JP2008239772A - 表面処理剤及び該処理剤を塗布してなる表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
木質基材等の基材の保護、美観維持に適し、且つ人体や環境に配慮した表面処理剤及び該処理剤を塗布してなる表面処理方法を提供する。
【解決手段】
生分解性樹脂(a)及びグリセリン誘導体の脂肪酸エステル(b)を含む組成物を水中に分散してなり、生分解性樹脂(a)及びグリセリン誘導体の脂肪酸エステル(b)の合計量が処理剤の全固形分中60質量%以上であることを特徴とする表面処理剤、基材面に、該表面処理剤を塗布してなる表面処理方法。
【選択図】なし
Description
1. 生分解性樹脂(a)及びグリセリン誘導体の脂肪酸エステル(b)を含む組成物を水中に分散してなり、生分解性樹脂(a)及びグリセリン誘導体の脂肪酸エステル(b)の合計量が処理剤の全固形分中60質量%以上であることを特徴とする表面処理剤、
2. 生分解性樹脂(a)が、変性澱粉である1項に記載の表面処理剤、
3. 生分解性樹脂(a)及びグリセリン誘導体の脂肪酸エステル(b)の使用割合が、生分解性樹脂(a)/グリセリン誘導体の脂肪酸エステル(b)質量比で99/1〜80/20の範囲内にある1項または2項に記載の表面処理剤、
4. ポリオキシエチレン基を有するアニオン性界面活性剤(c)をさらに含有する1項ないし3項のいずれか1項に記載の表面処理剤、
5. 油脂及び/又は脂肪酸(d)を含有する1項ないし4項のいずれか1項に記載の表面処理剤、
6. 可塑剤(e)をさらに含有する1項ないし5項のいずれか1項に記載の表面処理剤、
7. 平均粒子径が50〜1000nmの範囲内にある1項ないし6項のいずれか1項に記載の表面処理剤、
8. 基材面に、1項ないし7項のいずれか1項に記載の表面処理剤を塗布してなる表面処理方法、
に関する。
本発明において生分解性樹脂(a)は、本発明の表面処理剤(以下処理剤と記する)の被膜形成成分となり得るものであり、従来公知のものを制限なく使用することができる。その具体例としては、澱粉、変性澱粉等の澱粉誘導体;セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアセテート誘導体;キチン、キトサン等の多糖類;ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル類;ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類;ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリヒドロキシブチレート類;ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等の脂肪族ポリエステル類;ポリアミノ酸類;ポリエステルポリカーボネート類;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子;シェラック、ロジン等の天然樹脂;等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明においてグリセリン誘導体の脂肪酸エステル(b)は、上記生分解性樹脂(a)を水中に分散させるために用いられるものであり、このものを使用することによって本発明に従う処理剤は木質基材等の基材面に対して浸透性を有することができ、その表層を改質させるとともに処理後の外観として木目等の素材感がより一層際立つ効果を奏することができるものである。
本発明において上記処理剤は、上記生分解性樹脂(a)の分散性を向上させることを目的としてポリオキシエチレン基を有するアニオン性界面活性剤(c)をさらに含ませることができる。
また、上記処理剤は、処理膜の乾燥性を向上させることを目的として油脂及び/又は脂肪酸(d)をさらに含ませることができる。かかる油脂の具体例としては、例えば、大豆油、サフラワー油、アマニ油、トール油、やし油、パーム核油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、魚油、桐油などを挙げることができる。油脂としては、中でもヨウ素価が100以上の乾性油又は半乾性油が好ましく、特に大豆油、サフラワー油、アマニ油などが好適である。また、脂肪酸としては、例えば、大豆油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、トール油脂肪酸、やし油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、魚油脂肪酸、桐油脂肪酸などを挙げることができる。脂肪酸としては、中でもヨウ素価が100以上の乾性油脂肪酸又は半乾性油脂肪酸が好ましく、特に大豆油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、アマニ油脂肪酸などが好適である。
本発明において上記処理剤は、造膜性を向上させることを目的として可塑剤(e)をさらに含ませることができる。かかる可塑剤(e)の具体例としては、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸誘導体;ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート等のエーテルエステル誘導体;グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート等のグリセリン誘導体;アジピン酸と1、4−ブタンジオールとの縮合体等のアジピン酸誘導体;ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリヒドロキシカルボン酸等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上選択して使用できる。
本発明の上記処理剤には必要に応じて防虫剤を配合してもよい。かかる防虫剤としては、従来公知のものを制限なく使用できるが、具体的には、フェニトロチオン、ダイアジノン、ジクロルボス、フェンチオン、トリクロルホン、プロペタンホス、プロチオホス、ピリダフェンチオン、ホキシム等の有機リン系殺虫剤、フェノブカルブ、カルバリル、メソミル等のカーバメート系殺虫剤、フェノトリン、ペルメトリン 、アレスリン、フタルスリン、プラレトリン、ビフェントリン、イミプロトリン、シフェノトリン、エトフェンプロクス等のピレスロイド系殺虫剤;イミダクロプリド、アセタミプリド、クロチアニジン、チアメトキサム等のネオニコチノイド系、天然ピレトリン、フィプロニルおよびクロロフェナピル等が挙げられ、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
実施例1
2Lの内面コート缶に下記成分を入れ、ディスパーにて均一になるまで攪拌した。その後、ディスパーの回転数を2000rpmに固定しながら、徐々に脱イオン水500部を加え、転相乳化させた後、トルエンを減圧除去し、表面処理剤(A−1)を得た。該表面処理剤(A−1)の平均粒子径は、430nmであった。
20%変性澱粉(注1) 500部
「ポエムDL−100」(注2) 5部
(注1)20%変性澱粉:「コーンポールCP−5」(商品名、日本コーンスターチ社製、エステル化澱粉)100部にトルエン400部を加え、ディスパーにて均一になるまで攪拌することにより製造した。
(注2)「ポエムDL−100」:商品名、理研ビタミン社製、ジグリセリンモノラウレート。
製造例1において配合組成を表1に示すように変更する以外は製造例1と同様にして表面処理剤(A−2)〜(A−5)及び(A−7)〜(A−8)を得た。
(注4)「エマール20T」:商品名、花王社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、有効成分40%。
2Lの内面コート缶に20%変性澱粉(注1)500部、「ポエムDL−100」(注2)5部、「エマール20T」(注4)10部、アマニ油5部、アセチルクエン酸トリブチル10部、ペルメトリン1部を入れ、ディスパーにて均一になるまで攪拌した。その後、ディスパーの回転数を2000rpmに固定しながら、徐々に脱イオン水500部を加え、転相乳化させた後、高圧エネルギーを加えて流体同士を衝突させる高圧乳化装置による処理を行った。その後、トルエンを減圧除去し、表面処理剤(A−6)を得た。該表面処理剤(A−6)の平均粒子径は、210nmであった。
(*1)貯蔵安定性
表1に示した表面処理剤(A−1)〜(A−8)を容量が1Lの内面コート缶に500部入れ、40℃の恒温室中で14日間貯蔵した。その後、室温に戻し、容器の中の状態を目視にて観察し、次の基準で評価した。
○:分離が認められない、
△:ソフトケーキングや分離が認められるが、攪拌により均一となる、
×:ハードケーキングや分離が認められ、攪拌により均一にならない。
実施例1〜6および比較例1〜2で製造した表面処理剤(A−1)〜(A−8)に対して表2に示す各成分を順次仕込み、ディスパーで均一になるまで攪拌することにより塗布用表面処理剤(B−1)〜(B−8)を調整した。該表面処理剤(B−1)〜(B−8)について下記の基準にて評価を行った。結果を表2に併せて示す。
(注6)「SNデフォーマー380」:商品名、サンノプコ社製、消泡剤、
(注7)「DICNATE 3111」:商品名、大日本インキ化学工業社製、ドライヤー、Co含有率3%。
(*2)仕上がり性
ラワン材に各処理剤(B−1)〜(B−8)を刷毛にて処理剤としての塗布量が150g/m2になるように塗装し、気温20℃、相対湿度60%の条件下で24時間乾燥させて各試験塗板を得た。その後、仕上がり性を目視にて評価した。
○:吸い込みムラがなく良好、
△:吸い込みムラが認められる、
×:ワレやヒビなどの塗膜欠陥が認められる。
(*3)乾燥性
上記(*2)と同様にして得た各試験塗板の指触乾燥性を次の基準で評価した。
◎:全く指紋がつかない、
○:指紋がつくが、しばらくすると元に戻る、
△:指紋がついて元に戻らない、
×:塗膜が指に付着する。
(*4)浸透性
表2に示す各処理剤(B−1)〜(B−8)にフタロシアニンブルーを1%添加した後、ラワン材に各処理剤(B−1)〜(B−8)を刷毛にて処理剤としての塗布量が150g/m2になるように塗装し、気温20℃、相対湿度60%の条件下で24時間乾燥させて各試験塗板を得た。その後、試験塗板を切断し、断面を目視にて評価した。
◎:表面から7mm以上の深さまで青色の着色が認められる、
○:表面から4以上で且つ7mm未満の深さまで青色の着色が認められる、
△:表面から1以上で且つ4mm未満の深さまで青色の着色が認められる、
×:表面から0以上で且つ1mm未満の深さまで青色の着色が認められる。
Claims (8)
- 生分解性樹脂(a)及びグリセリン誘導体の脂肪酸エステル(b)を含む組成物を水中に分散してなり、生分解性樹脂(a)及びグリセリン誘導体の脂肪酸エステル(b)の合計量が処理剤の全固形分中60質量%以上であることを特徴とする表面処理剤。
- 生分解性樹脂(a)が、変性澱粉である請求項1に記載の表面処理剤。
- 生分解性樹脂(a)及びグリセリン誘導体の脂肪酸エステル(b)の使用割合が、生分解性樹脂(a)/グリセリン誘導体の脂肪酸エステル(b)質量比で99/1〜80/20の範囲内にある請求項1または2に記載の表面処理剤。
- ポリオキシエチレン基を有するアニオン性界面活性剤(c)をさらに含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表面処理剤。
- 油脂及び/又は脂肪酸(d)を含有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表面処理剤。
- 可塑剤(e)をさらに含有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の表面処理剤。
- 平均粒子径が50〜1000nmの範囲内にある請求項1ないし6のいずれか1項に記載の表面処理剤。
- 基材面に、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の表面処理剤を塗布してなる表面処理方法。
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