JP3846157B2 - 無段変速機を備えた車両の制御装置 - Google Patents

無段変速機を備えた車両の制御装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、無段変速機を搭載した車両の制御装置に関し、特に無段変速機の変速比の制御と併せて動力源の出力トルクを制御する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の制御装置の一例が、特開平11−78619号公報に記載されている。この公報に記載された装置は、要求されている駆動力で走行する場合に燃費が最小となるエンジン回転数を求め、そのエンジン回転数となるように無段変速機の変速比を制御し、また一方で要求駆動力に応じたトルクを出力するようにエンジンを制御する装置である。すなわちアクセル開度などに基づいて目標駆動力が求められるとともに、その目標駆動力に応じた目標出力が求められる。その目標出力を最小燃費の運転状態で出力する目標エンジン回転数が求められて、その目標エンジン回転数に実際のエンジン回転数が一致するように変速比が制御される。他方、その目標出力を得るための目標トルクが算出され、この目標トルクを出力するようにエンジンが制御される。
【0003】
周知のようにエンジンの出力と回転数およびトルクとは相関関係があり、回転数とトルクとの積が出力であるから、上記の目標トルクを求める場合、目標出力をその時点の実際のエンジン回転数に基づいて求めることが考えられる。しかしながら、実際のエンジン回転数は、車両の走行状態などによって変化する場合があるので、エンジン回転数の変動に伴って目標トルクが変動してしまい、その結果、駆動力が変動して車両の走行が不安定となり、いわゆるギクシャク感が生じて乗り心地やドライバビリティが悪化する可能性がある。このような事態を回避するためには、安定したデータに基づいて目標トルクを求めればよく、上記の公報に記載された発明では、実エンジン回転数に替えて目標エンジン回転数を用いて目標トルクを算出するように構成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
無段変速機を使用することの利点は、上記のように走行中のエンジンを最小燃費の運転状態に設定できることにあり、そのため、基本的には、一方で、目標出力に基づいて燃費が最小となる目標エンジン回転数を求め、他方で、目標出力および実エンジン回転数に基づいて目標トルクおよびそれを実現するエンジン負荷が求められている。しかしながら、これは、飽くまでも燃費を優先した制御となるので、加速要求を必ずしも満足しない場合がある。その一例が、発進時や急加速時などのようにアクセル開度といった出力要求量を急激に増大させた場合である。このような場合、急速なダウンシフトによる駆動力の迅速な増大を図るために、目標エンジン回転数を徐々に増大させる替わりに大きな段差をもって目標エンジン回転数を変化させるいわゆるステップ変速がおこなわれることがある。
【0005】
ところで、ステップ的に変化させられる目標出力回転数は、人為的に設定される値であるから、実出力回転数のような変動がなく、したがってステップ的に変化させる目標出力回転数に基づいて目標出力トルクを算出すれば、上記の公報に記載されているように出力トルクの変動を回避できる。しかしながら、急加速などに応じて目標出力回転数を一時的にステップ的に変化させる場合、その前後では、変速速度をショックが生じない程度に緩やかに変速させるから、過渡的には、目標出力回転数が急激に変化することになる。すなわち、目標出力トルクを算出するために使用するパラメータが過渡的には急激に変化して不安定な状態となるので、結局、それに基づいて算定される目標出力トルクの変化が滑らかにつながらず、出力トルクの変動やそれに起因するドライバビリティの悪化が生じる可能性があった。
【0006】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、目標出力回転数をステップ的に変化させる変速時であってもトルク変動を生じさせずにドライバビリティを良好に維持することのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】
記の目的を達成するために、請求項1の発明は、運転状態に基づき目標駆動力を求める手段と、その目標駆動力を達成するための動力源の目標出力を求める手段と、その目標出力に基づいて目標出力回転数を求める手段と、動力源の実際の出力回転数が目標出力回転数となるように動力源の出力側に連結された無段変速機の変速比を制御する手段と、前記目標駆動力と前記目標出力回転数とに基づいて動力源の目標出力トルクを求める手段と、その目標出力トルクとなるように動力源の出力トルクを制御する手段とを有する無段変速機を備えた車両の制御装置において、アクセル開度の変化量もしくは変化率が大きいことに基づいて、前記目標出力回転数をステップ的に変化させる過渡変速制御を実行すべきことを判断する手段と、前記目標出力回転数をステップ的に変化させるステップ幅を、基本目標出力回転数とその時点の実際の出力回転数とに基づいて算出する手段と、前記過渡変速制御を実行すべきことが判断された場合に、前記過渡変速制御時の前記目標出力トルクを算出するための算出用回転数を前記目標出力回転数から実際の出力回転数に切り替える手段とを備えていることを特徴とする無段変速機を備えた車両の制御装置である。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記基本目標出力回転数は、燃料消費量を最小にするように算出された回転数であり、前記目標出力回転数は、前記基本目標出力回転数に対して一次遅れの回転数であることを特徴とする無段変速機を備えた車両の制御装置である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記基本目標出力回転数と前記目標出力回転数との偏差が予め定めた値まで減少したことによって前記過渡変速制御の終了が判断された場合には、前記算出用回転数を前記目標出力回転数に設定する手段を更に備えていることを特徴とする無段変速機を備えた車両の制御装置である。
【0008】
したがってこの発明の制御装置では、アクセル操作量やスロットル開度要求量などの運転状態に基づいて目標駆動力が求められ、その目標駆動力に基づいて目標出力が求められる。その目標出力に基づいて、目標出力回転数が求められるとともに実際の出力回転数が目標出力回転数に一致するように無段変速機の変速比が制御され、また、前記目標駆動力と目標出力回転数とに基づいて目標出力トルクが求められるとともに、無段変速機の入力側に連結されている動力源の出力トルクが目標出力トルクとなるように制御される。さらに、前記目標出力回転数を大きな段差もしくは変化幅をもって変化させる変速、すなわち目標出力回転数をステップ的に変化させる変速が実行されることがあり、その場合、目標出力トルクを算出するための出力回転数が、目標出力回転数から実際の出力回転数に切り換えられる。すなわち、目標出力トルクが実際の出力回転数を使用して求められる。その結果、算出用回転数が段差のない連続した値となるので、これをもって求められる目標出力トルクおよびそれに基づく実際の出力トルクが滑らかに連続したものとなり、いわゆるギクシャク感が回避されて乗り心地やドライバビリティが良好になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明が対象とする車両の動力伝達系統の一例を説明すると、図4において、動力源1が変速機構2に連結され、その変速機構2の出力軸3がディファレンシャル4を介して左右の駆動輪5に連結されている。ここで、動力源1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関あるいはモータなどの電動機、さらにはこれら内燃機関と電動機とを組み合わせた装置など、車両に使用可能な種々の動力源を含む。以下の説明では、動力源1として、燃料をシリンダの内部に直接噴射し、その噴射量およびタイミングを制御することにより均質燃焼や成層燃焼の可能ないわゆる直噴ガソリンエンジン、あるいはスロットル開度を電気的に自由に制御できる電子スロットルバルブを備えたガソリンエンジンを採用した例を説明する。
【0010】
このエンジン1は電気的に制御できるように構成されており、その制御のためのマイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(E−ECU)6が設けられている。この電子制御装置6は、少なくともエンジン1の出力を制御するように構成されており、その制御のためのデータとして出力軸回転数(エンジン回転数)NE とアクセル開度PAなどの要求駆動量とが入力されている。
【0011】
この要求駆動量は、要は、エンジン1の出力の増大・減少のための信号であり、運転者が操作するアクセルペダルなどの加減速操作装置7の操作量信号やその操作量を電気的に処理して得た信号を採用することができ、またそれ以外に、車速を設定車速に維持するためのクルーズコントロールシステム(図示せず)などからのスロットル開度要求量といった要求駆動量信号を含む。
【0012】
また、変速機構2は、流体伝動機構8と、前後進切換機構9と、無段変速機(CVT)10とから構成されている。その流体伝動機構8は、要は、オイルなどの流体を介して入力側の部材と出力側の部材との間でトルクを伝達するように構成された装置であって、一例として、一般の車両に採用されているトルクコンバータを挙げることができる。また、この流体伝動機構8は、直結クラッチ11を備えている。すなわち直結クラッチ11は、入力側の部材と出力側の部材とを摩擦板などの機械的手段で直接連結するように構成されたクラッチであって、緩衝をおこなうためのコイルスプリングなどの弾性体からなるダンパー12を備えている。なお、車両が停止している状態であってもエンジン1を駆動させ続けるために流体伝動機構8を設けている場合には、車両の状態に基づいて自動的に断続される自動クラッチを、上記の流体伝動機構8に置換して使用することができる。
【0013】
その流体伝動機構8の入力部材がエンジン1の出力部材に連結され、また流体伝動機構8の出力部材が前後進切換機構9の入力部材に連結されている。この前後進切換機構9は、一例としてダブルピニオン型遊星歯車機構によって構成され、特には図示しないが、サンギヤとキャリヤとのいずれか一方を入力要素とし、かつ他方を出力要素とするとともに、リングギヤを選択的に固定するブレーキ手段と、サンギヤおよびキャリヤならびにリンクギヤの3要素のうちのいずれか2つの回転要素を選択的に連結して遊星歯車機構の全体を一体化するクラッチ手段とを備えている。すなわちそのクラッチ手段を係合させることに前進状態を設定し、また前記ブレーキ手段を係合させることにより後進状態を設定するように構成されている。
【0014】
図4に示してある無段変速機10は、その入力側の部材の回転数と出力側の部材の回転数との比率すなわち変速比を無段階に(連続的に)変化させることのできる機構であり、ベルト式無段変速機やトロイダル式無段変速機などを採用することができる。そのベルト式無段変速機10の一例を図5を参照して簡単に説明すると、駆動側プーリー(プライマリープーリー)20と、従動側プーリー(セカンダリープーリー)21と、これらのプーリー20,21に巻き掛けられたベルト22とを備えている。これらのプーリー20,21のそれぞれは、固定シーブ23,24と、その固定シーブ23,24に対して接近・離隔する可動シーブ25,26とからなり、可動シーブ25,26を固定シーブ23,24に対して接近する方向に押圧する油圧アクチュエータ27,28が設けられている。
【0015】
上記の駆動側プーリー20が入力軸29に取り付けられ、その入力軸29と平行に配置された出力軸30に従動側プーリー21が取り付けられている。そして、従動側プーリー21における油圧アクチュエータ28には、アクセル開度PAに代表される出力要求に基づく要求駆動力に応じた油圧が供給され、トルクを伝達するのに必要な張力をベルト22に付与するようになっている。また、駆動側プーリー20の油圧アクチュエータ27には、入力軸29の回転数を目標入力回転数(すなわちエンジン1の目標出力回転数)に一致させるための変速比となるように、油圧が給排されている。
【0016】
すなわち、各プーリー20,21における溝幅(固定シーブ23,24と可動シーブ25,26との間隔)を変化させることにより、各プーリー20,21に対するベルト22の巻き掛け半径が大小に変化して変速が実行されるようになっている。より具体的には、実入力回転数(すなわちエンジン1の実際の出力回転数)と目標入力回転数との偏差に基づいて駆動プーリー20側の油圧をフィードバック制御することにより変速が実行され、したがってその偏差が大きいほど、変速速度が速くなる。
【0017】
図5に示す無段変速機10では、駆動側プーリー20に対するベルト22の巻き掛け半径が最小でかつ従動側プーリー21に対するベルト22の巻き掛け半径が最大の状態で、最低速側の変速比(最大変速比)γmax が設定され、また、これとは反対に駆動側プーリー20に対するベルト22の巻き掛け半径が最大でかつ従動側プーリー21に対するベルト22の巻き掛け半径が最小の状態で、最高速側の変速比(最小変速比)γmin が設定される。
【0018】
上記の変速機構2における直結クラッチ11の係合・解放ならびに滑りを伴う半係合の各状態の制御および前後進切換機構9での前後進の切り換えならびに無段変速機10での変速比の制御は、基本的には、車両の走行状態に基づいて制御されるようになっている。その制御のためにマイクロコンピュータを主体として構成された電子制御装置(T−ECU)13が設けられている。
【0019】
この電子制御装置13は、前述したエンジン用の電子制御装置6とデータ通信可能に連結される一方、制御のためのデータとして車速SPDや変速機構2の出力回転数No 、入力回転数NINなどのデータが入力されている。また、変速機構2を停止状態(パーキングポジション:P)、後進状態(リバースポジション:R)、中立状態(ニュートラルポジション:N)、車両の走行状態に応じて変速比を自動的に設定して通常の走行をおこなう自動前進状態(ドライブポジション:D)、エンジン1のポンピングロスを制動力とする状態(ブレーキポジション:B)ならびに所定値以上の高速側の変速比の設定を禁止する状態(SDポジション)の各状態(ポジション)を選択するシフト装置14が設けられており、このシフト装置14が電子制御装置13に電気的に連結されている。
【0020】
上述した車両を対象とするこの発明に係る制御装置は、アクセル開度などの要求駆動量の変化幅あるいは変化率が比較的小さい定常的な走行状態では、その要求駆動量に基づく目標出力を使用してエンジン1の目標出力回転数あるいは無段変速機10の目標入力回転数を求める一方、その目標出力と目標出力回転数もしくは無段変速機10の目標入力回転数とに基づいてエンジン1の目標出力トルクを求めるように構成されている。また、アクセル開度などの要求駆動量の変化幅もしくは変化率が大きい場合には、変速を迅速に生じさせるために目標入力回転数もしくは目標出力回転数をステップ的に変化させ、それに伴って目標出力トルクを、定常的な走行状態の場合とは異なる方式で求めるように構成されている。
【0021】
これを具体的に説明すると、図1は、この発明に係る制御装置で実行される制御例を機能別に示すブロック図であり、目標駆動力算出部B1では、車両の運転状態、すなわち、アクセル開度PAなどの要求駆動量と車速SPDもしくは車速SPDに相当する検出値(車速相当量)とに基づいて目標駆動力Fが求められる。そして、目標出力算出部B2では、、その目標駆動量Fと車速SPDとに基づいてエンジン1の目標出力Pが求められる。ここで、目標駆動力Fは、例えば、アクセル開度PAと車速SPDとをパラメータとしたマップに基づいて求めることができ、また目標出力Pは、その目標駆動力Fと車速SPDとに基づいて、すなわちこれらの積として求めることができる。
【0022】
無段変速機10の変速比を制御するために、目標出力回転数算出部B3では、上記の目標出力Pに基づいてエンジン1の目標エンジン回転数もしくは無段変速機10の目標入力回転数NINT が求められ、その目標回転数を達成するための無段変速機10の制御量が求められる。ガソリンエンジンなどの内燃機関では、各出力毎の燃費が最小となるエンジン回転数が決まるので、各出力に応じた最適燃費となるエンジン回転数をマップとして求めておき、上記の目標出力Pに応じたエンジン回転数をそのマップから求める。
【0023】
そのマップは、出力からエンジン回転数を求めるように設定することができるが、エンジン1と無段変速機10の入力軸回転数との間に機構上定まる関係があるので、出力と無段変速機10の入力軸回転数との関係、すなわち目標出力Pと目標入力回転数NINT との関係を定めるマップとして設定することもできる。したがって目標出力Pに基づいて、エンジン1の目標エンジン回転数と無段変速機10の目標入力回転数NINT とのいずれをも求めることができる。
【0024】
図1においては、目標入力回転数NINTと無段変速機10の入力回転数とに基づいて、実際の入力回転数が目標入力回転数N INT なるよう無段変速機10で設定すべき変速比を制御するための無段変速機10の制御量が求められる。具体的には、ベルト式の無段変速機の場合、可動プーリーに対して供給する油圧が求められる。そして、その制御量に基づく制御指令信号が無段変速機10に出力される。
【0025】
これに対してエンジン1を制御するために、目標出力トルク算出部B4では、上記の目標出力Pに基づいてエンジン1で出力するべき目標出力トルクTETが求められ、またその目標出力トルクTETを出力するためのエンジン制御量が求められる。エンジン1の出力は、トルクと回転数との積で表されるから、目標出力トルクTETは、上記の目標出力Pを、目標出力トルク算出用の回転数NINPCT で割り算することにより求められる。なお、図1においてKは係数であって、無段変速機10の目標入力回転数NINT もしくは実入力回転数NINを用いて目標出力トルクTETを演算することに伴う値をエンジントルクに置き換えるためのものである。
【0026】
エンジン1が出力するトルクは、吸入空気量および燃料の量に基づいて定まるから、目標出力トルクTETに基づいて、エンジン1の制御量として、吸入空気量および/または燃料量が求められる。そして、その制御量に基づく制御指令信号が、エンジン1に出力される。
【0027】
その目標出力トルクTETを算出するために目標出力トルク算出用回転数NINPCT が使用されており、その算出用回転数NINPCTとして目標入力回転数NINT と実際の入力回転数NINとが、算出用回転数切替部B5によって切り替えて設定されるようになっている。具体的には、通常の変速の場合には、目標入力回転数NINT が算出用回転数NINPCTとして採用され、これに対して要求駆動量の変化量もしくは変化率が大きいことにより目標入力回転数NINTをステップ的に変化させて変速速度を速くする過渡変速がおこなう場合には、実入力回転数NINが算出用回転数NINPCTとして採用される。
【0028】
ここで、通常の変速とは、前述した目標出力を最小燃費で出力できる回転数を基本目標入力回転数N INC して求め、その目標入力回転数N INC 対して一次遅れの目標入力回転数N INT 算出し、実際の入力回転数N IN その一次遅れの目標入力回転数N INT 一致するように変速比を制御する変速である。また、過渡変速とは、アクセル開度の変化量もしくは変化率が予め定めた基準値を超えていることにより、目標入力回転数N INT ステップ的に変化させる制御を含む変速であり、その一例を図2に示してある。
【0029】
アクセル開度の変化量もしくは変化率が大きいことにより過渡変速の変速判定が成立すると(図2のt0 時点)、そのアクセル開度や車速などの車両の運転状態に基づいて基本目標入力回転数NINC が算出される。同時に、その基本目標入力回転数NINC とその時点の実際の入力回転数NIN との偏差に基づいて目標入力回転数NINTのステップ幅(変化幅)が算出され、そのステップ幅をその時点の入力回転数NIN に加算した回転数が目標入力回転数NINT として設定される。また、過渡変速フラグXTRNSFTおよびステップ変速フラグXSTEPのそれぞれが“1”にセットされる。
【0030】
前記無段変速機10の変速比は、目標入力回転数N INT 実入力回転数N IN の偏差に基づいてフィードバック制御(PI制御)されており、したがって目標入力回転数NINT が上記のようにステップ的に変化させられると、回転数偏差が大きくなることにより急速な変速が生じ、実入力回転数NIN が図2に細い実線で示すように変化する。すなわち実入力回転数NIN は、制御油圧の応答遅れや慣性力などの影響で二次曲線的に変化する。
【0031】
実入力回転数NIN が次第に増大して目標入力回転数NINT に近づき、その偏差が予め定めた値になると、ステップ制御の終了が判断される(t1 時点)。それに伴って目標入力回転数NINT を一定割合(一定勾配)で増大させる変速速度固定制御が開始される。これと同時にステップ変速フラグXSTEPがゼロリセットされ、また変速速度固定フラグXKOTEI が“1”にセットされる。したがってこの変速速度固定制御では、実入力回転数NIN が目標入力回転数NINT の変化に合わせてゆっくり増大する。このような目標入力回転数NINT の変化傾向の変更の際においても実入力回転数NIN はわずかな遅れを伴って二次曲線的に変化する。
【0032】
そして、一定値ずつ増大させた目標入力回転数NINT と基本目標入力回転数NINC との偏差が予め定めた値にまで減少したt2 時点に過渡変速の終了が判断され、過渡変速フラグXTRNSFTおよび変速速度固定フラグXKOTEI が共にゼロリセットされる。これ以降は、通常制御が実行され、基本目標入力回転数NINC に対して一次遅れの目標入力回転数NINT が設定され、実入力回転数NINがその目標入力回転数NINT に一致するよう無段変速機10の変速比が制御される。したがって変速速度固定制御およびそれに続く通常の変速制御では、目標入力回転数NINT がほぼ直線的に変化し、それに追従して実入力回転数NIN が変化する。したがって、実入力回転数NINは、過渡変速制御の全体を通して滑らかに変化する。
【0033】
この発明に係る制御装置では、上述した通常変速とステップ制御を含む過渡変速とで、目標出力トルクTETを算出するための目標出力トルク算出用回転数NINPCT を、目標入力回転数NINT と実入力回転数NINとに前記算出用回転数切替部B5において切り替える。図3はその切替制御のためのフローチャートであって、先ず、実行される変速が過渡変速か否かが判断される(ステップS1)。これは、例えば前記過渡変速フラグXTRNSFTが“1”にセットされているか否かによって判断することができる。このステップS1で肯定的に判断された場合には、目標出力トルク算出用回転数NINPCT として実入力回転数NINが設定され(ステップS2)、これとは反対にステップS1で否定的に判断された場合には、目標出力トルク算出用回転数NINPCT として目標入力回転数NINT が設定される(ステップS3)。
【0034】
したがって目標入力回転数NINT をステップ的に変化させる過渡変速制御の場合、目標出力トルクTETを算出するために使用される実入力回転数NINが、目標入力回転数NINT とは異なり滑らかに変化する値であるから、算出される目標出力トルクTETおよびそれに基づいて制御されるエンジン1の出力トルクが滑らかに連続して変化する(滑らかにつながった)トルクとなる。このようなトルクの変化の状態は、過渡変速を開始する際および終了する際において通常制御と切り替わる場合にも同様に生じ、トルクの変動が防止もしくは抑制される。
【0035】
なお、目標出力トルク算出用回転数NINPCT として実入力回転数NINを採用するのは、目標入力回転数NINT がステップ的に変化することに伴う目標出力トルクの変動を防止するためであるから、過渡変速の全体に亘って実入力回転数NINに基づいて目標出力トルクTETを算出する替わりに、ステップ制御の際にのみ実入力回転数NINに基づいて目標出力トルクTETを算出するようにしてもよい。この発明に係る制御装置はこのような構成も含む。すなわち、図3に示すステップS1の判断プロセスを、ステップ制御中か否かの判断プロセスに変更してもよい。
【0036】
したがって図3に示す制御を実行する図1に示す算出用回転数切替部B5の機能的手段が、この発明における「前記目標出力トルクを算出するための算出用回転数として前記目標出力回転数から実際の出力回転数に切り替える手段」に相当する。また、図1に示す目標駆動力算出部B1の機能的手段がこの発明の「運転状態に基づき目標駆動力を求める手段」に相当し、図1に示す目標出力算出部B2の機能的手段がこの発明の「目標出力を求める手段」に相当し、目標出力回転数算出部B3の機能的手段がこの発明の「目標出力回転数を求める手段」および「無段変速機の変速比を制御する手段」に相当し、目標出力トルク算出部B4の機能的手段がこの発明の「目標出力トルクを求める手段」および「動力源の出力トルクを制御する手段」に相当する。
【0037】
なお、上記の具体例では、ベルト式の無段変速機を備えた車両を対象とする制御装置について説明したが、この発明は上記の具体例に限らず、トロイダル式などの他の形式の無段変速機を備えた車両を対象とする制御装置に適用することができ、また目標入力回転数をステップ的に変化させる制御は、アクセル開度が大きく変化することに伴う変速制御以外の制御であってもよい。さらに、請求項1では「出力回転数」と記し、上記の具体例では「入力回転数」と記してあるが、これらは無段変速機の変速制御技術の点では、実質上、同義であり、したがって請求項の発明と上記の具体例で説明した発明とは相互に一致している。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、無段変速機に入力される目標出力回転数に基づいて動力源の目標出力トルクを算出する制御を基本的な制御とするものの、目標出力回転数がステップ的に変化させられる場合には、無段変速機に実際に入力される実出力回転数に基づいて目標出力トルクを求めるので、実出力回転数が滑らかに変化することにより、算出される目標出力トルクが変速中および変速の前後に亘って全体的に滑らかに連続した変化を示し、その結果、動力源で出力されるトルクの変化が滑らかになるので、いわゆるギクシャク感が回避されて乗り心地やドライバビリティを良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の制御装置で実行される制御例を説明するための機能別ブロック図である。
【図2】 目標入力回転数をステップ的に変化させるステップ制御を含む過渡変速制御を説明するためのタイムチャートである。
【図3】 図1に示す算出用回転数切替部で実行される制御例を示すフローチャートである。
【図4】 この発明で対象とする車両の駆動系統およびその制御系統を模式的に示すブロック図である。
【図5】 その無段変速機の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…変速機構、 6…電子制御装置、 7…加減速操作装置、 10…無段変速機、 13…電子制御装置、 14…シフト装置、 B1…目標駆動力算出部、 B2…目標出力算出部、 B3…目標出力回転数算出部、B4…目標出力トルク算出部、 B5…算出用回転数切替部。

Claims (3)

  1. 運転状態に基づき目標駆動力を求める手段と、その目標駆動力を達成するための動力源の目標出力を求める手段と、その目標出力に基づいて目標出力回転数を求める手段と、動力源の実際の出力回転数が目標出力回転数となるように動力源の出力側に連結された無段変速機の変速比を制御する手段と、前記目標駆動力と前記目標出力回転数とに基づいて動力源の目標出力トルクを求める手段と、その目標出力トルクとなるように動力源の出力トルクを制御する手段とを有する無段変速機を備えた車両の制御装置において
    アクセル開度の変化量もしくは変化率が大きいことに基づいて、前記目標出力回転数をステップ的に変化させる過渡変速制御を実行すべきことを判断する手段と、
    前記目標出力回転数をステップ的に変化させるステップ幅を、基本目標出力回転数とその時点の実際の出力回転数とに基づいて算出する手段と、
    前記過渡変速制御を実行すべきことが判断された場合に、前記過渡変速制御時の前記目標出力トルクを算出するための算出用回転数を前記目標出力回転数から実際の出力回転数に切り替える手段と
    備えていることを特徴とする無段変速機を備えた車両の制御装置。
  2. 前記基本目標出力回転数は、燃料消費量を最小にするように算出された回転数であり、前記目標出力回転数は、前記基本目標出力回転数に対して一次遅れの回転数であることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機を備えた車両の制御装置。
  3. 前記基本目標出力回転数と前記目標出力回転数との偏差が予め定めた値まで減少したことによって前記過渡変速制御の終了が判断された場合には、前記算出用回転数を前記目標出力回転数に設定する手段を更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の無段変速機を備えた車両の制御装置。
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