JP2006290839A - ヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体およびその誘導体ならびにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、新規なヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体およびその誘導体ならびにその製造方法に関する。
ヒドロキシナフタレンカルボン酸類としては、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、および2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸などがよく知られており、有機色素や合成樹脂など種々の用途における合成原料として広く用いられている。
2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸やその誘導体のヒドラジド化された誘導体が、電子写真感光体の電荷発生材料に用いるアゾ化合物のカップラーの合成原料(特許文献1を参照。)、タイヤ用のゴム添加剤やその合成用中間体(特許文献2および3を参照。)、およびエポキシ樹脂用の硬化剤や硬化促進剤(特許文献4を参照。)としての利用が広く知られている。
しかしながら、ヒドラジド化された2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸二量体やその誘導体については知られていない。かかる化合物は新たなゴム添加剤、エポキシ樹脂の硬化剤・硬化促進剤などの合成において有用であると考えられ、ヒドラジド化された2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸二量体およびその誘導体と、その製造方法の確立が望まれている。
特開平6−95403号公報
特開平4−136048号公報
特開平11−292834公報
特開平9−67466号公報
本発明の目的は新規なヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体およびその誘導体ならびにその製造方法を提供することに有る。
本発明は、下記の一般式〔1〕で表される、ヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体に関する。
[一般式〔1〕中、
X1およびX2は、カルボキシル基、一般式〔2〕、および一般式〔3〕、
−CO−NH−Z 〔2〕
−CO−NHNH2 〔3〕
からなる群より選択される基である;
Zは炭素原子数1〜20の分岐を有してもよく置換基を有していてもよく不飽和結合を有してもよい脂肪族基、置換基を有してもよい芳香族基、および置換基を有してもよい共役二重結合を有する複素環基からなる群から選ばれる基;
Y1およびY2は、カルボキシル基、カルバモイル基、一般式〔2〕、一般式〔3〕、および一般式〔4〕、
−CO−O−A 〔4〕
からなる群より選択される基である;
Aは炭素原子数1〜6のアルキル基;
ただし、一般式〔1〕においてX1、X2、Y1およびY2の少なくとも一つは一般式〔3〕で表される基である;
R1およびR2は水素原子、水酸基および/またはハロゲン原子で置換されてもよく分岐を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、および炭素原子数7〜11のアラルキル基からなる群より選択される基;
Q1およびQ2は炭素原子数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基および水酸基からなる群より選択される基;
mおよびnは0〜4の整数を表す;
mまたはnが2〜4である場合には、Q1およびQ2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。]
X1およびX2は、カルボキシル基、一般式〔2〕、および一般式〔3〕、
−CO−NH−Z 〔2〕
−CO−NHNH2 〔3〕
からなる群より選択される基である;
Zは炭素原子数1〜20の分岐を有してもよく置換基を有していてもよく不飽和結合を有してもよい脂肪族基、置換基を有してもよい芳香族基、および置換基を有してもよい共役二重結合を有する複素環基からなる群から選ばれる基;
Y1およびY2は、カルボキシル基、カルバモイル基、一般式〔2〕、一般式〔3〕、および一般式〔4〕、
−CO−O−A 〔4〕
からなる群より選択される基である;
Aは炭素原子数1〜6のアルキル基;
ただし、一般式〔1〕においてX1、X2、Y1およびY2の少なくとも一つは一般式〔3〕で表される基である;
R1およびR2は水素原子、水酸基および/またはハロゲン原子で置換されてもよく分岐を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、および炭素原子数7〜11のアラルキル基からなる群より選択される基;
Q1およびQ2は炭素原子数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基および水酸基からなる群より選択される基;
mおよびnは0〜4の整数を表す;
mまたはnが2〜4である場合には、Q1およびQ2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。]
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「低級」とは、炭素原子数が1〜6であるものを示す。
「芳香族基」は6員の単環または縮合環であって、縮合環の環数4までの芳香族基を示す。
「共役二重結合を有する複素環基」は1以上のN、S、Oを含み、共役二重結合を有する5員乃至6員の単環または縮合環である複素環基を示す。縮合環を形成する場合は、環数6までのものとする。
「芳香族基」は6員の単環または縮合環であって、縮合環の環数4までの芳香族基を示す。
「共役二重結合を有する複素環基」は1以上のN、S、Oを含み、共役二重結合を有する5員乃至6員の単環または縮合環である複素環基を示す。縮合環を形成する場合は、環数6までのものとする。
本発明の一般式〔1〕で表されるヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体において、X1、X2、Y1およびY2の何れか一つ以上が一般式〔2〕で表される基である場合の例としては、アルキルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基などが挙げられる。
上記一般式〔2〕中、Zの炭素原子数1〜20の分岐を有してもよく置換基を有していてもよく不飽和結合を有してもよい脂肪族基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、2−クロロエチル基、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族基としては、たとえばベンゼン環、ナフタレン環、アントラキノン環などが挙げられる。置換基を有していてもよい共役二重結合を有する複素環基としては、たとえばチオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアゾール、テトラゾール、インドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、ベンゾフランなどが挙げられる。
これらの基の置換基としては、たとえばハロゲン原子、ハロゲン化低級アルキル、ニトロ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基(たとえばメトキシ基)、シアノ基、フェノキシ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、フェニルカルバモイル基、アルキルアミノスルホニル基、およびアリール基を有することのある炭素原子数2〜6のアルケニル基等が挙げられる。これらの置換基が芳香族基を含む場合には、その環上にさらに一個以上の別の置換基、たとえは、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェニル基、シアノ基などを有していてもよい。
本発明の一般式〔1〕で表されるヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体において、Y1およびY2の少なくとも一つ以上が一般式〔4〕で表される基である場合の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基などが挙げられる。
本発明の一般式〔1〕で表されるヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体において、R1およびR2は水素原子、水酸基および/またはハロゲン原子で置換されてもよく分岐を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、および炭素原子数7〜11のアラルキル基からなる群より選択される基である。
R1およびR2が表す、水酸基および/またはハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−クロロエチル基、および4−ヒドロキシブチル基などが挙げられ、炭素原子数7〜11のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、および2−ナフチルメチル基などが挙げられる。
本発明の一般式〔1〕で表されるヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体において、ナフタレン環上の置換基を表すQ1およびQ2は、炭素原子数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、および水酸基を表すものである。また、ナフタレン環上の置換基の数を表す、mおよびnは0〜4の整数である。mまたはnが2〜4である場合、即ちナフタレン環上に複数の置換基を有する場合には、Q1およびQ2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
本発明の、一般式〔1〕で表されるヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体の製造原料として使用する、下記の一般式〔5〕で表されるヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体の誘導体は公知の何れの方法によって得られたものでもよい。
一般式〔5〕で表される化合物の調製方法としては、例えば、以下のスキーム1に示すように、特開2002−316961号公報、または特開2001−316966号公報に記載の方法が挙げられる。
具体的には、一般式〔6〕および一般式〔7〕で表される化合物をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒中で塩化銅(I)の存在下にカップリング反応させ、クロマトグラフなどの常法により、一般式〔8〕で表される化合物を単離(副生物として一般式〔6〕、一般式〔7〕で表される化合物の二量化物が生成した後に、所望により水酸基をアルキル化またはアラルキル化することにより調製することができる。
ここで、一般式〔7〕、および一般式〔8〕で表される化合物において、X3、Y3、X4、およびY4は何れもカルボキシル基の他の基を表すものである。X3、Y3、X4、およびY4の何れか一つ以上がカルボキシル基である場合には、銅塩がカルボキシル基と結合するために酸化カップリング反応が良好に進行しない。
一般式〔5〕で表される化合物において、X3、Y3、X4、およびY4から選択される1〜3個の基がカルボキシル基である化合物を調製する方法としては、例えば、1〜3個の一般式〔4〕で表される基を有する一般式〔8〕で表される化合物を調製した後に、常法に従い一般式〔4〕で表される基を加水分解する方法などが挙げられる。
一般式〔5〕で表される化合物としては、調製が容易であることから、X3およびX4、Y3およびY4、R1およびR2、Q1およびQ2、ならびにmおよびnが同一であるものが好ましい。
一般式〔5〕で表される化合物としては、調製が容易であることから、X3およびX4、Y3およびY4、R1およびR2、Q1およびQ2、ならびにmおよびnが同一であるものが好ましい。
X3、Y3、X4、およびY4は、一般式〔2〕、一般式〔3〕、一般式〔4〕、カルバモイル基およびカルボキシル基からなる群より選択される基;
ただし、X3、Y3、X4、およびY4の少なくとも一つは一般式〔4〕で表される基、またはカルバモイル基である;
R1、R2、Q1、Q2、mおよびnは一般式〔1〕における定義と同意。]
[一般式〔6〕〜〔8〕において、X3、Y3、X4、およびY4は一般式〔2〕、一般式〔3〕、一般式〔4〕、およびカルバモイル基からなる群より選択される基;
ただし、X3、Y3、X4、およびY4の少なくとも一つは一般式〔4〕で表される基、またはカルバモイル基である;
Q1、Q2、mおよびnは一般式〔5〕における定義と同意;
ただし、一般式〔6〕および〔7〕で表される化合物については各々のナフタレン環上の1位は水素原子である。]
ただし、X3、Y3、X4、およびY4の少なくとも一つは一般式〔4〕で表される基、またはカルバモイル基である;
Q1、Q2、mおよびnは一般式〔5〕における定義と同意;
ただし、一般式〔6〕および〔7〕で表される化合物については各々のナフタレン環上の1位は水素原子である。]
上記スキーム1の出発原料として使用する、一般式〔6〕および〔7〕で表されるヒドロキシナフタレンジカルボン酸の誘導体は公知の何れの方法によって得られたものでもよい。一般式〔6〕および〔7〕で表される化合物の調製方法について、以下に一般式〔6〕で表される化合物について具体的に説明するが、一般式〔7〕で表される化合物をも同様にして調製される。
[一般式〔6〕および〔7〕中、
X3、Y3、X4、およびY4は、一般式〔2〕、一般式〔3〕、一般式〔4〕およびカルバモイル基からなる群より選択される基;
ただし、X3、Y3、X4、およびY4の何れか一つは一般式〔4〕で表される基またはカルバモイル基である;
Q1、Q2、mおよびnは一般式〔1〕における定義と同意;
ただし、一般式〔6〕および〔7〕で表される化合物において、各々のナフタレン環上の1位は水素原子である。]
X3、Y3、X4、およびY4は、一般式〔2〕、一般式〔3〕、一般式〔4〕およびカルバモイル基からなる群より選択される基;
ただし、X3、Y3、X4、およびY4の何れか一つは一般式〔4〕で表される基またはカルバモイル基である;
Q1、Q2、mおよびnは一般式〔1〕における定義と同意;
ただし、一般式〔6〕および〔7〕で表される化合物において、各々のナフタレン環上の1位は水素原子である。]
例えば、一般式〔6〕において、X3およびX4が共に一般式〔4〕
−CO−O−A 〔4〕
(Aは炭素原子数1〜6のアルキル基)
で表される基またはカルバモイル基である場合には以下に示すスキーム2に従い調製することができる。
−CO−O−A 〔4〕
(Aは炭素原子数1〜6のアルキル基)
で表される基またはカルバモイル基である場合には以下に示すスキーム2に従い調製することができる。
具体的には〔9〕で表される2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸またはその誘導体を、テトラヒドロフランなどの溶媒中で塩化チオニルと反応させ、一般式〔10〕で表される酸クロリドとし、これをA−OHで表される低級アルコールと反応させた場合には一般式〔11〕で表されるヒドロキシナフタレンジカルボン酸のエステル誘導体を調製でき、アンモニアと反応させた場合には一般式〔12〕で表されるカルバモイル基を有するヒドロキシナフタレンジカルボン酸の誘導体を調製できる。
また、式〔11〕で表される化合物は、硫酸、パラトルエンスルホン酸などの酸の存在下に式〔9〕で表される化合物とA−OHで表される低級アルコールを反応させることによっても調製することができる。
なお、一般式〔9〕で表される化合物が2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸である場合には、国際公開第98/17621号パンフレットに記載の方法に従い調製することができ、一般式〔9〕で表される2−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸の誘導体については、常法に従い、ナフタレン環上に置換基を導入することにより調製することができる。
本発明の一般式〔6〕で表されるヒドロキシナフタレンジカルボン酸の誘導体のX3およびY3の一方が一般式〔2〕で表される基またはカルバモイル基であり、他方が一般式〔4〕で表される基である場合には、例えば以下に示すスキーム3−1または3−2に従い、一般式〔15〕または一般式〔17〕で表される化合物を調製した後、これをスキーム3−3または3−4に従い、カルボキシル基を塩化チオニルによりクロロカルボニル基とした後に、対応するアミンまたはアンモニアと反応させることにより、一般式〔19〕、〔20〕、〔22〕、および〔23〕で表される化合物として調製することができる。
ここで、スキーム3−1および3−2に示されるナフタレン環上の3位の選択的なエステル化反応および加水分解反応は、2位の水酸基の影響により3位の反応性が6位と比べて高いことから通常のエステル化反応および加水分解反応によって達成されるものである。
本発明の一般式〔6〕で表されるヒドロキシナフタレンジカルボン酸の誘導体のX3およびY3の一方が一般式〔3〕で表される基であり、他方がカルバモイル基である場合には、一般式〔19〕または〔22〕で表される化合物の一般式〔4〕で表される基を加水分解によりカルボキシル基とした後に、常法に従いH2N−Zで表されるアミンによりアミド化するか、一般式〔20〕または〔23〕で表される化合物の一般式〔4〕で表される基を加水分解によりカルボキシル基とした後に、常法に従いアンモニアと反応させカルバモイル基とすることにより調製することができる。
[一般式〔13〕〜〔23〕においてQ1およびmは、一般式〔1〕における定義と同意。A−OHは低級アルコールを表し、A−Halは低級ハロゲン化アルキルを表す。
H2N−Zは、炭素原子数1〜20の分岐を有してもよく置換基を有していてもよく不飽和結合を有してもよい脂肪族アミン、置換基を有してもよい芳香族アミン、および置換基を有してもよい共役二重結合を有する複素環アミンからなる群より選ばれるアミンを表す。]
H2N−Zは、炭素原子数1〜20の分岐を有してもよく置換基を有していてもよく不飽和結合を有してもよい脂肪族アミン、置換基を有してもよい芳香族アミン、および置換基を有してもよい共役二重結合を有する複素環アミンからなる群より選ばれるアミンを表す。]
上記の方法などによって得られた、一般式〔5〕で表される、ヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体の誘導体は、次いでヒドラジン一水和物、硫酸ヒドラジン、中性硫酸ヒドラジン、一塩酸ヒドラジン、二塩酸ヒドラジン、およびブロム酸ヒドラジンから選択される一種以上のヒドラジン化合物との反応に供され、ヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体とされる。
これらのヒドラジン化合物の中でも、反応後の副生物が水であり処理が容易である点などからヒドラジン一水和物を用いるのが好ましい。
上記のヒドラジン化合物は、一般式〔5〕で表される、ヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体の誘導体中の一般式〔4〕で表される基およびカルバモイル基の合計量、1モルに対して、1.2〜5.0モル用いるのが好ましく、2.0〜2.5モル用いるのが特に好ましい。
一般式〔5〕で表される、ヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体の誘導体とヒドラジン化合物の反応温度としては、反応が速やかに進行することや副反応が起こりにくいことなどから20〜110℃が好ましく、80〜100℃が特に好ましい。
ヒドラジド化反応に用いる溶媒としては、ヒドラジド化反応に不活性な溶媒であれば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコールなどのアルコール類が好適に使用される。
ヒドラジド化反応は、原料の一般式〔5〕で表される、ヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体の誘導体の80モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上がヒドラジド誘導体へ転化するまで行えばよい。原料の転化は高速液体クロマトグラフィーなどによって確認することができる。
反応時間は、反応温度や溶媒種によっても異なるが、通常5〜100時間で行われる。
ヒドラジド化反応の方法については特に限定されず、回分式でも連続式でも実施可能である。
ヒドラジド化反応の方法については特に限定されず、回分式でも連続式でも実施可能である。
本発明において、ヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体のヒドラジド化反応を行うにあたって、原料化合物にR2および/またはR3が水素原子である(即ちナフタレン環上の2位および2’位が水酸基である一般式〔5〕で表される化合物を用いた場合に、基質によっては、溶媒への溶解性の問題などから、ナフタレン環上の6位または6’位に結合する一般式〔4〕で表される基またはカルバモイル基の反応性が著しく低下する場合がある。
このような場合には、R2および/またはR3が水素原子であり、6位および/または6’位が一般式〔3〕で表される一般式〔1〕で表される化合物を調製するには、R2および/またはR3がアルキル基またはアラルキル基である一般式〔5〕で表される化合物を原料に用い、6位および/または6’位のヒドラジド化反応を行った後に、常法に従いアルキル基またはアラルキル基を脱離させればよい。
ヒドラジド化反応終了後、冷却、濃縮、または加水などの貧溶媒添加などの方法により析出した一般式〔1〕で表されるヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体は、遠心分離、フィルタープレスなどの公知の手段により反応液から分離された後に乾燥される。
得られた一般式〔1〕で表されるヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体は、所望により再結晶や有機溶媒および/または水により洗浄するなどの方法によって精製すればよく、また、炭素原子数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、および水酸基からなる群より選択される置換基をナフタレン環上に導入可能である場合には、常法に従い置換基の導入を行ってもよい。
上記の方法により得られた本発明の、ヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体は、タイヤ用ゴムの添加剤、エポキシ樹脂の硬化剤・硬化促進剤もしくはこれらの合成原料として好適に使用され得るものである。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
公知の方法で得られた1,1’−ビス(2−ステアリルオキシ−3,6−ジ−n−ブトキシカルボニルナフタレン)40.9g(40mmol)をn−ブタノール100gに懸濁し、ヒドラジン一水和物17.3g(275mmol)を室温で滴下した。
次いで、反応液を室温から100℃まで1時間かけて昇温し、攪拌下に同温度に保持しヒドラジド化反応を行った。同温度で20時間反応した時点で、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、1,1’−ビス(2−ステアリルオキシ−3,6−ジ−n−ブトキシカルボニルナフタレン)の転化率が95mol%以上であることを確認し、反応液を室温まで冷却しヒドラジド化反応を終了させた。
析出した結晶を、吸引ろ過により反応液から分離し、1,1’−ビス{2−ステアリルオキシ−3,6−ジ(ヒドラジノカルボニル)ナフタレン}の粗結晶を得た。得られた粗結晶を、冷メタノール80gに懸濁して洗浄した後、ろ過、乾燥し、1,1’−ビス{2−ステアリルオキシ−3,6−ジ(ヒドラジノカルボニル)ナフタレン}の白色結晶22.1g(21.6mmol)を得た。
次いで、反応液を室温から100℃まで1時間かけて昇温し、攪拌下に同温度に保持しヒドラジド化反応を行った。同温度で20時間反応した時点で、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、1,1’−ビス(2−ステアリルオキシ−3,6−ジ−n−ブトキシカルボニルナフタレン)の転化率が95mol%以上であることを確認し、反応液を室温まで冷却しヒドラジド化反応を終了させた。
析出した結晶を、吸引ろ過により反応液から分離し、1,1’−ビス{2−ステアリルオキシ−3,6−ジ(ヒドラジノカルボニル)ナフタレン}の粗結晶を得た。得られた粗結晶を、冷メタノール80gに懸濁して洗浄した後、ろ過、乾燥し、1,1’−ビス{2−ステアリルオキシ−3,6−ジ(ヒドラジノカルボニル)ナフタレン}の白色結晶22.1g(21.6mmol)を得た。
質量スペクトル: m/z(−)1022、m/z(+)1046(+Na+) (MW 1023.4)。融点:174℃。
得られた1,1’−ビス{2−ステアリルオキシ−3,6−ジ(ヒドラジノカルボニル)ナフタレン}の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図1に示す。
得られた1,1’−ビス{2−ステアリルオキシ−3,6−ジ(ヒドラジノカルボニル)ナフタレン}の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図1に示す。
実施例1で用いた1,1’−ビス(2−ステアリルオキシ−3,6−ジ−n−ブトキシカルボニルナフタレン)40.9g(40mmol)を1,1’−ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジ−n−ブトキシカルボニルナフタレン)41.2g(60mmol)に、反応時間を二日間に変えることの他は、実施例1と同様にして、1,1’−ビス(2−ヒドロキシ−6−n−ブトキシカルボニル−3−ヒドラジノカルボニルナフタレン)の白色結晶32.9g(54.6mmol)を得た。
質量スペクトル: m/z(−)601、m/z(+)603(MW 602.6)。分解点:270℃。
得られた1,1’−ビス(2−ヒドロキシ−6−n−ブトキシカルボニル−3−ヒドラジノカルボニルナフタレン)の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図2に示す。
得られた1,1’−ビス(2−ヒドロキシ−6−n−ブトキシカルボニル−3−ヒドラジノカルボニルナフタレン)の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図2に示す。
Claims (3)
- 一般式〔1〕で表される、ヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体。
X1およびX2は、カルボキシル基、一般式〔2〕、および一般式〔3〕、
−CO−NH−Z 〔2〕
−CO−NHNH2 〔3〕
からなる群より選択される基である;
Zは炭素原子数1〜20の分岐を有してもよく置換基を有していてもよく不飽和結合を有してもよい脂肪族基、置換基を有してもよい芳香族基、および置換基を有してもよい共役二重結合を有する複素環基からなる群から選ばれる基;
Y1およびY2は、カルボキシル基、カルバモイル基、一般式〔2〕、一般式〔3〕、および一般式〔4〕、
−CO−O−A 〔4〕
からなる群より選択される基である;
Aは炭素原子数1〜6のアルキル基;
ただし、一般式〔1〕においてX1、X2、Y1およびY2の少なくとも一つは一般式〔3〕で表される基である;
R1およびR2は水素原子、水酸基および/またはハロゲン原子で置換されてもよく分岐を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、および炭素原子数7〜11のアラルキル基からなる群より選択される基;
Q1およびQ2は炭素原子数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基および水酸基からなる群より選択される基;
mおよびnは0〜4の整数を表す;
mまたはnが2〜4である場合には、Q1およびQ2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。] - 一般式〔5〕で表される、ヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体の誘導体を、ヒドラジン一水和物、硫酸ヒドラジン、中性硫酸ヒドラジン、一塩酸ヒドラジン、二塩酸ヒドラジン、およびブロム酸ヒドラジンから選択される一種以上のヒドラジン化合物と20〜110℃において反応させることを特徴とする、請求項1に記載のヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体の製造方法。
X3、X4、Y3およびY4は、一般式〔2〕、一般式〔3〕、一般式〔4〕、カルバモイル基およびカルボキシル基からなる群より選択される基;
ただし、X3、X4、Y3およびY4の少なくとも一つは一般式〔4〕で表される基、またはカルバモイル基である;
R1、R2、Q1、Q2、mおよびnは、請求項1に記載の一般式〔1〕についての定義と同意。] - ヒドラジン化合物がヒドラジン一水和物である、請求項2に記載のヒドラジド化されたヒドロキシナフタレンジカルボン酸二量体またはその誘導体の製造方法。
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