JP2006308550A - 分光偏光計測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 チャネルド分光偏光計測法において、移相子のリタデーションが試料の状態により様々に変動することによって生ずる試料の分光偏光特性を表すパラメータの計測誤差を効果的に除去する。
【解決手段】 移相子のリタデーションを一定なものとするには、移相子を通過する光の入射方向を安定させればよいということに着目して、移相子を試料に対して光源側に配置し、計測誤差に関係する試料による光線方向の変動等の影響を効果的に除去した。
【選択図】 図2

Description

この発明は、チャネルドスペクトルを用いて行う測定対象物の分光偏光特性の計測を安定化させる手法に関する。
光は、「横波」の性質を有する。互いに直交する3軸(x,y,z)を前提として、光の進行方向をz軸方向とすると、光の振動方向はxy平面に沿った方向となる。xy平面内における光の振動方向には偏りが存在する。この光の偏りは「偏光」と称される。この明細書においては、以下に、光の偏り方を「偏光状態」と称する。この偏光状態は、一般に、光の波長(色)によって異なる。
測定対象に対して、ある偏光状態の光を入射させ、透過光や反射光等の出射光を取得すると、測定対象が光に対する異方性を有すると、入射光と出射光との間で偏光状態の変化が観察される。この偏光状態の変化から、測定対象の異方性に関する情報を取得することを「偏光計測」と称する。なお、このような異方性の原因としては、分子構造の異方性、応力(圧力)の存在、局所電場や磁場の存在等が挙げられる。
入射光と出射光との間における偏光状態の変化を、各波長毎に求め、それらから測定対象の異方性に関する情報を取得することを特に「分光偏光計測」と称する。この分光偏光計測によれば、単一波長(単色)による計測の場合に比べて、格段に多くの情報を取得できる利点がある。この分光偏光計測においては、入射光と出射光の間における偏光状態の変化を計る装置、すなわち分光偏光計がキーデバイスとなる。
分光偏光計測の応用分野としては、分光エリプソメトリ分野、医療分野等が知られている。例えば、分光エリプソメトリ分野においては、薄膜の膜厚や複素屈折率を非破壊かつ非接触で計測できることから、光エレクトロニクス機器、半導体の検査、研究等への応用がなされている。医療分野においては、幾種かの細胞が偏光特性を有することから、緑内障やガン細胞の早期発見への試みがなされている。
従来の代表的な分光偏光計測法として、回転移相子法と偏光変調法とが知られている。
これらの方法では、機械的ないし電気的な偏光制御素子を用いて、計測対象光に変調をかけ、それに伴うスペクトルの変化から偏光状態、例えばストークスパラメータ等を求めている。
しかしながら、これらの計測手法には[1]機械的、又は電気的駆動装置が必要であること、[2]偏光制御装置の条件を変えながら、複数のスペクトルを繰り返し測定しなければならないこと、等の問題点が指摘されていた。
これらの問題点を解決するためにチャネルド分光偏光計測法が、先に考案された(非特許文献1参照)。
また、チャネルド分光偏光計測法を利用した分光エリプソメトリも報告されている(非特許文献2)。
チャネルド分光偏光計測法を説明するための実験系の構成図が図26に示されている。図から明らかなように、キセノンランプ1から出射された白色光を、偏光子2とバビネ・ソレイユ補償子3に透過させると、周波数νに依存した偏光状態を持つ光波が得られる。この光波のストークスパラメータのスペクトル分布S(ν)、S(ν)、S(ν)、及びS(ν)は、図中波線で囲まれた測定系4で求められる。
被測定光は、先ず、厚さ(d1,d2)の異なる2つの移相子R1,R2及び検光子Aを
順に透過したのち、分光器5に入射される。ここで、移相子R2の遅軸は移相子R1の遅軸に対して45°傾けられており、一方、検光子Aの透過軸は移相子R1の遅軸と平行とされる。
2つの移相子R1,R2のそれぞれにおいて、直交偏光成分間に生ずる位相差は周波数に依存する。このため、光スペクトルアナライザとして機能する分光器5からは、図27に示されるような3つのキャリア成分を含むチャネルドスペクトルが得られる。各々のキャリア成分の振幅と位相は、被測定光のストークスパラメータのスペクトル分布により変調されている。したがって、フーリエ変換を利用した信号処理をコンピュータ6にて施せば、各ストークスパラメータを求めることができる。
実験の結果の一例が図28に示されている。これは、移相子R1の遅軸に対して、バビネ・ソレイユ補償子3を30°傾けた場合に得られるものである。3本の実線は、それぞれ規格化されたストークスパラメータのスペクトル分布S(ν)/S(ν)、S(ν)/S(ν)、及びS(ν)/S(ν)を示している。偏光状態が周波数に依存して変化することが理解されるであろう。
このようにチャネルド分光偏光計測法によれば、分光光量の特性を周波数分析(あるいは、波数解析)すれば、各分光ストークスパラメータを求めることができる。尤も、周波数分析に先立って、2つの移相子R1,R2のそれぞれについて、リタデーションをあらかじめ求めておくことが必要である。ここで、リタデーションとは、速軸成分と遅軸成分との間に生ずる位相差のことである。
上述のチャネルド分光偏光計測法によれば、[1]回転移相子等の機械的な可動素子が不要であること、[2]電気光学的変調器等の能動的な素子が不要であること、[3]1枚のスペクトルから4つのストークスパラメータが一度に求まり、いわゆるスナップショットな測定ができること、[4]構成が簡単であり、小型化に適すること、等の利点が得られる。
加藤貴之、岡和彦、田中哲、大塚喜弘、"周波数領域干渉法に基づく偏光のスペクトル分布測定,"第34回応用物理学会北海道支部学術講演会講演予稿集(応用物理学会北海道支部、札幌、1998)、p.41 岡和彦、加藤貴之、"チャネルスペクトルを用いた分光エリプソメトリ,"第26回光波センシング技術研究会講演論文集(応用物理学会光波センシング技術研究会、2000年12月19日〜20日)、p.107−114
しかしながら、上述のチャネルド分光偏光計測法にあっては、次に挙げる理由により計測誤差が比較的に大きいと言う問題点が指摘されている。
チャネルド分光偏光計測法によって、試料の分光偏光特性を計測する際、事前に移相子のリタデーションを較正する必要がある。しかしながら、較正時と試料測定時で移相子に入射する光の入射方向が変化すると、移相子内を通過する光の距離が変わるため、リタデーションが変化してしまう。この較正時と測定時のリタデーションの変化が計測誤差の原因となっていた。 また特に、高次移相子を用いた場合等では、移相子を通過する光の光線方向の変動や、波面のみだれなどにより、大きくリタデーションが変動してしまうということも指摘されていた。
また、チャネルド分光偏光計測法を用いて、未知試料の性質を調べるには、主に、[A]試料に光を反射させ、その反射光から取得される光の偏光状態を用いて試料の性質を調べる方法と、[B]試料に光を透過させ、その透過光から取得される光の偏光状態を用いて試料の性質を調べる方法の2通りがある。その各々の場合に対しても上述のリタデーションの変動は見られる。以下その各々の場合について述べる。
[A]試料に光を反射させ、試料の分光偏光特性の測定を行う場合、事前較正時と測定時で移相子に入射する光の波面の入射方向を一定に保つことが必要となる。しかしながら、試料ごとの表面の状態や試料の設置位置のばらつき等により試料に入射する光の入射角は、図24からも明らかな通り、様々に変動し、その結果、移相子に入射する光の波面の入射方向は変動し、移相子のリタデーションを事前較正時と同様に一定に保つことは困難となる。なお、図24において、Bは試料、R1,R2はそれぞれ第1の移相子、第2の移相子、Aは検光子、矢印は光の進行方向を示す。
[B]試料に光を透過させ、試料の分光偏光特性の測定を行う場合でも同様に、事前較正時と測定時で移相子に入射する光の波面の入射方向を一定に保つことが必要となる。しかしながら、試料の傾き特性(試料表面の傾斜)による光線方向の変動(図25(a)参照)や、試料表面が粗面であること等の物質特性による光線の散乱(図25(b)参照)等により、移相子に入射する光の波面の入射方向は様々に変動し、移相子のリタデーションを事前較正時同様に一定に保つことは困難となる。なお、図25において、Cは複屈折媒質の試料、R1,R2はそれぞれ第1の移相子、第2の移相子、Aは検光子、矢印は光の進行方向を示す。
本発明は、上述したような問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、従来のチャネルドスペクトル分光偏光計測法に見られる移相子の入射角変動の問題を解消し、より一層の高精度な計測を可能とするチャネルド分光偏光計測方法及び装置を提供することにある。
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
(1)本発明の分光偏光計測方法は、測定対象物を用意するステップと偏光分光装置を用意するステップと偏光分光装置を用いて測定対象物についての分光光量を求めるステップとを含んでいる。
ここで、偏光分光装置は、投光光学系と、投光光学系から出射して測定対象物において反射又は透過した光を透過させる検光子と、検光子を透過した光の分光光量を求める手段とを含む。投光光学系は、光源と、偏光子と、複数の移相子とを備え、光源から出た光が偏光子、複数の移相子の順で透過した後に測定対象物に照射されるように光源、偏光子及び複数の移相子が配置される。
ここで、「測定対象物」とは、投光光学系と検光子との間の光路上に置かれた物体の総称である。すなわち、分光偏光計測の対象としたい分光偏光特性が未知の試料のほか、例えば位相の補償子のような、分光偏光特性が既知の偏光素子が光路上に置かれた場合においては、そのような偏光素子も「測定対象物」に含まれる。
「複数の移相子」は、光の進行方向に対して偏光子の後方に配置された、主軸方向が偏光子の透過軸の方向と異なる移相子と、その移相子のさらに後方に配置された、その移相子の主軸の方向とは異なる主軸の方向を有する他の移相子とを含んでいる。「検光子」は、互いに直交関係にある偏光成分に対して異なる透過率を示す光学素子であり、板状又はフィルム状のものに限られない。例えば偏光ビームスプリッタは、「検光子」として用いることができる。
「分光光量を求める手段」としては、分光器を用いてもよいし、波長が走査される光源を用いてもよい。波長が走査される光源が用いられる場合の受光器は受光量を検出できるものであればよく、受光量の検出タイミングが光の波長と対応付けられる。
本発明の分光偏光計測方法によれば、移相子を透過する光の方向が測定対象物によって影響されないので、分光偏光計測を高い安定性をもって行うことができる。
(2)本発明の分光偏光計測方法において、求めた分光光量を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップを含むようにしてもよい。
ここで、「分光偏光パラメータ」とは、本明細書において、測定対象物の分光偏光特性を表すパラメータの意味で用いる。
(3)投光光学系に備えられる複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子の2枚であってもよい。この場合、光源から出た光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように、投光光学系の各要素が配置されている。
(4)以下、移相子を2枚用いる場合における、分光偏光パラメータを求める3つの手法について述べる。第1の手法は、求めた分光光量から、波数に対して非周期振動性の分光光量成分(第1の分光光量成分)及び波数に対して第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第3の分光光量成分)を求め、その求めた各分光光量成分を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである。
この方法によれば、第1の移相子の主軸の方向に沿った互いに直交する直線偏光成分間の振幅比の変化率や各成分の強度減衰率などを求めることができる。また、この場合の光学配置は反射型でも透過型でもよい。すなわち、検光子に透過させる光は、投光光学系から出射して測定対象物において反射した光とすることもできるし、透過した光とすることもできるし、また測定対象物において散乱した光でもよい。この方法によって求めることができる振幅比の変化率の例としては、エリプソメトリックパラメータのひとつである振幅比の変化率の逆正接Ψ(σ)や、粒子による光の散乱に起因する振幅比の変化率がある。
(5)第2の手法は、求めた分光光量から、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との差に依存する周波数で振動する分光光量成分(第2の分光光量成分)、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との和に依存する周波数で振動する分光光量成分(第4の分光光量成分)及び波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第5の分光光量成分)の少なくとも1つを求め、求めた分光光量成分を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである。
この方法によれば、第1の移相子の主軸の方向に沿った互いに直交する直線偏光成分間の位相差の変化量などを求めることができる。また、この場合の光学配置は反射型でも透過型でもよい。すなわち、検光子に透過させる光は、投光光学系から出射して測定対象物において反射した光とすることも透過した光とすることもできるし、また測定対象物において散乱した光でもよい。この方法によって求めることができる位相差の変化量の例としては、エリプソメトリックパラメータのひとつである位相差の変化量Δ(σ)や、粒子による光の散乱に起因する位相差の変化量がある。
(6)第3の手法は、求めた分光光量から、波数に対して非周期振動性の分光光量成分(第1の分光光量成分)及び波数に対して第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第3の分光光量成分)の少なくとも1つと、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との差に依存する周波数で振動する分光光量成分(第2の分光光量成分)、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との和に依存する周波数で振動する分光光量成分(第4の分光光量成分)及び波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第5の分光光量成分)の少なくとも1つとを求め、求めた各分光光量成分を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである。
この方法によって求めることができる分光偏光パラメータの例としては、エリプソメトリックパラメータのひとつである振幅比の変化率の逆正接Ψ(σ)や粒子による光の散乱に起因する振幅比の変化率のような、第1の移相子の主軸の方向に沿った互いに直交する直線偏光成分間の振幅比の変化率がある。また、この場合の光学配置は反射型でも透過型でもよい。すなわち、検光子に透過させる光は、投光光学系から出射して測定対象物において反射した光とすることも透過した光とすることもできるし、また測定対象物において散乱した光とすることもできる。この方法によって求めることができる分光偏光パラメータの他の例としては、複屈折媒質の方位角R及びリタデーションδ(σ)がある。
(7)移相子のリタデーションは、測定対象物に照射されている計測に用いる光自体を用いて較正することができる。一方、移相子のリタデーションは、上述の偏光分光装置を用いて、測定対象物に照射されていない光を用いて較正するか、この偏光分光装置を用いずに別途較正することもできる。計測に用いる光を用いて移相子のリタデーションを較正する一つの場合は、上述の移相子を2枚用いる計測方法において、求めた分光光量から第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、求めた分光光量及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである。
この方法によって求めることができる分光偏光パラメータの例としては、エリプソメトリックパラメータのひとつである振幅比の変化率の逆正接Ψ(σ)や粒子による光の散乱に起因する振幅比の変化率のような、第1の移相子の主軸の方向に沿った互いに直交する直線偏光成分間の振幅比の変化率がある。
(8)計測に用いる光を用いて移相子のリタデーションを較正する他の場合は、移相子を2枚用いる計測方法において、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータを取得するステップを含み、求めた分光光量と、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータとから、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、求めた分光光量、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである。
「第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータ」とは、例えば、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の各波長毎の比である。
「リタデーションを求める」には、これと等価なパラメータを求める場合を含む。特に、リタデーションの情報を含む複素関数を求めることは、リタデーションと等価なパラメータを求めることに該当する。
この分光偏光計測方法によれば、移相子のリタデーションが温度変化その他の要因の変動により生じる分光偏光パラメータの計測誤差を効果的に低減することができる。
(9)移相子のリタデーションは、リタデーションの較正用基準値を用い、かつ、計測に用いる光を用いて較正してもよい。そのようにしてリタデーションを較正する一つの場合は、移相子を2枚用いる計測方法において、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータを取得するステップと、第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び第2の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))を取得するステップとを含み、求めた分光光量から、第2の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の較正用基準値(φ (i)(σ))からの変化量(Δφ(σ))とを求め、求めた第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))と、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータとを用いて、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))を求め、さらに第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び求めた第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))から第1の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、そして、求めた分光光量、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである。
「第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータ」は、例えば、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の各波長毎の比である。この各波長毎の比としては、第1の移相子の媒質と第2の移相子の媒質とが同じであれば、一般に第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の各波長毎の比を用いることができる。
計測に用いる光を用いて求める第2の移相子のリタデーションには、2πの整数倍の不定性が付随する。このこと自体は分光偏光パラメータの算出誤差に影響しないが、第2の移相子のリタデーションから第1の移相子のリタデーションを求める際に行うアンラッピング処理が第1の移相子のリタデーションの算出誤差の要因となることによって、分光偏光パラメータの算出誤差が生じることがある。アンラッピング処理とは、第2の移相子のリタデーションの値が波数変化に対して2πの範囲を超えて連続的に変化していくように第2の移相子のリタデーションの値を決定する処理である。第2の移相子のリタデーションの変化量を用いない場合は、第1の移相子のリタデーションは、アンラッピング処理後の第2の移相子のリタデーションに「第1及び第2の移相子のリタデーションの間の関係を示すデータ」を適用して求められる。波数のサンプリング間隔と比較して第2の移相子のリタデーションの値が2π変化するときの波数間隔が十分大きくないときや、第2の移相子のリタデーションの計測値にノイズがのっているときには、アンラッピング処理後の第2の移相子のリタデーションの算出を2πを単位として誤る可能性があり、そのように2πを単位とする誤差を含んだ第2の移相子のリタデーションから第1の移相子のリタデーションを求めると、第1の移相子のリタデーションに含まれる誤差は一般に2πを単位とするものではなくなるため、分光偏光パラメータを算出する場合の大きな誤差となる。第2の移相子のリタデーションの変化量から第1の移相子のリタデーションの変化量を求め、第1の移相子のリタデーションの変化量と第1の移相子のリタデーションの較正用基準値とから第1の移相子のリタデーションを求める方法によれば、第2の移相子のリタデーションの変化量の波数に対する変化が緩やかであることから、第2の移相子のリタデーションの変化量についてのアンラッピング処理が不要又は少ない頻度ですむため、アンラッピング処理に起因して第1の移相子のリタデーションに誤差が生じる可能性をなくすこと又はきわめて低減することができる。
(10)移相子を2枚用いる分光偏光計測方法において、偏光子及び第2の移相子は、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の速軸の方向との間の角度が45°となるように配置されているようにしてもよい。
偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の速軸の方向との間の角度を45°となるように配置した場合には、分光偏光パラメータを求める演算が簡単になるという利点がある。他方、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の速軸の方向との間の角度を45°に限定しない場合は、光学系の組み立て誤差に対する制限が緩やかになるので光学系の製造が容易になるという利点がある。
(11)分光偏光パラメータの少なくとも1つを求める分光偏光計測方法において、偏光分光装置を用いて、投光光学系と検光子との間の光路中に分光偏光特性が未知の測定対象物が存在しない状態において較正用分光光量を求めるステップを含み、測定対象物について求めた分光光量と、求めた較正用分光光量又は求めた較正用分光光量に基づくデータとを用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるようにしてもよい。
ここで、較正用分光光量を求める際には、投光光学系と検光子との間の光路中に光の分光偏光状態を変化させる物体が存在しないようにしてもよいし、分光偏光特性が既知の物体が存在していてもよい。
(12)較正用分光光量を求めるときに、投光光学系と検光子との間の光路中に分光偏光特性が未知の測定対象物が存在しない状態において、投光光学系から出射した光を受ける位置に較正用検光子を用意し、較正用検光子を透過した光の分光光量を求めるようにしてもよい。
投光光学系と検光子との間の光路が測定対象物における反射や屈折によって屈曲させられる場合には、光路を測定対象物が存在する場合と同様に屈曲させる物が存在しない状態において光を受ける位置に較正用検光子を配置することにより、較正用の分光光量を得ることができる。この場合に、分光偏光特性が既知である物体が光路中に存在していてもよい。また、較正用検光子は計測用の検光子とは別に用意してもよいし、計測用の検光子の位置を一時的に変えて較正用検光子として用いてもよい。
(13)較正用分光光量を用いる分光計測方法において、較正用分光光量を用いて第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を求めるステップを含み、測定対象物について求めた分光光量と、較正用分光光量を用いて求めた第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))とを用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるようにしてもよい。
(14)前述の、移相子を2枚用い、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータを取得し、計測に用いる光を用いて移相子のリタデーションを較正する計測方法において、偏光分光装置を用いて、投光光学系と検光子との間の光路中に分光偏光特性が未知の測定対象物が存在しない状態において較正用分光光量を求め、求めた較正用分光光量を用いて第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータを求めるようにしてもよい。
(15)前述の、移相子を2枚用い、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータを取得し、リタデーションの較正用基準値及び計測に用いる光を用いて移相子のリタデーションを較正する計測方法において、偏光分光装置を用いて、投光光学系と検光子との間の光路中に分光偏光特性が未知の測定対象物が存在しない状態において較正用分光光量を求め、求めた較正用分光光量を用いて第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータを求めるようにしてもよい。
(16)本発明の分光偏光計測方法において、求めた分光光量を用いて、測定対象物の分光擬ストークスパラメータを求めるようにしてもよい。
(17)分光擬ストークスパラメータを求める分光偏光計測方法において、投光光学系に備えられる複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子の2枚であってもよい。この場合、光源から出た光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように、投光光学系の各要素が配置されている。さらに、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータを取得するステップを含み、求めた分光光量から、波数に対して非周期振動性の分光光量成分(第1の分光光量成分)及び波数に対して第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第3の分光光量成分)の少なくとも1つと、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との差に依存する周波数で振動する分光光量成分(第2の分光光量成分)、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との和に依存する周波数で振動する分光光量成分(第4の分光光量成分)及び波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第5の分光光量成分)の少なくとも1つとを求め、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータと、求めた各分光光量成分とを用いて、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))並びに分光擬ストークスパラメータを求めるようにしてもよい。
「分光擬ストークスパラメータを求める」には、4つの分光擬ストークスパラメータM、M、M、M(各定義式は発明を実施するための最良の形態の欄に記載)のすべて又は一部を求めることが含まれる。実際にすべての分光擬ストークスパラメータを求めるかどうかは実施者の選択にゆだねられるが、分光擬ストークスパラメータを求める本発明の分光偏光計測方法によれば、原理的にはすべての分光擬ストークスパラメータを求めることができるものである。
ここで、分光擬ストークスパラメータM(σ)を求めるためには、第1の分光光量成分及び基準振幅関数m(σ)が必要であり、分光擬ストークスパラメータM(σ)を求めるためには、第3の分光光量成分、第2の移相子のリタデーション及び基準振幅関数m(σ)が必要である。
また、分光擬ストークスパラメータM(σ)及びM(σ)を求めるためには、第2の分光光量成分、第1及び第2の移相子のリタデーション並びに基準振幅関数m(σ)の関数の組か、第4の分光光量成分、第1及び第2の移相子のリタデーション並びに基準振幅関数m(σ)の関数の組か、第5の分光光量成分、第1の移相子のリタデーション並びに基準振幅関数m(σ)の関数の組かの少なくともいずれかが必要である。
さらに、分光擬ストークスパラメータを求めるために必要となる基準振幅関数は分光擬ストークスパラメータを求める際に利用可能とされている必要がある。
分光擬ストークスパラメータを求めるこの分光偏光計測方法によれば、偏光制御のための機械的可動部や電気的光学変調器のような能動的素子を必要とせず、1回のスペクトル取得により原理的に測定対象物のすべての分光擬ストークスパラメータを求めることができ、しかも、移相子のリタデーションが温度変化やその他の要因により変動することによって生じる分光擬ストークスパラメータの計測誤差を効果的に低減することができる。分光擬ストークスパラメータを用いてさらに演算を行えば、測定対象物についての様々な分光偏光パラメータを求めることができる。特に、測定対象物のミューラー行列が高々2〜3個のパラメータのみから決まる場合には、分光擬ストークスパラメータから任意の分光偏光パラメータを求めることができる。
(18)分光擬ストークスパラメータを求める分光偏光計測方法において、移相子を2枚用い、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータを取得するステップと、第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び第2の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))を取得するステップとを含み、求めた分光光量から、波数に対して非周期振動性の分光光量成分(第1の分光光量成分)及び波数に対して第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第3の分光光量成分)の少なくとも1つと、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との差に依存する周波数で振動する分光光量成分(第2の分光光量成分)、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との和に依存する周波数で振動する分光光量成分(第4の分光光量成分)及び波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第5の分光光量成分)の少なくとも1つとを求め、求めた分光光量成分を用いて、第2の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の較正用基準値(φ (i)(σ))からの変化量(Δφ(σ))とを求め、求めた第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))と、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータとを用いて、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))を求め、第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び求めた第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))から第1の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、求めた各分光光量成分並びに第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて分光擬ストークスパラメータを求めるようにしてもよい。
(19)本発明の偏光分光装置は、光源と、偏光子と、複数の移相子とを備え、光源から出た光が偏光子、複数の移相子の順で透過した後に測定対象物に照射されるように光源、偏光子及び複数の移相子が配置された投光光学系と、投光光学系から出射して測定対象物において反射又は透過した光を透過させる検光子と、検光子を透過した光の分光光量を求める手段とを備えている。
この偏光分光装置によれば、移相子を透過する光の方向が測定対象物によって影響されないので、分光偏光計測を高い安定性をもって行うことができる。
(20)この偏光分光装置において、投光光学系に備えられる複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子の2枚であってもよい。この場合、光源から出た光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように、投光光学系の各要素が配置されている。
(21)移相子を2枚用いる偏光分光装置において、偏光子及び第2の移相子は、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の速軸の方向との間の角度が45°となるように配置されているようにしてもよい。
(22)この発明の偏光分光装置において、投光光学系と検光子との間の光路中に分光偏光特性が未知の測定対象物が存在しない状態において投光光学系から出射した光を受ける位置に着脱可能に備えられた較正用検光子と、較正用検光子を透過した光の分光光量を求める手段とを備えるようにしてもよい。
ここで、「較正用検光子を透過した光の分光光量を求める手段」は「検光子を透過した光の分光光量を求める手段」の全部又は一部を兼用したものであってもよい。
この偏光分光装置を用いれば、投光光学系と検光子との間の光路が測定対象物における反射や屈折によって屈曲させられる場合においても、光路を測定対象物が存在する場合と同様に屈曲させる物が存在しない状態でも較正を行うことができる。この場合に、分光偏光特性が既知である物体が光路中に存在していてもよい。したがって、この装置に測定対象物を設置、又はこの装置を測定対象物に設置する以前に、装置単体で較正を行うことができる。
(23)この発明の偏光分光装置において、光源から出た光を偏光子に導く投光用光ファイバを備えるようにしてもよい。
この偏光分光装置によれば、光源を測定箇所から離れた場所に設置することができるので、偏光分光装置のうち測定箇所近傍で用いる部分を小型化することが容易となる。
(24)この発明の偏光分光装置において、分光光量を求める手段は受光素子又は分光器を備え、さらに、検光子を透過した光を受光素子又は分光器に導く受光用光ファイバを備えるようにしてもよい。
この偏光分光装置によれば、分光器を測定箇所から離れた場所に設置することができるので、偏光分光装置のうち測定箇所近傍で用いる部分を小型化することが容易となる。
(25)本発明の分光偏光計測装置は、上述のこの発明の偏光分光装置と、検光子を透過した光の分光光量を用いて測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求める演算装置とを備えている。
(26)この発明の分光偏光計測装置において、投光光学系に備えられる複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子の2枚であってもよい。この場合、光源から出た光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように、投光光学系の各要素が配置されている。さらに、この分光偏光計測装置の演算装置は、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータを利用可能とされており、検光子を透過した光の分光光量と、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータとから、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、検光子を透過した光の分光光量、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものとしてもよい。
(27)この発明の分光偏光計測装置において、投光光学系に備えられる複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子の2枚であり、演算装置は、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータと、第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び第2の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))とを利用可能とされており、検光子を透過した光の分光光量から、第2の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の較正用基準値(φ (i)(σ))からの変化量(Δφ(σ))とを求め、求めた第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))と、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータとを用いて、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))を求め、第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び求めた第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))から第1の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、求めた分光光量、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものとしてもよい。
(28)本発明の光学装置は、偏光子と、複数の移相子とを備え、偏光子に入射した光が、偏光子、複数の移相子の順で透過した後に測定対象物に照射されるように偏光子及び複数の移相子が配置された投光光学系と、投光光学系から出射して測定対象物において反射又は透過した光を透過させる検光子とを備えている。
このような光学装置は、上述の偏光分光装置に用いることができる。
(29)本発明の投光装置は、偏光子と、複数の移相子とを備え、偏光子に入射した光が、偏光子、複数の移相子の順で透過した後に測定対象物に照射されるように偏光子及び複数の移相子が配置されているものである。
このような投光装置は、上述の偏光分光装置に用いることができる。
(30)この投光装置において、複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子であり、偏光子、第1の移相子及び第2の移相子は、偏光子に入射した光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように、投光装置の各要素が配置されているようにしてもよい。
次に、偏光素子の特性又は検光子の方位角を変更可能とした分光偏光計測方法、偏光分光装置及び光学装置について述べる。ここでいう偏光素子は、測定対象物が試料と試料を透過又は反射した光が入射する偏光素子とで構成されている場合における偏光素子のことである。偏光素子は、入射光と出射光との間の関係が偏光に依存する光学素子である。偏光素子の特性を変更するためには、例えば、偏光素子の方位角を変更する、偏光素子のリタデーションを変更するなどの手段を用いることができる。
(31)本発明の分光偏光計測方法において、検光子の方位角を変更する手段をさらに備える偏光分光装置を用い、この偏光分光装置を用いて、検光子の方位角を互いに異ならせた複数の状態において測定対象物についての分光光量を求め、求めた分光光量を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるようにしてもよい。
(32)本発明の分光偏光計測方法において、試料と偏光素子とを含む測定対象物を用意し、偏光素子の特性を変更する手段をさらに備える偏光分光装置を用い、この偏光分光装置を用いて、偏光素子の特性を互いに異ならせた複数の状態において測定対象物についての分光光量を求め、求めた分光光量を用いて、試料の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるようにしてもよい。
(33)ここで、偏光素子の特性を変更する手段に加えて検光子の方位角を変更する手段をさらに備える偏光分光装置を用い、この偏光分光装置を用いて、偏光素子の特性又は検光子の方位角を互いに異ならせた複数の状態において測定対象物についての分光光量を求め、求めた分光光量を用いて、試料の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるようにしてもよい。
(34)本発明の偏光分光装置において、検光子の方位角を変更する手段をさらに備えるようにしてもよい。この偏光分光装置と、検光子の方位角を互いに異ならせた複数の状態において求められた測定対象物についての分光光量を用いて測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求める演算装置とを組み合わせて、分光偏光計測装置としてもよい。
(35)測定対象物が試料と偏光素子とを含む場合は、本発明の偏光分光装置において、偏光素子の特性を変更する手段をさらに備えるようにしてもよい。この偏光分光装置と、偏光素子の特性を互いに異ならせた複数の状態において求められた測定対象物についての分光光量を用いて試料の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求める演算装置とを組み合わせて、分光偏光計測装置としてもよい。
(36)ここで、偏光分光装置には、偏光素子の特性を変更する手段に加えて検光子の方位角を変更する手段をさらに備えるようにしてもよい。この偏光分光装置と、偏光素子の特性又は検光子の方位角を互いに異ならせた複数の状態において求められた測定対象物についての分光光量を用いて試料の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求める演算装置とを組み合わせて、分光偏光計測装置としてもよい。
(37)本発明の光学装置において、検光子の方位角を変更する手段をさらに備えるようにしてもよい。
(38)測定対象物が試料と偏光素子とを含む場合は、本発明の光学装置において、偏光素子の特性を変更する手段をさらに備えるようにしてもよい。
(39)ここで、光学装置には、偏光素子の特性を変更する手段に加えて検光子の方位角を変更する手段をさらに備えるようにしてもよい。
以上述べたように、偏光素子の特性又は検光子の方位角を変更可能とすることにより、偏光素子の特性又は検光子の方位角を互いに異ならせた複数の状態において分光光量を求めることが可能となる。そうすると、偏光素子の特性又は検光子の方位角の比較的少ない状態の数において求めた分光光量から、比較的多くの種類の分光偏光パラメータを求めたり、求めた分光偏光パラメータの値に含まれるノイズなどの影響による誤差を低減したりすることができる。あるいは、測定対象物又は試料の特定の1つ又は複数の種類の分光偏光パラメータを高い感度で求めることができるように、偏光素子の特性又は検光子の方位角を選択することができるようになる。
本発明によれば、移相子を透過する光の方向が測定対象物によって影響されないので、分光偏光計測を高い安定性をもって行うことができる。
以下に本発明の好適な実施の一形態を添付図面(図1〜図19)を参照しながら詳細に説明する。
第1章 チャネルド分光偏光計測法の原理
1.1 本発明における光学系の構成
従来のチャネルド分光偏光計測法における光学系の構成と本発明の実施形態のチャネルド分光偏光計測法における光学系の構成との比較説明図が図1に示されている。従来のチャネルド分光偏光計測法における光学系(図1(b)参照)は、光源7、偏光子P、及び偏光計によって構成されている。偏光計は、2つの厚い移相子R1とR2、検光子A、および分光器8によって構成されている。尚、Dは光を透過又は反射させる試料である。ここで移相子R1とR2の速軸(fast axis)は互いに45°傾けられており、一方検光子Aの透過軸(transmission axis)は移相子R1の速軸(fast axis)と一致している。
なお、これらの3つの素子の間の交差角は、必ずしも45°でなくとも良い。他の交差角でも、多少効率が悪くはなるが、測定は可能となる。要は、隣り合う素子の主軸が重ならなければよい。この点については後に詳述する。重要なのは、各素子は固定であり、従来法のように回転させたりあるいは変調させたりする必要が無い点にある。
広いスペクトルを持つ光は、図の左側の光源7から偏光子を透過し、試料Dに反射又は透過した後、偏光計に入射される。この試料Dを出射した光の偏光状態(State of Polarization,SOP)のスペクトル分布は、分光ストークスパラメータS(σ),S(σ),S(σ),およびS(σ)で表すことができる。ここでσは、波長λの逆数で定義される「波数」である。また、この分光ストークスパラメータを決めるための座標軸x,yは、移相子R1の速軸と遅軸に一致させて取るものとする。
偏光計に入射した光は、移相子R1,R2,検光子Aを順に透過し、分光器8に入射する。この分光器8から得られるスペクトルより、波数σに依存したストークスパラメータが求められるのである。
しかしながら、図1(b)に示される光学系では、移相子を通る光の波面の入射方向が試料の影響により様々に変化し、分光偏光計測をする上で誤差が生ずるという不都合が生じた。本発明は、このような問題点を解決するものである。
図1(a)に示される本発明の実施形態の光学系は、光源7、偏光子P、移相子R2及びR1、検光子A、分光器8から構成される。光源7を出た光は偏光子P、移相子R2、移相子R1を順に透過し、試料Dを反射又は透過し、検光子Aを透過し、分光器8へと入射する。その後、分光器8において入射光のスペクトルが取得され、後述する手順により、試料の分光偏光パラメータ等が算出される。
「分光偏光パラメータ」とは、先に述べた通り、本明細書においては、測定対象物の分光偏光特性を表すパラメータの意味で用いる。これは、測定対象物を反射あるいは透過することによって生ずる偏光変化を、定量的に表すために用いられるパラメータの総称である。エリプソメトリックパラメータΨ(σ)、Δ(σ)や複屈折媒質のリタデーションδ(σ)は、分光偏光パラメータの例である。なお、一般に、測定対象物の分光偏光特性は4×4のミューラー行列の16の要素によって完全に表されるが、この16の要素が全て独立な変数である場合は少なく、分光偏光計測においては、これらの全ての要素が高々2〜3のパラメータのみから決まる場合が多い。実用的には、分光偏光パラメータとしてこれらの独立なパラメータが求められればよい。さらには、独立か非独立かにかかわらず、分光偏光パラメータの一部を求めるだけで十分な用途もある。
ここで、移相子R2及びR1が、試料Dに対して光源側に配置されていることが重要である。これにより、移相子に入射する光の波面の入射方向が常に一定となり、試料の影響を受けない安定した精度の高い分光偏光測定を実現できる。なお、検光子Aに入射する光の波面の入射方向の変動は測定結果にほとんど影響しない。また、これにより、先に述べた、リタデーションの較正時と試料測定時とで移相子内を通過する光線の距離と方向が変わることによりリタデーションが変化してしまうという課題が解決される。
次に、本発明の実施形態についての詳細な説明を、図2を参照しながら説明する。この光学系は、光源7、偏光子P、移相子R2及びR1、検光子A、分光器8から構成される。なお、Dは試料である。ここで、移相子R1と移相子R2の速軸の方向は互いに−45°傾けられており、偏光子Pの透過軸の方向は移相子R1の速軸の方向と一致している。なお、図中では、移相子の速軸を「fast」遅軸を「slow」と表記している。また、θは、移相子R1の速軸に対する検光子の透過軸の方位角である。
また、このとき、試料のミューラー行列を
Figure 2006308550
と記述する。
また、光の偏光度、楕円率角、方位角等をより効率的に表すためのパラメータとしては、ストークスパラメータ(Stokes Parameter)が使用される。このストークスパラメータは、以下定義を有する4つのパラメータにより構成される。

: 全強度
: 方位0°、90°直線偏光成分強度の差
: 方位±45°直線偏光成分強度の差
: 左右円偏光成分強度の差
互いに直交する3軸をS,S,Sとする三次元空間において原点を中心とする半径Sの球を想定すると、任意の光の偏光状態は、この三次元空間上の1点として表され、偏光度は次式で表される。

偏光度 = (原点から点(S,S,S)までの距離)/S
= (S +S +S 1/2/S
ここで、ミューラー行列について図3を参照しながら説明する。ミューラー行列とは、測定対象となる試料や偏光素子等への反射や透過等の光の相互作用を表した行列である。例として、偏光状態1(State of Polarization1)として偏光状態がストークスパラメータS(σ)で表される光が試料へと入射し、偏光素子や試料等の測定対象物の影響を受け、偏光状態がS´(σ)で表される偏光状態2(State of Polarization2)として出射した場合を考える(図3(a)参照)。このとき、測定対象のミューラー行列は、4×4の行列として図3(b)で示される関係式で表される(図3(b)参照)。
以下、上述のミューラー行列等から試料の分光偏光パラメータを求める手順について説明する。
試料の分光偏光パラメータを求める手順について説明する前に、その準備として、移相子R1とR2の特性を定式化しておく。移相子とは、互いに直交する直線偏光成分間の位相差を、素子透過前後で変化させる性質の素子である。この位相差の変化量をリタデーションと呼ぶ。また、この2つの直線偏光方向に沿って取った座標軸を主軸と呼び、そのうち、位相が相対的に速く進む直線偏光に沿った軸を速軸、他方の軸を遅軸と呼ぶ。
複屈折媒質で作られた移相子Rj(j=1,2)のリタデーションは、波数σに対して次式のように変化する。
φj(σ)=2πdjB(σ)σ=2πLjσ+Φj(σ) (1.2)
ただし
Figure 2006308550
ここで、djはRjの厚さであり、B(σ)はその複屈折である。また、σは被測定光の中心波数を示す。以下、移相子のリタデーションφj(σ)を基準位相関数とよぶ。
今、B(σ)の分散(波数に対する変化率)がそれほど大きくないとすると、式(1.2)からわかるように、φ(σ)は波数σに対してほぼ線形に増加することとなる。この性質が、後に述べる手順で試料の分光偏光パラメータ測定の基礎となる。
1.2 分光器で取得されるチャネルドスペクトル
図2に示される「チャネルド分光偏光計」において、分光器8で取得されるスペクトル(分光光量)は
Figure 2006308550
と記述できる。
ただし
23(σ)=M(σ)−iM(σ) (1.5)
であり、
Figure 2006308550
である。ここで、M(σ)〜M(σ)を試料の分光擬ストークスパラメータと呼ぶことにする。このように、分光擬ストークスパラメータは、試料のミューラー行列の各列の各要素に対して、検光子の方位角で決まる係数を掛け合わせたものの和によって表される。試料の分光偏光パラメータは、1.6a〜1.6dの方程式を連立させて解くことによって求めることができる。m(σ),m(σ),m(σ),m(σ)は分光器が細かい振動成分に十分ついていけないことによる振幅減衰率、P(σ)は「光源のスペクトル」を示す。ただし、光学系には移相子・偏光子・レンズ・ファイバ等による減衰が存在する。このため、本明細書においては、「光源のスペクトル」P(σ)の中にそれらによる減衰分も含む。また、φ,φは移相子R1、R2のリタデーションである。
(σ)〜M(σ)に含まれる、試料のミューラー行列の要素は、ミューラー行列M(σ)の「各列」と関連しており、
Figure 2006308550
の枠内の部分の情報(各列の各要素に検光子の方位角θによって決まる係数を掛け合わせたものの和)を復調することができる。
また、4×4のミューラー行列の要素は16個存在するが、これらが独立である場合は極めて少なく、多くの偏光測定において、試料のミューラー行列に含まれる独立なパラメータは高々2〜3個である。たとえ光源のスペクトル強度を含めても、測定すべきパラメータの総数は高々4個までで済む場合が多い。よって、求まった4つの方程式を連立して解けば、試料の偏光特性を示す互いに独立なパラメータが最大4つまで求められることになる。
この式の性質を理解するために、式(1.2)を代入すると、
Figure 2006308550
ただし、
=L−L, (1.9a)
=L+L, (1.9b)
Φ(σ)=Φ(σ)−Φ(σ) (1.9c)
Φ(σ)=Φ(σ)+Φ(σ) (1.9d)
となっていることがわかる。
式(1.8)からわかるように、分光器から得られるスペクトルP(σ)には、4つの成分が含まれている。このうちの一つは、波数σに対して緩やかに変動する成分であり、残りの3つは、波数σに対して振動する疑似正弦的な成分となっている。これらを模式的に示したのが、図4である。
ここで、3つの振動成分の各々の中心周期は、1/L,1/L,1/Lとなっている。この図のように、波数(波長)に対して周期的に細かく振動する成分を含むスペクトルのことをチャネルドスペクトル(Channeled Spectrum)と呼ぶ。
ここで注意すべきは、この4つの成分が、それぞれ、M(σ)、M(σ)もしくはM23(σ)のいずれかの情報をもっている点である。各々の成分を分離することができると、ひとつのスペクトルP(σ)から全ての分光擬ストークスパラメータM(σ),M(σ),M(σ),M(σ)を決定する事ができることとなる。
1.3 素子間の交差角が45°以外の場合
次に、素子間の交差角が45°以外の場合に、分光器5で取得されるスペクトルについて説明する。
ここで補足として、光学系中の各素子間の交差角が45°以外となった場合に得られるスペクトルについても説明しておく。
今、図2の光学系において、移相子R1とR2の速軸の間のなす角をθRR、移相子R2の速軸と偏光子Pの透過軸がなす角をθPRとする。これまでは、θRR=−45°,θPR=45°に限って計算してきたが、ここがより一般的な角度になった場合について示す。
得られるチャネルドスペクトルP(σ)は、
Figure 2006308550
となる。
この式を、先の式(1.4)の時のスペクトル、すなわちθRR=−45°,θPR=45°に限定した時のスペクトルと比較すると、単なる係数の定数倍の違いの他に、下記の違いがあることがわかる。なお、この違う部分は、式(1.10)中に下線で示した。
・波数σに対して緩やかに変動する成分が、M(σ)のみならずM(σ)にも依存するようになる。
・位相φ(σ)によって疑似正弦的に振動する成分、すなわち中心周期1/Lで振動する成分が加わる。なお、この成分も(φ(σ)−φ(σ))および(φ(σ)+φ(σ))に従って振動する2つの成分と同様に、M23(σ)の情報を持っている。すなわち、この項は、M23を含む他の2項と同様に扱えることを意味している。
ここで、上記の2つの成分が現れないための条件について考えてみる。
前者の項は「θRR≠±45°とθPR≠±45°の両方が成り立つとき」に限って現れる。一方後者の項は、「θPR≠±45°となるとき、(θRRが±45°と一致しているか否かには無関係に)」現れる。これから、下記の事実が言える。
移相子R2の速軸と偏光子Pの透過軸が45°で交差しているとき(すなわちθPR=±45°のとき)には、チャネルドスペクトルは、各項の係数の定数倍の違いを除き、式(1.4)で与えられる。このとき、移相子R1とR2の主軸の間のなす角θRRが±45°に一致するか否かは無関係である。
さらに、これを言い換えると、チャネルドスペクトルが、式(1.4)の形を取るためには、移相子R2の速軸と偏光子Pの透過軸が±45°で交差していることが条件となる。一方、移相子R1とR2の速軸の間のなす角が±45°に一致するか否かは無関係である。
1.4 移相子の数が3枚以上の場合
以上、移相子の数が2枚の場合について、分光器5で取得されるスペクトルについて説明したが、移相子の数が3枚以上の場合についても同様に、各々の成分が固有の分光擬ストークスパラメータの情報をもっているスペクトルが得られる。2枚の場合と同様に、各々の成分を分離することで、ひとつのスペクトルP(σ)から全ての分光擬ストークスパラメータを復調でき、求まった方程式を連立して解けば、試料の分光偏光パラメータを求めることができる。
1.5 分光擬ストークスパラメータ復調の手順
分光擬ストークスパラメータを復調するための具体的な手順について、図5を参照しつつ、以下説明する。大まかな流れは、次の通りになる。
Step1:スペクトルP(σ)から、各項を分離する。
Step2:各々の成分の振幅と位相を求める。
(あるいは、同値な量、例えば複素表示した際の実部と虚部を求める。)
Step3:各振動成分の振幅と位相に含まれる
Figure 2006308550
を除いて、分光擬ストークスパラメータM(σ),M(σ),M(σ),M(σ)を得る。(これらの基準関数は、試料によらず、偏光計のパラメータのみに依存する偏光計に固有のものである。)
各ステップについて、以下説明する。
[Step1]
前節で述べたように、スペクトルP(σ)には4つの成分が含まれている。各々を信号処理により取り出す作業をする。この作業で利用するのは、各々の成分が異なる周期(周波数)で振動していることである。通信工学や信号解析などの分野で広く用いられている様々な周波数フィルタリングの技法(のどれか一つ)を用いれば、各々を分離することができる。
Figure 2006308550
上記の成分[1]は、波数に対して非周期振動性である第1の分光光量成分、成分[2]は、波数に対して第1の移相子R1の基準位相関数(リタデーション)φ(σ)と第2の移相子R2の基準位相関数(リタデーション)φ(σ)との差に依存する周波数で振動する第2の分光光量成分、成分[3]は、波数に対して第2の移相子R2の基準位相関数φ(σ)に依存し第1の移相子R1の基準位相関数φ(σ)に依存しない周波数で振動する第3の分光光量成分、成分[4]は、波数に対して第1の移相子R1の基準位相関数φ(σ)と第2の移相子R2の基準位相関数φ(σ)との和に依存する周波数で振動する第4の分光光量成分である。なお、素子間の交差角が45°以外の場合には成分[5]が発生する。成分[5]は、波数に対して第1の移相子R1の基準位相関数φ(σ)に依存し第2の移相子R2の基準位相関数φ2(σ)に依存しない周波数で振動する第5の分光光量成分である。
式(1.11a)〜(1.11d)及び式(1.5)を参照して、Mは成分[1]から、Mは成分[3]から、M及びMは成分[2]又は成分[4]から求められることがわかる。なお、素子間の交差角が45°以外の場合には、M及びMは成分[2]、成分[4]及び成分[5]の少なくとも1つから求められる。
[Step2]
Step1で分離された各成分それぞれについて、図6に示されるように、その「振幅と位相の組」ないし「複素表示」を求める。この作業にも、Step1同様、通信工学や信号解析などの分野で一般的な様々な復調法を利用して容易に実現できる。例えば、
振幅復調:整流検波法、包絡線検波法など
位相復調:周波数弁別器法、ゼロクロス法など
複素表示の復調:フーリエ変換法(後述)、同期検波法など
が挙げられる。
ここで、振動成分の「振幅」、「位相」、「複素表示」について、その定義と基本的な性質を下記にまとめておく。式(1.11a)〜(1.11d)を見ればわかるように、分離された各成分は、成分[1]以外は皆
a(σ)cosδ(σ)
の形を取っている。このa(σ)とδ(σ)それぞれを、その振動成分の「振幅」および「位相」と呼ぶ。なお、ここで成分[1]についても、位相がδ(σ)=0である(すなわちcosδ(σ)=1である)と見なせば、この成分についても振幅を定義することができる。
また、この振幅・位相と
Figure 2006308550
なる関係があるF(σ)を、複素表示と呼ぶ。このF(σ)の実部は振動成分の振幅を半分にしたものであり、虚部は実部と位相が90度ずれたものである。なお、成分[1]においては、δ(σ)=0、すなわち虚部がないため、1/2倍はしない。
ここで注意すべきは、「振幅と位相の組」ないし「複素表示」のいずれか一方のみが復調できれば、他方は下記関係式を用いて直ちに計算できることにある。
Figure 2006308550
すなわち、一方のみを復調すれば、他方も必要に応じてすぐに計算できることになる。
各成分の「振幅」と「位相」を復調すると、その結果は
Figure 2006308550
となる。
一方、各成分の「複素表示」を復調すると、その結果は
Figure 2006308550
となる。ここで、*は、複素共役を表す。なお、以下の都合上、これらの複素表示の式を下記のように書き直しておく。
Figure 2006308550
である。
[Step3]
最後に、先のStep2で求めた「振幅」と「位相」、もしくは「複素表示」から、波数σの関数としての分光擬ストークスパラメータM(σ),M(σ),M(σ),M(σ)を決定する。
Step2で得られた「振幅」と「位相」には、求める分光擬ストークスパラメータの他に、
Figure 2006308550
が含まれている。
前者は振幅に、後者は位相に含まれている。これらは、各々の振動成分の振幅と位相から分光擬ストークスパラメータを決定する際の基準を与える。そこで以下各々を、「基準振幅関数(reference amplitude function)」ならびに「基準位相関数(reference phase function)」と呼ぶことにする。これらのパラメータは、試料に依存しないため、各々を除算ないし減算することによって、

・M(σ)は、「成分[1]」から
・M(σ)とM(σ)は、「成分[2]」もしくは「成分[4]」(いずれか一方)から
・M(σ)は「成分[3]」から

が、それぞれ決定できることとなる。
一方、「複素表示」の場合には、偏光計自体の特性のみで決まるパラメータ(関数)は、式(1.18a)〜(1.18d)で定義されるK(σ),K(σ),K(σ),K(σ)となる。これらは、いわば「基準複素関数」と呼ぶべきものとなる。
式(1.17a)〜(1.17d)からわかるように、上記基準複素関数が求まっていれば、Step2で復調された各振動成分の複素表示を除算することによって、

・M(σ)は、「成分[1]」から
・M(σ)とM(σ)は、「成分[2]」もしくは「成分[4]」(いずれか一方)から
・M(σ)は「成分[3]」から

が、それぞれ決定できることとなる。
移相子R2と偏光子Pのなす角が45°でない場合には、現れる第5の項を、「成分[2]」と「成分[4]」の代わりに使うことができる。すなわち、上記の2行目は

・M(σ)とM(σ)は、「成分[2]」、「成分[4]」、「成分[5]」のうちの一つから
と書き換えられることとなる。
次に、分光擬ストークスパラメータ復調のための信号処理法の一つとして、「フーリエ変換法」を図7を参照しつつ説明する。この方法を用いると、Step1とStep2を一度に効率良く行え、各振動成分の複素表示全てが直ちに求められることとなる。
この方法では、チャネルド分光偏光計内の分光器で測定されたスペクトルP(σ)をまず逆フーリエ変換する。得られるのは、分光器入射光の相関関数
Figure 2006308550
である。この相関関数C(h)は、図7の右上部に示されるように、各振動成分の周期の逆数0,±L,±L,±Lを中心とする7つの成分を含むこととなる。
ここで、これらの周期の逆数を適当に選べば、C(h)に含まれる各成分を、h軸上で互いに分離することができる。このうちh=0,L,L,Lを中心とする4つの成分を取り出して、各々をフーリエ変換すると、
Figure 2006308550
となる。
この式を見ればわかるように、上記の操作で求められるものは、前述のStep2で求めるべき、成分[1]〜[4]の複素表示そのものになっている。すなわち、上記の操作で、Step1とStep2が一度に実現されるのである。この結果に、後はStep3の操作を施せば、分光擬ストークスパラメータが一度に求められることとなる。
1.6 事前較正:基準振幅関数、基準位相関数、基準複素関数の「測定前の」較正
前節で述べたように、チャネルドスペクトルから分光擬ストークスパラメータを決定する際には、Step3において、偏光計自体の特性のみで決まるパラメータ、すなわち、
「基準振幅関数」m(σ),m-(σ),m(σ),m+(σ)
および「基準位相関数」φ(σ),φ(σ)
あるいは
「基準複素関数」K(σ),K(σ),K(σ),K(σ)
を予め決定しておく必要がある。前者(「基準振幅関数」及び「基準位相関数」)と後者(「基準複素関数」)は、それぞれ、各振動成分の「振幅・位相」あるいは「複素表示」から分光擬ストークスパラメータを求める場合に必要となる。これらは、試料によらない関数であるので、すくなくとも測定前に較正をしておくことが望ましい。
本節では、これらの基準関数を「測定の前に、すなわち事前に」較正する手順を説明する。代表的な考え方に、

・『方法1』:光学系に用いる各素子の特性から、基準位相関数や基準振幅関数を較正する方法
・『方法2』:既知の偏光特性を持つ試料を用いて、基準位相関数や基準振幅関数を較正する方法

の2通りがある。
1.6.1 『方法1』
光学系に用いる各素子の特性から、基準位相関数や基準振幅関数を較正する方法
基準位相関数や基準振幅関数は、チャネルド分光偏光計に用いる素子によって基本的にその特性が決まる。従って、個々の素子の光学特性を実験もしくは計算などで調べて、それらを積み重ねてパラメータの較正が行える。
1.6.2 『方法2』
既知の偏光特性を持つ試料を用いて、基準位相関数や基準振幅関数を較正する方法
基準位相関数や基準振幅関数は、「チャネルド分光偏光計」の特性だけで決まる量であり、「測定対象(試料)の偏光特性」にはよらない。そこで、「偏光特性が既知の試料(測定結果が分かっているもの)」を偏光計に挿入し、その結果を用いて、基準位相関数や基準振幅関数を逆算することができる。
以下、その較正の手順を示す。なお、本節最初に述べたように、

・各振動成分の「振幅と位相」から偏光状態を求める場合には「基準振幅関数」と「基準位相関数」が、
・各振動成分の「複素表示」から偏光状態を求める場合には「基準複素関数」が、

それぞれ必要となる。
以下それぞれの場合に分けて較正手順を述べる。それらは本質的には同一であり、単なる計算方法の違いであるが、便宜上並記しておく。
A.基準振幅関数と基準位相関数を別々に求める較正手順
この較正では、まず初めに、「偏光特性が既知の試料」を用意し、それをチャネルド分光偏光計に挿入する。その場合の光の分光擬ストークスパラメータをM (0)(σ),M (0)(σ),M (0)(σ),およびM (0)(σ)とする。この試料について、先に示した復調手段を施すと、Step2で求められた振幅と位相は、式(1.15a)〜(1.15d)より
Figure 2006308550
ただし、
23 (0)(σ)=M (0)(σ)−iM (0)(σ), (1.23)
となる。なお、これは、M(σ)〜M(σ)をM (0)(σ)〜M (0)(σ)に置き換えただけである。
各振動成分の振幅と位相は、分光擬ストークスパラメータと基準振幅関数並びに基準位相関数だけで決まっている。ここで、「試料の偏光特性が既知の場合」には、分光擬ストークスパラメータが既知であるため、復調された振幅と位相から、残る基準振幅関数m(σ),m(σ),m(σ),m(σ)と基準位相関数φ(σ),φ(σ)が決定できることになる。具体的には、
Figure 2006308550
で与えられる。一度これらの基準関数が決まれば(較正できれば)、今度は、分光偏光特性が未知の試料の分光擬ストークスパラメータが決められることとなる。
例として、試料を入れず検光子だけを残した場合を考えると、移相子R1の速軸に対する検光子の方位角をθとして
(0)(σ)=P (0)(σ)/2 (1.25a)
(0)(σ)=P (0)(σ)cos2θ/2 (1.25b)
(0)(σ)=P (0)(σ)sin2θ/2 (1.25c)
(0)(σ)=0 (1.25d)
となる。ここでP (0)(σ)は光源のスペクトルである。この場合には、上記式(1.24a)〜(1.24g)は
Figure 2006308550
となる。
これより、方位θと光源のスペクトルP (0)(σ)さえ事前にわかっていれば、基準振幅関数や基準位相関数が求められることがわかる。さらに、P (0)(σ)が不明であっても、方位θのみが既知であるならば、一部の(重要な)分光偏光パラメータを求める用途には十分である。
B.両者を一緒に(基準複素関数として捕らえて)一度に求める較正手順
上記に述べた方法は、各振動成分の「振幅」と「位相」を分離して計算する方法であった。しかし、場合によっては、各振動成分の「複素表示」として計算する方が都合が(効率が)良い場合もある。一例としては、先に図7に示したフーリエ変換法のように、直接「複素表示」(式(1.17a)〜式(1.17d))が求まる場合が挙げられる。この様な場合には、いちいち「振幅」や「位相」に分離しないで、「複素表示」のまま較正を行ってしまうのが効率良い。
以下に、その場合の計算式を示す。なお、注意すべきは、物理的な本質は全く一緒であることにある。単に計算が複素数を使って効率が良いというだけである。
前節と同様に、チャネルド分光偏光計に、偏光特性が既知の試料を挿入する場合を考える。この場合に求められる、各振動成分の複素表示は、それぞれ(式(1.17a)〜式(1.17d))より、
(0)(σ)=K(σ)M (0)(σ) (1.27a)
(0)(σ)=K(σ)M23 (0)(σ) (1.27b)
(0)(σ)=K(σ)M (0)(σ) (1.27c)
(0)(σ)=K(σ)M23 (0)*(σ) (1.27d)
となる。
ここで、上式に含まれる複素関数K(σ),K(σ),K(σ),K(σ)は、式(1.18a)〜(1.18d)よりわかるように、基準振幅関数と基準位相関数のみから決まる量(基準複素関数)であり、試料によらない。従って、これらは、
Figure 2006308550
として逆算することができる。
振幅と位相を分離して計算した場合と同様に、一度上記の基準複素関数が決まれば(較正できれば)、今度は、未知の分光偏光特性をもつ試料を入れた場合の分光擬ストークスパラメータが決められることとなる。
なお、参考までに、試料を入れず検光子のみを残した場合の上記を記しておく。
Figure 2006308550
第2章 チャネルド分光偏光計の問題点
1.5節のStep3に述べたように、測定されたチャネルドスペクトルP(σ)から分光擬ストークスパラメータM(σ),M(σ),M(σ),M(σ)を復調するためには、
Figure 2006308550
をあらかじめ求めておく(較正しておく)必要がある。
ところが、基準位相関数φ(σ)とφ(σ)は、様々な理由により変動するという性質がある。これらが変動すると、試料の分光偏光パラメータの測定値に大きな誤差が生じるという問題が生ずる。
2.1 基準位相関数の変動を引き起こす原因
2.1.1 温度変化
基準位相関数φ(σ)とφ(σ)は分光偏光計中の移相子R1とR2によって決まる量(リタデーション)である。このリタデーションは温度に対して敏感に変化するという性質を持つ。そのため、温度変化によりチャネルドスペクトルの位相がずれる。その結果、温度上昇により、測定値がずれて、誤差を生ずる。また、圧力変化に対しても同様の変化が起きる。
2.1.2 分光器の波長軸の変動
分光器がサンプルする波長がずれると、基準位相関数のゆらぎと「等価な」問題が生ずる。測定中にサンプルする波長がずれるとスペクトルが横ずれしたのと同様の効果になる。これは等価的な位相のずれとなる。特に、普通の分光器(モータで回折格子をまわすタイプ)では、モータのバックラッシュ等が理由で、測定の度にサンプルする波長が少しずつ(ランダムに)ずれてしまう。
2.1.3 容易に考えつく解決策
各振動成分の基準位相関数が変動しないように、ゆらぎの原因を安定化させることが考えられるが、これはなかなか容易なことではない。例えば、温度変動についてみると、分光エリプソメトリで、エリプソメトリックパラメータの波数分布に求められる精度は0.1°程度以下とされ、そのためには、温度変動を0.5℃以下程度に抑えなければいけない。これには、温度安定化に大きな装置が必要となり、チャネルド分光偏光計の様々な利点(小型化、能動素子を含まない、など)が失われる。
第3章 基準位相関数の変動の解決策
チャネルドスペクトル中に含まれる各振動成分の基準位相関数φ(σ)とφ(σ)(試料によらない、偏光計のパラメータのみに依存する)が、様々な要因で変動し、それが誤差の大きな要因となる。この点に鑑み、本発明の一実施形態では、測定中に(測定と並行して)、各振動成分の基準位相関数φ(σ)とφ(σ)を較正できる機能をチャネルド分光偏光計にもたせるようにしている(図8〜図10参照)。
3.1 「測定中」に較正する方法(その1)
1.6節で述べた較正方法は、「測定の事前に」較正する方法であった。それに対して、以下の節では、「測定中に」較正できる方法を示す。
3.1.1 基本的な考え方
いま、測定中に(偏光状態が未知の光がチャネルド分光偏光計に入っている場合に、)第1章のStep2で求められた振幅と位相を再掲すると、下記のようになる。
Figure 2006308550
ここで、4つの分光擬ストークスパラメータを求めるのに必要なのは、実は

・成分[1]の[振幅]→M(σ)
・成分[2]と成分[4]の一方の[振幅]と[位相]→M(σ)とM(σ)
・成分[3]の[振幅]→M(σ)

のみであることがわかる。残る

・成分[3]の[位相]
・成分[2]と成分[4]の中で残った方の[振幅]と[位相]

は、分光擬ストークスパラメータの復調には使われていないことがわかる。
本発明者らは、この残る成分も活用すると、実は、4つの分光擬ストークスパラメータのみならず、「基準位相関数(φ(σ)とφ(σ)など)」が一度に求められることを見いだした。この方法では、特に既知の偏光状態の光を入力しなくても、測定の真っ最中に較正も同時にできる、ことを意味している。
3.1.2 準備
この「測定中の計測法」を使うには、下記の前準備が必要となる。
・基準振幅関数m(σ),m(σ),m(σ),m(σ)については、事前較正をしておく(図9参照)。
以下の方法は、基準位相関数のみしか有効でないため、基準振幅関数に関しては、1.6節に述べたいずれかの方法でおこなうこととする。なお、基準振幅関数の測定中のゆらぎの大きさは、一般にかなり小さく、多くの場合無視できる。すなわち、基準位相関数とは異なり、基準振幅関数を測定中に再較正する必要性は、一般的には、ほとんどない。
・基準位相関数については、事前較正は必ずしも必要はない。ただし、φ(σ)とφ(σ)の比は求めておかねばならない。
例1:移相子R1とR2が同じ媒質で作られている場合には、両者の厚さの比からφ(σ)とφ(σ)の比が決まる。
例2:基準位相関数も事前較正すれば、両者の比が決まる。
(測定中に、両者の比は変わらないと見なしてよい。)
尚、移相子R1とR2の比が測定中に変わる場合(たとえば両者の温度が異なる場合)などには、以下に述べる方法は使えないことに注意されたい。
3.1.3 実際の較正方法
以下に、この考えに基づき、実際に較正する方法について説明する。
A.振動成分[3]より基準位相関数φ (σ)を求める方法
振動成分[3]のみに注目してその振幅と位相を再掲すると、
Figure 2006308550
となっている。ここで注目すべきは、この成分の位相δ(σ)は、基準位相関数のうちの一つφ(σ)(そのもの)となっている。すなわち、成分[3]の位相δ(σ)が測定されれば、基準位相関数の一方φ(σ)が次式によって直ちに決められていることを意味している。
φ(σ)=δ(σ) (3.3)
この関係式は、測定試料の偏光特性によらず常に成り立つため、どのような試料によるチャネルドスペクトルからでも、測定値から直ちに基準位相関数の一方が求められることを意味している。これは、測定中に完全に並行して行える較正の方法であり、「偏光特性が既知の試料を利用した」場合(1.6節)のような「測定の事前で行う、もしくは測定を中断して行う」必要性は全くない。ただし、この際に、成分[3]が十分なSN比で観測されているという条件を満たしている必要はあることを注意しておく(後述のC参照)。
なお、1.5節「分光擬ストークスパラメータ復調の手順」のStep2において、「振幅・位相の組」の代わりに「複素表示」を求めた場合には、上記を書き換えた以下に説明する計算方法を利用すれば良い。
式(1.14b)より、δ(σ)は成分[3]の複素表示F(σ)と
δ(σ)=arg[F(σ)] (3.4)
なる関係を有している。従って、基準位相関数φ(σ)は、成分[3]の複素表示から
φ(σ)=arg[F(σ)] (3.5)
とすれば求められることができる。なお、複素表示の時に必要なのは、基準位相関数φ(σ)ではなく、基準複素関数K(σ)になる。両者の間には式(1.18c)の関係があるから、φ(σ)が決まればK(σ)も求められることとなる(詳しくは、後述のFにて述べる)。
B.複数の振動成分([2]と[4]の組など)より、基準位相関数φ (σ)を求める方法
振動成分[2]と[4]各々の成分の位相を再掲すると、
成分[2]の位相:
δ(σ)=φ(σ)−φ(σ)+arg{M23(σ)} (3.6a)
成分[4]の位相:
δ(σ)=φ(σ)+φ(σ)−arg{M23(σ)}+π (3.6b)
となる。この両者の位相を加えると、φ(σ)とarg{M23(σ)}がうち消され、φ(σ)に依存する項のみが残る。これより、
Figure 2006308550
が成立することがわかる。
この式の右辺は、振動成分[2]と[4]の位相の平均を取れば、基準位相関数の一つφ(σ)が求められることを意味している。この関係式も、方法A同様、試料の偏光状態によらず常に成り立つため、どのような試料によるチャネルドスペクトルからでも、測定値から直ちに基準位相関数の一方が求められることを意味している。
すなわち、方法Aの時と同様に、「測定中に完全に並行して行える較正の方法」であり、「偏光特性が既知の試料を利用した」場合(1.6節)のような「測定の事前で行う、もしくは測定を中断して行う」必要性は全くない。ただし、この方法では、こんどは成分[2]と[4]の両方が十分なSN比で観測されているという条件を満たしている必要があることを注意しておく(後述のC参照)。
ここで、方法Aの時と同様に、1.5節のStep2において、「振幅と位相の組」の代わりに「複素表示」を求めた場合での計算式についてもふれておく。
式(1.14b)より、δ(σ),δ(σ)は成分[2]と[4]の複素表示F-(σ),F(σ)と
δ(σ)=arg[F(σ)] (3.8a)
δ(σ)=arg[F(σ)] (3.8b)
なる関係を有している。
従って、基準位相関数φ(σ)は、両成分の複素表示から
Figure 2006308550
として求めることができる。あるいは、上式を簡単な複素関数の公式で書き換えた
Figure 2006308550
を利用しても良い。
図2の光学系(チャネルド分光偏光計)において、移相子R2と偏光子Pのなす角が45°以外の場合には、先に述べた様に、得られるスペクトルにもう一つ異なる周期を持った成分が含まれる。
式(1.10)を見ればわかるように、この成分の位相は「δ(σ)=φ(σ)−arg{M23(σ)}」となり、上記振動成分[2]や[4]とよく似た位相項となっている。このため、[2]や[4]とこれを組み合わせても(あるいは、一方と入れ替えても)同様のφ(σ)の較正ができることとなる。
C.AとBの組み合わせ
以上までに述べた2つの方法(方法Aと方法B)は、いずれも測定中に完全に並行して基準位相関数の一方φ(σ)の較正ができる方法である。ただし、2つの方法では、用いられている振動成分が異なっている。ここで注意すべきは、方法Aで利用される振動成分[3]の振幅はM(σ)に比例し、一方、方法Bで利用される振動成分[2]と[4]の両方の振幅は
Figure 2006308550
に比例していることである。
試料の偏光特性は未知であるため、分光擬ストークスパラメータが各成分の位相測定に常に十分な大きさがあるという保証はない。たとえば、M(σ)が小さい場合には、その成分の位相を使うAの方法でφ(σ)を求めると誤差が大きくなってしまうこととなる。この問題を解決するには、AとBの方法を適応的に組み合わせることが望ましい。具体的には、両者の結果を選択する、あるいは重み付け平均することなどにより、φ(σ)のより確からしい値を求めることができるようになる。
D.AとBの組み合わせ(その2)
AとBを効率よく組み合わせるための考え方の一つを下記に示す。これは、特別な場合分けなどをせずに、直接的に計算できる方法である。なお、この部分(方法D)では、振動成分[2]〜[4]の複素表示F(σ),F(σ),F(σ)の3者を用いて計算を行う。各振動成分の「振幅と位相の組」から計算する際には、これらを式(1.13)を使って一旦「複素表示」に直してから以下の計算手順に従えばよい。
この方法を説明するための準備として、まず下記2式を導出し、その性質を述べる。式(3.5)を変形すると、
2φ(σ)=arg[F 2(σ)] (3.11)
が得られる。一方、式(3.10)の両辺を2倍すれば
2φ(σ)=arg[−F(σ)F+(σ)] (3.12)
が得られる。この両式を見比べれば、各々の右辺の大括弧の中の複素関数は、同じ偏角2φ(σ)を持つことがわかる。
上記の2つの複素関数に対して「同じ偏角を持つ適当な重み関数α(σ)とβ(σ)」をそれぞれ乗算して加えた
Figure 2006308550
において、この式の偏角は、常に2φ(σ)+argα(σ)に等しい。これらの性質を利用すれば、次式に従えばMとM23の一方が小さくなっても、φ(σ)が求められることがわかる。
Figure 2006308550
具体的なα(σ)とβ(σ)の選び方は様々である。
最も簡単な選び方は、両者を同じ定数(1)にしてしまうことである。この場合には、基準位相関数φ(σ)を求めるための式は、
Figure 2006308550
となる。
E.φ (σ)の計算
φ(σ)については、φ(σ)と同様の揺らぎをしていると考えられるため、φ(σ)の測定値から比例計算(例えば厚さの比を使う)で求めることができる。
F.基準複素関数の計算
1.5節「分光擬ストークスパラメータ復調の手順」のStep2での復調において、(「振幅と位相の組」ではなく)「複素表示」を求めた場合には、最終的に分光擬ストークスパラメータを求めるためのStep3の作業の際に必要となるのは、基準位相関数φ(σ),φ(σ)ではなく、基準複素関数K(σ),K(σ),K(σ),K(σ)になる。しかし、これらも、上記Eまでの手順で基準位相関数φ(σ),φ(σ)が求まっていれば、式(1.18a)〜(1.18d)の関係を利用して直ちに求められる。
3.2 「測定中」に基準位相関数を較正する方法(その2)
3.2.1 基本的な考え方
前節3.1で述べたのと同じ考え方で、基準位相関数の「変化量のみ」を求めることもできる。
先の(前節3.1での)方法では、事前較正では「基準振幅関数」を求めており、「基準位相関数」については、特に求める必要はなかった。ところが、3.2節からわかるように、両者はほぼ同時に較正することができる。そこで、「事前較正で基準位相関数の初期値」を求めておき、測定中はその変化量だけを追うようにすることもできる。
その場合のメリットとしては、

・分光器や信号処理系などの特性などによってつくかもしれない若干の付加的な位相ずれの部分が、取り除ける。
・面倒な位相アンラッピングが不要となる。
・位相の変動量自体が小さいため、計算のダイナミックレンジを小さくできる。また、この結果として、多くの場合、計算誤差を相対的に小さくできる。

などがある。
従って、「基準位相関数の変化量のみを求めること」は、意味がある。
説明を補足すれば、図10に示されるように、φよりφを計算する場合については、2つの手法では誤差要因が異なる。すなわち、図10(a)に示されるように、φ(σ)からφ(σ)を求める場合については、アンラッピングを行うことが必要となる。このアンラッピングは、誤差の大きな要因となる。特に、周期がサンプリングに比較して高周波のときやノイズの乗っているとき等においては、誤ったアンラッピングを行うことがある。アンラッピングを誤ると誤差は2πの整数倍となり、誤った位相を算出することになる。また、この誤差は広い波数領域に影響を及ぼす。この差異は、本質的には、偏角を求めるarg演算子(或いはarctan演算子)の解に2πの整数倍の不定性があること、に起因している。これに対して、図10(b)に示されるように、Δφ(σ)からΔφ(σ)を求める場合については、基準位相関数の初期値からの変動量Δφ(σ)は小さいため、アンラッピングを行う必要がない。そのため、計算誤差を相対的に小さくできる。
3.2.2 準備
この「測定中の計測法」を使うには、「基準振幅関数」と「基準位相関数」の両者とも事前較正しておくことが前提となる。なお、位相に関しては、変化量−誤差分−を後に補正できるため、それほど精度良く求めておく必要はない。
3.2.3 実際の較正方法
較正方法の基本的な考え方は、3.1節と全く同じである。従って、3.1.3節で述べたA〜Eの全てに対応する計算方法が存在する。そこで以下では、考え方は違いのみ示し、計算式の列挙を中心に述べることとなる。
初めに、記号をいくつか定義しておく。事前較正によって求まる基準位相関数をφ (i)(σ),φ (i)(σ)とすることとする。それに対応する基準複素関数は、式(1.18a)〜(1.18d)より
Figure 2006308550
となる。さて、測定中に基準位相関数が
φ(σ)=φ (i)(σ)+Δφ(σ) (3.17a)
φ(σ)=φ (i)(σ)+Δφ(σ) (3.17b)
へと変化したとする。以下、この基準位相関数の変化量Δφ(σ),Δφ(σ)、あるいは、それに相当する基準複素関数の変化を求める方法について説明する。
A.振動成分[3]より基準位相関数φ (σ)を求める方法
前節の方法Aで述べたように、成分[3]の位相は
δ(σ)=φ(σ)=φ (i)(σ)+Δφ(σ) (3.18)
となる。そこで、φ(σ)の変化量は
Δφ(σ)=δ(σ)−φ (i)(σ) (3.19)
として求められる。すなわち、成分[3]の位相δ(σ)が測定されれば、基準位相関数の一方の変化量Δφ(σ)が直ちに決められることを意味している。
なお、Step2において、「振幅と位相の組」ではなく、「複素表示」を求めた場合には、
Figure 2006308550
とすれば求められる。
B.複数の振動成分([2]と[4]の組など)より、基準位相関数φ (σ)を求める方法
振動成分[2]と[4]各々の成分の位相から求める方法では、φ(σ)の変化量を求める式は
Figure 2006308550
となる。
「振幅と位相の組」ではなく、「複素表示」を使う場合においては、
Figure 2006308550
として求めることができる。あるいは、上式を簡単な複素関数の公式で書き換えて
Figure 2006308550
を利用しても良い。なお、3.1.3節最後に注記したのと同様に、もう一つの項を利用する場合においても、上記と同じ考え方が利用できる。
C.AとBの組み合わせ
前節で述べた場合と同様に、基準位相関数の「変化量」のみを求める場合でも、方法AとBの適応的な組み合わせは効果的である。なお、内容は前節と全く同じなので省略する。
D.AとBの組み合わせ(その2)
変化量のみを求める場合の計算式として望ましいものの一つは、
Figure 2006308550
である。このとき、arg[α(σ)]=arg[β(σ)]=2φ(σ)であるため、
Figure 2006308550
が得られる。
E.Δφ (σ)の計算
Δφ(σ)については、Δφ(σ)と同様の揺らぎをしていると考えられるため、Δφ(σ)の測定値から比例計算(例えば、厚さの比を使う)で求めることができる。
F.基準複素関数の計算
各振動成分をStep2で復調する際に「振幅と位相の組」ではなく、「複素表示」を求めた場合に、最終的に分光擬ストークスパラメータを求める(Step3の作業)の際に必要となるのは、基準位相関数φ(σ),φ(σ)ではなく、基準複素関数K(σ),K(σ),K(σ),K(σ)になる。
上記Eまでの手順で基準位相関数の変化量Δφ(σ),Δφ(σ)が求まっていれば、これらは、
Figure 2006308550
として、直ちに求められる。
第4章 本発明の具体的な実施の形態
4.1 試料に光を反射させて行う分光偏光計測の場合
試料に光を反射させることにより試料の分光偏光特性を計測する場合の光学系の実施形態について、図11〜図13を参照しながら詳細に説明する。この場合、光学系は、図11及び図12に示されるように、光源7、偏光子P、移相子R2及び移相子R1、検光子A、分光器8を含む。なお、Bは光を反射させる試料を表す。また、光源7から発せられた光は、偏光子P、移相子R2及び移相子R1を順に透過し、試料Bへと斜入射し反射される。その後、光は検光子Aを透過し、分光器8にて受光される。なお、この装置構成は、図1(b)で示されるような従来の光学系の構成において光学素子を試料に対して光源側に配置した構成であることに注意されたい。また、偏光子Pの透過軸の方向と移相子R1の主軸の方向とは一致しており、移相子R1と移相子R2の速軸の方向は互いに−45°傾けられているものとする。θは移相子R1の速軸に対する、検光子の透過軸の方位角を示している。また、光の入射面は、移相子R1の速軸の方向と一致している。なお、偏光子P、移相子R2及び移相子R1、検光子Aを含めた装置をチャネルド分光計測ユニットと称する。
また同時に、図11、図12で示されるような光学系によれば、図13に示されるように、移相子R1及びR2を通る光の波面の入射方向は試料に影響されないので、安定した計測を実現できる。すなわち、試料で光を反射させる場合に、移相子のリタデーションの較正時と試料測定時とで移相子内を通過する光線の距離と方向が変わることによりリタデーションが変化してしまう、という課題が解決できる。
また、分光器8へと入射した光からは、エリプソメトリックパラメータ等が決定されるので、以下、その手順について述べる。
ここで、p偏光(偏光方向が入射面と平行である偏光状態をもつ光)及びs偏光(偏光方向が入射面に対して垂直である偏光状態をもつ光)の光の振幅比の変化率の逆正接をΨ(σ)、位相差をΔ(σ)と表すと、等方性媒質のミューラー行列は
Figure 2006308550
と記述できる。これより、Ψ(σ)、Δ(σ)をエリプソメトリックパラメータとして求めることを考える。
このとき、式(1.5a)〜(1.5d)より
Figure 2006308550
となり、ここでθ=45°とすれば、
Figure 2006308550
となる。
復調処理により得られるM(σ)〜M(σ)に含まれる未知数は、上式で表されるように、光源のスペクトルP(σ)とエリプソメトリックパラメータΨ(σ)、Δ(σ)の3つであるため、エリプソメトリックパラメータΨ(σ)、Δ(σ)を決定することができる。
また、ここで、式(1.11a)〜(1.11d)で示される「成分」の少なくとも1つを復調すれば有用なアプリケーションとなる一例を示す。
例えば、Δ(σ)の値のみを計測したいサンプルがあるとする。その場合は、M23(σ)のみを求めれば、M(σ)、M(σ)の2つの方程式が得られ、これらを解けば、エリプソメトリックパラメータΔ(σ)は
Figure 2006308550
と計算できることとなる。
先に説明したように、M(σ)は第1の分光光量成分から、M(σ)は第3の分光光量成分から、M(σ)及びM(σ)は第2の分光光量成分、第4の分光光量成分及び第5の分光光量成分の少なくとも1つから求められる。したがって、式(4.3)を参照して、M(σ)及びM(σ)の式から求められるΨ(σ)は、第1の分光光量成分及び第3の分光光量成分から求めることができる。この場合には、計測中に基準位相関数を較正するとしてもφ(σ)のみ較正すれば足りる。Ψ(σ)はまた、第1の分光光量成分及び第3の分光光量成分の少なくとも1つと、第2の分光光量成分、第4の分光光量成分及び第5の分光光量成分の少なくとも1つとから求めることもできる。Δ(σ)は、M(σ)及びM(σ)から求めることができるから、第2の分光光量成分、第4の分光光量成分及び第5の分光光量成分の少なくとも1つとから求めることができる。
4.2 試料に光を透過させて行う分光偏光計測の場合
試料に光を透過させることにより試料の分光偏光特性を計測する場合の光学系の実施形態について、図16〜図18を参照しながら詳細に説明する。この場合、光学系は、図16及び図17に示されるように、光源7、偏光子P、移相子R2及び移相子R1、検光子A、分光器8を含む。なお、Cは光を透過させる試料を表す。また、光源7から発せられた光は、偏光子P、移相子R2及び移相子R1を順に透過し、試料Cへと垂直入射し透過する。その後、光は検光子Aを透過し、分光器8にて受光される。なお、この装置構成は、図1(b)で示されるような従来の光学系の構成において光学素子を試料に対して光源側に配置した構成であることに注意されたい。ここで、偏光子Pの透過軸の方向と移相子R1の速軸の方向とは一致しており、移相子R1と移相子R2の速軸の方向は互いに−45°傾けられているものとする。θは移相子R1の速軸に対する、検光子Aの透過軸の方位角を示している。
また、図16、図17で示されるような光学系によれば、移相子R1及びR2を通る光の波面の入射方向は試料の傾き特性(図18(a)参照)や表面の状態(図18(b)参照)に影響されないので、試料の表面形状や散乱物質(生体等)を測定できないという制約を受けない安定した計測を実現できる。すなわち、試料に光を透過させる場合に、移相子のリタデーションの較正時と試料測定時とで移相子内を通過する光線の距離と方向が変わることによりリタデーションが変化してしまう、という課題が解決できる。
また、以下では、分光器8へと入射した光から、移相子R1の速軸に対する試料(複屈折媒質)の複屈折軸の方位角R、リタデーションδ(σ)を求める手順について述べる。
移相子R1の速軸に対する試料(複屈折媒質)の複屈折軸の方位角をR、試料(複屈折媒質)のリタデーションをδ(σ)としたとき、試料(複屈折媒質)を表すミューラー行列は、以下のように記述される。
Figure 2006308550
このとき、式(1.5a)〜(1.5d)より
Figure 2006308550
となり、ここでθ=45°とすれば、
Figure 2006308550
となる。
こうして、復調処理により得られるM(σ)〜M(σ)に含まれる未知数は、上式で表されるように、光源のスペクトルP(σ)と複屈折軸の方位角R、試料(複屈折媒質)のリタデーションδ(σ)の3つであるため、複屈折軸の方位角R、試料(複屈折媒質)のリタデーションδ(σ)を決定することができる。
また、複屈折軸の方位角R、試料(複屈折媒質)のリタデーションδ(σ)のどちらか一方を求めれば良い場合も存在する。例として、液晶や高分子フィルムなどにおいては、複屈折軸の方位角が求まれば、それより、配向方向も求まる。また、方位角RはM(σ)とM(σ)だけから求められるが、M(σ)は第2、第4又は第5の分光光量成分から求められるので、M(σ)と同時に、M(σ)も求められる。また、M(σ)とM(σ)とが分かっていればM(σ)(第3の分光光量成分から求める)の代わりにM(σ)(第1の分光光量成分から求める)を使ってもよい。結局、必要な分光光量成分は、第1、第3のいずれかの分光光量成分及び第2、第4、第5のいずれかの分光光量成分である。δ(σ)を求めるために必要な分光光量成分も同様である。
4.3 事前較正
次に、4.1や4.2等で述べた装置構成に対する事前較正について図14及び図15を参照しつつ説明する。
事前較正に必要となる装置構成が図14に示されている。この装置は光源7、分光器8、事前較正用ユニット9及び測定用ユニット12、事前較正時に用いられる光ファイバ10、測定時に用いられる光ファイバ11から構成される。測定用ユニット12には偏光子P、移相子R2及び移相子R1、測定用検光子A2が含まれ、事前較正用ユニット9には事前較正用検光子A1が含まれる。なお、事前較正用検光子A1は既知の偏光角度に設定されている。
この装置によると、光は、事前較正時には、光源7から発せられ、偏光子P、移相子R2、移相子R1を順に透過し、較正用ユニット9に含まれる事前較正用検光子A1を透過し、光ファイバ10を通じて分光器8へと入射する。一方、試料等の測定対象物が存在する場合は測定用ユニット12を用いて、4.1や4.2で述べた方法で測定を行う。
ここで重要なのは、検光子は「事前較正用」と「測定用」で同一のものを用いる必要がないという点にある。なぜなら、検光子の(消失)特性は前述した通り、透過光線の入射角度変動等による乱れの影響を比較的受けにくいからである。
したがって、既知の偏光角度に設定された事前較正用検光子A1を含む事前較正用ユニット9(受光部)は「較正しやすいところ」へと移動可能となる。つまり、このことから測定現場ではない場所における事前較正(現場設置前の較正)が可能となるというメリットが得られる。また、時間短縮などのメリットも同時に得られる。
また、事前較正に関して、非特許文献2に記載されたチャネルド分光偏光計測法における問題点が図15に示されている。図15において、光は図の左下から入射し偏光子Pを透過し、試料Bにより反射され、移相子Rを透過する。
この較正では、較正時にチャネルド分光偏光計に対して既知の直線偏光を入射させる必要がある。すなわち、試料反射後の偏光状態が既知の直線偏光となるよう、試料に入射する光の偏光状態を調整する必要がある。このため、較正時に限り、試料に入射する光をp偏光(偏光方向が入射面と平行な偏光状態をもつ光)もしくは、s偏光(偏光方向が入射面と垂直な偏光状態をもつ光)へと変える必要があった。(p偏光又はs偏光以外の光では、試料反射後に楕円偏光となってしまう。楕円偏光の偏光状態は試料の屈折率や表面ラフネス等に依存するため、較正光として扱うと計測誤差が生じてしまい不都合である。)また、較正が終われば、再度測定時にp偏光又はs偏光以外の既知の回転角度に偏光子Pを調整しなければならなかった。このため、ステージ等の偏光子の回転角を調整する機構が必要となり、チャネルド分光偏光計測ユニットの小型化を妨げていた。
しかしながら、本実施の形態の較正方法によれば、図14からも明らかな通り、事前較正時に試料による反射を伴わないため、投光側(移相子側)に偏光角調整機構が必要なく、投光側ユニットの小型化が可能となるメリットが得られる。
4.4 測定対象に試料以外の既知の偏光素子を含む場合
測定対象に試料以外の偏光特性が既知の偏光素子(例えばλ/4波長板など)が含まれている場合があり、そのときの光学系の装置構成が図19に示されている。同図において、光学系は、光源7、偏光子P、移相子R2及び移相子R1、検光子A、分光器8を含み、測定対象には、試料D及び既知の偏光素子Eが含まれる。光源7を出た光は、偏光子P、移相子R2、移相子R1を順に透過し、測定対象を反射又は透過し、検光子Aを透過し分光器8へと入射する。
この場合における試料の分光擬ストークスパラメータを求める演算処理では、試料と既知試料をまとめて1つの測定対象とみなして測定し、得られた方程式(分光擬ストークスパラメータ)から、既知の偏光素子の効果を取り除けばよい。以下では、例として、試料の後にλ/4波長板を、その遅軸を第1の移相子の速軸と平行にして、入れたときを考える。(図19において既知の偏光素子Eをλ/4波長板と考える。)
試料とλ/4波長板をまとめて測定対象として、そのミューラー行列を
Figure 2006308550
とすると、式(6.1)の枠内のミューラー行列要素を用いて記述される分光擬ストークスパラメータが得られる。ここで、本来知りたい試料のミューラー行列を
Figure 2006308550
とすると、測定対象のミューラー行列M’(σ)の要素との関係は、
Figure 2006308550
となる。これは、この偏光計によって求められる分光擬ストークスパラメータが、本来知りたい試料のミューラー行列の、式(6.2)の第1行、第2行及び第4行の要素によって決まることを意味している。すなわち、λ/4波長板がない場合と比べると、分光擬ストークスパラメータに関係付けられる要素が異なっている。しかしながら、求められる パラメータの数は4つで同一であり、この場合でも試料のいくつかの分光偏光パラメータを算出できることに注意すべきである。なお、上記から明らかなように、λ/4波長板などを用いることにより、試料のミューラー行列と測定される分光擬ストークスパラメータとの関係式を変えることができる。この事実を積極的に用いれば、たとえば、特定の分光偏光パラメータに対する測定感度を高めたりすることができる。その例として、4.2で示した試料のリタデーションを算出する場合を考える。λ/4波長板がない場合、方位角Rと検光子の方位角θとがほぼ一致する時には式(5.2a)〜(5.2d)中のsin(2R−2θ)が0に近い値となるため、分光擬ストークスパラメータはリタデーションδに対する感度がほとんどない。よって、δの測定精度が劣化する。一方、λ/4波長板がある場合は、分光擬ストークスパラメータは、試料のミューラー行列式(5.1)の第1行、第2行及び第4行の要素より、
Figure 2006308550
となり、方位角Rに関係なく、リタデーションδに対する感度を得ることができる。また、特にθ=45度とすると、その感度は一定になることがわかる。
第5章 検光子及び既知の偏光素子の変調と、それによる測定可能な分光偏光パラメータの数の拡大
前節までに述べたように、本発明の測定原理を用いると、4つの分光擬ストークスパラメータを、一回のスペクトル測定で同時にかつ独立に測定できる。これは、測定対象(すなわち、そこに含まれる試料)に関する分光偏光パラメータを同時に複数決定できるという特徴につながっている。
ただし、試料の性質によっては、上記4つの分光擬ストークスパラメータのみから求められる情報では、測定が不十分な場合もある。たとえば、同時に測定すべき分光偏光パラメータが4を超えている場合などである。
式(1.1)で示したように、試料の偏光状態を表すミューラー行列は16個の要素を持つが、試料によってはこれら16個の全ての要素が異なる値を持つ。例えば、試料に光を反射させることにより試料の分光偏光特性を計測する場合、式(4.1)で試料の条件を等方性媒質としたが、異方性媒質になると、これら16個の要素は最大で7個の独立なパラメータの方程式で示されることがG.E.Jellison,Jrによって示されている(『Handbook of ellipsometry』H.G.Thompkins and E.A.Irene編、William Andrew Publishing, P.244)。また、試料の透過光又は反射光を計測するとき、試料が不均質媒質であった場合などは、これら16個の要素の全てが独立なパラメータとなる場合すらある。
本章では、このように求めるべきパラメータが多い場合のための、本発明原理の拡張について述べる。なおこの拡張技術を利用すると、「機械的ないし能動的な偏光制御素子が不要である」というチャネルド分光偏光計測法の特徴は失われるが、その代わりに、従来の対応する測定法に比べて別の新しい利点、すなわち「必要なスペクトルの測定回数が極めて少なくて済む」という利点が生まれることとなる。
5.1 分光擬ストークスパラメータと試料のミューラー行列との関係
原理の拡張法について述べる前に、その準備として、分光擬ストークスパラメータと試料のミューラー行列の関係式を導出しておく。今、測定対象が、図19のように、試料Dとその後の既知の偏光素子Eから構成されている場合を考える。試料Dと既知の偏光素子Eそれぞれのミューラー行列を
Figure 2006308550
となる。ただしi,jはそれぞれ0から3の整数である。
式(7.3)を式(1.6a)〜(1.6d)に代入すると、測定対象の分光擬ストークスパラメータM(σ)(ただしl=0...3)と試料のミューラー行列要素を関係づける次式が導出される。
Figure 2006308550
5.2 測定可能パラメータ数の増加法(および、完全ミューラー行列測定法)
前章までに述べたように、本発明の方法によって4つの分光擬ストークスパラメータM(σ)、M(σ)、M(σ)、M(σ)を同時にかつ独立に測定することができる。得られた分光擬ストークスパラメータを使って、式(7.6)に基づく方程式を立てれば、第4章の例に示されたように試料に関して最大4つまでの分光擬ストークスパラメータを求めることができる。
ところが、求めるべき分光偏光パラメータの数が多い場合、あるいは上記の方程式を解きにくい場合もあり得る。このような場合には、係数を与えるベクトル
Figure 2006308550
を幾通りか変え、そのたびに測定を繰り返すことにより、方程式を増やすことができる。この係数ベクトルは既知の偏光素子Eの特性と検光子Aの方位角θのみに依存するため、両者のいずれかを制御すればこのベクトルを変化させることができる。方程式が増やせれば、同時に求められる独立な分光偏光パラメータの数を増やすことが可能となる。
ここで、特に、既知の偏光素子Eと検光子Aに関して4通りの異なる条件で測定を行った場合について考える。それぞれの場合に得られる分光擬ストークスパラメータを上つき添え字(p)=0...3で区別すると、式(7.6)からわかるように、次の行列の関係式が成立する。
Figure 2006308550
として求めることが可能となる。この式は、既知の偏光素子Eの特性もしくは検光子Aの方位角θのいずれか一方、あるいは両方を変えて最低4通りの分光擬ストークスパラメータの測定を行えば、試料のミューラー行列の16個の要素全てを同時かつ独立に決定できることを意味している。ただしこの際、N(σ)が逆行列を持つように既知の偏光素子Eと検光子Aを制御する必要がある。なお、測定の条件を4通りより多くすると、方程式の数を増やすことができ、最小自乗の考えを持ち込めば、ノイズなどの影響による誤差を低減することができる。また逆に、測定回数が4回より少ない場合は、16個の要素全てを独立に決定することはできないが、既知の偏光素子Eの特性と検光子Aの方位角θを変えない場合に比べ、より多くの分光擬ストークスパラメータの方程式を得られ、結果としてより多くの試料の分光偏光パラメータを求めることができる。
ここで注意すべき点は、たとえ既知の偏光素子Eや検光子Aを動かす場合でも、本測定法は、従来法に比べて大きなメリットがあることである。確かに、「機械的ないし能動的な偏光制御」が必要とはなるが、必要な測定ステップ数が大きく異なる。本法は、一回の測定で4つの分光擬ストークスパラメータが求まるわけであり、求まるパラメータの数という面では、従来法に比べて測定回数を1/4程度まで減らせられることを意味する。たとえば、ミューラー行列の16個の要素全てを測定する場合に取ると、本法では最低4回の測定でことが足りるが、従来法では最低16回、通常は20〜30回のスペクトル測定を繰り返す必要がある。これは本法が、測定時間の短縮、あるいは測定系の簡素化という面で大きな利点を持っていることを意味している。
尚、ここで既知の偏光素子Eの特性または検光子Aの方位角θは、様々な方法で変えることができる。第1の方法は、いずれかまたは両方の素子の方位角を変更することである。これは、実際に素子を回転させても良いし、あるいは方位角の異なる素子に入れ替えても良いし、あるいは素子の前にファラデーセルなどを挿入して磁気光学的に素子の方位角を設置した方位から回転させても良い。第2の方法は、既知の偏光素子Eに電気光学素子または光弾性変調素子または液晶光変調素子などの変調可能な補償子を導入し、この素子のミューラー行列を決定するパラメータの1つであるリタデーションを変更することである。第3の方法は、これらの組み合わせである。(なお、この3つの方法に限定するものではない。)また、既知の偏光素子Eは、単一の素子からなる必要はない。例えば複数の変調可能な補償子を組み合わせて構成しても良い。
5.3 例
既知の偏光素子Eとして補償子(低次の移相子)を回転させた場合を例として示す。この補償子のリタデーションをδ(σ)、その方位をθとすると、
Figure 2006308550
を制御できることとなる。即ち、両素子の方位角のいずれかを変えながらチャネルドスペクトルの測定を繰り返せばよい。
例えば、δ=90°,θ=45°の元でθを−45°,0°,30°,60°と4通りに変化させた場合には、式(7.8)で与えられる行列N(σ)は、
Figure 2006308550
で与えられる。4回の測定で得られた分光擬ストークスパラメータと上記N−1を式(7.9)に代入すれば、試料の16個のミューラー行列要素全てが各波数毎に決定されることとなる。
なお、実際の測定では、補償子のリタデーションδ(σ)は、波数σの関数であり一定ではない。しかしその場合でも、式(7.9)は各波数毎に計算されるため測定に支障はない。また、参考文献(『Polarrized Light』D.Goldstein著、Mercel Dekker Inc.,P.555)に示された「回転移相子法による偏光状態測定」の場合と同様の証明により、リタデーションδ(σ)は、132°が最適値であることを示すことができる。この値に近いほど、測定雑音の影響を受けにくい測定ができることとなる。
一方、検光子の方位角θを回転させても、方程式を増やすことができる。ただし検光子のみ回転させた場合には、その性質上行列N(σ)に逆行列を持たせることはできないことに注意する必要がある。ミューラー行列要素16個全てを求めようとするならば、少なくとも補償子は回転させることが必要である。
第6章 チャネルドスペクトル偏光状態発生器
本発明の実施形態として、第1章で光学系が光源7、偏光子P、移相子R2及びR1、検光子A、分光器8から構成され、分光器8において取得した入射光のスペクトルを、前述した手順により解析することで、試料の分光偏光パラメータ等が算出されることを説明した。一方、光学系の投光部(光源7、偏光子P、移相子R2及びR1)の役割を考えたときに、これは、偏光状態が変調された光を射出する「偏光状態発生器」と定義することができる。これを特に「チャネルドスペクトル偏光状態発生器(Channeled Spectroscopic Polarization State Generator、以下CSPSGと呼ぶ)」と名付ける。この章では、この光学的意味合いを説明する。
図30にチャネルドスペクトル偏光状態発生器CSPSGの構成を示す。この光学系は、光源7から出射された光を、偏光子P、移相子R2及びR1を透過させる構成であり、図2の光源から試料手前までの構成要素と同じ構成となる。また、素子の方位角も図2と同じである。このとき、CSPSGから出射される光は、偏光状態が波数軸に沿って変調された光となる。CSPSGから出射されるストークスベクトルSPSG(σ)は、ミューラー行列を用いた計算より、
Figure 2006308550
となる。ここで、φ(σ)(j=1,2)は式(1.2)で定式化された移相子のリタデーションである。今、移相子の複屈折B(σ)の分散がそれほど大きくないとすると、式(1.2)からわかるように、φ(σ)は波数σに対してほぼ線形に増加することとなる。式(1.2)を式(8.1)に代入すると、
Figure 2006308550
となる。式(8.2)より、CSPSGから出射される光は、次の3つの特徴を持つ波数軸に沿って変調された光であることがわかる。(a)S(σ)は周期1/Lで擬似正弦的に変調されている。(b)S(σ)とS(σ)は、両者とも、周期1/Lと1/Lの、2つの擬似正弦的に変調された成分からなっている。(c)S(σ)とS(σ)において、同じ周期の擬似正弦成分は、初期位相が互いに90度異なっている。よって、CSPSGから出謝された光は、4つストークスパラメータそれぞれが独立に異なる周期又は位相で変調された光と考えることができる。これより、このCSPSGは完備な偏光状態発生器と言える。本発明は、この完備な偏光状態発生器であるCSPSGと光源と検光子と分光器とを組み合わせ、測定対象物の分光偏光パラメータを求める構成であると定義することもできる。
以下に、本発明の好適な実施例を図20〜図23を参照しつつ、詳細に説明する。分光偏光計測装置の一実施例の構成図が図20に示されている。同図に示されるように、この装置は、投光側ユニット200と受光側ユニット300とを備えている。なお、400は試料である。
投光側ユニット200は、電源201と、電源201から給電されて点灯する光源202と、光源202の出射方向前面側に配置されたピンホール板203と、ピンホール板203のピンホール通過光を平行光化するコリメートレンズ204と、コリメートレンズ204の前面側にあって通過光を開閉するシャッタ205と、シャッタ通過光が入射される偏光子206と、偏光子の透過光が順に透過する第2の移相子207及び、第1の移相子208を含んでいる。
第1の移相子208を通過後の光は投光側ユニット200から出射されて、試料400へと照射される。試料400を透過又は試料400で反射された光は、受光側ユニット300へと入射される。
受光側ユニット300内における入射光路上には、検光子301と、分光器302とが順に介在されている。ここで、第1の移相子208と検光子301との相対角度は既知の角度となるよう設定されている。
分光器302内には、入射光を分光する回折格子302aと、回折格子302aにて分光された光がその受光面に入射されるCCD302bと、CCD302bの受光出力をデジタル信号に変換するA/D変換器302cとを含んでいる。A/D変換器302cから得られるデジタル受光出力信号は、分光器302から取り出され、これがパソコン(PC)等のコンピュータ303にて処理される。
周知の通り、コンピュータ303は、マイクロプロセッサ等で構成される演算処理部303aと、ROM,RAM,HDD等で構成されるメモリ部303bと、ディスプレイ,プリンタ,各種データ出力装置,通信装置等で構成される測定結果出力部303cとを含んでいる。
次に、分光偏光計測装置のセンサヘッド部に関するより具体的な構成図が図21に示されている。センサヘッド部100は光を出射する投光部110と、試料を反射又は透過した光を受光する受光部120と、それら投光部110と受光部120を保護するハウジング130とを含んでいる。なお、50は試料である。
投光部110は光源(図示せず)から発せられた光を通過させる光ファイバーケーブル111と、光ファイバーケーブル111からの透過光を通過させるケーブルヘッドと、ケーブルヘッドからの通過光を平行光化するコリメートレンズ(投光レンズ)115と、コリメートレンズ115の前面側にあって入射光を透過させる偏光子116と、偏光子からの出射光が順に透過する第2の移相子117及び第1の移相子118と、これらの光学系をハウジング130に据え付ける光学系保持部材113及び取り付け部材114を含む。なお、実線119は投光部110内を通過する光の投光軸である。
受光部120は、試料50に反射又は透過された光を透過させる検光子122と、検光子122からの透過光を集光させる受光レンズ123と、受光レンズ123を経た光を通過させるケーブルヘッド126と、分光器(図示せず)へと接続される光ファイバーケーブル127と、これらの光学系をハウジング130に据え付ける取り付け部材124及び光学系保持部材125とを含む。なお、実線121は試料50に反射又は透過された光の受光軸である。
次に、分光偏光パラメータが既知の偏光素子を試料の後に設置して、試料の分光偏光パラメータを計測する場合の装置の構成図を図29に示す。図21と比較して、試料50と検光子122の間に中空モータ141に保持された補償子(既知の偏光素子)140が設置された構成となっている。ここで、142はモータ駆動用の電気配線である。中空モータ141を回転させて補償子140の方位角を制御することで、複数の条件で分光擬パラメータを計測できるようになっている。また、中空モータ141はハウジング130に固定され、受光部120の要素として一体化した構成となっている。中空モータ141は、図20の演算処理部303aによって制御される。なお、補償子140を回転させず、検光子122を回転させる場合は、上記中空モータ141を補償子140の固定金具に置き換え、検光子122を回転させる中空モータを設ければよい。また、補償子140と検光子122の両方を個別に回転可能としても良い。
次に事前較正手順のフローチャートが図22に示されている。同図に示されるように事前較正手順として、先ず、ステップ2201では、装置に光を入射させる。ただし、この装置において、第1の移相子208と検光子301との相対角度は既知の角度となっており、第1の移相子208と検光子301との間には光の偏光状態を変化させる素子は配置されていないものとする。
次に、ステップ2202では、分光器にて、検光子301からの透過光における分光光量を測定する。このとき、不要な光、例えば迷光の影響を低減させるのにシャッタ205を活用できる。具体的には、シャッタ開と閉それぞれの状態で測定されたスペクトルの差をとれば、不要光分のスペクトルは相殺される。
次に、ステップ2203では、透過光受光した光の分光光量を分光器よりコンピュータ303に転送して演算処理部303aにおける演算に供する。
次に、ステップ2204では、演算処理部303aの作用により、基準位相関数と基準振幅関数とが算出される。
次に、ステップ2205では、算出した基準位相関数と基準振幅関数がメモリ部303bに保存され、これにより事前較正手順が完了する。
次に、測定手順のフローチャートが図23に示されている。同図に示されるように、測定手順として、先ず、ステップ2301においては、装置に光を入射させる。
次に、ステップ2302では、分光器302にて試料400を反射又は透過した後、検光子301を透過した透過光の分光光量を計測する。このとき、不要な光、例えば迷光の影響を低減させるのにはシャッタ205を活用することができる。具体的には、シャッタ開と閉それぞれの状態で測定されたスペクトルの差をとれば、不要光分のスペクトルは相殺される。
次に、ステップ2303では、透過光の分光光量を分光器302よりコンピュータ303へと転送して、演算処理部303aにおける処理に供する。このとき、第5章で述べた手法を実施する場合には、図29を用いて説明した光学系を使用し、補償子140又は検光子122の方位角を変えて、分光光量を複数回取得する。
次に、ステップ2304では、コンピュータ303において、演算処理部303aはメモリ部303bより基準位相関数と基準振幅関数とを取得する。
次に、ステップ2305では、コンピュータ303において、演算処理部303aは測定した分光光量、及び基準位相関数・基準振幅関数を用いて、基準位相関数の変化量(Δφ及びΔφ)を算出する。
次に、ステップ2306では、コンピュータ303において、演算処理部303aは測定した分光光量及び基準位相関数・基準振幅関数の変化量を用いて、分光擬ストークスパラメータを算出する。
次に、ステップ2307では、コンピュータ303において、演算処理部303aは試料400の分光偏光パラメータを出力する。このとき、測定結果出力部303cとしては、メモリ、ハードディスク、他の処理部(膜厚、複素屈折率算出部等)などを挙げることができる。
以上説明したように、この実施例の分光偏光計測装置においては、図20、及び図21又は図29に示されるシステム構成において、図22に示される事前較正手順並びに図23に示される測定手順を経ることにより、試料の分光偏光パラメータを算出するものである。
課題の解決原理を示す説明図である。 光学系の装置構成図と各光学素子の方位角を示す説明図。 分光偏光計測法に関する説明図である。 分光器から得られるチャネルドスペクトルとその4つの成分との関係を示す説明図である。 分光擬ストークスパラメータ復調の手順(信号処理の流れ)を示す説明図である。 Step 2の一つの例を示す説明図である。 フーリエ変換法の説明図である。 測定中の、較正の信号の流れを示す説明図である。 「測定中の較正」及び「分光擬ストークスパラメータの測定」をあわせた信号の流れを示す説明図である。 測定中に基準位相関数を較正する方法(その1,2)の比較説明図である。 エリプソメトリーにおける装置構成図(その1)である。 エリプソメトリーにおける装置構成図(その2)である。 試料で光を反射させる場合の課題の解決原理を示す説明図である。 較正用の光学系を別途設置する場合の装置構成図を示す説明図である。 試料により反射された光の偏光状態を示す説明図である。 複屈折計測における装置構成図(その1)を示す説明図である。 複屈折計測における装置構成図(その2)を示す説明図である。 試料に光を透過させる場合の課題の解決原理を示す説明図である。 試料の前又は後ろに偏光特性が既知の偏光素子を配置した場合の装置構成図を示す説明図である。 分光偏光計測装置の一実施例の構成図(その1)である。 分光偏光計測装置の一実施例の構成図(その2)である。 事前較正手順を示すフローチャートである。 測定手順を示すフローチャートである。 移相子を通る光の波面の入射方向の変動を示す説明図(その1)である。 移相子を通る光の波面の入射方向の変動を示す説明図(その2)である。 チャネルド分光偏光計測法の実験系の構成図である。 同実験系におけるチャネルドスペクトルを示すグラフである。 同実験系における規格化されたストークスパラメータを示すグラフである。 試料の分光偏光パラメータを計測する場合の装置の構成図である。 チャネルドスペクトル偏光状態発生器CSPSGの構成を示す図である。
符号の説明
1 キセノンランプ
2 偏光子
3 バビネ・ソレイユ補償子
4 測定系
5 分光器
6 コンピュータ
7 光源
8 分光器
9 較正用ユニット
10 較正時光ファイバ
11 測定時光ファイバ
12 測定用ユニット
50 試料
100 センサヘッド
110 投光部
111 光ファイバケーブル
112 ケーブルヘッド
113 光学系保持部材
114 取り付け部材
115 コリメートレンズ
116 偏光子
117 第2の移相子
118 第1の移相子
119 投光軸
120 受光部
121 受光軸
122 検光子
123 受光レンズ
124 取り付け部材
125 光学系保持部材
126 ケーブルヘッド
127 光ファイバケーブル
130 ハウジング
140 補償子(偏光素子)
141 中空モータ
142 モータ駆動用電気配線
200 投光側ユニット
201 電源
202 光源
203 ピンホール板
204 コリメートレンズ
205 シャッタ
206 偏光子
207 第2移相子
208 第1移相子
300 受光側ユニット
301 検光子
302 分光器
303 コンピュータ
302a 回折格子
302b CCD
302c A/D変換器
303a 演算処理部
303b メモリ部
303c 測定結果出力部
400 試料
A 検光子
A1 較正用検光子
A2 測定用検光子
B 光を反射させる試料
C 光を透過させる試料
D 光を反射または透過させる試料
E 偏光状態既知の偏光素子
P 偏光子
R1 移相子
R2 移相子

Claims (39)

  1. 測定対象物を用意するステップと、
    光源と、偏光子と、複数の移相子とを備え、光源から出た光が偏光子、複数の移相子の順で透過した後に測定対象物に照射されるように光源、偏光子及び複数の移相子が配置された投光光学系と、
    前記投光光学系から出射して測定対象物において反射又は透過した光を透過させる検光子と、
    前記検光子を透過した光の分光光量を求める手段と
    を含む偏光分光装置を用意するステップと、
    前記偏光分光装置を用いて測定対象物についての分光光量を求めるステップと、
    を備えた分光偏光計測方法。
  2. さらに、求めた前記分光光量を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップを備えた、請求項1に記載の分光偏光計測方法。
  3. 前記投光光学系に備えられる複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子であり、
    前記光源、偏光子、第1の移相子及び第2の移相子は、光源から出た光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように配置されたものである、請求項2に記載の分光偏光計測方法。
  4. 前記分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップは、前記分光光量から、波数に対して非周期振動性の分光光量成分(第1の分光光量成分)及び波数に対して第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第3の分光光量成分)を求め、求めた各分光光量成分を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである、
    請求項3に記載の分光偏光計測方法。
  5. 前記分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップは、前記分光光量から、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との差に依存する周波数で振動する分光光量成分(第2の分光光量成分)、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との和に依存する周波数で振動する分光光量成分(第4の分光光量成分)及び波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第5の分光光量成分)の少なくとも1つを求め、求めた分光光量成分を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである、
    請求項3に記載の分光偏光計測方法。
  6. 前記分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップは、前記分光光量から、波数に対して非周期振動性の分光光量成分(第1の分光光量成分)及び波数に対して第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第3の分光光量成分)の少なくとも1つと、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との差に依存する周波数で振動する分光光量成分(第2の分光光量成分)、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との和に依存する周波数で振動する分光光量成分(第4の分光光量成分)及び波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第5の分光光量成分)の少なくとも1つとを求め、求めた各分光光量成分を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである、
    請求項3に記載の分光偏光計測方法。
  7. 前記分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップは、
    前記分光光量から第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、
    前記分光光量及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである、
    請求項3に記載の分光偏光計測方法。
  8. さらに、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータを取得するステップを備え、
    前記分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップは、
    前記分光光量と、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータとから、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、
    前記分光光量、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである、
    請求項3に記載の分光偏光計測方法。
  9. さらに、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータを取得するステップと、
    第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び第2の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))を取得するステップとを備え、
    前記分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップは、
    前記分光光量から、第2の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の前記較正用基準値(φ (i)(σ))からの変化量(Δφ(σ))とを求め、
    求めた第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))と、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータとを用いて、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))を求め、
    第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び求めた第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))から第1の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、
    前記分光光量、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである、
    請求項3に記載の分光偏光計測方法。
  10. 前記偏光子及び第2の移相子は、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の速軸の方向との間の角度が45°となるように配置されたものである、請求項3に記載の分光偏光計測方法。
  11. さらに、前記偏光分光装置を用いて、前記投光光学系と前記検光子との間の光路中に分光偏光特性が未知の測定対象物が存在しない状態において較正用分光光量を求めるステップを備え、
    前記分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップは、測定対象物についての前記分光光量と、前記較正用分光光量又は前記較正用分光光量に基づくデータとを用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである、請求項2に記載の分光偏光計測方法。
  12. 前記較正用分光光量を求めるステップは、前記投光光学系と前記検光子との間の光路中に分光偏光特性が未知の測定対象物が存在しない状態において前記投光光学系から出射した光を受ける位置に較正用検光子を用意し、較正用検光子を透過した光の分光光量を求めるものである、請求項11に記載の分光偏光計測方法。
  13. さらに、前記較正用分光光量を用いて第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を求めるステップを備え、
    前記分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップは、測定対象物についての前記分光光量と、前記較正用分光光量を用いて求めた第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))とを用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである、請求項11に記載の分光偏光計測方法。
  14. 前記第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータを取得するステップは、前記偏光分光装置を用いて、前記投光光学系と前記検光子との間の光路中に分光偏光特性が未知の測定対象物が存在しない状態において較正用分光光量を求め、求めた較正用分光光量を用いて第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータを求めるものである、請求項8に記載の分光偏光計測方法。
  15. 前記第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータを取得するステップは、前記偏光分光装置を用いて、前記投光光学系と前記検光子との間の光路中に分光偏光特性が未知の測定対象物が存在しない状態において較正用分光光量を求め、求めた較正用分光光量を用いて第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータを求めるものである、請求項9に記載の分光偏光計測方法。
  16. さらに、求めた前記分光光量を用いて、測定対象物の分光擬ストークスパラメータを求めるステップを備えた、請求項1に記載の分光偏光計測方法。
  17. 前記投光光学系に備えられる複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子であり、
    前記光源、偏光子、第1の移相子及び第2の移相子は、光源から出た光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように配置されたものであり、
    さらに、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータを取得するステップを備え、
    前記分光擬ストークスパラメータを求めるステップは、
    求めた前記分光光量から、波数に対して非周期振動性の分光光量成分(第1の分光光量成分)及び波数に対して第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第3の分光光量成分)の少なくとも1つと、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との差に依存する周波数で振動する分光光量成分(第2の分光光量成分)、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との和に依存する周波数で振動する分光光量成分(第4の分光光量成分)及び波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第5の分光光量成分)の少なくとも1つとを求め、
    第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータと、求めた各分光光量成分とを用いて、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))並びに分光擬ストークスパラメータを求めるものである、
    請求項16に記載の分光偏光計測方法。
  18. 前記投光光学系に備えられる複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子であり、
    前記光源、偏光子、第1の移相子及び第2の移相子は、光源から出た光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように配置されたものであり、
    さらに、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータを取得するステップと、
    第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び第2の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))を取得するステップとを備え、
    前記分光擬ストークスパラメータを求めるステップは、
    求めた前記分光光量から、波数に対して非周期振動性の分光光量成分(第1の分光光量成分)及び波数に対して第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第3の分光光量成分)の少なくとも1つと、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との差に依存する周波数で振動する分光光量成分(第2の分光光量成分)、波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))との和に依存する周波数で振動する分光光量成分(第4の分光光量成分)及び波数に対して第1の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存し第2の移相子のリタデーション(φ(σ))に依存しない周波数で振動する分光光量成分(第5の分光光量成分)の少なくとも1つとを求め、
    求めた分光光量成分を用いて、第2の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の前記較正用基準値(φ (i)(σ))からの変化量(Δφ(σ))とを求め、
    求めた第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))と、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータとを用いて、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))を求め、
    第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び求めた第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))から第1の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、
    求めた各分光光量成分並びに第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて分光擬ストークスパラメータを求めるものである、
    請求項16に記載の分光偏光計測方法。
  19. 光源と、偏光子と、複数の移相子とを備え、光源から出た光が偏光子、複数の移相子の順で透過した後に測定対象物に照射されるように光源、偏光子及び複数の移相子が配置された投光光学系と、
    前記投光光学系から出射して測定対象物において反射又は透過した光を透過させる検光子と、
    前記検光子を透過した光の分光光量を求める手段と
    を備えた偏光分光装置。
  20. 前記投光光学系に備えられる複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子であり、
    前記光源、偏光子、第1の移相子及び第2の移相子は、光源から出た光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように配置されたものである、請求項19に記載の偏光分光装置。
  21. 前記偏光子及び第2の移相子は、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の速軸の方向との間の角度が45°となるように配置されたものである、請求項20に記載の偏光分光装置
  22. さらに、前記投光光学系と前記検光子との間の光路中に分光偏光特性が未知の測定対象物が存在しない状態において前記投光光学系から出射した光を受ける位置に着脱可能に備えられた較正用検光子と、
    前記較正用検光子を透過した光の分光光量を求める手段と
    を備えた、請求項19に記載の偏光分光装置。
  23. さらに、前記光源から出た光を前記偏光子に導く投光用光ファイバを備えた、請求項19に記載の偏光分光装置。
  24. 前記分光光量を求める手段は受光素子又は分光器を備え、
    さらに、前記検光子を透過した光を前記受光素子又は分光器に導く受光用光ファイバを備えた、請求項23に記載の偏光分光装置。
  25. 光源と、偏光子と、複数の移相子とを備え、光源から出た光が偏光子、複数の移相子の順で透過した後に測定対象物に照射されるように光源、偏光子及び複数の移相子が配置された投光光学系と、
    前記投光光学系から出射して測定対象物において反射又は透過した光を透過させる検光子と、
    前記検光子を透過した光の分光光量を求める手段と
    を備えた偏光分光装置と、
    前記分光光量を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求める演算装置と
    を備えた分光偏光計測装置。
  26. 前記投光光学系に備えられる複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子であり、
    前記光源、偏光子、第1の移相子及び第2の移相子は、光源から出た光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように配置されたものであり、
    前記演算装置は、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータを利用可能とされており、
    前記分光光量と、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の間の関係を示すデータとから、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、
    前記分光光量、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである、
    請求項25に記載の分光偏光計測装置。
  27. 前記投光光学系に備えられる複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子であり、
    前記光源、偏光子、第1の移相子及び第2の移相子は、光源から出た光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように配置されたものであり、
    前記演算装置は、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータと、第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び第2の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))とを利用可能とされており、
    前記分光光量から、第2の移相子のリタデーション(φ(σ))と第2の移相子のリタデーション(φ(σ))の前記較正用基準値(φ (i)(σ))からの変化量(Δφ(σ))とを求め、
    求めた第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))と、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))及び第2の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))の間の関係を示すデータとを用いて、第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))を求め、
    第1の移相子のリタデーションの較正用基準値(φ (i)(σ))及び求めた第1の移相子のリタデーションの変化量(Δφ(σ))から第1の移相子のリタデーション(φ(σ))を求め、
    前記分光光量、第1の移相子のリタデーション(φ(σ))及び第2の移相子のリタデーション(φ(σ))を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるものである、
    請求項25に記載の分光偏光計測装置。
  28. 偏光子と、複数の移相子とを備え、偏光子に入射した光が、偏光子、複数の移相子の順で透過した後に測定対象物に照射されるように偏光子及び複数の移相子が配置された投光光学系と、
    前記投光光学系から出射して測定対象物において反射又は透過した光を透過させる検光子と
    を備えた光学装置。
  29. 偏光子と、複数の移相子とを備え、偏光子に入射した光が、偏光子、複数の移相子の順で透過した後に測定対象物に照射されるように偏光子及び複数の移相子が配置された投光装置。
  30. 前記複数の移相子は、第1の移相子及び第2の移相子であり、
    前記偏光子、第1の移相子及び第2の移相子は、偏光子に入射した光が偏光子、第2の移相子、第1の移相子の順で透過し、偏光子の透過軸の方向と第2の移相子の主軸の方向とが不一致であり、第2の移相子の主軸の方向と第1の移相子の主軸の方向とが不一致であるように配置されたものである、請求項29に記載の投光装置。
  31. 前記偏光分光装置を用意するステップにおいて用意される偏光分光装置は、前記検光子の方位角を変更する手段をさらに備え、
    前記分光光量を求めるステップは、前記偏光分光装置を用いて、前記検光子の方位角を互いに異ならせた複数の状態において測定対象物についての分光光量を求めるものであり、
    前記複数の状態において求めた分光光量を用いて、測定対象物の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップをさらに備えた、請求項1に記載の分光偏光計測方法。
  32. 前記測定対象物を用意するステップは、試料と、試料を出射した光が入射する偏光素子とを含む測定対象物を用意するものであり、
    前記偏光分光装置を用意するステップにおいて用意される偏光分光装置は、前記偏光素子の特性を変更する手段をさらに備え、
    前記分光光量を求めるステップは、前記偏光分光装置を用いて、前記偏光素子の特性を互いに異ならせた複数の状態において測定対象物についての分光光量を求めるものであり、
    前記複数の状態において求めた分光光量を用いて、試料の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップをさらに備えた、請求項1に記載の分光偏光計測方法。
  33. 前記測定対象物を用意するステップは、試料と、試料を出射した光が入射する偏光素子とを含む測定対象物を用意するものであり、
    前記偏光分光装置を用意するステップにおいて用意される偏光分光装置は、前記偏光素子の特性を変更する手段及び前記検光子の方位角を変更する手段をさらに備え、
    前記分光光量を求めるステップは、前記偏光分光装置を用いて、前記偏光素子の特性又は前記検光子の方位角を互いに異ならせた複数の状態において測定対象物についての分光光量を求めるものであり、
    前記複数の状態において求めた分光光量を用いて、試料の分光偏光パラメータの少なくとも1つを求めるステップをさらに備えた、請求項1に記載の分光偏光計測方法。
  34. 前記検光子の方位角を変更する手段をさらに備えた、請求項19に記載の偏光分光装置。
  35. 前記測定対象物が、試料と、試料を出射した光が入射する偏光素子とを含む場合において、前記偏光素子の特性を変更する手段をさらに備えた、請求項19に記載の偏光分光装置。
  36. 前記測定対象物が、試料と、試料を出射した光が入射する偏光素子とを含む場合において、前記偏光素子の特性を変更する手段と、前記検光子の方位角を変更する手段と、をさらに備えた、請求項19に記載の偏光分光装置。
  37. 前記検光子の方位角を変更する手段をさらに備えた、請求項28に記載の光学装置。
  38. 前記測定対象物が、試料と、試料を出射した光が入射する偏光素子とを含む場合において、前記偏光素子の特性を変更する手段をさらに備えた、請求項28に記載の光学装置。
  39. 前記測定対象物が、試料と、試料を出射した光が入射する偏光素子とを含む場合において、前記偏光素子の特性を変更する手段と、前記検光子の方位角を変更する手段と、をさらに備えた、請求項28に記載の光学装置。
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