図1は、本発明の第1の実施形態に係る感光性積層体の製造装置20の概略構成図であり、この製造装置20は、液晶又は有機EL用カラーフィルタの製作工程で、長尺状感光性ウエブ22a、22bの各感光性樹脂層28(後述する)を並列してガラス基板24に熱転写する作業を行う。感光性ウエブ22a、22bは、それぞれ所定の幅寸法に設定されており、例えば、前記感光性ウエブ22aが前記感光性ウエブ22bよりも幅広に構成されている。
図2は、製造装置20に使用される感光性ウエブ22a、22bの断面図である。この感光性ウエブ22a、22bは、可撓性ベースフイルム(支持体)26と、感光性樹脂層(感光材料層)28と、保護フイルム30とを積層して構成される。
図1に示すように、製造装置20は、感光性ウエブ22a、22bをロール状に巻回した2本(2本以上であればよい)の感光性ウエブロール23a、23bを収容し、各感光性ウエブロール23a、23bから前記感光性ウエブ22a、22bを同期して送り出し可能な第1及び第2ウエブ送り出し機構32a、32bと、送り出された各感光性ウエブ22a、22bの保護フイルム30に幅方向に切断可能な境界位置であるハーフカット部位(加工部位)34を形成する第1及び第2加工機構36a、36bと、一部に非接着部38aを有する接着ラベル38(図3参照)を各保護フイルム30に接着させる第1及び第2ラベル接着機構40a、40bとを備える。
第1及び第2ラベル接着機構40a、40bの下流には、各感光性ウエブ22a、22bをタクト送りから連続送りに変更するための第1及び第2リザーバ機構42a、42bと、各感光性ウエブ22a、22bから保護フイルム30を所定の長さ間隔で剥離させる第1及び第2剥離機構44a、44bと、ガラス基板24を所定の温度に加熱した状態で貼り付け位置に搬送する基板搬送機構45と、前記保護フイルム30の剥離により露出した感光性樹脂層28を前記ガラス基板24に一体的且つ並列に貼り付ける貼り付け機構46とが配設される。
貼り付け機構46における貼り付け位置の上流近傍には、各感光性ウエブ22a、22bの境界位置であるそれぞれのハーフカット部位34を直接検出する第1及び第2検出機構47a、47bが配設されるとともに、前記貼り付け機構46の下流には、各ガラス基板24間の前記感光性ウエブ22a、22bを一体的に切断可能な基板間ウエブ切断機構48が配設される。この基板間ウエブ切断機構48の上流には、運転開始時に使用されるウエブ先端切断機構48aが設けられる。
第1及び第2ウエブ送り出し機構32a、32bの下流近傍には、略使用済みの感光性ウエブ22a、22bの後端と、新たに使用される感光性ウエブ22a、22bの先端とを貼り付けるそれぞれの貼り付け台49が配設される。貼り付け台49の下流には、感光性ウエブロール23a、23bの巻きずれによる幅方向のずれを制御するために、フイルム端末位置検出器51が配設される。ここで、フイルム端末位置調整は、第1及び第2ウエブ送り出し機構32a、32bを幅方向に移動させて行うが、ローラを組み合わせた位置調整機構を付設して行ってもよい。なお、第1及び第2ウエブ送り出し機構32a、32bは、感光性ウエブロール23a、23bを装填して感光性ウエブ22a、22bを繰り出す繰り出し軸を、2軸又は3軸等の多軸に構成してもよい。
第1及び第2加工機構36a、36bは、第1及び第2ウエブ送り出し機構32a、32bに収容巻回されている各感光性ウエブロール23a、23bのロール径を算出するためのローラ対50の下流に配置される。第1及び第2加工機構36a、36bは、それぞれ単一の丸刃52を備え、この丸刃52は、感光性ウエブ22a、22bの幅方向に走行して前記感光性ウエブ22a、22bの所定の位置にハーフカット部位34を形成する。
図2に示すように、ハーフカット部位34は、少なくとも保護フイルム30を切断する必要があり、実際上、この保護フイルム30を確実に切断するために感光性樹脂層28乃至ベースフイルム26まで切り込むように丸刃52の切り込み深さが設定される。丸刃52は、回転することなく固定された状態で、感光性ウエブ22a、22bの幅方向に移動してハーフカット部位34を形成する方式や、前記感光性ウエブ22a、22b上を滑ることなく回転しながら前記幅方向に移動して前記ハーフカット部位34を形成する方式が採用される。このハーフカット部位34は、丸刃52に代替して、例えば、レーザ光や超音波を用いたカット方式の他、ナイフ刃、押し切り刃(トムソン刃)等で形成する方式を採用してもよい。
なお、第1及び第2加工機構36a、36bは、それぞれ感光性ウエブ22a、22bの搬送方向(矢印A方向)に所定の距離だけ離間して2台配設し、残存部分30bを挟んで2つのハーフカット部位34を同時に形成してもよい。
ハーフカット部位34は、ガラス基板24の間隔を設定するものであり、例えば、両側の前記ガラス基板24にそれぞれ10mmずつ入り込んだ位置に設定される。ガラス基板24間のハーフカット部位34で挟まれた部分は、後述する貼り付け機構46において感光性樹脂層28を前記ガラス基板24に額縁状に貼り付ける際のマスクとして機能するものである。
第1及び第2ラベル接着機構40a、40bは、ガラス基板24間に対応して保護フイルム30の残存部分30bを残すため、剥離側前方の剥離部分30aaと剥離側後方の剥離部分30abとを連結する接着ラベル38を供給する。図2に示すように、保護フイルム30は、残存部分30bを挟んで、先に剥離される部分を前方の剥離部分30aaとする一方、後に剥離される部分を後方の剥離部分30abとする。
図3に示すように、接着ラベル38は、短冊状に構成されており、例えば、保護フイルム30と同一の樹脂材で形成される。接着ラベル38は、中央部に粘着剤が塗布されない非接着部(微粘着を含む)38aを有するとともに、この非接着部38aの両側、すなわち、前記接着ラベル38の長手方向両端部に、前方の剥離部分30aaに接着される第1接着部38bと、後方の剥離部分30abに接着される第2接着部38cとを有する。
図1に示すように、第1及び第2ラベル接着機構40a、40bは、それぞれ最大5枚の接着ラベル38を所定間隔ずつ離間して貼り付け可能な吸着パッド54a〜54eを備えるとともに、前記吸着パッド54a〜54eによる前記接着ラベル38の貼り付け位置には、感光性ウエブ22a、22bを下方から保持するための受け台56が昇降自在に配置される。
第1及び第2リザーバ機構42a、42bは、上流側の感光性ウエブ22a、22bのタクト搬送と、下流側の前記感光性ウエブ22a、22bの連続搬送との速度差を吸収するために、揺動自在なダンサーローラ60を備える。第2リザーバ機構42bには、第1及び第2ウエブ送り出し機構32a、32bから送り出される各感光性ウエブ22a、22bが貼り付け機構46に至るまでの各搬送路長を同一に調整するためのダンサーローラ61が配設される。
第1及び第2リザーバ機構42a、42bの下流に配置される第1及び第2剥離機構44a、44bは、それぞれ感光性ウエブ22a、22bの送り出し側のテンション変動を遮断し、ラミネート時のテンションを安定化させるためのサクションドラム62を備える。各サクションドラム62の近傍には、剥離ローラ63が配置されるとともに、この剥離ローラ63を介して感光性ウエブ22a、22bから鋭角の剥離角で剥離される保護フイルム30は、残存部分30bを除いてそれぞれ保護フイルム巻き取り部64に巻き取られる。
第1及び第2剥離機構44a、44bの下流側には、感光性ウエブ22a、22bにテンションを付与可能な第1及び第2テンション制御機構66a、66bが配設される。第1及び第2テンション制御機構66a、66bは、それぞれシリンダ68を備え、前記シリンダ68の駆動作用下に、それぞれテンションダンサー70が揺動変位することにより、各テンションダンサー70が摺接する感光性ウエブ22a、22bのテンションが調整可能である。なお、第1及び第2テンション制御機構66a、66bは、必要に応じて使用すればよく、削除することもできる。
第1及び第2検出機構47a、47bは、レーザセンサやフォトセンサ等の光電センサ72a、72bを備えており、前記光電センサ72a、72bは、ハーフカット部位34の楔状の溝形状部や、保護フイルム30の厚さによる段差、あるいは、これらの組み合わせによる変化を直接検出し、この検出信号を境界位置信号とする。光電センサ72a、72bは、バックアップローラ73a、73bに対向して配置される。なお、光電センサ72a、72bに代えて、非接触変位計やCCDカメラ等の画像検査手段等を用いてもよい。
第1及び第2検出機構47a、47bにより検出されるハーフカット部位34の位置データは、リアルタイムで統計処理及びグラフ化が可能であり、ばらつき異常や偏りの発生時に警報を出すことができる。
また、ハーフカット部位34を直接検出するのではなく、このハーフカット部位34に対応して第1及び第2加工機構36a、36bの近傍で孔部や切り欠きを形成したり、レーザ加工やアクアジェット加工による孔開けや切り込みを設けたり、インクジェットやプリンタ等によるマーキングを設けたりしてマーク部を形成し、このマーク部を検出して境界位置信号としてもよい。
基板搬送機構45は、ガラス基板24を挟持するように配設される複数組の基板加熱部(例えば、ヒータ)74と、このガラス基板24を矢印C方向に搬送する搬送部76とを備える。基板加熱部74では、ガラス基板24の温度を常時監視し、異常時には、搬送部76の停止や警報を発生するとともに、異常情報を発信して異常なガラス基板24を後工程でNG排出、品質管理又は生産管理等に活用することができる。搬送部76には、図示しないエア浮上プレートが配設され、ガラス基板24が浮上されて矢印C方向に搬送される。ガラス基板24の搬送は、ローラコンベアでも行える。
ガラス基板24の温度測定は、基板加熱部74内又は貼り付け位置直前で行うことが好ましい。測定方法としては、接触式(例えば、熱電対)の他、非接触式であってもよい。
基板加熱部74の上流には、複数のガラス基板24が収容される基板ストッカー71が設けられる。この基板ストッカー71に収容されている各ガラス基板24は、ロボット75のハンド部75aに設けられた吸着パッド79に吸着されて取り出され、基板加熱部74に挿入される。
基板加熱部74の下流には、ガラス基板24の先端に当接してこのガラス基板24を保持するストッパ77と、前記ガラス基板24の先端位置を検出する位置センサ78とが配設される。位置センサ78は、ガラス基板24が貼り付け位置に向かう途中でガラス基板先端を検出し、そこから定量送ることで、ラミネート用ゴムローラ80a、80b間の所定の位置に位置決めするためにある。ここで、位置センサ78は、複数個配設して各位置におけるガラス基板24の到着タイミングを監視し、基板搬送開始時のスリップ等による遅れをチェックするのが好ましい。なお、ガラス基板24の加熱は、上記のような搬送加熱の他、バッチ式のオーブンを使用してロボット搬送してもよい。
貼り付け機構46は、上下に配設されるとともに、所定温度に加熱されるゴムローラ80a、80bを備える。ゴムローラ80a、80bには、バックアップローラ82a、82bが摺接するとともに、前記バックアップローラ82bは、ローラクランプ部83を構成する加圧シリンダ84a、84bによりゴムローラ80b側に押圧される。
図4に示すように、ローラクランプ部83は、駆動モータ93の駆動軸に連結される減速機93aの駆動軸93bにボールねじ94が軸着される。ボールねじ94には、ナット部材95が螺合するとともに、このナット部材95は、スライドベース96に固定される。スライドベース96のウエブ幅方向(矢印B方向)両端には、テーパカム97a、97bが固着される。テーパカム97a、97bの高さは、矢印B1方向に向かって高くなるように設定される。テーパカム97a、97b上には、ローラ98a、98bが載置されており、このローラ98a、98bは、加圧シリンダ84a、84bの下部に保持されている。
図1に示すように、ゴムローラ80aの近傍には、感光性ウエブ22a、22bが前記ゴムローラ80aに接触することを防止するための接触防止ローラ86が移動可能に配設される。貼り付け機構46の上流近傍には、感光性ウエブ22a、22bを予め所定温度に予備加熱するための予備加熱部87が配設される。この予備加熱部87は、例えば、赤外線バーヒータや熱加熱手段を備える。
ガラス基板24は、貼り付け機構46から基板間ウエブ切断機構48を通ってさらに矢印B方向に延在する搬送路88を介して矢印C方向に搬送される。この搬送路88には、フイルム搬送ローラ90a、90bと基板搬送ローラ92とが、ウエブ先端切断機構48aを介装して配設される。ゴムローラ80a、80bと基板搬送ローラ92との間隔は、ガラス基板24の一枚分の長さ以下に設定されることが好ましい。
図5に示すように、フイルム搬送ローラ90a、90bは、互いに並列して貼り付け機構46から送られる2本の感光性ウエブ22a、22bの幅方向に長尺に構成されており、それぞれ個別に回転駆動される。フイルム搬送ローラ90a、90bには、ニップローラ群89a、89bが配設される。
ニップローラ群89aは、フイルム搬送ローラ90aの幅方向(矢印D方向)に所定間隔ずつ離間して配設される複数、例えば、5本のニップローラ91aを備える。各ニップローラ91aは、シリンダ99aを介してフイルム搬送ローラ90aに対して個別に進退可能である。ニップローラ群89bは、同様に5本のニップローラ96bを備えるとともに、各ニップローラ91bは、シリンダ99bを介してフイルム搬送ローラ90bに対して個別に進退可能である。
製造装置20では、第1及び第2ウエブ送り出し機構32a、32b、第1及び第2加工機構36a、36b、第1及び第2ラベル接着機構40a、40b、第1及び第2リザーバ機構42a、42b、第1及び第2剥離機構44a、44b、第1及び第2テンション制御機構66a、66b並びに第1及び第2検出機構47a、47bが、貼り付け機構46の上方に配置されているが、これとは逆に、前記第1及び第2ウエブ送り出し機構32a、32bから前記第1及び第2検出機構47a、47bまでを前記貼り付け機構46の下方に配置し、感光性ウエブ22a、22bの上下が逆になって感光性樹脂層28がガラス基板24の下側に貼り付けてもよく、また、前記製造装置20全体を直線上に構成してもよい。
図1に示すように、製造装置20は、ラミネート工程制御部100を介して全体制御されており、この製造装置20の各機能部毎に、例えば、ラミネート制御部102や基板加熱制御部104等が設けられ、これらが工程内ネットワークにより繋がっている。ラミネート工程制御部100は、工場ネットワークに繋がっており、図示しない工場CPUからの指示情報(条件設定や生産情報)の生産管理や稼動管理等、生産のための情報処理を行う。
基板加熱制御部104は、上流工程からガラス基板24を受け入れ、このガラス基板24を所望の温度まで加熱して貼り付け機構46に供給する動作及び該ガラス基板24の情報のハンドリング等を制御する。
ラミネート制御部102は、工程全体のマスターとして、各機能部の制御を行うものであり、第1及び第2検出機構47a、47bにより検出された感光性ウエブ22a、22bのハーフカット部位34の位置情報に基づいて、貼り付け位置における各境界位置とガラス基板24との相対位置及び各境界位置同士の相対位置を制御可能な制御機構を構成している。
製造装置20内は、仕切り壁110を介して第1クリーンルーム112aと第2クリーンルーム112bとに仕切られる。第1クリーンルーム112aには、第1及び第2ウエブ送り出し機構32a、32bから第1及び第2テンション制御機構66a、66bまでが収容されるとともに、第2クリーンルーム112bには、第1及び第2検出機構47a、47b以降が収容される。第1クリーンルーム112aと第2クリーンルーム112bとは、貫通部114を介して連通する。
図6に示すように、貫通部114は、第1クリーンルーム112aに配設される除塵部115と、第2クリーンルーム112bに配設されるエアシール部116とを備える。
除塵部115は、感光性ウエブ22a、22bの両面に対向して配置される一対の吸引ノズル117aを備えるとともに、前記吸引ノズル117a内に吹き出しノズル118が配置される。吹き出しノズル118は、エアを吹き出して除塵を行う一方、吸引ノズル117aは、吹き出されたエア及び塵埃を吸引する。
エアシール部116は、感光性ウエブ22a、22bの両面に対向して配置される一対の吸引ノズル117bを備える。吸引ノズル117bによりエアを吸引することによって、貫通部114をシールする。なお、除塵部115とエアシール部116の位置を入れ替えたり、前記除塵部115と前記エアシール部116を複数組み合わせてもよい。また、感光性樹脂層28が露出している面に対向する側には、吹き出しノズル118を設けずに吸引ノズル117aのみを設けてもよい。
製造装置20内は、仕切り壁110を設けることにより、貼り付け機構46での加熱による熱気が上昇して感光性ウエブ22a、22bへの熱影響、例えば、表面の皺、変形、熱収縮又は延びを防止する。さらに、塵埃の発生や該塵埃が落下し易い上部(第1クリーンルーム112a)と下部(第2クリーンルーム112b)とを遮断して、特に貼り付け機構46のクリーン度を確保する。なお、第2クリーンルーム112bの圧力を第1クリーンルーム112aの圧力よりも高圧に設定し、前記第2クリーンルーム112bに塵埃が流入することを阻止することが望ましい。
図1に示すように、第2クリーンルーム112bの上方には、クリーンエアを下方に向かって供給するためのエア供給部(図示せず)が配設される。
このように構成される製造装置20の動作について、本発明に係る製造方法との関連で以下に説明する。
先ず、イニシャル(頭出し)開始時には、第1及び第2ウエブ送り出し機構32a、32bに取り付けられている各感光性ウエブロール23a、23bから感光性ウエブ22a、22bが送り出される。感光性ウエブ22a、22bは、第1及び第2加工機構36a、36b、第1及び第2ラベル接着機構40a、40b、第1及び第2リザーバ機構42a、42b、第1及び第2剥離機構44a、44b並びに貼り付け機構46を通って、フイルム搬送ローラ90a、90bに繰り出される。
図5に示すように、ニップローラ群89aでは、幅広の感光性ウエブ22a側(手前側)に配置されている3つのニップローラ91aが、各シリンダ99aの作用下にフイルム搬送ローラ90a側に進出する。このため、幅広な感光性ウエブ22aは、3つのニップローラ91aとフイルム搬送ローラ90aとに挟持される。
一方、ニップローラ群89bでは、幅狭な感光性ウエブ22b側(奥側)に配置されている2つのニップローラ91bが、各シリンダ99bの作用下にフイルム搬送ローラ90b側に進出する。従って、幅狭な感光性ウエブ22bは、2つのニップローラ91bとフイルム搬送ローラ90bとに挟持される。
なお、ニップローラ群89aでは、奥側の2つのニップローラ91aがフイルム搬送ローラ90aから離間するとともに、ニップローラ群89bでは、手前側の3つのニップローラ91bがフイルム搬送ローラ90bから離間して配置される。
次いで、第1検出機構47aを構成する光電センサ72aにより感光性ウエブ22aのハーフカット部位34が検出されると、この検出信号に基づいてフイルム搬送ローラ90aが回転駆動される。このため、感光性ウエブ22aは、フイルム搬送ローラ90aと3つのニップローラ96aとの挟持作用下に、貼り付け位置に向かって定量搬送される。
また、第2検出機構47bを構成する光電センサ72bにより感光性ウエブ22bのハーフカット部位34が検出されると、この検出信号に基づいてフイルム搬送ローラ90bが回転駆動される。従って、感光性ウエブ22bは、フイルム搬送ローラ90bと2つのニップローラ96bとの挟持作用下に、貼り付け位置に向かって定量搬送される。このため、感光性ウエブ22a、22bの各ハーフカット部位34は、所定の貼り付け位置に対応して位置決めされる。なお、貼り付け位置の下流で各ハーフカット部位34を検出し、感光性ウエブ22a、22bを所定の位置に停止させてもよい。
感光性ウエブ22a、22bが定量搬送された後、図7に示すように、接触防止ローラ86が下降して、前記感光性ウエブ22a、22bがゴムローラ80aに接触することを防止している。また、ガラス基板24は、貼り付け位置の直前で待機している。これにより、イニシャル開始状態が得られる。
次に、ラミネート運転時における製造装置20を構成する各機能部の動作について説明する。
先ず、図1に示すように、第1及び第2加工機構36a、36bでは、丸刃52が感光性ウエブ22a、22bの幅方向に移動して、前記感光性ウエブ22a、22bを保護フイルム30から感光性樹脂層28乃至ベースフイルム26まで切り込んでハーフカット部位34を形成する(図2参照)。さらに、感光性ウエブ22a、22bは、図1に示すように、保護フイルム30の残存部分30bの寸法に対応して矢印A方向に搬送された後に停止され、丸刃52の走行作用下にハーフカット部位34が形成される。これにより、感光性ウエブ22a、22bには、残存部分30bを挟んで前方の剥離部分30aaと後方の剥離部分30abとが設けられる(図2参照)。
次いで、各感光性ウエブ22a、22bは、第1及び第2ラベル接着機構40a、40bに搬送されて、保護フイルム30の所定の貼り付け部位が受け台56上に配置される。第1及び第2ラベル接着機構40a、40bでは、所定枚数の接着ラベル38が吸着パッド54b〜54eにより吸着保持され、各接着ラベル38が保護フイルム30の残存部分30bを跨いで、前方の剥離部分30aaと後方の剥離部分30abとに一体的に接着される(図3参照)。
例えば、5本の接着ラベル38が接着された感光性ウエブ22a、22bは、図1に示すように、第1及び第2リザーバ機構42a、42bを介して送り出し側のテンション変動を防いだ後、第1及び第2剥離機構44a、44bに連続的に搬送される。第1及び第2剥離機構44a、44bでは、図8に示すように、感光性ウエブ22a、22bのベースフイルム26がサクションドラム62に吸着保持されるとともに、保護フイルム30が残存部分30bを残して前記感光性ウエブ22a、22bから剥離される。この保護フイルム30は、剥離ローラ63を介して鋭角の剥離角で剥離されて保護フイルム巻き取り部64に巻き取られる(図1参照)。
その際、感光性ウエブ22a、22bは、サクションドラム62により強固に保持されており、この感光性ウエブ22a、22bから保護フイルム30を剥離する時の衝撃が下流の前記感光性ウエブ22a、22bに作用することがない。これにより、貼り付け機構46に剥離の衝撃が伝わることがなく、ガラス基板24のラミネート部分にスジ状の不良個所等が発生することを良好に阻止することができる。
第1及び第2剥離機構44a、44bの作用下に、保護フイルム30が残存部分30bを残してベースフイルム26から剥離された後、感光性ウエブ22a、22bは、第1及び第2テンション制御機構66a、66bによってテンション調整が行われ、さらに第1及び第2検出機構47a、47bで光電センサ72a、72bによりハーフカット部位34の検出が行われる。
各感光性ウエブ22a、22bは、ハーフカット部位34の検出情報に基づいて、フイルム搬送ローラ90a、90bの回転作用下に、それぞれ貼り付け機構46に定量搬送される。その際、接触防止ローラ86が上方に待機するとともに、ゴムローラ80bが下方に配置されている。
図9に示すように、ガラス基板24は、基板搬送機構45の作用下に、予め加熱された状態で貼り付け位置に搬送される。このガラス基板24は、並列されている感光性ウエブ22a、22bの感光性樹脂層28の貼り付け部分に対応してゴムローラ80a、80b間に一旦配置される。
この状態で、図4に示すように、駆動モータ93に連結された減速機93aの作用下にボールねじ94が所定方向に回転すると、このボールねじ94に螺合するナット部材95と一体的にスライドベース96が矢印B2方向に移動する。このため、テーパカム97a、97bは、ローラ98a、98bとの接触面が高くなり、前記ローラ98a、98bを上方に変位させる。従って、加圧シリンダ84a、84bが上昇し、バックアップローラ82b及びゴムローラ80bを上昇させることにより、ゴムローラ80a、80b間にガラス基板24が所定のプレス圧力で挟み込まれる。その際、プレス圧力は、加圧シリンダ84a、84bのエアー圧力により調整される。さらに、ゴムローラ80aの回転作用下に、このガラス基板24には、並列されている各感光性樹脂層28が加熱溶融により転写(ラミネート)される。
ここで、ラミネート条件としては、速度が1.0m/min〜10.0m/min、ゴムローラ80a、80bの温度が100℃〜150℃、前記ゴムローラ80a、80bのゴム硬度が40度〜80度、該ゴムローラ80a、80bのプレス圧(線圧)が50N/cm〜400N/cmである。
そして、図10に示すように、ガラス基板24の先端がフイルム搬送ローラ90a、90bの近傍に至ると、ニップローラ91a、91bが前記フイルム搬送ローラ90a、90bから離間する方向に移動する。さらに、ガラス基板24から前方(矢印C方向)に突出する各感光性ウエブ22a、22bの先端が、ウエブ先端切断機構48aに対して所定の位置に至ると、このウエブ先端切断機構48aが駆動されて前記感光性ウエブ22a、22bの先端が切断される(図10中、二点鎖線参照)。ウエブ先端切断機構48aは、各感光性ウエブ22a、22bの先端部を切断した後、基の待機位置に復帰しており、通常運転時には、使用されない。
図11に示すように、ゴムローラ80a、80bを介してガラス基板24に感光性ウエブ22a、22bの一枚分のラミネートが終了すると、前記ゴムローラ80aの回転が停止される一方、前記感光性ウエブ22a、22bがラミネートされた前記ガラス基板24(以下、貼り付け基板24aともいう)が基板搬送ローラ92によりクランプされる。
そして、ゴムローラ80bが、ゴムローラ80aから離間する方向に退避してクランプが解除される。具体的には、図4に示すように、駆動モータ93に連結された減速機93aが前記とは逆方向に回転駆動され、ボールねじ94及びナット部材95を介してスライドベース96が矢印B1方向に移動する。このため、テーパカム97a、97bは、ローラ98a、98bに接触する面の高さが低くなり、加圧シリンダ84a、84bが下降する。これにより、バックアップローラ82b及びゴムローラ80bが下降してクランプの解除が行われる。
この状態で、基板搬送ローラ92の回転が開始されて、貼り付け基板24aが矢印C方向に定量搬送され、感光性ウエブ22a、22bの基板間位置がゴムローラ80aの下方付近の所定位置に移動する。一方、基板搬送機構45を介して次なるガラス基板24が貼り付け位置に向かって搬送される。この次なるガラス基板24の先端がゴムローラ80a、80b間に配置されると、前記ゴムローラ80bが上昇して、前記ゴムローラ80a、80bにより前記次なるガラス基板24と感光性ウエブ22a、22bとがクランプされる。そして、ゴムローラ80a、80b及び基板搬送ローラ92の回転作用下にラミネートが開始されるとともに、貼り付け基板24aが矢印C方向に搬送される(図12参照)。
その際、貼り付け基板24aは、図13に示すように、それぞれの端部同士が残存部分30bによって覆われている。従って、感光性樹脂層28がガラス基板24に転写される際、ゴムローラ80a、80bが前記感光性樹脂層28により汚れることがない。
図14に示すように、基板搬送ローラ92が一枚目の貼り付け基板24aの搬送方向後端部に至ると、前記基板搬送ローラ92を構成する上方ローラが上昇してクランプを解除するとともに、下方ローラと搬送路88の回転が継続されて前記貼り付け基板24aが搬送される。さらに、二枚目の貼り付け基板24aの後端部がゴムローラ80a、80bの近傍に至ると、前記ゴムローラ80a、80b及び基板搬送ローラ92の回転が停止される。そして、基板搬送ローラ92の上方ローラが下降して二枚目の貼り付け基板24aをクランプする一方、ゴムローラ80bが下降してクランプを解除する。次に、基板搬送ローラ92の回転作用下に二枚目の貼り付け基板24aが挟持搬送され、基板間位置がゴムローラ80aの下方付近の所定位置に移動し、三枚目以降のラミネート処理が繰り返される。
図15に示すように、貼り付け基板24a間が基板間ウエブ切断機構48に対応する位置に至ると、この基板間ウエブ切断機構48は、前記貼り付け基板24aと同一の搬送速度で矢印C方向に移動しながら、該貼り付け基板24a間で2本の感光性ウエブ22a、22bを一体的に切断する。この切断後に、基板間ウエブ切断機構48は、所定の待機位置に戻される一方、貼り付け基板24aでは、ベースフイルム26及び残存部分30bが剥離されて感光性積層体106が製造される。
なお、ラミネート処理が一旦停止される際には、図16に示すように、ニップローラ群89a、89b及びゴムローラ80bがアンクランプ位置に配置されるとともに、接触防止ローラ86が下降して2本の感光性ウエブ22a、22bがゴムローラ80aに接触することを防止する。
また、製造装置20の運転が終了される際には、基板搬送ローラ92の回転作用下に、貼り付け基板24aが矢印C方向に搬送され、ウエブ先端切断機構48aが感光性ウエブ22a、22bをクランプする。そして、フイルム搬送ローラ90a、90bが回転しながら感光性ウエブ22a、22bをクランプした状態で、ウエブ先端切断機構48aがウエブ幅方向に走行して前記感光性ウエブ22a、22bを切断する。
このため、図17に示すように、2本の感光性ウエブ22a、22bは、ゴムローラ80a、80b間を通ってフイルム搬送ローラ90a、90bにより挟持されるとともに、接触防止ローラ86が下降して前記感光性ウエブ22a、22bがゴムローラ80aから離間して支持される。ウエブ先端切断機構48aは、貼り付け基板24aのクランプを解除して、基の待機位置に配置されている。
なお、基板間ウエブ切断機構48及びウエブ先端切断機構48aは、感光性ウエブ22a、22bを切断する際に、この感光性ウエブ22a、22bと同期して矢印C方向に移動しているが、これに限定されるものではない。例えば、ウエブ幅方向にのみ走向して感光性ウエブ22a、22bの切断を行ってもよい。また、ウエブ停止中にトムソン刃による切断、ウエブ移動中にロータリカットによる切断方法も可能である。
さらにまた、製造装置20のイニシャル開始動作では、図18に示すように、接触防止ローラ86が下方位置に配置されるとともに、ゴムローラ80bがゴムローラ80aから離間する。この状態で、例えば、フイルム搬送ローラ90aの回転作用下に、感光性ウエブ22a、22bが廃棄部(図示せず)に排出される。その際、ウエブ先端切断機構48aの作用下に、感光性ウエブ22a、22bが一定長さ毎に切断される。
そして、第1及び第2検出機構47a、47bでハーフカット部位34の検出が行われると、この検出位置から定量送りが行われる。具体的には、接触防止ローラ86が上昇された際に、ハーフカット部位34がゴムローラ80a、80bによるラミネート位置に至る位置まで、感光性ウエブ22a、22bの搬送が行われる。これにより、感光性ウエブ22a、22bの頭出し処理が終了する。
この場合、第1の実施形態では、貼り付け機構46の上流近傍で、感光性ウエブ22a、22bの各ハーフカット部位34が、第1及び第2検出機構47a、47bにより直接検出されている。なお、第1及び第2検出機構47a、47bとゴムローラ80a、80bのハーフカット停止点までの距離は、最も短いラミネート長よりも短いことが必要である。これは、検出した結果を次のラミネート処理にフィードバックするためである。
第1及び第2検出機構47a、47bでは、以下に示す2種類の計測が行われる。先ず、第1の計測は、ゴムローラ80a、80bでガラス基板24をクランプし、前記ゴムローラ80a、80bの回転開始からの基板送り量を、ゴムローラ駆動のモータ(図示せず)に付随したエンコーダで計測したパルス数と設定上の第1及び第2検出機構47a、47bそれぞれのハーフカット部位検出タイミングのパルス数とで比較し、それぞれのハーフカット部位34のずれを計測する。いずれの感光性ウエブ22a、22bも設計の検出タイミングのパルス数に到達するよりも早くハーフカット部位34を検出した場合、ハーフカット部位34は、早い分のパルス数だけガラス基板24の所定の位置より前方にずれていると判断できる。逆に検出が遅い場合、ハーフカット部位34は、ガラス基板24の所定の位置より後方にずれていると判断できる。
一方、第2の計測は、ハーフカット部位検出から次のハーフカット部位検出までのゴムローラ駆動のモータに付随したエンコーダパルス数を計測し、感光性ウエブ22a、22bのラミネート長を計測する。いずれの感光性ウエブ22a、22bも通常設定条件でのラミネート長に相当する設定パルス数と実際のパルス数とを比較し、パルス数が多ければその多いパルス数分だけ加熱等の影響で感光性ウエブ22a、22bが余計に延びていることが判断できる。逆にパルス数が少ない場合、感光性ウエブ22a、22bが通常よりも短いことが判断できる。
上記第1の計測結果に基づき、例えば、図19に示すように、ガラス基板24の貼り付け範囲P1、P2間に対して各感光性樹脂層28の先端位置が矢印C方向前方に同量又は、ほぼ同量だけずれる(進む)ことが検出されると、前記ガラス基板24と感光性ウエブ22a、22bのハーフカット部位34との相対位置が調整される。
すなわち、各光電センサ72a、72bにより検出されたハーフカット部位34の位置が、所定位置よりも進んでいると判断されると、図11に示すように、ラミネート後の基板搬送ローラ92によるガラス基板24に貼り付けされない部分の感光性ウエブ22a又は22bの送りで、送り量をその設定量よりもずれ分を差し引いた量で送る。この結果、ハーフカット部位34は、位置調整されてゴムローラ80a、80b間の所定の位置に一旦配置される。その後、ガラス基板24は、定常の送り制御によってゴムローラ80a、80b間に送られ、このガラス基板24に各感光性樹脂層28が正しい位置、すなわち、ガラス基板24の所定の貼り付け範囲P1、P2間に感光性樹脂層28が貼り付けられる。
一方、光電センサ72a、72bにより検出されたハーフカット部位34の位置が、ガラス基板24の貼り付け範囲P1、P2間に対して遅れると判断されると、ラミネート後の基板搬送ローラ92によるガラス基板24に貼り付けされない部分の感光性ウエブ22a又は22bの送りで、送り量をその設定量よりもずれ分を足した量で送る。この結果、ハーフカット部位34は、位置調整されてゴムローラ80a、80b間の所定の位置に配置される。その後、ガラス基板24に感光性樹脂層28が正しい位置、すなわち、ガラス基板24の所定の貼り付け範囲P1、P2間に感光性樹脂層28が貼り付けられる。
なお、基板搬送ローラ92による貼り付け基板24aの送り量を調整する方法の他、基板搬送機構45を制御してガラス基板24の停止位置をずれ分だけ前後させて調整する方法を採用してもよい。
上記第2の計測結果に基づき、光電センサ72a、72bにより検出されたハーフカット部位間の距離、すなわち、ガラス基板24に貼り付けられる感光性樹脂層28の貼り付け長さHを計測し、同量又はほぼ同量だけ長い場合、第1及び第2加工機構36a、36bにより長い分だけハーフカット間長を短くする一方、前記貼り付け長さHが短い場合、短い分だけハーフカット長を長くするようにハーフカット部位34の加工位置を変更する。これにより、感光性樹脂層28の貼り付け長を所定の長さに調整することができる。
なお、第1及び第2テンション制御機構66a、66bを構成するテンションダンサー70による感光性ウエブ22a、22bへのテンションを調整することによって、前記感光性ウエブ22a、22bの伸び量を変更させることも可能である。
上記第1の計測結果に基づき、図21に示すように、ガラス基板24の貼り付け範囲P1、P2間に対して感光性ウエブ22a、22bの感光性樹脂層28、28の先端位置がずれると判断されると、ラミネート直後のゴムローラ80a、80bによるクランプ開の後、基板搬送ローラ92により貼り付け基板24aを搬送して、前記感光性ウエブ22a、22bを切断可能な位置まで搬送する。そして、感光性ウエブ22a、22bを切断した後、各感光性ウエブ22a、22bをそれぞれのフイルム搬送ローラ90a、90bを用いて位置合わせを行う。
一方、感光性ウエブ22a、22bの両方又は一方のハーフカット部位34の位置を調整することにより、ガラス基板24に貼り付けられる感光性樹脂層28の位置を調整してもよい。その際、ずれが補正されるまで、ガラス基板24と各感光性樹脂層28との相対位置は、前記感光性樹脂層28の矢印C方向のずれ量の中間位置に貼り付け範囲P1、P2が位置するように設定すればよい。これは、ラミネート後の基板搬送ローラ92によるガラス基板24に貼り付けされない部分の感光性ウエブ22a又は22bの送りの調整、又は基板搬送機構45を制御してガラス基板24の停止位置を調整することにより行われる。
上記第2の計測結果に基づき、図22に示すように、感光性ウエブ22aの感光性樹脂層28と、感光性ウエブ22bの感光性樹脂層28との長さが異なる際には、前記感光性ウエブ22a、22bの両方又は一方のハーフカット部位34の形成位置を調整すればよい。なお、ハーフカット部位34の位置に代えて、第1及び第2テンション制御機構66a、66bによるテンション調整によっても、対応することができる。
上記第1及び第2の計測結果に基づき、図23に示すように、各感光性樹脂層28の長さ及び先端位置が異なる際には、ラミネート直後のゴムローラ80a、80bによるクランプ開の後、感光性ウエブ22a、22bを切断し得る位置まで貼り付け基板24aを搬送する。そして、感光性ウエブ22a、22bを切断した後、各感光性ウエブ22a、22bをそれぞれのフイルム搬送ローラ90a、90bを用いて各感光性ウエブ22a、22bの位置合わせ作業を行えばよい。また、感光性樹脂層28の長さを揃えるため、感光性ウエブ22a、22bの両方又は一方のハーフカット部位34の位置を調整すること、又は第1及び第2テンション制御機構66a、66bによるテンション調整することで対応可能である。
さらに、感光性ウエブ22a、22bの幅方向の位置は、フイルム端末位置検出器51及び端末位置調整機構(図示なし)によって制御することができるとともに、ガラス基板24の幅方向の位置は、貼り付け位置直前に設けられた図示しない幅位置調整機構によって位置補正をすることが可能である。
このため、感光性ウエブ22a、22bのハーフカット部位34を貼り付け位置に対して高精度に位置決めすることができ、前記感光性ウエブ22a、22bの各感光性樹脂層28をガラス基板24の所望の部位に対して並列且つ正確に貼り付けすることが可能になる。これにより、簡単な工程及び構成で、高品質な感光性積層体106を効率的に得ることができるという効果が得られる。
しかも、第1の実施形態では、幅広なガラス基板24に対して幅方向に2本の感光性樹脂層28を良好に転写することができ、感光性ウエブ22a、22bを幅広に構成する必要がない。従って、感光性ウエブ22a、22bの取り扱い性が有効に向上し、作業全体の効率化及び設備費の削減が容易に図られるという利点がある。
なお、第1の実施形態では、2本の感光性ウエブ22a、22bの各感光性樹脂層28をガラス基板24に一体的に貼り付けるように構成されているが、これに限定されているものではない。例えば、3本の感光性ウエブや4本の感光性ウエブの各感光性樹脂層をガラス基板24に一体的に貼り付けてもよい。
図24は、本発明の第2の実施形態に係る製造装置120の概略構成図である。なお、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
製造装置120は、第1及び第2検出機構121a、121bと、基板間ウエブ切断機構48の下流側に配置される冷却機構122と、この冷却機構122の下流側に配置されるベース剥離機構124とを備える。第1及び第2検出機構121a、121bは、光電センサ123a、123b及び123c、123dを備えており、前記光電センサ123a、123cと123b、123dとは、所定の距離Lだけ離間するとともに、それぞれバックアップローラ73a、73cと、73b、73dとに対向して配置される。
冷却機構122は、基板間ウエブ切断機構48を介して貼り付け基板24a間の感光性ウエブ22a、22bが切断された後、この貼り付け基板24aに冷風を供給して冷却処理を施す。具体的には、冷風温度が10℃で、風量が1.0〜2.0m/minに設定される。
冷却機構122の下流に配置されるベース剥離機構124は、貼り付け基板24aを下方から吸着する複数の吸着パッド126を備え、この吸着パッド126に前記貼り付け基板24aが吸着保持された状態で、ロボットハンド128を介してベースフイルム26及び残存部分30bを剥離する。吸着パッド126の上流、下流及び両側方には、貼り付け基板24aのラミネート部分全体に4方向からイオンエアを噴射する除電ブロー(図示せず)が配設されている。なお、剥離は、除塵のためテーブルを垂直にして、あるいは傾斜させて、又は裏返にして行ってもよい。
ベース剥離機構124の下流には、複数の感光性積層体106が収容される感光性積層体ストッカー132が設けられる。ベース剥離機構124で貼り付け基板24aからベースフイルム26及び残存部分30bが剥離された感光性積層体106は、ロボット134のハンド部134aに設けられた吸着パッド136に吸着されて取り出され、感光性積層体ストッカー132に収容される。
ラミネート工程制御部100には、ラミネート制御部102及び基板加熱制御部104の他、ベース剥離制御部138が繋がっている。ベース剥離制御部138は、貼り付け機構46から供給される貼り付け基板24aからベースフイルム26を剥離し、さらに下流工程に感光性積層体106を排出する動作の制御を行うとともに、前記貼り付け基板24a及び前記感光性積層体106の情報をハンドリング制御する。
このように構成される第2の実施形態では、第1及び第2検出機構121a、121bにおいて、先ず、上流側の光電センサ123a、123cが、感光性ウエブ22a、22bのハーフカット部位34を検出した後、下流側の光電センサ123b、123dが前記ハーフカット部位34を検出する。その際、バックアップローラ73a、73cと73b、73dとの距離Lは、ガラス基板24に貼り付けられる各感光性樹脂層28の貼り付け長さに対応している。
このため、光電センサ123a、123cと123b、123dとによりハーフカット部位34が検出される時間差から、実際の感光性樹脂層28の貼り付け長さが正確に算出される。従って、この測定値からガラス基板24の中央部に各感光性樹脂層28の貼り付け位置が設定されるように、感光性ウエブ22a、22bの送り速度が調整される。
これにより、第2の実施形態では、感光性ウエブ22a、22bのハーフカット部位34間、すなわち、ガラス基板24に貼り付けられる各感光性樹脂層28の長さHが正確に検出され、前記感光性樹脂層28を前記ガラス基板24の中央部に貼り付けることができる(図25参照)。
ここで、第1及び第2検出機構121a、121bにより検出された各感光性樹脂層28の長さH1が、正規の長さHよりも長い場合には、図26に示すように、前記感光性樹脂層28の両端が貼り付け長さLから外方に等距離ずつ振り分けられるようにして、ガラス基板24の中央部に貼り付けられる。
一方、図27に示すように、各感光性樹脂層28の長さH2が、正規の長さHよりも短い場合には、前記感光性樹脂層28の両端が貼り付け長さLの内方に等距離ずつ振り分けられるようにして、ガラス基板24の中央部に貼り付けられる。その際、貼り付け位置の目標ずれは、振り分けられない場合に比べて約1/2倍となる。
さらに、第2の実施形態では、第1及び第2ウエブ送り出し機構32a、32bから繰り出される感光性ウエブ22a、22bにハーフカット部位34を形成し、残存部分30bを残して保護フイルム30を剥離した後、ガラス基板24にラミネートして感光性樹脂層28を転写し、ベース剥離機構124を介してベースフイルム26及び残存部分30bを剥離して感光性積層体106を製造している。これにより、感光性積層体106の製造工程全体の自動化が容易に遂行可能になるという効果が得られる。
図28は、本発明の第3の実施形態に係る製造装置140の概略構成図である。
製造装置140は、トラブル停止時のウエブ切断や不良品を排出するための分離等の作業以外には、通常、基板間ウエブ切断機構48を用いておらず、ウエブ先端切断機構48aの下流に、冷却機構122とベース自動剥離機構142とが設けられる。ベース自動剥離機構142は、各ガラス基板24が所定間隔ずつ離間して貼り付けられている長尺なベースフイルム26を連続して剥離するものであり、プレ剥離部144と、比較的小径な剥離ローラ146と、巻き取り軸148と、自動貼り付け機150とを備えている。巻き取り軸148は、駆動時にトルク制御してベースフイルム26に張力を付与する一方、例えば、剥離ローラ146に張力検出器(図示せず)を設けることにより、張力のフィードバック制御を行うことが好ましい。
図29及び図30に示すように、プレ剥離部144は、ニップローラ152、154と、剥離バー156とを備える。ニップローラ152、154は、ガラス基板24の搬送方向に進退可能であるとともに、上側ローラ152a、154aは、昇降自在であり、下側ローラ152b、154bと前記ガラス基板24を挟持する。剥離バー156は、ガラス基板24間で昇降可能である。なお、上側ローラ152a、154aに代替えして、押さえバーや押さえピンを用いてもよい。
また、剥離ローラ146又はその直前でフイルム面を30℃〜120℃程度まで再加熱することにより、剥離時の色材層の剥がれが阻止されて、高品質なラミネート面を得ることができる。
ベース自動剥離機構142の下流には、ガラス基板24に実際に貼り付けられた感光性樹脂層28のエリア位置を測定する測定器158が配設される。この測定器158は、例えば、CCD等のカメラ160を備え、図31に示すように、感光性樹脂層28が貼り付けられたガラス基板24の四隅K1〜K4を撮影するために4台の前記カメラ160が配設される。また、四隅K1〜K4に代えて縦及び横方向に少なくとも2台ずつ配設してもよい。
なお、測定器158は、カメラ160による画像処理を行う構成を採用するが、カラーセンサやレーザセンサにより端面位置を検出したり、LEDセンサ、フォトアレイ或いはラインセンサ等を組み合わせたりしてもよい。その際、各端面に少なくとも2台ずつ配設して該端面の直線度も検出することが望ましい。
また、面状検査器(図示せず)を付勢することにより、感光性ウエブ22a、22b自体に起因するムラ、設備に起因するラミネートの濃度ムラ、皺、筋の他、塵埃や異物等の面状欠陥を検出し、警報を出すとともに、NG排出や後工程の管理に利用することができる。
このように構成される第3の実施形態では、貼り付け機構46でラミネートされた貼り付け基板24aは、冷却機構122を通って冷却された後、プレ剥離部144に移送される。このプレ剥離部144では、ニップローラ152、154が隣接するガラス基板24の後端と先端とを挟持した状態で、前記ニップローラ152が前記ガラス基板24と同速度で矢印C方向に移動する一方、前記ニップローラ154の矢印C方向への移動速度が減速される。
従って、図30に示すように、ニップローラ152、154間でガラス基板24間の感光性ウエブ22a、22bが撓み、剥離バー156が上昇することにより、保護フイルム30を隣接するガラス基板24の後端及び先端から剥離することができる。
次いで、ベース自動剥離機構142では、巻き取り軸148の回転作用下に、貼り付け基板24aからベースフイルム26が連続して巻き取られる。さらに、トラブル停止での切り離しや、不良品分離時の切断の後、新たにラミネート処理が開始された貼り付け基板24aのベースフイルム26の先端と、巻き取り軸148に巻き取られているベースフイルム26の後端とは、自動貼り付け機150を介して自動的に貼り付けられる。
ベースフイルム26が剥離されたガラス基板24は、測定器158に対応する検査ステーションに配置される。この検査ステーションでは、ガラス基板24が位置決め固定された状態で、4台のカメラ160によりガラス基板24と感光性樹脂層28の画像を取り込む。そして、画像処理が施されることにより、貼り付け位置a〜dが演算される。
なお、検査ステーションでは、ガラス基板24を停止させずに搬送し、幅方向は端面位置をカメラやスキャンで検出する一方、進行方向はガラス基板24の位置をタイミングセンサ等で検知して、画像の取り込みやセンサ検出による測定を行ってもよい。
このように、第3の実施形態では、ラミネート後に貼り付け基板24a間の感光性ウエブ22a、22bを切断することがなく、各貼り付け基板24aを剥離ローラ146で押えながら、巻き取り軸148の回転作用下に、前記貼り付け基板24aからベースフイルム26を連続して巻き取ることができる。
これにより、第3の実施形態では、感光性積層体106の製造作業全体が自動的且つ効率的に遂行される等、第2の実施形態と同様の効果が得られるとともに、構成が一層簡素化する。なお、第2及び第3の実施形態では、2本の感光性ウエブロール23a、23bを用いているが、これに限定されるものではなく、3本以上の感光性ウエブロールを採用してもよい。
図32は、本発明の第4の実施形態に係る製造装置180の概略構成図である。
製造装置180に使用される感光性ウエブ22は、図33に示すように、ベースフイルム26、クッション層(熱可塑性樹脂層)27、中間層(酸素遮断膜)29、感光性樹脂層28及び保護フイルム30を積層して構成される。
ベースフイルム26は、ポリエチレンテレフタレート(PET)で形成され、クッション層27は、エチレンと酸化ビニル共重合体で形成され、中間層29は、ポリビニルアルコールで形成され、感光性樹脂層28は、アルカリ可溶性バインダとモノマーと光重合開始材と着色剤を含む着色感光性樹脂組成物で形成され、保護フイルム30は、ポリプロピレンで形成される。
製造装置20は、基板間ウエブ切断機構48の下流側に、保護フイルム30が剥離された感光性ウエブ22とガラス基板24とが貼り付けられた貼り付け基板24aを冷却する冷却機構122と、冷却された前記貼り付け基板24aの内、樹脂層、例えば、クッション層27をガラス転移温度(Tg)以下の所定温度範囲内(後述する)に加熱する加熱機構182と、複数の吸着パッド184により吸着保持される前記貼り付け基板24aからベースフイルム26を剥離して感光性積層体106を得るベース剥離機構186とを備える。
冷却機構122は、貼り付け基板24aに冷風を供給して冷却処理を施すものであり、具体的には、冷風温度が10℃で、風速が0.5〜2.0m/minに設定される。加熱機構182は、貼り付け基板24aのベースフイルム26側に配設される加熱ローラ188と、前記加熱ローラ188に対向してガラス基板24側に配設される受けローラ190とを備える。
加熱ローラ188は、例えば、電磁誘導加熱方式によって内部又は外部加熱を行い、ベースフイルム26に直接接触してこのベースフイルム26側からクッション層27を加熱する。なお、電磁誘導加熱方式に代えて、シーズヒータ加熱方式、温水(液体)加熱方式等の方式が採用可能である。また、加熱ローラ188は、ゴムローラ、金属ローラ、布巻きローラ又は樹脂ローラ等が使用されるとともに、矢印C方向に複数配置してもよい。
受けローラ190は、加熱が不要であり、必要に応じて冷却流体を循環する冷却ローラで構成してもよい。
クッション層27は、加熱ローラ188によりガラス転移温度以下の所定温度範囲内に加熱される。クッション層27のガラス転移温度は、例えば、粘弾性測定によりtanδ(損失係数)を検出し、このtanδが最大となる値から得られる。
積層体フイルムにおいて、(株)東洋ボールドウイン製粘弾性測定器を用い、温度とtanδの特性を検出したところ、図34に示す結果が得られた。これにより、クッション層27のガラス転移温度は、37.8℃であった。
ベース剥離機構186は、図35に示すように、枠部材192を備え、この枠部材192には、貼り付け基板24aの搬送方向(矢印C方向)に直交する矢印D方向に延在する上部ガイドレール194a、194bが互いに所定の間隔だけ離間して平行に延在する。上部ガイドレール194a、194bの下方には、これらよりも短尺な下部ガイドレール195a、195bが、同様に矢印D方向に延在して互いに平行して設けられる。上部ガイドレール194a、194bには、モータ196a、196bを介して矢印D方向に沿って進退可能な自走式可動部材198a、198bが支持される。
図35及び図36に示すように、可動部材198a、198bは、鉛直方向(矢印E方向)に延在しており、互いに対向する側面には、鉛直方向に延在するガイドレール200a、200bが設けられる。ガイドレール200a、200bには、昇降台202a、202bが支持されるとともに、前記昇降台202a、202bは、モータ204a、204bを介して昇降可能である。
昇降台202a、202bには、回転駆動源206a、206bが水平方向に向かって装着され、前記回転駆動源206a、206bの回転軸(図示せず)には、チャック208a、208bが固着される。チャック208a、208bは、旋回自在に構成されるとともに、貼り付け基板24aのベースフイルム剥離位置において、前記貼り付け基板24aを構成するガラス基板24の搬送方向両端から外部に突出するベースフイルム26の両側部を把持自在な位置に位置調整可能である。
図35に示すように、下部ガイドレール195a、195bには、スライドベース210a、210bが支持されるとともに、前記スライドベース210a、210bには、倣いローラ212の両端が昇降可能に支持される。スライドベース210a、210bは、可動部材198a、198bと一体的に矢印D方向の所定の位置間を進退可能に構成される。
このように構成される第4の実施形態では、基板間ウエブ切断機構48により分離された各貼り付け基板24aは、図32に示すように、冷却機構122に搬送され、冷風の供給作用下に強制的に、例えば、室温(略20℃)まで冷却された後、加熱機構182に搬送される。加熱機構182では、加熱ローラ188と受けローラ190とを介して貼り付け基板24aが挟持されるとともに、前記加熱ローラ188から前記貼り付け基板24aのベースフイルム26に直接伝熱される。
これにより、ベースフイルム26からクッション層27が所定の温度に加熱された後、貼り付け基板24aは、ベース剥離機構186に送られる。ベース剥離機構186では、貼り付け基板24aのガラス基板24側が吸着パッド184の吸引作用下に保持される一方、各チャック208a、208bは、ガラス基板24の搬送方向両端から内方に突出するベースフイルム26の矢印D方向一端側に配置される(図37参照)。
そこで、可動部材198a、198bは、モータ196a、196bの作用下に貼り付け基板24a側に移動するとともに、各チャック208a、208bは、開閉してベースフイルム26の搬送方向両端部を把持する。さらに、チャック208a、208bは、回転駆動源206a、206bの作用下に旋回する一方、昇降台202a、202b及び可動部材198a、198bは、所定の方向に駆動制御される。
このため、図36及び図37に示すように、チャック208a、208bが所定の剥離軌跡に沿って移動し、前記チャック208a、208bに把持されるベースフイルム26は、クッション層27から分離されて貼り付け基板24aから剥離される。その際、倣いローラ212は、可動部材198a、198bと一体的に矢印D方向に所定の位置まで移動し、ベースフイルム26を円滑且つ良好に剥離させる。貼り付け基板24aからベースフイルム26が剥離されることにより、感光性積層体106が得られる。
この場合、第4の実施形態では、冷却機構122を介して強制冷却された貼り付け基板24aのクッション層27が、加熱機構182の作用下にベースフイルム26側からガラス転移温度付近まで一旦加熱された後、ベース剥離機構186を介して前記ベースフイルム26の剥離が行われている。
すなわち、貼り付け機構42において、感光性ウエブ22は、所定のテンションが付与された状態でガラス基板24に熱圧着されており、クッション層27に残留応力が発生し易い。さらに、貼り付け基板24aには、冷却機構122により強制冷却処理が施されるため、クッション層27に残留応力が発生し易い。従って、この状態で、ベースフイルム26を貼り付け基板24aから剥離すると、クッション層27の残留応力によって前記クッション層27に割れや破損等が発生し易い。このため、クッション層27には、凹凸等の不良部位が発生してしまい、品質低下が惹起する。
そこで、第4の実施形態では、ベースフイルム26の剥離前に、このベースフイルム26側からクッション層27のガラス転移温度付近の温度まで加熱を行うことにより、前記クッション層27の残留応力を緩和している。
ここで、ベースフイルム26の表面温度を種々変更して、前記ベースフイルム26の剥離時における剥がれ不良の有無を検出する実験を行った。その結果が、図38に示されている。これにより、ベースフイルム26の表面温度は、クッション層27のガラス転移温度(37.8℃)以下の所定の温度範囲内に相当する32℃〜38℃の温度範囲内に設定されることにより、良好な剥離処理が遂行され、高品質な感光性積層体106が得られた。
しかも、加熱機構182は、貼り付け基板24aをベースフイルム26側から加熱している。従って、ベースフイルム26とクッション層27との剥離部位は、ガラス基板24側から加熱する場合に比べて、迅速且つ正確に所望の温度に加熱されるため、前記剥離部位における高精度な剥離処理が遂行可能になるという利点がある。
さらに、ベース剥離機構186は、加熱機構182から所定の間隔だけ離間している。このため、一旦加熱されて残留応力が緩和された貼り付け基板24aは、ベース剥離機構186に移送される間に冷却される。
ところで、ベース剥離機構186を構成する倣いローラ212を図示しない加熱機構を介し加熱してベースフイルム26に接触することにより、このベースフイルム26を加熱しながらクッション層27から剥離してもよい。また、倣いローラ212は、複数配設してもよい。
なお、第4の実施形態では、ベース剥離機構186は、ベースフイルム26を貼り付け基板24aの搬送方向(矢印C方向)に交差する矢印D方向に剥離するように構成されているが、前記ベースフイルム26の剥離方向を前記貼り付け基板24aの搬送方向と平行する矢印C方向に設定してもよい。
また、加熱機構182の上流側に予熱機構(図示せず)を設置して、貼り付け基板24aの加熱補助を行ってもよい。予熱機構としては、例えば、コイル、カーボン、又はハロゲン等の赤外線パワーヒータ、セラミック型のIRヒータや各種接触式の加熱ローラ等が用いられる。
さらに、第4の実施形態では、基本的に第1の実施形態に係る製造装置20を採用しているが、これに限定されるものではなく、第2及び第3の実施形態に係る製造装置120、140に適用してもよい。
図39は、本発明の第5の実施形態に係る製造装置を構成するベース剥離機構220の概略斜視説明図である。なお、第4の実施形態に係る製造装置180を構成するベース剥離機構186と同一の構成要素と同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。以下に説明する第6の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
ベース剥離機構220は、ベースフイルム26を貼り付け基板24aから剥離する際、前記ベースフイルム26に対して、ガラス基板24との張り付け方向(矢印C方向)に張力を付与する張力付与構造222を備える。
張力付与構造222は、貼り付け基板24aの搬送方向先端側から外部に突出するベースフイルム26の先端部26aを把持自在な可動チャック部材224a、226a、228a及び230aと、前記貼り付け基板24aの搬送方向後方側に突出する前記ベースフイルム26の後端部26bを把持自在な可動チャック部材224b、226b、228b及び230bとを備える。
チャック部材224a、224bは、互いに矢印C方向に対向しており、他のチャック部材226a、226b、228a、228b及び230a、230bは、それぞれ互いに矢印C方向に対向して配置される。チャック部材224a〜230a及び224b〜230bは、それぞれ開閉自在で且つベースフイルム26に対して進退可能に構成される。
このように構成される第5の実施形態では、張り付け基板24aがベース剥離位置に配置されると、張力付与構造222を構成するチャック部材224a〜230aは、ベースフイルム26の先端部26aを把持するとともに、チャック部材224b〜230bは、前記ベースフイルム26の後端部26bを把持する。この状態で、チャック部材224a〜230aとチャック部材224b〜230bとは、互いに離間する方向にトルク制御されることにより、ベースフイルム26には、矢印C方向に所定の張力が付与される。
そこで、チャック208a、208bがベースフイルム26の先端部26a及び後端部26bの端部を把持し、所定の剥離軌跡に沿って矢印D1方向に移動する。その際、ベースフイルム26には、矢印C方向に所定の張力が付与されており、このベースフイルム26をガラス基板24から円滑且つ確実に剥離することができる。
さらに、倣いローラ212は、矢印D1方向に移動してチャック部材224a、224bに近接すると、このチャック部材224a、224bは、ベースフイルム26の先端部26a及び後端部26bの把持作用を解除した後、互いに離間する方向(矢印方向)に移動する。このため、チャック部材224a、224bは、倣いローラ212に干渉することがない。倣いローラ212が矢印D1方向に移動するのに伴って、チャック部材226a、226bがベースフイルム26から離脱し、次いでチャック部材228a、228b及びチャック部材230a、230bが、順次、前記ベースフイルム26から離間して、該ベースフイルム26の剥離作業が終了する。
図40は、本発明の第6の実施形態に係る製造装置を構成するベース剥離機構230の概略斜視説明図である。
ベース剥離機構230は、ベースフイルム26を貼り付け基板24aから剥離する際に、前記ベースフイルム26に対して、前記張り付け基板24aとの貼り付け方向に張力を付与する張力付与構造232を備える。
張力付与構造232は、貼り付け基板24aの搬送方向先端側に突出するベースフイルム26の先端部26aを把持可能な先端チャック234と、前記貼り付け基板24aの搬送方向後方に突出する前記ベースフイルム26の後端部26bを把持可能な後端チャック236とを備える。先端チャック234及び後端チャック236は、矢印D方向に幅広に構成されており、それぞれベースフイルム26の先端部26a及び後端部26bを略幅方向全面に渡って把持可能である。
先端チャック234は、回転駆動源206a、206bに装着されており、その他の構造は、第4の実施形態のベース剥離機構186と同様に構成されている。この場合、先端チャック234の移動方向は、チャック208a、208bの移動方向(矢印D方向)に直交する矢印C方向に設定される。
このように構成される第6の実施形態では、貼り付け基板24aがベース剥離位置に搬送されると、この貼り付け基板24aの先端側に突出するベースフイルム26の先端部26aは、先端チャック234に把持される。一方、貼り付け基板24aの後端側に突出するベースフイルム26の後端部26bは、後端チャック236に把持される。
次いで、後端チャック236、あるいは、前記後端チャック236及び先端チャック234は、トルク制御されてこれらに挟持されるベースフイルム26に矢印C方向に沿って張力が付与される。この状態で、先端チャック234が所定の剥離軌跡に沿って移動することにより、所定の張力が付与されているベースフイルム26は、ガラス基板24から円滑且つ確実に剥離される。
図41は、本発明の第7の実施形態に係る製造装置を構成するベース自動剥離機構250の概略説明図である。なお、第3の実施形態に係る製造装置140を構成するベース自動剥離機構142と同一の構成要素には、同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。
ベース自動剥離機構250は、張り付け基板24a間を移動しながら、剥離ローラ146の外周部に沿ってベースフイルム26を案内する剥離バー(剥離ガイド部材)252を備える。剥離バー252は、シリンダ254の作用下に上下方向(矢印E方向)に進退可能である。シリンダ254には、モータ256に連結されたボールねじ258が噛合しており、矢印C方向に進退可能である。剥離ローラ146は、図示しない熱源により加温されることが望ましい。
このように構成される第7の実施形態では、図42に示すように、貼り付け基板24a間に剥離バー252が配置されると、この剥離バー252は、シリンダ254の作用下に上方に突出し、剥離ローラ146の外周面に残存部分30b側からベースフイルム26を押付ける。さらに、モータ256の作用下にボールねじ258が回転し、シリンダ254が矢印C方向に移動するとともに、剥離バー252は、シリンダ254を介して剥離ローラ246に押付けられる(図43参照)。
これにより、剥離バー252は、剥離ローラ246の外周面に沿って残存部分30bを案内する。従って、図44に示すように、剥離バー252は、剥離ローラ146の外周部の所定の位置まで移動することにより、残存部分30bは、前方の貼り付け基板24aの後端部から確実に剥離されてベースフイルム26と一体的に巻き取られる。このため、貼り付け基板24aからベースフイルム26を剥離する際に、残存部分30bが貼り付け基板24aに残ることがなく、良好な自動剥離処理が遂行可能になる。
なお、剥離バー252は、先端が球状に構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、図45に示すように、剥離ローラ146側にテーパ面をするテーパ先端部260aを有する剥離バー260を採用してもよい。
図46は、本発明の第8の実施形態に係る製造装置を構成する貼り付け機構270の正面説明図である。
貼り付け機構270は、ゴムローラ80a、80bと、バックアップローラ272a、272bとを備え、前記バックアップローラ272a、272bは、外周がクラウン形状に設定される。なお、バックアップローラ272a、272bの少なくとも一方、又はゴムローラ80a、80bの少なくとも一方をクラウンローラに構成してもよい。
クラウン形状は、サイン曲線、2次曲線、又は4次曲線で構成される。例えば、図47に示すように、ロール面長L=1000mm〜3000mm、ロール直径φ=200mm〜300mm、クラウン量d(=2d1)=0.1mm〜3.0mmであり、ラミネート線圧が、100N/cm〜200N/cmに設定される。
図48は、本発明の第9の実施形態に係る製造装置を構成する第1及び第2加工機構290a、290bの概略斜視説明図であり、図49は、前記第1及び第2加工機構290a、290bの概略構成図である。
第1及び第2加工機構290a、290bは、感光性ウエブ22a、22bのハーフカット部位34を所定温度(後述する)に加熱する加熱機構292と、前記所定温度に加熱される前記ハーフカット部位34に沿ってハーフカットするカッタ機構294とを備える。
カッタ機構294は、感光性ウエブ22の搬送方向(矢印A方向)に直交する矢印B方向に延在するリニアガイド296を備え、このリニアガイド296には、スライド台298が支持される。スライド台298には、モータ300が内装されており、このモータ300の回転駆動軸300aには、ピニオン302が軸着される。リニアガイド296には、矢印B方向に延在してピニオン302に噛合するラック304が設けられ、スライド台298は、前記モータ300の作用下に矢印B方向に進退可能である。
スライド台298には、ピニオン302と反対側に突出して回転軸306が設けられ、この回転軸306には、前記回転軸306と一体的に回転自在な回転丸刃(カッタ)308が固着される。回転丸刃308に対向する位置には、感光性ウエブ22a、22bを挟んでカット受台310が配設される。
このカット受台310は、2枚の金属プレートで構成され、矢印B方向に延在する。カット受台310の上面には、回転丸刃308の矢印B方向への移動範囲にわたって凹部312が形成され、この凹部312に樹脂製受部314が収容される。
加熱機構292は、カット受台310内に埋設、具体的には、2枚の金属プレート間に挟持されるシート型ヒータ316を備える。カット受台310は、感光性ウエブ22a、22bに接触してハーフカット部位34を直接加熱する加熱部材として機能する。ここで、シート型ヒータ316は、凹部312と受部314との間に配設してもよい。
なお、回転丸刃308に代えて、スライド台298から延在する固定軸318に固定される固定丸刃320を用いてもよい。この固定丸刃320は、固定軸318に対して所定角度ずつ角度位置が調整可能である。
ハーフカット部位34は、少なくとも保護フイルム30を切断する必要があり、実際上、この保護フイルム30を確実に切断するために、回転丸刃308(又は固定丸刃320)の切り込み深さが設定される。ハーフカット部位34は、回転丸刃308(又は固定丸刃320)に代替して、例えば、超音波を用いたカット方式の他、ナイフ刃、後述する帯状押し切り刃(トムソン刃)等で形成する方式を採用してもよい。なお、押し切り刃は、垂直方向の押し切り構成の他、斜め方向の押し切り構成を含む。
このように構成される第9の実施形態では、加熱機構292を構成するシート型ヒータ316が付勢されており、このシート型ヒータ316を設けるカット受台310が所望の温度に加熱されている。このため、矢印A方向に送られる感光性ウエブ22a、22bは、この感光性ウエブ22a、22bに同期して移動するカット受台310に接触して直接加熱され、ハーフカット部位34は、回転丸刃308に応じて予め設定された所定の温度に加熱されながら、カッタ機構294を介してハーフカットされる。なお、ハーフカットは、感光性ウエブ22a、22bを停止した状態で行ってもよい。
具体的には、スライド台298に設けられているモータ300の駆動作用下にピニオン302が回転すると、このピニオン302とラック304との噛合作用下に、スライド台298がリニアガイド296に支持されて矢印B方向に移動する。そこで、回転丸刃308は、感光性ウエブ22a、22bのハーフカット部位34に所望の深さまで切り込んだ状態で、矢印B方向に移動しながら回転する。これにより、感光性ウエブ22a、22bには、保護フイルム30から所望の深さに切り込んだハーフカット部位34が形成される。
この場合、加熱機構292を介して感光性ウエブ22a、22bのハーフカット部位34が加熱されながら、このハーフカット部位34がカッタ機構294によりハーフカットされている。その際、回転丸刃308及び固定丸刃320毎に、感光性ウエブ22a、22bの加熱温度を予め設定されることによって、カット屑の発生や層間剥離の発生を良好に阻止することができる。
なお、上記の第9の実施形態では、カット受台310に凹部312を形成してこの凹部312に受部314を収容をしているが、例えば、前記凹部312を形成することなく、カット受台の上面に樹脂製受フイルムを直接設けてもよい。また、シート型ヒータ316に代えて、シーズヒータ又は管型ヒータを用いてもよく、さらにカッタ機構294及びハーフカット部位34を収容して加熱ボックスを設け、この加熱ボックス内に熱風を供給してもよい。さらにまた、ハーフカット前に、感光性ウエブ22a、22bを加熱するために、カッタ機構294の上流側に加熱プレート、バーヒータあるいは、加熱ボックス等を併設してもよい。