JP2006307059A - ポリビニルアルコール系フィルムおよびそれを用いた偏光フィルム、偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】ディスプレイの高輝度化、高精細化に対応した、光学ムラのない優れた光学特性を有するポリビニルアルコール系フィルム、およびそれを用いた偏光フィルム、偏光板を提供する。
【解決手段】
ポリビニルアルコール系樹脂に、水溶性のフッ素系界面活性剤を含有してなることにより、ポリビニルアルコール系フィルムを製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光サングラスや液晶表示装置などに用いられる偏光フィルムの原反として、あるいは衣類や食品などの包装に用いられる包装材料として有用なポリビニルアルコール系フィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、光学ムラがなく均質で、光学的色ムラのない偏光フィルムを得るための原反フィルムとして有用なポリビニルアルコール系フィルムに関する。
従来、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を水などの溶媒に溶解して原液を調製した後、溶液流延法(キャスティング法)により製膜して、金属加熱ロールなどを使用して乾燥することにより製造される。このようにして得られたポリビニルアルコール系フィルムは、透明性に優れたフィルムとして多くの用途に利用されており、その有用な用途の一つに偏光フィルムが挙げられる。かかる偏光フィルムは上記ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸し、染色したフィルムであり、液晶ディスプレイの基本構成要素として用いられており、近年では高品位で高信頼性の要求される機器へとその使用が拡大されている。
近年、ディスプレイの大面積化、高精細化に伴い、光学的に均質な偏光フィルム、ならびに光学ムラのないポリビニルアルコール系フィルムが求められている。光学ムラとしては、ポリビニルアルコール系フィルムの、複屈折ムラ、フィルムの透明性ムラ、表面粗さの分布に伴う光散乱ムラ、偏光フィルムとしたときの染色ムラなどが挙げられ、目視で確認される光学ムラの形態は、すじ状のもの、円形状のものなど様々である。かかる対応策として、多くの提案がなされており、例えば、キャスティング用基材上からフィルムを剥離するときのフィルムの含水率を10重量%未満に設定して複屈折率ムラの少ないポリビニルアルコール系フィルムを製造する方法(例えば、特許文献1参照。)や、アニオン性またはノニオン性界面活性剤を含有する製膜原料を用いて厚みムラの少ないポリビニルアルコールフィルムを製造する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
しかし、これらの開示技術をもってしても、光学ムラの完全な解消には至らず、近年の大面積化、高精細化を鑑みると、さらなる改良が望まれている。
特開平6−138319号公報 特開2002−79531号公報
本発明は、ディスプレイの高輝度化、高精細化に対応した、光学ムラのない優れた光学特性を有するポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂に、水溶性のフッ素系界面活性剤を含有してなるポリビニルアルコール系フィルムに関する。
フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基を含有するアニオン性の界面活性剤であることが好ましい。
フッ素化アルキル基は、縮合度10〜400のポリパーフルオロエチレンオキサイド基を含むことが好ましい。
さらに、本発明では、重量平均分子量120000〜300000のポリビニルアルコール系樹脂を用いことが好ましく、また、フィルムの厚みが30〜70μmであることが好ましく、フィルムの幅が3m以上であることが好ましく、フィルムの長さが4000m以上であることが好ましい。
また、本発明は、偏光フィルムの原反フィルムを得るために用いるポリビニルアルコール系フィルムに関する。
さらに、本発明は、前記ポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光フィルム、さらには偏光板に関する。
本発明によれば、フィルムを製膜する際に剥離剤として水溶性のフッ素系界面活性剤を用いることにより、光学ムラの原因となっていた界面活性剤の製膜ドラムへの付着および焼き付きを抑制し、フィルムの剥離を容易にすることができる。したがって、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、光学ムラがなく均質であり、光学的色ムラのない偏光フィルムを得るための原反フィルムとして好ましく用いることができる。
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂に、水溶性のフッ素系界面活性剤を含有してなるポリビニルアルコール系フィルムに関する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜して得られるものである。ポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して得られる樹脂が用いられるが、本発明の製造方法では、必ずしもこれに限定されるものではなく、酢酸ビニル以外に、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリルなどを含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテンなど)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩など、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有するものであってもよい。
また、ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることも好ましく、かかる側鎖に1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化および脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化および脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは120000〜300000、より好ましくは130000〜260000、さらに好ましくは135000〜200000であり、偏光フィルムの偏光度向上の点で特に好ましくは140000〜180000である。重量平均分子量が120000未満では、ポリビニルアルコール系樹脂を光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られず、300000をこえると、ポリビニルアルコール系フィルムを偏光フィルムとする場合に延伸が困難となり、工業的な生産が難しく好ましくない。尚、ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−LALLS法により測定される重量平均分子量である。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、97モル%以上であることが好ましく、より好ましくは98〜100モル%、さらに好ましくは99〜100モル%である。かかるケン化度が97モル%未満では光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られず好ましくない。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法においては、ポリビニルアルコール系樹脂に、必要に応じて、グリセリンなどの一般的に使用される可塑剤が、ポリビニルアルコール系樹脂に対して30重量%以下、好ましくは3〜25重量%、さらに好ましくは5〜20重量%配合される。これらの可塑剤が30重量%を超えるとフィルム強度が劣り好ましくない。
ポリビニルアルコール系フィルムを製造する際には、キャストドラムからフィルムを剥離するために、ポリビニルアルコール系樹脂に、各種の界面活性剤が添加される。本発明のポリビニルアルコール系フィルムにおいては、このような界面活性剤として、水溶性のフッ素系界面活性剤を用いて製膜してなることを最大の特徴とする。
水溶性のフッ素系界面活性剤としては、
一般式 RfOH で表わされるフルオロアルキルアルコール、
一般式 RfCOOM で表わされるフルオロアルキルカルボン酸塩、
一般式 RfOSO3M で表わされるフルオロアルキル硫酸エステル塩、
一般式 RfSO3M で表わされるフルオロアルキルスルホン酸塩、
一般式 RfOPO3M で表わされるフルオロアルキルリン酸エステル塩、
一般式 RfPO3M で表わされるフルオロアルキルホスホン酸塩、
一般式 RfPO2M で表わされるフルオロアルキル亜ホスホン酸塩、および
一般式 RfxNH4-xM で表わされるフルオロアルキルアンモニウム塩
などが挙げられる。
これらの一般式中、Rfはフッ素原子を含む炭素数1〜50のアルキル基を表わす。Rfは、エーテル結合を含むものであっても含まないものであってもよい。Mは少なくとも1以上のカウンターカチオンまたはカウンターアニオンを表わす。また、xは1〜4である。
これらの界面活性剤において、フルオロアルキルアルコールは中性の界面活性剤であり、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキル硫酸エステル塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルリン酸エステル塩、フルオロアルキルホスホン酸塩およびフルオロアルキル亜ホスホン酸塩はアニオン性の界面活性剤であり、フルオロアルキルアンモニウム塩はカチオン性の界面活性剤である。
また、カウンターカチオンとしては、特に限定されないが、Na+、Ca2+、NH4 +、またはこれらの混合物が挙げられる。これらの中では、Na+が好ましい。カウンターアニオンも、特に限定されないが、Cl-などが挙げられる。
フルオロアルキルアルコールとしては、具体的には、モノフルオロメチルエチルアルコール、トリフルオロメチルエチルアルコール、トリフルオロメチルプロピルアルコール、トリフルオロメチルブチルアルコール、部分フッ素化高級アルコールなどの部分フッ素化アルキルアルコール;トリフルオロメチルアルコール、ペンタフルオロエチルアルコール、ヘプタフルオロプロピルアルコール、ペンタデカフルオロヘプチルアルコール、ヘプタデカフルオロオクチルアルコール、ノナデカフルオロノニルアルコールなどのパーフルオロアルキルアルコール;トリフルオロメチルオキシエチルアルコール、トリフルオロメチルオキシプロピルアルコール、トリフルオロメチル(ポリオキシエチレン)アルコール、ペンタフルオロエチル(ポリオキシエチレン)アルコール、トリフルオロメチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)アルコール、ペンタフルオロエチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)アルコールなどの一般式 Rf(ORf’)nOHで表わされるエーテル結合を含むフルオロアルキルアルコールが挙げられる。ここで、Rf’はフッ素原子を含むアルキレン基を、nは縮合度を表わす。
フルオロアルキルカルボン酸塩としては、具体的には、モノフルオロメチルエチルカルボン酸塩、トリフルオロメチルエチルカルボン酸塩、トリフルオロメチルプロピルカルボン酸塩、トリフルオロメチルブチルカルボン酸塩、部分フッ素化高級脂肪酸塩などの部分フッ素化アルキルカルボン酸塩;トリフルオロメチルカルボン酸塩、ペンタフルオロエチルカルボン酸塩、ヘプタフルオロプロピルカルボン酸塩、ペンタデカフルオロヘプチルカルボン酸塩、ヘプタデカフルオロオクチルカルボン酸塩、ノナデカフルオロノニルカルボン酸塩などのパーフルオロアルキルカルボン酸塩;トリフルオロメチルオキシエチルカルボン酸塩、トリフルオロメチルオキシプロピルカルボン酸塩、トリフルオロメチル(ポリオキシエチレン)カルボン酸塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシエチレン)カルボン酸塩、トリフルオロメチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)カルボン酸塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)カルボン酸塩などの一般式 Rf(ORf’)nCOOMで表わされるエーテル結合を含むフルオロアルキルカルボン酸塩が挙げられる。
フルオロアルキル硫酸エステル塩としては、具体的には、モノフルオロメチルエチル硫酸エステル塩、トリフルオロメチルエチル硫酸エステル塩、トリフルオロメチルプロピル硫酸エステル塩、トリフルオロメチルブチル硫酸エステル塩、部分フッ素化高級アルキル硫酸エステル塩などの部分フッ素化アルキルカルボン酸塩;トリフルオロメチル硫酸エステル塩、ペンタフルオロエチル硫酸エステル塩、ヘプタフルオロプロピル硫酸エステル塩、ペンタデカフルオロヘプチル硫酸エステル塩、ヘプタデカフルオロオクチル硫酸エステル塩、ノナデカフルオロノニル硫酸エステル塩などのパーフルオロアルキル硫酸エステル塩;トリフルオロメチルオキシエチル硫酸エステル塩、トリフルオロメチルオキシプロピル硫酸エステル塩、トリフルオロメチル(ポリオキシエチレン)硫酸エステル塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシエチレン)硫酸エステル塩、トリフルオロメチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)硫酸エステル塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)硫酸エステル塩などの一般式 Rf(ORf’)nOSO3Mで表わされるエーテル結合を含むフルオロアルキルカルボン酸塩が挙げられる。
フルオロアルキルスルホン酸塩としては、具体的には、モノフルオロメチルエチルスルホン酸塩、トリフルオロメチルエチルスルホン酸塩、トリフルオロメチルプロピルスルホン酸塩、トリフルオロメチルブチルスルホン酸塩、部分フッ素化高級アルキル塩などの部分フッ素化アルキルスルホン酸塩;トリフルオロメチルスルホン酸塩、ペンタフルオロエチルスルホン酸塩、ヘプタフルオロプロピルスルホン酸塩、ペンタデカフルオロヘプチルスルホン酸塩、ヘプタデカフルオロオクチルスルホン酸塩、ノナデカフルオロノニルスルホン酸塩などのパーフルオロアルキルスルホン酸塩;トリフルオロメチルオキシエチルスルホン酸塩、トリフルオロメチルオキシプロピルスルホン酸塩、トリフルオロメチル(ポリオキシエチレン)スルホン酸塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシエチレン)スルホン酸塩、トリフルオロメチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)スルホン酸塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)スルホン酸塩などの一般式 Rf(ORf’)nSO3Mで表わされるエーテル結合を含むフルオロアルキルスルホン酸塩が挙げられる。
フルオロアルキルリン酸エステル塩としては、具体的には、モノフルオロメチルエチルリン酸エステル塩、トリフルオロメチルエチルリン酸エステル塩、トリフルオロメチルプロピルリン酸エステル塩、トリフルオロメチルブチルリン酸エステル塩、部分フッ素化高級アルキルリン酸エステル塩などの部分フッ素化アルキルリン酸エステル塩;トリフルオロメチルリン酸エステル塩、ペンタフルオロエチルリン酸エステル塩、ヘプタフルオロプロピルリン酸エステル塩、ペンタデカフルオロヘプチルリン酸エステル塩、ヘプタデカフルオロオクチルリン酸エステル塩、ノナデカフルオロノニルリン酸エステル塩などのパーフルオロアルキルリン酸エステル塩;トリフルオロメチルオキシエチルリン酸エステル塩、トリフルオロメチルオキシプロピルリン酸エステル塩、トリフルオロメチル(ポリオキシエチレン)リン酸エステル塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシエチレン)リン酸エステル塩、トリフルオロメチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)リン酸エステル塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)リン酸エステル塩などの一般式 Rf(ORf’)nOPO3Mで表わされるエーテル結合を含むフルオロアルキルリン酸エステル塩が挙げられる。
フルオロアルキルホスホン酸塩としては、具体的には、モノフルオロメチルエチルホスホン酸塩、トリフルオロメチルエチルホスホン酸塩、トリフルオロメチルプロピルホスホン酸塩、トリフルオロメチルブチルホスホン酸塩、部分フッ素化高級アルキル塩などの部分フッ素化アルキルホスホン酸塩;トリフルオロメチルホスホン酸塩、ペンタフルオロエチルホスホン酸塩、ヘプタフルオロプロピルホスホン酸塩、ペンタデカフルオロヘプチルホスホン酸塩、ヘプタデカフルオロオクチルホスホン酸塩、ノナデカフルオロノニル塩などのパーフルオロアルキルホスホン酸塩;トリフルオロメチルオキシエチルホスホン酸塩、トリフルオロメチルオキシプロピルホスホン酸塩、トリフルオロメチル(ポリオキシエチレン)ホスホン酸塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシエチレン)ホスホン酸塩、トリフルオロメチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)ホスホン酸塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)ホスホン酸塩などの一般式 Rf(ORf’)nOPO3Mで表わされるエーテル結合を含むフルオロアルキルホスホン酸塩が挙げられる。
フルオロアルキル亜ホスホン酸塩としては、具体的には、モノフルオロメチルエチル亜ホスホン酸塩、トリフルオロメチルエチル亜ホスホン酸塩、トリフルオロメチルプロピル亜ホスホン酸塩、トリフルオロメチルブチル亜ホスホン酸塩、部分フッ素化高級アルキル亜ホスホン酸塩などの部分フッ素化アルキル亜ホスホン酸塩:トリフルオロメチル亜ホスホン酸塩、ペンタフルオロエチル亜ホスホン酸塩、ヘプタフルオロプロピル亜ホスホン酸塩、ペンタデカフルオロヘプチル亜ホスホン酸塩、ヘプタデカフルオロオクチル亜ホスホン酸塩、ノナデカフルオロノニル塩などのパーフルオロアルキル亜ホスホン酸塩;トリフルオロメチルオキシエチル亜ホスホン酸塩、トリフルオロメチルオキシプロピル亜ホスホン酸塩、トリフルオロメチル(ポリオキシエチレン)亜ホスホン酸塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシエチレン)亜ホスホン酸塩、トリフルオロメチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)亜ホスホン酸塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)亜ホスホン酸塩などの一般式 Rf(ORf’)nPO2Mで表わされるエーテル結合を含むフルオロアルキル亜ホスホン酸塩が挙げられる。
フルオロアルキルアンモニウム塩としては、具体的には、モノフルオロメチルエチルアンモニウム塩、トリフルオロメチルエチルアンモニウム塩、トリフルオロメチルプロピルアンモニウム塩、トリフルオロメチルブチルアンモニウム塩、部分フッ素化高級アルキルアンモニウム塩などの部分フッ素化アルキルアンモニウム塩;トリフルオロメチルアンモニウム塩、ペンタフルオロエチルアンモニウム塩、ヘプタフルオロプロピルアンモニウム塩、ペンタデカフルオロヘプチルアンモニウム塩、ヘプタデカフルオロオクチルアンモニウム塩、ノナデカフルオロノニルアンモニウム塩などのパーフルオロアルキルアンモニウム塩;トリフルオロメチルオキシエチルアンモニウム塩、トリフルオロメチルオキシプロピルアンモニウム塩、トリフルオロメチル(ポリオキシエチレン)アンモニウム塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシエチレン)アンモニウム塩、トリフルオロメチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)アンモニウム塩、ペンタフルオロエチル(ポリオキシパーフルオロエチレン)アンモニウム塩などの一般式 (Rf(ORf’)nxNH4-xMで表わされるエーテル結合を含むフルオロアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
これらのフッ素系界面活性剤の中では、光学ムラの低減の点より、フッ素化アルキル基を含有するアニオン性の界面活性剤が好ましく、フルオロアルキルカルボン酸塩とフルオロアルキルスルホン酸塩がさらに好ましい。特に、一般式 Rf(ORf’)nで表わされるエーテル結合を含むフッ素化アルキル基を有するものが、溶解性の点より好ましい。さらに、エーテル結合を含むフッ素化アルキル基Rf(ORf’)nにおいて、Rfはパーフルオロアルキル基であることが、製膜ドラムへの付着および焼き付きの防止の点から好ましく、縮合度nは10〜400、特に100〜300であることが、染色性の点より好ましい。このような界面活性剤としては、トリフルオロメチル(ポリオキシテトラフルオロエチレン)カルボン酸塩やトリフルオロメチル(ポリオキシテトラフルオロエチレン)スルホン酸塩などが挙げられる。
界面活性剤の添加量としては、ポリビニルアルコール系樹脂に対して、100〜10000ppm、好ましくは200〜5000ppm、特に好ましくは300〜3000ppmの範囲である。添加量が100ppm未満では、界面活性剤の能力が発揮されず、製膜性が確保できない。特に、2000m以上の長尺フィルムを製膜する際に、キャストドラムからフィルムを剥離するのが困難になる。逆に、10000ppmを超えると、フィルム表面へのブリードアウトが発生し、外観の悪化を生じる。
本発明においては、界面活性剤として前記水溶性のフッ素系界面活性剤以外に、公知のノニオン系、アニオン系またはカチオン系の界面活性剤を配合してもよい。この場合、水溶性のフッ素系界面活性剤以外の界面活性剤の添加量は、界面活性剤全量の50重量%以下とする。
本発明においては、前記ポリビニルアルコール系樹脂および前記水溶性のフッ素系界面活性剤を用いて水溶液を調製し、該水溶液をドラム型ロール(以下キャストドラムと呼ぶ)またはエンドレスベルト、好ましくはキャストドラムに流延して製膜、乾燥することによりポリビニルアルコール系フィルムを製造する。
以下、本発明の製造方法について説明する。
まず、ポリビニルアルコール系樹脂は、酢酸ナトリウムを除去するため、その粉末を洗浄する。洗浄には、メタノールまたは水が用いられるが、メタノールで洗浄する方法では溶剤回収などが必要になるため、水で洗浄する方法がより好ましい。
次に、洗浄後の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを水に溶解させ、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製する。このとき、含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキをそのまま水に溶解すると所望する高濃度の水溶液が得られないため、溶解させる前に一旦脱水を行なうことが好ましい。脱水方法は特に限定されないが遠心力を利用した方法が一般的である。
洗浄および脱水により、含水率50重量%以下、好ましくは30〜45重量%の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。含水率が50重量%を超えると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなり好ましくない。
その後、脱水後の含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを水に溶解させ、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液とする。ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、溶解槽に、ウェットケーキ、水、可塑剤、および前記フッ素系界面活性剤を仕込み、加温、撹拌し、溶解させることにより得られる。
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、特に、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解槽中で、水蒸気を吹き込んで含水ポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを溶解させて得られる水溶液であることが好ましい。このとき、水蒸気を吹き込み、樹脂温度が40〜80℃、好ましくは45〜70℃となった時点で、撹拌を開始することが、均一溶解できる点で好ましい。樹脂温度が40℃未満ではモーターの負荷が大きくなり、80℃を超えるとポリビニルアルコール系樹脂の固まりができて均一な溶解ができなくなり好ましくない。
さらに、水蒸気を吹き込み、樹脂温度が90〜100℃、好ましくは95〜100℃となった時点で、缶内を加圧することも均一溶解ができる点で好ましい。樹脂温度が90℃未満では未溶解物ができ好ましくない。
そして、樹脂温度が130〜150℃となったところで、水蒸気の吹き込みを終了し、0.5〜3時間撹拌を続けることにより、溶解される。溶解後は、所望する濃度となるように濃度調整が行なわれる。
このようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の濃度は、15〜60重量%であることが好ましく、より好ましくは17〜55重量%、さらに好ましくは20〜50重量%である。濃度が15重量%未満では乾燥負荷が大きくなり生産能力が劣り、60重量%を超えると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができず好ましくない。
次に、得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡や多軸押出機による脱泡などが挙げられるが、本発明においては、多軸押出機を用いて脱泡する方法が好ましい。脱泡処理は、上記の濃度15〜60重量%のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を多軸押出機に供給し、ベント部の樹脂温度を105〜180℃、好ましくは110〜160℃とし、かつ押出機先端圧力を2〜100kg/cm2、好ましくは5〜70kg/cm2とした条件下で行なわれる。ベント部の樹脂温度が105℃未満では脱泡が不充分となり、180℃を超えると樹脂劣化が起こることとなる。また、押出機先端圧力が2kg/cm2未満では脱泡が不充分となり、100kg/cm2を越えると配管での樹脂漏れなどが発生し、安定生産することができなくなる。
多軸押出機による脱泡処理が行なわれた後、多軸押出機から排出されたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、キャストドラムに流延され、製膜、乾燥される。
T型スリットダイとしては、通常、細長の矩形を有したT型スリットダイが用いられる。また、T型スリットダイ出口の樹脂温度は80〜100℃であることが好ましく、より好ましくは85〜98℃である。T型スリットダイ出口の樹脂温度が80℃未満では流動不良となり、100℃を超えると発泡し好ましくない。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の流延に際しては、キャストドラムまたはエンドレスベルトで行なわれるが、幅広化や長尺化、膜厚の均一性などの点からキャストドラムで行うことが好ましい。
キャストドラムで流延製膜するにあたり、例えばドラムの回転速度は5〜30m/分であることが好ましく、特に好ましくは6〜20m/分である。キャストドラムの表面温度は、50〜120℃であることが好ましく、より好ましくは70〜99℃、さらに好ましくは75〜97℃である。キャストドラムの表面温度が50℃未満では乾燥不良となり、120℃を超えると発泡し好ましくない。
続いて、単独ロールまたは多段ロールを用いて乾燥、好ましくは多段ロールを用いてフィルムの表裏面の交互乾燥が継続され、乾燥した後に、未延伸のポリビニルアルコール系フィルムを形成させる。必要に応じて、乾燥後、熱処理や調湿が行なわれてポリビニルアルコール系フィルムが得られる。フィルムは、芯管にロール状態に巻き取られる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムの幅、長さ、厚さは任意であるが、近年の幅広長尺化を鑑みると、幅は2m以上、好ましくは2.5m以上、特に3m以上が、長さは1000m以上、好ましくは3000m以上、特に4000m以上が好ましい。厚さは、10〜200μm、好ましくは30〜100μm、特に30〜70μmが好ましい。
本来、界面活性剤はフィルムの基材からの剥離を助けるものであるが、その一部は基材側に残り、基材表面上に化学的あるいは物理的なムラを発生させる。このムラが次なるフィルムを剥離する際に、均一でない表面状態や内部応力を生じさせるため、フィルムに光学的なムラが発生する。しかし、本発明においては、前述したように界面活性剤として水溶性のフッ素系界面活性剤を用いるため、光学ムラの原因となっていた界面活性剤の製膜ドラムへの付着および焼き付きを抑制し、フィルムの剥離を容易にすることができる。したがって、本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、光学ムラがなく均質であり、光学的、特に色ムラのない偏光フィルムを得るための原反フィルムとして有用である。
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムを用いた本発明の偏光フィルムの製造方法について説明する。
偏光フィルムに用いられるポリビニルアルコール系フィルムの膜厚としては、30〜100μmが好ましく、さらに好ましくは30〜70μmである。膜厚が30μm未満では延伸が難しく、一方100μmを超えると膜厚精度が低下して好ましくない。
本発明の偏光フィルムの製造方法としては、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素または二色性染料の溶液に浸漬し染色した後、ホウ素化合物処理する方法、延伸と染色を同時に行なった後、ホウ素化合物処理する方法、ヨウ素または二色性染料により染色して延伸した後、ホウ素化合物処理する方法、染色した後、ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法などがあり、適宜選択して用いることができる。このように、ポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)の延伸、染色およびホウ素化合物処理に際しては、延伸と染色、さらにホウ素化合物処理を別々に行なっても同時に行なってもよいが、染色工程、ホウ素化合物処理工程の少なくとも一方の工程中に一軸延伸を実施することが望ましい。
延伸は、一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが望ましい。この際、延伸方向と直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度あるいはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度条件は40〜170℃から選ぶのが望ましい。さらに、延伸倍率は最終的に上記の範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すればよい。
フィルムへの染色はフィルムにヨウ素あるいは二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウムの濃度は10〜70g/l、ヨウ化カリウム/ヨウ素の重量比は10〜100とするのが適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜60℃が好ましい。水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させて使用しても差し支えない。接触手段としては浸漬、塗布、噴霧などの任意の手段が適用できる。
染色処理されたフィルムは、次いでホウ素化合物によって処理される。ホウ素化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度0.3〜2モル/l程度で用いられ、液中には少量のヨウ化カリウムを共存させるのが実用上望ましい。処理法は浸漬法が望ましいが、勿論塗布法、噴霧法も実施可能である。処理時の温度は40〜70℃程度、処理時間は2〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
このようにして得られる本発明の偏光フィルムは、その片面または両面に光学的に等方性の高分子フィルムまたはシートを保護フィルムとして積層接着して、偏光板として用いることもできる。かかる保護フィルムとしては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド、シクロ系ないしはノルボルネン系ポリオレフィンなどのフィルムまたはシートが挙げられる。
本発明の偏光フィルム(またはその少なくとも片面に保護フィルムあるいは硬化性樹脂を積層したもの)は、その一方の表面に必要に応じて、透明な感圧性接着剤層が通常知られている方法で形成されて、偏光板として実用に供される場合もある。感圧性接着剤層としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルと、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα−モノオレフィンカルボン酸との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む。)を主体とするものが、偏光フィルムの偏光特性を阻害することがないので特に好ましい。しかし、これらに限定されることなく、透明性を有する感圧性接着剤であれば使用可能で、例えばポリビニルエーテル系、ゴム系などでもよい。
また、さらに偏光板(上記感圧性接着剤が設けられたもの)の片面(上記感圧性接着剤が設けられていない面)に各種機能層を設けることも可能である。機能層としては、例えばアンチグレア層、ハードコート層、アンチリフレクション層、ハーフリフレクション層、反射層、蓄光層、拡散層、エレクトロルミネッセンス層、視野角拡大層、輝度向上層などが挙げられる。さらに、これらの中から各種2種以上の組み合わせを設けることも可能で、例えばアンチグレア層とアンチリフレクション層、蓄光層と反射層、蓄光層とハーフリフレクション層、蓄光層と光拡散層、蓄光層とエレクトロルミネッセンス層、ハーフリフレクション層とエレクトロルミネッセンス層などの組み合わせが挙げられる。ただし、これらに限定されることはない。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。なお、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準である。
実施例中、ポリビニルアルコールの重量平均分子量、ポリビニルアルコール系フィルムの光学ムラおよび偏光フィルムの色ムラは、次のようにして評価した。
(1)重量平均分子量:GPC−LALLS法により以下の条件で測定した。
1)GPC
装置:Waters製244型ゲル浸透クロマトグラフ
カラム:東ソー製TSK−gel−GMPWXL(内径8mm、長さ30cm、2本)
溶媒:0.1M−トリス緩衝液(pH7.9)
流速:0.5ml/min
温度:23℃
試料濃度:0.040%
ろ過:東ソー製0.45μmマイショリディスクW−25−5
注入量:0.2ml
検出感度(示差屈折率検出器):4倍
2)LALLS
装置:Chromatrix製KMX−6型低角度レーザー光散乱光度計
温度:23℃
波長:633nm
第2ビリアル係数×濃度:0mol/g
屈折率濃度変化(dn/dc):0.159ml/g
フィルター:MILLIPORE製0.45μmフィルターHAWP01300
ゲイン:800mV
(2)ポリビニルアルコール系フィルムの光学ムラ
全幅×500mmに切り出したポリビニルアルコール系フィルムを、暗室下で白色スクリーンと投影機の間に配置して、スクリーンに写る陰影を観察し、以下の基準で評価する。
○:何も見えず均一である。
△:かすかな濃淡が確認できる。
×:不連続な濃淡やスジ状の濃淡が確認できる。
(3)偏光フィルムの色ムラ
偏光フィルムをクロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだ後に、表面照度14000ルックスのライトボックスを用いて、透過モードで光学的色ムラを観察し、以下の基準で評価する。
○:色ムラなし。
△:かすかに色ムラあり。
×:色ムラあり。
(4)偏光フィルムの光学特性
偏光度と単体光線透過率を、高速多波長複屈折測定装置(大塚電子(株)製:RETS−2000 波長:550nm)を用いて測定した。
実施例1
500lのタンクに18℃の水200kgを入れ、撹拌しながら、重量平均分子量142000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂40kgを加え、15分間撹拌を続けた。その後一旦水を抜いた後、さらに水200kgを加え15分間撹拌した。得られたスラリーを脱水し、含水率43%のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを得た。
得られたポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキ70kgを溶解槽に入れ、可塑剤としてグリセリン4.2kg、界面活性剤としてトリフルオロメチル(ポリオキシテトラフルオロエチレン)カルボン酸ナトリウム42g(ポリオキシテトラフルオロエチレンの縮合度:100)および水10kgを加え、槽底から水蒸気を吹き込んだ。内部樹脂温度が50℃になった時点で撹拌(回転数:5rpm)を行ない、内部樹脂温度が100℃になった時点で系内を加圧し、150℃まで昇温した後、水蒸気の吹き込みを停止した。30分間撹拌(回転数:20rpm)を行ない均一に溶解させた後、濃度調整により濃度27%のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。
次に、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液(液温147℃)を、ギアポンプ1より2軸押出機に供給し、脱泡した後、ギアポンプ2より排出した。排出されたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、T型スリットダイよりキャストドラムに流延して製膜した。かかる流延製膜の条件は下記の通りである。
キャストドラム
直径(R1):3200mm、幅:4200mm、回転速度:8m/分、表面温度:90℃、T型スリットダイ出口の樹脂温度:95℃
得られた膜の表面と裏面とを下記の条件にて乾燥ロールに交互に通過させながら乾燥を行った。
乾燥ロール
直径(R2):320mm、幅:4200mm、本数(n):10本、回転速度:8m/分、表面温度:70℃
連続して、熱処理(条件:フローティングドライヤー(120℃、長さ6m))を行い、ポリビニルアルコール系フィルム(長さ5000m、幅4000mm、厚さ50μm)を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムの光学ムラは表1に示される通りであった。
次に、上記ポリビニルアルコール系フィルムを巻き出し、水洗槽(24℃)で膨潤させた後、ヨウ素槽(20℃、ヨウ素濃度0.05g/l)で1.3倍、ホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ホウ酸濃度47g/l)で1.7倍の一軸延伸を行ない、さらに、一軸延伸を続けトータル5.5倍の一軸延伸を行ない、偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの結果を表1に示す。
実施例2〜5
表1に示す界面活性剤を用いる以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアルコール系フィルム、ならびに偏光フィルムを得た。評価結果は表1に示される通りである。
比較例1および2
表1に示す界面活性剤を用いる以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアルコール系フィルム、ならびに偏光フィルムを得た。評価結果は表1に示される通りである。
Figure 2006307059

Claims (10)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂に、水溶性のフッ素系界面活性剤を含有してなることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
  2. フッ素系界面活性剤が、フッ素化アルキル基を含有するアニオン性の界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  3. フッ素化アルキル基が、縮合度10〜400のポリパーフルオロエチレンオキサイド基を含むことを特徴とする請求項2記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  4. 重量平均分子量120000〜300000のポリビニルアルコール系樹脂を用いてなることを特徴とする請求項1、2または3記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  5. フィルムの厚みが30〜70μmであることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  6. フィルムの幅が3m以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  7. フィルムの長さが4000m以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  8. 偏光フィルムの原反フィルムを得るために用いることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のポリビニルアルコール系フィルムからなることを特徴とする偏光フィルム。
  10. 請求項9記載の偏光フィルムの少なくとも片面に保護膜を設けてなることを特徴とする偏光板。
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