JP2006285381A - 構造体の設計方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構造体の形状、内部構造又は材料特性を規定するパラメータのうち、少なくとも1つを設計変数として定めるとともに、構造体に作用する物理量のうち、少なくとも2つ以上を目的関数として定める。次に、構造体のマルチスケールシミュレーション演算を用いて、目的関数に対するパレート最適解を求める。次に、パレート最適解のそれぞれの目的関数の値をベクトル成分の値として定めることにより、パレート最適解の情報を付与した自己組織化マップを生成する。最後に、設計変数の情報を付与した自己組織化マップを生成する。
【選択図】図3
Description
性能にトレードオフの関係を持つタイヤの場合においても、複数のタイヤの性能のバランスを考慮して最適設計を行う。例えば、タイヤに求められる性能は、例えば操縦安定性、乗心地性、転動抵抗特性、制動特性等が挙げられるが、これらの性能は、設計変数の値を一方向に変化させると操縦安定性は向上するが、乗心地性は低下する等のトレードオフの関係を持つ。このように性能にトレードオフの関係を持つ場合、性能に対する最適解は1つではなく、複数の組み合わせとして存在する。
しかし、この方法では、トレードオフの関係にある性能において、最適解の集合の全体像を把握することはできず、最適解がピンポイントで決定されるため自由度がなく、このため提供される最適設計案は自由度のないピンポイントのものとなってしまう。
前記第1のシミュレーション近似式又は前記第2のシミュレーション近似式は、実験結果を用いて作成される近似式であってもよい。例えば、実験計画法に基づいて得られる実験結果から設計変数と目的関数との間で成り立つ近似式が挙げられる。
又、前記構造体は少なくともタイヤを含み、前記パレート最適解を、数値シミュレーションを用いて求めるステップは、前記設計変数の値を入力として規定する第1のモデルを用いて演算するとともに、この演算結果を入力として第2のモデルを用いて演算するステップを有し、前記第1のモデルはタイヤトレッド部材のフィラー補強相の分散をモデル化したコンパウンドモデルであり、前記第2のモデルはタイヤの少なくとも一部分を再現するタイヤモデルであることが好ましい。
特に、数値シミュレーションの際、第1のモデル又は第1のシミュレーション近似式と、第2のモデル又は第2のシミュレーション近似式とを用い、第1のモデル又は第1のシミュレーション近似式が表す構造体の空間スケールと、第2のモデル又は第2のシミュレーション近似式が表す構造体の空間スケールとが異なるマルチスケールシミュレーションを用いるので、構造体のミクロ構造における特性から構造体の性能にスケールを変えて一貫した解析を行うことができ、精度の高い最適設計案を決定することができる。
処理装置10は、入力操作系12、コンピュータ14及び出力装置16を有する。入力操作系12は、マウスやキーボードであり、各種情報をオペレータの指示により入力するデバイスである。
出力装置16は、入力操作系12を用いてオペレータが指示できるように入力画面を表示し、又後述する各種有限要素モデル及びシミュレーション演算結果を表示するディスプレイ、プリンタである。
設計変数は、タイヤの形状、内部構造及び材料特性を規定するパラメータであり、例えば、トレッド部材における材料特性を規定するフィラー分散形状やフィラー体積率、タイヤのトレッド部におけるクラウン形状を規定する曲率半径、又タイヤ内部構造を規定するタイヤのベルト幅寸法等が挙げられる。
制約条件は、目的関数の値を所定の範囲に制約したり、設計変数の値を所定の範囲に制約するための条件である。
この他、タイヤの負荷荷重やタイヤの転動速度をはじめとする走行条件、タイヤが走行する路面条件(凹凸形状、摩擦係数)、車両の走行シミュレーションに用いるための車両諸元の情報等が設定される。
最適設計処理制御部24は、一度の探索で複数のパレート最適解の集合を求める多目的GAの手法を用いる。通常のGAは、初期解のサンプル集合に対して、評価、選択、交叉、変異の処理を行い、次の世代の解集合として生成し、この処理を逐次続けて、数10〜数100世代後の解集合を求めて最適解を求める手法である。
多目的GAにおける解集合に対する評価、選択,交又の各操作は、後述するシミュレーション演算結果である目的関数の値によって行われ、さらに変異の操作が行われて次世代の解集合が生成される。
自己組織化マップには、二次元平面上に規則的に配置されたノード(図2では六角形のセル)が存在し、このノードのそれぞれは目的関数の設定数と同じ数の次元のベクトルであって、ベクトル成分が乱数で初期化された参照ベクトルを持つ。一方、パレート最適解は目的関数毎の値を持ち、この値をベクトル成分とするベクトルで表したとき、このベクトルに最も距離の近い参照ベクトルに対応するノードがベストマッチノード(勝者)として選択される。そして、このベストマッチノードと、このベストマッチノードから所定範囲に存在するノードのベクトルがパレート最適解のベクトルとの間の距離に応じてパレート最適解のベクトルに近づくように、パレート最適解のベクトル毎に更新される。このような参照ベクトルを持つノードによって構成されるマップが自己組織化マップである。なお、自己組織化マップについては、“Visualization and Data Mining of Pareto Solutions Using Self-Organizing Map”(Shigeru Obayashi and Daisuke Sasaki, 2nd International Conference on Evolutionary Multi-Criterion Optimization, 8-11thApril 2003, Portugal)に詳細が述べられている。
さらに、最適設計処理制御部24は、複数の目的関数における値の情報が色彩及び濃度によって付与された自己組織化マップを生成するとともに、各パレート最適解を構成する設計変数の値の情報を付与した自己組織化マップを生成する。
このような自己組織化マップは、出力装置16に供給される。
ミクロスケールモデル作成部26は、フィラーが分散配置されたゴム部材のミクロ構造を再現したミクロスケールモデルを作成する部分である。ミクロスケールモデルは、具体的には、タイヤトレッドゴム部材等の不均質材料の代表領域が、図示されないデータ供給デバイスから入力されると、代表領域に一定の間隔で3方向に要素分割され、各有限要素に材料定数が割り当てられたモデルである。
代表領域は、互いに直交する3方向に連続的に隣接配置することによって不均質材料の塊を構成するように設定された領域であり、例えば直方体形状である。作成される有限要素モデルは、直方体形状の有限要素モデルによって構成される。有限要素モデルを作成することにより有限要素モデルを表す演算可能な全体行列が自動的に生成される。
上記ミクロスケールモデル、メゾスケールモデル及びマクロスケールモデルについては後述する。
シミュレーション演算は、例えばABQUS等の公知の有限要素プログラムを用いて行われる。
図3はタイヤの最適設計方法の一例の流れを示すフローチャートである。
次に、設定された設計変数の値を種々に変更した設計変数の組み合わせサンプル集合を定め、このサンプル集合を用いて、シミュレーション演算を行い、目的関数の値を求めることにより初期解のサンプル集合を求める。この初期解のサンプル集合をスタートとして、パレート最適解の探索が行われる(ステップS20)。
パレート最適解の探索は、上述した公知の方法による多目的GAを用いて、下記に示すマルチスケールのシミュレーション演算によって行われる。
図4に示すように、タイヤ構成部材であるタイヤトレッドゴム部材のように、カーボンブラック、シリカ等の粒状フィラー材と各種エラストマーとが不均質にブレンドされたゴム部材の代表領域を再現したミクロスケールモデルと、この代表領域に比べて領域の大きいタイヤの部分領域をモデル化したメゾスケールモデルと、タイヤ全体をモデル化したマクロスケールモデルとをそれぞれ作成し、各スケールモデルによるシミュレーション演算結果を入力として異なるスケールのモデルによるシミュレーション演算を行う。これらのモデルは、いずれも複数の有限要素によってモデル化された有限要素モデルである。
図4に示すように車両40に装着されるタイヤ42のタイヤ断面43、このタイヤ断面43のタイヤトレッドゴムの領域を拡大したタイヤトレッドゴム45及びタイヤトレッドゴムの一部分の領域を拡大して、フィラー補強相及びポリマー相が分散配置されたゴム材料のミクロ構造を再現したゴムミクロ構造47のそれぞれをシミュレーションモデルの対象とする。すなわち、上記各スケールに応じた対象物のモデルが作成されてシミュレーションが行われて、シミュレーション結果を入力として異なるスケールのモデルに付与してスケールの異なるシミュレーションが行われる。最適設計を実現するための設計変数として、フィラー補強相の分散形状、フィラー補強相の体積率及び、タイヤトレッド部の曲率半径を設定した場合、スケールの異なるシミュレーションモデルに、これらの設計変数の種々変更した値が反映されてモデルが作成されて各シミュレーション演算が行われる。
解析対象とするタイヤ構成部材の代表領域中には複数の材料相が分散配置されており、これらの材料相の有する物性値に基づいて、対応するゴムミクロ構造モデル50の各有限要素に材料定数が付与される。最適設計を行うための設計変数として、フィラー補強相の分散形状及びフィラー補強相の体積率が設定される場合、設計変数として設定された分散形状及び体積率がモデルに用いられる。
図6(a)は、不均質材料の代表領域をモデル化したゴムミクロ構造モデル50の断面図の一例である。このモデルは、第1のポリマー相と、第2のポリマー相、粒系フィラー相(フィラー補強相)と、粒系フィラー相の周りを取り巻くフィラー・ポリマー境界相とが、材料相として不均質に分散配置された代表領域をモデル化したものである。すなわち、材料特性の異なる複数のエラストマーが材料相として分散配置され、さらに、粒状の補強材(フィラー補強相)が材料相として分散配置されている。この不均質材料は、複数の材料相における弾性率のうち、最大の弾性率は最小の弾性率の100倍以上である。不均質材料を構成する材料相は、エラストマーやフィラー等の固体相であるばかりでなく、気体や液体が満たされた空隙相であってもよい。
ゴムミクロ構造モデル50は、複数の離散点によって形状が特徴付けられた同一の直方体(6面体)形状のボクセル(単位セル)を、直交する三方向に沿って隣接しかつ連続的に複数個配置することによって代表領域を再現している。代表領域は、例えば直方体形状とし互いに直交する3方向にメッシュ分割することにより、直方体形状の有限要素を連続的に配置し、例えば256個×256個×256個の有限要素により構成した有限要素モデルを作成する。このような有限要素モデルについては、例えば特開平9−180002号公報に記載されている。
図6(b)のタイヤトレッドゴムモデル48はタイヤ溝を模擬して凹状を成しており、凹凸形状の路面モデル49(接触対象モデル)に接触する前の状態のモデルが作成される。タイヤトレッドゴムモデル48は、直方体形状(図6(b)中では矩形形状)の有限要素モデルにより構成されている。路面モデル49は凹凸形状の剛体モデルであって、変形しない。路面モデル49は、この他に、設定した路面条件に応じて、路面に水膜、氷雪層が形成された状態をモデル化したものであってもよい。
これら各スケールのモデルは3次元モデルであるが、2次元モデルであってもよい。
ミクロスケールシミュレーション1では、有限要素のそれぞれの配置方向の一方の端部に位置する有限要素の節点(離散点)の挙動が、他方の端部に位置する節点(離散点)の挙動に滑らかに繋がるように周期境界条件が定められ、この周期境界条件の下に所定の外力が付与されて、各有限要素の応力分布、歪分布又は節点変位等が求められ、この代表領域における物性値、例えば不均質材料におけるバルク特性におけるヤング率又はせん断剛性等が求められる。
メゾスケールシミュレーション2では、タイヤトレッドゴムモデル48が設定した路面条件に応じた路面モデル49に接触させることによって、タイヤトレッドゴム部材が路面に接触したときの摩擦特性が求められる。この場合、路面モデル49の上方から垂直にタイヤトレッドゴムモデル48を押し当てる場合や路面モデル49に対して傾斜させた方向からタイヤトレッドゴムモデル48を押し当てて接触させ、このときの、接触面積、接触圧力、あるいは接触による歪エネルギー、すべり速度、摩擦係数等が求められる。摩擦係数は、路面と接触するゴム材料自身の物性によるが、路面の凹凸、接触圧力、接触面積の大小に応じて変化する特性である。したがって、メゾスケールシミュレーション2では、この特性を路面の凹凸に応じて正確に再現することができる。こうして求められた摩擦係数は、特性値としてタイヤ全体モデル46に付与される。
マクロスケールシミュレーション3では、ミクロスケールシミュレーション1で求められたヤング率やせん断剛性等の物性値が材料定数としてタイヤトレッドゴムモデル48に与えられ、さらに上記摩擦係数が付与されて、所定の条件下でタイヤの転動状態におけるタイヤの挙動がシミュレートされる。所定の条件とは、例えば、タイヤに内圧を付与する際の内圧、路面に対する負荷荷重、タイヤ転動速度、タイヤのスリップ角度、タイヤのキャンバー角度等の条件である。すなわち、マクロスケールシミュレーション3では、タイヤ全体モデル46に別途作成されたリムを再現したリムモデルを装着し、タイヤ全体モデル46とリムモデルとにより囲まれた空洞領域に面するタイヤ全体モデル46の内周面に対して内圧充填処理を施し、この後、別途作成された路面モデル47(図6(c)参照)に接触させて荷重を与え、さらに、所定の転動速度を与えてタイヤ全体モデル46を転動させる。その際、タイヤ全体モデル46にスリップ角度、タイヤのキャンバー角度あるいは、回転トルク等を与える。
軸力及びモーメントは、タイヤに所定の条件を与えることで過渡的に変化する物理量として時系列データで求めてもよいし、定常状態となったときの軸力及びモーメントを求めてもよい。また、タイヤは種々の条件、例えば付与する荷重によって軸力及びモーメントの大きさが種々変化するので、設定された種々の条件を中心として様々な条件における軸力及びモーメントを算出してもよい。
このようにして、タイヤトレッドゴム部材のミクロ構造を再現したゴムミクロ構造モデル50から、タイヤトレッドゴムモデル48、タイヤ全体モデル46を介してスケールの順にシミュレーションを行い、最終的に車両走行シミュレーションを行うことができる。
すなわち、タイヤ全体モデル46に与えられる条件(再現条件)から、荷重条件、及び摩擦係数、スリップ角度又は転動速度等の路面接触の条件を定め、これらの条件を用いてマクロシミュレーション3を行った後、メゾスケールシミュレーション4を行う。
メゾスケールシミュレーション4では、マクロスケールシミュレーション3にて算出された、タイヤトレッドゴムモデル48の対応する領域における応力、歪を既知として、すでに作成されてメゾスケールシミュレーション2で用いられたタイヤトレッドゴムモデル48に応力或いは歪が境界条件として与えられ、タイヤトレッドゴムモデル48における応力、歪の解析が行われる。
さらに、メゾスケールシミュレーション4で行われて算出された応力、歪を既知として、ミクロスケールシミュレーション5が行われる(ステップS128)。
ミクロスケールシミュレーション5では、ミクロスケールシミュレーション1で用いられたゴムミクロ構造モデルの対応する領域の応力、歪を既知として、この応力或いは歪がゴムミクロ構造モデル50に境界条件として与えられてゴムミクロ構造モデル50を用いた応力、歪の解析が行われる。
材料定数の調整は、ゴム部材のミクロ構造として分散配置される各材料相の物性値がタイヤの使用状況に応じて変化することを表すためのもので、ゴムミクロ構造モデル50で算出された応力、歪の分布から、材料定数(ヤング率、歪断剛性、ポアソン比等)が修正される。例えば、予めゴムサンプルに所定の歪、応力を所定回数繰り返し与えてゴムサンプルを疲労させ、そのときの疲労に伴う物性値の変化から修正すべき材料定数の修正量を定めた対応表を作成しておく。この対応表を用いて、算出された応力、歪の分布から修正量を求めて、材料定数の調整が行われる。
なお、図5に示す方法では、目的関数の値の算出を、シミュレーションモデルを用いた演算により行うが、本発明ではシミュレーション近似式を用いて目的関数の値を算出してもよい。例えば、実験計画法に基づいて得られる実験結果から設計変数と目的関数との間の近似式(シミュレーション近似式)を使ってパレート最適解を得ることができる。このシミュレーション近似式として、多項式やニューラルネットワーク等により得られる公知の非線形関数が挙げられる。上記マルチスケールのシミュレーション演算では、シミュレーションモデルとシミュレーション近似式とを併用して目的関数の値を算出してもよい。
この初期解の集合を第1世代とし、上記シミュレーション演算を用いて目的関数の値を取得しながら、設定された世代数まで、或いは、目的関数の値が所定の範囲内に収束するまで多目的GAを行うことにより、パレート最適解を得る。
以上が、図3におけるパレート最適解の探索である(ステップS20)。
このような自己組織化マップでは、目的関数の値に応じてクラスタリングされて領域が分割され、この領域によって目的関数の値として好ましい、すなわちタイヤ性能を領域別にマップ化される。すなわち、この領域別に色表示が行われ、しかも目的関数の値が好ましい方向に向かうほど色濃度を濃くするように色濃度を変えることで、タイヤ性能に関する色情報を用いた自己組織化マップが生成される。こうして、自己組織化マップにパレート最適解の解集合がマッピングされる。
これらの自己組織化マップは、ディスプレイ、プリンタの出力装置16に出力される。
図8(a)〜(e)は、タイヤ性能のマルチスケールのシミュレーション演算結果を用いて得られたパレット最適解に関する自己組織化マップであり、各目的関数の値の指数の情報を色表示した自己組織化マップである。各マップの下側には、各目的関数における値と色表示(色彩、色濃度)との対応関係を示すバーを示している。例えば、図8(a)では、CPの変量を色表示している。
又、各マップの下側には、マップ上の各位置に対応したパレート最適解の各設計変数の値と色表示(色彩、色濃度)との対応関係を示している。図9(a)では、ピッチ数の値を指数化して、図9(b)では、主溝幅を指数化して、図9(c)では、ラグ溝幅を指数化して色表示している。
このように目的関数の値を色表示した自己組織化マップと、設計変数の値を色表示した自己組織化マップとをディスプレイ、プリンタに出力することにより、設計者は性能と設計変数との関係を視覚的に認識することができ、性能バランスを考慮して、このマップに基づいて最適設計案を決定することができる。なお、パレート最適解は、いずれもトレードオフの関係を持つ性能を最大限に引き出す最適解である。
このため、これらの自己組織化マップを用いて設計者は、設計自由度を持って最適設計することができる。
この場合、設計変数は、ミクロスケールモデルを対象とするフィラー補強相の分散形状と、マクロスケールモデルを対象とするクラウン形状が設計変数となっている。
図10(b)は、縦ばね定数を指標とする乗心地性の向上する領域を色濃度で表示している。図10(b)中、左上の領域が乗心地性の優れた領域である。
図10(c)は、摩擦エネルギを指標とする耐摩耗性の向上する領域を色濃度で表示している。図10(c)中、右上の領域が耐摩耗性の優れた領域である。
従来の単一の目的関数を用いた最適設計手法では、図11に示すように、乗心地性及び耐摩耗性のバランスされた設計案が点Eの位置にピンポイントで決定され、又、操縦安定性に特化した設計案が点Fの位置にピンポイントで決定され、又、操縦安定性、乗心地性及び耐磨耗性の3つの性能がバランスした設計案が点Gの位置に位置にピンポイントで決定されるが、本発明の設計方法のように自己組織化マップを用いた場合、最適解の情報は自己組織化マップの面上に与えられるので、タイヤの設計の際、このマップを用いて設計者は設計自由度を持って最適設計案を決定することができる。
12 入力操作系
14 コンピュータ
16 出力装置
18 CPU
20 メモリ
22 条件設定部
24 最適設計処理制御部
26 ミクロスケールモデル作成部
28 メゾスケールモデル作成部
30 マクロスケールモデル作成部
32 シミュレーション演算部
34 物性値調整部
40 車両
42 タイヤ
46 タイヤ全体モデル
48 タイヤトレッドゴムモデル
50 ゴムミクロ構造モデル
52,54 モデル
Claims (5)
- 構造体の設計方法であって、
構造体の形状、内部構造又は材料特性を規定するパラメータのうち、少なくとも1つを設計変数として定めるとともに、前記構造体に作用する物理量のうち、少なくとも2つ以上を目的関数として定めるステップと、
前記設計変数の値を入力として規定する第1のモデル又は第1のシミュレーション近似式を用いてシミュレーション演算するとともに、この演算結果を入力として第2のモデル又は第2のシミュレーション近似式を用いてシミュレーション演算することにより、前記目的関数に対するパレート最適解を求めるステップと、
前記パレート最適解のそれぞれの目的関数の値をベクトル成分の値として定めることにより、パレート最適解の情報を付与した自己組織化マップを生成するステップと、
前記設計変数の情報を付与した自己組織化マップを生成するステップと、を有することを特徴とする構造体の設計方法。 - 前記第1のモデル又は第1のシミュレーション近似式が表す前記構造体の空間スケールは、前記第2のモデル又は第2のシミュレーション近似式が表す前記構造体の空間スケールに比べて大きい請求項1に記載の構造体の設計方法。
- 前記構造体は少なくともタイヤを含む請求項1又は2に記載の構造体の設計方法。
- 前記構造体は少なくともタイヤを含み、
前記パレート最適解を、数値シミュレーションを用いて求めるステップは、前記設計変数の値を入力として規定する第1のモデルを用いて演算するとともに、この演算結果を入力として第2のモデルを用いて演算するステップを有し、
前記第1のモデルはタイヤトレッド部材のフィラー補強相の分散をモデル化したコンパウンドモデルであり、前記第2のモデルはタイヤの少なくとも一部分を再現するタイヤモデルである請求項1に記載の構造体の設計方法。 - 前記パレート最適解を求めるステップでは、多目的遺伝的アルゴリズムを用いて前記パレート最適解を求める請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造体の設計方法。
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