JP2006298158A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】外径成長したタイヤのレールウェイ摩耗とショルダー摩耗とを共に効果的に抑制することが可能な空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド面1にタイヤ周方向Tに延在する4本の主溝2を設け、最外側の主溝2A間のセンター部1Aに3本の陸部3Aを、最外側の主溝2Aよりタイヤ外側の両ショルダー部1Bに各1本の陸部3Bを区分形成し、タイヤ外径が最大成長量の70%以上成長した空気入りタイヤである。トレッド面1の接地時におけるセンター部1Aの中央の陸部3A1の接地長A、及びショルダー部1Bの陸部3Bの外側エッジbの接地長Bと内側エッジcの接地長Cとの関係が下記の式を満足する。
0.80≦B/A≦1.00
0.90≦C/B≦1.10
【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、外径成長したタイヤの偏摩耗を改善するようにした空気入りタイヤに関する。
バスやトラックなどの重荷重車両に使用される空気入りタイヤは、高い荷重が作用するため、トレッド面にタイヤ周方向に延在する主溝によりリブを区分形成したリプパターンが一般に採用されている。このようなタイヤでは、ショルダー部に位置するリブの外側エッジ部が摩耗するショルダー摩耗(肩落ち摩耗)や、リブの一方のエッジ部、特にショルダー部のリブの内側エッジ部に沿って摩耗が進行するレールウェイ摩耗などの偏摩耗の発生が問題になっていた。このような摩耗が進行すると、多角形摩耗に発展し、タイヤ振動を助長する。
ところで、重荷重用の空気入りタイヤは、作用する高い荷重とタイヤの発熱の影響から、走行使用する内にタイヤ外径が大きくなる外径成長が生じる。これに伴い、新品タイヤにおけるトレッド面の接地形状が変化する。他方、タイヤは外径成長した状態で長く使用される。そこで、上述した偏摩耗を効果的に改善するには、タイヤの外径成長を加味する必要がある。
従来、ショルダー摩耗やレールウェイ摩耗に対する対策として、例えば、リブのタイヤ周長を規定することにより、偏摩耗を改善するようにした空気入りタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、タイヤの外径成長に対する考慮がなされておらず、特に操舵軸に使用されるタイヤにおいて問題となるレールウェイ摩耗とショルダー摩耗に対する抑制効果が不十分であり、その改善が求められていた。
特開平8−85308号公報
本発明の目的は、外径成長したタイヤのレールウェイ摩耗とショルダー摩耗とを共に効果的に抑制することが可能な空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、トレッド面にタイヤ周方向に延在する4本の主溝を設け、最外側の主溝間のセンター部に3本の陸部を、該最外側の主溝よりタイヤ外側の両ショルダー部に各1本の陸部を区分形成し、タイヤ外径が最大成長量の70%以上成長した空気入りタイヤにおいて、前記トレッド面接地時における前記センター部の中央の陸部の接地長A、及び前記ショルダー部の陸部の外側エッジの接地長Bと内側エッジの接地長Cとの関係が下記の式を満足することを特徴とする。
0.80≦B/A≦1.00
0.90≦C/B≦1.10
上述した本発明によれば、外径成長したタイヤおいて、センター部の中央の陸部の接地長A、及びショルダー部の陸部の外側エッジの接地長Bと内側エッジの接地長Cとの関係を上記のように特定することにより、ショルダー部の陸部に発生するショルダー摩耗とレールウェイ摩耗に対する接地形状を最適化して両摩耗を効果的に抑制することができるので、外径成長したタイヤのショルダー摩耗とレールウェイ摩耗とを共に改善することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の空気入りタイヤの一例を示し、この空気入りタイヤは、走行使用により使用前の新品タイヤよりタイヤ外径が大きく、外径成長したタイヤであり、最大成長量の70%以上成長した走行成長安定期にあるものである。
トレッド面1にタイヤ周方向Tに沿ってストレート状に延在する4本の主溝2が設けられ、それら主溝2によりタイヤ周方向Tに延在する5本のリブ(陸部)3が区分形成されている。
最外側に位置する主溝2A間のセンター部1Aに3本のリブ3Aが配置されている。中央のリブ3A1がタイヤセンターラインCL上に配置され、両側のリブ3A2が、タイヤセンターラインCLに対して左右対称的に配置されている。最外側に位置する主溝2Aよりタイヤ外側の両ショルダー部1Bには、それぞれ1本のリブ3Bが配設されている。
トレッド面1が路面に接地した接地時(フットプリントの状態)において、センター部1Aの中央のリブ3A1とショルダー部1Bのリブ3Bは、図2に示すように、リブ3A1のタイヤセンターラインCL上での接地長をA、リブ3Bの外側エッジbの接地長をB、リブ3Bの内側エッジcの接地長をCとすると、下記の式の関係を満足するようになっている。
0.80≦B/A≦1.00
0.90≦C/B≦1.10
また、センター部1Aの両側のリブ3A2において、外側エッジdの接地長Dを内側エッジeの接地長Eに対してD≦E、内側エッジeの接地長Eを中央のリブ3A1の接地長Aに対してE≦A、ショルダー部1Bのリブ3Bの外側エッジbの接地長Bに対してE≧B、外側エッジdの接地長Dをリブ3Bの内側エッジcの接地長Cに対してD≧Cにしている。
なお、ここで言う接地時のリブの接地長とは、空気入りタイヤをJATMA(JATMA YEAR BOOK 2004)に記載される標準リムに装着し、最大負荷能力に対応した空気圧と荷重を加えて接地させた時のリブの接地長さである。
上記のような接地形状(フットプリント)は、例えば、トレッド部に埋設されるベルト層の層数や、トレッドゴム層の厚さ分布、トレッド面1のプロファイルなどを適宜調整することにより得ることができる。
本発明者は、トレッド面に4本の主溝を持ち、外径成長した重荷重用の空気入りタイヤ、特に操舵軸に使用される重荷重用空気入りタイヤにおいて、レールウェイ摩耗とショルダー摩耗に関して鋭意検討した結果、以下のことを知見した。
即ち、重荷重用空気入りタイヤは、図3に示すように、走行使用するに従ってタイヤの外径が次第に大きくなり、外径成長を起こす。この外径成長の量は、ある地点(最大成長量の約70%の量)を過ぎると大幅に小さくなり、ついに飽和してそれ以上成長しなくなる最大成長量に達する。
このように外径成長の量が大幅に小さくなった成長安定期の状態でタイヤが摩耗限度までトレッド面が摩耗するまで使用されるが、このように外径成長したタイヤにおいて、接地形状を調べたところ、図4に示すように、4本の主溝に区分された5本のリブRにおいて、ショルダー部に位置するリブR1の接地長がセンター側より長くなると、ショルダー摩耗が発生する傾向が高く、逆に図5に示すように、ショルダー部におけるリブR1の接地長がセンター側より短くなると、ショルダー摩耗が発生する傾向が低くなることがわかった。
また、図6に示すように、ショルダー部におけるリブR1において、内側エッジの接地長が外側エッジの接地長より1.1倍を超えて長くなると、斜線で示す部分にレールウェイ摩耗が発生し易くなり、図7に示すように、センター部の両側のリブR2では外側エッジの接地長が内側エッジの接地長より長くなると、斜線で示す部分にレールウェイ摩耗が発生し易くなることがわかった。
また、図8に示すように、ショルダー部のリブR1の内側エッジの接地長が外側エッジの接地長より短くなると、またセンター部のリブR2では外側エッジの接地長が内側エッジの接地長より短くなると、レールウェイ摩耗が発生する傾向が低くなることがわかった。
そこで、本発明では、4本の主溝2により区分されたリブ3の接地長の関係を上記のように規定したのである。センター部1AのタイヤセンターラインCL上に位置する中央のリブ3A1の接地長Aと、ショルダー部1Bに位置するリブ3Bとの関係を上記のように特定した接地形状にすることで、リブ3Bに発生するショルダー摩耗とレールウェイ摩耗に対する接地形状を最適化して両摩耗を効果的に抑制することが可能になり、外径成長したタイヤのレールウェイ摩耗とショルダー摩耗とを同時に改善することができる。
B/Aが0.80より小さいと、中央のリブ3A1においてリブパンチが発生し易くなるため好ましくない。逆に1.00より大きいと、ショルダー摩耗を効果的に抑制することが難しくなる。好ましくは、0.80〜0.90がよい。
C/Bが0.90未満であると、ショルダー部1Bに段差摩耗が発生し易くなるため、好ましくない。逆に1.10を超えると、レールウェイ摩耗を効果的に抑制することができない。好ましくは、0.90〜1.00がよい。
また、センター部1Aの両側のリブ3A2の接地長を上記のように規定することにより、リブ3A2の外側エッジdに沿って発生するレールウェイ摩耗を他の偏摩耗の問題を招くことなく効果的に抑制することができる。
本発明では、使用前の新品タイヤにおいて、外径成長した際に上述した構成を有するか否かを調べる場合、実際に車両に装着して外径成長させてもよいが、以下の方法により容易に調べることができる。
試験タイヤをリム組し、空気圧(700kPa)を充填した状態で50℃以上の環境下で24時間以上放置する。これにより、試験タイヤの外径が最大成長量の70%以上成長する。放置後、試験タイヤのフットプリントを採取する。
あるいは同様にリム組して空気圧を充填した試験タイヤを速度10km/h以上、JATMA記載の最大負荷能力の50%荷重以上の条件下で回転するドラム上を10時間以上連続走行させる。このようにしても、試験タイヤの外径を最大成長量の70%以上成長させることができる。
成長量は、主溝の溝底からタイヤ回転軸中心までの距離を新品時と成長時に測定し、その差をタイヤ外径の成長量とする。あるいは新品時のタイヤ外径Nと、成長時のタイヤ外径N’(成長時のタイヤ外周長/π+摩耗量×2)から、(N’−N)/2の値をタイヤ外径の成長量とする。
本発明は、特に操舵輪に装着される重荷重用の空気入りタイヤに好ましく用いることができるが、それに限定されない。
タイヤサイズを295/75R22.5で共通にし、センター部の中央のリブの接地長Aと、ショルダー部のリブの外側エッジの接地長B及び内側エッジの接地長Cの関係B/A、C/Bを表1のようにした図1に示す構成の本発明タイヤ1〜4と比較タイヤ1〜3をそれぞれ作製した。
各試験タイヤにおいて、外径成長量は最大成長量の70%〜80%の範囲、センター部の両側のリブの外側エッジの接地長Dと内側エッジの接地長Eは、D<E、E<A、E>B、D>Cの関係になっている。
これら各試験タイヤをリムサイズ8.25×22.5のリムに装着し、空気圧を760kPa にして、25トンのトラックの前輪(操舵輪)に取付け、以下に示す試験条件により、ショルダー摩耗とレールウェイ摩耗の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
ショルダー摩耗
一般車道を6万マイル(96000km)走行した後、センター部の中央のリブとショルダー部のリブの外側エッジの摩耗量を測定し、その摩耗量差から比較タイヤ1を100とする指数値で評価した。この値が大きい程ショルダー摩耗の発生が少なく、耐ショルダー摩耗性に優れている。
レールウェイ摩耗
上記6万マイル(96000km)走行後、ショルダー部のリブの内側エッジの摩耗量を測定し、その結果を比較タイヤ1を100とする指数値で評価した。この値が大きい程レールウェイ摩耗の発生が少なく、耐レールウェイ摩耗性に優れている。
Figure 2006298158
表1から、本発明タイヤは、外径成長したタイヤにおけるレールウェイ摩耗とショルダー摩耗とを共に効果的に改善できることがわかる。
本発明の空気入りタイヤのトレッド面の一例を示す要部展開図である。 本発明の空気入りタイヤのトレッド面の接地形状の説明図である。 2種類のタイヤにおいて、タイヤ外径の成長量の変化を示すグラフ図である。 ショルダー部におけるリブの接地長がセンター側より長い場合の接地形状の説明図である。 ショルダー部におけるリブの接地長がセンター側より短い場合の接地形状の説明図である。 ショルダー部におけるリブにおいて、内側エッジの接地長が外側エッジの接地長より長い場合の接地形状の説明図である。 センター部の両側のリブにおいて、外側エッジの接地長が内側エッジの接地長より長い場合の接地形状の説明図である。 ショルダー部のリブにおいて内側エッジの接地長が外側エッジの接地長より短く、またセンター部の両側のリブにおいて外側エッジの接地長が内側エッジの接地長より短い場合の接地形状の説明図である。
符号の説明
1 トレッド面
1A センター部
1B ショルダー部
2,2A,2B 主溝
3 リブ(陸部)
CL タイヤセンターライン
T タイヤ周方向
b 外側エッジ
c 内側エッジ
d 外側エッジ
e 内側エッジ

Claims (6)

  1. トレッド面にタイヤ周方向に延在する4本の主溝を設け、最外側の主溝間のセンター部に3本の陸部を、該最外側の主溝よりタイヤ外側の両ショルダー部に各1本の陸部を区分形成し、タイヤ外径が最大成長量の70%以上成長した空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッド面接地時における前記センター部の中央の陸部の接地長A、及び前記ショルダー部の陸部の外側エッジの接地長Bと内側エッジの接地長Cとの関係が下記の式を満足する空気入りタイヤ。
    0.80≦B/A≦1.00
    0.90≦C/B≦1.10
  2. 前記センター部の両側の陸部において、外側エッジの接地長Dを内側エッジの接地長Eに対してD≦Eにした請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記センター部の両側の陸部の内側エッジの接地長Eを前記中央の陸部の接地長Aに対してE≦A、前記ショルダー部の陸部の外側エッジの接地長Bに対してE≧Bにした請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記センター部の両側の陸部の外側エッジの接地長Dを前記ショルダー部の陸部の内側エッジの接地長Cに対してD≧Cにした請求項2または3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記陸部がリブである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記空気入りタイヤが重荷重用空気入りタイヤである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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