JP4747304B2 - 計測装置及び計測方法、並びに、特性計測ユニット - Google Patents

計測装置及び計測方法、並びに、特性計測ユニット Download PDF

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Description

本発明は、測定対象の光学特性を表すミュラー行列の行列要素を算出する計測装置、及び、ミュラー行列の行列要素を算出する計測方法、並びに、測定対象の光学特性を計測する特性計測ユニットに関する。
ミュラー行列を利用して物質の光学特性を解析する技術が知られている。そして、ミュラー行列の行列要素を算出する方法として、いくつかの手法が知られている。
特開2005−116732号公報 特表2000−502461号公報 R. W. Collins, and Y. T. Kim, "Ellipsometry for thin-film and Surface analysis," Ann. Chem., 62,887a-900a(1990). R. M. A. Azzam,"Photopolarimetric Measurement of the Mueller Matrix by Fourier Analysis of a Single Detected Signal," Opt.Lett.2:148-150(1978). D. Lara and C. Dainty, "Polarization sensitive imaging using a confocal Mueller matrix ellipsometer," ICO topical Meeting on Polarization Optics, 226-227(2003).
上述の文献に記載された手法には、それぞれ、次のような課題がある。
特許文献1に記載された技術によれば、ミュラー行列の行列要素を高精度に計測することが困難である。
特許文献2に記載された技術によれば、計測のために高電圧を利用する必要があり、また、高価な変調素子を利用する必要がある。
非特許文献1に記載された技術によると、9個のミュラー行列の行列要素を算出するために、最低でも12個の分光強度が必要になり、効率のよい計測は困難である。
非特許文献2に記載された技術によると、計測に時間がかかり、また、16個のミュラー行列の行列要素をすべて算出するために、最低でも48個の分光強度が必要になり、効率のよい計測は困難である。
非特許文献3に記載された技術によると、計測のために高電圧を利用する必要があり、また、高価な光学素子を利用する必要がある。さらに、4個のディテクタが必要になるため、簡易な装置構成にすることが困難である。
本発明の目的は、構成が比較的簡易で、かつ、少ない測定データでミュラー行列の行列要素を算出することが可能な計測装置及び計測方法、並びに、測定対象の光学特性を計測する特性計測ユニットを提供することにある。
(1)本発明に係る計測装置は、
測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち、少なくとも1つの行列要素を算出する計測装置であって、
光学系に含まれる少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記測定光の光強度情報と、前記測定光の光強度の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
を含み、
前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
前記測定光は、光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び第2の偏光子を介して受光部に入射させることによって得られる光であり、
前記光強度情報取得部は、
前記少なくとも4個の光学素子の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる複数の前記測定光の前記光強度情報を取得し、
前記演算処理部は、
それぞれの前記測定光の光強度情報を解析処理して得られる相関関数に基づいて、それぞれの前記測定光の光強度の理論式に含まれるキャリア振幅係数の少なくとも1つを算出するキャリア振幅係数算出処理と、
前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記キャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記少なくとも1つの行列要素を含む前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する行列要素算出処理とを行う。
本発明に係る計測装置では、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を導出する。
詳しくは、キャリア振幅係数の理論式には、後述する式(8a)〜式(8i)からわかるように、ミュラー行列の行列要素が含まれる。そして、キャリア振幅係数の理論式に含まれる係数は、後述する式(9a)〜式(17)からわかるように、光学素子の主軸方位に依存する。そのため、キャリア振幅係数の理論式に、光学素子の主軸方位情報を代入することによって、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を導出することができる。
そして、本発明に係る計測装置では、該関係式を解くことによって、ミュラー行列の行列要素を算出する。
なお、本発明では、光学素子の主軸方位の設定が異なる光学系で得られる複数の測定光の光強度情報を取得する。例えば、本発明では、第1〜第M(Mは2以上の整数)の、M個の測定光の光強度情報を取得する。このとき、M個の測定光は、光学素子の主軸方位が、第1〜第Mの条件に設定された光学系によって得られる測定光である。そして、第1〜第Mの条件は、それぞれ、第1及び第2の偏光子、第1及び第2のキャリアリターダの主軸方位の少なくとも1つが異なっている。
また、キャリア振幅係数の理論式に含まれる係数は光学素子の主軸方位に依存するため、光学素子の主軸方位が変われば、キャリア振幅係数の理論式の係数が変わる。すなわち、光学素子の主軸方位の設定が異なる光学系で得られる複数の測定光の光強度情報を取得することで、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を増やすことができる。
ミュラー行列の行列要素の関係式が増えれば、算出可能な行列要素を増やすことができるため、必要な行列要素を算出することが可能になる。
すなわち、本発明によると、ミュラー行列の16個の行列要素のうち、必要な行列要素を算出することが可能な計測装置を提供することができる。
(2)本発明に係る計測装置は、
測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち、少なくとも1つの行列要素を算出する計測装置であって、
光源と、少なくとも4個の光学素子と、前記少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された測定光を受光する受光部と、を含む光学系と、
所与の帯域成分を含む、前記測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記測定光の光強度情報と、前記測定光の光強度の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
を含み、
前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
前記光学系は、
前記光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように、かつ、
前記少なくとも4個の光学素子の少なくとも1つが主軸方位を変更することが可能なように構成されており、
前記光強度情報取得部は、
前記少なくとも4個の光学素子の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる複数の前記測定光の前記光強度情報を取得し、
前記演算処理部は、
それぞれの前記測定光の光強度情報を解析処理して得られる相関関数に基づいて、それぞれの前記測定光の光強度の理論式に含まれるキャリア振幅係数の少なくとも1つを算出するキャリア振幅係数算出処理と、
前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記キャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記少なくとも1つの行列要素を含む前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する行列要素算出処理とを行う。
本発明に係る計測装置では、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を導出する。
詳しくは、キャリア振幅係数の理論式には、後述する式(8a)〜式(8i)からわかるように、ミュラー行列の行列要素が含まれる。そして、キャリア振幅係数の理論式に含まれる係数は、後述する式(9a)〜式(17)からわかるように、光学素子の主軸方位に依存する。そのため、キャリア振幅係数の理論式に、光学素子の主軸方位情報を代入することによって、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を導出することができる。
そして、本発明に係る計測装置では、該関係式を解くことによって、ミュラー行列の行列要素を算出する。
なお、本発明では、光学素子の主軸方位の設定が異なる光学系で得られる複数の測定光の光強度情報を取得する。例えば、本発明では、第1〜第M(Mは2以上の整数)の、M個の測定光の光強度情報を取得する。このとき、M個の測定光は、光学素子の主軸方位が、第1〜第Mの条件に設定された光学系によって得られる測定光である。そして、第1〜第Mの条件は、それぞれ、第1及び第2の偏光子、第1及び第2のキャリアリターダの主軸方位の少なくとも1つが異なっている。
また、キャリア振幅係数の理論式に含まれる係数は光学素子の主軸方位に依存するため、光学素子の主軸方位が変われば、キャリア振幅係数の理論式の係数が変わる。すなわち、光学素子の主軸方位の設定が異なる光学系で得られる複数の測定光の光強度情報を取得することで、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を増やすことができる。
ミュラー行列の行列要素の関係式が増えれば、算出可能な行列要素を増やすことができるため、必要な行列要素を算出することが可能になる。
すなわち、本発明によると、ミュラー行列の16個の行列要素のうち、必要な行列要素を算出することが可能な計測装置を提供することができる。
(3)この計測装置において、
前記演算処理部で、
複数の前記測定光に対する前記キャリア振幅係数算出処理で算出された前記キャリア振幅係数に基づいて、前記行列要素算出処理を行ってもよい。
この計測装置では、1つの主軸方位設定の光学系から導出される関係式と、他の主軸方位設定の光学系から導出される関係式とを利用して(連立方程式として解くことによって)、行列要素を算出する。
これにより、ミュラー行列の行列要素のうち、必要な行列要素を算出することができる。
(4)この計測装置において、
前記演算処理部で、
それぞれの前記測定光に対する前記キャリア振幅係数算出処理で算出された前記キャリア振幅係数に基づいて、前記行列要素算出処理を行ってもよい。
この計測装置では、1つの主軸方位設定の光学系から導出される関係式を利用して行列要素を算出し、その後、他の主軸方位設定の光学系から導出される関係式を利用して行列要素を算出する。
これにより、ミュラー行列の行列要素のうち、必要な行列要素を算出することができる。
(5)この計測装置において、
前記演算処理部で、前記16個の行列要素をすべて算出してもよい。
光学系の主軸方位を適切に設定することによって、ミュラー行列の16個の行列要素をすべて算出することができる。
(6)この計測装置において、
前記光強度情報取得部で、前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダの少なくとも一方の主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる前記測定光の光強度情報を取得してもよい。
(7)この計測装置において、
前記光強度情報取得部で、前記第1の偏光子と前記第1のキャリアリターダとの主軸方位の角度差が一定になるように設定された前記光学系で得られる複数の前記測定光の光強度情報を取得してもよい。
これによると、演算処理が容易になるため、計算機の処理負担を軽減することができる。
(8)この計測装置において、
前記光強度情報取得部で、前記第2の偏光子及び前記第2のキャリアリターダの少なくとも一方の主軸方位の設定が異なる前記複数の光学系で得られる複数の前記測定光の光強度情報を取得してもよい。
(9)この計測装置において、
前記光強度情報取得部で、前記第2の偏光子と前記第2のキャリアリターダとの主軸方位の角度差が一定になるように設定された前記光学系で得られる複数の前記測定光の光強度情報を取得してもよい。
これによると、演算処理が容易になるため、計算機の処理負担を軽減することができる。
(10)本発明に係る計測装置は、
測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち9個の行列要素を算出する計測装置であって、
光学系に含まれる、主軸方位が所与の角度差になるように設定された少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記測定光の光強度情報と、前記測定光の光強度の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
を含み、
前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
前記測定光は、光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることによって得られる光であり、
前記演算処理部は、
前記光強度情報を解析処理して得られる相関関数に基づいて、前記測定光の光強度の理論式に含まれる9個のキャリア振幅係数をすべて算出するキャリア振幅係数算出処理と、
前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記9個のキャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記9個の行列要素を含む前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する行列要素算出処理とを行う。
本発明に係る計測装置では、1回の測定で得られる1個の光強度情報によって、ミュラー行列の16個の行列要素のうちの9個を算出する。
詳しくは、本発明では、測定光の光強度の理論式に含まれる9個のキャリア振幅係数をすべて算出する。そして、本発明では、9個のキャリア振幅係数の理論式に、9個の行列要素のみが表れるように、光学素子の主軸方位を設定する。そのため、本発明によると、9個の行列要素を未知数として含む9個の関係式を導出することができる。そして、9個の関係式を解くことによって、9個の行列要素を算出することができる。
すなわち、本発明によると、1回の測定で得られる1個の光強度情報によって、ミュラー行列の16個の行列要素のうち9個を算出することができる。そのため、本発明に係る計測装置によると、少ないデータによって、必要な行列要素を算出することができる。また、本発明に係る計測装置によると、光学素子の主軸方位設定を変更する必要がないため、効率よく行列要素を算出することができる。
(11)本発明に係る計測装置は、
測定対象の光学系を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち9個の行列要素を算出する計測装置であって、
光源と、少なくとも4個の光学素子と、前記少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された測定光を受光する受光部とを含む光学系と、
所与の帯域成分を含む、前記測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記測定光の光強度情報と、前記測定光の光強度の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
を含み、
前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダを含み、
前記光学系は、
前記光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び前記第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように構成されており、かつ、
前記4個の光学素子の主軸方位が所与の角度差になるように設定されており、
前記演算処理部は、
前記光強度情報を解析処理して得られる相関関数に基づいて、前記測定光の光強度の理論式に含まれる9個のキャリア振幅係数をすべて算出するキャリア振幅係数算出処理と、
前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記9個のキャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記9個の行列要素を含む前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する行列要素算出処理とを行う。
本発明に係る計測装置では、1回の測定で得られる1個の光強度情報によって、ミュラー行列の16個の行列要素のうちの9個を算出する。
詳しくは、本発明では、測定光の光強度の理論式に含まれる9個のキャリア振幅係数をすべて算出する。そして、本発明では、9個のキャリア振幅係数の理論式に、9個の行列要素のみが表れるように、光学素子の主軸方位を設定する。そのため、本発明によると、9個の行列要素を未知数として含む9個の関係式を導出することができる。そして、9個の関係式を解くことによって、9個の行列要素を算出することができる。
すなわち、本発明によると、1回の測定で得られる1個の光強度情報によって、ミュラー行列の16個の行列要素のうち9個を算出することができる。そのため、本発明に係る計測装置によると、少ないデータによって、必要な行列要素を算出することができる。また、本発明に係る計測装置によると、光学素子の主軸方位設定を変更する必要がないため、効率よく行列要素を算出することができる。
(12)この計測装置において、
前記光強度情報取得部で、
前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位の角度差が45度の整数倍になるように設定された前記光学系で得られる前記測定光の光強度情報を取得してもよい。
これによると、演算負担を軽減することができる。
(13)この計測装置において、
前記光強度情報取得部で、
前記第1の偏光子の主軸方位と前記第1のキャリアリターダの主軸方位との角度差が45度の奇数倍になるように、
前記第2のキャリアリターダの主軸方位と前記第2の偏光子の主軸方位との角度差が45度の奇数倍になるように、かつ、
前記第1及び第2のキャリアリターダの主軸方位の角度差が45度の整数倍になるように設定された前記光学系で得られる前記測定光の光強度情報を取得してもよい。
この計測装置によると、1回の測定で得られる測定光の光強度の理論式に含まれる9個のキャリア振幅係数の理論式に、9個の行列要素のみが表れる。そのため、この計測装置によると、1回の測定で得られる1個の光強度情報のみに基づいて、9個の行列要素を算出することができる。
(14)この計測装置において、
前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位情報を検出する検出部をさらに含み、
前記演算処理部は、
前記検出部で検出された主軸方位情報を利用して、前記キャリア振幅係数算出処理を行ってもよい。
(15)この計測装置において、
前記少なくとも4個の光学素子の少なくとも1つの主軸方位設定を変更するアクチュエータをさらに含んでもよい。
(16)この計測装置において、
前記光源から出射された光は、所与の帯域成分を含む光であってもよい。
(17)本発明に係る計測装置は、
測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素をすべて算出する計測装置であって、
光学系に含まれる複数の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記測定光の光強度情報と、前記測定光の光強度の理論式とに基づいて、前記16個の行列要素をすべて算出する演算処理を行う演算処理部と、
を含み、
前記光強度情報取得部は、
前記複数の光学素子の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる複数の前記測定光の前記光強度情報を取得し、
前記演算処理部は、
それぞれの前記測定光の光強度情報を解析処理して得られる相関関数に基づいて、それぞれの前記測定光の光強度の理論式に含まれるキャリア振幅係数の少なくとも1つを算出するキャリア振幅係数算出処理と、
前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記キャリア振幅係数と、前記複数の光学素子の主軸方位及び前記行列要素の少なくとも1つを含む前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記16個の行列要素をすべて算出する行列要素算出処理とを行う。
本発明に係る計測装置では、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を導出する。
詳しくは、キャリア振幅係数の理論式には、後述する式(8a)〜式(8i)からわかるように、ミュラー行列の行列要素が含まれる。そして、キャリア振幅係数の理論式に含まれる係数は、後述する式(9a)〜式(17)からわかるように、光学素子の主軸方位に依存する。そのため、キャリア振幅係数の理論式に、光学素子の主軸方位情報を代入することによって、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を導出することができる。
そして、本発明に係る計測装置では、該関係式を解くことによって、ミュラー行列の行列要素を算出する。
なお、本発明では、光学素子の主軸方位の設定が異なる光学系で得られる複数の測定光の光強度情報を取得する。例えば、本発明では、第1〜第M(Mは2以上の整数)の、M個の測定光の光強度情報を取得する。このとき、M個の測定光は、光学素子の主軸方位が、第1〜第Mの条件に設定された光学系によって得られる測定光である。そして、第1〜第Mの条件は、それぞれ、光学素子の主軸方位の少なくとも1つが異なっている。
また、キャリア振幅係数の理論式に含まれる係数は光学素子の主軸方位に依存するため、光学素子の主軸方位が変われば、キャリア振幅係数の理論式の係数が変わる。すなわち、光学素子の主軸方位の設定が異なる光学系で得られる複数の測定光の光強度情報を取得することで、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を増やすことができる。
ミュラー行列の行列要素の関係式が増えれば、算出可能な行列要素を増やすことができるため、必要な行列要素を算出することが可能になる。
すなわち、本発明によると、ミュラー行列の16個の行列要素のうち、必要な行列要素を算出することが可能な計測装置を提供することができる。
(18)本発明に係る光学特性計測ユニットは、上記のいずれかの計測装置を含む。
この光学特性計測ユニットは、ミュラー行列の行列要素を利用して、測定対象の光学特性要素を算出する構成をなしていてもよい。このとき、光学特性計測ユニットは、測定対象の複屈折位相差やデポラリゼーション、二色性等の光学特性要素を算出するように構成されていてもよい。
(19)本発明に係る計測方法は、
測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち、少なくとも1つの行列要素を算出する計測方法であって、
光学系に含まれる少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得手順と、
前記測定光の光強度情報と、前記測定光の光強度の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する演算処理を行う演算処理手順と、
を含み、
前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
前記測定光は、光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び第2の偏光子を介して受光部に入射させることによって得られる光であり、
前記光強度情報取得手順で、
前記少なくとも4個の光学素子の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる複数の前記測定光の前記光強度情報を取得し、
前記演算処理手順で、
それぞれの前記測定光の光強度情報を解析処理して得られる相関関数に基づいて、それぞれの前記測定光の光強度の理論式に含まれるキャリア振幅係数の少なくとも1つを算出するキャリア振幅係数算出処理と、
前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記キャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記少なくとも1つの行列要素を含む前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する行列要素算出処理と、
を行う。
本発明に係る計測方法では、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を導出する。
詳しくは、キャリア振幅係数の理論式には、後述する式(8a)〜式(8i)からわかるように、ミュラー行列の行列要素が含まれる。そして、キャリア振幅係数の理論式に含まれる係数は、後述する式(9a)〜式(17)からわかるように、光学素子の主軸方位に依存する。そのため、キャリア振幅係数の理論式に、光学素子の主軸方位情報を代入することによって、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を導出することができる。
そして、本発明に係る計測方法では、該関係式を解くことによって、ミュラー行列の行列要素を算出する。
なお、本発明では、光学素子の主軸方位の設定が異なる光学系で得られる複数の測定光の光強度情報を取得する。例えば、本発明では、第1〜第M(Mは2以上の整数)の、M個の測定光の光強度情報を取得する。このとき、M個の測定光は、光学素子の主軸方位が、第1〜第Mの条件に設定された光学系によって得られる測定光である。そして、第1〜第Mの条件は、それぞれ、第1及び第2の偏光子、第1及び第2のキャリアリターダの主軸方位の少なくとも1つが異なっている。
また、キャリア振幅係数の理論式に含まれる係数は光学素子の主軸方位に依存するため、光学素子の主軸方位が変われば、キャリア振幅係数の理論式の係数が変わる。すなわち、光学素子の主軸方位の設定が異なる光学系で得られる複数の測定光の光強度情報を取得することで、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を増やすことができる。
ミュラー行列の行列要素の関係式が増えれば、算出可能な行列要素を増やすことができるため、必要な行列要素を算出することが可能になる。
すなわち、本発明によると、ミュラー行列の16個の行列要素のうち、必要な行列要素を算出することが可能な計測方法を提供することができる。
(20)この計測方法において、
前記演算処理手順で、
複数の前記測定光に対する前記キャリア振幅係数算出処理で算出された前記キャリア振幅係数に基づいて、前記行列要素算出処理を行ってもよい。
この計測方法では、1つの主軸方位設定の光学系から導出される関係式と、他の主軸方位設定の光学系から導出される関係式とを利用して(連立方程式として解くことによって)、行列要素を算出する。
これにより、ミュラー行列の行列要素のうち、必要な行列要素を算出することができる。
(21)この計測方法において、
前記演算処理手順で、
それぞれの前記測定光に対する前記キャリア振幅係数算出処理で算出された前記キャリア振幅係数に基づいて、前記行列要素算出処理を行ってもよい。
この計測方法では、1つの主軸方位設定の光学系から導出される関係式を利用して行列要素を算出し、その後、他の主軸方位設定の光学系から導出される関係式を利用して行列要素を算出する。
これにより、ミュラー行列の行列要素のうち、必要な行列要素を算出することができる。
(22)この計測方法において、
前記演算処理手順で、前記16個の行列要素をすべて算出してもよい。
光学系の主軸方位を適切に設定することによって、ミュラー行列の16個の行列要素をすべて算出することができる。
(23)本発明に係る計測方法は、
測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち9個の行列要素を算出する計測方法であって、
光学系に含まれる、主軸方位が所与の角度差になるように設定された少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得手順と、
前記測定光の光強度情報と、前記測定光の光強度の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する演算処理を行う演算処理手順と、
を含み、
前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
前記測定光は、光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることによって得られる光であり、
前記演算処理手順で、
前記光強度情報を解析処理して得られる相関関数に基づいて、前記測定光の光強度の理論式に含まれる9個のキャリア振幅係数をすべて算出するキャリア振幅係数算出処理と、
前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記9個のキャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記9個の行列要素を含む前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する行列要素算出処理と、
を行う。
本発明に係る計測方法では、1回の測定で得られる1個の光強度情報によって、ミュラー行列の16個の行列要素のうちの9個を算出する。
詳しくは、本発明では、測定光の光強度の理論式に含まれる9個のキャリア振幅係数をすべて算出する。そして、本発明では、9個のキャリア振幅係数の理論式に、9個の行列要素のみが表れるように、光学素子の主軸方位を設定する。そのため、本発明によると、9個の行列要素を未知数として含む9個の関係式を導出することができる。そして、9個の関係式を解くことによって、9個の行列要素を算出することができる。
すなわち、本発明によると、1回の測定で得られる1個の光強度情報によって、ミュラー行列の16個の行列要素のうち9個を算出することができる。そのため、本発明に係る計測方法によると、少ないデータによって、必要な行列要素を算出することができる。また、本発明に係る計測方法によると、光学素子の主軸方位設定を変更する必要がないため、効率よく行列要素を算出することができる。
(24)この計測方法において、
前記光源から出射された光は、所与の帯域成分を含む光であってもよい。
(25)本発明に係る計測方法は、
測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素をすべて算出する計測方法であって、
光学系に含まれる複数の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得手順と、
前記測定光の光強度情報と、前記測定光の光強度の理論式とに基づいて、前記16個の行列要素をすべて算出する演算処理を行う演算処理手順と、
を含み、
前記光強度情報取得手順で、
前記複数の光学素子の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる複数の前記測定光の前記光強度情報を取得し、
前記演算処理手順で、
それぞれの前記測定光の光強度情報を解析処理して得られる相関関数に基づいて、それぞれの前記測定光の光強度の理論式に含まれるキャリア振幅係数の少なくとも1つを算出するキャリア振幅係数算出処理と、
前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記キャリア振幅係数と、前記複数の光学素子の主軸方位及び前記行列要素の少なくとも1つを含む前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記16個の行列要素をすべて算出する行列要素算出処理とを行う。
本発明に係る計測方法では、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を導出する。
詳しくは、キャリア振幅係数の理論式には、後述する式(8a)〜式(8i)からわかるように、ミュラー行列の行列要素が含まれる。そして、キャリア振幅係数の理論式に含まれる係数は、後述する式(9a)〜式(17)からわかるように、光学素子の主軸方位に依存する。そのため、キャリア振幅係数の理論式に、光学素子の主軸方位情報を代入することによって、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を導出することができる。
そして、本発明に係る計測方法では、該関係式を解くことによって、ミュラー行列の行列要素を算出する。
なお、本発明では、光学素子の主軸方位の設定が異なる光学系で得られる複数の測定光の光強度情報を取得する。例えば、本発明では、第1〜第M(Mは2以上の整数)の、M個の測定光の光強度情報を取得する。このとき、M個の測定光は、光学素子の主軸方位が、第1〜第Mの条件に設定された光学系によって得られる測定光である。そして、第1〜第Mの条件は、それぞれ、光学素子の主軸方位の少なくとも1つが異なっている。
また、キャリア振幅係数の理論式に含まれる係数は光学素子の主軸方位に依存するため、光学素子の主軸方位が変われば、キャリア振幅係数の理論式の係数が変わる。すなわち、光学素子の主軸方位の設定が異なる光学系で得られる複数の測定光の光強度情報を取得することで、ミュラー行列の行列要素の関係を表す関係式を増やすことができる。
ミュラー行列の行列要素の関係式が増えれば、算出可能な行列要素を増やすことができるため、必要な行列要素を算出することが可能になる。
すなわち、本発明によると、ミュラー行列の16個の行列要素のうち、必要な行列要素を算出することが可能な計測方法を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る計測装置を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係る計測装置を説明するための図である。 光強度情報の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る計測装置を説明するための図である。 本発明の計測原理を説明するための図である。 光強度情報取得手順を説明するためのフローチャート図である。 キャリア振幅係数算出手順を説明するためのフローチャート図である。 行列要素算出手順を説明するためのフローチャート図である。 行列要素算出手順を説明するためのフローチャート図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
本発明の実施の形態に係る計測装置は、測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち、少なくとも1つを算出するものである。なお、本発明の計測装置は、測定対象の光学特性を計測する光学特性計測ユニットを構成していてもよい。
(第1の実施の形態)
以下、本発明を適用した第1の実施の形態に係る計測装置として、測定対象である試料100の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素をすべて算出することが可能な計測装置1について説明する。
(1)装置構成
図1に、計測装置1を示す。
本実施の形態に係る計測装置1は、測定対象である試料100の光学特性を表すミュラー行列の行列要素を算出するものである。計測装置1は、光強度情報取得部40と、演算処理部50とを含む。光強度情報取得部40では、光学系10に含まれる光学素子及び試料100によって変調された測定光の光強度情報を取得する。演算処理部50では、測定光の光強度情報と、測定光の光強度の理論式とに基づいて、ミュラー行列要素を算出する演算処理を行う。なお、試料100は、光を透過させる物質であってもよく、光を反射させる物質であってもよい。
以下、計測装置1の装置構成について説明する。
1−1:光学系10
光学系10は、光源12と受光部14とを含む。光学系10は、また、光源12と受光部14とを結ぶ光路L上に設けられた光学素子である、偏光子22、第1のキャリアリターダ24、第2のキャリアリターダ34、検光子32を含む。光学系10は、光源12から出射された光が偏光子22及び第1のキャリアリターダ24を介して試料100に入射し、試料100によって変調された光が、第2のキャリアリターダ34及び検光子32を介して受光部14に入射するように構成されてなる。
なお、本実施例の光学系10では、図1に示すように、試料100を透過した透過光が、第2のキャリアリターダ34に入射するように構成されているが、本発明の光学系は、試料100からの反射光が第2のキャリアリターダ34に入射するように構成されていてもよい(図示せず)。
光源12は、光を発生し、出射する装置である。本実施の形態では、光源12として、所与の波長(波数σ)帯域成分を含む光を出射する装置を利用してもよい。例えば、光源12として、ハロゲンランプなどの白色光源を使用してもよい。
偏光子22は、検光子32と対になり、光源12から出射された光を直線偏光とする入射側の偏光子である。
第1のキャリアリターダ24と第2のキャリアリターダ34とは、対をなし、試料100を挟んで配置される光学素子である。すなわち、光学系10は、第1及び第2のキャリアリターダ24,34の間に、試料100を設置することができるように構成された光学系であるといえる。
第1及び第2のキャリアリターダ24、34は、透過する光の波長によってその複屈折位相差の大きさが異なる光学素子である。従って、これら第1及び第2のキャリアリターダ24、34を透過した光は、その波長によって偏光状態が変化することになる。
第1及び第2のキャリアリターダ24、34は、例えば高次の位相差板を用いて構成することができる。また、第1及び第2のキャリアリターダ24,34は、その複屈折位相差が既知でその値が互いに異なるものが用いられる。すなわち、第1のキャリアリターダ24の複屈折位相差をφ(σ)、第2のキャリアリターダ34の複屈折位相差をφ(σ)とすると、φ(σ)とφ(σ)とは、異なる値となるように設定される。なお、第1及び第2のキャリアリターダ24,34の複屈折位相差は、光強度情報取得手順を行う際に既知である必要はないが、演算処理を行う際にはその値を利用する。
検光子32は、試料100によって変調された光(第2のキャリアリターダ34を透過した光)を直線偏光とする出射側の偏光子である。検光子32は、偏光子22と対になる偏光子といえる。すなわち、偏光子22を第1の偏光子と、検光子32を第2の偏光子と、それぞれ称してもよい。
光学系10は、偏光子22、第1のキャリアリターダ24、第2のキャリアリターダ34、検光子32の少なくとも1つが、主軸方位を変更することが可能なように構成されており、これら光学素子すべての主軸方位を変更することが可能なように構成されていてもよい。例えば、偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32の主軸方位は、アクチュエータによって、主軸方位が変更可能に構成されていてもよい。
なお、光学系10では、試料100の入射側に位置する偏光子22と第1のキャリアリターダ24とは、偏光変調ユニット20を構成していてもよい。また、試料100の出射側に位置する第2のキャリアリターダ34と検光子32とは、偏光解析ユニット30を構成していてもよい。また、光学素子(偏光子22、第1のキャリアリターダ24、第2のキャリアリターダ34、検光子32)と試料100とをあわせて、偏光光学系と称してもよい。
光学系10は、図示しないライトガイドをさらに含んでいていてもよい。ライトガイドは、光源12からの光を、試料100と対応した、縦及び横のいずれか一方又は両方の幅を有する光に広げる光学素子(光学装置)であってもよい。ライトガイドを利用することで、広がりを有する試料100に対する計測処理を、効率よく行うことが可能になる。
受光部14は、測定光を受光する。ここで、測定光とは、光源12から出射され、光学系10に含まれる光学素子及び試料100(偏光光学系)によって変調された光である。測定光は、所与の帯域成分を含む光であっても良い。光源12が帯域成分を含む光を出射する場合、測定光は、帯域成分を含む光となる。
受光部14は、複数の受光素子15を含んでいてもよい。複数の受光素子15は、図2に示すように、平面的に(二次元的に)配列されていてもよい。このとき、複数の受光素子15は、受光面を構成していてもよい。そして、光強度情報取得部40では、受光素子15毎に、入射した測定光の光強度情報を取得してもよい。受光部14として、例えば、CCDを利用してもよい。
なお、受光部14は、分光器をさらに含んでいてもよい。このとき、受光部14は、分光器によって測定光を分光し、分光された各測定光が受光素子15に入射するように構成される。すなわち、受光部14が、分光器と複数の受光素子15とを含んで構成されている場合には、分光器は、受光素子15よりも前(光源12側)に配置される。なお、分光器として、例えば、プリズムや回折格子を利用することができる。
受光部に入射する測定光は、以下のようにまとめることができる。
光源12から出射された所定の帯域成分を含む光は、図1に示すように、偏光子22と第1のキャリアリターダ24を透過する。第1のキャリアリターダ24は、前述したように透過する光の波長によって複屈折位相差が異なる。そのため、この第1のキャリアリターダ24を透過した光は、波長によってその偏光状態が変化する。また、第1のキャリアリターダ24は高次の位相差板であることから、第1のキャリアリターダ24を透過した光の偏光状態は、波長に対して周期的な変化を示す。
そして、第1のキャリアリターダ24を透過した光は、試料100を透過(あるいは、試料100によって反射)し、この際にその偏光状態はさらに変化する。
そして、この透過光(反射光)はさらにその下流側に位置する第2のキャリアリターダ34を透過し、この第2のキャリアリターダ34によってさらにその偏光状態が変化する。
以上の光学素子を透過した光は最後に検光子32を透過し、測定光として受光部14に入射する。
すなわち、受光部14に入射する測定光は、波長(波数σ)に対して周波数変調された光であるといえる。あるいは、受光部14に入射する測定光は、所与の帯域成分(波数σ)を含み、その波数毎に変調状態が異なる光であるといえる。そして、光学系10がキャリアリターダを含むことから、受光部14に入射する測定光は、光学系10に含まれる光学素子を回転させることなく、強度が波数に対して周期的に変化する光となる(図3A参照)。
1−2:光強度情報取得部40
光強度情報取得部40は、光学系10に含まれる光学素子及び試料100によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の光強度情報を取得する。
光強度情報取得部40は、光強度情報を、図3Aに示すように、波数σに対応する光強度P(σ)として取得する。すなわち、光強度は、波長に依存しているといえる。なお、光源として、帯域成分を有する光を出射する光源を利用する場合、測定光も帯域成分を含む光となる。そのため、測定光を分光し、波数σ毎の光強度を測定すれば、図3Aに示すように、波数σに対応する(波長に依存した)光強度P(σ)を取得することができる。また、光学系10はキャリアリターダ(第1及び第2のキャリアリターダ24,34)を含んでいる。そのため、光学系10で変調され、受光部14に入射した測定光は、その強度が、図3Aに示すように、波長(波数)に対して周期的に変化する光となる。すなわち、光学系10によると、光学素子を回転させることなく、図3Aに示すように、解析可能な態様の測定光を得ることができる。なお、光強度P(σ)は、例えば、受光部14(受光素子15)に入射した測定光を光電変換することによって取得することができる。
あるいは、光強度情報取得部40で、図3Aに示す光強度P(σ)を解析処理し、図3Bに示す相関関数を取得してもよい。
なお、光強度情報取得部40では、偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる光学系10で得られる、複数の測定光の光強度情報を取得する。
すなわち、光強度情報取得部40では、複数の測定光の光強度情報を取得する。そして、当該複数の測定光とは、それぞれ、光学素子(偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32)の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる光学系10で得られる光である。
言い換えると、光強度情報取得部40では、第1〜第M(Mは2以上の整数)の光強度情報、すなわち、M個の光強度情報を取得する。ここで、第1〜第Mの光強度情報は、それぞれ、第1〜第Mの主軸方位条件に設定された光学系10によって得られる測定光の光強度である。そして、第1〜第Mの主軸方位条件とは、相互に、光学素子(偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32)の少なくとも1つの主軸方位設定が異なっている。
そして、光強度情報取得部40で取得された光強度情報は、演算処理装置60の記憶装置55に格納される。記憶装置55では、複数の光強度情報を、光学系10の設定条件(偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32の主軸方位設定)と対応させて格納する。例えば、記憶装置55では、第1〜第Mの主軸方位条件(主軸方位情報)と、第1〜第Mの光強度情報とを、対応させて格納する。
1−3:演算処理部50
演算処理部50は、測定光の光強度情報と、測定光の光強度の理論式とに基づいて、ミュラー行列の行列要素を算出する演算処理を行う。すなわち、演算処理部50によって、ミュラー行列の行列要素が算出される。
つまり、演算処理部50は、測定光の光強度情報からキャリア振幅係数を算出するキャリア振幅係数算出処理と、キャリア振幅係数とその理論式とに基づいて行列要素を算出する行列要素算出処理とを行う。
これらの演算手順については後で詳述するが、キャリア振幅係数算出処理は、測定光の光強度情報を解析処理して得られる相関関数(図3B参照)に基づいて、キャリア振幅係数の少なくとも1つを算出する処理である。また、行列要素算出処理は、キャリア振幅係数算出処理によって算出されたキャリア振幅係数と、キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、ミュラー行列の行列要素を算出する処理である。
1−4:演算処理装置60
計測装置1は、演算処理装置60を含んでいてもよい。この場合、演算処理部50は、演算処理装置60に含まれる。また、演算処理装置60は、記憶装置55を含む。記憶装置55は、演算処理部50で算出された種々のデータを一時保管する機能を有していてもよい。
なお、計測装置1は、特に演算処理装置60(演算処理部50)において、コンピュータを利用した処理が可能である。ここで、コンピュータとは、プロセッサ(処理部:CPU等)、メモリ(記憶部)、入力装置、及び、出力装置を基本的な構成要素とする物理的装置(システム)を言う。
図4には、演算処理装置60を構成する、演算処理システムの機能ブロックの一例を示す。
処理部110は、情報記憶媒体130に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体130には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
処理部110の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
処理部110は、キャリア振幅係数算出処理部52と、行列要素算出処理部54とを含む。
記憶部120は、処理部などのワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。
情報記憶媒体130(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。
情報記憶媒体130に格納されたプログラムに基づいて、光学系10の光学素子の主軸方位が設定され、光源12の発光動作が制御されてもよい。
そして、演算処理装置60は、計測装置1の動作を統括制御する機能を有していてもよい。すなわち、演算処理装置60は、後述する駆動・検出部70−1〜70−4を制御して光学素子の主軸方位を設定(変更)し、光源12の発光動作を制御し、そして、光強度情報取得部40及び演算処理部50の動作を制御してもよい。
1−5:駆動・検出部
計測装置1は、駆動・検出部70−1〜70−4をさらに含んでいてもよい。駆動・検出部のうち、駆動部は、光学系を構成する光学素子(偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32)の主軸方位を可変設定するアクチュエータである。また、検出部は、光学素子の主軸方位を検出するセンサである。
(2)ミュラー行列要素算出原理
次に、本実施の形態に係る計測装置が採用するミュラー行列要素算出原理を説明する。
2−1:光学系10の理論式
以上の光学系10及び試料100のミュラー行列は下記のように書き表すことができる。
Figure 0004747304
なお、PθPは偏光子22のミュラー行列であり、θPは偏光子22の主軸方位である。また、PθAは検光子32のミュラー行列であり、θAは検光子32の主軸方位である。また、Rθ1は、第1のキャリアリターダ24のミュラー行列である。式中の、θ1は第1のキャリアリターダ24の主軸方位であり、φ(σ)は第1のキャリアリターダ24の複屈折位相差である。また、Rθ2は、第2のキャリアリターダ34のミュラー行列である
。式中の、θ2は第2のキャリアリターダ34の主軸方位であり、φ(σ)は第2のキ
ャリアリターダ34の複屈折位相差である。そして、Xは、試料100のミュラー行列である。
そして、それぞれのミュラー行列とストークスパラメータとの関係は、
Figure 0004747304
と書き表すことができる。ここで、Sout={s,s,s,s={光強度
,水平直線偏光成分と垂直直線偏光成分との光強度の差,45°直線偏光成分と−45°直線偏光成分との光強度の差,右回り円偏光成分と左回り円偏光成分の光強度の差}は出射ストークスパラメータを示し、Sin={P(σ),0,0,0}は入射ストークスパラメータを示す。なお、P(σ)は、光源12の波数に対する光強度である。
式(1)〜(5)およびSoutとSinを式(6)に代入して整理すると、測定光の光強度P(σ)は下記の理論式で表すことができる。
Figure 0004747304
なお、本発明では、各項の係数N00〜NSSを、キャリア振幅係数と称する。式(7)からわかるように、1つの測定光の光強度P(σ)の理論式には、9個のキャリア振幅係数N00〜NSSが出現する。9個のキャリア振幅係数N00〜NSSは、一般的に、次の理論式で表すことができる。
Figure 0004747304
この式から、式(7)に表れる9つの比例定数(キャリア振幅係数)は、試料100のミュラー行列要素m00〜m33の線形結合の形になっていることがわかる。
また、係数A0000〜ASS33には、後述する、光学素子の主軸方位情報が含まれている。このことから、式(8a)〜(8i)で表されるキャリア振幅係数の理論式は、光学素子の主軸方位情報、及び、少なくとも1つの行列要素を含むことがわかる。
2−2:係数A0000〜ASS33の算出
式(8a)〜(8i)に表れる係数A0000〜ASS33は、以下の各式で表される。
Figure 0004747304
すなわち、式(9a)〜(17)に、光学素子の主軸方位情報(θ、θ、θ、θ)を代入すれば、係数A0000〜ASS33を数値として得ることができる。
2−3:キャリア振幅係数N00〜NSSの算出
キャリア振幅係数N00〜NSSは、相関関数を利用して算出可能である。以下、キャリア振幅係数N00〜NSSを算出する方法について説明する。
はじめに、キャリア振幅係数N00〜NSSを、
Figure 0004747304
と置くと、式(7)は、
Figure 0004747304
と表すことができる。ただし、argは、偏角をとる演算子である。また、iは虚数単位で
ある。
ところで、第1及び第2のキャリアリターダ24,34は、互いに直交する直線偏光成分間の位相差を、素子透過前後で変化させる素子である。この位相差の変化量を複屈折位相差と呼ぶ。複屈折媒質で作られたキャリアリターダの複屈折位相差は、波数σに対して、次式のように変化する。
Figure 0004747304
ただし、
Figure 0004747304
なお、φ(σ)は、キャリアリターダの複屈折位相差である。また、Dはキャリアリターダの厚みであり、B(σ)はその複屈折である。そして、σは被測定光の中心波数を示す。
式(20)の第2の等式は、キャリアリターダの複屈折位相差φ(σ)が、波数σに対して線形に変化する項2πLσと、非線形に変化する項Φ(σ)の和の形に展開して書けることを意味する。すなわち、第1項はσに比例する項であり、第2項は複屈折位相差からσに比例する項を除いた部分である。そして、B(σ)の分散(波数に対する変化率)がそれほど大きくないとすると、非線形項Φ(σ)も小さくなるので、式(20)からわかるように、φ(σ)は波数σに対して、ほぼ線形に増加することになる。
そして、式(20)を式(19)に代入すると、
Figure 0004747304
が得られる。
ここで、キャリアリターダの複屈折位相差φ(σ)、φ(σ)が、波数σに対してほぼ比例して変化することに注意すれば、式(22)の右辺第一項は波数に対して緩やかに変化する成分であり、残りの項は、それぞれ、順に、中心周期1/L,1/L,1/(L−L),1/(L+L)で擬似正弦的に振動する成分となることがわかる。そのため、式(22)の右辺の各成分を、何らかの周波数フィルタリングを利用して分離し、各項の振幅と位相を復調すれば、N(σ)〜N(σ)を独立に決定することができることがわかる。
各項の分離復調手段は特に限定されるものではない。例えば、フーリエ変換法を適用して、分離復調手段を行ってもよい。以下、その具体的な手法について説明する。
はじめに、測定光の光強度P(σ)を、FFTを使って逆フーリエ変換する。これによ
り得られるのは、式(22)から導出されるように、測定光の相関関数
Figure 0004747304
である。ただし、
Figure 0004747304
であり、*は複素共役を示す。この相関関数C(h)は、図5に示されるように、各振動
成分の周期の逆数0,±L,±L,±(L−L),±(L+L)を中心とする9つの成分を含むこととなる。ここで、これらの周期の逆数を適当に選べば、C(h)に
含まれる各成分を、h軸上で互いに分離することができる。このうち、h=0,L,L,(L−L),(L+L)を中心とする5つの成分を取り出して、各々をフーリエ変換すると、
Figure 0004747304
となる。
各式の右辺に含まれるφ(σ)とφ(σ)とは、第1及び第2のキャリアリターダ24,34の複屈折位相差である。これらは、試料100には関係のない、光学系10のパラメータであり、予め求めておくことが可能である。従って、これらを除算すれば、式(18a)〜式(18e)で定義されるN(σ)〜N(σ)は、
Figure 0004747304
として求めることができる。
ところで、式(18a)〜式(18e)から、キャリア振幅係数N00(σ)〜NSS(σ)は、
Figure 0004747304
で与えられることがわかる。ただし、ReとImとは、それぞれ、実部と虚部とを示す演算子である。
そして、測定光の相関関数を利用すると、式(26a)〜式(26e)に表れるN(σ)及びN(σ)〜N(σ)の実部及び虚部を算出することができるため、この値を利用して、キャリア振幅係数N00(σ)〜NSS(σ)の各値を算出することができる。
2−4:ミュラー行列要素の算出
9個のキャリア振幅係数N00〜NSSは、式(8a)〜式(8i)からわかるように、試料100のミュラー行列要素の線形結合に、光源12の光強度P(σ)が乗算された形になっている。そして、光源の光強度P、係数A0000〜ASS33及びキャリア振幅係数N00〜NSSは、数値として算出することができる。すなわち、式(8a)〜式(8i)は、16個のミュラー行列要素m00〜m33を未知数として含む式であるといえる。そのため、これらの式を解くことで、ミュラー行列要素を算出することが可能になる。
ところで、式(8a)〜式(8i)によると、9個の関係式が、16個の未知数を含んでいる。そのため、この9個の関係式のみから、16個のミュラー行列要素をすべて算出することは不可能である。
逆に言うと、16個のミュラー行列要素の関係を表す適切な式を、16個導出することができれば、これを解いて、16個のミュラー行列要素をすべて算出することが可能になる。
ここで、式(8a)〜式(8i)に表れる係数A0000〜ASS33は、4つの光学素子の主軸方位θ、θ、θ、θによって算出される値である(式(9a)〜式(17)参照)。また、キャリア振幅係数N00〜NSSは、測定光の光強度情報から算出される値である。すなわち、1つの測定光の光強度情報と、そのときの光学素子の主軸方位とに基づいて、16個の行列要素m00〜m33の関係を表す、9個の式を導出することができる。そして、偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32の主軸方位設定が異なる光学系10のそれぞれから、16個のミュラー行列要素を含む9個の関係式を導出することができる。
そのため、偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32の主軸方位設定が異なる光学系10及び試料100で変調された複数の測定光の光強度情報と、それぞれの測定光の理論式とを利用することで、16個のミュラー行列要素m00〜m33の関係を表す式を増やすことができる。
そして、16個のミュラー行列要素の関係を表す適当な関係式を選択し、これを連立して解くことによって、16個のミュラー行列要素をすべて算出することが可能になる。
(3)本実施の形態に係る計測装置による、ミュラー行列要素の算出手順
図6〜図8には、本実施の形態に係る計測装置の動作フローチャートを示す。
3−1:光強度情報取得手順
図6は、光強度情報取得手順のフローチャートである。
まず、光学系10を構成する光学素子(偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32)の主軸方位を設定する(ステップS10)。
この状態で、光源12から光を出射し、光学系10に含まれる光学素子及び試料100によって変調された測定光を、受光部14で受光する。そして、光強度情報取得部40で、測定光の光強度情報を取得する(ステップS12)。光強度情報は、例えば、図3Aに示すような、光強度P(σ)として取得してもよい。
なお、ステップS12の前のいずれかに、光学系10の光路L上に、試料100を設けるステップを行ってもよい。当該ステップは、光学素子の主軸方位を設定するステップの前後のいずれに行ってもよい。
また、光強度情報取得手順では、光強度情報取得部40が複数の測定光の光強度情報を取得する。ここで、複数の測定光とは、光学素子(偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32)の少なくとも1つの主軸方位設定が異なる光学系10で得られる測定光である。すなわち、光強度情報取得手順では、上記のステップS10及びステップS12を、4個の光学素子の少なくとも1つの主軸方位設定を変更して複数回行う。
詳しくは、光強度情報取得手順では、はじめに、光学素子の主軸方位を第1の条件に設定して、第1の光強度情報を取得する。続いて、光学素子の主軸方位を第2の条件に設定(変更)して、第2の光強度情報を取得する。以下、この動作を繰り返し、M個の光強度情報を取得する。
本発明では、光学素子の主軸方位情報、及び、光強度情報取得部40で取得された複数の測定光の光強度情報を、記憶装置55に格納する。このとき、記憶装置55では、それぞれの測定光の光強度情報と、光学素子の主軸方位情報とを、対応付けして格納する。すなわち、記憶装置55では、第1〜第Mの光強度情報と、第1〜第Mの主軸方位情報とを、対応付けして格納する。
3−2:キャリア振幅係数算出手順
図7は、キャリア振幅係数算出手順のフローチャートである。キャリア振幅係数算出処理手順では、光強度情報取得部40で取得された光強度情報に基づいて、演算処理部50がキャリア振幅係数を算出する。なお、ここでは、フーリエ変換処理を例にとって説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
はじめに、光強度情報取得部40で取得された光強度P(σ)を、波数σでフーリエ変換処理し(ステップS20)、相関関数を取得する(ステップS22)。
相関関数は、図3B又は図5に示すように、ピーク成分を含むため、これをフィルタリングして、ピーク成分を抽出する(ステップS24)。
そして、抽出されたピーク成分に対して、フーリエ変換処理を行う(ステップS26)。これにより、各ピーク成分の実部及び虚部の値を、実測値として取得する。
そして、各ピークスペクトルの実部及び虚部の値に基づいて、式(27a)〜式(27i)に示すように、キャリア振幅係数の少なくとも1つを算出する(ステップS28)。
本実施の形態に係る計測装置では、ステップS20〜ステップS28の各処理を、光強度情報取得部40で取得された複数の光強度情報(第1〜第Mの光強度情報)のそれぞれに対して行う。言い換えると、本実施の形態に係る計測装置では、複数の光強度情報のそれぞれのキャリア振幅係数を算出する。
計測装置1では、複数の光強度情報から得られたキャリア振幅係数を、光学系10の光学素子の主軸方位情報と対応させて、記憶装置55に記憶させてもよい。
3−3:ミュラー行列要素算出手順
図8は、ミュラー行列要素算出手順のフローチャートである。ミュラー行列要素算出処理手順では、演算処理部50が、キャリア振幅係数と、キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、ミュラー行列要素を算出する。
はじめに、キャリア振幅係数の理論式を導出する(ステップS30)。
先に説明したように、キャリア振幅係数の理論式は、光学系10を構成する光学素子の主軸方位によって係数が変化する。そのため、光学素子の主軸方位情報を利用して、キャリア振幅係数の理論式を導出することができる。キャリア振幅係数の理論式を導出するステップ(ステップS30)は、いずれの段階で行ってもよい。例えば、光学系10の主軸方位を設定する際に、あわせて、キャリア振幅係数の理論式を導出するステップを行ってもよい。そして、導出されたキャリア振幅係数の理論式(第1〜第Mの理論式)を記憶装置55に格納する。
そして、それぞれのキャリア振幅係数のデータを、キャリア振幅係数の理論式と対応させることによって、16個のミュラー行列要素を関係を表す複数の関係式を導出する(ステップS32)。
そして、この関係式を解くことによって、16個のミュラー行列要素を算出する(ステップS34)。
(4)本実施の形態に係る計測装置による、ミュラー行列要素算出の具体例
以下、光学系10の光学素子(偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32)の主軸方位設定を具体的に設定し、ミュラー行列要素の算出手順について説明する。
はじめに、光学系10の光学素子の主軸方位を、偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32の順に、それぞれ、45°、0°、0°、45°に設定する。このとき、キャリア振幅係数は、
Figure 0004747304
となる。
次に、光学系10の光学素子の主軸方位を、それぞれ、0°、0°、0°、45°に設定する。このとき、キャリア振幅係数は、
Figure 0004747304
となる。
次に、光学系10の光学素子の主軸方位を、それぞれ、45°、0°、0°、0°に設定する。このとき、キャリア振幅係数は、
Figure 0004747304
となる。
次に、光学系10の光学素子の主軸方位を、それぞれ、0°、0°、0°、0°に設定する。このとき、キャリア振幅係数は、
Figure 0004747304
となる。
ここで、式(28a)〜式(31i)の各式の左辺は、測定データから検出可能であり、さらに光源12の光強度P(σ)は事前に求めておくことが可能であることから、これらの式を連立すれば、16個のミュラー行列要素をすべて算出することができる。
すなわち、本実施の形態に係る計測装置によると、16個のミュラー行列要素を、簡易な装置を利用して、容易かつ迅速に算出することが可能になる。
また、上述した例によれば、4回の光強度情報取得手順で得られた情報のみによって、16個のミュラー行列要素を、すべて、算出することが可能である。すなわち、光学素子の主軸方位を調整することで、4個の光強度情報のみで、16個のミュラー行列要素を算出することが可能になる。言い換えると、第1〜第4の主軸方位設定の光学系10で得られる第1〜第4の光強度情報のみによって、16個のミュラー行列要素をすべて算出することが可能になる。
具体的には、偏光子22及び第1のキャリアリターダ24の少なくとも一方の主軸方位が異なる第1及び第2の主軸方位条件、並びに、第2のキャリアリターダ34及び検光子32の少なくとも一方の主軸方位が異なる第3及び第4の主軸方位条件という、4個の主軸方位条件の光学系10で得られる4個の光強度情報を利用すれば、16個のミュラー行列要素をすべて算出することができる。
言い換えると、偏光子22及び第1のキャリアリターダ24の少なくとも一方の主軸方位が異なる2個の主軸方位条件と、第2のキャリアリターダ34及び検光子32の少なくとも一方の主軸方位が異なる他の2個の主軸方位条件の、4個の主軸方位条件の光学系10で得られる4個の光強度情報のみによって、16個のミュラー行列要素をすべて算出することができる。
これによると、少ないデータで、ミュラー行列要素を算出することができるため、効率よくミュラー行列要素を算出することができる。
なお、本具体例では、各光学素子の主軸方位を45°の整数倍としているが、本発明は、これに限定されるものではない。ただし、各光学素子の主軸方位設定いかんによって、計測装置1の処理負担を軽減することができる。
例えば、光学系10を構成する光学素子(偏光子22、第1のキャリアリターダ24、第2のキャリアリターダ34、及び、検光子32)は、それぞれ、主軸方位の角度差が45°の整数倍になるように設定されていてもよい。
また、偏光子22と第1のキャリアリターダ24とは、主軸方位の角度差が一定になるように設定されていてもよい。そして、第2のキャリアリターダ34と検光子32とは、主軸方位の角度差が一定になるように設定されていてもよい。
光学素子がこれらの関係を満たしている場合には、演算式を単純化することができるため、計測装置1の処理負担を軽減することができる。
また、本具体例では、第1及び第2のキャリアリターダ24,34の主軸方位を固定して、偏光子22及び検光子32の主軸方位のみを変化させているが、本実施の形態に係る計測装置の主軸方位の設定はこれに限られるものではない。例えば、偏光子22及び検光子32の主軸方位を固定して、第1及び第2のキャリアリターダ24,34の主軸方位を変化させてもよい。すなわち、本実施の形態に係る計測装置では、光強度情報取得部40において、偏光子22及び第1のキャリアリターダ24の少なくとも一方が異なる光学系10により変調された複数の測定光の光強度情報を取得し、検光子32及び第2のキャリアリターダ34の少なくとも一方の主軸方位が異なる光学系10により変調された複数の測定光の光強度情報を取得してもよい。これにより、16個のミュラー行列要素をすべて算出するために必要な式を導出することができる。
(5)産業上の利用可能性
以上に述べたように、本実施の形態に係る計測装置によると、測定対象である試料100の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素を、簡易、簡便、かつ、迅速に算出することが可能になる。
そして、測定対象である試料100の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素をすべて算出することで、試料100の様々な光学特性を明らかにすることができる。以下、その具体例を示す。
(5−1)デポラリゼーション
ミュラー行列M(σ)を、
Figure 0004747304
と書き表した場合、試料100のデポラリゼーションは、
Figure 0004747304
と表すことができる。
式(33)を見ると、デポラリゼーションを算出するためには、ミュラー行列の16個の行列要素がすべて必要であることがわかる。すなわち、本実施の形態に係る計測装置を利用すれば、試料100のデポラリゼーションを、簡易かつ迅速に算出することが可能になる。
(5−2)複屈折位相差及び主軸方位、並びに、二色性
複屈折位相差及び主軸方位、並びに、二色性を有する試料のミュラー行列は、
Figure 0004747304
と書き表すことができる。
ここで、
Figure 0004747304
である。
f(σ),Ps(σ)は、それぞれ、進相軸及び遅相軸(f軸及びs軸)の主透過率である。また、θは、進相軸の方向(主軸方位)である。
式(34)と式(35)とから、複屈折位相差Δ(σ)、主軸方位θ、進相軸及び遅相軸の主透過率Pf(σ),Ps(σ)は、
Figure 0004747304
と表すことができる。
すなわち、試料100のミュラー行列の行列要素を利用して、複屈折位相差及び主軸方位、並びに、二色性が算出することが可能になる。
(5−3)反射係数及びその位相差
1次散乱媒質における反射係数と位相差のミュラー行列Msurf(σ)は、
Figure 0004747304
と表すことができる。
ここで、r(σ),rs(σ),δ(σ)は、それぞれ、p-偏光、s-偏光における
振幅反射係数、及び、p-偏光とs-偏光との位相差である。
これらを計算すれば、
Figure 0004747304
を得ることができる。
すなわち、試料100のミュラー行列の行列要素を利用すれば、p-偏光、s-偏光における振幅反射係数、及び、p-偏光、s-偏光の位相差を算出することができる。
なお、本発明に係る計測装置がこれらの光学特性要素を算出する光学特性要素計測ユニットとして構成されている場合には、演算処理装置60(演算処理部50)で、これらの光学特性要素を算出する処理を行ってもよい。このとき、光学特性要素計測ユニットは、光学特性要素の各値を出力する装置として構成されてもよい。
(変形例)
ここまで、試料100の16個のミュラー行列要素をすべて算出する計測装置について説明してきたが、本発明に係る計測装置は、これに限られるものではない。
(1)第1の変形例
計測装置は、1つの光強度情報のみを利用して、複数個のミュラー行列要素を算出するように構成されていてもよい。
例えば、光学系10において、光学素子の主軸方位を、偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32の順に、それぞれ、45°、0°、0°、45°に設定した場合には、上述の式(28a)〜式(28i)からわかるように、9個のミュラー行列要素を算出することができる。
そして、これら9個のミュラー行列要素のすべて、あるいは一部を利用することで、複屈折位相差等の、試料100の光学特性を明らかにすることができる(式(36)〜式(39)あるいは、式(41)〜式(43)参照)。
このことから、本変形例によると、1つの測定光の光強度情報に基づいて、試料100の光学特性を算出することができることがわかる。すなわち、少ないデータで、必要な情報を得ることが可能になる。
(2)第2の変形例
計測装置は、複数の光強度情報を利用して、16個よりも少ない数のミュラー行列要素を算出するように構成されていてもよい。
例えば、上述の式(28a)〜式(29i)を利用すれば、12個のミュラー行列要素を算出することができる。
あるいは、上述の式(28a)〜式(30i)を利用すれば、15個のミュラー行列要素を算出することができる。
これらのミュラー行列要素を利用することで、試料100の光学特性を明らかにすることができる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明を適用した第2の実施の形態について、第1の実施の形態との相違点に留意しながら説明する。なお、本実施の形態でも、既に説明した内容は可能な限り適用するものとする。
(1)本実施の形態に係る計測装置による、ミュラー行列要素の算出原理
先に説明したように、計測装置1によれば、1回の計測で得られる光強度情報と、光学素子の主軸方位情報とに基づいて、16個のミュラー行列要素の関係を表す9個の関係式を導出することができる(式(8a)〜式(8i)参照)。
ところで、9個の関係式が16個の未知数を含んでいる場合には、通常、16個の未知数をすべて算出することは不可能である。しかし、9個の関係式に含まれる未知数が9個以下である場合には、当該未知数を算出することが可能になる。すなわち、9個のミュラー行列要素の関係を表す適切な関係式を9個導出することができれば、当該9個のミュラー行列要素を算出することができる。
式(8a)〜式(8i)を見ると、ミュラー行列要素には、係数A0000〜ASS33のいずれかが乗算されている。そのため、係数A0000〜ASS33のいずれかが0になれば、式(8a)〜式(8i)に表れるミュラー行列要素の数を減らすことができる。
ここで、係数A0000〜ASS33は、4つの光学素子の主軸方位θ、θ、θ、θによって算出される値である(式(9a)〜式(17)参照)。そのため、θ、θ、θ、θの各値(偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32の主軸方位)を調整することで、係数A0000〜ASS33のいずれかを、選択的に0にすることができる。これにより、式(8a)〜式(8i)から、いずれかのミュラー行列要素を除去することができる。すなわち、偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32の主軸方位を調整することで、1回の計測で得られる光強度情報から、16個のミュラー行列要素のいずれか9個のみを含む、9個の関係式を導出することができる。そのため、これら9個の関係式を解くことによって、9個のミュラー行列要素を算出することができる。すなわち、1回の計測で得られる光強度情報から、いずれか9個のミュラー行列要素を算出することができる。
また、光学素子の主軸方位設定が変われば、係数A0000〜ASS33の値が変化する(式(9a)〜式(17)参照)。すなわち、光学素子の主軸方位設定を変えることで、異なる係数が0になり、異なる(9個の)ミュラー行列要素の関係を表す9個の関係式を導出することができる。そのため、これを解くことによって、他の(9個の)ミュラー行列要素を算出することができる。
そして、本実施の形態に係る計測装置では、これらの動作を繰り返すことで、16個のミュラー行列要素をすべて算出する。すなわち、本実施の形態に係る計測装置では、1回の計測で得られる光強度情報を利用してミュラー行列要素を算出する処理を、光学素子の主軸方位を変更して複数回行う。これにより、16個のミュラー行列要素を、すべて算出することができる。
(2)本実施の形態に係る計測装置による、ミュラー行列要素の算出手順
図9に、本実施の形態に係る計測装置の動作フローチャート、特に、キャリア振幅係数算出手順及びミュラー行列要素算出手順を示す。
はじめに、ステップS40〜ステップS48によって、測定光の光強度情報から、キャリア振幅係数を算出する。その後、キャリア振幅係数と、キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、行列要素算出処理を行う(ステップS50)。
本実施の形態に係る計測装置では、それぞれの測定光に対するキャリア振幅係数算出処理で算出されたキャリア振幅係数に基づいて、行列要素算出処理を行う。これによって算出された1つ又は複数の行列要素を、記憶装置55に格納する。
そして、当該キャリア振幅係数算出処理及び行列要素算出処理(ステップS40〜ステップS50の各ステップ)を、光学素子の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる光学系10によって変調された複数の測定光の光強度情報のそれぞれに対して行う。これにより、16個の行列要素をすべて算出することができる。
(3)本実施の形態に係る計測装置による、ミュラー行列要素算出の具体例
以下、光学系10の光学素子(偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32)の主軸方位設定を具体的に設定し、ミュラー行列要素の算出手順について説明する。
はじめに、光学系10の光学素子の主軸方位を、偏光子22、第1及び第2のキャリアリターダ24,34、検光子32の順に、それぞれ、45°、0°、0°、−45°に設定する。このとき、キャリア振幅係数は、
Figure 0004747304
となる。
次に、光学系10の光学素子の主軸方位を、それぞれ、45°、0°、45°、0°に設定する。このとき、キャリア振幅係数は、
Figure 0004747304
となる。
次に、光学系10の光学素子の主軸方位を、それぞれ、90°、45°、0°、−45°に設定する。このとき、キャリア振幅係数は、
Figure 0004747304
となる。
次に、光学系10の光学素子の主軸方位を、それぞれ、90°、45°、45°、0°に設定する。このとき、キャリア振幅係数は、
Figure 0004747304
となる。
ここで、式(44a)〜式(47i)の各式の右辺は、測定データから検出可能である。また、式(44a)〜式(47i)の各式の左辺は、いずれかのミュラー行列要素になっている。そのため、これらの式から、16個のミュラー行列要素を、すべて算出することができる。
なお、本実施の形態では、光学系10の主軸方位は、以下の条件で設定されていてもよい。これによると、演算処理を単純化することができるため、計測装置の処理速度を高めることができる。
例えば、偏光子22と第1のキャリアリターダ24とは、主軸方位の角度差が45°の奇数倍になるように設定されていてもよい。第2のキャリアリターダ34と検光子32とは、主軸方位の角度差が45°の奇数倍になるように設定されていてもよい。そして、第1及び第2のキャリアリターダ24,34は、主軸方位の角度差が45°の整数倍になるように設定されていてもよい。
あるいは、偏光子22と第1のキャリアリターダ24とは、主軸方位の角度差が一定になるように設定されていてもよい。そして、第2のキャリアリターダ34と検光子32とは、主軸方位の角度差が一定になるように設定されていてもよい。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
例えば、上述した実施の形態では、帯域成分を含む光(例えば白色光)を光学素子に入射させ、帯域成分を含む測定光を分光し、測定光の波数σ毎の光強度情報を取得する構成の計測装置について説明した。しかし、本発明は、測定光の波数σ毎の光強度情報(図3A参照)を取得することができるいずれかの方法を適用することができる。言い換えると、本発明は、波数σ(波長)毎の光の変調状態を、光強度情報として得ることが可能な、いずれかの方法を適用することができる。例えば、特定の波数(波長)の光(単色光)を、波数(波長)を変えて連続的に出射することで、測定光を分光することなく、所定の帯域成分における測定光の光強度情報を取得する構成としてもよい。この場合には、計測装置は、光源12と偏光子22との間に、白色光を分光処理する分光処理部を含んでいてもよい。あるいは、光源として、波長(波数)の異なる光を連続的に出射することが可能な、いずれかの発光装置を利用してもよい。
また、光学系10を構成する光学素子は、手動で、その主軸方位を変更可能に構成されていてもよい。この場合には、検出部によってその主軸方位情報を取得し、各種演算処理を行ってもよい。
本発明は、液晶をはじめとする有機高分子材料の評価や新材料の研究開発に利用することができる。さらに、高分子の配向状態を品質管理などにも応用が可能である。これらより得られる知見は新しい材料に非常に有効なものとなる。
また、本発明によると、半導体や光学結晶などの無機材料の検査、材料に生じる光弾性定数や応力分布を測定することが可能となる。
また、本発明は、上記のような有機・無機高分子材料のみならず、バイオテクノロジーの分野でも適用が可能である。

Claims (25)

  1. 測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち、少なくとも1つの行列要素を算出する計測装置において、
    光学系に含まれる少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の波数に対する光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
    前記測定光の波数に対する光強度情報と、前記測定光の波数に対する光強度の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
    を含み、
    前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
    前記測定光は、光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び第2の偏光子を介して受光部に入射させることによって得られる光であり、
    前記測定光の波数に対する光強度の理論式は、前記第1及び第2のキャリアリターダの複屈折位相差を変数とする正弦関数及び余弦関数の多項式で表される式であり、
    前記光強度情報取得部は、
    前記少なくとも4個の光学素子の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる複数の前記測定光の前記光強度情報を取得し、
    前記演算処理部は、
    それぞれの前記測定光の波数に対する光強度情報を解析処理して得られる自己相関関数に基づいて、それぞれの前記測定光の波数に対する光強度の理論式の各項の係数であるキャリア振幅係数の少なくとも1つを算出するキャリア振幅係数算出処理と、
    前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記キャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記少なくとも1つの行列要素を変数とする式で表される前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する行列要素算出処理とを行う計測装置。
  2. 測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち、少なくとも1つの行列要素を算出する計測装置において、
    光源と、少なくとも4個の光学素子と、前記少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された測定光を受光する受光部と、を含む光学系と、
    所与の帯域成分を含む、前記測定光の波数に対する光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
    前記測定光の波数に対する光強度情報と、前記測定光の波数に対する光強度の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
    を含み、
    前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
    前記光学系は、
    前記光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように、かつ、
    前記少なくとも4個の光学素子の少なくとも1つが主軸方位を変更することが可能なように構成されており、
    前記測定光の波数に対する光強度の理論式は、前記第1及び第2のキャリアリターダの複屈折位相差を変数とする正弦関数及び余弦関数の多項式で表される式であり、
    前記光強度情報取得部は、
    前記少なくとも4個の光学素子の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる複数の前記測定光の前記光強度情報を取得し、
    前記演算処理部は、
    それぞれの前記測定光の波数に対する光強度情報を解析処理して得られる自己相関関数に基づいて、それぞれの前記測定光の波数に対する光強度の理論式の各項の係数であるキャリア振幅係数の少なくとも1つを算出するキャリア振幅係数算出処理と、
    前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記キャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記少なくとも1つの行列要素を変数とする式で表される前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する行列要素算出処理とを行う計測装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の計測装置において、
    前記演算処理部で、
    複数の前記測定光に対する前記キャリア振幅係数算出処理で算出された前記キャリア振幅係数に基づいて、前記行列要素算出処理を行う計測装置。
  4. 請求項1又は請求項2記載の計測装置において、
    前記演算処理部で、
    それぞれの前記測定光に対する前記キャリア振幅係数算出処理で算出された前記キャリア振幅係数に基づいて、前記行列要素算出処理を行う計測装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の計測装置において、
    前記演算処理部で、前記16個の行列要素をすべて算出する計測装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の計測装置において、
    前記光強度情報取得部で、前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダの少なくとも一方の主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる前記測定光の波数に対する光強度情報を取得する計測装置。
  7. 請求項6記載の計測装置において、
    前記光強度情報取得部で、前記第1の偏光子と前記第1のキャリアリターダとの主軸方位の角度差が一定になるように設定された前記光学系で得られる複数の前記測定光の波数に対する光強度情報を取得する計測装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の計測装置において、
    前記光強度情報取得部で、前記第2の偏光子及び前記第2のキャリアリターダの少なくとも一方の主軸方位の設定が異なる前記複数の光学系で得られる複数の前記測定光の波数に対する光強度情報を取得する計測装置。
  9. 請求項8記載の計測装置において、
    前記光強度情報取得部で、前記第2の偏光子と前記第2のキャリアリターダとの主軸方位の角度差が一定になるように設定された前記光学系で得られる複数の前記測定光の波数に対する光強度情報を取得する計測装置。
  10. 請求項1から請求項のいずれかに記載の計測装置において、
    前記光強度情報取得部で、
    前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位の角度差が45度の整数倍になるように設定された前記光学系で得られる前記測定光の波数に対する光強度情報を取得する計測装置。
  11. 請求項10記載の計測装置において、
    前記光強度情報取得部で、
    前記第1の偏光子の主軸方位と前記第1のキャリアリターダの主軸方位との角度差が45度の奇数倍になるように、
    前記第2のキャリアリターダの主軸方位と前記第2の偏光子の主軸方位との角度差が45度の奇数倍になるように、かつ、
    前記第1及び第2のキャリアリターダの主軸方位の角度差が45度の整数倍になるように設定された前記光学系で得られる前記測定光の波数に対する光強度情報を取得する計測装置。
  12. 測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち9個の行列要素を算出する計測装置において、
    光学系に含まれる、主軸方位が所与の角度差になるように設定された少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の波数に対する光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
    前記測定光の波数に対する光強度情報と、前記測定光の波数に対する光強度の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
    を含み、
    前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
    前記測定光は、光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記
    第2のキャリアリターダ及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることによって得られる光であり、
    前記測定光の波数に対する光強度の理論式は、前記第1及び第2のキャリアリターダの複屈折位相差を変数とする正弦関数及び余弦関数の多項式で表される式であり、
    前記光強度情報取得部は、
    前記第1の偏光子の主軸方位と前記第1のキャリアリターダの主軸方位との角度差が45度の奇数倍になるように、
    前記第2のキャリアリターダの主軸方位と前記第2の偏光子の主軸方位との角度差が45度の奇数倍になるように、かつ、
    前記第1及び第2のキャリアリターダの主軸方位の角度差が45度の整数倍になるように設定された前記光学系で得られる前記測定光の波数に対する光強度情報を取得し、
    前記演算処理部は、
    前記光強度情報を解析処理して得られる自己相関関数に基づいて、前記測定光の波数に対する光強度の理論式の各項の係数である9個のキャリア振幅係数をすべて算出するキャリア振幅係数算出処理と、
    前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記9個のキャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記9個の行列要素を変数とする式で表される前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する行列要素算出処理とを行う計測装置。
  13. 測定対象の光学系を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち9個の行列要素を算出する計測装置において、
    光源と、少なくとも4個の光学素子と、前記少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された測定光を受光する受光部とを含む光学系と、
    所与の帯域成分を含む、前記測定光の波数に対する光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
    前記測定光の波数に対する光強度情報と、前記測定光の波数に対する光強度の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
    を含み、
    前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダを含み、
    前記光学系は、
    前記光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び前記第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように構成されており、かつ、前記4個の光学素子の主軸方位が所与の角度差になるように設定されており、
    前記測定光の波数に対する光強度の理論式は、前記第1及び第2のキャリアリターダの複屈折位相差を変数とする正弦関数及び余弦関数の多項式で表される式であり、
    前記光強度情報取得部は、
    前記第1の偏光子の主軸方位と前記第1のキャリアリターダの主軸方位との角度差が45度の奇数倍になるように、
    前記第2のキャリアリターダの主軸方位と前記第2の偏光子の主軸方位との角度差が45度の奇数倍になるように、かつ、
    前記第1及び第2のキャリアリターダの主軸方位の角度差が45度の整数倍になるように設定された前記光学系で得られる前記測定光の波数に対する光強度情報を取得し、
    前記演算処理部は、
    前記光強度情報を解析処理して得られる自己相関関数に基づいて、前記測定光の波数に対する光強度の理論式の各項の係数である9個のキャリア振幅係数をすべて算出するキャリア振幅係数算出処理と、
    前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記9個のキャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記9個の行列要素を変数とする式で表される前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する行列要素算出処理とを行う計測装置。
  14. 請求項1から請求項13のいずれかに記載の計測装置において、
    前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位情報を検出する検出部をさらに含み、
    前記演算処理部は、
    前記検出部で検出された主軸方位情報を利用して、前記キャリア振幅係数算出処理を行う計測装置。
  15. 請求項1から請求項14のいずれかに記載の計測装置において、
    前記少なくとも4個の光学素子の少なくとも1つの主軸方位設定を変更するアクチュエータをさらに含む計測装置。
  16. 請求項1から請求項15のいずれかに記載の計測装置において、
    前記光源から出射された光は、所与の帯域成分を含む光である計測装置。
  17. 測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素をすべて算出する計測装置において、
    光学系に含まれる複数の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の波数に対する光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
    前記測定光の波数に対する光強度情報と、前記測定光の波数に対する光強度の理論式とに基づいて、前記16個の行列要素をすべて算出する演算処理を行う演算処理部と、
    を含み、
    前記複数の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
    前記測定光は、光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることによって得られる光であり、
    前記測定光の波数に対する光強度の理論式は、前記第1及び第2のキャリアリターダの複屈折位相差を変数とする正弦関数及び余弦関数の多項式で表される式であり、
    前記光強度情報取得部は、
    前記複数の光学素子の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる複数の前記測定光の前記光強度情報を取得し、
    前記演算処理部は、
    それぞれの前記測定光の波数に対する光強度情報を解析処理して得られる自己相関関数に基づいて、それぞれの前記測定光の波数に対する光強度の理論式の各項の係数であるキャリア振幅係数の少なくとも1つを算出するキャリア振幅係数算出処理と、
    前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記キャリア振幅係数と、前記複数の光学素子の主軸方位及び前記行列要素の少なくとも1つを変数とする式で表される前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記16個の行列要素をすべて算出する行列要素算出処理とを行う計測装置。
  18. 請求項1から請求項17のいずれかに記載の計測装置を含む光学特性計測ユニット。
  19. 測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち、少なくとも1つの行列要素を算出する計測方法において、
    光学系に含まれる少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の波数に対する光強度情報を取得する光強度情報取得手順と、
    前記測定光の波数に対する光強度情報と、前記測定光の波数に対する光強度の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する演算処理を行う演算処理手順と、
    を含み、
    前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
    前記測定光は、光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び第2の偏光子を介して受光部に入射させることによって得られる光であり、
    前記測定光の波数に対する光強度の理論式は、前記第1及び第2のキャリアリターダの複屈折位相差を変数とする正弦関数及び余弦関数の多項式で表される式であり、
    前記光強度情報取得手順で、
    前記少なくとも4個の光学素子の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる複数の前記測定光の前記光強度情報を取得し、
    前記演算処理手順で、
    それぞれの前記測定光の波数に対する光強度情報を解析処理して得られる自己相関関数に基づいて、それぞれの前記測定光の波数に対する光強度の理論式の各項の係数であるキャリア振幅係数の少なくとも1つを算出するキャリア振幅係数算出処理と、
    前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記キャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記少なくとも1つの行列要素を変数とする式で表される前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記少なくとも1つの行列要素を算出する行列要素算出処理と、
    を行う計測方法。
  20. 請求項19記載の計測方法において、
    前記演算処理手順で、
    複数の前記測定光に対する前記キャリア振幅係数算出処理で算出された前記キャリア振幅係数に基づいて、前記行列要素算出処理を行う計測方法。
  21. 請求項19記載の計測方法において、
    前記演算処理手順で、
    それぞれの前記測定光に対する前記キャリア振幅係数算出処理で算出された前記キャリア振幅係数に基づいて、前記行列要素算出処理を行う計測方法。
  22. 請求項19から請求項21のいずれかに記載の計測方法において、
    前記演算処理手順で、前記16個の行列要素をすべて算出する計測方法。
  23. 測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素のうち9個の行列要素を算出する計測方法において、
    光学系に含まれる、主軸方位が所与の角度差になるように設定された少なくとも4個の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の波数に対する光強度情報を取得する光強度情報取得手順と、
    前記測定光の波数に対する光強度情報と、前記測定光の波数に対する光強度の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する演算処理を行う演算処理手順と、
    を含み、
    前記少なくとも4個の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
    前記測定光は、光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることによって得られる光であり、
    前記測定光の波数に対する光強度の理論式は、前記第1及び第2のキャリアリターダの複屈折位相差を変数とする正弦関数及び余弦関数の多項式で表される式であり、
    前記光強度情報取得手順で、
    前記第1の偏光子の主軸方位と前記第1のキャリアリターダの主軸方位との角度差が45度の奇数倍になるように、
    前記第2のキャリアリターダの主軸方位と前記第2の偏光子の主軸方位との角度差が45度の奇数倍になるように、かつ、
    前記第1及び第2のキャリアリターダの主軸方位の角度差が45度の整数倍になるように設定された前記光学系で得られる前記測定光の波数に対する光強度情報を取得し、
    前記演算処理手順で、
    前記光強度情報を解析処理して得られる自己相関関数に基づいて、前記測定光の波数に対する光強度の理論式の各項の係数である9個のキャリア振幅係数をすべて算出するキャリア振幅係数算出処理と、
    前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記9個のキャリア振幅係数と、前記少なくとも4個の光学素子の主軸方位及び前記9個の行列要素を変数とする式で表される前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記9個の行列要素を算出する行列要素算出処理と、
    を行う計測方法。
  24. 請求項19から請求項23のいずれかに記載の計測方法において、
    前記光源から出射された光は、所与の帯域成分を含む光である計測方法。
  25. 測定対象の光学特性を表すミュラー行列の16個の行列要素をすべて算出する計測方法において、
    光学系に含まれる複数の光学素子及び前記測定対象によって変調された、所与の帯域成分を含む測定光の波数に対する光強度情報を取得する光強度情報取得手順と、
    前記測定光の波数に対する光強度情報と、前記測定光の波数に対する光強度の理論式とに基づいて、前記16個の行列要素をすべて算出する演算処理を行う演算処理手順と、
    を含み、
    前記複数の光学素子は、第1及び第2の偏光子と、複屈折位相差が既知でその値が互いに異なる第1及び第2のキャリアリターダとを含み、
    前記測定光は、光源から出射された光を前記第1の偏光子及び前記第1のキャリアリターダを介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2のキャリアリターダ及び第2の偏光子を介して受光部に入射させることによって得られる光であり、
    前記測定光の波数に対する光強度の理論式は、前記第1及び第2のキャリアリターダの複屈折位相差を変数とする正弦関数及び余弦関数の多項式で表される式であり、
    前記光強度情報取得手順で、
    前記複数の光学素子の少なくとも1つの主軸方位の設定が異なる前記光学系で得られる複数の前記測定光の前記光強度情報を取得し、
    前記演算処理手順で、
    それぞれの前記測定光の波数に対する光強度情報を解析処理して得られる自己相関関数に基づいて、それぞれの前記測定光の波数に対する光強度の理論式の各項の係数であるキャリア振幅係数の少なくとも1つを算出するキャリア振幅係数算出処理と、
    前記キャリア振幅係数算出処理によって算出された前記キャリア振幅係数と、前記複数の光学素子の主軸方位及び前記行列要素の少なくとも1つを変数とする式で表される前記キャリア振幅係数の理論式とに基づいて、前記16個の行列要素をすべて算出する行列要素算出処理とを行う計測方法。
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