JP4604643B2 - ベルト式無段変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、駆動プーリと従動プーリとに対するベルトの巻き掛け半径を連続的に変化させて変速をおこなう無段変速機に関するものである。
ベルト式の無段変速機は、駆動プーリと従動プーリとのそれぞれを、固定シーブとこれに接近・離隔する可動シーブとによって構成し、これら固定シーブと可動シーブとの間に形成される溝に、ベルトを巻き掛けるとともに、そのベルトを固定シーブと可動シーブとで挟み付けて所定の伝達トルク容量を設定するように構成されている。従来、入力トルクと変速比とに基づいて定まるベルト挟圧力(以下、単に挟圧力と記す)を設定するための油圧を従動プーリに供給し、これに対して変速比は駆動プーリの溝幅を圧油の供給量に応じて変化させて設定する構成の装置が知られている。
例えば特許文献1には、変速時にプライマリプーリに供給する圧油の制御として、目標変速比と実際の変速比との偏差から変速速度を求め、その変速速度に応じた流量で変速に必要な圧力を求めるように構成した変速制御装置が記載されている。また、特許文献2には、変速速度制御弁を制御するソレノイドバルブのデューティ比を、目標変速比の変化速度から求めるように構成した装置が記載されている。
特開平3−181659号公報 特開昭62−227825号公報
上記の各特許文献に記載されているベルト式無段変速機での変速は、プライマリプーリなどの一方のプーリにおける溝幅を、油圧によって変化させることにより、各プーリに対するベルトの巻き掛け半径を変化させることにより実行される。具体的には、プライマリプーリ側の油圧アクチュエータに油圧を供給してその溝幅を狭くすると、プライマリプーリにおいてはベルトが外周側に次第に押し出されるように移動してその巻き掛け半径が増大し、これに対して従動プーリであるセカンダリプーリでは、ベルトが溝幅を押し開くようにしてセカンダリプーリの内周側に次第に移動し、その巻き掛け半径が減少し、結局、変速比が小さくなるアップシフトが生じる。また反対に、ダウンシフト時には、プライマリプーリ側の油圧アクチュエータから排圧すると、ベルトがそのプライマリプーリの溝幅を押し開くようにしてプライマリプーリの内周側に次第に移動し、その巻き掛け半径が減少し、それに伴ってセカンダリプーリ側ではその溝幅が減少してベルトの巻き掛け半径が増大し、結局、変速比が大きくなる。
このような変速の際のベルトと各プーリとの間の挙動は複雑であるが、一方のプーリ(具体的にはプライマリプーリ)の溝幅の変更で変速を生じさせているので、アップシフト時とダウンシフト時との挙動は必ずしも同一にはならない。これに対して、上述した各特許文献に記載されている発明では、アップシフト時とダウンシフト時とでプライマリプーリに対する油圧の給排の仕方あるいは制御量の算定の仕方に特別な配慮をしていない。そのため、従来では、アップシフトもしくはダウンシフトの少なくともいずれかの変速時の変速応答性が低下する可能性があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、ベルト式無段変速機にアップシフトおよびダウンシフトのいずれでも変速応答性を良好にすることを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ベルトが巻き掛けられた溝の幅を変化させる油圧アクチュエータを備えた駆動プーリと従動プーリとを有し、一方のプーリの前記溝の幅を前記油圧アクチュエータによって変化させて変速比を制御するとともに、変速時に前記一方のプーリの油圧アクチュエータをフィードフォワード制御とフィードバック制御とによって制御するベルト式無段変速機の制御装置において、前記フィードフォワード制御による制御量を、前記変速比を低下させるアップシフト時には前記一方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と他方のプーリで前記ベルトを挟み付けている定常推力とから求めるとともに、前記変速比を増大させるダウンシフト時には前記他方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と他方のプーリで前記ベルトを挟み付けている定常推力とから求める制御量算出手段を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、ベルトが巻き掛けられた溝の幅を変化させる油圧アクチュエータを備えた駆動プーリと従動プーリとを有し、一方のプーリの前記溝の幅を前記油圧アクチュエータによって変化させて変速比を制御するとともに、変速時に前記一方のプーリの油圧アクチュエータをフィードフォワード制御とフィードバック制御とによって制御するベルト式無段変速機の制御装置において、前記他方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量とを備えていることを特徴とするものである
請求項3の発明は、ベルトが巻き掛けられた溝の幅を変化させる油圧アクチュエータを備えた駆動プーリと従動プーリとを有し、一方のプーリの前記溝の幅を前記油圧アクチュエータによって変化させて変速比を制御するとともに、変速時に前記一方のプーリの油圧アクチュエータをフィードフォワード制御とフィードバック制御とによって制御するベルト式無段変速機の制御装置において、前記フィードフォワード制御による制御量を、前記変速比を低下させるアップシフト時には前記一方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と各プーリの推力の比率である推力比と前記一方のプーリにおける遠心力に基づいて求めるとともに、前記変速比を増大させるダウンシフト時には前記他方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と前記各プーリの推力の比率である推力比と前記一方のプーリにおける遠心力とに基づいて求める制御量算出手段を備えていることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、ベルトが巻き掛けられた溝の幅を変化させる油圧アクチュエータを備えた駆動プーリと従動プーリとを有し、一方のプーリの前記溝の幅を前記油圧アクチュエータによって変化させて変速比を制御するとともに、変速時に前記一方のプーリの油圧アクチュエータをフィードフォワード制御とフィードバック制御とによって制御するベルト式無段変速機の制御装置において、前記フィードフォワード制御による制御量を、前記変速比を低下させるアップシフト時には前記一方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と他方のプーリの推力と前記一方のプーリにおける遠心力に基づいて求めるとともに、前記変速比を増大させるダウンシフト時には前記他方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と前記一方のプーリにおける遠心力に基づいて求める制御量算出手段を備えていることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載された発明において、前記一方のプーリの油圧アクチュエータにおける油圧をデューティ制御によって制御するデューティソレノイドバルブを更に備え、前記制御量は、前記デューティソレノイドバルブをフィードフォワード制御するための制御量を含むことを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置である。
ベルト式無段変速機における変速時のフィードフォワード制御は、制御量に応じて油圧の変化を生じさせることにより、変速比を目標に従って変化させる制御であり、請求項1の発明によれば、その制御量を、アップシフト時には前記一方のプーリの油圧アクチュエータにより溝幅を設定する推力の変化量と他方のプーリで前記ベルトを挟み付けている定常推力とから求められる。アップシフトの場合、その推力の変化量と変速速度との間にある程度の相関関係があるので、このように定常推力を加味して制御量を求めることにより、変速応答性が良好になる。また、ダウンシフト時には、他方のプーリの油圧アクチュエータにより溝幅を設定する推力の変化量と他方のプーリで前記ベルトを挟み付けている定常推力とから求められる。ダウンシフトの場合、前記他方のプーリでの推力の変化量と変速速度との間にある程度の相関関係があるので、このように定常推力を加味して制御量を求めることにより、変速応答性が良好になる。
また、請求項2の発明によれば、アップシフトの場合、前記一方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と各プーリの推力の比率である推力比とから前記一方のプーリの油圧を制御するためのフィードフォワード制御量が求められ、またダウンシフトの場合には、他方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と各プーリの推力の比率である推力比とから前記一方のプーリの油圧を制御するためのフィードフォワード制御量が求められる。
これに対して請求項3の発明では、アップシフトの場合、前記一方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と各プーリの推力の比率である推力比と前記一方のプーリにおける遠心力とに基づいて前記一方のプーリの油圧を制御するためのフィードフォワード制御量が求められ、またダウンシフトの場合には、他方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と各プーリの推力の比率である推力比と前記一方のプーリにおける遠心力とに基づいて前記一方のプーリの油圧を制御するためのフィードフォワード制御量が求められる。
さらに請求項4の発明によれば、アップシフトの場合、前記一方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と他方のプーリの推力と前記一方のプーリにおける遠心力とに基づいて前記一方のプーリの油圧を制御するためのフィードフォワード制御量が求められ、またダウンシフトの場合には、他方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と前記一方のプーリにおける遠心力とに基づいて前記一方のプーリの油圧を制御するためのフィードフォワード制御量が求められる。
したがって、請求項2ないし4の書く発明によれば、請求項1の発明と同様に、変速応答性が良好になる。
そして、請求項5の発明によれば、変速比制御のためのデューティソレノイドバルブがフィードフォワード制御されて変速応答性が良好になる。
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。まず、この発明を適用できる無段変速機1およびその油圧制御系統について説明する。図5は、ベルト式無段変速機1の基本的な構成を模式的に示しており、駆動プーリ(プライマリプーリ)2と従動プーリ(セカンダリプーリ)3とがそれぞれの中心軸線を互いに平行にして所定の間隔を空けて配置されている。その駆動プーリ2は、ベルト4を巻き掛けるいわゆるV溝の幅を変更できるようになっており、そのために軸線方向に対して固定された固定シーブ(固定プーリ片)5と軸線方向に前後動してその固定シーブ5に対して接近・離隔する可動シーブ(可動プーリ片)6とから構成されている。その可動シーブ6の背面側(固定シーブ5に対して反対側)に、可動シーブ6を前後動させるための油圧アクチュエータ(具体的には油圧シリンダ)7が設けられている。そして、これら固定シーブ5と可動シーブ6との対向面が、テーパ角の一定なテーパ面となっていて、これらのテーパ面によって前記V溝が形成されている。
従動プーリ3は、固定シーブと可動シーブとの位置が上記の駆動プーリ2とは左右反対になっている以外は基本的には駆動プーリ2と同様の構成であって、同一軸線上で互いに対向させた固定シーブ8とその固定シーブ8に対して前後動する可動シーブ9とからなり、これら固定シーブ8と可動シーブ9との対向面(一定角度のテーパ面)の間に形成されるいわゆるV溝の幅を広狭に変化させ、ベルト4の巻き掛け半径を変化させるように構成されている。そして、駆動プーリ2における固定シーブ5の半径方向で外側に従動プーリ3における可動シーブ9が配置され、また駆動プーリ2における可動シーブ6の半径方向で外側に従動プーリ3における固定シーブ8が配置されている。さらに、その可動シーブ9の背面側(固定シーブ8に対して反対側)に、可動シーブ9を前後動させるための油圧アクチュエータ(具体的には油圧シリンダ)10が設けられている。
この無段変速機1は、車両用の変速機として採用することができ、したがって上記の駆動プーリ2が、発進クラッチやトルクコンバータなどを介して、内燃機関や電動機などの動力源11に連結されている。また、従動プーリ3が、出力軸やデファレンシャルあるいはプロペラシャフトなどを介して駆動輪(それぞれ図示せず)に連結されている。
上記のベルト4は、各プーリ2,3のV溝に挟み込まれる形状の多数の金属片(ブロックと称されることがある)を環状に配列し、それらの金属片をフープと称される金属バンドによって結束して構成されている。したがってその全長はフープによって制限されるから、各プーリ2,3によってベルト4を挟み付けると、V溝の傾斜面(テーパ面)によってベルト4を半径方向で外側に押し出す向きの力が作用し、その結果、ベルト4に張力が加えられるとともに、ベルト4と各プーリ2,3との接触圧力が発生し、その接触圧力と摩擦係数とで決まる摩擦力によってベルト4と各プーリ2,3との間でトルクが伝達される。このようにベルト4を挟み付ける圧力が挟圧力であって、例えば前記従動プーリ3側の油圧アクチュエータ10によって設定される。
これに対していずれか一方のプーリ2,3においてベルト4を挟み付ける圧力が相対的に増大し、あるいは低下すると、ベルト4の張力に抗してベルト4が当該一方のプーリ2,3で半径方向で外側に押し出され、あるいは反対に半径方向で内側に入り込み、同時に他方のプーリ3,2ではベルト4が半径方向で内側に入り込み、あるいは半径方向で外側に押し出される。このような巻き掛け半径の変更が変速の実行であり、これは、例えば駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7によって実行する。
上記の無段変速機1における変速は、駆動プーリ2の溝幅を変化させて、ベルト4の各プーリ2,3に対する巻き掛け半径を変更することにより実行するように構成されている。そのための油圧制御回路について説明すると、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7に、アップシフト制御弁12とダウンシフト制御弁13とが接続されている。
そのアップシフト制御弁12は、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7に対する圧油の供給を制御するバルブであって、ソレノイドバルブ14からの信号圧によって動作するように構成されている。具体的に説明すると、アップシフト制御弁12は、装置の全体の元圧であるライン圧PLもしくはその補正圧が供給される入力ポート15と、前記油圧アクチュエータ7に接続されかつ入力ポート15に選択的に連通される出力ポート16と、デューティ比に応じた信号圧が前記ソレノイドバルブ14から加えられることにより図示しない弁体を動作させる信号圧ポート17とを備えている。なお、符号18はスプリングであって、信号圧に対抗する方向に弾性力を付与するように配置されている。したがってデューティ比に応じて、前記油圧アクチュエータ7に圧油が供給されるようになっている。
また、ダウンシフト制御弁13は、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7から圧油を排出する制御を実行するためのバルブであって、ソレノイドバルブ19からの信号圧によって動作するように構成されている。具体的に説明すると、ダウンシフト制御弁13は、前記油圧アクチュエータ7に接続された入力ポート20と、その入力ポート20に選択的に連通されるドレインポート21と、デューティ比に応じた信号圧が前記ソレノイドバルブ19から加えられることにより図示しない弁体を動作させる信号圧ポート22とを備えている。なお、符号23はスプリングであって、信号圧に対抗する方向に弾性力を付与するように配置されている。したがってデューティ比に応じて、前記油圧アクチュエータ7から圧油が排出されるようになっている。
そして、変速を制御する機能を有する電子制御装置(ECU)24が設けられている。この電子制御装置24は、マイクロコンピュータを主体として構成されたものであって、アクセル開度や車速、動力源11の回転数などの入力データと予め記憶しているデータなどとに基づいて演算をおこなって変速の判断やそれに基づいて出力するべきデューティ比などを演算し、かつ出力するように構成されている。また、この電子制御装置24は、前記従動プーリ3がベルト4を挟み付けて無段変速機1における伝達トルク容量を設定する挟圧力を制御するように構成されている。
したがって、上記の無段変速機1は、アクセル開度や車速などの車両の走行状態に基づいて目標変速比あるいは目標入力回転数(動力源11もしくは駆動プーリ2の目標回転数)が設定され、実際の変速比や入力回転数がその目標値に一致するように、電子制御装置24が制御信号をいずれかのソレノイドバルブ14,19に出力するように構成されている。そして、いずれかのソレノイドバルブ14,19が、入力されたデューティ比に応じた信号圧を出力することにより、アップシフト制御弁12から駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7に圧油が供給されてアップシフトが実行され、あるいはその油圧アクチュエータ7からダウンシフト制御弁13を介して圧油が排出させられてダウンシフトが実行される。
上記のアップシフトおよびダウンシフトの変速制御は、目標入力回転数や目標変速比などの目標値と実際の入力回転数や変速比などの実際値との偏差に基づくフィードバック制御と、検出されたデータに基づいて制御量を求め、かつ出力するフィードフォワード制御とによって実行される。そのフィードフォワード制御での制御量は、目標とする変速を達成するための制御指令信号であって、具体的には前記いずれかのソレノイドバルブ14,19に出力するデューティ比である。
上記の図5に示す無段変速機1では、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の油圧が、ベルト4の挟圧力に抗して変速比を維持する圧力になっている状態で、その油圧アクチュエータ7に圧油を更に供給することにより、アップシフトが生じる。またベルト4の挟圧力に抗して変速比を維持する圧力になっている前記油圧アクチュエータ7をドレイン箇所に連通させて排圧することにより、ダウンシフトが生じる。したがって、変速を実行するための上記の油圧アクチュエータ7に対する圧油の供給もしくは排出の速度あるいは量は、油圧アクチュエータ7での実際の圧力に影響される。したがって、変速の際のフィードフォワード制御量は、油圧アクチュエータ7の圧力を考慮して設定され、この発明に係る制御装置では、以下のように制御する。
図1は、この発明に係る制御装置で実行される制御の一例を説明するためのフローチャートであって、先ず、目標プライマリシーブ回転数(目標駆動プーリ回転数)NINTが算出される(ステップS001)。これは、動力源11と無段変速機1とを協調制御する際にアクセル開度と車速とに基づいて算出される。より具体的には、アクセル開度とその時点の車速とに基づいて要求駆動力が求められる。これは、例えば予め用意したマップから求められる。動力源11が内燃機関の場合、その要求駆動力と車速とから動力源11の要求出力が算出され、その要求出力を最小の燃費で出力する回転数(例えばエンジン回転数)が、マップを使用して求められる。こうして求められたエンジン回転数に対応する無段変速機の入力回転数が、目標プライマリシーブ回転数NINTである。なお、動力源11の負荷は、上記の目標出力とエンジン回転数とに基づいて算出され、その目標出力を達成するように動力源11のスロットル開度が制御される。
一方、セカンダリシーブ回転数(従動プーリ3の回転数)NOUTのなまし補正回転数(遅れ補正なまし値)NOUTHOが算出される(ステップS002)。これは、従動プーリ3が出力軸(図示せず)に連結されていることにより、路面の凹凸などの影響で回転数に外乱が含まれることを考慮し、実際の回転数を可及的に正確に求めるための制御である。その一例を説明すると、セカンダリシーブ回転数NOUTの一次なまし値NOUTSM1が次式によって求められる。
NOUTSM1(i)=NOUT(i-1)+(NOUT(i)−NOUTSM1(i-1))/なまし係数
この一次なまし値NOUTSM1を更にフィルタ処理した値、すなわちなまし値NOUTSM2が次式によって求められる
NOUTSM2(i)=NOUTSM1(i-1)+(NOUTSM1(i)−NOUTSM2(i-1))/なまし係数
さらに、これらのなまし値NOUTSM1,NOUTSM2の偏差(補正量)NOUTSMDEが次式により算出される。
NOUTSMDE(i)=NOUTSM1(i)−NOUTSM2(i)
そして、この補正量NOUTSMDEを上記の一次なまし値NOUTSM1に加算することにより、セカンダリシーブ回転数NOUTの遅れ補正なまし値NOUTHOが算出される。すなわち、
NOUTHO(i)=NOUTSM1(i)+NOUTSMDE(i)
図1に示すステップS002では、セカンダリシーブ回転数NOUTについて上述した遅れ補正なまし処理が実行され、なまし補正回転数NOUTHOが求められる。そのなまし補正回転数NOUTHOを利用して目標変速比RATIOTが算出される(ステップS003)。すなわち、変速比は駆動プーリ2の回転速度と従動プーリ3の回転数との比であるから、目標変速比RATIOTが、上述した目標プライマリシーブ回転数NINTとセカンダリシーブ回転数NOUTのなまし補正回転数NOUTHOとの比として算出される。
図5に示す無段変速機1では、各プーリ2,3に対するベルト4の巻き掛け半径に応じて変速比が設定されるから、目標変速比RATIOTを達成するための可動シーブ6の位置WDXが算出される(ステップS004)。すなわち変速比と可動シーブ6の位置WDXとは、プーリ2の形状に基づいて幾何学的に定まるので、目標変速比RATIOTと可動シーブ6の位置WDXとの関係を予めマップとして用意しておき、そのマップと目標変速比RATIOTとから可動シーブ6の位置WDXが求められる。
前述した目標プライマリシーブ回転数NINTは、最終的に到達するべき回転数として設定されるのではなく、時々刻々の目標値として設定されるから、それに基づく前記目標変速比RATIOTも時々刻々変化する値として算出される。したがって可動シーブ6の位置WDXは時間毎の位置として求められる。したがって次のステップS005では、所定時間の可動シーブ6の移動量DXTが算出される。これは、可動シーブ6の位置WDXの移動平均として求めることができる。
次に、目標変速比RATIOT変化量を達成するための上記の所定時間の可動シーブ6の移動量DXTを実現するのに要する駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7に対する圧油の流量値QINが算出される(ステップS006)。要は、その油圧アクチュエータ7もしくはそのピストンの断面積と可動シーブ6の移動量DXTとの積である。
駆動プーリ2側の油圧室64に対する圧油の給排の制御は、いずれかのソレノイドバルブ4,9をデューティ制御することによっておこなわれるが、そのデューティ比に応じた圧油の流量は、その流入口と流出口との差圧に関係するので、先ず、その差圧(プライマリシーブオイル流入出差圧)SAATUが算出される(ステップS007)。このステップS007での制御の具体例が図2に示されている。
図2において、先ず、推定ライン圧PLMDLが算出される(ステップS101)。ライン圧は、挟圧力を設定する従動プーリ3側の油圧アクチュエータ10における油圧と、その油圧が作用する受圧面積との積に、油圧アクチュエータ10に内蔵されているスプリングの弾性力を加えた力に相当する。また、挟圧力は、無段変速機1で伝達するべきトルクに対応した圧力として設定されるから、変速比と無段変速機1に対する入力トルクとに基づいて求めることができる。結局、これらの関係式あるいはその関係式で得られたマップ値などによって推定ライン圧PLMDLが算出される。
つぎに、実行される変速がダウンシフトか否かが判断される(ステップS102)。このステップS102で肯定的に判断された場合には、従動プーリ3側の推力の変化量に基づいて、変速を実行する駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の圧力すなわち推定プライマリシーブ圧PINMDLが推定される(ステップS103)。その演算式の一例を示すと、
PINMDL={(WOUT−kVALDLS)/TAUDRV−KINCTR×NIN2}/AINMDL
である。ここで、WOUTは、従動プーリ3での定常推力であって、挟圧力に基づいて、あるいは変速比と入力トルクなどとに基づいて求めることができる。また、kVALDLSは、従動プーリ3側の推力の変化量である。さらに、TAUDRVは、推力比であって、所定の変速比において無段変速機1を駆動させるための駆動プーリ2での推力WINと従動プーリ3での推力WOUTとの比であり、変速比および入力トルクに応じて予めマップとして求めておくことができる。またさらに、KINCTRは、遠心力係数であり、NINは駆動プーリ2の回転数であるから、(KINCTR×NIN2)は遠心力に相当する。そして、AINMDLは、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7におけるピストン相当部分の受圧面積である。
したがって上記の式では、変化後の従動プーリ3側の推力と推力比とによって駆動プーリ2側の推力を求め、これから遠心力を減じ、これを面積で除して単位面積あたりの圧力すなわち駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7における油圧を算出(推定)することになる。このように、従動プーリ3側の油圧アクチュエータ10の推力もしくはその変化量を利用して、変速を実行する駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7における圧力を推定しているのは、ダウンシフトの際における駆動プーリ2とベルト4との相対的な挙動が複雑であって一定しないことにより、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7による推力の変化量と変速速度との相関関係が殆ど無く、これに対して従動プーリ3側の油圧アクチュエータ10による推力の変化量と変速速度との相関関係が相対的に明確あるいは安定しているからである。
ダウンシフトは、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7から大気に解放されたドレイン箇所に油圧を排出することにより実行されるから、その油圧アクチュエータ7から圧油を排出する制御の際の差圧SAATUは、その油圧アクチュエータ7の推定圧PINMDLとなる(ステップS104)。
一方、実行するべき変速がアップシフトであることにより、ステップS102で否定的に判断された場合には、変速を実行する駆動プーリ2側の推力の変化量に基づいて、変速を実行する駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の圧力すなわち推定プライマリシーブ圧PINMDLが推定される(ステップS104)。その演算式の一例を示すと、
PINMDL={kVALDLP+WOUT/TAUDRV−KINCTR×NIN2}/AINMDL
である。ここで、kVALDLPは、駆動プーリ2側の推力の変化量である。その他は、上述した式におけるものと同様である。
したがってこの式では、駆動プーリ2側の推力変化量に、従動プーリ3側の推力と推力比とから求めた駆動プーリ2側の推力を加えて、駆動プーリ2側の推力を求め、これから遠心力を減じ、これを面積で除して単位面積あたりの圧力すなわち駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7における油圧を算出(推定)することになる。このように、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7による推力もしくはその変化量を利用して、変速を実行する駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7における圧力を推定しているのは、アップシフトの際における駆動プーリ2とベルト4との相対的な挙動がある程度一定していて、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7による推力の変化量と変速速度との相関関係が相対的に明確あるいは安定しているからである。
アップシフトは、ベルト4の挟圧力に抗して所定の変速比を設定している駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の油圧より高い圧力で圧油を供給することにより実行されるから、その油圧アクチュエータ7に圧油を供給する制御の際の差圧SAATUは、推定ライン圧PLMDLと油圧アクチュエータ7の推定圧PINMDLとの差となる(ステップS106)。
このようにしてダウンシフトを実行するため、あるいはアップシフトを実行するための差圧SAATUが求められ、その差圧SAATUと前記ステップS006で求められた前記流量値QINとのマップに基づいて、いずれかのソレノイドバルブ14,19についてのフィードフォワード制御量に相当するデューティ比が算出される(ステップS008)。
なお、駆動プーリ2の実際の回転数NINを目標回転数NINTに追従および収束させるためのフィードバック制御も併せて実行されるので、その偏差とフィードバックゲインとに基づくいわゆるフィードバックデューティ比(FB項デューティ比)と上記のFF項デューティ比との和として変速デューティ比が算出される(ステップS009)。
上述したように無段変速機1では、一方のプーリ側の油圧アクチュエータに対して圧油を供給し、あるいは圧油を排出して変速を実行するが、その場合、その油圧アクチュエータにおける油圧によって、圧油の供給あるいは排出の速度もしくは量が異なり、目標とする変速を達成するためには、その油圧アクチュエータにおける油圧に応じた圧油の供給もしくは排出をおこなう必要がある。その場合、この発明に係る制御装置では、アップシフトとダウンシフトとで圧力の推定の仕方を異ならせている。具体的には、図2に示すように、ダウンシフトの際には、挟圧力を設定する従動プーリ3側の油圧アクチュエータ10による推力変化量から駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の圧力を求め、これに対してアップシフトの場合には、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7による推力変化量から駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の圧力を求めている。これは、ダウンシフトの場合には、変速速度と従動プーリ3側の油圧アクチュエータ10による推力変化量との相関関係が相対的に明確あるいは安定しており、またアップシフトの場合には、変速速度と駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7による推力変化量との相関関係が相対的に明確あるいは安定していることを利用したものである。
したがってこの発明に係る制御装置によれば、変速応答性が良好になる。より具体的には、ダウンシフトの際の変速応答性が改善される。これをタイムチャートで示すと、図3には、入力回転数を増大させるダウンシフトの例が示されており、アクセル開度などの駆動要求量や車速の変化によって設定するべき入力回転数(変速線)NINCが次第に増大すると、無段変速機1に対する入力回転数の目標値(目標回転数)NINTが変速線に対して、例えば一次遅れで変化するように設定される。このようなダウンシフトの場合、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の圧力を、その駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7による推力変化量から求める比較例(図3の破線)では、フィードフォワード項(FF項:フィードフォワード制御量)に基づくデューティ比が十分な値とならず、その結果、変速デューティ比が不十分となって、前記ソレノイドバルブ19による信号圧が必ずしも十分な圧力とならないので、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の圧力(プライマリシーブ圧:PIN圧)が十分に低下しない。そのため、実駆動プーリ回転数(実プライマリシーブ回転数)が、図3に破線で示すように変化し、ダウンシフトに遅れが生じる。
これに対して、この発明に係る制御装置によれば、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の圧力を、従動プーリ3側の油圧アクチュエータ10による推力変化量から算出もしくは推定するので、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の圧力について、より正確な値が得られ、その結果、フィードフォワード制御によるデューティ比および変速デューティ比が、図3に実線で示すように十分な値となり、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の実際の圧力に対して推定値が正確に追従する。そのため、実駆動プーリ回転数(実プライマリシーブ回転数)が、図3に実線で示すように変化し、ダウンシフトの遅れが改善される。
なお、上述した具体例は、圧油の流量制御によって変速を実行するように構成した装置の例であるが、その発明は、一方のプーリ側の油圧アクチュエータについての圧力を制御することにより、変速を制御するように構成した装置にも適用することができる。この種の無段変速機では、駆動プーリなどの一方のプーリ側に設けられている圧力アクチュエータに調圧バルブを接続しておき、その調圧バルブの調圧レベルすなわち出力圧を、ソレノイドバルブから出力する信号圧によって変化させることによる。この発明は、そのソレノイドバルブについてのフィードフォワード制御量を設定する場合にも適用することができる。
その一例を簡単に示すと、図4のとおりである。ここに示す例では、主として前記駆動プーリ2側の油圧を制御して所定の変速比を設定する。
図4において、先ず、従動プーリ3による軸線方向の荷重すなわち実セカンダリプーリ推力WOUTが算出される(ステップS021)。その推力WOUTは、従動プーリ3側の油圧アクチュエータ10によって発生させられるから、
WOUT=(POUT+PSCH)×AOUT
によって算出される。ここで、POUTは従動プーリ3側の油圧アクチュエータ10における油圧、PSCHはその油圧アクチュエータ10での遠心油圧、AOUTはその油圧アクチュエータ10でのピストンの受圧面積である。
また、従動プーリ3で発生すべき推力すなわち理論セカンダリプーリ推力WOUTSLPが算出される(ステップS022)。前述したように、従動プーリ3側の油圧アクチュエータ10では、入力されたトルクを滑りを生じることなく伝達するのに必要十分な挟圧力を設定するように推力を発生するが、実際の推力は、幾分かの安全率(セーフティファクタSF)を見込んでいるので、ステップS022では、SF=1の推力が算出される。具体的には、
WOUTSLP=TT×cosα/(2×μ×RIN)
によって算出される。ここでTTは、推定入力トルクであり、例えば内燃機関を動力源としている場合にはスロットル開度をパラメータとしたマップに基づいて求めることができる。αは駆動プーリ2におけるベルト4の挟角、μはベルト4と駆動プーリ2との間の摩擦係数、RINは駆動プーリ2におけるベルト4の巻き掛かり半径である。この巻き掛かり半径RINは、変速比により幾何学的に定まる値であるから、変速比のマップとして予め用意しておき、そのマップから読み出すように構成してもよい。
これら従動プーリ3における実推力WOUTと理論推力WOUTSLPとからセーフティファクタSFが求められる(ステップS023)。
SF=WOUT/WOUTSLP
さらに、定常走行時推力比τが算出される(ステップS024)。この定常走行時推力比τは、所定の変速比(駆動プーリ2の回転数NINと従動プーリ3の回転数NOUTとの比)γにおいて無段変速機1を駆動させるための駆動プーリ2での推力WINと従動プーリ3での推力WOUTとの比であり、変速比γおよび入力トルクに応じて予めマップとして求めておくことができる。図6に、変速比γと推力比τとの関係を規定するマップの例を模式的に示してある。なお、セーフティファクタSFをパラメータとして更に加えたマップとしてもよい。ステップS024ではそのマップを使用して推力比τを算出することができる。
ついで、フィードフォワードプライマリプーリ油圧Pinffが算出される(ステップS025)。このステップS025での制御の内容が、前述した図2に示すフローチャートにおけるステップS102、ステップS103、ステップS105であり、ダウンシフトの場合の推定プライマリシーブ圧PINMDLおよびアップシフトの場合の推定プライマリシーブ圧PINMDLが、それぞれフィードフォワードプライマリプーリ油圧Pinffとして算出される。
さらに、変速のための油圧を上記のようにフィードフォワード制御することに加えて、変速時における駆動プーリ2の実際の回転数NINを目標回転数NINTに追従および収束させるためのフィードバック制御を実行するようになっている。一例として、実際の回転数NINと目標変速比から求まる目標入力回転数NINTとの偏差を制御偏差としたPID制御によって、その偏差を収束させるようにフィードバック駆動(プライマリ)プーリ油圧Pinfbが求められる(ステップS026)。そして、前述したフィードフォワード制御による駆動プーリ2の油圧Pinffに、上記のフィードバック制御による駆動プーリ2の油圧Pinfbを加算することにより、変速の際の目標駆動(プライマリ)プーリ油圧Pintが算出される(ステップS027)。
このようにして求められる目標油圧Pintは、変速を達成するためのものであるから、要求されている変速によっては低い圧力として算出される場合がある。そこで、無段変速機1での伝達トルク容量を維持するために、下限ガードが設定される。すなわち、入力トルクと変速比とに対応し、かつ安全率(セーフティファクタ)SFが“1”の駆動プーリ2の油圧を下限ガード値Pingとして求める(ステップS028)。
Ping=TT×cosα/(2×μ×RIN×Ain)−Pinh
この下限ガード値Pingと前記目標駆動プーリ油圧Pintとが比較される。すなわち目標駆動プーリ油圧Pintが下限ガード値Pingより低いか否かが判断される(ステップS029)。目標駆動プーリ油圧Pintが下限ガード値Ping以上であることによりステップS029で否定的に判断された場合には、このルーチンを一旦終了する。すなわち、変速のための駆動プーリ2の油圧として、上記の目標駆動プーリ油圧Pintが採用され、その油圧を設定するための制御が実行される。
これとは反対に目標駆動プーリ油圧Pintが下限ガード値Pingより低いことによりステップS029で肯定的に判断された場合には、駆動プーリ2の油圧として下限ガード値Pingが採用される(ステップS030)。すなわち、駆動プーリ2の油圧が下限ガード値Pingより低くなることが禁止される。上述したように、下限ガード値Pingは、入力トルクを安全率SFが“1”の状態で伝達するのに要する圧力であるから、駆動プーリ2の油圧がこの下限ガード値Pingに設定されることにより、ベルト4とプーリ2,3との間で滑りを生じさせることなくトルクを伝達することができる。
なおこの場合、挟圧力が所定圧力、上昇させられる(ステップS031)。すなわち従動プーリ3側の油圧が所定圧力、高くさせられる。こうすることにより、無段変速機1の伝達トルク容量が増大するので、滑りが確実に防止もしくは回避され、またベルト4に作用する張力が高くなるので、変速応答性が向上する。
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図2に示すステップS103、ステップS105の制御を実行する機能機手段が、この発明の制御量算出手段に相当する。
なお、上記の具体例では、駆動プーリ2側の油圧アクチュエータ7の圧油の量もしくは油圧を変化させて変速を実行するように構成したが、この発明は、従動プーリ側の溝幅を変化させて変速を実行するように構成した無段変速機を対象とする制御装置に適用することもできる。
この発明の制御装置による制御例を説明するためのフローチャートである。 図1のステップS007で実行されるサブルーチンの一例を示すフローチャートである。 図1および図2に示す制御をダウンシフト時に実行した場合の各回転数、各デューティ比、プライマリシーブ圧の変化を模式的に示すタイムチャートである。 圧力制御によって変速を実行する場合にこの発明を適用した例を説明するためのフローチャートである。 この発明で対象とする無段変速機およびその油圧系統を模式的に示す図である。 定常走行時推力比と変速比とセーフティファクタとの三次元マップの一例を示す線図である。
符号の説明
1…無段変速機、 2…駆動プーリ、 3…従動プーリ、 4…ベルト、 7,10…油圧アクチュエータ、 12…アップシフト制御弁、 13…ダウンシフト制御弁、 14,19…ソレノイドバルブ、 24…電子制御装置(ECU)。

Claims (5)

  1. ベルトが巻き掛けられた溝の幅を変化させる油圧アクチュエータを備えた駆動プーリと従動プーリとを有し、一方のプーリの前記溝の幅を前記油圧アクチュエータによって変化させて変速比を制御するとともに、変速時に前記一方のプーリの油圧アクチュエータをフィードフォワード制御とフィードバック制御とによって制御するベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記フィードフォワード制御による制御量を、前記変速比を低下させるアップシフト時には前記一方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と他方のプーリで前記ベルトを挟み付けている定常推力とから求めるとともに、前記変速比を増大させるダウンシフト時には前記他方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と他方のプーリで前記ベルトを挟み付けている定常推力とから求める制御量算出手段を備えていることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  2. ベルトが巻き掛けられた溝の幅を変化させる油圧アクチュエータを備えた駆動プーリと従動プーリとを有し、一方のプーリの前記溝の幅を前記油圧アクチュエータによって変化させて変速比を制御するとともに、変速時に前記一方のプーリの油圧アクチュエータをフィードフォワード制御とフィードバック制御とによって制御するベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記フィードフォワード制御による制御量を、前記変速比を低下させるアップシフト時には前記一方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と各プーリの推力の比率である推力比とから求めるとともに、前記変速比を増大させるダウンシフト時には前記他方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と前記各プーリの推力の比率である推力比とから求める制御量算出手段を備えていることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  3. ベルトが巻き掛けられた溝の幅を変化させる油圧アクチュエータを備えた駆動プーリと従動プーリとを有し、一方のプーリの前記溝の幅を前記油圧アクチュエータによって変化させて変速比を制御するとともに、変速時に前記一方のプーリの油圧アクチュエータをフィードフォワード制御とフィードバック制御とによって制御するベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記フィードフォワード制御による制御量を、前記変速比を低下させるアップシフト時には前記一方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と各プーリの推力の比率である推力比と前記一方のプーリにおける遠心力とに基づいて求めるとともに、前記変速比を増大させるダウンシフト時には前記他方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と前記各プーリの推力の比率である推力比と前記一方のプーリにおける遠心力とに基づいて求める制御量算出手段を備えていることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  4. ベルトが巻き掛けられた溝の幅を変化させる油圧アクチュエータを備えた駆動プーリと従動プーリとを有し、一方のプーリの前記溝の幅を前記油圧アクチュエータによって変化させて変速比を制御するとともに、変速時に前記一方のプーリの油圧アクチュエータをフィードフォワード制御とフィードバック制御とによって制御するベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記フィードフォワード制御による制御量を、前記変速比を低下させるアップシフト時には前記一方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と他方のプーリの推力と前記一方のプーリにおける遠心力とに基づいて求めるとともに、前記変速比を増大させるダウンシフト時には前記他方のプーリにおける前記溝の幅を設定する推力の変化量と前記一方のプーリにおける遠心力とに基づいて求める制御量算出手段を備えていることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  5. 前記一方のプーリの油圧アクチュエータにおける油圧をデューティ制御によって制御するデューティソレノイドバルブを更に備え、
    前記制御量は、前記デューティソレノイドバルブをフィードフォワード制御するための制御量を含む
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載のベルト式無段変速機の制御装置。
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