JP5446117B2 - 車両用操舵制御装置 - Google Patents

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本発明は、ハンドルの操舵角に対する操向輪の転舵角の比であるステアリングギア比を可変する車両用操舵制御装置の技術分野に属する。
従来の車両用操舵制御装置では、角度入力用アクチュエータの回転角目標値と実回転角(実際の回転角)との偏差が小さくなる操舵中立位置付近におけるステアリング剛性の向上を目的とし、操舵中立位置付近では角度入力用アクチュエータのサーボゲインを高めている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−170129号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、ハンドルの操舵方向に対し角度入力用アクチュエータを逆方向に回転させステアリングギア比をスローにする場面では、操舵中立位置付近からハンドルが切り増しされた際、操舵開始時には操舵方向とアクチュエータトルクの方向とが互いに逆向きとなり、運転者に操舵反力の抜け感を与えるという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、操舵開始時における操舵反力の抜けを防止することができる車両用操舵制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、運転者がハンドルを操舵角が所定値以下となる操舵中立位置付近から切り増しした、操舵角が操舵中立位置付近を超えるまでの間のステアリングギア比を目標ギア比がメカギア比よりも小さい場合にはメカギア比よりも大きなギア比とし、目標ギア比がメカギア比以上の場合には目標ギア比とする。

よって、操舵開始時に操舵方向とアクチュエータトルクとが互いに逆向きとなるのを回避でき、操舵開始時における操舵反力の抜けを防止することができる。

以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜3に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の車両用操舵制御装置を示す全体構成図である。
ハンドル1と前輪(操向輪)2,2を転舵するラック&ピニオン式ステアリングギアを用いた舵取り機構3は、コラムシャフト4およびピニオン5を介して連結され、コラムシャフト4とピニオンシャフト5は、ギア比可変アクチュエータ(角度入力用アクチュエータ)6を介して連結されている。コラムシャフト4には、コラムシャフト4の回転角(操舵角)を検出するパルスエンコーダ等を用いた操舵角センサ7が設けられている。また、ギア比可変アクチュエータ6には、ギア比可変機構を駆動するモータ20が設けられ、このモータの回転角を検出するモータ回転角センサ8が設けられている。
ギア比可変アクチュエータ6は、モータ20が駆動することによってコラムシャフト4の回転角に対し角度入力用の同軸モータの出力を加減算してピニオンシャフト5に出力することで、コラムシャフト4の回転角に対するピニオンシャフト5の回転角、すなわち、ハンドル1の操舵角に対する前輪の転舵角の比であるステアリングギア比(以下、ギア比と称す。)を可変する角度加減算型のアクチュエータである。このギア比可変アクチュエータ6のモータ20への指令電流値は、ギア比コントローラ(ギア比制御手段)10により制御される。
図2は、ギア比可変アクチュエータ6の構造を示す断面図である。
コラムシャフト4と連結されたアッパシャフト21には、インプットシャフト22が圧入固定されている。インプットシャフト22の先端には、ガイド溝22aが全周にわたって形成されている。アウトプットシャフト25は、インプットシャフト22に対して相対回転可能に設けられ、ピニオンシャフト5と連結されている。アウトプットシャフト25の外周面には、ボールねじ溝30が形成されている。
スライダ23は、内周面がアウトプットシャフト25の外周面に微小隙間を介して配置されて軸方向への移動が許容されている。また、コラムシャフト4内に挿通された一端部側の外周面に、インプットシャフト22のガイド溝22aに嵌合して軸方向移動可能とするガイド突起(図示せず)が、軸方向に沿って形成されている。
スライダ23には、複数のボール24を転動自在に保持するボール保持孔29が形成されている。ボール24は、ボール保持孔29とアウトプットシャフト25のボールねじ溝30との間で転動自在に挟持されている。
スライダ23は、スライダアーム28に回動自在に支持され、スライダアーム28は、リードスクリュー軸27に軸方向移動可能にねじ込まれている。リードスクリュー軸27の一端部には、ヘリカルギア32が固定され、このヘリカルギア32は、モータ20のモータ回転軸に連結されたピニオン31と接続している。
次に、ギア比可変アクチュエータ6の作動を説明する。
モータ20を作動させない場合、ハンドル1に入力された操作力がアッパシャフト21からインプットシャフト22およびスライダ23、各ボール24を介してアウトプットシャフト25に伝達される。すなわち、入出力の回転角度差が生じない状態でそのままピニオンシャフト5を介して前輪2,2に伝達される。
モータ20を作動させた場合、リードスクリュー軸27が一方向へ回転することによりスライダアーム28を軸方向へストロークさせ、各ボール保持孔29の孔縁で各ボール24を一方向に押し出すため、各ボール24が転動しながらストローク移動してボールねじ溝30内でボールねじ溝30の螺旋形状に沿ってアウトプットシャフト25に所定速度の回転運動トルクを付与する。すなわち、アウトプットシャフト25は、ハンドル1の操舵角変化よりも大きな変化量で一方向に回転し、ピニオンシャフト5を介して前輪2,2を大きな転舵角で転舵させる。従って、モータ20が後述するギア比コントローラ10からの指令電流に基づいて動作することにより、所望のギア比を実現することができる。
ギア比コントローラ10には、操舵角センサ7により検出された操舵角と、モータ回転角センサ8により検出されたモータ回転角(実回転角)と、車速センサ11により検出あれた車体速とが入力される。
ギア比コントローラ10は、各センサの検出信号に基づいて、所望のギア比を得る電流指令値を算出し、ギア比可変アクチュエータ6を駆動制御する。目標ギア比は、例えば、低車速域では大きく、高車速域では小さくすることにより、低車速域での旋回性能と高車速域での走行安定性との両立を図るように設定されている。
図3は、ギア比コントローラ10の制御ブロック図であり、ギア比コントローラ10は、回転角目標値演算部10aと、舵角サーボ制御部10bとを備えている。
回転角目標値演算部10aは、操舵角センサ7からの操舵角と車速センサ11からの車体速とに基づいて、車両の目標ヨーレートを生成するとともに、目標ヨーレートを得るギア比を設定し、設定したギア比を実現するギア比可変アクチュエータ6の回転角目標値を演算する。
舵角サーボ制御部10bは、モータ回転角センサ8により検出されたギア比可変アクチュエータ6の実回転角が、回転角目標値演算部10aにより演算された回転角目標値と一致するように、ギア比可変アクチュエータ6への電流指令値を制御する。
実施例1では、高車速域で目標ギア比がメカギア比よりも小さなスロー側に設定されており、ギア比可変アクチュエータ6を操舵方向と逆方向に駆動するアクチュエータ切り戻し時には、操舵中立位置からの操舵開始時、ギア比を一旦クイック側に設定し、その後徐々にスロー側へと変化させるギア比制御処理を実行する。このギア比制御処理については後述する。ここで、メカギア比とは、ギア比可変アクチュエータ6を停止してコラムシャフト4とピニオンシャフト5を1:1で回転させたときのギア比であって、舵取り機構3の諸元で決まる値である。
次に、電流指令値の算出方法の一例について説明する。
回転角指令値演算部10aでは、まず、以下に示す車両モデルを用いて車両パラメータを演算する。
一般に、2輪モデルを仮定すると、車両のヨーレートと横速度は、下記の式(1)で表せる。
Figure 0005446117
ここで、
Figure 0005446117
Figure 0005446117
である。
状態方程式より前輪操舵に対するヨーレートの伝達関数を求めると、下記の式(3)となる。
Figure 0005446117
Figure 0005446117
ヨーレート伝達関数は、式(3)より下記の式(4)と表される。
Figure 0005446117
ここで、
Figure 0005446117
である。
以上から、車両パラメータ
Figure 0005446117
が求められる。
次に、回転角指令値演算部10aでは、車体速V、車両パラメータと後述する目標値パラメータから目標ヨーレートψ'*を求める。
目標ヨー角加速度ψ''*は、式(4)から下記の式(6)により表される。
Figure 0005446117
ここで、目標ヨーレートψ'*のパラメータは、下記の式(7)で表される。
Figure 0005446117
ただし、yrate_gain_map,yrate_omegn_map,yrate_zeta_map,yrate_zero_mapはチューニングパラメータである。
よって、目標ヨーレートは、
φ'*(s)=φ''*(s)/s …(8)
であり、目標前輪舵角θ*は、
φ''*=a11φ'*+a12Vy+bf1θ* …(9)
θ*=(φ''*+a11φ'*+a12Vy)/bf1 …(10)
と求められる。
回転角目標値演算部10aは、目標前輪舵角θ*を得るために必要なギア比可変アクチュエータ6の回転角目標値θhを演算する。
舵角サーボ制御部10bでは、回転角目標値θhとギア比可変アクチュエータ6の実際の回転角である実回転角θaとの偏差eを算出し、電流指令値Iθを演算する。
まず、偏差eは、下記の式(11)から求められる。
e=θh−θa …(11)
電流指令値Iθは、偏差e、比例ゲインP、微分ゲインDおよび積分ゲインIとから、下記の式(12)を用いて算出する。
Iθ=P×e+D×de/dt+I×∫edt …(12)
ここで、比例ゲインP、微分ゲインDおよび積分ゲインIはチューニング定数である。
[ギア比制御処理]
図4は、実施例1のギア比コントローラ10で実行されるギア比可変アクチュエータ6のアクチュエータ切り戻し時におけるギア比制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、回転角目標値演算部10aにおいて、操舵角センサ7により検出された操舵角θと、車速センサ11により検出された車速(車体速)Vとを読み込み、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、回転角目標値演算部10aにおいて、ハンドル1が操舵中立位置付近にあるか否かを、ステップS1で読み込んだ操舵角θが−θ1よりも大きく、かつ、θ1よりも小さいか否かにより判定する。YESの場合にはステップS7へ移行し、NOの場合にはステップS3へ移行する。
ステップS3では、回転角目標値演算部10aにおいて、操舵中立位置付近からギア比を徐々に移行させる範囲を超えたか否かを、−θ2>θまたはθ2<θであるか否かにより判定する。YESの場合にはステップS8へ移行し、NOの場合にはステップS4へ移行する。
ステップS4では、回転角目標値演算部10aにおいて、ギア比Gを、G1とG2との間の数値であるギア比G3とし、ステップS5へ移行する。このとき、G1,G2,θ1,θ2を線形補間するなどの手法で、舵角に対するギア比の変化が、ドライバに違和感を与えないように設定する。その後、最終的なギア比GをG3の値に設定する。
ここで、G1は、メカギア比よりも大きな値とし、G2は、メカギア比よりも小さな値とする(図10参照)。
ステップS5では、回転角目標値演算部10aにおいて、ステップS4、ステップS7またはステップS8で求めたギア比Gから、回転角目標値θhを計算し、ステップS6へ移行する。
ステップS6では、舵角サーボ制御部10bにおいて、回転角センサ8で検出された実回転角θaとステップS5で算出された回転角目標値θhとの偏差を無くすサーボ制御を実行し、リターンへ移行する。
ステップS7では、ギア比Gをメカギア比よりもクイック側のG1に設定し、ステップS5へ移行する。
ステップS8では、ギア比Gをメカギア比よりもスロー側のG2に設定し、ステップS5へ移行する。
次に、作用を説明する。
[操舵開始時の操舵反力抜けについて]
特開2005−170129号公報には、ハンドルから前輪(操向輪)に至るステアリング系のシャフト上に、同軸モータを用いたギア比可変アクチュエータを装着し、このギア比可変アクチュエータを回転駆動させてハンドルの操舵角を加減算することで、ギア比を可変する機構を備えた車両において、操舵中立位置付近でサーボゲインを高め、ステアリング剛性を向上させる技術が記載されている。
ギア比可変アクチュエータは、回転角目標値と実回転角との偏差にサーボゲインを乗じた値に応じてトルクを出力する。操舵中立位置付近の微小な操舵角域では、回転角目標値が小さいため、実回転角との偏差も小さくなる傾向があり、アクチュエータトルクが発生しにくく、路面からの負荷である転舵反力に対しアクチュエータトルクが負けてしまい、ギア比可変アクチュエータの追従性が悪化するという問題があった。
そこで、特開2005−170129号公報では、操舵中立位置付近からの操舵の際はサーボゲインを高め、微小な偏差でもアクチュエータトルクを大きく発生させることで、回転角目標値に対する実回転角の追従性を高めるようにしている。サーボゲインを高めることによって、アクチュエータトルクの値が大きくなり、ギア比可変アクチュエータの追従性も良くなることから、操舵中立位置付近でのステアリング剛性感を向上させる効果がある。
ところが、上記従来技術では、ギア比可変アクチュエータは回転角目標値と実回転角との偏差を無くす方向にアクチュエータトルクを発生させる構成であるため、ギア比をメカギア比よりも小さくするアクチュエータ切り戻し時、操舵中立位置から操舵を開始したとき、操舵方向とアクチュエータトルクの方向とが互いに逆方向となり、操舵反力の抜けが生じるという問題があった。
以下、反力抜けの原理について説明する。
図5に示すように、モータトルク(アクチュエータトルク)と操舵力の方向(操舵方向)とが一致している場合には、モータ反力(アクチュエータ反力)が操舵力と逆方向となるため、ドライバが感じる手応えは大きくなる。ところが、図6のように、操舵力とモータトルクとが逆向きになると、操舵力の方向とモータ反力の方向とが一致するため、ドライバが感じる手応えが減少してしまう。そして、操舵中立位置からハンドルを切り込んでいく操舵開始時にモータトルクの方向と操舵力の方向とが互いに逆向きになると、上記理由からドライバに手応えの抜け感、すなわち、操舵反力の抜け感を与えてしまう。
一般的に、ギア比可変制御では、図7に示すように、低中速域で操舵角にアクチュエータの回転角を加算してギア比をクイック側に設定し(アクチュエータ切り増し)、高速域では操舵角からアクチュエータの回転角を減算してギア比をスロー側に設定している(アクチュエータ切り戻し)。
ここで、ギア比をクイック側に設定し、アクチュエータ切り増しを行う場面では、操舵方向と同じ方向にギア比可変アクチュエータを駆動する回転角目標値が演算されるため、アクチュエータトルクは常に操舵方向と同じ方向に発生する(図8)。
ところが、ギア比をスロー側に設定し、アクチュエータ切り戻しを行う場面では、図9に示すように、アクチュエータ切り増し時とは状況が異なる。ギア比可変アクチュエータの内部には、内部ギアフリクションがあるため、操舵開始時はギアフリクションで力が伝達され、ギア比可変アクチュエータは、操舵方向に一緒に回転させられてしまう。
その後、回転角目標値に対してギア比可変アクチュエータのアクチュエータトルクが遅れて追従を開始する。このとき、アクチュエータトルクの方向は、回転角目標値と実回転角との偏差の向きに依存し、偏差を小さくする方向へトルクを発生するため、操舵開始時にアクチュエータトルクの方向と操舵力の方向(操舵方向)とが互いに逆向きになるという状況が発生してしまう。
アクチュエータトルクの方向は、偏差の向きに依存するため、特開2005−170129号公報に記載された操舵中立位置付近でサーボゲインを高める手法を用いた場合であっても、操舵方向とアクチュエータトルクの方向との不一致を解消できないため、操舵開始時における操舵反力の抜けを改善することができない。
[操舵開始時の操舵反力抜け防止作用]
これに対し、実施例1の車両用操舵制御装置では、図10に示すように、操舵開始時の反力抜けを改善するために、操舵中立位置付近(−θ1<θ<θ1)のみ、ギア比Gをクイック側(ギア比G1)に設定する(ステップS1→ステップS2→ステップS7→ステップS5→ステップS6)。
これにより、操舵中立位置付近からハンドル1が切り増し操舵された際、切り始めからアクチュエータトルクを操舵方向と同じ方向に立ち上げることができるため、操舵開始時における操舵反力の抜けを防止することができる(図11)。
そして、操舵角θが中立位置付近を超えて大きくなるに従い、ドライバに違和感を与えないように、ギア比Gを徐々にスロー側に変化させる(ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6)。
この後、操舵角θがある程度大きくなった場合(−θ2>θまたはθ2<θ)には、ギア比Gをスロー側(ギア比G2)に設定する(ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS8→ステップS5→ステップS6)。例えば、操舵角θが大きくなってからもギア比をクイック側に維持した場合、ヨー応答性が高い状態が継続し、車両のヨーレートが目標ヨーレートよりも大きくなって安定性が阻害されるおそれがある。よって、操舵角θがある程度大きくなったらギア比Gを目標ヨーレートに応じたスロー側に変化させることで、ヨーレートを下げてヨー応答性の安定性を向上させることができる。
また、実施例1では、ギア比可変アクチュエータ6のアクチュエータ切り戻し時にのみ、操舵方向と同一方向にアクチュエータトルクを発生させる。例えば、アクチュエータ切り増し時にギア比Gをよりクイック側に変化させた場合、ヨー応答性が高くなりすぎて車両挙動が不安定化するおそれがある。よって、アクチュエータ切り増し時にはギア比Gを変化させないことで、ヨー応答性の安定性を向上させることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用操舵制御装置では、以下に列挙する効果が得られる。
(1) ギア比コントローラ10は、ドライバがハンドル1を切り始める操舵開始時、操舵方向と同一方向にギア比可変アクチュエータ6のアクチュエータトルクを発生させるため、アクチュエータトルクの方向と操舵方向を一致させることにより、操舵中立位置付近からの操舵開始時における操舵反力の抜けを防止することができる。
(2) ギア比コントローラ10は、操舵角θの絶対値が所定値θ1以下となる操舵中立位置付近からの操舵開始時、操舵方向と同一方向にアクチュエータトルクを発生させるため、目標車両挙動(目標ヨーレート等)に影響を及ぼすことなく、操舵中立位置付近からの操舵開始時における操舵反力の抜けのみを防止することができる。
(3) ギア比コントローラ10は、ハンドル1からの角度入力にギア比可変アクチュエータ6からの角度入力を減算してギア比を可変するアクチュエータ切り戻し時、操舵方向と同一方向にアクチュエータトルクを発生させるため、目標車両挙動(目標ヨーレート等)に影響を及ぼすことなく、操舵中立位置付近からの操舵開始時における操舵反力の抜けのみを防止することができる。
(4) ギア比コントローラ10は、ハンドル1からの角度入力にギア比可変アクチュエータ6からの角度入力を加算するアクチュエータ切り増しにより、操舵方向と同一方向にアクチュエータトルクを発生させる。すなわち、回転角目標値θhと実回転角θaとの偏差が常に正となるため、アクチュエータトルクの方向と操舵方向とを一致させることができる。
実施例2は、回転角目標値θhにギア比分の指令値を加算してオフセットすることにより、アクチュエータトルクの方向と操舵方向とを一致させる例である。
なお、全体構成については、図1〜3に示した実施例1と同様であるため、図示ならびに説明を省略する。
実施例1では、操舵角θの値によってギア比Gを切り替える例を示したが、実施例2では、回転角目標値θhにギア比分の補正量を加算してオフセットする。これにより、実施例1と同様、操舵中立位置付近からの操舵開始時には、アクチュエータの切り増しが行われる。
よって、実施例2においても、図11に示したように、操舵中立位置付近からハンドル1を切り増ししていく際に、回転角目標値θhが操舵方向と同一方向に立ち上がるため、回転角目標値θhと実回転角θaとの偏差eは常に正となる。この結果、アクチュエータトルクの方向と操舵方向とを一致させることができる。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両用操舵制御装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(3)に加え、以下の効果が得られる。
(5) ギア比コントローラ10は、操舵中立位置付近におけるギア比可変アクチュエータ6の回転角目標値θhを、操舵方向と同一方向へ立ち上がるように補正する。すなわち、回転角目標値θhと実回転角θaとの偏差が常に正となるため、アクチュエータトルクの方向と操舵方向とを一致させることができる。
実施例3は、制御偏差である回転角目標値θhと実回転角θaとの偏差を補正することにより、アクチュエータトルクの方向と操舵方向とを一致させる例である。
なお、全体構成については、図1〜3に示した実施例1と同様であるため、図示ならびに説明を省略する。
[ギア比可変制御処理]
図12は、実施例3のギア比コントローラ10で実行されるギア比制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS11では、舵角サーボ制御部10bにおいて、回転角目標値θhと実回転角θaを読み込み、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、ステップS11で読み込んだ回転角目標値θhと実回転角θaとから、式(11)を参照して偏差eを算出し、ステップS13へ移行する。
ステップS13では、ハンドル1の操舵方向を検出し、ステップS14へ移行する。ここで、操舵方向は、操舵トルクの発生方向や操舵角速度の方向から検出することができる。
ステップS14では、ステップS13で検出した操舵方向と偏差eの方向とが一致しているか否かを判定する。YESの場合にはステップS16へ移行し、NOの場合にはステップS15へ移行する。
ステップS15では、操舵方向と逆向きのアクチュエータトルクが発生しないよう、偏差eの値を操舵方向と同方向に近くなるように補正し、ステップS16へ移行する。
ステップS16では、ステップS12で算出された偏差e、またはステップS15で補正された偏差eに基づいて、式(12)から電流指令値Iθを演算し、リターンへ移行する。
[操舵開始時の操舵反力抜け防止作用]
実施例3では、操舵中立位置からの操舵開始時、操舵方向と逆向きのアクチュエータトルクが発生しないよう、回転角目標値θhと実回転角θaとの偏差eが操舵方向と逆方向である場合、偏差eの値を操舵方向と同方向に近くなるように補正する(ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15→ステップS16)。
これにより、操舵中立位置付近からハンドル1が切り増し操舵された際、アクチュエータトルクの方向が操舵方向と逆方向となるのを抑制できるため、操舵開始時における操舵反力の抜けを防止することができる(図13)。
次に、効果を説明する。
実施例3の車両用操舵制御装置では、実施例1の効果(1)〜(3)に加え、以下の効果が得られる。
(6) ギア比コントローラ10は、操舵中立位置付近からハンドル1が切り増しされる際、アクチュエータトルクが操舵方向と同一方向に発生するよう、ギア比可変アクチュエータ6の制御偏差eを補正する。これにより、アクチュエータトルクの方向が操舵方向と逆方向となるのを抑制でき、操舵開始時における操舵反力の抜けを防止することができる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜3に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、各実施例では、モータ回転角センサを用いてギア比可変アクチュエータの実回転角を検出する例を示したが、ピニオンシャフトの回転角等から前輪の実転舵角を検出し、実転舵角からギア比可変アクチュエータの実回転角を算出する構成としてもよい。
なお、ギア比可変アクチュエータ6は実施例1に示した構造には限定されず、コラムシャフト4の回転角に加減算した回転角をピニオンシャフト5に伝達する角度加減算型のアクチュエータであれば、他の構造のアクチュエータを用いても良い。
実施例1の車両用操舵制御装置を示す全体構成図である。 ギア比可変アクチュエータ6の構造を示す断面図である。 ギア比コントローラ10の制御ブロック図である。 実施例1のギア比コントローラ10で実行されるギア比可変アクチュエータ6のアクチュエータ切り戻し時におけるギア比制御処理の流れを示すフローチャートである。 操舵方向とアクチュエータトルクの方向とが一致している状態を示す説明図である。 操舵方向とアクチュエータトルクの方向とが互いに逆向きとなっている状態を示す説明図である。 ギア比可変制御の一般的なギア比設定例である。 アクチュエータ切り増し時の時系列データである。 アクチュエータ切り戻し時の時系列データである。 実施例1のギア比制御におけるギア比の変化特性図である。 実施例1のギア比制御作用を示す時系列データである。 実施例3のギア比コントローラ10で実行されるギア比制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3のギア比制御作用を示す時系列データである。
符号の説明
1 ハンドル
2 前輪
3 舵取り機構
4 コラムシャフト
5 ピニオンシャフト
6 ギア比可変アクチュエータ
7 操舵角センサ
8 モータ回転角センサ
10 ギア比コントローラ
10a 回転角目標値演算部
10b 舵角サーボ制御部
11 車速センサ

Claims (5)

  1. コラムシャフトとピニオンシャフトとの間に設けられ、ハンドルからの角度入力を加減算して前記ピニオンシャフトへ出力することで前記ハンドルの操舵角に対する操向輪の転舵角の比であるステアリングギア比を可変する角度入力用アクチュエータと、
    前記コラムシャフトと前記ピニオンシャフトとが同一回転速度のときのステアリングギア比をメカギア比としたとき、低中車速域では前記ステアリングギア比が前記メカギア比よりも大きく、高車速域では前記ステアリングギア比が前記メカギア比よりも小さくなるように前記角度入力用アクチュエータを制御するギア比制御手段と、
    を備えた車両用操舵制御装置において、
    車速と操舵角とから車両の目標ヨーレートを生成し、前記目標ヨーレートを得る目標ギア比を設定する目標ギア比設定手段を有し、
    前記ギア比制御手段は、運転者が前記ハンドルを操舵角が所定値以下となる操舵中立位置付近から切り増しした、操舵角が操舵中立位置付近を超えるまでの間のステアリングギア比を前記目標ギア比が前記メカギア比よりも小さい場合には前記メカギア比よりも大きなギア比とし、前記目標ギア比が前記メカギア比以上の場合には前記目標ギア比とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記ギア比制御手段は、操舵方向と同一方向に前記アクチュエータトルクを発生させることで前記ステアリングギア比を前記メカギア比よりも大きなギア比とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記ギア比制御手段は、前記ハンドルからの角度入力に前記角度入力用アクチュエータからの角度入力を加算するアクチュエータ切り増しにより、操舵方向と同一方向に前記アクチュエータトルクを発生させることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記ギア比制御手段は、操舵中立位置付近における前記角度入力用アクチュエータへの回転角目標値を、操舵方向と同一方向へ立ち上がるように補正することを特徴とする車両用操舵制御装置。
  5. 請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記ギア比制御手段は、操舵中立位置付近から前記ハンドルが切り増しされる際、前記アクチュエータトルクが操舵方向と同一方向に発生するよう、前記角度入力用アクチュエータの制御偏差を補正することを特徴とする車両用操舵制御装置。
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