JP4556499B2 - ベルト式無段変速機の制御装置 - Google Patents

ベルト式無段変速機の制御装置 Download PDF

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Description

この発明は、駆動プーリと従動プーリとに対するベルトの巻き掛け半径を連続的に変化させて変速をおこなう無段変速機に関し、特に変速比とベルト挟圧力とを油圧によって制御するように構成された無段変速機の制御装置に関するものである。
ベルト式の無段変速機は、駆動プーリと従動プーリとのそれぞれを、固定シーブとこれに接近・離隔する可動シーブとによって構成し、これら固定シーブと可動シーブとの間に形成される溝に、ベルトを巻き掛けるとともに、そのベルトを固定シーブと可動シーブとで挟み付けて所定の伝達トルク容量を設定するように構成されている。従来、入力トルクと変速比とに基づいて定まるベルト挟圧力(以下、単に挟圧力と記す)を設定するための油圧を従動プーリに供給し、これに対して変速比は駆動プーリの溝幅を圧油の供給量に応じて変化させて設定する構成の装置が知られている。
例えば特許文献1には、変速時にプライマリプーリに供給する圧油の制御として、目標変速比と実際の変速比との偏差から変速速度に応じた変速圧力を求め、定常時に必要とする油圧にその変速圧力を加減算することにより目標プライマリ油圧を求める変速制御装置が記載されている。また、特許文献2には、変速比の目標値と実際値との偏差に応じて変速速度を求め、その変速速度を達成するように油圧制御のためのデューティ比を算出するように構成した装置が記載されている。
特開平3−181659号公報 特開昭62−227825号公報
上記の特許文献1に記載された発明では、変速比の目標値と実際値との偏差に基づいて圧油の流量を制御しており、また特許文献2に記載された発明では、変速比の偏差に基づいて変速速度およびこれを達成するための油圧制御量を求めており、このようにいずれの発明も変速制御をフィードバック制御によっておこなっている。しかしながら、上記のいずれの発明も変速比に基づくフィードバック制御であるために、変速応答性が必ずしも充分には良好にならない場合や、変速制御にオーバーシュートが生じて変速比の収束性やショックが悪化する可能性があった。
すなわち、ベルト式無段変速機における各シーブは、ベルトを巻き掛ける溝が、固定シーブのテーパ面と可動シーブのテーパ面とによって形成され、またその溝形状は、駆動プーリと従動プーリとで実質的に同一の形状となっている。これらのプーリの溝にベルトを巻き掛け、その溝幅を広狭に変化させることにより、ベルトの巻き掛け半径が変化し、変速が生じるが、その場合、一方のプーリの回転数を一定とすると、溝幅の変化量に対する変速比の変化量は、変速比が大きい場合と小さい場合とでは異なる。例えばベルト式無段変速機を車両に搭載した場合には、従動プーリが駆動輪に連結されるので、走行中の変速の際には従動プーリの回転数を実質的に一定として変速が生じる。
その場合、変速比が小さければ(高速側の変速比であれば)、所定の変速比の変化幅を得るための可動シーブの移動量が、変速比が大きい(低速側の変速比)場合に対して大きくなる。言い換えれば、可動シーブを一定量移動させても、変速比が高速側の場合には、変速比の変化が小さく、低速側の場合には変速比の変化が大きくなる。そのため、変速比に基づいてフィードバック制御をおこなうと、その時点の変速比によっては必要とする制御量が大きくなって実際の制御量が追従せずに応答遅れが生じたり、反対に僅かな制御量で大きく変速比が変化してしまってオーバーシュートが生じたりする可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、プーリに供給する油圧によって変速比をフィードバック制御するにあたり、変速比の目標値に対する追従性や収束性を向上させることのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ベルトが巻き掛けられた溝の幅を油圧によって変化させることのできる駆動プーリと従動プーリとを有し、一方のプーリに供給する油圧によって変速比を制御するとともに、変速時に前記一方のプーリに供給する油圧をフィードフォワード制御とフィードバック制御とによって制御するベルト式無段変速機の制御装置において、前記変速時における前記フィードバック制御として、前記駆動プーリの目標回転数と実際の回転数との偏差に基づきその偏差を収束させる油圧を求める制御を実行するフィードバック制御手段を有し、前記フィードフォワード制御として、前記駆動プーリと従動プーリとのうちの他方のプーリに供給する油圧と変速制御が実行されていない定常走行時における前記ベルトを挟み付ける方向の各プーリの推力の比とから定常走行時必要圧力を求めるとともに、目標変速比の時間的変化に基づいて変速時必要油圧を求める制御を実行する手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、変速比を制御するための前記一方のプーリの油圧が、前記無段変速機の運転状態に基づいて求められる下限圧力より低くならないように制限する下限ガード手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記一方のプーリの油圧が、前記無段変速機の運転状態に基づいて定まる所定油圧以下になった場合に、前記他方のプーリの油圧を増大させる挟圧力増大手段を更に備えていることを特徴とする制御装置である。
請求項1の発明によれば、駆動プーリと従動プーリとのいずれか一方のプーリに供給する油圧によってそのプーリの溝幅すなわち変速比が制御され、変速時にはその油圧がフィードフォワード制御に加えてフィードバック制御によって制御される。その変速時のフィードバック制御が、駆動プーリの目標回転数と実際の回転数との偏差に基づいてその偏差を収束させる油圧を求める制御として実行され、その結果、変速比を圧力制御で実行する場合の制御応答性および収束性を向上させることができる。また、変速のための油圧を、定常走行時に必要とする油圧と目標変速比の時間的変化に基づく油圧とによって求めるので、変速比を圧力制御するにあたって応答性の良好な制御をおこなうことができる。
また、請求項2の発明によれば、駆動プーリの回転数を目標値に追従させるために、その駆動プーリの油圧が高低に変化するとしても、その油圧が予め定めた下限圧力より高い圧力に制限されるので、ベルトとプーリとの間の過剰な滑りを未然に防止することができる。
さらに、請求項3の発明によれば、挟圧力を設定するための他方のプーリの油圧が高くなると、それに応じて変速比を制御するための前記一方のプーリの油圧も高くなるので、変速を実行するために、前記一方のプーリの油圧が低い圧力として算出されたとしても、挟圧力の増大によって当該一方のプーリの油圧も高くなり、その結果、ベルトとプーリとの間の過剰な滑りが未然に防止されるとともに、変速応答性の低下を回避もしくは抑制することができる。
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。まず、この発明を適用できる無段変速機1およびその油圧制御系統について説明する。図6は、ベルト式無段変速機1の基本的な構成を模式的に示しており、駆動プーリ2と従動プーリ3とがそれぞれの中心軸線を互いに平行にして所定の間隔を空けて配置されている。その駆動プーリ2は、ベルト4を巻き掛けるいわゆるV溝の幅を変更できるようになっており、そのために軸線方向に対して固定された固定シーブ(固定プーリ片)5と軸線方向に前後動してその固定シーブ5に対して接近・離隔する可動シーブ(可動プーリ片)6とから構成されている。その可動シーブ6の背面側(固定シーブ5に対して反対側)に、可動シーブ6を前後動させるための油圧アクチュエータ(具体的には油圧シリンダ)7が設けられている。そして、これら固定シーブ5と可動シーブ6との対向面が、テーパ角の一定なテーパ面となっていて、これらのテーパ面によって前記V溝が形成されている。
従動プーリ3は、固定シーブと可動シーブとの位置が上記の駆動プーリ2とは左右反対になっている以外は基本的には駆動プーリ2と同様の構成であって、同一軸線上で互いに対向させた固定シーブ8とその固定シーブ8に対して前後動する可動シーブ9とからなり、これら固定シーブ8と可動シーブ9との対向面(一定角度のテーパ面)の間に形成されるいわゆるV溝の幅を広狭に変化させ、ベルト4の巻き掛け半径を変化させるように構成されている。そして、駆動プーリ2における固定シーブ5の半径方向で外側に従動プーリ3における可動シーブ9が配置され、また駆動プーリ2における可動シーブ6の半径方向で外側に従動プーリ3における固定シーブ8が配置されている。さらに、その可動シーブ9の背面側(固定シーブ8に対して反対側)に、可動シーブ9を前後動させるための油圧アクチュエータ(具体的には油圧シリンダ)10が設けられている。
この無段変速機1は、車両用の変速機として採用することができ、したがって上記の駆動プーリ2が、発進クラッチやトルクコンバータなどを介して、内燃機関や電動機などの動力源(それぞれ図示せず)に連結されている。また、従動プーリ3が、出力軸やデファレンシャルあるいはプロペラシャフトなどを介して駆動輪(それぞれ図示せず)に連結されている。
上記のベルト4は、各プーリ2,3のV溝に挟み込まれる形状の多数の金属片(ブロックと称されることがある)を環状に配列し、それらの金属片をフープと称される金属バンドによって結束して構成されている。したがってその全長はフープによって制限されるから、各プーリ2,3によってベルト4を挟み付けると、V溝の傾斜面(テーパ面)によってベルト4を半径方向で外側に押し出す向きの力が作用し、その結果、ベルト4に張力が加えられるとともに、ベルト4と各プーリ2,3との接触圧力が発生し、その接触圧力と摩擦係数とで決まる摩擦力によってベルト4と各プーリ2,3との間でトルクが伝達される。このようにベルト4を挟み付ける圧力が挟圧力であって、例えば前記従動プーリ3に供給する油圧によって設定される。
これに対していずれか一方のプーリ2,3においてベルト4を挟み付ける圧力が相対的に増大し、あるいは低下すると、ベルト4の張力に抗してベルト4が当該一方のプーリ2,3で半径方向で外側に押し出され、あるいは反対に半径方向で内側に入り込み、同時に他方のプーリ3,2ではベルト4が半径方向で内側に入り込み、あるいは半径方向で外側に押し出される。このような巻き掛け半径の変更が変速の実行であり、これは、例えば駆動プーリ2に供給する油圧によって実行する。
すなわち上記の無段変速機1は、挟圧力制御と変速制御とを、各プーリ2,3に供給する油圧の圧力制御によっておこなうように構成されている。そのための油圧制御系統について簡単に説明すると、駆動プーリ2に供給する油圧を調圧する調圧弁11が設けられている。この調圧弁11は、スプールタイプのバルブであって、スプール(図示せず)をその軸線方向に押圧するスプリング12がスプールの一端部に配置されるとともに、スプリング12による押圧方向と同方向に押圧力を作用させるように信号圧を供給する制御ポート13が設けられ、その制御ポート13に電磁弁14が連通されている。
また、スプールによって開閉される入力ポート15に、油圧系統の全体の元圧であるライン圧PLが供給されており、スプールが軸線方向に移動することによりその入力ポート15を出力ポート16とドレーンポート17とに切り換えて連通させているようになっている。さらに、スプールの軸線方向において前記制御ポート13とは反対側にフィードバックポート18が形成されている。そして、前記出力ポート16の油圧をこのフィードバックポート18にオリフィス19を介して作用させるようになっている。
したがってこの調圧弁11は、スプリング12と制御ポート13に供給された信号圧とによるスプールに対する軸線方向の押圧力と、フィードバックポート18に作用する出力圧によるスプールに対する軸線方向の押圧力とがバランスするように、出力圧を調圧するように構成されている。そして、この出力圧を前記駆動プーリ2に供給するために、前記出力ポート16が前記駆動プーリ2における油圧シリンダ7に連通されている。なお、前記電磁弁14は、制御ポート13に加える信号圧を出力するためのものであって、ライン圧PLもしくはこれを調圧したソレノイドモジュレータ圧を基圧として、デューティ比あるいは電流値に応じた油圧を出力する公知の構成の電磁弁である。また、駆動プーリ2側の油圧シリンダ7における油圧を検出する油圧センサ20が設けられている。
前記従動プーリ3の油圧シリンダ10に供給する油圧を制御して挟圧力を設定するための油圧系統は、上記の駆動プーリ2に供給する油圧を制御する制御系統とほぼ同じ構成であって、信号圧に応じた油圧を出力する調圧弁21が設けられ、その調圧弁21は、前述した調圧弁11と同様に、スプリング22と、制御ポート23とを有し、その制御ポート23に、前記電磁弁14と同様の電磁弁24が連通されている。さらに、調圧弁21は、ライン圧PLが供給される入力ポート25と、出力ポート26と、ドレーンポート27と、出力ポート26にオリフィス29を介して連通されたフィードバックポート28とを備えている。そして、従動プーリ3の油圧シリンダ10における油圧を検出する油圧センサ30が設けられている。そして、上記の各電磁弁14,24に適宜に指令信号を出力して、駆動プーリ2側の油圧および従動プーリ3側の油圧を制御する電子制御装置(ECU)31が設けられている。
上記の駆動プーリ2における油圧シリンダ7の油圧は、所定の変速比を設定するための圧力に制御される。その変速比は、要は、車両の走行状態に応じて予め定められている変速比であり、例えば、動力源に内燃機関を使用している場合には、その燃費が最少となる回転数を設定する変速比に制御し、また、加減速時には、加減速要求を満たす速度で変速を実行するように過渡油圧が制御される。この油圧の制御は、例えばフィードフォワード・フィードバック制御によって実行される。これに対して、従動プーリ3の油圧シリンダ10における油圧は、挟圧力を設定するためのものであり、したがって主として入力トルクに応じて制御される。その制御は基本的には、フィードバック制御である。
図1はこの発明の制御装置で実行される制御例を示すフローチャートであり、主として前記駆動プーリ2側の油圧を制御して所定の変速比を設定するための制御フローチャートである。変速比を油圧の圧力制御で設定する場合、定常時油圧Pincが算出される。図6に示す例では、駆動プーリ(プライマリプーリ)2側の油圧で変速比を制御するので、図1には「定常時プライマリプーリ油圧」と記載してある。
図1において、先ず、従動プーリ3による軸線方向の荷重すなわち実セカンダリプーリ推力WOUTが算出される(ステップS001)。その推力WOUTは、従動プーリ3側の油圧シリンダ10によって発生させられるから、
WOUT=(POUT+PSCH)×AOUT
によって算出される。ここで、POUTは従動プーリ3側の油圧シリンダ10における油圧、PSCHはその油圧シリンダ10での遠心油圧、AOUTはその油圧シリンダ10でのピストンの受圧面積である。
また、従動プーリ3で発生すべき推力すなわち理論セカンダリプーリ推力WOUTSLPが算出される(ステップS002)。前述したように、従動プーリ3側の油圧シリンダ10では、入力されたトルクを滑りを生じることなく伝達するのに必要十分な挟圧力を設定するように推力を発生するが、実際の推力は、幾分かの安全率(セーフティファクタSF)を見込んでいるので、ステップS002では、SF=1の推力が算出される。具体的には、
WOUTSLP=TT×cosα/(2×μ×RIN)
によって算出される。ここでTTは、推定入力トルクであり、例えば内燃機関を動力源としている場合にはスロットル開度をパラメータとしたマップに基づいて求めることができる。αは駆動プーリ2におけるベルト4の挟角、μはベルト4と駆動プーリ2との間の摩擦係数、RINは駆動プーリ2におけるベルト4の巻き掛かり半径である。この巻き掛かり半径RINは、変速比により幾何学的に定まる値であるから、変速比のマップとして予め用意しておき、そのマップから読み出すように構成してもよい。
これら従動プーリ3における実推力WOUTと理論推力WOUTSLPとからセーフティファクタSFが求められる(ステップS003)。
SF=WOUT/WOUTSLP
さらに、定常走行時推力比τが算出される(ステップS004)。この定常走行時推力比τは、所定の変速比(駆動プーリ2の回転数NINと従動プーリ3の回転数NOUTとの比)γにおいて無段変速機1を駆動させるための駆動プーリ2での推力WINと従動プーリ3での推力WOUTとの比であり、変速比γおよび入力トルクに応じて予めマップとして求めておくことができる。図2に、変速比γと推力比τとの関係を規定するマップの例を模式的に示してある。なお、セーフティファクタSFをパラメータとして更に加えたマップとしてもよい。ステップS004ではそのマップを使用して推力比τを算出することができる。
駆動プーリ2における推力WINは、その油圧シリンダ7における油圧Pincと受圧面積Ainとの積である。したがって、定常走行時における駆動プーリ2の油圧(定常時プライマリプーリ油圧)Pincが、
Pinc=WOUT/(τ×Ain)
によって算出される(ステップS005)。
一方、変速をおこなう場合には、駆動プーリ2での推力WINを変化させ、それに伴って駆動プーリ2での溝幅が狭くなる(巻き掛け半径が増大する)とともに従動プーリ3での溝幅が広くなって(巻き掛け半径が小さくなって)アップシフトが生じ、あるいは反対に駆動プーリ2での溝幅が広くなる(巻き掛け半径が減少する)とともに従動プーリ3での溝幅が狭くなって(巻き掛け半径が増大して)ダウンシフトが生じる。そこで、変速による駆動プーリ2側の油圧シリンダ7の油圧(プライマリプーリ油圧)Pinsが算出される。その演算について説明する。
先ず、ベルト4を構成している金属片(ブロック)の1個当たりのプライマリプーリ移動量(駆動プーリ2を構成している可動シーブ6の移動量)DX/DNが算出される(ステップS006)。すなわち、変速速度は、推力変化量によって決まるため、変速速度を、変速比および駆動プーリ回転数に依存しないように、ブロック1個当たりの駆動プーリ移動量として算出する。この移動量DX/DNを求めるために、先ず、現時点における駆動プーリ2の可動シーブ6の位置(以下、駆動プーリ2の位置と略して記載する)WDX(i)を、目標変速比(目標入力回転数NINT(i)と従動プーリ3の回転数NOUT(i)との比)をパラメータとしてマップから算出する。そのマップの例を図3に模式的に示してある。なお、この駆動プーリ2の位置は、変速比γに基づいて幾何学的に求めることができるので、マップによらずに算出することとしてもよい。
また、同様にして、所定時間前の時点における駆動プーリ2の位置WDX(i-1)を、目標変速比(NINT(i-1)/NOUT(i-1))をパラメータとしてマップから算出する。この場合、変速比と駆動プーリ2の位置との幾何学的関係に基づいて求めてもよい。これらの演算値を使用して、所定時間の間における駆動プーリ2の位置の変化量DXを、下記の式で算出する。
DX=WDX(i)−WDX(i-1)
所定時間の間にプーリに巻き掛かるブロックの個数DNは、変速比γをパラメータとしたマップ(図4参照)から算出したプーリの1回転当たりのブロックの数DNPRに所定時間の間における駆動プーリ2の回転数DNINを掛けるとにより算出する。
DN=DNPR×DNIN
である。
こうして求められた所定時間の間における駆動プーリ2の位置の変化量DXを、所定時間の間にプーリに巻き掛かるブロックの個数DNで除算することにより、ベルト4を構成しているブロックの1個当たりの駆動プーリ2の移動量DX/DNが算出される。
DX/DN=DX÷DN
ベルト4を構成しているブロックの1個当たりの駆動プーリ2の移動量DX/DNと駆動プーリ2の推力変化量DWINとには一定の関係があり、これを模式的に示せば図5のとおりとなる。したがってベルト4を構成しているブロックの1個当たりの駆動プーリ2の移動量DX/DNをパラメータとして駆動プーリ2の推力変化量DWINを算出でき、これを前記油圧シリンダ7における受圧面積Ainで除算することにより、変速による駆動プーリ油圧(プライマリプーリ油圧)Pinsが求められる(ステップS007)。
上述した定常走行時における駆動プーリ2の油圧(定常時プライマリプーリ油圧)Pinc、および変速による駆動プーリ油圧(プライマリプーリ油圧)Pinsは、アクセル開度や車速などの走行状態から求められる目標入力回転数(目標駆動プーリ回転数)に基づく油圧であるから、変速時の駆動プーリ2の油圧が、上記の各油圧Pinc,Pinsに基づいてフィードフォワード制御される。すなわち、上記の各油圧Pinc,Pinsを加算し、かつ駆動プーリ2での遠心油圧Pinhを減算することにより、フィードフォワード駆動(プライマリ)プーリ油圧Pinffが算出される(ステップS008)。
Pinff=Pinc+Pins−Pinh
この発明に係る制御装置は、変速のための油圧を上記のようにフィードフォワード制御することに加えて、変速時における駆動プーリ2の実際の回転数NINを目標回転数NINTに追従および収束させるためのフィードバック制御を実行するようになっている。一例として、実際の回転数NINと目標変速比から求まる目標入力回転数NINTとの偏差を制御偏差としたPID制御によって、その偏差を収束させるようにフィードバック駆動(プライマリ)プーリ油圧Pinfbが求められる(ステップS009)。そして、前述したフィードフォワード制御による駆動プーリ2の油圧Pinffに、上記のフィードバック制御による駆動プーリ2の油圧Pinfbを加算することにより、変速の際の目標駆動(プライマリ)プーリ油圧Pintが算出される(ステップS010)。
このようにして求められる目標油圧Pintは、変速を達成するためのものであるから、要求されている変速によっては低い圧力として算出される場合がある。そこで、無段変速機1での伝達トルク容量を維持するために、下限ガードが設定される。すなわち、入力トルクと変速比とに対応し、かつ安全率(セーフティファクタ)SFが“1”の駆動プーリ2の油圧を下限ガード値Pingとして求める(ステップS011)。
Ping=TT×cosα/(2×μ×RIN×Ain)−Pinh
この下限ガード値Pingと前記目標駆動プーリ油圧Pintとが比較される。すなわち目標駆動プーリ油圧Pintが下限ガード値Pingより低いか否かが判断される(ステップS012)。目標駆動プーリ油圧Pintが下限ガード値Ping以上であることによりステップS012で否定的に判断された場合には、このルーチンを一旦終了する。すなわち、変速のための駆動プーリ2の油圧として、上記の目標駆動プーリ油圧Pintが採用され、その油圧を設定するための制御が実行される。例えば図6に示す電磁弁14に所定の制御信号が出力される。
これとは反対に目標駆動プーリ油圧Pintが下限ガード値Pingより低いことによりステップS012で肯定的に判断された場合には、駆動プーリ2の油圧として下限ガード値Pingが採用される(ステップS013)。すなわち、駆動プーリ2の油圧が下限ガード値Pingより低くなることが禁止される。上述したように、下限ガード値Pingは、入力トルクを安全率SFが“1”の状態で伝達するのに要する圧力であるから、駆動プーリ2の油圧がこの下限ガード値Pingに設定されることにより、ベルト4とプーリ2,3との間で滑りを生じさせることなくトルクを伝達することができる。
なおこの場合、挟圧力が所定圧力、上昇させられる(ステップS014)。すなわち従動プーリ3側の油圧が所定圧力、高くさせられる。こうすることにより、無段変速機1の伝達トルク容量が増大するので、滑りが確実に防止もしくは回避され、またベルト4に作用する張力が高くなるので、変速応答性が向上する。
上述した図1に示す制御を実行するこの発明に係る制御装置は、定常走行時に必要とする駆動プーリ2の油圧と変速のために必要とする駆動プーリ2の油圧とをフィードフォワード制御するとともに、変速時における駆動プーリ2の油圧のフィードバック制御を、駆動プーリ2の目標回転数と実回転数との差に基づいてその差を収束させるように実行する。そのため、駆動プーリ2の移動量(駆動プーリ2における可動シーブ6の移動量)と変速比の変化量とが一次関数的な関係になくても、応答遅れやオーバーシュートを生じることなく変速を実行することができる。また、上記のように油圧に下限ガードを施してあるので、変速制御の際における無段変速機1での滑りを確実に防止することでき、さらに、変速のために算出される駆動プーリ2の油圧が所定値より低い場合には、挟圧力を増大させる制御が実行されるので、変速制御の際における無段変速機1での滑りを更に確実に防止することできる同時に、変速応答性を向上させることができる。
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS009の制御を実行する機能機手段が、この発明のフィードバック制御手段に相当し、またステップS005,S007,S008の制御を実行する機能的手段が、この発明のフィードフォワード制御を実行する手段に相当し、さらにステップS011〜S013の制御を実行する機能的手段が、この発明の下限ガード手段に相当し、そして、ステップS014の制御を実行する機能的手段が、この発明の挟圧力増大手段に相当する。
なお、上記の具体例では算出された目標駆動プーリ油圧が下限ガード値より低い場合に挟圧力を増大させるように構成したが、挟圧力を増大させるための判断しきい値は、上記の下限ガード値に限らず、これより高い適宜の圧力値であってもよい。また、この発明で対象とする無段変速機は、変速比制御を圧力制御によって実行するように構成された無段変速機であればよく、その油圧制御系統の構成は、図6に示す構成以外の適宜の構成のものであってよい。
この発明の制御装置による制御例を説明するためのフローチャートである。 変速比と推力比とのマップを模式的に示す図である。 変速比と駆動プーリの位置とのマップの模式図である。 変速比とブロックの個数とのマップの模式図である。 ブロック1個当たりの駆動プーリ移動量と推力変化量とのマップの模式図である。 この発明で対象とする無段変速機およびその油圧系統を模式的に示す図である。
符号の説明
1…無段変速機、 2…駆動プーリ、 3…従動プーリ、 4…ベルト、 11,21…調圧弁、 14,24…電磁弁、 31…電子制御装置。

Claims (3)

  1. ベルトが巻き掛けられた溝の幅を油圧によって変化させることのできる駆動プーリと従動プーリとを有し、一方のプーリに供給する油圧によって変速比を制御するとともに、変速時に前記一方のプーリに供給する油圧をフィードフォワード制御とフィードバック制御とによって制御するベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記変速時における前記フィードバック制御として、前記駆動プーリの目標回転数と実際の回転数との偏差に基づきその偏差を収束させる油圧を求める制御を実行するフィードバック制御手段を有し、
    前記フィードフォワード制御として、前記駆動プーリと従動プーリとのうちの他方のプーリに供給する油圧と変速制御が実行されていない定常走行時における前記ベルトを挟み付ける方向の各プーリの推力の比とから定常走行時必要圧力を求めるとともに、目標変速比の時間的変化に基づいて変速時必要油圧を求める制御を実行する手段を備えていることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  2. 変速比を制御するための前記一方のプーリの油圧が、前記無段変速機の運転状態に基づいて求められる下限圧力より低くならないように制限する下限ガード手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の制御装置。
  3. 前記一方のプーリの油圧が、前記無段変速機の運転状態に基づいて定まる所定油圧以下になった場合に、前記他方のプーリの油圧を増大させる挟圧力増大手段を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機の制御装置。
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