JP2006298300A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフト2上に設けられ、そのステアリングシャフト2とともに回転するウォームホイール20と、そのウォームホイール20と噛合うウォームギヤ30と、そのウォームギヤ30を駆動する操舵補助モータ40と、を備えている。さらに、自車両の操舵状態に応じて、ウォームホイール20に対するウォームギヤ30の押付け力を調整する押付け力調整手段を備えている。
【選択図】図2
Description
そこで、例えば特許文献1に記載の技術では、ウォームホイールとウォームギヤとを、ばね力で押し付ける構成とすることにより、相互の歯の摩耗等により経時変化するバックラッシの防止ないしはその抑制を可能としている。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、操舵系フリクション特性や運転者が感じる操舵感を調整し得る電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
ここで、「車両の状態」とは、運転者によるステアリングホイールの操舵状態、および走行時の車両各部の状態の少なくとも一方を含む意味である。なお、走行時の車両各部の状態としては、例えば、路面と操向輪との路面摩擦係数、車速、アクセル開度、自車両の制動力等の状態が例示できる。
この例は、自車両の操舵に要する力を操舵補助モータの回転出力によりアシスト(操舵補助)する電動パワーステアリング装置であり、図1に示すように、ステアリングホイール1は、自車両の操舵軸であるステアリングシャフト2の上端部に連結されており、このステアリングシャフト2が下方に延びている。このステアリングシャフト2は、操舵トルクセンサ12を介して、その下端部がピニオン3に連結している。そして、このピニオン3が、車両幅方向に配設されたラック4に噛合し、そのラック4とピニオン3とによってステアリングギアを構成している。これにより、ステアリングホイール1からステアリングシャフト2回りの回転運動が、ラック4の直進運動(並進運動)に変換されるようになっている。そして、水平に延在するラック4の両端部は、それぞれタイロッド5を介してナックル及び操向輪6に接続しており、ラック4が水平方向に移動(並進運動)することで左右の操向輪6が転舵可能になっている。
ここで、この電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイール1による自車両の操舵状態に応じて、上記ウォームホイール20とウォームギヤ30とを備えてなる減速機構に対し、当該ウォームホイール20に対するウォームギヤ30の押付け力を調整する押付け力調整手段をさらに備えて構成されている。
上記操舵補助モータ40は、図2(a)に示すように、不図示の車体に支持されたハウジング50に取り付けられている。そして、上記駆動軸9に対し同軸に固定されているウォームギヤ30は、その軸方向両側をウォームホイール20とウォームギヤ30との噛合い位置(同図での符号Xの位置)を挟んで軸方向で対向する一対の軸受32でそれぞれ支持されている。
また、車両には、上記ステアリングホイール1に、その操舵角θを検出する操舵角検出手段である操舵角センサ14が設けられており、その検出値θもコントロールユニット10に供給可能になっている。
この押付け力調整処理は、ステアリングホイール1による自車両の操舵状態に応じて、電動パワーステアリング装置の減速機構に対し、上記ソレノイド34を用いてなされるフリクション制御であって、コントロールユニット10内の演算処理装置で、この押付け力調整処理が実行されると、図3に示すように、まずステップS1にて、入力データである、上記走行速度センサ13で検出された走行速度V、操舵角センサ14で検出された操舵角θ、操舵トルクセンサ12で検出された操舵トルクNをそれぞれ読込む。
次に、ステップS3に移行して、ステアリングホイール1が一定の角度で保舵されている保舵状態か否かを判定する。すなわち、ステップS2で算出された操舵角速度θ'と所定の閾値aとを比較して、操舵角速度θ'が所定の閾値a以下である場合(Yes)には、運転者がステアリングホイール1を保舵しているとの判定をしてステップS4に移行し、そうでない場合(No)には、運転者が転舵操作を行なっているとの判定をして、上記目標押付け力に応じた押付け力指令値(界磁電流制御信号)を出力することなく処理を戻す。なお、この例では、保舵状態か否かの判定を、操舵角速度θ'に基づいて行なっているが、操舵トルクNの変化から判定してもよい。
そして、ステップS5では、所定の保舵制御に基づいて押付け力指令値を算出しその出力が加減抵抗器に行なわれて処理を戻すようになっている。
Fh=Fmax×GV (式1)
この際の速度ゲインGVは、読み込まれた走行速度Vに対応する値が、上記図4にて設定されている制御マップ検索から設定される。但し、同式でのFmaxは、ソレノイド34での最大押付け力である(以下他の例にて同じ)。
この片流れ抑制制御は、図5にその制御マップを示すように、操舵トルクNによって決まるゲインGN(同図(a))と走行速度Vによって決まる速度ゲインGV(同図(b))との積によって決定する。すなわち、この片流れ抑制制御による目標押付け力Fnの指令値は、同ステップでの、下記式2で行われる演算処理に従って算出される。
Fn=Fmax×GN×GV (式2)
なお、上記保舵状態判定手段には、演算処理装置での押付け力調整処理におけるステップS3が対応する。また、上記中立状態判定手段には、同じくステップS4が対応する。
上述のような構成によって、この電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイール1の操舵状態に応じて、ウォームホイール20とウォームギヤ30との間に作用する押付け力を調整する押付け力調整手段を構成している。
すなわち、上記一対の軸受32それぞれは、ソレノイド34(のプランジャ34p)で円筒コイルばね36を介して押圧されると、反対側の合成ゴム38が圧縮されつつ、その支持されている駆動軸9とともに、ハウジング50に対して、ウォームホイール側に向けて上記長孔50aに沿って移動する。このとき、このソレノイド34は、そのプランジャの位置を比例的に制御可能な比例ソレノイドが使用されているから、コントロールユニット10よって算出された押付け力指令値に応じた押付け力(目標押付け力)を出力できる。
すなわち、上記の例では、車両には車速センサ13が搭載されており、この電動パワーステアリング装置は、この車速センサ13で検出された車速に応じて、その車速が大きいときには小さいときに比べて前記押付け力を大きくするようになっている。これにより、片流れ現象が、高速走行時に顕著に問題になる場合でも、低速では操舵系のフリクションを一定にし、その後は走行速度に比例して操舵系のフリクションを大きくしているので、さらに良好な操舵感を得ることができる。
この第二実施形態では、コントロールユニット10内の演算処理装置での、押付け力調整処理が、図6に示すように、ステップS7およびステップS8をさらに備えて構成されている点が、上記第一実施形態に対し異なっている。
そして、ステップS7では、操舵角速度θ'と操舵トルクNとの積が、正(>0)か否かを判断する。すなわち、操舵角速度θ'と操舵トルクNとの積が正(>0)の場合(Yes)には、運転者の転舵方向と操舵補助モータによるアシスト方向とが等しいとの判断をしてステップS8に移行し、そうでない場合(No)には、上記目標押付け力に応じた押付け力指令値(界磁電流制御信号)を出力することなく処理を戻す。ここで、上記切り増し状態判定手段には、この例でのステップS7が対応する。
この切り増し制御は、図7にその制御マップを示すように、操舵角θによって決まるゲインGθ(同図(a))と走行速度Vによって決まる速度ゲインGV(同図(b))との積によって決定する。すなわち、この切り増し制御による目標押付け力Fθ+の指令値は、同ステップでの、下記式3で行われる演算処理に従って算出される。
Fθ+=Fmax×Gθ×GV (式3)
これにより、切り増し状態でのステアリングホイール1の操舵角θに応じて、操舵系のフリクションを大きくすることができる。したがって、運転者がステアリングホイールを操舵するときに、より良好な操舵感が得られる。
この第三実施形態では、コントロールユニット10内の演算処理装置での、押付け力調整処理が、図8に示すように、ステップS9をさらに備えて構成されている点が、上記第二実施形態に対し異なっている。
この復元性制御は、図9にその制御マップを示すように、操舵角θの変化速度(操舵角速度θ')によって決まるゲインGθ'(同図(a))と走行速度Vによって決まる速度ゲインGV(同図(b))との積によって決定する。すなわち、この復元性制御による目標押付け力Fθ-の指令値は、同ステップでの、下記式4で行われる演算処理に従って算出される。
Fθ-=Fmax×Gθ'×GV (式4)
これにより、切り戻し状態でのステアリングホイール1の操舵角θの変化速度に応じて、操舵系フリクションを大きくすることができる。したがって、運転者がステアリングホイールを操舵するときに、より良好な操舵感が得られる。
この第四実施形態では、上記各実施形態での押付け力調整処理に対し、その算出する押付け力指令値を、アクセル開度に応じて補正する構成を備えている点が異なっている。
そして、この第四実施形態による目標押付け力Faの指令値は、上記各押付け力指令値を算出しているステップに対し、下記式5で行われる演算処理に従って算出される。但し、同式でのFは、上記Fh、Fn、Fθ+、Fθ-のいずれかである。
Fa=F×Ga (式5)
これにより、アクセル開度が大きい場合に、操舵系フリクションを大きくすることによって、操舵系に伝達されるトルク変動を低減することができる。したがって、運転者がステアリングホイールを操舵するときに、より良好な操舵感が得られる。
この第五実施形態では、上記各実施形態での押付け力調整処理に対し、その算出する押付け力指令値を、車両の制動力の推定値に応じて補正する構成を備えている点が異なっている。
Fd=F×Gd (式6)
ここで、制動力が大きい場合には、その制動力が操向輪6に加わるため、制動力の変動が操舵系に伝達され、操舵感が悪くなる。そこで、上記目標押付け力Fdの指令値は、その際の補正ゲインGdを、図11にその制御マップを示すように、制動力推定値Dが所定値より大きいときに、その値が大きいときには小さいときに比べて補正ゲインGdを大きくするように設定している。
これにより、制動力が大きい場合に、操舵系フリクションを大きくすることによって、操舵系に伝達されるトルク変動を低減することができる。したがって、運転者がステアリングホイールを操舵するときに、より良好な操舵感が得られる。
この第六実施形態では、上記各実施形態での押付け力調整処理に対し、その算出する押付け力指令値を、路面と操向輪との路面摩擦係数の推定値に応じて補正する構成を備えている点が異なっている。
そして、コントロールユニット10内の演算処理装置による所定ステップで行われる個別の演算処理に従って、読み込まれたスリップ率の変化から路面と操向輪との路面摩擦係数を推定可能になっている。そして、この第二の所定ステップで算出された路面摩擦係数推定値μに対応する補正ゲインGμが、所定の制御マップ(図12参照)を参照して設定されるようになっている。ここで、上記路面摩擦係数推定手段には、当該第二の所定ステップが対応する。
Fμ=F×Gμ (式7)
ここで、路面摩擦係数が小さい場合には、セルフアライニングトルクが減少するため、車速に応じた押付け力の調整量のままでは操舵系フリクションが大きすぎてしまうことになる。そこで、上記目標押付け力Fμの指令値は、その際の補正ゲインGμを、図12にその制御マップを示すように、路面摩擦係数推定値μが所定値より小さいときに、その推定値が低いときには高いときに比べて補正ゲインGμを小さくするように設定している。
これにより、路面摩擦係数が小さい場合に、操舵系フリクションを小さくすることによって、押付け力を小さくして、操舵系フリクションを小さくすることによって、セルフアライニングトルクを回復させることができる。
また、走行時の車両各部の状態(車両状態)に応じた操舵系フリクション特性が得られるため、車両の安定性が向上する。
さらにまた、組付け時の一意的に決まる操舵系フリクションに左右されることなく、所望する操舵系フリクションを得ることができる。
なお、本発明に係る電動パワーステアリング装置は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
また、上記各実施形態では、「押付け力」という表現で説明しているが、上述の例では、ソレノイド34のプランジャの位置を比例的に制御しているから、換言すれば、「押付け変位量」で制御しているとも言える。すなわち、本願での、ウォームホイールとウォームギヤとの間に作用する押付け力の調整とは、その押付け力自体および押付け変位量による制御のいずれをも含む意味である。また、いずれかによって制御する構成とすることができる。
また、上記各実施形態では、種々のゲインが、所定の制御マップ検索からそれぞれ設定される例を説明し、その設定値は、比例して設定値を下げるないしは上げる例で説明したが、線形的な比例関係に限定されず、例えば段階的に設定可能であり、またこれらの組合わせとしてもよい。
なおまた、上記各実施形態は、上記説明した個別の例に限定されず、本願の効果を奏する構成であれば、相互の構成要素の変更や組合わせを適宜実施可能であることは勿論である。
2 ステアリングシャフト(操舵軸)
3 ピニオン
4 ラック
6 操向輪
9 駆動軸
10 コントロールユニット
12 操舵トルクセンサ(トルク検出機構)
13 車速センサ(車速検出手段)
14 操舵角センサ(操舵角検出手段)
20 ウォームホイール
30 ウォームギヤ
32 軸受
34 ソレノイド(押圧手段)
36 円筒コイルばね(付勢手段)
38 合成ゴム(弾性体)
40 操舵補助モータ
50 ハウジング
Claims (12)
- 自車両の操舵軸上に設けられ、その操舵軸とともに回転するウォームホイールと、該ウォームホイールに噛合うウォームギヤと、該ウォームギヤを駆動する操舵補助モータと、を備えた電動パワーステアリング装置において、
車両の状態に応じて、前記ウォームホイールと前記ウォームギヤとの間に作用する押付け力を調整する押付け力調整手段を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記操舵補助モータは、車体に支持されるハウジングに取り付けられ、前記ウォームギヤは、当該操舵補助モータに連結された駆動軸に固定されるとともに、その軸方向両側を前記ウォームホイールと前記ウォームギヤとの噛合い位置を挟んで対向する一対の軸受でそれぞれ支持されてなり、
前記一対の軸受は、前記ハウジングに対して、前記駆動軸を前記ウォームホイールに近づける方向に移動可能に取り付けられており、
前記押付け力調整手段は、前記軸受のうち少なくとも一方を、前記駆動軸が前記ウォームホイールに近づく方向に向けて押すようになっていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記押付け力調整手段は、前記少なくとも一方の軸受を、前記押付け力の方向に付勢力を付与する付勢手段を介して押すようになっていることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記押付け力調整手段は、前記軸受のうち前記操舵補助モータが連結された側とは反対側の軸受を、押すようになっていることを特徴とする請求項2または3に記載の電動パワーステアリング装置。
- 自車両のステアリングホイールが中立状態か否かを判定する中立状態判定手段を備え、
前記押付け力調整手段は、前記中立状態判定手段が中立状態との判定をしたときに、前記押付け力を大きくするようになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。 - 自車両のステアリングホイールが一定の角度で保舵されている保舵状態か否かを判定する保舵状態判定手段を備え、
前記押付け力調整手段は、前記保舵状態判定手段が保舵状態との判定をしたときに、前記押付け力を大きくするようになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。 - 自車両のステアリングホイールが切り増し状態か否かを判定する切り増し状態判定手段を備え、
前記押付け力調整手段は、前記切り増し状態判定手段が切り増し状態との判定をしたときに、前記ステアリングホイールの操舵角に応じて、当該操舵角が大きいときには小さいときに比べて前記押付け力を大きくするようになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。 - 自車両のステアリングホイールが切り戻し状態か否かを判定する切り戻し状態判定手段を備え、
前記押付け力調整手段は、前記切り戻し状態判定手段が切り戻し状態との判定をしたときに、前記ステアリングホイールの操舵角の変化速度に応じて、当該操舵角の変化速度が大きいときには小さいときに比べて前記押付け力を大きくするようになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記押付け力調整手段は、車速に応じて、当該車速が大きいときには小さいときに比べて前記押付け力を大きくするようになっていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記押付け力調整手段は、アクセル開度に応じて、当該アクセル開度が大きいときには小さいときに比べて前記押付け力を大きくするようになっていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
- 自車両の制動力を推定する制動力推定手段を備え、
前記押付け力調整手段は、前記制動力推定手段で推定された制動力の推定値に応じて、当該制動力の推定値が大きいときには小さいときに比べて前記押付け力を大きくするようになっていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。 - 路面と操向輪との路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段を備え、
前記押付け力調整手段は、前記路面摩擦係数推定手段で推定された路面摩擦係数の推定値に応じて、当該路面摩擦係数の推定値が低いときには高いときに比べて前記押付け力を小さくするようになっていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
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