JP2006291000A - ポリ乳酸系樹脂コーティング剤およびこれを塗工してなる加工品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温接着性に優れたポリ乳酸系樹脂コーティング剤を提供するとともに、このコーティング剤を塗工した生分解性を有する加工品を提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸系樹脂、ポリ乳酸樹脂に対して1〜100質量%の天然物系粘着付与樹脂、ポリ乳酸系樹脂に対して1〜50質量%の可塑剤、および液状媒体からなるポリ乳酸系樹脂コーティング剤。上記ポリ乳酸系樹脂コーティング剤に顔料または無機フィラーを分散してなる塗料。上記コーティング剤や塗料を塗工してなる加工品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低温接着性に優れたポリ乳酸系樹脂コーティング剤および塗料、ならびにこれらを塗工してなる加工品に関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、石油原料に頼らずしかも廃棄時の環境負荷が小さい植物由来の生分解性樹脂が注目されている。特に、ポリ乳酸樹脂はとうもろこしやさつまいも等の植物由来の原料からなるため、酵素分解や加水分解により水と二酸化炭素に分解されて自然界に還元される資源循環型の素材であり、しかも焼却時の消費熱量が小さい等の利点もあることから、様々な商品の開発が行われ、これらの商品に機能を付与するためのコーティング剤の開発も盛んに行われている。しかしながら、ポリ乳酸樹脂は剛直で脆いという欠点がある。こうした中、例えば、特許文献1では、ポリ乳酸樹脂に可塑剤を添加して接着剤として利用することが提案されている。また、特許文献2では、ポリ乳酸樹脂に粘着付与樹脂を添加して接着剤として利用することが提案されている。しかしながら、これらの技術は何れも溶剤系塗剤であった。
溶剤系塗剤は、有機溶剤を含んでいるため、引火等の危険性があり、また、環境汚染等の問題があった。近年、揮発性有機化合物(VOC)の規制が特に厳しくなり、塗剤の形態は水性分散体等へと移行しつつある。水性分散体は、環境への負荷が小さく、また溶剤系塗剤と同様に液状であることから、現行の塗装ラインをほぼそのまま使用できるという長所を有するため、代替技術のうちで最も有望視されている。
ポリ乳酸系樹脂を用いた水性分散体については、本出願人は先に、ポリ乳酸を主体とする生分解性ポリエステルから水性分散体を製造するに際して、少量の塩基性化合物と両親媒性溶剤の存在下に加熱攪拌する方法を提案した(特許文献3、特許文献4)。この方法によれば、上記樹脂を一旦有機溶剤に溶解しなくても、均一で安定な水性分散体が得られるものの、接着性の面では満足のできるものではなかった。さらに本出願人は、共重合ポリエステル樹脂に芳香族カルボン酸残基を加え、さらにポリ乳酸残基を加えることで、生分解性基材への接着力が格段に向上することを見出し、さらにその樹脂を水性化することで、生分解性を有する接着剤として利用することを提案した(特許文献5)。しかしながらその取扱性等には改善の余地があった。特許文献6、7、8、9ではポリ乳酸系樹脂の水性分散体と可塑剤とを組み合わせる技術について報告されているが、これらの技術は低温造膜性の発現を目的とするものであり、接着性は満足できるものではなかった。さらに、特許文献10ではポリ乳酸系樹脂の水性分散体と天然物系粘着付与樹脂とを組み合わせる技術について報告されているが、この技術は低温造膜性の発現および貯蔵安定性の向上を目的とするものであり、やはり接着性は満足できるものではなかった。
特開2000−86877号公報 特開2004−231797号公報 特開2002−173535号公報 特開2002−241629号公報 特開2004−300284号公報 特開2004−107413号公報 特開2004−168927号公報 特開2004−238579号公報 特開2004−204219号公報 特開2003−321600号公報
本発明は、ポリ乳酸系樹脂を含有し、低温接着性に優れたコーティング剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリ乳酸系樹脂、天然物系粘着付与樹脂、および可塑剤を含むコーティング剤は、植物由来の樹脂を利用することで環境にやさしいのみならず、低温接着性に優れていることをも見出し、この知見に基づいて本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ポリ乳酸系樹脂、ポリ乳酸系樹脂に対して1〜100質量%の天然物系粘着付与樹脂、ポリ乳酸系樹脂に対して1〜50質量%の可塑剤、および液状媒体からなることを特徴とするポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
(2)液状媒体が水または水性媒体であることを特徴とする(1)記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
(3)ポリ乳酸系樹脂および天然物系粘着付与樹脂が、液状媒体中に微粒子状で分散していることを特徴とする(1)または(2)記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
(4)天然物系粘着付与樹脂の軟化点が100℃以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
(5)天然物系粘着付与樹脂がテルペン系樹脂であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
(6)可塑剤がエーテルエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤またはグリセリンエステル系可塑剤であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤を基材に塗工してなることを特徴とする加工品。
(8)基材が生分解性物質であることを特徴とする(7)記載の加工品。
(9)生分解性物質が紙であることを特徴とする(8)記載の加工品。
(10)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤に顔料または無機フィラーを分散してなることを特徴とする塗料。
(11)上記(10)記載の塗料を生分解性物質に塗工してなることを特徴とする加工品。
(12)生分解性物質が紙であることを特徴とする(11)記載の加工品。
本発明によれば、ポリ乳酸系樹脂、天然物系粘着付与樹脂および可塑剤を混合することで、低温接着性に優れた植物由来の樹脂コーティング剤が簡便に得られ、経済的、省資源的に有利な方法で実用的かつ環境問題に配慮したコーティング剤として応用することができる。そして本発明のポリ乳酸系樹脂コーティング剤は低温での接着性に優れ、分散している樹脂の融点よりも低い温度でも優れた接着性を発現する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のコーティング剤は、ポリ乳酸系樹脂、天然物系粘着付与樹脂、可塑剤および液状媒体よりなるものである。液状媒体としては特に限定されず、有機溶剤であってもよいし、水または水と親水性溶媒の混合物であってもよいが、室温・常圧において液体であり、加熱や減圧によって揮発し、除去できるものが好ましい。
有機溶剤としては、ジエチルケトン(3−ペンタノン)、メチルプロピルケトン(2−ペンタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、ベンゼン、ソルベッソ100、ソルベッソ150等の芳香族炭化水素類、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等の含ハロゲン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、γ―ブチロラクトン、イソホロン等のエステル類、加えて後述の親水性の有機溶剤などが挙げられる。
さらに、液状媒体としては、保存安定性、取り扱いの容易さ、さらに、環境保護、省資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善等の立場から、水性媒体の使用が好ましい。ここで、水性分散体とは、水を主成分とする分散体であり、水性媒体の60質量%以上が水であることが好ましい。水以外の溶媒を混合する場合には、親水性の有機溶剤を用いることが好ましい。
親水性の有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−tert−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセトニトリル、そのほか、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−ジエタノールアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン等の有機アミン化合物等を挙げることができる。
また、上記の液状媒体中に各成分が含有された状態としては、全ての成分が液状媒体に溶解している状態、いずれかの成分が微粒子として液状媒体に分散し、その他が液状媒体に溶解している状態、全ての成分が液状媒体に微粒子として分散している状態が挙げられ、ポリ乳酸系樹脂、天然物系粘着付与樹脂、可塑剤、液状媒体の組み合わせにより、いずれの状態をとっていてもよいが、保存安定性、取り扱いの容易さ、環境保護などの理由から、特に、ポリ乳酸系樹脂と天然物系粘着付与樹脂とが、いずれも水または水性媒体に微粒子として分散し、可塑剤が水性媒体に溶解または微粒子として分散した、いわゆる水性分散体の状態が好ましい。
本発明のコーティング剤を構成するポリ乳酸系樹脂の原料としては、乳酸類およびヒドロキシカルボン酸類等がある。乳酸系の具体例として、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、それらの混合物や乳酸の環状2量体のラクタイドがあげられる。また、乳酸類と併用できるヒドロキシカルボン酸類の具体例としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5ーヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカルボン酸を挙げることができ、さらに、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えば、グリコール酸の2量体であるグリコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンがあげられる。
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂の製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸の場合、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸を直接脱水重縮合する方法や、乳酸の環状2量体であるラクタイドを開環重合する方法があげられる。また、市販されているものを用いてもよい。
また、本発明のコーティング剤において各成分は充分に混ざり合っていることが低温接着性発現のために重要であることから、これらが微粒子状に分散している場合、ポリ乳酸系樹脂の液状媒体中での数平均粒子径は、2μm未満が好ましく、低温接着性の観点から1μm以下がより好ましい。ポリ乳酸系樹脂の数平均粒子径が2μmを超える場合、混合安定性が不十分となる場合がある。なお、粒度分布については、特に限定されない。ここで、上記ポリ乳酸系樹脂の数平均粒子径は、後述の天然物系粘着付与樹脂粒子と同様、微粒物質の粒子径を測定するために一般的に使用されている動的光散乱法によって測定される。
本発明のコーティング剤には、顔料や無機フィラー等の添加物の基材などへの接着性向上のために天然物系粘着付与樹脂がポリ乳酸系樹脂に対して1〜100質量%含有している必要があり、5〜80質量%含有していることが好ましく、20〜60質量%含有していることがより好ましい。天然物系粘着付与樹脂の含有量が1質量%未満では、添加効果が乏しく、一方、天然物系粘着付与樹脂の含有量が100質量%を超えて添加しても効果は上らないため不経済であるうえ、被膜の強度が低下する場合がある。
本発明で使用される天然物系粘着付与樹脂としては、テルペン系樹脂やロジン系樹脂が挙げられる。テルペン系樹脂としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール系樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等が挙げられる。一方、ロジン系樹脂としては、ロジン、重合ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、ロジンフェノール樹脂等が挙げられる。これらの天然物系粘着付与樹脂は単独で使用してもよく、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、天然物系粘着付与樹脂の軟化点には制限はないが、より低温で接着性を発現させるためには100℃以下の軟化点のものが好ましく、80℃以下がより好ましい。さらに、天然物系粘着付与樹脂の数平均粒子径に制限はないが、液混合性の観点から2μm未満が好ましい。
本発明のコーティング剤には、低温接着性および樹脂の柔軟性向上のために可塑剤をポリ乳酸系樹脂に対して1〜50質量%含有している必要があり、5〜30質量%含有していることが好ましく、10〜30質量%含有していることがより好ましい。可塑剤の含有量が1質量%未満であると添加効果が小さく、50質量%を超えて添加しても効果は上がらないため不経済であるうえ、コーティング剤の分散安定性が低下する場合がある。
可塑剤としては、特に限定されないが、エーテルエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤、グリセリンエステル系可塑剤、多塩基酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、ロジンエステル系可塑剤、フタル酸誘導体系可塑剤、ポリヒドロキシカルボン酸系可塑剤などが挙げられる。
エーテルエステル系可塑剤の具体例としては、ビスメチルジエチレングリコールアジペート、ビスブチルジエチレングリコールアジペート、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アジペート、トリエチレングリコールジプロピオネートなどが挙げられる。
オキシ酸エステル系可塑剤の具体例としては、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチルアセテート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルなどが挙げられる。
グリセリンエステル系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、グリセリンジオレート、グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノカプレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノミリスチレート、グリセリンジアセトモノパルミテート、グリセリンジアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンジアセトモノリノレネート、グリセリンモノアセトジカプリレート、グリセリンモノアセトジカプレート、グリセリンモノアセトジラウレート、ジグリセリン酢酸エステルなどが挙げられる。
多塩基酸エステル系可塑剤の具体例としては、ジメチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケートなどが挙げられる。
多価アルコールエステル系可塑剤の具体例としては、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノオレイルエーテル、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノオレイルエーテルなどが挙げられる。
ロジンエステル系可塑剤の具体例としては、アビエチン酸メチル、アビエチン酸ジエチルグリコール、2−ヒドロアビエチン酸ジエチレングリコール、2−ヒドロキシアビエチン酸ジエチレングリコール、ロジンのモノエチレングリコールエステル、ロジンのペンタエリトリットエステルなどが挙げられる。
フタル酸誘導体系可塑剤の具体例としては、エチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどが挙げられる。
ポリヒドロキシカルボン酸系可塑剤の具体例としては、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトンなどが挙げられる。
上述の可塑剤のなかでも、本発明のコーティング剤および塗料を用いる意義から考えると、生分解性を有し、また環境問題などの観点から無毒性であることが重要で、しかもFDA(Food and Drug Administration)に合格しているものが好ましい。
具体的には、エーテルエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤、グリセリンエステル系可塑剤が好ましい。特に、エーテルエステル系可塑剤の具体例としては、ビスメチルジエチレングリコールアジペート、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アジペートなどが挙げられる。また、オキシ酸エステル系可塑剤の具体例としては、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチルアセテートなどが挙げられる。グリセリンエステル系可塑剤の具体例としては、ジグリセリン酢酸エステル、グリセリンジアセトモノカプリレートなどが挙げられる。これらの可塑剤は単独で使用してもよく、あるいは2種類以上を併用してもよい。
本発明のコーティング剤を製造する方法としては、ポリ乳酸系樹脂、天然物系粘着付与樹脂、可塑剤が液状媒体中に均一に混合される方法であればよく、特に規定されるものではない。例えば水性分散体タイプのコーティング剤を製造する場合、ポリ乳酸系樹脂の水性分散体と、天然物系粘着付与樹脂の水性分散体とを別々に調製しておき、これらと可塑剤とを混合する方法、または可塑剤を含むポリ乳酸系樹脂の水性分散体と、天然物系粘着付与樹脂の水性分散体とを別々に調製しておき、これらを混合する方法、またはポリ乳酸系樹脂の水性分散体と、可塑剤を含む天然物系粘着付与樹脂の水性分散体とを別々に調製しておき、これらを混合する方法のいずれかが好ましい。
上記の方法で用いるポリ乳酸系樹脂水性分散体の製造方法は特に限定されず、転相乳化法、強制乳化法などが挙げられ、例えば、密閉可能な容器にポリ乳酸系樹脂、塩基性化合物、親水性有機溶剤などの原料を投入し、次いで、槽内の温度を45〜200℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃の温度に保ちつつ、好ましくは粗大粒子が無くなるまで(例えば、5〜120分間)攪拌を続けることによりポリ乳酸系樹脂を十分に分散化させ、その後、好ましくは攪拌下で40℃以下に冷却することにより、分散体を得ることができる。槽内の温度が45℃未満の場合は、ポリ乳酸系樹脂の分散化が困難になる。槽内の温度が200℃を超える反応は不経済なので好ましくない。その後、親水性有機溶剤を留去して、ポリ乳酸系樹脂水性分散体を得ることができる。また必要に応じて、親水性有機溶剤を留去する前後に可塑剤を添加し、可塑剤を含有するポリ乳酸樹脂水性分散体とすることもできる。このようにして得られるポリ乳酸系樹脂水性分散体だけでなく、本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂水性分散体としては、さらに市販されているポリ乳酸系樹脂水性分散体を用いてもよく、例えば、ユニチカ社製LAEシリーズ、第一工業製薬社製プラセマL110やミヨシ油脂社製ランディPLシリーズなどがあげられる。
同様に、天然物系粘着付与樹脂の水性分散体の製造方法も特に限定されず、転相乳化法、強制乳化法などが挙げられ、その際、可塑剤を予め添加しておいてもよい。また、市販されている天然物系粘着付与樹脂の水性分散体を用いてもよく、例えば、テルペン系樹脂の水性分散体としては、中京油脂社製レゼムTFシリーズやヤスハラケミカル社製ナノレットシリーズ、荒川化学社製タマノルE−100などが挙げられる。一方、ロジン系樹脂水性分散体としては、荒川化学社製スーパーエステルシリーズなどが挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂水性分散体と、天然物系粘着付与樹脂の水性分散体と、可塑剤とを混合する場合には、ポリ乳酸系樹脂水性分散体に、天然物系粘着付与樹脂の水性分散体と可塑剤とを加えて混合してもよく、また天然物系粘着付与樹脂の水性分散体に、ポリ乳酸系樹脂水性分散体と可塑剤とを加えて混合してもよく、さらに可塑剤に、ポリ乳酸樹脂系水性分散体と天然物系粘着付与樹脂の水性分散体とを混合してもよく、混合順序は任意である。同様に、可塑剤を含むポリ乳酸系樹脂水性分散体と天然物系粘着付与樹脂の水性分散体とを混合する場合、また可塑剤を含む天然物系粘着付与樹脂の水性分散体とポリ乳酸系樹脂水性分散体を混合する場合も混合順序は任意である。使用する装置としては、液/液撹拌装置として広く知られている装置を使用することが可能であり、混合液の分散性が良好であるため、極めて短時間かつ簡単な混合操作でよい。さらに、混合後の固形分濃度の調整方法としては、例えば、所望の固形分濃度となるように水性媒体を留去したり、水により希釈したりする方法が挙げられる。また、塗工性能を向上させるために沸点が100℃以下の親水性有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類があげられ、2種以上混合してもよい。これらの親水性有機溶剤の中でも、低温乾燥性の点からエタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールが特に好ましい。これらの親水性有機溶剤を加える場合は、ポリ乳酸系樹脂水性分散体と天然物系粘着付与樹脂の水性分散体、可塑剤を混合した後に加えるのが好ましい。
本発明のコーティング剤における固形分濃度、すなわちポリ乳酸系樹脂、天然物系粘着付与樹脂、および可塑剤の総濃度は、1〜60質量%であることが好ましい。固形分濃度が1質量%以下では、基材に塗工する際に十分な厚さの被膜を形成しにくくなる傾向があり、一方60質量%を超えると、特に水性分散体の場合、ポリ乳酸系樹脂および天然物系粘着付与樹脂の分散性が不十分になることがある。
本発明のコーティング剤には、耐溶剤性等の性能を向上させるために架橋剤を配合してもよい。架橋剤の配合割合は、ポリ乳酸系樹脂に対して0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜20質量%の範囲であることがより好ましい。添加量が0.1質量%未満であると添加効果が小さく、30質量%を超えると基材との密着性が低下する傾向にある。架橋剤としては、自己架橋性を有する化合物、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属塩等を用いることができ、例えば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、あるいは2種類以上を併用してもよい。
また、本発明のコーティング剤には、その特性が損なわれない範囲で、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐候剤、天然ワックス、酸化防止剤、滑剤、着色剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、老化防止剤等を添加することができる。これらの種類は特に限定されない。
本発明のコーティング剤は顔料や無機フィラーを分散させることで塗料とすることができる。
顔料としては塗料分野で汎用に使用されているものであれば特に限定されない。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料、アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオインジゴ系、インダンスロン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ベンゾイミダゾール系、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラピリジン系、ジオキサジン系等の有機顔料が挙げられる。
無機フィラーとしては、酸化マグネシウムや酸化バリウム、酸化スズ等の金属酸化物や、シリカ、層状珪酸塩鉱物などが挙げられる。上記の顔料や無機フィラーは、単独もしくは2種類以上が含有されていても差し支えない。
また、顔料または無機フィラーの配合量は、コーティング剤の固形分に対して0.1〜600質量%であることが好ましく、1〜400質量%であることがさらに好ましく、10〜200質量%であることがより好ましい。0.1質量%未満では添加効果が得られず、600質量%を超えると充分な接着性が得られなくなる場合がある。
こうして得られた本発明のコーティング剤や塗料は、基材上に均一に塗工され、この後、加熱・乾燥することにより、基材上に被膜が形成される。
塗工方法としては、マイヤーバー法、ディップコート法、はけ塗り法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、カーテンフローコート法、各種塗工法などが挙げられ、乾燥には熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーターなどを用いる。また、加熱温度や加熱時間としては、被コーティング物である基材の特性等により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度としては、30〜200℃が好ましく、40〜150℃がより好ましく、基材に後述する生分解性を有するものを用いる場合には、基材の熱による劣化防止の観点から50〜140℃がさらに好ましく、60〜100℃が特に好ましい。加熱時間としては、1秒〜20分が好ましく、5秒〜15分がより好ましく、15秒〜10分が特に好ましい。なお、架橋剤を添加した場合は、ポリ乳酸系樹脂中のカルボキシル基と架橋剤との反応を十分進行させるために、加熱温度および時間は架橋剤の種類によって適宜選定することが望ましい。
本発明のコーティング剤や塗料を用いて形成される樹脂被膜の厚さとしては、その用途によって適宜選択されるものであるが、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましく、0.2〜30μmが特に好ましい。
基材およびその形状は特に限定されるものではないが、本発明のコーティング剤および塗料を用いる意義から考えると生分解性を有するものが好ましい。そのようなものの具体例としては、和紙、クラフト紙、ライナー紙、アート紙、コート紙、カートン紙等の紙類、ポリ乳酸系樹脂を用いた生分解性フィルムや天然多糖類のキトサンを用いた生分解性フィルム等のフィルム類およびこれらのフィルムを用いた合成紙類、ポリ乳酸系樹脂繊維から成る織布、編布、不織布等の布帛等があげられる。各種基材は難燃処理や防湿処理、帯電防止処理等各種処理が施されていてもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各分析項目は以下の方法に従って行った。
(1)ポリ乳酸樹脂および天然物系粘着付与樹脂の軟化点温度
樹脂10mgをサンプルとし、顕微鏡用加熱(冷却)装置ヒートステージ(リンカム社製、Heating−Freezing ATAGE TH−600型)を備えた顕微鏡を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測定を行い、樹脂が溶融した温度を軟化点とした。
(2)ポリ乳酸系樹脂の粒子径および天然物系粘着付与樹脂の粒子径
マイクロトラック粒度分布計UPA150(日機装株式会社製、MODEL No.9340)を用い、数平均粒子径を求めた。
(3)被膜の厚さ
接触式膜厚計により、加工品の全体の厚さを求め、その結果から基材の厚さを減じて求めた。
(4)接着性評価
テープ剥離により評価した。加工紙の塗工面に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離し、塗工物の剥がれ具合を下記の基準で評価した。
〇:粘着テープに付着した塗工物の面積が30%未満
△:粘着テープに付着した塗工物の面積が30以上、60%未満
×:粘着テープに付着した塗工物の面積が60%以上
実施例1
ポリ乳酸樹脂水性分散体(ユニチカ社製、LAE−013N、樹脂の軟化点:107℃、固形分濃度:52.0質量%、数平均粒子径:600nm、以下「013N」と略称する)22.6gに、クエン酸トリブチルアセテート(田岡化学工業社製、ATBC、以下「ATBC」と略称する)を3.5g(ポリ乳酸樹脂に対し30質量%)添加した。さらにテルペン樹脂水性分散体(中京油脂社製、レゼムTF L−816、樹脂の軟化点:80℃、固形分濃度:40.0質量%、数平均粒子径:280nm、以下「L−816」と略称する)11.8g(ポリ乳酸樹脂に対し固形分が40質量%)、および水2.1gを添加することで固形分濃度50.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤J−1を得た。
得られたコーティング剤(J−1)を、両更クラフト紙(50g/m)の片面に、乾燥後のコート膜厚が4μmになるようにフィルムアプリケータ−(安田精機製作所社製、542−AB)を用いて塗工した後、80℃で2分間乾燥させて加工紙を作製した。このようにして作製した加工紙の被膜の基材への接着性評価を行った。結果を表1に示す。
さらに、酸化チタン(石原産業社製、タイペークCR−50)7.3gに水5.4gを添加し、ここへ上述のコーティング剤(J−1)7.3gを配合し(コーティング剤の固形分に対し酸化チタン200質量%)、ペイントシェイカーで混合を行い、固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−1を調製した。これを両更クラフト紙(50g/m)の片面にフィルムアプリケータ−(安田精機製作所社製、542−AB)を使用して塗工し、その後、80℃で2分間乾燥することにより、基材に厚さ4μmの塗膜を形成した加工紙を作製した。このようにして作製した加工紙の酸化チタンの紙への接着性評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
L−816の固形分量をポリ乳酸樹脂に対して20質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行って固形分濃度50.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤J−2を得た。また実施例1と同様にして固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−2を作製した。各種評価結果を表1に示す。
実施例3
L−816の固形分量をポリ乳酸樹脂に対して60質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行って固形分濃度50.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤J−3を得た。また実施例1と同様にして固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−3を作製した。各種評価結果を表1に示す。
実施例4
ATBCの添加量をポリ乳酸樹脂に対して20質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行って固形分濃度50.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤J−4を得た。また実施例1と同様にして固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−4を作製した。各種評価結果を表1に示す。
実施例5
ATBCの添加量をポリ乳酸樹脂に対して40質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行って固形分濃度50.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤を得た。また実施例1と同様にして固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−5を作製した。各種評価結果を表1に示す。
実施例6
可塑剤としてATBCの代わりにグリセリンジアセトモノカプリレート(理研ビタミン社製、リケマールPL−019、以下「PL−019」と略称する)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って固形分濃度50.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤J−6を得た。また実施例1と同様にして固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−6を作製した。各種評価結果を表1に示す。
実施例7
可塑剤としてATBCの代わりにビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アジペート(大八化学工業社製、MXA、以下「MXA」と略称する)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って固形分濃度50.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤J−7を得た。また実施例1と同様にして固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−7を作製した。各種評価結果を表1に示す。
実施例8
天然物系粘着付与樹脂としてL−816の代わりにロジン系樹脂水性分散体(荒川化学社製、スーパーエステルE−720、樹脂の軟化点:100℃、固形分濃度:50.0質量%、数平均粒子径:210nm、以下「E−720」と略称する)を用い、その固形分量がポリ乳酸樹脂に対して40質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行って固形分濃度50.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤J−8を得た。また実施例1と同様にして固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−8を作製した。各種評価結果を表1に示す。
実施例9
酸化チタンの代わりにコロイダルシリカ(日産化学工業社製、スノーテックス−50、固形分濃度50.0質量%)14.6gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って固形分濃度50.0質量%の水性塗料T−9を作製した。各種評価結果を表1に示す。
比較例1
ポリ乳酸系樹脂水性分散体013Nを水で希釈して、固形分濃度50.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤H−1を調製した。さらにコーティング剤H−1を用いて、実施例と同様の操作を行って固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−10を作製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1のポリ乳酸系樹脂コーティング剤の調製において、L−816を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、固形分濃度50.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤H−2と、固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−11とを作製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
実施例1のポリ乳酸系樹脂コーティング剤の調製において、ATBCを添加しなかった以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂コーティング剤H−3を作製し、さらに固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−12を作製して、各種評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4
L−816の固形分量をポリ乳酸樹脂に対して200質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行って固形分濃度45.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤H−4を得た。また実施例1と同様にして固形分濃度55.0質量%の水性塗料T−13を作製した。各種評価結果を表1に示す。
比較例5
ATBCの添加量をポリ乳酸樹脂に対して100質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行って固形分濃度50.0質量%のポリ乳酸系樹脂コーティング剤を調製したが、コーティング剤は安定性に乏しく、凝集した。
実施例1〜9では、優れた基材への低温接着性を示した。特に実施例1〜7および9は天然物系粘着付与樹脂の軟化点が80℃であることから、すぐれた顔料および無機フィラーの基材への接着性が確認された。
これに対し、比較例1は、天然物系粘着付与樹脂および可塑剤を配合していないため80℃という乾燥条件下では接着性に乏しいものになった。また比較例2は、天然物系粘着付与樹脂を配合していないため、接着性に乏しいものになった。比較例3は、可塑剤を含んでいないため80℃という乾燥条件下では接着性に乏しいものになった。比較例4は、天然物系粘着付与樹脂の添加量が本発明の範囲外であるため接着性に乏しいものになった。比較例5は、可塑剤の添加量が本発明の範囲外であるため分散性に乏しいものになった。

Claims (12)

  1. ポリ乳酸系樹脂、ポリ乳酸系樹脂に対して1〜100質量%の天然物系粘着付与樹脂、ポリ乳酸系樹脂に対して1〜50質量%の可塑剤、および液状媒体からなることを特徴とするポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
  2. 液状媒体が水または水性媒体であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
  3. ポリ乳酸系樹脂および天然物系粘着付与樹脂が、液状媒体中に微粒子状で分散していることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
  4. 天然物系粘着付与樹脂の軟化点が100℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
  5. 天然物系粘着付与樹脂がテルペン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
  6. 可塑剤がエーテルエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤またはグリセリンエステル系可塑剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤を基材に塗工してなることを特徴とする加工品。
  8. 基材が生分解性物質であることを特徴とする請求項7記載の加工品。
  9. 生分解性物質が紙であることを特徴とする請求項8記載の加工品。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂コーティング剤に顔料または無機フィラーを分散してなることを特徴とする塗料。
  11. 請求項10記載の塗料を生分解性物質に塗工してなることを特徴とする加工品。
  12. 生分解性物質が紙であることを特徴とする請求項11記載の加工品。
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