JP2006307925A - ベルト式無段変速機のダウンシフト制御装置 - Google Patents

ベルト式無段変速機のダウンシフト制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 フィードバック制御およびフィードフォワード制御を実行し、かつ、ダウンシフトを実行する場合に、駆動力が低下することを抑制できるベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】 入力回転数と出力回転数との間の変速比を制御する場合に、油圧室へのオイルの流入・流出量と変速比との対応関係に基づいて、油圧室のオイル量を制御するフィードフォワード制御と、目標入力回転数と実入力回転数との偏差に基づいて油圧室のオイル量を制御するフィードバック制御とを実行可能なベルト式無段変速機の制御装置において、ダウンシフトを実行する場合に、目標入力回転数の変化率に基づいて、入力側のイナーシャトルクを求めるイナーシャトルク算出手段(ステップS3ないしS7)と、このイナーシャトルクに基づいて、ベルト式無段変速機に入力されるトルクを増加する入力トルク制御手段(ステップS8)とを有している。
【選択図】 図1

Description

この発明は、ベルト式無段変速機のダウンシフト制御装置に関するものである。
車両用の無段変速機は、変速比を連続的に変化させることができるので、車速やエンジン回転数、アクセルペダルの踏み込み量に代表される駆動要求量などの車両の状態に基づいて目標入力回転数もしくは目標変速比などの目標値を求め、実際の入力回転数あるいは実際の変速比などの実際値が、その目標値に一致するように変速比が制御される。このような変速比制御は、目標値と実際値との偏差に基づくフィードバック制御によって通常実行される。フィードバック制御は、偏差に所定のゲインを掛けて制御量を求める制御であるから、偏差が生じることによって実行され、偏差の発生を前提とするので、不可避的な制御の遅れがある。これを是正するためにゲインを大きくすると、ハンチングが生じたり、あるいは収束性が悪くなるなどの不都合が生じる。そこで、従来では、フィードフォワード制御を併用することがおこなわれている。フィードフォワード制御は、目標値に基づいて制御量を算出する制御であるから、偏差の検出を待つことなく制御を実行でき、応答性の点ではフィードバック制御よりも優れている。そのために特許文献1に記載された発明は、フィードバック制御とフィードフォワード制御とを選択的に切り替えて変速制御を行うように構成されている。
この特許文献1においては、実プライマリ回転数と定常目標回転数との偏差の絶対値が求められ、その絶対値が所定値以上であるか否かが比較・判定される。そして、その絶対値が所定値未満であると判定された場合は、プライマリ回転数のフィードバック制御がおこなわれる。これに対して、その絶対値が所定値以上であると判定された場合は、基本的にはフィードフォワード制御がおこなわれる。なお、無段変速機の変速制御装置は、特許文献2および特許文献3にも記載されている。
特開平6−109113号公報 特開平9−207628号公報 特開平11−20512号公報
ところで、ベルト式無段変速機で変速制御を実行する場合に、一方のプーリの溝幅を制御する油圧室へのオイルの流入・流出量と変速比との対応関係に基づいて、油圧室のオイル量を制御するフィードフォワード制御と、目標入力回転数と実入力回転数との偏差に基づいて油圧室のオイル量を制御するフィードバック制御とを組み合わせるとともに、ベルト式無段変速機でダウンシフト制御を実行する場合に、目標入力回転数に応じて動力源の目標トルクを制御することが考えられる。しかしながら、目標入力回転数を上昇させるダウンシフト制御の実行にともない、べルト式無段変速機の入力側で生じるイナーシャトルク分に対応して、ベルト式無段変速機の出力軸トルクが低下し、結果的に車両の駆動力が低下する恐れがあった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、フィードバック制御およびフィードフォワード制御を組み合わせて実行するとともに、ベルト式無段変速機でダウンシフト実行する場合に、駆動力が低下することを抑制可能なベルト式無段変速機のダウンシフト制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、動力源の出力側にベルト式無段変速機が設けられており、このベルト式無段変速機の入力側プーリまたは出力側プーリのうち、いずれか一方のプーリの溝幅を調整することにより、入力回転数と出力回転数との間の変速比を制御することが可能であり、前記変速比を制御する場合に、前記一方のプーリの溝幅を制御する油圧室へのオイルの流入・流出量と変速比との対応関係に基づいて、前記油圧室のオイル量を制御するフィードフォワード制御と、目標入力回転数と実入力回転数との偏差に基づいて前記油圧室のオイル量を制御するフィードバック制御とを実行可能なベルト式無段変速機のダウンシフト制御装置において、前記ベルト式無段変速機でダウンシフト制御を実行する場合に、前記目標入力回転数の変化率に基づいて、前記ベルト式無段変速機の入力側におけるイナーシャトルクを求めるイナーシャトルク算出手段と、求められたイナーシャトルクに基づいて、前記ベルト式無段変速機に入力されるトルクを増加する入力トルク制御手段とを有していることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記動力源から前記ベルト式無段変速機に至る動力伝達経路に、流体伝動装置およびロックアップクラッチが並列に設けられており、前記イナーシャトルク算出手段は、前記ロックアップクラッチが係合されている場合と解放されている場合とで、前記イナーシャトルクの求め方を変更する手段を含むことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、車速および加速要求および前記動力源の運転効率に基づいて、前記ベルト式無段変速機の第1の目標入力回転数を求める第1の算出手段と、前記第1の目標入力回転数をなまし処理することにより、前記フィードフォワード制御で用いる第2の目標入力回転数を求める第2の算出手段と、前記第2の目標入力回転数に対する実入力回転数の制御の遅れを加味することにより、前記フィードバック制御で用いる第3の目標入力回転数を求める第3の算出手段とを更に有しているとともに、前記イナーシャトルク算出手段は、前記第2の目標入力回転数の変化率に基づいて、前記ベルト式無段変速機の入力側におけるイナーシャトルクを求める手段を含むことを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、入力回転数と出力回転数との間の変速比を制御する場合に、フィードバック制御およびフィードフォワード制御を実行可能である。具体的には、フィードフォワード制御では、一方のプーリの溝幅を制御する油圧室へのオイルの流入・流出量と変速比との対応関係に基づいて、油圧室のオイル量が制御される。また、フィードバック制御では、目標入力回転数と実入力回転数との偏差に基づいて、実入力回転数が制御される。そして、ベルト式無段変速機でダウンシフト制御を実行する場合に、目標入力回転数の変化率に基づいて、ベルト式無段変速機の入力側におけるイナーシャトルクが求められ、求められたイナーシャトルクに基づいて、ベルト式無段変速機に入力されるトルクを増加することが可能である。したがって、ベルト式無段変速機でダウンシフト制御を実行する場合に、車両の駆動力が低下することを抑制できる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、ロックアップクラッチが係合されている場合は、動力源の動力が摩擦力によりベルト式無段変速機に伝達される。これに対して、ロックアップクラッチが解放されている場合は、動力源の動力が流体の運動エネルギによりベルト式無段変速機に伝達される。このように、動力源からベルト式無段変速機に至る動力の伝達状態を変更可能であり、その動力の伝達状態に対応させてイナーシャトルクの求め方を変更できるため、エンジントルクを高精度に増加でき、車両の駆動力の低下を一層確実に抑制できる。
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、車速および加速要求および前記動力源の運転効率に基づいて、ベルト式無段変速機の第1の目標入力回転数が求められ、第1の目標入力回転数をなまし処理することにより、フィードフォワード制御で用いる第2の目標入力回転数が求められ、第2の目標入力回転数に対する実入力回転数の制御の遅れを加味することにより、フィードバック制御で用いる第3の目標入力回転数が設定される。そして、第2の目標入力回転数の変化率に基づいて、イナーシャトルクが算出される。
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。まず、この発明を適用できる車両の構成例を、図2に基づいて説明する。この図2には、ベルト式無段変速機1を搭載した車両Veが示されているとともに、車両Veの制御系統が示されている。ベルト式無段変速機1においては、駆動プーリ(プライマリプーリ)2と従動プーリ(セカンダリプーリ)3とが、それぞれの中心軸線を互いに平行にして所定の間隔を空けて配置されている。その駆動プーリ2は、無端状のベルト4を巻き掛けるいわゆるV溝の幅を変更できるようになっており、駆動プーリ2は、プライマリシャフト30と一体回転し、かつ、軸線方向には固定された固定プーリ片5と、プライマリシャフト30と一体回転し、かつ、軸線方向に動作可能に構成された可動プーリ片6とを有している。その可動プーリ片6の背面側に、可動プーリ片6を軸線方向に動作させるための油圧アクチュエータ7が設けられている。油圧アクチュエータ7は、可動プーリ片6に軸線方向の推力を与える油圧室31を有している。そして、これら固定プーリ片5と可動プーリ片6との対向面が、テーパ角の一定なテーパ面となっていて、これらのテーパ面によって前記V溝が形成されている。
前記従動プーリ3は、セカンダリシャフト32と一体回転し、かつ、軸線方向には固定された固定プーリ片8と、セカンダリシャフト32と一体回転し、かつ、軸線方向に動作可能な可動プーリ片9とを有している。そして、これら固定プーリ片8と可動プーリ片9との対向面が、テーパ角の一定なテーパ面となっていて、これらのテーパ面によってV溝が形成されている。さらに、可動プーリ片9の背面側に、可動プーリ片9を軸線方向に動作させるための油圧アクチュエータ10が設けられている。油圧アクチュエータ10は、可動プーリ片9に軸線方向の推力を与える油圧室33を有している。
つぎに、ベルト式無段変速機1における入力側の構成について説明すると、車両Veには動力源11が搭載されている。この動力源としては、エンジンおよびモータ・ジェネレータなどを用いることができる。この実施例では、エンジンを用いた場合について説明する。ここで、エンジンとしては、内燃機関および外燃機関が挙げられるが、この実施例では、内燃機関、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどが用いられている場合について説明する。以下、動力源11に代えてエンジン11と記す。このエンジン11の出力側には、流体伝動装置50およびロックアップクラッチ51が並列に配置されている。この実施例では、流体伝動装置50としてトルクコンバータを用いる場合について説明する。流体伝動装置50は、エンジン11のクランクシャフト52に連結されたポンプインペラ53と、シャフト54に連結されたタービンランナ55とを有している。流体伝動装置50は、ポンプインペラ53とタービンランナ55との間で流体の運動エネルギにより動力伝達をおこなうものである。ロックアップクラッチ51が解放されている場合は、流体伝動装置50で伝達されるトルクを増幅することが可能である。
これに対して、ロックアップクラッチ51は、クランクシャフト52とシャフト54との間で、摩擦力により動力伝達をおこなうものである。そして、シャフト54とベルト式無段変速機1との間の動力伝達経路には、前後進切換装置56が設けられている。この前後進切換装置56の出力側にはプライマリシャフト30が連結されており、シャフト54の回転方向に対して、プライマリシャフト30の回転方向を正・逆に切り替えることが可能である。前後進切換装置56としては例えば、差動回転可能な3つの回転要素を有する遊星歯車機構と、遊星歯車機構の回転要素の回転を停止させるブレーキと、回転要素同士を選択的に連結するクラッチとを有する公知のものを用いることが可能である。これらのクラッチやブレーキは、油圧制御されるように構成されている。なお、ベルト式無段変速機1の出力側の構成について説明すると、セカンダリシャフト32が、デファレンシャル(図示せず)あるいはプロペラシャフト(図示せず)などを介して駆動輪36に連結されている。
上記のベルト4は、各プーリ2,3のV溝に挟み込まれる形状の多数の金属片を環状に配列し、それらの金属片をフープと称される環状の金属バンドによって結束して構成されている。したがって、ベルト4の全長はフープによって制限されるから、各プーリ2,3によってベルト4を挟み付けると、V溝の傾斜面(テーパ面)によってベルト4を半径方向で外側に押し出す向きの力が作用し、その結果、ベルト4に張力が加えられるとともに、ベルト4と各プーリ2,3との接触圧力が発生し、その接触圧力と摩擦係数とで決まる摩擦力によって、ベルト4と各プーリ2,3との間でトルクが伝達される。このようにベルト4を挟み付ける圧力が挟圧力であって、例えば、従動プーリ3側の油圧アクチュエータ10の油圧室33の油圧に応じて挟圧力が制御される。
これに対して、いずれか一方のプーリにおいてベルト4を挟み付ける圧力が相対的に増大し、あるいは低下すると、ベルト4の張力に抗してベルト4が当該一方のプーリで半径方向で外側に押し出され、あるいは反対に半径方向で内側に入り込み、同時に他方のプーリではベルト4が半径方向で内側に入り込み、あるいは半径方向で外側に押し出される。このような巻き掛け半径の変更が変速の実行であり、例えば、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の油圧室31に供給される圧油の流量を制御することにより、変速比が制御される。
上記のベルト式無段変速機1における変速は、駆動プーリ2の溝幅を変化させて、ベルト4の各プーリ2,3に対する巻き掛け半径を変更することにより実行するように構成されている。そのための油圧制御回路34について説明すると、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の油圧室31には、油路35を介在させて、アップシフト制御弁12およびダウンシフト制御弁13が並列に接続されている。
そのアップシフト制御弁12は、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の油圧室31に対する圧油の供給を制御するバルブであって、ソレノイドバルブ14から出力される信号圧によって動作するように構成されている。具体的に説明すると、アップシフト制御弁12は、装置の全体の元圧であるライン圧PL、もしくは、ライン圧PLの補正圧が供給される入力ポート15と、前記油路35に接続され、かつ、入力ポート15に選択的に連通される出力ポート16と、デューティ比に応じた信号圧がソレノイドバルブ14から加えられることにより、図示しない弁体を動作させる信号圧ポート17とを備えている。なお、符号18はスプリングであって、信号圧に対抗する方向に弾性力を、弁体に対して付与するように配置されている。したがって、ソレノイドバルブ14におけるデューティ比に応じて、油圧アクチュエータ7の油圧室31に圧油が供給されるようになっている。
また、ダウンシフト制御弁13は、油圧アクチュエータ7の油圧室31から圧油を排出する制御を実行するためのバルブであって、ソレノイドバルブ19から出力される信号圧によって動作するように構成されている。具体的に説明すると、ダウンシフト制御弁13は、油路35に接続された入力ポート20と、その入力ポート20に選択的に連通されるドレインポート21と、デューティ比に応じた信号圧がソレノイドバルブ19から加えられることにより、図示しない弁体を動作させる信号圧ポート22とを備えている。なお、符号23はスプリングであって、信号圧に対抗する方向の弾性力を弁体に対して付与するように配置されている。したがって、ソレノイドバルブ19におけるデューティ比に応じて、油圧アクチュエータ7の油圧室31から圧油が排出されるようになっている。なお、油圧制御回路34は、油圧室33の油圧を制御する油路(図示せず)およびソレノイドバルブ(図示せず)などを有しているとともに、ロックアップクラッチ51の係合・解放を制御するソレノイドバルブ(図示せず)などを有している。
そして、ベルト式無段変速機1およびロックアップクラッチ51および前後進切換装置56を制御する機能を有する電子制御装置(ECU)24が設けられている。この電子制御装置24は、マイクロコンピュータを主体として構成されたものであって、電子制御装置24には、アクセル開度、車速、ベルト式無段変速機1の入力回転数および出力回転数、エンジン回転数などの信号が入力される。そして、電子制御装置24においては、アクセル開度や車速、エンジン回転数などの入力データと、予め記憶しているデータなどとに基づいて演算をおこなって変速を判断するとともに、その変速判断に基づいて、ソレノイドバルブ14,19の通電状態を制御するためのデューティ比などを演算し、そのデューティ比に応じた制御信号を出力するように構成されている。また、この電子制御装置24は、油圧室33の油圧を制御するソレノイドバルブなどを制御することにより、前記従動プーリ3がベルト4を挟み付けてベルト式無段変速機1における伝達トルク容量を設定する挟圧力を制御するように構成されている。
したがって、上記のベルト式無段変速機1は、アクセル開度や車速などの車両の走行状態に基づいて目標変速比あるいは目標入力回転数(エンジン11もしくは駆動プーリ2の目標回転数)が設定され、実変速比や実入力回転数がその目標値に一致するように、電子制御装置24が制御信号をいずれかのソレノイドバルブ14,19に出力するように構成されている。そして、いずれかのソレノイドバルブ14,19が、入力されたデューティ比に応じた信号圧を出力することにより、アップシフト制御弁12から駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7に圧油が供給されてアップシフトが実行される。アップシフトとは、ベルト式無段変速機1の変速比を小さくするように制御することである。これに対して、油圧アクチュエータ7からダウンシフト制御弁13を介して圧油が排出させられてダウンシフトが実行される。ダウンシフトとは、ベルト式無段変速機1の変速比を大きくするように制御することである。なお、アップシフト制御弁12およびダウンシフト制御弁13を制御することにより、ベルト式無段変速機1の変速比を略一定に制御することも可能である。
上記のベルト式無段変速機1の変速制御では、フィードバック制御およびフィードフォワード制御を組み合わせて実行可能である。つまり、2自由度の制御を実行できる。まず、フィードフォワード制御は、油圧室31におけるオイルの供給量・排出量と、入力回転数や変速比との対応関係をモデルベースに基づいてデータ化しておき、そのモデルベース化されたオイル量と、変速比もしくは入力回転数との関係に基づいて、目標入力回転数および目標変速比に応じて、油圧室31におけるオイルの供給・排出量を制御することである。これに対して、フィードバック制御は、目標入力回転数や目標変速比などの目標値と、実際の入力回転数や変速比などの実際値との偏差を求め、その偏差を小さく(少なく)するように、油圧室31のオイル量を制御することである。このフィードフォワード制御およびフィードバック制御に用いる制御量は、目標とする変速を達成するための制御指令信号であって、具体的には前記いずれかのソレノイドバルブ14,19に出力するデューティ比(%)である。
図3は、その変速制御の基本的な内容を説明するためのフローチャートであって、先ず、フィードフォワード(FF)制御で用いる目標入力回転数NINTSTAが算出される(ステップS100)。この目標入力回転数NINTSTAは、例えば、基本目標入力回転数NINCを一次なまし処理して算出する。この基本目標入力回転数NINCは、エンジン11とベルト式無段変速機1とを協調制御する際に、アクセル開度と車速とに基づいて算出することが可能である。より具体的には、アクセル開度とその時点の車速とに基づいて要求駆動力(目標駆動力)が求められる。これは、例えば予め用意したマップから求められる。その要求駆動力と車速とからエンジン11の要求出力(目標出力)が算出され、その要求出力を最小の燃費で出力するエンジン回転数が、マップを使用して求められる。こうして求められたエンジン回転数に対応するベルト式無段変速機1の入力回転数が、基本目標入力回転数NINCである。
なお、基本目標入力回転数NINCを求める場合に、例えば図4のマップを用いることが可能である。図4のマップにおいては、基本目標入力回転数NINCと車速との対応関係が示されている。また、車速が同じであっても、アクセル開度が増加することにともない、基本目標入力回転数NINCが高くなる傾向を示す。さらに、基本目標入力回転数NINCは、車速に応じて上限ガードおよび下限ガードが設定される。なお、基本目標入力回転数NINCを一次なまし処理して目標入力回転数NINTSTAを算出する方法は後述する。一方、エンジン11の目標出力と、目標入力回転数NINTSTAとに基づいて、基本目標エンジントルクETRQBSEが求められ、この基本目標エンジントルクを達成するようにエンジン11のスロットル開度が制御される。
このステップS100についで、フィードバック(FB)制御で用いる目標入力回転数NINTを算出する(ステップS101)。ここで、目標入力回転数NINTとして、前述の目標入力回転数NINTSTAまたは、目標入力回転数NINTSTAに対する制御の応答遅れを考慮した目標入力回転数NINTNFFのいずれかが選択される。ここで、目標入力回転数NINTNFFは、例えば、次式により算出される。
NINTNFF(i)=NINTNFF(i−1)+{NINTSTA(i−K1)−
NINTNFF(i−1)}×K2
この実施例で説明する全ての数式において、「(i)」は、制御ルーチンの実行周期における(i)番目の周期、つまり「今回」を意味し、「(i−1)」は前回を意味する。また、上記の式において、「K1」は、むだ時間に相当する係数もしくは補正値であり、「K2」は、なまし量を決定する時定数もしくは補正値である。つまり、この目標入力回転数NINTNFFは、油圧制御回路34の構成や油圧アクチュエータ7の構成において、圧油の供給・排出作用、油圧室31を構成するピストンの動作などで不可避的に生じる制御の応答遅れを考慮した目標入力回転数である。言い換えれば、目標入力回転数NINTSTAに対して、システムの構成上で実現可能な値として、目標入力回転数NINTNFFが設定される。
さらに、ステップS101において、目標入力回転数NINTSTAまたは目標入力回転数NINTNFFのいずれかを選択する場合の判断は、フィードフォワード制御が禁止されているか否かによりおこなわれる。具体的には、フィードフォワード制御が禁止されている場合は、目標入力回転数NINTSTAが選択され、フィードフォワード制御が許可されている場合は、目標入力回転数NINTNFFが選択される。なお、フィードフォワード制御が禁止される条件としては、車両が低摩擦係数路を走行して駆動輪36がスリップする場合などが挙げられる。
上記のステップS101についで、実出力回転数NOUTのなまし補正回転数(遅れ補正なまし値)NOUTHOが算出される(ステップS102)。実出力回転数NOUTは、適宜のセンサによって検出されており、これをフィルタ処理することによりなまし補正回転数NOUTHOが求められる。なお、このなまし処理(フィルタ処理)は、検出信号に含まれるノイズ(外乱成分)を除去するための処理であるが、そのノイズの要因や程度は必ずしも一律ではないので、なまし係数(フィルタ処理の係数)はノイズあるいは外乱の要因や程度に応じて変更することが好ましい。
ついで、そのなまし補正回転数NOUTHOを利用して目標変速比RATIOTが算出される(ステップS103)。すなわち、変速比は駆動プーリ2の回転数と従動プーリ3の回転数との比であるから、目標変速比RATIOTが、上述した目標入力回転数NINTと実出力回転数NOUTのなまし補正回転数NOUTHOとの比として算出される。
図2に示すベルト式無段変速機1は、各プーリ2,3に対するベルト4の巻き掛け半径に応じて変速比が設定されるから、目標変速比RATIOTを達成するための可動プーリ片6の位置WDXが算出される(ステップS104)。ここで、位置WDXとは軸線方向における位置を意味する。すなわち変速比と可動プーリ片6の位置WDXとは、プーリの形状に基づいて幾何学的に定まるので、目標変速比RATIOTと可動プーリ片6の位置WDXとの関係を予めマップとして用意しておき、そのマップと目標変速比RATIOTとから可動プーリ片6の位置WDXが求められる。
前述した目標入力回転数NINTは、最終的に到達するべき回転数として設定されるのではなく、時々刻々の目標値として設定されるから、それに基づく前記目標変速比RATIOTも時々刻々変化する値として算出される。したがって可動プーリ片6の位置WDXは時間毎の位置として求められる。したがって次のステップS105では、所定時間の可動プーリ片6の移動量DXTが算出される。これは、可動プーリ片6の位置WDXの移動平均として求めることができる。
次に、目標変速比RATIOTの変化量を達成するための上記の所定時間の可動プーリ片6の移動量DXTを実現するのに要する駆動プーリ2の油圧アクチュエータ7に対する圧油の流量値QINが算出される(ステップS106)。要は、その油圧アクチュエータ7におけるピストン(図示せず)の受圧面積と可動プーリ片6の移動量DXTとの積である。
駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の油圧室31に対する圧油の給排の制御は、図2に示すソレノイドバルブ14,19をデューティ制御することによって行われるが、そのデューティ比に応じた圧油の流量は、その流入口と流出口との差圧に関係するので、先ず、その差圧(駆動プーリ2におけるオイルの流入出差圧)SAATUが算出される(ステップS107)。これは、所定のモデルに基づく制御で得られたデータを用いればよい。そして、この差圧SAATUと前記流量値QINとの関係を示すマップに基づいて、フィードフォワード制御での制御量(FF制御量)DQSCFFTが算出される(ステップS108)。
なお、軸線方向における駆動プーリ2の目標位置と、実際の位置との偏差を解消するためのフィードバック制御も併せて実行されるので、その偏差とフィードバックゲインとに基づくいわゆるフィードバック制御量(FB制御量)DQSCFBが算出される(ステップS109)。そして、これらの算出された制御量DQSCFFTおよび制御量DQSCFBに基づいて、変速出力制御量(具体的には前記ソレノイドバルブ14,19のデューティ比)が算出される(ステップS110)。このように、ベルト式無段変速機1の変速比を制御する場合、実質的には各種の目標入力回転数を設定し、その目標入力回転数に基づいて実入力回転数を制御することで、結果的に変速比が制御されていることになる。
ところで、フィードフォワード制御およびフィードバック制御を共に実行するとともに、前述のように、目標入力回転数NINTSTAに基づいて基本目標エンジントルクを設定する場合に、ダウンシフト制御を実行すると、ベルト式無段変速機1の入力回転数の上昇によるイナーシャトルクが発生し、このイナーシャトルクに対応する分だけセカンダリシャフト32の出力トルクが低下し、結果的に車両Veの駆動力が低下する可能性がある。このようなダウンシフト制御時における車両Veの駆動力の低下を抑制するための制御例を、図1のフローチャートに基づいて説明する。
まず、ステップS1では、基本目標入力回転数NINCが算出される。この基本目標入力回転数NINCの算出方法は、ステップS100の場合と同じである。このステップS1についで、目標入力回転数NINTが算出される(ステップS2)。この図1のフローチャートにおいて、目標入力回転数NINTとは、図3のステップS100で説明した目標入力回転数NINTSTAを意味する。目標入力回転数NINTは次式で算出可能である。
NINT(i)=NINT(i−1)+K3×{NINC(i)−NINT(i−1)} +K4 ・・・(1)
ステップS2についで、目標入力回転数NINTの変化率DLTNINTが算出される(ステップS3)。目標入力回転数NINTの変化率DLTNINTは、次式により算出可能である。
DLTNINT=K3×{NINC(i)−NINT(i−1)}+K4 ・・・(2)上記の式(1)および式(2)において、「K3」はなまし定数であり、「K4」はフィードバック係数である。
上記のステップS3についで、目標エンジン回転数の変化率DLTNETが算出される(ステップS4)。目標エンジン回転数の変化率DLTNETは、例えば次式により算出可能である。
e=NIN/NE
DLTNET=DLTNINT/e
ここで、「e」は、エンジン回転数とベルト式無段変速機1の回転数との速度比であり、「NIN」は、ベルト式無段変速機1の実入力回転数であり、「NE」は実エンジン回転数である。
上記のステップS4についで、ロックアップクラッチ51が係合(ON)されているか否かが判断される(ステップS5)。ロックアップクラッチ51の係合・解放を制御するマップの一例を図5に示す。ロックアップクラッチ51の係合・解放は、車速およびアクセル開度に基づいて定められており、そのマップおよび電子制御装置24に入力される信号に基づいて、油圧制御回路34が制御されて、ロックアップクラッチ51が係合・解放される。ステップS5で肯定的に判断された場合は、ベルト式無段変速機1の入力側イナーシャトルクINATRQが、次式により算出される(ステップS6)。
INATRQ=(IE+IT+INN+(MBLT×RIN2))×DLTNINT ・・・(3)
ここで、「IE」は、エンジン11のクランクシャフト52およびポンプインペラ53などの動力伝達系のイナーシャ(慣性質量)に対応する係数であり、「IT」は、タービンランナ55およびシャフト54などの動力伝達系のイナーシャに対応する係数であり、「MBLT」は、ベルト4の質量であり、「INN」は、駆動側プーリ2およびプライマリシャフト30などの動力伝達系のイナーシャに対応する係数であり、「RIN」は、駆動プーリ2におけるベルト4の巻き掛かり半径である。
このステップS6についで、目標エンジントルクETTQCVTを算出し(ステップS7)、この制御ルーチンを終了する。目標エンジントルクETTQCVTは、例えば次式により算出される。
ETTQCVT=ETRQBSE+INATRQ ・・・(4)
ここで、「ETRQBSE」は、図3のステップS100で説明した基本目標エンジントルクである。
一方、前記ステップS5で否定的に判断された場合、つまり、ロックアップクラッチ51が解放されている場合は、ベルト式無段変速機1の入力側イナーシャトルクINATRQが、次式により算出され(ステップS8)、ステップS7に進む。
INATRQ=(IE×DLTNET×TRQHI)+(IT+INN+(MBLT×R IN2))×DLTNINT ・・・(5)
ここで、「TRQHI」はトルク比であり、このトルク比は、シャフト54におけるトルクを、クランクシャフト52おけるトルクで除した値である。
つぎに、図1に示す制御例に対応するタイムチャートの一例を、図6に基づいて説明する。図6においては、基本目標入力回転数NINCが一点鎖線で示され、目標入力回転数NINTが実線で示され、実入力回転数NINが二点鎖線で示されている。この二点鎖線で示す実入力回転数NINは、フィードフォワード制御およびフィードバック制御が共に実行された場合に対応するものである。なお、前述したフィードバック制御用の目標入力回転数NINTNFFは、この実入力回転数にNINと略一致する。さらに、フィードフォワード制御が禁止され、かつ、フィードバック制御を実行する場合に対応する実入力回転数NINが破線で示されている。なお、二種類の実入力回転数NINが並行して検知されることは事実上はないが、図6では便宜上両方とも図示している。この図6は、ダウンシフト要求が生じて各入力回転数が上昇する場合を示している。すなわち、時刻t1以前においては、アクセル開度が略一定となっており、かつ、各入力回転数が略一致し、かつ、略一定となっている。また、目標エンジントルクも略一定であり、セカンダリシャフト32のトルク、すなわち出力軸トルクも略一定となっている。なお、出力軸トルクと略等価のパラメータである駆動力も、出力軸トルクと同じ特性を示す。
そして、時刻t1でアクセル開度がステップ的に増加して、ダウンシフト要求が生じると、基本目標入力回転数NINCがステップ的に急上昇する。時刻t1以降、アクセル開度が略一定になると、基本目標入力回転数NINCも略一定になる。これに対して、目標入力回転数NINTは、時刻t1から所定の勾配で上昇し、時刻t5以降は、目標入力回転数NINTが基本目標入力回転数NINCと一致している。時刻t1から時刻t5までの間は、目標入力回転数NINTは基本目標入力回転数NINCよりも低回転数となっている。また、ダウンシフト要求の発生後における目標入力回転数NINTの上昇勾配は、基本目標入力回転数NINCの上昇勾配よりも緩やかである。
これに対して、二点鎖線で示す実入力回転数NINは時刻t1以降も略一定に推移しており、時刻t1から所定時間が経過した時刻t3から、二点鎖線で示す実入力回転数NINが上昇を開始し、時刻t6以降、二点鎖線で示す実入力回転数NINが、基本目標入力回転数NINCと略一致している。時刻t1から時刻t6の間、二点鎖線で示す実入力回転数NINは、目標入力回転数NINTおよび基本目標入力回転数NINCよりも低回転数となっている。さらに、破線で示す実入力回転数NINは、時刻t4まで略一定に推移し、時刻t4以降に上昇を開始している。破線で示す実入力回転数NINは他の回転数よりも低回転数である。
一方、目標エンジントルクについて説明すると、時刻t1から目標エンジントルクがステップ的に上昇する。図1の制御例のように、イナーシャトルクを考慮して目標エンジントルクを設定すると、時刻t1で、実線で示す目標エンジントルクが急激に(ステップ的に)高められ、時刻t2以降も緩やかな勾配で、実線で示す目標エンジントルクが上昇し、時刻t4以降、実線で示す目標エンジントルクが緩やかに低下され、時刻t5以降は、実線で示す目標エンジントルクが緩やかに上昇する特性を示す。このように、実線で示す目標エンジントルクを設定すると、時刻t1以降も、出力軸トルクが実線で示すように緩やかな勾配で増加し、車両Veにおける駆動力の低下を抑制でき、かつ、加速応答性を向上でき、ドライバビリティが向上する。
特に、領域A1で囲んだ所定時間の間、例えば、時刻t3から時刻t4の間は、目標入力回転数NINTと、二点鎖線で示す実入力回転数NINとの偏差が略一定で推移する。言い換えれば、目標入力回転数NINTの変化勾配と、二点鎖線で示す実入力回転数NINの変化勾配とがほぼ同じになる。したがって、この領域A1では、目標入力回転数NINTの変化率から、実際のダウンシフトにともなうイナーシャトルクを高精度に推定することが可能であり、ステップS8で求められる目標エンジントルクを適切に増加することができる。さらに、この実施例では、ロックアップクラッチ51の係合・解放に応じてイナーシャトルクの求め方を変更しているため、動力の伝達状態に応じてイナーシャトルクを高精度に求めることが可能であり、車両Veにおける駆動力の低下を一層確実に抑制できる。
つぎに、イナーシャトルクを考慮して目標エンジントルクを設定する場合に、目標エンジントルクの具体的な増加時期について説明する。前述した実線の目標エンジントルクは、アクセル開度が増加してダウンシフト要求が発生した時刻t1から増加している。これは、ベルト式無段変速機1における変速応答性が良好な条件でおこなうことの可能な制御である。ベルト式無段変速機1における変速応答性が良好な条件としては、例えば、油圧制御回路34の油温が所定温度以上であり、オイルの粘度が低い場合、ベルト式無段変速機1で変速が開始されている場合などが挙げられる。
これに対して、ベルト式無段変速機1における変速応答性が低下している場合、例えば、油圧制御回路34の油温が所定温度未満であり、オイルの粘度が高い場合、ベルト式無段変速機1で変速が開始されていない場合には、目標エンジントルクを、図6の一点鎖線で示すように制御することが可能である。すなわち、時刻t1でダウンシフト要求が生じた場合でも、時刻t1から時刻t2までの間は破線で示す目標エンジントルクを設定し、時刻t2から一点鎖線で示す目標エンジントルクを設定することができる。つまり、目標エンジントルクの上昇時期を、時刻t1から時刻t2まで遅延させている。この一点鎖線で示す目標エンジントルクは、時刻t2からステップ的に上昇し、時刻t3以降も緩やかな勾配で上昇し、時刻t4と時刻t5との間の時刻から緩やかに低下され、時刻t5と時刻t6との間で、破線で示す目標エンジントルクと一致する特性となる。この一点鎖線で示す目標エンジントルクを設定した場合も、車両Veにおける駆動力の低下を抑制でき、かつ、加速応答性を向上できる。
なお、従動プーリ3の油圧室33に供給・排出されるオイル量を制御することにより、ベルト式無段変速機1の変速比を制御することが可能に構成されているとともに、油圧室31の油圧を制御するソレノイドバルブなどを制御することにより、前記駆動プーリ2がベルト4を挟み付けてベルト式無段変速機1における伝達トルク容量を設定する挟圧力を制御するように構成されている車両についても、図1および図3の実施例を適用可能である。
なお、上記の説明では、ベルト式無段変速機1の変速比を制御する場合に、主として入力回転数に基づく制御をおこなっているが、入力回転数と等価のパラメータである入力回転速度に基づいて、ベルト式無段変速機1の変速比を制御することも可能である。また、ベルト式無段変速機1の変速比自体を目標変速比として設定し、目標変速比と実変速比との偏差に基づいて、フィードバック制御をおこなう制御も、この発明の実施例に含まれる。さらに、動力源としてモータ・ジェネレータが設けられている車両において、図1,図3の制御を実行することも可能である。この場合は、図1のステップS1および図3のステップS100において、モータ・ジェネレータを制御する場合における電力の消費状態などの条件に基づいて、ベルト式無段変速機1の基本目標入力回転数NINCを求めることも可能である。また、前述したエンジン系のイナーシャに代えて、モータ・ジェネレータのイナーシャが求められる。また、基本目標エンジントルクおよび目標エンジントルクに代えて、モータ・ジェネレータの基本目標トルクおよび目標トルクが求められる。また、流体伝動装置としては、トルクコンバータに代えて、トルク増幅機能を備えていないフルードカップリングを用いることも可能である。
ここで、図1のフローチャートに示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、ステップS3ないしステップS7が、この発明におけるイナーシャトルク算出手段に相当し、ステップS8が、この発明における入力トルク制御手段に相当し、ステップS1が、この発明における第1の算出手段に相当し、ステップS2が、この発明における第2の算出手段に相当する。図3におけるステップS101が、この発明における第3の算出手段に相当する。また、基本目標入力回転数NINCが、この発明における第1の目標入力回転数に相当し、ステップS2で算出される目標入力回転数NINT(ステップS100で説明した目標入力回転数NINTSTA)が、この発明における第2の目標入力回転数に相当し、ステップS101で説明したフィードバック制御用の目標入力回転数NINT(NINTNFF)が、この発明における第3の目標入力回転数に相当する。また、エンジンおよびモータ・ジェネレータが、この発明における動力源に相当し、駆動側プーリ2が、この発明における入力側プーリに相当し、従動側プーリ3が、この発明における出力側プーリに相当し、油圧室31,33が、この発明における油圧室に相当する。また、エンジントルクまたはモータ・ジェネレータのトルクが、この発明における「ベルト式無段変速機に入力されるトルク」に相当する。
この発明のベルト式無段変速機のダウンシフト制御装置で実行可能な制御例を示すフローチャートである。 この発明で対象とするベルト式無段変速機を有する車両の概念図である。 図2のベルト式無段変速機で実行される制御であり、フィードバック制御およびフィードフォワード制御を含む制御のフローチャートである。 図3のフローチャートにおいて、基本目標入力回転数を求める場合に用いるマップの一例である。 図2に示されたロックアップクラッチを制御するマップの一例である。 図1に示す制御に対応するタイムチャートの一例である。
符号の説明
1…ベルト式無段変速機、 2…駆動プーリ、 3…従動プーリ、 4…ベルト、 11…エンジンおよびモータ・ジェネレータ(動力源)、 31,33…油圧室、 51…ロックアップクラッチ、 50…流体伝動装置。

Claims (3)

  1. 動力源の出力側にベルト式無段変速機が設けられており、このベルト式無段変速機の入力側プーリまたは出力側プーリのうち、いずれか一方のプーリの溝幅を調整することにより、入力回転数と出力回転数との間の変速比を制御することが可能であり、前記変速比を制御する場合に、前記一方のプーリの溝幅を制御する油圧室へのオイルの流入・流出量と変速比との対応関係に基づいて、前記油圧室のオイル量を制御するフィードフォワード制御と、目標入力回転数と実入力回転数との偏差に基づいて前記油圧室のオイル量を制御するフィードバック制御とを実行可能なベルト式無段変速機のダウンシフト制御装置において、
    前記ベルト式無段変速機でダウンシフト制御を実行する場合に、前記目標入力回転数の変化率に基づいて、前記ベルト式無段変速機の入力側におけるイナーシャトルクを求めるイナーシャトルク算出手段と、
    求められたイナーシャトルクに基づいて、前記ベルト式無段変速機に入力されるトルクを増加する入力トルク制御手段と
    を有していることを特徴とするベルト式無段変速機のダウンシフト制御装置。
  2. 前記動力源から前記ベルト式無段変速機に至る動力伝達経路に、流体伝動装置およびロックアップクラッチが並列に設けられており、
    前記イナーシャトルク算出手段は、前記ロックアップクラッチが係合されている場合と解放されている場合とで、前記イナーシャトルクの求め方を変更する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機のダウンシフト制御装置。
  3. 車速および加速要求および前記動力源の運転効率に基づいて、前記ベルト式無段変速機の第1の目標入力回転数を求める第1の算出手段と、
    前記第1の目標入力回転数をなまし処理することにより、前記フィードフォワード制御で用いる第2の目標入力回転数を求める第2の算出手段と、
    前記第2の目標入力回転数に対する実入力回転数の制御の遅れを加味することにより、前記フィードバック制御で用いる第3の目標入力回転数を求める第3の算出手段とを更に有しているとともに、
    前記イナーシャトルク算出手段は、前記第2の目標入力回転数の変化率に基づいて、前記ベルト式無段変速機の入力側におけるイナーシャトルクを求める手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機のダウンシフト制御装置。
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