JP2020063993A - 偏光特性測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】両方の位相子の偏光状態を同期させて変更する場合に比べて、測定対象物の偏光特性の測定を短時間で行うことを目的とする。【解決手段】偏光特性測定装置1は、設定される偏光状態を、偏光特性が未知の測定対象物SAに入射させる位相子C1と、設定される偏光状態を、測定対象物SAから出射する光に作用させる位相子C2と、を備え、位相子C1に設定される偏光状態と位相子C2に設定される偏光状態とのいずれか一方を固定し、他方を変化させて測定対象物SAの偏光特性を測定する。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光特性測定装置に関する。
非特許文献1には、光学的にPC1r(ω)SC2r(ω)Aと配置された高速マルチチャネルエリプソメータが記載されている。ここでは、コンペンセータ(C1r、C2r)が周波数的に結合するように設定されている。ポラライザ(P)とアナライザ(A)とはサンプルに対して対称な位置に固定されている。コンペンセータ(C1r、C2r)は、ω=5ω、ω=3ωの関係で連続的に回転するようになっている。
非特許文献2には、ポラライザとアナライザとで構成される光学系を、回転する2つの1/4波長位相器を角速度ωと5ωとで同期させて変調する光学ポラリメーターが記載されている。
R. W. Collins and Joohyun Koh "Dual rotating-compensator multichannel ellipsometer: instrument design for real-time Mueller matrix spectroscopy of surfaces and films" Journal of the Optical Society of America A, Vol. 16, pp. 1997-2006 (1999). R. M. A. Azzam "Photopolarimetric measurement of the Mueller matrix by Fourier analysis of a single detected signal" Optical Letters, vol. 2, pp. 148-150 (1978).
二重回転位相子法に代表される一組の位相子間に測定対象物を配置して、測定対象物の偏光特性を測定する方法では、両方の位相子の偏光状態を予め定められた関係で同期させて変化させることが必要であった。
本発明は、両方の位相子の偏光状態を同期させて変更する場合に比べて、測定対象物の偏光特性の測定を短時間で行うことを目的とする。
請求項1に記載の発明は、設定される偏光状態を、偏光特性が未知の測定対象物に入射させる第1の位相子と、設定される偏光状態を、前記測定対象物から出射する光に作用させる第2の位相子と、を備え、前記第1の位相子に設定される偏光状態と前記第2の位相子に設定される偏光状態とのいずれか一方を固定し、他方を変化させて前記測定対象物の偏光特性を測定する偏光特性測定装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第1の位相子に設定される偏光状態と前記第2の位相子に設定される偏光状態とのいずれか一方は、4以下の偏光状態に固定されることを特徴とする請求項1に記載の偏光特性測定装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1の位相子に設定される偏光状態と前記第2の位相子に設定される偏光状態とのいずれか一方は、4の偏光状態に固定されることを特徴とする請求項2に記載の偏光特性測定装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第1の位相子に設定される偏光状態と前記第2の位相子に設定される偏光状態のうち一方を固定にした場合における、当該第2の位相子からの光を検光子を介して観察される光強度の変化が大きい側の偏光状態を変化させることを特徴とする請求項1に記載の偏光特性測定装置である。
請求項5に記載の発明は、前記第2の位相子に設定される偏光状態が固定されることを特徴とする請求項4に記載の偏光特性測定装置である。
請求項6に記載の発明は、前記測定対象物の偏光特性は、ミュラー行列の行列要素で示されることを特徴とする請求項1に記載の偏光特性測定装置である。
請求項7に記載の発明は、前記測定対象物の測定結果から、当該測定対象物の偏光特性がミュラー行列の全ての行列要素で示されることを特徴とする請求項1に記載の偏光特性測定装置である。
請求項8に記載の発明は、前記第1の位相子及び前記第2の位相子のそれぞれは、位相差板であって、当該第1の位相子に設定される偏光状態及び当該第2の位相子に設定される偏光状態は、位相差板の方位角によって設定されることを特徴とする請求項1に記載の偏光特性測定装置である。
請求項9に記載の発明は、前記第1の位相子と前記第2の位相子とにおいて変化させる側は、位相差板を光軸の回りで回転させて、前記偏光状態を変化させることを特徴とする請求項8に記載の偏光特性測定装置である。
請求項10に記載の発明は、前記第2の位相子から出射される光の検光子を介して観察される光強度から前記測定対象物の偏光特性を算出する算出手段を備え、前記算出手段は、次式に基づいて光強度から、前記測定対象物の偏光特性を示すミュラー行列の行列要素を算出することを特徴とする請求項9に記載の偏光特性測定装置である。
I=Z(θ,δ,mi0)+Z(δ,θ,δ,mi1)cos4θ+Z(δ,θ,δ,mi2)sin4θ+Z(δ,θ,δ,mi3)sin2θ
ここで、Iは光強度、mijは測定対象物のミュラー行列の行列要素(i、jは0〜3の整数)、θは第1の位相子の方位角、δは第1の位相子の位相差、θは第2の位相子の方位角、δは第2の位相子の位相差、Z〜Zは測定対象物のミュラー行列の行列要素mij、第1の位相子の位相差δ、及び第2の位相子の方位角θ、位相差δに関係する係数である。
請求項11に記載の発明は、前記算出手段は、前記Z〜Zの各係数をフィッティングパラメータとする最適化計算により各係数の収束値を求め、ミュラー行列の各行列要素mijを算出することを特徴とする請求項10に記載の偏光特性測定装置である。
請求項12に記載の発明は、前記算出手段は、前記第1の位相子又は前記第2の位相子の固定された側における複数の偏光状態で得られた光強度の一次結合に対して、前記Z〜Zの各係数をフィッティングパラメータとする最適化計算により各係数の収束値を求め、ミュラー行列の各行列要素mijを算出することを特徴とする請求項10に記載の偏光特性測定装置である。
請求項1に記載の発明によれば、両方の位相子の偏光状態を同期させて変更する場合に比べて、測定対象物の偏光特性の測定を短時間で行える。
請求項2に記載の発明によれば、両方の位相子の偏光状態を同期させて変更する場合に比べて、少ないデータ量で測定対象物の偏光特性が得られる。
請求項3に記載の発明によれば、4未満の偏光状態に設定される場合に比べて、測定対象物の偏光特性が確実に得られる。
請求項4に記載の発明によれば、観察される光強度の変化が大きい側を固定する場合に比べて、測定対象物の有する偏光特性による影響を受けにくい。
請求項5に記載の発明によれば、測定対象物に対して出射側を可変にする場合に比べて、測定対象物の有する偏光特性による影響を受けにくい。
請求項6に記載の発明によれば、ミュラー行列を用いない場合に比べて、無偏光の光が取り扱える。
請求項7に記載の発明によれば、ミュラー行列の一部が得られる場合に比べて、測定対象物の偏光特性の全てが得られる。
請求項8に記載の発明によれば、位相差板を用いない場合に比べて、装置構成が複雑になることが抑制される。
請求項9に記載の発明によれば、回転させない場合に比べ、高速に測定ができる。
請求項10に記載の発明によれば、両方の位相子の偏光状態を同期させて変更する場合に比べて、算出対象の項数が少なくなる。
請求項11に記載の発明によれば、フィッティングを用いない場合に比べて、未知数の数より少ない数の関係式から偏光特性が算出できる。
請求項12に記載の発明によれば、最適化計算の精度が向上する。
本実施の形態が適用される偏光特性測定装置の概要を説明する図である。 固定する位相子の方位角を設定する他の方法を説明する図である。 固定する位相子の方位角を設定するさらに他の方法を説明する図である。 本実施の形態が適用される偏光特性測定装置による片回転位相子法による測定時間を説明する図である。(a)は、従来の二重回転位相子法、(b)は、片回転位相子法、(c)は、測定時間をさらに短縮した片回転位相子法を示す。 本実施の形態が適用される偏光特性測定装置によって、ある濃度のグルコース溶液に光を透過させて偏光特性を測定した1データセットの一例である。(a)は、固定した位相子の方位角が−15°の場合の光量波形、(b)は、固定した位相子の方位角が15°の場合の光量波形、(c)は、固定した位相子の方位角が30°の場合の光量波形、(d)は、固定した位相子の方位角が60°の場合の光量波形である。 本実施の形態が適用される偏光特性測定装置によって、ある濃度のグルコース溶液に光を透過させて偏光特性を測定した1データセットにおいて、加減算により光量波形を求めた一例である。(a)は、固定した位相子の方位角が30°の場合の光強度から60°の場合の光強度を引いた光量波形、(b)は、固定した位相子の方位角が15°の場合の光強度から30°の場合の光強度を引いた光量波形、(c)は、固定した位相子の方位角が15°の場合の光強度と−15°の場合の光強度を加えた光量波形、(d)は、位相子の方位角が15°の場合の光強度と−15°の場合の光強度を引いた光量波形である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1の概要を説明する図である。
偏光特性測定装置1は、偏光子P1、P2、位相子C1、C2、光源LSと検出器Dとを備える。偏光特性測定装置1では、光源LS、偏光子P1、位相子C1、位相子C2、偏光子P2、そして検出器Dの順に配列されている。そして、位相子C1と位相子C2との間に偏光特性が未知の測定対象物SAが配置されている。
さらに、偏光特性測定装置1は、検出器Dからの信号を取得して、測定対象物SAの偏光特性を算出する算出器CPを備える。
ここで、位相子C1は、第1の位相子の一例であり、位相子C2は、第2の位相子の一例である。また、算出器CPは、算出手段の一例である。
そして、偏光特性測定装置1では、光源LSが出射した光は、偏光子P1、位相子C1、測定対象物SA、位相子C2、偏光子P2を透過して、検出器Dに到達するように構成されている。つまり、光源LS、偏光子P1、位相子C1、測定対象物SA、位相子C2、偏光子P2及び検出器Dは、実線で示す光軸10に沿って配置されている。ここで、図1に示すように、光軸10をz方向とし、光軸10に直交するとともに、互いに直交する2つの方向をx方向及びy方向とする。ここでは、偏光子P1の方位角θP1、偏光子P2の方位角θP2は、x方向に揃えられている。つまり、偏光子P1の方位角θP1及び偏光子P2の方位角θP2は、共に0°に設定されている。
光源LSは、レーザのような波長(スペクトル)幅が狭い光源であってもよく、発光ダイオード(LED)やランプのような波長(スペクトル)幅が広い光源であってもよい。なお、レーザのような波長(スペクトル)幅が狭い方がよい。
ここでは、光源LSから出射する光は、上述したように、無偏光状態であるとした。なお、光源LSは、直線偏光を出射するものであってもよい。その場合には、偏光子P1を省略してもよい。この場合、直線偏光の方位角θを新たなx方向と考え、このx軸に偏光子P2の方位角θP2を揃える。つまり、直線偏光の方位角θ及び偏光子P2の方位角θP2は、共に0°である。
偏光子P1、P2は、偏光子P1、P2に入射する光から、予め定められた偏光面の直線偏光を通過させる。偏光子P1、P2は、例えば全反射型のグラントムソンプリズム、グランテーラプリズム、グランレーザプリズムなどである。
位相子C1、C2は、一軸の光学異方性を有する光学材料で構成されている。位相子C1、C2をそれぞれ区別しない場合は、位相子Cと表記する。位相子Cは、光軸10(図1のz軸)に対して、直交する方向に進相軸、光軸に対して直交するとともに進相軸に直交する遅相軸を有する。なお、進相軸が遅相軸に比べて屈折率が小さい。位相子Cは、位相差板又は波長板とも呼ばれる。そして、波長をλとする場合、進相軸と遅相軸との位相差δが1/4λである場合に1/4λ板と呼ばれ、位相差δが1/2λである場合に1/2λ板と呼ばれる。そして、位相子Cにおいて進相軸とx軸との間の角度を方位角θと表記する。そして、位相子C1は、測定対象物SAに入射させる光の偏光状態を設定する。また、位相子C2は、測定対象物SAから出射した光に作用して偏光状態を設定する。
検出器Dは、入射した光強度に対応した電気信号を出力する。検出器Dは、例えばシリコンダイオードなど、光電変換を利用したフォトディテクタである。
算出器CPは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDDなどを備えたコンピュータとして構成され、検出器Dから出力される電気信号を取得し、測定対象物SAの偏光特性を算出する。つまり、ROM、HDDなどに記憶されたプログラムが、RAM上に展開されて起動されることにより、算出器CPは、検出器Dから出力される電気信号から測定対象物SAの偏光特性を算出する。
本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1では、位相子C2の偏光状態が予め定められた状態に設定される。具体的には、位相子C2の偏光状態は、方位角θにより設定される。なお、位相子C2の方位角θは、複数の予め定められた値(水準と表記することがある。)に設定される。例えば、4水準以下に設定される。一方、位相子C1は、回転することにより、偏光状態が変化するようになっている。なお、位相子C1に設定される偏光状態は、方位角θが変化することで設定される。なお、位相子C1は、連続回転させることで測定時間が短縮される。ここでは、位相子C1は、連続回転させるとする。
本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1では、偏光子P1を透過した偏光を、位相子C1を連続回転させて方位角θを変更して、測定対象物SAに入射させる光の偏光状態を変化させる。つまり、測定対象物SAに入射させる光の偏光状態は、周期的に時間変化する。そして、固定された方位角θの位相子C2は、設定された偏光状態で、測定対象物SAから出射する透過光、反射光、散乱光などに作用する。そして、偏光子P2を介して得られる光強度が検出器Dで取得される。
本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1による測定対象物SAの偏光特性測定法では、位相子C1、C2のうち、位相子C2を固定して、位相子C1のみを回転させることから、片回転位相子法と表記する。一方、従来の偏光特性測定法では、位相子C1、C2を同期させて回転させることから、二重回転位相子法と呼ばれる。
以下では、算出器CPが行う測定対象物SAの偏光特性の算出について説明する。ここでは、ミュラー行列(Mueller Matrix)を用いて測定対象物SAの偏光特性を算出する。
偏光特性が未知の測定対象物SAのミュラー行列をMSAと表記する。測定対象物SAのミュラー行列MSAは、式(1)で表される。なお、ミュラー行列MSAは、4×4の行列要素を備えている。そこで、各行列要素をmijと表記する。ここで、iは0〜3、jは0〜3の整数である。ミュラー行列MSAは、測定対象物SAの偏光特性を表す。よって、測定対象物SAのミュラー行列MSAの各行列要素mijを測定することが、測定対象物SAの偏光特性を求める上で重要となる。
そして、偏光子P1のミュラー行列をMP1、偏光子P2のミュラー行列をMP2、位相子C1のミュラー行列をMC1、位相子C2のミュラー行列をMC2とする。なお、これらのミュラー行列MP1、MP2、MC1、MC2も、ミュラー行列MSAと同様に4×4の行列要素を備えている。
ここでは、光源LSが偏光子P1に向けて出射する光のストークスベクトル(Stokes vector)SをSin、偏光子P2から検出器Dに入射する光のストークスベクトルSをSoutとする。なお、ストークスベクトルの各行列要素は、ストークスパラメータと表記されることがある。
なお、ストークスベクトルSとは、式(2)で表記され、いずれも強度の次元をもつ4つの量S、S、S、Sを行列要素とする4行1列の行列である。ストークスパラメータSは、x方向の直線偏波の光強度とy方向の直線偏波の光強度との和を示す。つまり、Sは、全光の光強度を示す。Sは、x方向の直線偏光が示す光強度からy方向の光強度を引いた光強度を示す。Sは、+45°方向の直線偏光の光強度から−45°方向の光強度を引いた光強度を示す。さらに、Sは、右回り円偏光の光強度から左回り円偏光の光強度を引いた光強度を示す。
すると、検出器Dへ入射する光のストークスベクトルSoutは、光源LSからの出射する光のストークスベクトルSin、偏光子P1のミュラー行列MP1、位相子C1のミュラー行列MC1、測定対象物SAのミュラー行列MSA、位相子C2のミュラー行列MC2、偏光子P2のミュラー行列MP2により、式(3)で表される。
ここでは、光源LSから出射する光は、ランダムな偏光面を持つ無偏光状態であるとする。すると、ストークスベクトルSinは、式(4)で表される。
よって、検出器Dが検出する光強度Iは、式(5)で示すようにSoutの第0要素([Sout)に比例する量で表される。なお、[ ]は、ベクトルの第0要素を表し、( )00は、行列の第00要素を表す。
偏光子P1、P2のミュラー行列MP1、MP2は、式(6)で表される。なお、式(6)では、偏光子P1の方位角θP1及び偏光子P2の方位角θP2を、方位角θと表記する。
ここで、偏光子P1、P2は、x方向偏波を透過するとする。つまり、偏光子P1、P2の方位角θは0°であるとすると、ミュラー行列MP1、MP2は、式(7)で表されるとする。
そして、位相子C1、C2は、各々式(8)、(9)で表されるとする。なお、位相子C1は、方位角θ、位相差δであり、位相子C2は、方位角θ、位相差δであるとする。
すると、式(5)で示された検出器Dへ入射する光の光強度Iは、式(10)で表される。つまり、式(10)では、位相子C1の方位角θに対する三角関数の係数Zが測定対象物SAのミュラー行列の行列要素mijと、位相子C1の位相差δ、位相子C2の方位角θ、位相差δとの関数になる。なお、kは、0〜3の整数である。つまり、位相子C1の方位角θと位相子C2の方位角θとが分離される。
なお、位相子C1の位相差δ及び位相子C2の位相差δを、λ/4とすると、式(10)は、式(11)となる。つまり、式(11)では、位相子C1の方位角θに対する三角関数の係数aが測定対象物SAのミュラー行列の行列要素mijと位相子C2の位相差δとの関数になる。なお、lは、0〜3の整数である。
そこで、位相子C2の方位角θを、予め定められた複数の値(水準)に固定するとともに、位相子C1の方位角θを変化させて検出器Dへ入射する光の光強度Iに対する波形を求める。なお、この波形を光量波形と呼ぶことがある。そして、各方位角θに対する光量波形、複数の光量波形、又は、全ての光量波形に対して、係数a(θ、mij)をフィッティングパラメータとする最適化計算を実行する。そして、光量波形に光強度Iの関数がフィットしたとき、測定対象物SAのミュラー行列MSAの全ての行列要素mijが求められる。
本実施の形態では、固定する位相子C2の方位角θを4水準以下とする。後述する実施例に示すように、例えば、位相子C2の方位角θを、−15°、15°、30°、60°とする。すると、位相子C2の各方位角θに対して、式(11)で表される波形が4つ得られる。そこで、係数a(θ、mij)をフィッティングパラメータとする最適化計算を行って、式(11)で表される光強度Iの波形にフィットするミュラー行列要素mijを関数当てはめ法により求める。
この場合に用いる計算方法は、いずれの方法であってもよい。例えば、レーベンバーグ・マルカート(LM)法、準ニュートン法、共役勾配法などの勾配法を用いればよい。このうち、レーベンバーグ・マルカート法が好ましい。レーベンバーグ・マルカート法は、ガウス・ニュートン法の解の収束不安定性を改善するために開発され、非線形最小二乗法のアルゴリズムとして広く使われている。レーベンバーグ・マルカート法はよく知られた方法であるので、説明を省略する。勾配法を適用し、係数a(θ、mij)の収束値を求めることで、ミュラー行列MSAの行列要素mijの全てが求められる。
なお、上記の関数当てはめ法の代わりに、他の方法を用いて係数a(θ、mij)を求めてもよい。例えば、他の方法として、フーリエ解析などの周波数解析を適用してもよい。この場合、係数a(θ、mij)はフーリエ係数として求められ、求めたフーリエ係数からミュラー行列要素mijを算出する。
ここで、従来の二重回転位相子法を説明する。二重回転位相子法でも、図1に示した偏光特性測定装置1を用いる。よって、本実施の場合と同じ符号で説明する。二重回転位相子法でも、本実施の形態と同様に、偏光子P1を透過した偏光を、位相子C1を回転させて方位角θを変更して、周期的に時間変化する偏光として、測定対象物SAに照射する。そして、測定対象物SAからの透過光、反射光、散乱光などを、回転により方位角θを変える位相子C2を透過させる。そして、偏光子P2を介して得られる光強度を検出器Dで取得する。
このとき、非特許文献2に示された方法によると、位相子C1の位相差δ及び位相子C2の位相差δをλ/4とし、C1の回転の角速度ω1と位相子C2の回転の角速度ω2とを、ω1:ω2=1:5とした場合に、測定対象物SAのミュラー行列MSAの全行列要素mijが得られる。この方法の場合、本実施の形態における式(11)に対応する、検出器Dへ入射する光の光強度Iは、式(12)で表される。ここで、b、b、cは、係数であって、nは、1〜12の整数である。
つまり、光強度Iは、複数の周波数成分を重ね合わせたものとして表現される。式(12)に示すように、検出器Dへ入射する光の光強度Iは、定数項bと24個の周波数成分の項との和で表される。それをフーリエ級数とみなしたとき、b、b、cのフーリエ係数が各周波数成分の重ね合わせの重みを表す。それぞれのフーリエ係数が式(1)に示される行列要素mijに関係する式で表されるから、光強度Iをフーリエ変換することで行列要素mijが求められる。
しかし、本実施の形態の片回転位相子法に比べ、光強度Iの項数が多いため、計算が複雑になる。
そして、二重回転位相子法では、位相子C1を角速度ω1、位相子C2を角速度ω2で回転させる。このとき、非特許文献2には、測定対象物SMのミュラー行列の全行列要素を全て求めるには、ω1:ω2を1:5に設定することが提案されている。なお、角速度比の値ω2/ω1は、5以上であればよく、位相子C1の位相差δ及び位相子C2の位相差δをλ/2とした場合には、ω1:ω2が1:3であれば測定対象物SMのミュラー行列の全行列要素を全て求められることが記載されている。
しかし、二重回転位相子法では、2つの位相子C1、C2の角速度比を厳密に調整して、同期を取ることが必要となる。このため、精度の高いモータを用いること、外部ノイズが混入しないようにすることが必要になる。そして、同期のずれなどによる測定データの誤差などが発生しやすい。さらに、異なる角速度を有するモータを用いるため、測定に要する時間である時間(後述する図4に示す1データセット取得時間)は、遅い側のモータで律則される。
このような要件を抱えると、測定のスピードが要求される動態である生体などを対象とする生体(in vivo)測定への応用が難しくなる。
一方、上記した本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1では、位相子C2を回転させないで、予め定められた方位角θに固定している。よって、2つの位相子C1、C2を、同期をとって回転させることを要しない。このことから、二重回転位相子法に比べて、精度の高い測定が行える。そして、位相子C2の方位角θは固定されるので、精度の高いモータを用いることを要しない。よって、測定時間は、位相子C1を連続回転させるモータのみで律則される。このため、二重回転位相子法に比べて、位相子C1の回転速度を高くすることが容易になり、測定のスピードが要求される動態である生体を対象とする生体(in vivo)測定への応用が可能になる。
なお、上記の説明において、位相子C2の方位角θの値(水準)として−15°、15°、30°、60°を例示したが、他の方位角θであってもよい。さらに、位相子C1の方位角θに対する観測データ(測定データ)の数が多ければ、位相子C2の方位角θは、4水準未満であってもよい。つまり、方位角θを細かく設定して測定データを多くすれば、位相子C2の方位角θの4水準未満であってもよい。なお、観測データを極力多くして、種々のノイズにより外れた観測データを除去するのがよい。
上記においては、位相子C1を連続回転させ、位相子C2を予め定められた方位角θに固定したが、位相子C1と位相子C2とを入れ替えて、位相子C1を予め定められた方位角θに固定し、位相子C2を連続回転させてもよい。
ただし、位相子C2を予め定められた方位角θに固定する方がよい。これは、位相子C1の方位角θを固定にする場合、方位角θの選び方によっては、生成される式(11)が互いに独立にならない場合や、フィッティングパラメータである行列要素mijが一意に定まらない場合が生じるおそれがあるためである。
また、偏光子P2を介して検出器Dで観察される光強度Iの変化が大きい側の位相子Cの偏光状態、ここでは方位角θを連続的に変化させることがよい。光強度Iの変化が小さいと、測定対象物SAの偏光特性の算出における誤差が大きくなるおそれがあるためである。
上記では、位相子C1を連続回転させて方位角θを可変にして偏光状態を変更し、位相子C2は、回転によって複数の予め定められた方位角θによる偏光状態に設定するとして説明した。
図2は、固定する位相子C2の方位角θを設定する他の方法を説明する図である。
図2では、回転する位相子C2の代わりに、矢印で示す光軸に直交する方向に配列した複数の位相子C2を用いる。ここでは、位相子C2の数は、4であるとして説明する。つまり、位相子C2−1〜C2−4を用いる。位相子C2−1〜C2−4は、各々が光学異方性が同じ光学材料で構成され、方位角θが異なるように配置されている。ここでは、位相子C2−1〜C2−4の各々の方位角θを、方位角θ−1〜θ−4とする。
そして、4つの位相子C2−1〜C2−4を、光学軸に対して直交する方向に移動する移動体20に収納し、図2に矢印で示すように、移動体20を光軸に対して直交する方向に移動させ、1つの位相子C2が光軸10上に設定されることで、位相子C2の方位角θを設定する。
このようにすることで、位相子C2の方位角θを位相子C2を回転させて変更するためのモータが省略される。なお、位相子C2−1〜C2−4の各方位角θ−1〜θ−4は予め定められているので、位相子C2を回転させて方位角θを設定する場合に比べて、方位角θの精度が向上する。
図3は、固定する位相子C2の方位角θを設定するさらに他の方法を説明する図である。
図3では、4つの位相子C2(位相子C2−5〜C2−8)は、中心Oのターンテーブル(回転盤)30上に同心円(不記載)に沿って埋め込まれている。なお、ターンテーブル30を中心Oの周りで回転させることで、位相子C2−5〜C2−8の何れかが光軸10を通過するように設定されている。そして、光軸10を通過する場合において、位相子C2−5〜C2−8は、各々の方位角θが互いに異なる予め定められた方位角となるように設定されている。なお、光軸10が通過する際における位相子C2−5〜C2−8の各々の方位角θを、方位角θ−5〜θ−8とする。
また、上記では、連続回転する位相子C1を用いて、測定対象物SAに入射させる光の偏光状態を設定した。回転する位相子C1の代わりに光弾性変調器(PEM:Photoelastic Modulator)を用いて偏光状態を設定してもよい。光弾性変調器は、合成石英など透明な等方性光学材料とピエゾアクチュエーターとを備える。そして、ピエゾアクチュエーターにより等方性光学材料に周期的に応力を加えることで、周期的に変化する複屈折を生じさせて、入射させる偏光状態を設定する。また、位相子C2の代わりに、光弾性変調器を用いてもよく、位相子C1、C2の各々に光弾性変調器を用いてもよい。
図4は、本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1による片回転位相子法による測定時間を説明する図である。図4(a)は、従来の二重回転位相子法、図4(b)は、片回転位相子法、図4(c)は、測定時間をさらに短縮した片回転位相子法を示す。ここでは、横軸は、時間である。そして、1連の測定データ(1データセット)を取得する時間、つまり1データセット取得時間を測定時間として比較した。
図4(a)に示すように、従来の二重回転位相子法では、位相子C1を角速度ω1で回転させ、位相子C2を角速度ω1の5倍の角速度ω2で回転させる。このため、1データセット取得時間は、位相子C2が5回転する時間である。なお、位相子C1は、1データセット取得時間において1回転する。
一方、図4(b)に示す本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1による片回転位相子法では、位相子C1を角速度ω1′で連続回転させる。一方、位相子C2を4つの方位角θ(方位角θ−1〜θ−4)に順に固定する。つまり、位相子C2は、回転させていない(角速度ω2′=0)。ここで、位相子C1を、従来の二重回転位相子法の位相子C2を回転させた角速度5ω1で回転させるとする(ω1′=5ω1)。そして、位相子C2は、位相子C1の1回転毎に、4つの方位角θ(方位角θ−1〜θ−4)に順に切り替えられる。つまり、位相子C1は、角速度ω1′(=5ω1)で4回転すればよい。よって、1データセット取得時間は、二重回転位相子法に比べて、位相子C1が角速度ω′(=5ω1)で1回転する時間だけ短くなる。つまり、1データセット取得時間が4/5に短縮される。
さらに、図4(c)に示すように、本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1による片回転位相子法では、1データセット取得時間をさらに短縮して高速化しうる。片回転位相子法では、位相子C2の方位角θを変更する時間が必要である。しかし、位相子C2の方位角θの変更は、位相子C1の回転と非同期でもよく、位相子C1の回転速度は、必ずしも一定であることを要しない。つまり、測定データを得るには、位相子C1の方位角θが分かればよい。よって、図4(c)に示すように、位相子C1の回転速度を、角速度ω1′より早い角速度ω1″としてもよい(ω1′>ω1″)。なお、位相子C2は、回転させていない(角速度ω2″=0”)。このようにすることで、1データセット取得時間がさらに短縮され、測定が高速化される。
次に、実施例について説明する。
(実施例1)
図5は、本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1によって、ある濃度のグルコース溶液に光を透過させて偏光特性を測定した1データセットの一例である。図5(a)は、固定した位相子C2の方位角θが−15°の場合の光量波形、図5(b)は、固定した位相子C2の方位角θが15°の場合の光量波形、図5(c)は、固定した位相子C2の方位角θが30°の場合の光量波形、図5(d)は、固定した位相子C2の方位角θが60°の場合の光量波形である。横軸は、連続回転させた位相子C1の方位角θである。そして、縦軸は、位相子C2の方位角θに対する式(9)に対応する光強度Iである。なお、縦軸は、任意単位[a.u.(arbitrary unit)]である。
つまり、実施例1では、位相子C2の方位角θを、−15°、15°、30°、60°の4水準に固定し、各方位角θに対して位相子C1の方位角θを連続的に変化させた場合、つまり片回転位相子法における光強度Iの変化(光量波形)を得ている。なお、図5(a)〜図5(d)に示す光強度I(−15°)、I(15°)、I(30°)、I(60°)は、実測によって得られたものである。
図5(a)〜図5(d)に示した離散的な測定点に対して、式(11)を理論式として当てはめて、係数aを求めることで測定対象物SAの16(=4×4)個のミュラー行列MSAの各行列要素mijが求められる。
(実施例2)
図6は、本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1によって、ある濃度のグルコース溶液に光を透過させて偏光特性を測定した1データセットにおいて、加減算により光量波形を求めた一例である。図6(a)は、固定した位相子C2の方位角θが30°の場合の光強度Iから60°の場合の光強度Iを引いた光量波形(I(30°)−I(60°))、図6(b)は、固定した位相子C2の方位角θが15°の場合の光強度I(15°)から30°の場合の光強度I(30°)を引いた光量波形(I(15°)−I(30°))、図6(c)は、固定した位相子C2の方位角θが15°の場合の光強度I(15°)と−15°の場合の光強度I(−15°)とを加えた光量波形(I(15°)+I(−15°))、図6(d)は、固定した位相子C2の方位角θが15°の場合の光強度I(15°)から−15°の場合の光強度I(−15°)を引いた光量波形(I(15°)−I(−15°))である。横軸は、連続回転させた位相子C1の方位角θである。そして、縦軸は、任意単位[a.u.]である。なお、光強度I(−15°)、I(15°)、I(30°)、I(60°)は、実施例1で示した測定値を用いている。
図6(a)〜(d)に示す離散的な点は、上記の加減算で示すような複数の測定結果による光強度Iの一次結合によって得られる。そして、これらの離散的な点に対して、式(11)を理論式として当てはめた。図6(a)〜(d)に示された実線は、式(11)に対して、ミュラー行列要素mijをフィッティングパラメータとし、レーベンバーグ・マルカート(LM)法を用いた最適化計算を行った結果、得られた関数を表す曲線である。図6(a)〜(d)示すように、最適化計算で得られた関数は、離散的な点に沿っている。つまり、最適化計算により、式(11)の係数aが精度よく求められたことが分かる。つまり、本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1による片回転位相子法により、測定対象物SAの16(=4×4)個のミュラー行列MSAの全行列要素mijが求められることが分かる。しかも、図6(a)〜(d)に示すように、固定されている位相子C2の方位角θは、わずか4つの値(水準)でよいことが分かる。つまり、位相子C2によって設定される偏光状態は、わずか4つの値(水準)でよいことが分かる。
なお、前述したように、固定される位相子C2によって設定される偏光状態は、4未満の値(水準)であってもよい。ここでは、位相子C1を回転させて方位角θを変えて偏光状態を連続的に変化させたことから、片回転位相子法と表記したが、片回転位相子法には、光弾性変調器(PEM)などを用いた偏光状態を回転によって変化させない場合も含む。
実施例2では、偏光特性測定装置1により求めた光強度Iの一次結合により求めた光量変化を用いた。以下では、この理由を説明する。
式(5)において、行列Mの第0行ベクトルをベクトルA、行列Mの第0列ベクトルをベクトルGとすると、光強度Iは、式(13)で示されるように、ベクトルAとベクトルGとの内積で表される。すると、ベクトルAは、式(7)と式(9)とから式(14)で表される。また、ベクトルGは、式(1)、式(7)、式(8)とから式(15)で表される。
また、位相差δ(qは1又は2)を式(16)で表す。つまり、Δは、理想的な位相差であるπ/2からのずれを表す。つまり、位相子C1、C2の位相差δ、δは、誤差により理想的な位相差からずれている。すると、式(14)のベクトルAは、式(17)、式(15)のベクトルGは、式(18)で表される。つまり、式(17)に示すように、ベクトルAの要素は、Δを含む式を係数とする方位角θの三角関数で表される。
したがって、式(17)及び式(18)から、式(13)の内積は、位相子C1の方位角θの関数として、式(19)で表される。なお、Fは、式(20)で表される。なお、sは、0〜3の整数である。また、式(19)は、位相子C1の方位角θに対する三角関数について整理すれば、式(10)に相当する。
よって、位相子C2の方位角θに予め定められた角度に固定して、位相子C1の方位角θを変化させることで、方位角θに対する光強度Iが求められる。なお、一般的には、位相子C1を回転させる速度(回転角速度)と方位角θとの関係に基づいて、時間に対する光強度Iの変化を求めればよい。
そして、時間に対する光強度Iの変化から、Δ、Δ、F〜Fを、フィッティングパラメータとして求めればよい。なお、Δ、Δは、キャリブレーションなどにより求めてもよい。
また、F〜Fは、m0j、m1j、m2j、m3j及びd、d、dの関数であるが、d、d、dは、Δが決まれば、方位角θが固定されているので、一意に決まる。よって、F、F、F、Fを求めることは、測定対象物SAのミュラー行列MSAの各行列要素mijを求めることに等しい。
しかし、Δのずれによって大きな影響を受けないように測定対象物SAの偏光特性を測定し、それに対して最適化計算により測定対象物SAのミュラー行列MSAが求められることがよい。そこで、ベクトルAの4要素の内、できるだけ多くの要素を0とするように、光強度Iの加減算、つまり一次結合を行う。このようにすると、測定対象物SAの偏光特性の測定精度が向上する。つまり、光強度Iの加減算を行って得られた光量波形について、最適化計算を行うことで、測定精度を向上させられる。
このことを、実施例2において説明する。
位相子C2の方位角θが−15°、15°、30°、60°の場合、式(14)は、各々式(21)、(22)、(23)、(24)になる。
したがって、I(15°)+I(−15°)、I(15°)−I(−15°)、I(15°)−I(30°)、I(30°)−I(60°)は、各々式(25)、(26)、(27)、(28)になる。
以上説明したように、光強度I(−15°)、I(15°)、I(30°)、I(60°)では、ベクトルAに“0”の要素がないが、光強度Iの加減算で求めたI(15°)+I(−15°)、I(15°)−I(−15°)、I(15°)−I(30°)、I(30°)−I(60°)では、ベクトルAの多くの要素が“0”になる。よって、ベクトルGに含まれる要素の内の一部しか、フィッティングパラメータとならない。よって、実質的にフィッティングパラメータの個数が減る。そして、フィッティングパラメータの個数が減ることにより、当てはめ法により求める関数の精度が向上する。つまり、測定対象物SAの偏光特性を示すミュラー行列MSAの各行列要素の精度が向上する。
なお、ここでは、位相子C2の方位角θを−15°、15°、30°、60°としたが、ベクトルAの多くの要素が“0”になるように、位相子C2の方位角θを選択すればよい。
以上においては、本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1を、測定対象物SAに対して透過光で測定する例を説明したが、反射光や散乱光に適用してもよい。
さらに、本実施の形態が適用される偏光特性測定装置1は、グルコース溶液に適用したが、光学活性物質を含む測定対象物SAに適用される。
1…偏光特性測定装置、20…移動体、30…ターンテーブル(回転盤)、δ…位相差、θ…方位角、ω、ω′、ω″…角速度、C、C1、C2…位相子、D…検出器、I…光強度、LS…光源、MC1、MC2、MP1、MP2、MSA…ミュラー行列、P1、P2…偏光子、SA…測定対象物、mij…ミュラー行列

Claims (12)

  1. 設定される偏光状態を、偏光特性が未知の測定対象物に入射させる第1の位相子と、
    設定される偏光状態を、前記測定対象物から出射する光に作用させる第2の位相子と、を備え、
    前記第1の位相子に設定される偏光状態と前記第2の位相子に設定される偏光状態とのいずれか一方を固定し、他方を変化させて前記測定対象物の偏光特性を測定する偏光特性測定装置。
  2. 前記第1の位相子に設定される偏光状態と前記第2の位相子に設定される偏光状態とのいずれか一方は、4以下の偏光状態に固定されることを特徴とする請求項1に記載の偏光特性測定装置。
  3. 前記第1の位相子に設定される偏光状態と前記第2の位相子に設定される偏光状態とのいずれか一方は、4の偏光状態に固定されることを特徴とする請求項2に記載の偏光特性測定装置。
  4. 前記第1の位相子に設定される偏光状態と前記第2の位相子に設定される偏光状態のうち一方を固定にした場合における、当該第2の位相子からの光を偏光子を介して観察される光強度の変化が大きい側の偏光状態を変化させることを特徴とする請求項1に記載の偏光特性測定装置。
  5. 前記第2の位相子に設定される偏光状態が固定されることを特徴とする請求項4に記載の偏光特性測定装置。
  6. 前記測定対象物の偏光特性は、ミュラー行列の行列要素で示されることを特徴とする請求項1に記載の偏光特性測定装置。
  7. 前記測定対象物の測定結果から、当該測定対象物の偏光特性がミュラー行列の全ての行列要素で示されることを特徴とする請求項1に記載の偏光特性測定装置。
  8. 前記第1の位相子及び前記第2の位相子のそれぞれは、位相差板であって、当該第1の位相子に設定される偏光状態及び当該第2の位相子に設定される偏光状態は、位相差板の方位角によって設定されることを特徴とする請求項1に記載の偏光特性測定装置。
  9. 前記第1の位相子と前記第2の位相子とにおいて変化させる側は、位相差板を光軸の回りで回転させて、前記偏光状態を変化させることを特徴とする請求項8に記載の偏光特性測定装置。
  10. 前記第2の位相子から出射される光の偏光子を介して観察される光強度から前記測定対象物の偏光特性を算出する算出手段を備え、
    前記算出手段は、次式に基づいて光強度から、前記測定対象物の偏光特性を示すミュラー行列の行列要素を算出することを特徴とする請求項9に記載の偏光特性測定装置。
    I=Z(θ,δ,mi0)+Z(δ,θ,δ,mi1)cos4θ+Z(δ,θ,δ,mi2)sin4θ+Z(δ,θ,δ,mi3)sin2θ
    ここで、Iは、光強度、mijは、測定対象物のミュラー行列の行列要素(i、jは0〜3の整数)、θは、第1の位相子の方位角、δは、第1の位相子の位相差、θは、第2の位相子の方位角、δは、第2の位相子の位相差、Z〜Zは、測定対象物のミュラー行列の行列要素mij、第1の位相子の位相差δ、及び第2の位相子の方位角θ、位相差δに関係する係数。
  11. 前記算出手段は、前記Z〜Zの各係数をフィッティングパラメータとする最適化計算により各係数の収束値を求め、ミュラー行列の各行列要素mijを算出することを特徴とする請求項10に記載の偏光特性測定装置。
  12. 前記算出手段は、前記第1の位相子又は前記第2の位相子の固定された側における複数の偏光状態で得られた光強度の一次結合に対して、前記Z〜Zの各係数をフィッティングパラメータとする最適化計算により各係数の収束値を求め、ミュラー行列の各行列要素mijを算出することを特徴とする請求項10に記載の偏光特性測定装置。
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