−lineでBasler製欠陥検査機によって測定した。この欠陥検査機は、2,048ピクセルの解像度を持つラインスキャンカメラを用い、DVD基板周方向に回転し12,000スキャンすることで得たDVD基板全面の画像を、パソコン上で処理することで、その基板についての良品・不良品の判定を下すものである。欠陥検査機の良品、不良品の判定は100μmを基準としておこなった。得られた良品率の値を表1に示す。
なお、欠陥検査機が不良品と判定した基板の約100μmと認識・判定した欠陥部分を偏光板および顕微鏡を用いて目視にて良く観察したところ、ほぼその寸法の異物が存在する場合もあったが、約15μmの異物が存在する場合も多かった。約15μmの異物が存在する部分の樹脂を溶媒(クロロホルム)で溶かし、その中から異物を取り出して、上記XMA分析装置を用いて分析したところ、多くの場所でFeが検出された。
実施例2
粘度平均分子量が15,000のビスフェノール−Aタイプのポリカーボネート樹脂パウダーを、外部異物の混入および内部異物の発生をコントロールした条件で、溶液重合法によって得た。このパウダーに粒径15〜20μmのSUS316球を添加し、ペレタイズにてペレットを得た。該ペレットを、予め0.05μmのフィルターで濾過した塩化メチレンに溶解させ、この試料を15μmのフィルターにて濾過し、フィルター捕集物を得、目視にて異物個数を数えた。総異物個数は36個/40gであった。また、これら捕集異物を、XMA分析装置OXFORD社製Link ISIS 300−Iを用いてより詳細に分析したところ、鉄含有異物が22個/40g検出された。
次に実施例1と同様の良品率評価をおこなった。得られた良品率の値を表1に示す。
比較例
粘度平均分子量が15,000のビスフェノール−Aタイプのポリカーボネート樹脂パウダーを、外部異物の混入および内部異物の発生をコントロールした条件で、溶液重合法によって得た。このパウダーに粒径15〜20μmのSUS316球を添加し、ペレタイズにてペレットを得た。該ペレットを、予め0.05μmのフィルターで濾過した塩化メチレンに溶解させ、この試料を15μmのフィルターにて濾過し、フィルター捕集物を得、目視にて異物個数を数えた。総異物個数は38個/40gであった。また、これら捕集異物を、XMA分析装置OXFORD社製Link ISIS 300−Iを用いてより詳細に分析したところ、鉄含有異物が34個/40g検出された。
このペレットを使用した以外は実施例1と同様の実験をおこなった。得られた良品率の値を表1に示す。なおSUS316の比熱は503[J/(kg・K)]、ポリカーボネート樹脂の比熱は1,260[J/(kg・K)](化学装置便覧(化学工業会編/丸善株式会社))であり、両者の比熱差は50[J/(kg・K)]以上である。
Figure 2006313638
この結果から、高良品率で信頼性の高い光学用光ディス基板を得るためには、本発明に従い、樹脂中に存在する異物の総量を制限するのみならず、それら種々の異物のうち、該樹脂との比熱差を基準として選択的にその異物の占める比率を制限したポリカーボネート樹脂を使用する必要があることが分かる。

Claims (5)

  1. ポリカーボネート樹脂を成形して光ディスク基板を製造する方法であって、該ポリカーボネート樹脂が、粒径15μm以上である異物総個数が1個/40g以上、36個/40g以下であり、かつそのうち鉄または鉄含有異物が22個/40g以下であることを特徴とする光ディスク基板の製造方法。
  2. 該ポリカーボネート樹脂が、10,000〜22,000の粘度平均分子量を有する請求項1記載の方法。
  3. 成形を射出成形で行う請求項1または2に記載の方法。
  4. 射出成形をシリンダー温度300〜400℃、金型温度50〜140℃で行う請求項3記載の方法。
  5. 光ディスク基板がDVD基板である請求項1〜4記載の方法。
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