JP2008114783A - 構造体のシミュレーション方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム等の粘弾性材料を含み、材料特性の異なる複数の材料相が配された粘弾性特性を有する構造体のシミュレーション方法において、粘弾性特性に基づいて構造体全体の性能の評価を可能にする。
【解決手段】複数の材料相のそれぞれは異なる材料特性を有し、かつ、これらの材料特性のうち少なくとも1つ以上が時間又は周波数に依存して変化するように前記構造体の一部分を規定して再現した第1の離散化モデルに対して、前記構造体の一部分を均質な特性としたときの、時間又は周波数に依存する均質特性を取得するようにシミュレーションを実行して、前記均質特性を取得する。次に、構造体を再現した第2の離散化モデルの特性として、取得した均質特性を入力して、構造体の粘弾性挙動を再現するシミュレーションを第2の離散化モデルに対して実行し、前記第2の離散化モデルに作用する物理量を算出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、コンピュータで計算可能な離散化モデルを用いたシミュレーション方法であって、材料特性の異なる複数の材料相が配置された粘弾性特性を有する構造体のシミュレーション方法に関する。
タイヤのトレッド部やビードフィラーに用いられるゴム材料は、一般に粘弾性特性を有し、粘弾性材料として扱われている。ここで、粘弾性特性とは、材料に応力又は歪みを与えたとき、そのとき生じる歪み又は応力が時間とともに変化する、あるいは応力又は歪みを一定周期で与えたとき、そのとき生じる歪み又は応力が時間遅れをもって変動する特性をいう。この粘弾性材料について、最近コンピュータシミュレーションにより解析を行うことが種々提案されている。
例えば、下記特許文献1には、フィラーモデルを取り囲むようにゴムモデルを配した材料モデルを作成し、この材料モデルに条件を設定して変形計算を行うゴム材料のシミュレーション方法が開示されている。このとき、ゴムモデルは変形速度に応じて発生する応力が異なる変形速度依存性を備える。これにより、フィラー周りの応力やエネルギーロス等の物理量やフィラーから離れた位置での物理量を得ることができるとされている。
下記特許文献2には、粘弾性シミュレーション方法であって、ゴムマトリックス部分がモデル化されたマトリックスモデルと、マトリックスモデルの中に分散配置したフィラーのモデル化されたフィラーモデルと、マトリックスモデルとフィラーモデルとの間に介在し、界面を形成する界面モデルを有する粘弾性材料モデルを設定し、さらに所望の条件を設定して変形計算を行う粘弾性材料のシミュレーション方法が開示されている。このシミュレーションにより、エネルギーロスを発現させることが可能な特性を粘弾性材料モデルに組み入れて、より精度良く粘弾性材料を用いた変形シミュレーションをすることができるとされている。
しかし、上記特許文献1では、フィラー周りやフィラーから離れた位置での物理量を知ることができても、これらの物理量が粘弾性材料を用いた構造体の性能、例えば粘弾性特性を有するゴム部材を備えたタイヤの性能にどのように影響を与えるか不明である。このため、構造体の性能の向上のためにフィラーやゴム材料等の材料設計に繋がりにくい、といった問題がある。
引用文献2においても、エネルギーロスを発現させることが可能な特性を粘弾性材料モデルに組み入れて、より精度良く粘弾性材料を用いた変形シミュレーションをすることが可能であるとしても、粘弾性材料自体を用いた構造体全体の性能を評価することはできず、このため、構造体の性能の向上のために粘弾性材料の設計に繋がりにくい、といった問題がある。
特開2006−138810号公報 特許第3668239号公報
そこで、本発明は、ゴム等の粘弾性材料を含み、材料特性の異なる複数の材料相が配された粘弾性特性を有する構造体のシミュレーション方法であって、粘弾性特性に基づいて構造体全体の性能の評価が可能なシミュレーション方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、複数の材料相を有し、粘弾性特性を備えた構造体のシミュレーション方法であって、複数の材料相のそれぞれは異なる材料特性を有し、かつ、これらの材料特性のうち少なくとも1つ以上が時間又は周波数に依存して変化するように前記構造体の一部分を規定して再現した第1の離散化モデルに対して、前記構造体の一部分を均質な特性としたときの、時間又は周波数に依存する均質特性を取得するようにシミュレーションを実行して、前記均質特性を取得するステップと、取得した前記均質特性を、前記構造体を再現した第2の離散化モデルの特性として前記第2の離散化モデルに付与して、前記構造体の粘弾性挙動を再現するシミュレーションを前記第2の離散化モデルに対して実行し、前記第2の離散化モデルに作用する物理量を算出するステップと、を有することを特徴とする構造体のシミュレーション方法を提供する。
前記第1の離散化モデルに対してシミュレーションを実行するとき、前記第1の離散化モデルの境界面に対して周期境界条件を付すことが好ましい。
又、前記第1の離散化モデルで表される前記構造体の一部分は、ゴム材料と、このゴム材料を補強するために前記ゴム材料中に配される、無機化合物充填材、金属材及び繊維材の少なくともいずれか1つの補強材とを含むことが好ましい。
前記第2の離散化モデルで表される前記構造体は、例えばタイヤである。
又、前記均質特性及び前記第1の離散化モデルの材料特性の少なくとも一方の特性は、時間に依存して値が変化するように時間の指数関数の和で表したProny級数で表されたものであり、前記均質特性及び前記第1の離散化モデルの材料特性の少なくとも一方の前記特性は、前記指数関数の緩和時定数と前記指数関数に乗算する弾性係数を特性パラメータとして規定されるものであることが好ましい。
その際、前記第2の離散化モデルで表される前記構造体はタイヤであり、前記第2の離散化モデルに対して実行するシミュレーションは、タイヤが路面上を転動する転動シミュレーションであり、前記均質特性は前記Prony級数で表されたものであり、前記均質特性における前記指数関数の緩和時定数は、前記転動シミュレーションにおける前記タイヤの転動周期の0.001倍〜5倍の時間範囲の中で算出されることが好ましい。
本発明では、材料相の材料特性のうち少なくとも1つ以上が時間又は周波数に依存して変化するように前記構造体の一部分を規定して再現した第1の離散化モデルに対して、この構造体の一部分を均質な特性としたときの、時間又は周波数に依存する均質特性を取得し、この取得した均質特性を、構造体を再現した第2の離散化モデルの特性として入力して、構造体の粘弾性挙動を再現するシミュレーションを実行する。このため、粘弾性特性に基づいて構造体全体の性能を評価することができる。
特に、均質特性をProny級数で表し、指数関数の緩和時定数と指数関数に乗算する弾性係数を均質特性の特性パラメータとして規定する場合、構造体の粘弾性特性に基づく挙動を再現するシミュレーションを迅速に行うことができる。さらに、構造体が路面を転動するタイヤである場合、タイヤの転動周期に応じて前記緩和時定数の範囲を定めて算出することにより、転動周期に応じて規定された緩和時定数に基づいてタイヤの転動シミュレーションを行うので、タイヤ性能を効果的に評価することができる。
以下、本発明の構造体のシミュレーション方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
図1は本発明の構造体のシミュレーション方法を実施する処理装置10の構成を機能的に示したブロック図である。
処理装置10は、入力操作系12、コンピュータ14及びディスプレイ16を有する。
入力操作系12は、マウスやキーボードであり、各種情報をオペレータの指示により入力するデバイスである。
コンピュータ14は、CPU18、メモリ20を有し、この他に図示されないROM等を有する。コンピュータ14は、ROM等に記憶されたコンピュータソフトウェアを実行することにより、ミクロスケールシミュレーション演算部22、パラメータ設定部23及びマクロスケールシミュレーション演算部24を機能的に形成し、本発明の構造体のシミュレーション方法を実施する部分である。
ディスプレイ16は、入力操作系12を用いてオペレータが指示できるように入力画面を表示し、又後述する有限要素モデル及びシミュレーション演算結果を表示する部分である。
ミクロスケールシミュレーション演算部22は、異なる複数の材料相が配置されたミクロ構造を有する不均質材料の代表領域を表した有限要素モデルであるミクロスケールモデルを作成し、このミクロスケールモデルに予め定められた材料相の材料特性を付与して、所定の条件で応力又は歪みを与えてミクロスケールモデルを変形させ、応力−歪みの挙動を求めるシミュレーションを行う部分である。このとき、少なくとも1つの材料特性は、時間又は周波数に応じて値が変化する、すなわち時間依存性又は周波数依存性を有する。このため、シミュレーションで求められる挙動も、時間又は周波数に依存して変化するものとなる。ミクロスケールモデルは、例えば、ゴム材料中にカーボンやシリカ等の補強充填材が分散配置されたゴム部材のモデルが例示される。
パラメータ設定部23は、ミクロスケールシミュレーション演算部22で行われた演算結果を用いて、不均質材料の不均質なミクロ構造を均質な構造としたときの粘弾性特性を表す特性パラメータを定める部分である。定められた特性パラメータをマクロシミュレーション演算部24に供給する。
マクロスケールシミュレーション演算部24は、不均質材料を有する構造体について、不均質材料を均質材料と見なしてモデル化した、有限要素モデルであるマクロスケールモデルを作成し、このマクロスケールモデルに、粘弾性特性を表す特性パラメータを付与して、所定の条件でシミュレーション演算、例えばタイヤの転動シミュレーションの演算を行う部分である。
ミクロスケールシミュレーション演算部22、パラメータ設定部23及びマクロスケールシミュレーション演算部24の各部分の機能については後述する。
次に、処理装置10で実施される構造体のシミュレーション方法を具体的に説明する。
図2は構造体のシミュレーション方法の一例の流れを示すフローチャートである。図3は本発明のシミュレーションの対象となる構造体中の不均質材料の代表領域のモデルの一例の図である。この不均質材料は、ポリマー相A(図3中灰色領域)と、カーボンブラックやシリカ等の無機化合物充填補強材である粒系フィラー相B(図3中の黒色領域)とからなり、ポリマー相A中にフィラー相Bが不均質に分散配置されている。すなわち、材料特性の異なる複数の材料相が配置されている。この不均質材料のうち、灰色領域のポリマー相Aの材料特性は、時間又は周波数に応じて特性が変化するものであり、超弾性ポテンシャルを用いて規定される超弾性特性と、Prony級数で表された粘弾性特性を組み合わせて規定されている。一方、フィラー相Bの材料特性は、弾性特性で規定されている。
なお、不均質材料を構成する材料相は、エラストマーやフィラー等の固体相であるばかりでなく、気体や液体が満たされた空隙相であってもよい。
このような不均質材料についてシミュレーションモデルが作成される。
まず、ミクロスケールシミュレーション演算部22において、複数の離散点によって形状が特徴付けられた同一の立方体(6面体)形状のボクセルを単位セルとして、直交する三方向に沿って隣接しかつ連続的に複数個配置することによって不均質材料の代表領域の有限要素モデルであるミクロスケールモデル(第1の離散化モデル)を作成する(ステップS10)。
不均質材料の代表領域は、例えば直方体形状とし互いに直交する3方向にメッシュ分割することにより、直方体形状の有限要素(ボクセル)を連続的に配置し、例えば256個×256個×256個の有限要素により構成した有限要素モデルを作成する。なお、図3では、32個×32個×32個にメッシュ分割した例が示されている。
なおミクロスケールモデルは、図3に示すように立方体形状のボクセルであるが、本発明においてはこのような一定の形状を成したボクセルに限られない。互いに直交する3方向にメッシュ分割せず、有限要素を材料相の形状に合わせてメッシュ分割して、6面体形状、4面体形状等の有限要素によってミクロスケールモデルを構成してもよい。
次に、ミクロスケールシミュレーション演算部22において、ミクロスケールモデルに設定された条件により、ミクロスケールモデルを変形させて、ミクロスケールシミュレーションが行われる(ステップS12)。
この変形は、ミクロスケールモデルで表される構造体の一部分の材料特性を均質材料としたときの粘弾性特性を表わす特性パラメータの値を求めるために行われる。ミクロスケールシミュレーションは、例えば、応力緩和試験を再現するシミュレーションである。このとき、均質特性として図4に示すような緩和弾性率が得られる。この緩和弾性率をProny級数で展開したときの緩和時定数及び緩和係数の値が、特性パラメータとして算出される。
なお、ミクロスケールシミュレーションを実行するとき、ミクロスケールモデルの境界面に対して周期境界条件を付与することが好ましい。周期境界条件を付与することにより、ミクロスケールモデルが無限に繋がった大きなバルク状の形態となり、均質特性を正確に表すことができる。有限要素モデルが、図3に示すような直方体形状の有限要素(ボクセル)を連続的に配置した場合、立方体形状の各境界面上の各有限要素の面と節点が必ず対応するので、この対応する節点に対して同じ変位又は外力を与えるようにすることにより、周期境界条件の付与が行われる。対向する境界面において対応する節点がない場合、有限要素モデルの一方の境界面を投影面とし、他方の境界面に位置する節点を投影して、前記投影面上に投影された他方の境界面に位置する節点を境界節点として検出する。この検出された境界節点の挙動を、この境界節点の投影先の有限要素の投影面を構成する節点の挙動によって拘束することで、有限要素モデルに付与する周期境界条件を設定するとよい。このような方法は、特開2005−352819号公報に詳細に記載されている。
応力緩和試験とは、図5(a)に示すように、測定対象材料に時刻0において一定値の歪みを与えて時刻0以降保持し、このとき測定材料に発生する、図5(b)に示すような応力の挙動を調べる試験である。図5(b)に示す応力の挙動は、時刻0において最大となり、その後次第に減少する。このとき、材料特性として、時刻0以降の応力σ(t)を歪みε(t)で割り算した緩和弾性率を用いる。従って、シミュレーションでは、ミクロスケールモデルに時刻0にて一定値の歪みを与えてそれを保持しそのときの応力を求めて、時間に依存して変化する緩和弾性率を求める。
ミクロスケールシミュレーションにおいて上記応力緩和試験を再現する場合、図4に示すような緩和弾性率の時間履歴を示すので、時間に依存して値が変化するように時間の指数関数の和で表したProny級数で下記式のように緩和弾性率を展開する。すなわち、パラメータ設定部23では、測定対象材料の均質特性として表される緩和弾性率がProny級数で展開されて、指数関数の緩和時定数と指数関数に乗算する弾性係数が特性パラメータとして設定される(ステップS14)。特性パラメータの値は、緩和弾性率との誤差が最小になるように最小二乗法を用いる。
下記には、Prony級数で展開するときの式が示されている。
この特性パラメータの値が算出され、メモリ20に記憶される。
図4に示す例の場合、N=2のとき、G1=0,7575,τ1=1.94×10-4,G2=0.7575,τ2=0.171が特性データとして算出され、メモリ20に記憶される。
なお、ミクロスケールシミュレーションは、応力緩和試験を再現するシミュレーションの他に、クリープ試験、定ひずみ負荷速度試験、あるいは動的粘弾性試験を再現するシミュレーションであってもよい。
クリープ試験とは、図5(c)に示すように、測定対象材料に時刻0において一定値の応力を与えて時刻0以降保持し、このとき測定材料に発生する、図5(d)に示すような時刻0から時間とともに歪が最大する挙動を調べる試験である。このとき、材料特性として、時刻0以降の歪みε(t)を応力σ(t)で割り算したクリープコンプライアンスを用いる。従って、シミュレーションでは、ミクロスケールモデルに時刻0にて一定値の応力を与えてそれを保持しそのときの歪を求めて、時間に依存して変化するクリープコンプライアンスを求める。
定ひずみ負荷速度試験とは、図5(e)に示すように、測定対象材料を時刻0から一定のひずみ速度で引張りはじめ、このとき測定対象材料に発生する図5(f)に示すような応力σ(t)の挙動を調べる試験である。このとき、材料特性として、時刻0以降の応力σ(t)を歪みε(t)で割り算した緩和弾性率G(t)を用いる。従って、シミュレーションでは、ミクロスケールモデルに時刻0にて一定のひずみ速度でひずみの付与を開始しそのときの応力を求めて、時間に依存して変化する緩和弾性率を求める。
動的粘弾性試験とは、測定対象試験片に正弦波で時間変動する歪みを与えたとき、歪みと応力は図6に示すような波形となる。このときの歪みに対する応力の比をとって、複素せん断弾性率、貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接を求める。
歪みの正弦波をγ0iωtとし、応力の正弦波をσ0i(ωt+δ)としたとき、複素せん断弾性率G*は下記式のように表される。
* =(σ0/γ0)cosδ+i(σ0/γ0)sinδ
ここで、貯蔵弾性率G’は上記式右辺の第1項に該当し、下記式のように表される。
G’= (σ0/γ0)cosδ
又、損失弾性率 G’’は上記式右辺の第1項に該当し、下記式のように表される。
G’’= (σ0/γ0) sinδ
さらに、損失正接tanδは下記式のように表される。
tanδ = G’’/G’
貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’は、周波数の他に温度にも依存するため、周波数と温度との関係を規定し、かつ双方向に変換可能な公知のW.L.F変換を用いて所定の周波数、温度における値を算出してもよい。
ミクロスケールシミュレーションでは、上記試験方法を再現したシミュレーションが行われ、そのときの試験法に応じて、上述した時間に依存した緩和弾性率、時間に依存したクリープコンプライアンス及び時間に依存した緩和弾性率、あるいは周波数に依存した複素せん断弾性率、貯蔵弾性率、損失弾性率及び損失正接を、不均質材料における均質特性として求め、これらの特性の値を特性パラメータとして、又Prony級数で展開したときの緩和時定数や弾性係数を特性パラメータとして算出してメモリ20に記憶する。
一方、マクロスケールシミュレーション演算部24では、上述したミクロスケールモデルの作成(ステップS10)と独立して、マクロスケールモデル(第2の離散化モデル)の作成が行われる(ステップS16)。
マクロスケールモデルは、例えばトレッドゴム材料を不均質材料として有する図7に示すようなタイヤのタイヤモデル40が例示される。タイヤモデル40は、複数の有限要素によって構成された3次元モデルである。タイヤモデル40のトレッド部分等に用いる粘弾性材料は、ミクロスケールモデルのように、複数の材料相が分散配置されたミクロ構造を再現したものではなく、不均質材料を均質材料と見なして構成される。
なお、本実施形態においては、不均質材料を有する構造体としてトレッドゴム材料を有するタイヤを用いて説明するが、本発明においてはタイヤモデルに限定されない。
次に、作成されたタイヤモデル40を用いてマクロスケールシミュレーションが行われる(ステップS18)。
マクロスケールシミュレーションの際、ステップS14で設定された均質特性の特性パラメータの値がメモリ20から呼び出されてタイヤモデル40に付与されて、マクロスケールシミュレーションが行われる。例えば、別途作成された図示されないリムモデルにタイヤモデル40が結合されて、内圧充填処理が施され、さらに別途作成された剛体路面モデル42に対して接地処理が施され、所定の荷重が負荷される。さらに、タイヤモデル42に転動処理が施される。
こうしてマクロスケールシミュレーションによって転動状態におけるタイヤモデル40に作用する物理量が算出される。例えば、タイヤモデル40の各有限要素におけるエネルギーロスが合算されて算出され、このエネルギーロスから転動中の転がり抵抗がタイヤ性能として算出される(ステップS20)。
なお、マクロスケールシミュレーションで転動状態を再現してタイヤの転がり抵抗を算出するとき、緩和弾性率を定める緩和時定数は、タイヤの転動する周期に応じてその選択範囲を変えるとよい。例えば転動速度100km/時で、タイヤの転動周期(1回転する周期)が72m秒の場合、この転動周期の0.001倍〜5倍の時間範囲、さらには0.01倍〜5倍の時間範囲にて緩和時定数を算出するのが好ましい。
図8は、転動周期が720m秒のときの弾性係数及び緩和時定数が、マクロスケールシミュレーションにおいて算出される転がり抵抗の性能にどの程度影響を与えるかを表している。この場合、緩和時定数τの領域Rの時間範囲にて転がり抵抗に影響を与えていることがわかる。
この領域Rは、転動周期の0.001倍〜5倍に対応する。したがって、タイヤの転動中の性能を評価する場合、緩和時定数が転動周期の0.001倍〜5倍の時間範囲の中で緩和時定数を算出することが好ましい。
上記マクロスケールシミュレーションでは、路面上をタイヤが転動する状態を再現する例を説明したが、この他に、路面上をタイヤが、定常あるいは非定常の状態でコーナリングする挙動を再現するシミュレーションであってもよく、このときのタイヤ軸力に作用する軸力の過渡応答値を性能として求めることもできる。
なお、上記実施形態で用いるミクロスケールモデル及びマクロスケールモデルは有限要素モデルであるが、本発明においてこれらの離散化モデルは有限要素モデルに限らない。例えばメッシュフリー法で規定されるサポートの範囲を単位セルとして、メッシュフリー法によりモデル化したものをミクロスケールモデルとしてもよい。
また、上述したミクロスケールモデルは、ゴム材料と、このゴム材料を補強するために配されるカーボンやシリカ等の無機化合物充填補強材を含む部材を例としたが、この他にゴム材料を含み、このゴム材料中に配されるスチール線材等の金属材やナイロンやポリエステル等の繊維材を補強材とする部材であってもよい。
以上、本発明の構造体のシミュレーション方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明の構造体のシミュレーション方法を実施する処理装置の構成を機能的に示したブロック図である。 本発明の構造体のシミュレーション方法の一例の流れを示すフローチャートである。 本発明の構造体のシミュレーション方法で用いるミクロスケールモデルの一例を示す図である。 本発明の構造体のシミュレーション方法で得られる緩和弾性率の一例を示す図である。 (a)〜(f)は本発明のシミュレーションにおいて用いる試験方法の例を説明する図である。 本発明のシミュレーションにおいて用いる試験方法の他の例を説明する図である。 本発明の構造体のシミュレーション方法においてモデルとして用いるタイヤモデルの一例を示す図である。 本発明の構造体のシミュレーション方法において特性パラメータとして用いる緩和時定数の特徴を説明する図である。
符号の説明
10 処理装置
12 入力操作系
14 コンピュータ
16 ディスプレイ
18 CPU
20 メモリ
22 ミクロスケールシミュレーション演算部
23 パラメータ設定部
24 マクロスケールシミュレーション演算部
40 タイヤモデル

Claims (6)

  1. 複数の材料相を有し、粘弾性特性を備えた構造体のシミュレーション方法であって、
    複数の材料相のそれぞれは異なる材料特性を有し、かつ、これらの材料特性のうち少なくとも1つ以上が時間又は周波数に依存して変化するように前記構造体の一部分を規定して再現した第1の離散化モデルに対して、前記構造体の一部分を均質な特性としたときの、時間又は周波数に依存する均質特性を取得するようにシミュレーションを実行して、前記均質特性を取得するステップと、
    取得した前記均質特性を、前記構造体を再現した第2の離散化モデルの特性として前記第2の離散化モデルに付与して、前記構造体の粘弾性挙動を再現するシミュレーションを前記第2の離散化モデルに対して実行し、前記第2の離散化モデルに作用する物理量を算出するステップと、を有することを特徴とする構造体のシミュレーション方法。
  2. 前記第1の離散化モデルに対してシミュレーションを実行するとき、前記第1の離散化モデルの境界面に対して周期境界条件を付与する請求項1に記載の構造体のシミュレーション方法。
  3. 前記第1の離散化モデルで再現される前記構造体の一部分は、ゴム材料と、このゴム材料を補強するために前記ゴム材料中に配される、無機化合物充填材、金属材及び繊維材の少なくともいずれか1つの補強材とを含む請求項1又は2に記載の構造体のシミュレーション方法。
  4. 前記第2の離散化モデルで表される前記構造体はタイヤである請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体のシミュレーション方法。
  5. 前記均質特性及び前記第1の離散化モデルの材料特性の少なくとも一方の特性は、時間に依存して値が変化するように時間の指数関数の和で表したProny級数で表されたものであり、前記均質特性及び前記第1の離散化モデルの材料特性の少なくとも一方の前記特性は、前記指数関数の緩和時定数と前記指数関数に乗算する弾性係数を特性パラメータとして規定したものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造体のシミュレーション方法。
  6. 前記第2の離散化モデルで表される前記構造体はタイヤであり、前記第2の離散化モデルに対して実行するシミュレーションは、タイヤが路面上を転動するタイヤの転動シミュレーションであり、前記均質特性は前記Prony級数で表されたものであり、前記均質特性における前記指数関数の緩和時定数は、前記転動シミュレーションにおける前記タイヤの転動周期の0.001倍〜5倍の時間範囲の中で算出される請求項5に記載の構造体のシミュレーション方法。
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