JP2006282772A - 架橋球状ポリマー微粒子の製造方法 - Google Patents

架橋球状ポリマー微粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 粒子径分布が狭く、比較的均一な粒子径を有する架橋ポリマー微粒子を、シード粒子を使用することのない簡易なプロセスで高安定性かつ工業的に有利に製造できる方法を提供すること。
【解決手段】2個以上の不飽和二重結合を有する単量体と、親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体と、を含む原料モノマーを、この原料モノマーは溶解するが生成するポリマーは溶解しない媒体中で重合開始剤を用いて溶液重合を行う。
【選択図】 なし

Description

本発明は、架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、およびこの方法によって得られる架橋球状ポリマー微粒子に関する。
近年、架橋度が高く優れた耐熱性および耐薬品性を有するポリマー微粒子は、各種スペーサー、導電性微粒子等の電気・電子材料分野をはじめ、樹脂フィルムの滑り特性の改質剤、クロマトグラフィー用担体、生物医薬用素子等の種々の分野で応用され、実用化されている。
一般に、これらの架橋ポリマー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、膨潤重合法、分散重合法などにより製造されている。
懸濁重合では、機械的な力によって、架橋性モノマー油滴を水性媒体中に懸濁させて重合することにより架橋ポリマー粒子を製造することができる。
しかし、モノマー油滴を機械的な力により分散させる手法であるため、得られるポリマー粒子の粒子径分布は、1〜50μmと広いものになり、分級操作が必要になる。このため、粒径分布の狭いポリマーを得ようとすると、著しく歩留まりが悪くなるという欠点がある。
乳化重合では、通常、架橋モノマーを2.0質量%までしか使用できず、また、得られる粒子径の範囲も0.1〜1.0μmであり1μmを超える粒子径のものは得られないと言われている。
特許文献1(特開平1−315454号公報)では、特殊なシードを用いることで、架橋性モノマーを20.0質量%以上使用しても安定に乳化重合できる方法が開示されているが、製造できる粒子径の範囲は通常の乳化重合と同じ0.1〜1.0μmである。
このように、乳化重合では、1μmを超える粒子径を有する架橋ポリマー粒子を得ることは困難である。
特許文献2(特開昭54−126288号公報)には、重合の第1段階において、膨潤助剤として機能する、水に対する溶解度が10-2g/L(10-3質量%)より小さい有機化合物をシードポリマーに吸収させ、その後の第2段階で、水にある程度可溶なモノマーを、シードポリマーに対して容量で20〜300倍、最大で1000倍程度吸収させてモノマー膨潤粒子を形成し、これを粒子形状を保持したまま重合する膨潤重合法が開示されている。
この方法によれば、架橋性モノマーを多く使用することが可能となる結果、1μm以上の大きさで均一な粒子径分布を有する架橋ポリマー粒子を製造することができる。
しかし、この方法で用いられる膨潤助剤の水に対する溶解度は著しく低いため、これを水中に拡散させてシード粒子へ吸収させる第1工程に長時間を要するという欠点がある。しかも、シードポリマーに吸収されずに残留した油滴が、モノマー重合後、粗大粒子となる場合があり、分級工程が必要となるという欠点もある。
特許文献3(特開平6−122703号公報)には、架橋性ビニルモノマーを20質量%以上用いた分散重合法による架橋粒子の製造方法が開示されている。
この方法では、数ミクロンでの単分散粒子を製造することはある程度可能であるが、粒子径が2.5μmを超え始めると、粒子同士の凝集融着が増大し、単分散性を制御することが非常に難しくなる。しかも、親水性や水溶性の重合性モノマーを共重合させる場合は、さらに凝集融着が激しくなり、単分散性の制御が一層困難になる。
非特許文献1(J. Polym. Sci., Part A: Poly Chem., 31, 3257(1993) )には、アセトニトリルを媒体として分散重合法に類似した沈殿重合法により、ジビニルベンゼンを主成分とした架橋ポリマー粒子を製造する方法が報告されている。この方法であれば、ミクロンサイズで単分散した粒子を効率良く得ることができる。
しかし、この方法でも、媒体に対してモノマー量が5質量%を超えると、急激に粒子凝集物が増加する傾向が見られるため、モノマー使用量に制約があり、安定性良く工業的な大量生産を行うことは困難である。しかも、ジビニルベンゼンおよびこれを主成分としてなる粒子は、疎水性であるが、生態および抗原抗体反応検査用粒子等の生物・医療分野に使用する粒子を製造する場合は、水を媒体とすることが多く、この場合における分散性は、未だ不充分である。
特開平1−315454号公報 特開昭54−126288号公報 特開平6−122703号公報 Journal of Polymer Science. Part A: Polymer Chemistry, (米国),31, 3257(1993)
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、粒子径分布が狭く、比較的均一な粒子径を有する架橋ポリマー微粒子を、シード粒子を使用することのない簡易なプロセスで高安定性かつ工業的に有利に製造できる方法およびこの製造方法により得られた耐熱性、耐薬品性、反応性、溶液分散性、機械的特性等に優れた架橋ポリマー微粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、2個以上の不飽和二重結合を有する単量体および親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体を含む原料モノマーを、原料モノマーは溶解するが生成するポリマーは溶解しない媒体中で重合開始剤を用いて溶液重合、好ましくは分散重合またはこれに準ずる沈殿重合を行うことで、シード粒子を用いなくとも、粒子径分布が狭く、比較的均一な粒子径を有する架橋ポリマー微粒子が効率的に得られることを見出すとともに、さらにこの際、反応系中に、炭素原子5個以上、かつ、融点80℃以下の有機化合物を添加することで、粒子の分散性が向上し、粒子径分布をより均一に制御できる上、単分散粒子を効率よく得ることができることを見出し、本発明を完成した。
したがって、本発明は、
1. 2個以上の不飽和二重結合を有する単量体と、親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体と、を含む原料モノマーを、この原料モノマーは溶解するが生成するポリマーは溶解しない媒体中で重合開始剤を用いて溶液重合することを特徴とする架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
2. 前記2個以上の不飽和二重結合を有する単量体の含有量が、前記原料モノマー中の35〜97質量%であり、親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体の含有量が、前記原料モノマー中の3〜65質量%であることを特徴とする1の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
3. 前記親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体が、水溶性であることを特徴とする1または2の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
4. さらに、重合条件下では前記原料モノマーと反応しない、炭素原子5個以上、かつ、融点80℃以下の有機化合物の存在下で前記溶液重合を行うことを特徴とする1〜3のいずれかの架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
5. 前記有機化合物が、前記媒体に対して1〜50質量%存在することを特徴とする4の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
6. 前記有機化合物が、疎水性化合物であることを特徴とする4または5の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
7. 前記有機化合物が、炭化水素化合物およびシロキサン化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする4〜6のいずれかの架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
8. 前記炭化水素化合物が、脂鎖式炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類およびオイル類から選ばれる少なくとも1種であり、前記シロキサン化合物が、有機ポリシロキサンであることを特徴とする7の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
9. 前記2個以上の不飽和二重結合を有する単量体が、ジビニルベンゼンおよびジ(メタ)アクリル酸エステル系モノマーから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする1〜8のいずれかの架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
10. 前記親水性官能基または活性水素基が、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、カルボニル基、エーテル基、シアノ基、アミド基、スルホン酸基、リン酸基、第4級アンモニウム(塩)基、およびアルキレンオキサイド基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする1〜9のいずれかの架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
11. 前記原料モノマーが、3種類以上の単量体を含んで構成されることを特徴とする1〜10のいずれかの架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
12. 前記溶液重合が、分散重合または沈殿重合であることを特徴とする1〜11のいずれかの架橋球状ポリマー微粒子の製造方法、
13. 上記1〜12のいずれかの製造方法により得られ、ゼータ電位A(mV)の絶対値│A│が、25以上であることを特徴とする架橋球状ポリマー微粒子、
14. 前記ゼータ電位A(mV)が、マイナスであることを特徴とする13の架橋球状ポリマー微粒子
を提供する。
本発明によれば、2個以上の不飽和二重結合を有する単量体および親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体を含む原料モノマーを、原料モノマーは溶解するが生成するポリマーは溶解しない媒体中で重合開始剤を用いて溶液重合する方法であるから、シード粒子を用いなくとも、粒子径分布が狭く、比較的均一な粒子径を有する架橋ポリマー微粒子を効率よく得ることができる。
また、炭素原子5個以上、かつ、融点80℃以下の有機化合物の存在下で溶液重合を行うことで、粒子の分散性を向上させることができる結果、粒子径分布をより均一に制御でき、単分散粒子を効率よく得ることができる。
さらに、本発明の製法によって得られた架橋球状ポリマー微粒子は、耐熱性、耐薬品性、反応性、溶液分散性、機械的特性等に優れているため、液晶用スペーサー,導電性微粒子およびそれを用いた導電材料,静電荷現像剤,銀塩フィルム用表面改質剤,磁気テープ用フィルム改質剤,感熱紙走行安定剤,トナー等の電気・電子工業分野、インク,接着剤,粘着剤,光拡散剤,塗料,紙コーティング・情報記録紙等の紙用コーディング剤などの化学分野、芳香剤,低収縮化剤,紙、歯科材料,樹脂改質剤等の一般工業分野、液状またはパウダー状化粧品に添加される滑り剤や体質顔料等の化粧品分野、生体および抗原抗体反応検査用粒子等の生物・医療分野、医薬および農薬分野、建築分野、自動車分野等の広範囲の分野において好適に用いることができる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る架橋球状ポリマー微粒子の製造方法は、2個以上の不飽和二重結合を有する単量体と、親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体と、を含む原料モノマーを、この原料モノマーは溶解するが生成するポリマーは溶解しない媒体中で重合開始剤を用いて溶液重合するものである。
溶液重合としては、(1)水溶液中で行う乳化または懸濁重合、(2)非水系有機溶媒中または水と非水系有機溶媒との混合溶媒中、分散剤の存在下で行う分散重合、(3)上記(1)または(2)とシード法を組み合わせる方法などが挙げられるが、シード粒子を使用せずとも目的とするミクロンサイズの粒子が得られるだけでなく、親水性官能基等を有する共重合体を容易に製造し得ることから、分散重合を用いることが好ましい。なお、上記非特許文献1に記載されるような分散重合に準ずる沈殿重合法も好適に用いることができる。
上記2個以上の不飽和二重結合を有する単量体の原料モノマー中の含有量としては、特に限定されるものではないが、35〜97質量%が好ましく、より好ましくは35〜95質量%、より一層好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは55〜90質量%、最適は60〜80質量%である。
一方、親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体の原料モノマー中の含有量としては、3〜65質量%が好ましく、より好ましくは5〜65質量%、より一層好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは10〜45質量%、最適は15〜40質量%である。
以上において、2個以上の不飽和二重結合を有する単量体の原料モノマー中の含有量が35質量%未満(親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体が65質量%超)であると、得られるポリマー微粒子の表面が柔らかくなり、粒子同士の固着や凝集が発生し易くなり、単分散した球状ポリマー微粒子を得ることが困難になる場合がある。
一方、2個以上の不飽和二重結合を有する単量体の原料モノマー中の含有量が、97質量%を超える(親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体が3質量%未満である)場合も、粒子の単分散性の低下を招く虞がある。
本発明において、2個以上の不飽和二重結合を有する単量体としては、特に限定されるものではなく、従来公知の多官能ビニル単量体や多官能(メタ)アクリル酸エステル酸誘導体等の中から適宜選択して用いることができる。
具体例を挙げると、ジビニルベンゼン;ジビニルビフェニル;ジビニルナフタレン;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,7−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオール系ジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、ジアリルフタレートおよびその異性体、トリアリルイソシアヌレートおよびその誘導体等が挙げられる。
なお、製品名としては新中村化学工業(株)製のNKエステル[A−TMPT−6P0、A−TMPT−3E0、A−TMM−3LMN、A−GLYシリーズ、A−9300、AD−TMP、AD−TMP−4CL、ATM−4E、A−DPH]等が挙げられる。これらの単量体は、単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジビニルベンゼンおよびジ(メタ)アクリル酸エステル系モノマーから選ばれる少なくとも1種を含む単量体を用いることが好ましい。これらの単量体を用いることで、圧縮変形後の回復率の高い、機械的特性に優れた架橋球状ポリマー微粒子を得ることができる。
さらに、機械的特性により優れた架橋球状ポリマー微粒子を得るために、単量体としてジ(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを含むものを用いることが好ましく、特に、圧縮弾性の必要な用途には、C6〜C18のアルカンジオール系ジ(メタ)アクリレートを含むものを用いることが好ましく、C8〜C12のアルカンジオール系ジ(メタ)アクリレートを含むものを用いることが最適である。
一方、本発明において、親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体の親水性官能基または活性水素基としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、カルボニル基、エーテル基、シアノ基、アミド基、スルホン酸基、リン酸基、第4級アンモニウム(塩)基、アルキレンオキサイド基等が挙げられる。なお、不飽和単量体には、上記官能基が、1種単独で存在してもよく、2種以上混在していてもよい。
このような親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。以下の説明において「C」は炭素原子を意味する。
(1)アミノ基含有単量体
アクリル酸アミノエチル、アクリル酸−N−プロピルアミノエチル,(メタ)アクリル酸−N−エチルアミノプロピル,(メタ)アクリル酸−N−フェニルアミノエチル,(メタ)アクリル酸−N−シクロヘキシルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル誘導体、アリルアミン,N−メチルアリルアミン等のアリルアミン系誘導体、p−アミノスチレン等のアミノ基含有スチレン誘導体、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン等のトリアジン誘導体等が挙げられる。これらの中でも1級または2級アミノ基を有する化合物が好ましい。なお、これらの化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
(2)カルボキシル基含有単量体
アクリル酸、メタクリル酸,クロトン酸,ケイ皮酸,イタコン酸,マレイン酸,フマル酸等の不飽和カルボン酸、イタコン酸モノブチル等のイタコン酸モノC1〜8アルキルエステル、マレイン酸モノブチル等のマレイン酸モノC1〜8アルキルエステル、ビニル安息香酸等のビニル基含有芳香族カルボン酸などの各種カルボキシル基含有単量体およびこれらの塩等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
(3)水酸基含有単量体
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル系単量体、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート,(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体、ヒドロキシエチルビニルエーテル,ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル系単量体、アリルアルコール,2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等の水酸基含有アリル単量体等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
(4)チオール(メルカプト)基含有単量体
(メタ)アクリル酸2−メルカプトエチル、(メタ)アクリル酸2−メルカプト−1−カルボキシエチル、N−(2−メルカプトエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプト−1−カルボキシエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプトエチル)メタクリルアミド、N−(4−メルカプトフェニル)アクリルアミド、N−(7−メルカプトナフチル)アクリルアミド、マレイン酸モノ2−メルカプトエチルアミド等が挙げられる。
(5)カルボニル基含有単量体
ビニルメチルケトン,ビニルヘキシルケトン,メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等が挙げられる。
なお、上記各化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
(6)エーテル基含有単量体
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系単量体が挙げられる。
(7)シアノ基含有単量体
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ヘキセンニトリル、4−ペンテンニトリル、p−シアノスチレン等が挙げられる。
なお、上記各化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
(8)アミド基含有単量体
(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル−p−スチレンスルホンアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
(9)スルホン基含有単量体
エチレンスルホン酸,ビニルスルホン酸,(メタ)アリルスルホン酸等のアルケンスルホン酸、スチレンスルホン酸,α−メチルスチレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、C1〜10アルキル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル、スルホプロピル(メタ)アクリレート等のスルホC2〜6アルキル(メタ)アクリレート、メチルビニルスルホネート,2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸,2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸,3−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸,3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和エステルおよびこれらの塩などが挙げられる。
(10)リン酸基含有単量体
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート,フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルリン酸モノエステル、ビニルリン酸等のリン酸基含有不飽和エステルおよびこれらの塩などが挙げられる。
なお、上記各化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
(11)第4級アンモニウム(塩)基含有単量体
C1〜12アルキルクロライド,ジアルキル硫酸,ジアルキルカーボネート,ベンジルクロライド等の4級化剤により、3級アミンを4級化したものが挙げられる。
具体例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド,2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロマイド,(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド,(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド,(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド,(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムブロマイド,(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド,(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェートなどが挙げられる。なお、これらの化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
(12)アルキレンオキサイド基含有単量体
(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート,(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体、メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート,メトキシ(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体などが挙げられる。なお、これらの化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
以上のような不飽和単量体の中でも、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基およびアルキレンオキサイド基のいずれかの官能基を有する単量体が好ましく、特に、水酸基、カルボキシル基およびエチレンオキサイド基のいずれかの官能基を有する単量体がより好ましい。これらの官能基を用いることで、溶液中で得られる粒子同士の反発が強くなるため、分散系の安定性が高くなり、より一層単分散性を向上できるとともに、耐熱性、耐薬品性、反応性、溶液分散性および粉体分散性、機械的特性等に優れた架橋球状ポリマー微粒子を得ることができる。
さらに、親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体は、水溶性の化合物が好適である。水溶性単量体を用いることで、単分散性をさらに向上させることが可能である。また、得られる架橋性ポリマー微粒子を水または水系媒体に容易に単分散させることができる。
本発明においては、上記2個以上の不飽和二重結合を有する単量体および親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体に加え、これらと共重合可能な重合性単量体を併用することもできる。
この重合性単量体は、原料モノマー中に0〜62質量%の任意の割合で配合することができるが、全単量体に対して50質量%以下、特に30質量%以下で配合することが好ましい。
この重合性単量体としては、例えば、(i)スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン類、(ii)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル類、(iii)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、(iv)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、(v)フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピル等のフッ化アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、(vi)ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、本発明の架橋球状ポリマー微粒子を製造するにあたっては、原料モノマーとして、3種類以上、特に4種類以上の単量体を含むものを用いることが好ましい。このように、複数種の単量体を用いることで、耐熱性、耐薬品性、耐候性、硬度、弾性力などの、化学的、機械的特性を向上させたり、適宜調節したりし易くなる。
具体例としては、(A)2個以上の不飽和二重結合を有する単量体として、ジビニルベンゼン、(ポリ)アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレート、アルカンジオール系ジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種、(B)親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体、(メタ)アクリル酸、アルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体の少なくとも1種、および必要に応じて(C)その他の重合性単量体として、スチレン類、(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエステル類の少なくとも1種の中から、必須成分である(A)および(B)成分をそれぞれ少なくとも1種含み、かつ、3種類以上単量体を含む原料モノマーを調製することが好ましい。
重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知のラジカル重合開始剤から適宜選択して用いることができる。具体例としては、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種類以上組み合わせて使用することができる。上記ラジカル重合開始剤の配合量は、通常、原料モノマー100質量部に対して、0.1〜50質量部である。
合成用溶媒(媒体)としては、原料モノマーは溶解するが生成する微粒子は溶解しない媒体であれば特に限定されるものではなく、一般的な溶媒の中から、使用する原料等に応じて適宜なものを選択すればよい。
使用可能な溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、(アルキル)セロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ジシクロヘキシル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン等の硫黄、窒素含有有機化合物類等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、中でもエチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性、かつ、沸点が105℃以上の媒体を適量加えた混合媒体とすることが、粒子径の制御、分散性の点で好ましい。
反応溶液中における、原料モノマーの含有量は、全反応溶液中1〜50質量%とすることが好ましく、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜20質量%、最良は6〜15質量%である。
本発明の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法では、従来法のように、反応系中のモノマー量を多くしても粒子の凝集物が極端に増大することはないが、原料モノマーの含有量が、50質量%を超えると、架橋球状ポリマー微粒子を単分散化した状態で高収率で得ることが困難になる。一方、1質量%未満であると、反応が完結するまでに長時間を要し、また工業的観点から、実用的ではない。
重合時の反応温度は、使用する溶媒の種類によっても変わるものであり、一概には規定できないが、通常、10〜200℃程度であり、好ましくは30〜130℃、より好ましくは40〜90℃である。
また、反応時間は、目的とする反応がほぼ完結するのに要する時間であれば特に限定されるものではなく、モノマー種およびその配合量、官能基の種類、溶液の粘度、その濃度並びに目的の粒子径等に大きく左右されるが、例えば、40〜90℃の場合、1〜72時間、好ましくは2〜24時間程度である。
なお、得られた粒子は、シード重合することでコア−シェル構造を有するものや、その他の反応性官能基等を導入した複合粒子とすることもでき、その用途などに応じて、適宜な形態とすることができる。
さらに、本発明の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法では、重合条件下では原料モノマーと反応しない、炭素原子数5個以上の有機化合物の存在下で重合反応を行うことが好ましい。
このような有機化合物を反応系中に共存させることで、生成してくる架橋球状ポリマー微粒子の分散性をより一層向上させることができ、粒子径をより均一に制御することが可能となる。
炭素原子数5個以上の有機化合物は、常温で固体または液体であり、使用する媒体に混合(分散を含む)または溶解し、球状ポリマー微粒子生成に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではないが、融点80℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは40℃以下、より一層好ましくは30℃以下の有機化合物がよい。融点80℃以下程度の比較的低融点の有機化合物であれば、本発明の効果を阻害しない範囲で溶媒(媒体)として使用することができる。
炭素原子数は5個以上であればよいが、重合条件下で共存させる必要があり、有機化合物の揮発性や沸点等を考慮すると、6個以上が好ましく、8個以上がより好ましく、10個以上が最適である。また、その沸点は、共存した場合の重合温度に左右されるが、60℃以上、好ましくは80℃以上、更に好ましくは100℃以上、最良は120℃以上であり、高沸点であるものがよい。
さらに、上記有機化合物の添加量は、重合媒体に対して0.1〜50質量%程度であり、好ましくは1〜25質量%程度、より好ましくは2〜10質量%程度である。ここで、添加量が、50質量%を超えると、有機化合物によっては、反応溶液全体の粘度が高くなるという事態が生じ、粒子径を均一に制御することが困難になる場合がある。一方、0.1質量%未満では、粒子を単分散化させる効果が充分に発揮されない場合がある。
粒子の単分散化効果を高めるため、上記有機化合物として、炭化水素化合物およびシロキサン化合物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
ここで、炭化水素化合物とは、飽和炭化水素,不飽和炭化水素等の脂鎖式炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、高級アルコール、高級脂肪酸、脂肪、油脂、ワックス類、動植物油類,鉱物油,石油産物等のオイル類等の炭化水素基を有する化合物およびその誘導体等が挙げられる。
これらの炭化水素化合物の中でも、脂鎖式炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、オイル類が好適である。
本発明の炭化水素化合物は、1つ以上の水素原子がハロゲン原子やその他の官能基で置換されていてもよい。官能基としては、例えば、水酸基およびそのエステル基、炭酸エステル基、エーテル基等の水酸基の誘導体基、カルボキシル基およびそのエステル基、アミド基、ウレタン基等のカルボキシル基の誘導体基、アミノ基およびそのアミド基、ウレタン基、尿素基等のアミノ基の誘導体基等が挙げられる。
なお、これら炭化水素化合物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、炭素、窒素、酸素、水素、ハロゲン以外の原子を含んでいてもよい。また、炭化水素化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
炭化水素化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
(1)炭化水素類
流動パラフィン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニルノルボルネン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、7−メチル−6−プロピル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、7,8−ジメチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、7,8−ジメチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、9−メチル−4−エチリデン−1,8−デカジエン、8,9−ジメチル−4−エチリデン−1,8−デカジエン等
(2)アルコール類
ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ドデセノール、ミリシルアルコール、テトラセノール、ヘキサデセノール、エイコセノール、ドコセノール、ピネングリコール、ヒノキオール、ブチンジオール、ノナンジオール、イソフタリルアルコール、メシセリン、テレアフタリルアルコール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ドコサンジオール、テトラコサンジオール、テレビネオール、フェニルグリセリン、エイコサンジオール、オクタンジオール、フェニルプロピレングリコール、ビスフェノールA、パラアルファクミルフェノール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール等
(3)有機酸類
ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ベヘン酸、2−アセトナフトンベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸等
(4)ケトン類
ベンジルメチルケトン、ベンジルアセトン、シクロヘキサノンベンゾイルアセトン、ジアセトベンゼン、ベンゾフェノン、トリコサノン、ヘプタコサノン、ヘプタトリアコンタノン、ヘントリアコンタノン、ヘプタトリアコンタノン、ステアロン、ラウロン、ジアニソール等
(5)アミド類
オレイン酸アミド、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、テトラヒドロフラン酸アミド、エルカ酸アミド、ミリスチン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N′−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N′−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N′−システアリルセバシン酸アミド、N,N′−ジステアリルテレフタル酸アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミド、フェナセチン、トルアミド、アセトアミド等
(6)スルホンアミド類
パラトルエンスルホンアミド、エチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンゼンスルホンアミド等
(7)コレステロール脂肪酸エステル類
ステアリン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、メリシン酸コレステロール等
(8)糖類脂肪酸エステル類
ステアリン酸サッカロース、パルミチン酸サッカロース、ベヘン酸サッカロース、ラウリン酸サッカロース、メリシン酸サッカロース、ステアリン酸ラクトース、パルミチン酸ラクトース、ミリスチン酸ラクトース、ベヘン酸ラクトース、ラウリン酸ラクトース、メリシン酸ラクトース等
(9)エステル類
酢酸アミル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸フェノキシエチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、ジエチルマロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ(2−メトキシエチル)、セバシン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジオクチル、ケイ皮酸−3−ヘキセニル等
(10)エーテル類
ブチルフェニルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ヘキシルエーテル等
(11)ワックス
密ロウ、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、鯨ロウ、カンデリラワックス、ラノリン、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等
(12)オイル類
石油精製によって作られる鉱油、エンジンオイル、スピンドル油、マシン油、シリンダ油、ギヤ油等の工業用潤滑油、または化学合成によって作られる合成潤滑油(その化学成分としては、炭化水素系としてポリブテン等のポリオレフィン、アルキルベンゼン等のアルキル芳香族等が挙げられる)、椰子油,パーム油,オリープ油,ひまわり油,ひまし油,大豆油,あまに油,菜種油,桐油,綿実油等の植物油、鯨油,牛脂等の動物油等
本発明におけるシロキサン化合物としては、有機ポリシロキサンが好ましい。
一般にシリコーンといわれている有機ポリシロキサンは、シロキサン結合(−O−Si−)を主鎖とした単位の繰り返しを骨格に含む重合体であり、置換基としては通常、水素原子、並びにアルキル基、フェニル基、およびアラルキル基を包含する炭素原子数1〜50の飽和または不飽和炭化水素で、直鎖状、分岐状の炭化水素基からなる群から選択されたものである。なお、置換基は同一でも異なっていてもよい。
一般的なポリシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンおよびこれらの混合物等が挙げられる。
これらの有機ポリシロキサンの重量平均分子量は、特に限定するものではないが、100〜500,000程度の有機ポリシロキサンが適しており、特に液状のものが好ましい。
有機ポリシロキサン(またはシリコーン)の中でも、常温での動粘度が0.65〜1,000,000mm2・s-1(cSt)程度の範囲にある液体状のものをシリコーンオイルという。
本発明においては、有機ポリシロキサンの中でも、このシリコーンオイルを用いることが好適であり、特に、25℃における動粘度が1〜10000mm2・s-1(cSt)ものが好ましく、より好ましくは、10〜5000mm2・s-1(cSt)のものである。
有機ポリシロキサンの動粘度が、上記範囲を外れると、粒子径の制御が難しくなり、粒子が析出しなかったり、析出した粒子が凝集したりして単分散化した粒子が得られない場合がある。
本発明の有機化合物として好適に使用し得る市販の有機ポリシロキサン(シリコーンオイル)として代表的なものを例示すると、ジメチルシリコーンオイル:KF−96、KF−69、KF−965、KF−968(信越化学工業(株)製)、SH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、L−45(日本ユニカー)、メチルフェニルシリコーンオイル:KF−50、KF−54、KF−56(信越化学工業(株)製)、SH510、SH550、SH710(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、メチルハイドロジェンシリコーンオイル:KF−99(信越化学工業(株)製)、SH1107(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)などが挙げられる。
また、本発明においては、有機ポリシロキサンの側鎖または末端をポリエーテル、メチルスチリル、アルキル、高級脂肪酸エステル、アルコキシ、フッ素、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基などで変性した変性シリコーンオイルを用いることもできる。
市販の変性有機ポリシロキサン(変性シリコーンオイル)を例示すると、KF−100、KF−102、KF−103、KF−105、KF−351、KF−352、KF−353、KF−354、KF−355、KF−393、KF−410、KF−412、KF−413、KF−414、KF−615、KF−618、KF−851、KF−857、KF−858、KF−859、KF−860、KF−861、KF−862、KF−864、KF−865、KF−867、KF−868、KF−869、KF−880、KF−905、KF−910、KF−945、KF−6001、KF−6002、KF−6003、KF−3935、KF−8001、KF−8002、KF−8003、KF−8004、KF−8005、X−22−160、X−22−161、X−22−162、X−22−163、X−22−165、X−22−167、X−22−169、X−22−170、X−22−173、X−22−174、X−22−176、X−22−715、X−22−800、X−22−801、X−22−819、X−22−820、X−22−821、X−22−822、X−22−904、X−22−980、X−22−3367、X−22−3701、X−22−3710、X−22−3939、X−22−4015、X−22−5002、X−22−6008、FL−100(信越化学工業(株)製)、SF8410、SF8411、SF8413、SF8416、SF8417、SF8418、SF8419、SF8421、SF8427、SF8428、SH203、SH230、SH3746、SH3749、SH3771、SH8400、SH8700、FS1265(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)などが挙げられる。
以上で説明した炭素原子数5個以上の有機化合物は、単分散化効率を高めるという点から、疎水性の化合物であることが好ましい。
本発明の球状ポリマー微粒子の製造方法を行う際には、重合方法に応じてその他の(高分子)分散剤、安定剤、乳化剤(界面活性剤)等を、上記原料モノマーに対し、0.01〜50質量%の適宜な量で配合することもできる。
分散剤および安定剤としては、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリスチレン誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポチエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル誘導体;セルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体;ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ−2−メチル−2−オキサゾリン等の含窒素ポリマー誘導体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体等の各種疎水性または親水性の分散剤、安定剤が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
乳化剤(界面活性剤)としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等のカチオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
上記製造方法により得られた本発明の架橋球状ポリマー微粒子は、分散安定性に優れており、ゼータ電位測定を行った場合、ゼータ電位A(mV)の絶対値│A│が、25以上を示す。
このゼータ電位は、分散安定性の指標となる値であり、一般に絶対値│A│が高くなれば、粒子同士の反発が強くなるため、分散系の安定性が高くなり、一方ゼロに近づくほど帯電が緩和されていることになり、より凝集し易いという性質を示す。
したがって、絶対値│A│は、30〜100が好ましく、35〜100がより好ましく、40〜100がより一層好ましいが、本発明の製造方法によれば、これらの値を満たす架橋球状ポリマー微粒子を得ることも可能であり、通常、絶対値│A│が40〜80程度の範囲の粒子を得ることができる。
なお、得られる粒子の均一性、および粒子径を制御する容易さという点から、上記ゼータ電位A(mV)は、マイナスであることが好ましい。
また、本発明の架橋球状ポリマー微粒子は、平均粒子径が0.1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは、0.2〜30μm、より一層好ましくは、0.3〜20μm、最良は0.5〜10μmである。平均粒子径が0.1μm未満であると、微粒子が凝集し易くなる虞がある。
さらに、粒子径(直径)のCv値が、20%以下であることが好ましい。Cv値が20%を超えると、架橋球状ポリマー微粒子の用途性能が低下(例えば導電性微粒子とした際の接続信頼性、生体検査素子としての定量性等が低下)することがある。粒子径のCv値は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、最良は4%以下である。
本発明において、上記Cv値とは、下記計算式により求められる値のことをいう。
Cv値(%)=(粒子径の標準偏差/平均粒子径)×100
なお、上記平均粒子径およびCv値(%)は、走査電子顕微鏡(S−4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製、以下、SEMという)を用い、測定可能な倍率(300〜200,000倍)で粒子(n=300)の写真を撮影し、粒子を二次元化した状態で測定した粒子径の平均値およびそれより算出した粒子径の標準偏差、Cv値(%)である。
また、本発明に係る球状ポリマー微粒子は、粒子直径の変位がX%における粒子1個の圧縮弾性変形特性KXを下記式で定義した場合、
X=(3/√2)・(SX -3/2)・(R-1/2)・FX
〔式中、FXは微粒子のX%変位に必要な荷重(N)、SXは微粒子のX%変位における圧縮変形量(mm)、およびRは微粒子半径(mm)を表す。〕
粒子直径の変位が10%のときの圧縮弾性変形特性K10が、20℃で測定した場合に、100〜50000N/mm2を満たすことが好ましい。
10が、100N/mm2未満の粒子では、耐熱性、耐薬品性等の特性が不充分となる可能性が高く、好適な範囲は1000〜15000N/mm2、特に、1500〜9000N/mm2、最適は2000〜8500N/mm2である。本発明の製造方法で得られた架橋球状ポリマー微粒子も、これらの範囲のK10値を有することが好ましい。なお、ポリマー粒子であるため、無機粒子のように50000N/mm2を超えるような硬度の粒子とすることは困難である。
粒子直径が10%変位したときの圧縮弾性変形特性K10(以下、10%K値という場合もある)とは、微小圧縮試験機(MCT−W201、(株)島津製作所製)を用い、直径50μmのダイヤモンド製円柱の平滑端面で、圧縮硬度0.225g/秒にて、得られた微粒子を圧縮した際の荷重値、圧縮変位等を測定し、下記式から求められる値である。
10=(3/√2)・(S10 -3/2)・(R-1/2)・F10
10:微粒子の10%変位に必要な荷重(N)
10:微粒子の10%変位における圧縮変形量(mm)
R:微粒子の半径(mm)
なお、KX値は、微粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表すものであり、本発明のように10%K値を用いることにより、10%変位での微粒子の好適な硬さを定量的かつ一義的に表すことが可能となる。
さらに、本発明の架橋球状ポリマー微粒子は、粒子直径の変位が50%のときの粒子直径の回復率(以下、50%圧縮変形回復率という)が、20℃で測定した場合に20%以上を示すことが好ましい。この50%圧縮変形回復率が20%未満のポリマー微粒子は、弾性力が低いため、高弾性を要求される用途(当該ポリマー微粒子からなる導電性微粒子を電極間の接続に用いる等)に不適(接触不良を招く等)となる。本発明の製造法によれば、50%圧縮変形回復率が20%以上のものが得られる可能性が高く、場合によっては、30%以上、35%以上の圧縮変形回復率を有する架橋球状ポリマー微粒子も製造可能であり、最適値である40〜60%の圧縮変形回復率を有する架橋球状ポリマー微粒子が得られることもある。
ここで、50%圧縮変形回復率とは、上述の圧縮試験機にて粒子直径の50%まで微粒子を圧縮した後、逆に荷重を減らして行く際の、荷重値と圧縮変位との関係を測定して得られる値である。この値は、荷重を除く際の終点を原点荷重値0.02gf(0.196mN)、負荷および除負荷における圧縮速度0.145gf/秒(1.421mN/秒)として測定され、反転の点までの変位(L1)と、反転の点から原点荷重値を取る点までの変位(L2)との比(L2/L1)を%にて表した値である。
以上に説明したように、本発明の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法にて得られた架橋球状ポリマー微粒子は、ゼータ電位の絶対値│A│が25以上であることから、その他の表面処理を施さなくとも分散安定性に優れている。生体および抗原抗体反応検査用粒子等の生物・医療分野にポリマー微粒子を用いる場合、水を媒体として重合することが殆どであるが、本発明の架橋球状ポリマー微粒子は、水媒体中においても充分な分散性を有しており、当該用途に好適に用いることができる。
また、本発明の架橋球状ポリマー微粒子は、その内部または表層部に、親水性官能基または活性水素基を有しているから、これらの官能基を利用して接着性を有する樹脂層を当該粒子に付与することができる。このような粒子は、液晶表示素子用スペーサーとして好適に用いることができる。すなわち、当該粒子は、上記接着性樹脂層有しているため、基板のギャップにおいてスペーサーが移動することを効果的に防止できる。このため、配向制御膜を傷つける等の不具合を防止することができ、表示画像の画質および基板巻のギャップ精度の向上を図ることができる。
さらに、本発明の製法によって得られた架橋球状ポリマー微粒子は、上述のとおり、高いK10値および50%圧縮変形回復値を有するなど、弾力性に優れる可能性が高い。このため、当該ポリマー微粒子を導電材料として用いた場合に、電極間の接続に用いる基板を傷つけたり、貫通したりする可能性が低く、また、高圧縮変形させても高精度のギャップ保持性や安定した接続信頼性を発揮する可能性が高い。
また、本発明の架橋球状ポリマー微粒子は、上述のような特徴を有すことから、電材分野だけでなく、塗料、コーティング剤、光拡散剤、化粧料、医薬又は生体検査素子、農薬、建築材料等、広範囲の分野で用いることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
500mlフラスコに下記に示した各化合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、攪拌機を用い、窒素気流下、オイルバス温度82℃で、約6時間加熱撹拌をして、DVB・メタクリル酸・NK−エステル A−DOD(新中村化学工業(株)製)共重合粒子溶液を得た。
DVB(純度96%、新日鐵化学(株)製 DVB−960) 5.88g
[エチルビニルベンゼン3%含有]
メタクリル酸 3.92g
NK−エステル A−DOD(新中村化学工業(株)) 9.8g
[1,10−デカンジオールジアクリレート]
アセトニトリル 196g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 1.69g
n−ドデカン 9.02g
エチルカルビトールアセテート 9.8g
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってテトラヒドロフラン(以下、THFという)で3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返した後、真空乾燥して粒子を得た。得られた粒子の粒子径を、SEMにて観察、測定したところ、平均粒子径が3.8μmの球状の粒子であった。また、Cv値は3.7%であった。得られた粒子のSEM写真を図1に示す。
[実施例2]
500mlフラスコに下記に示した化合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機を用い、窒素気流下、オイルバス温度82℃で、約6時間加熱撹拌をして、DVB・メタクリル酸・NK−エステル A−DOD(新中村化学工業(株)製)共重合粒子溶液を得た。
DVB(DVB−960) 5.88g
メタクリル酸 3.9g
NK−エステル A−DOD 9.8g
アセトニトリル 196g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 1.69g
n−ドデカン 9.02g
エチルカルビトール 9.8g
ジメチルホルムアミド 1.96g
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってTHFで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返した後、真空乾燥して粒子を得た。得られた粒子の粒子径を、SEMにて観察、測定したところ、平均粒子径が5.2μmの球状の粒子であった。また、Cv値は4.1%であった。
[実施例3]
500mlフラスコに下記に示した化合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機を用い、窒素気流下、オイルバス温度80℃で、約6時間加熱撹拌をして、DVB・メタクリル酸・NK−エステル DOD−N(新中村化学工業(株)製)共重合粒子溶液を得た。
DVB(DVB−960) 7.35g
メタクリル酸 7.35g
NK−エステル DOD−N(新中村化学工業(株)) 9.8g
[1,10−デカンジオールジメタクリレート]
アセトニトリル 245g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 2.1g
n−ドデカン 11.2g
イソプロピルアルコール 12.25g
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってTHFで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返した後、真空乾燥して粒子を得た。得られた粒子の粒子径を、SEMにて観察、測定したところ、平均粒子径が4.2μmの球状の粒子であった。また、Cv値は3.8%であった。
[実施例4]
500mlフラスコに下記に示した化合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機を用い、窒素気流下、オイルバス温度88℃で、約6時間加熱撹拌をして、DVB・アクリル酸・NK−エステル A−IND(新中村化学工業(株)製)共重合粒子溶液を得た。
DVB(DVB−960) 17.5g
アクリル酸 12.25g
NK−エステル A−IND(新中村化学工業(株)製) 5.25g
[2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート(85%)]
[1,9−ノナンジオールジアクリレート(15%)]
アセトニトリル 350g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 4.75g
n−ドデカン 12g
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってTHFで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返した後、真空乾燥して粒子を得た。得られた粒子の粒子径を、SEMにて観察、測定したところ、平均粒子径が3.7μmの球状の粒子であった。また、Cv値は3.5%であった。
[実施例5]
n−ドデカンをSH−550(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてDVB・メタクリル酸・1,10−デカンジオールジアクリレート共重合粒子溶液を得た。
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってTHFで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返した後、真空乾燥して粒子を得た。得られた粒子の粒子径を、SEMにて観察、測定したところ、平均粒子径が3.7μmの球状の粒子であった。また、Cv値は4.1%であった。
[実施例6]
NK−エステル AD−TMP(新中村化学工業(株)製)を0.24g加えた以外は、実施例3と同様にしてDVB・メタクリル酸・1,10−デカンジオールジメタクリレート・ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート共重合粒子溶液を得た。
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってTHFで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返した後、真空乾燥して粒子を得た。得られた粒子の粒子径を、SEMにて観察、測定したところ、平均粒子径が3.5μmの球状の粒子であった。また、Cv値は4.3%であった。
[実施例7]
実施例3のメタクリル酸を、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(MA−50、日本乳化剤(株)製、n≒5)に変更した以外は、実施例3と同様にしてDVB・ポリエチレングリコールモノメタクリレート・1,10−デカンジオールジメタクリレート共重合粒子溶液を得た。
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってTHFで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。得られた粒子の粒子径を、SEMにて観察、測定したところ、平均粒子径が2.5μmの球状の粒子であった。また、Cv値は4.6%であった。
[実施例8]
500mlフラスコに下記に示した化合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機を用い、窒素気流下、オイルバス温度82℃で、約6時間加熱撹拌をして、DVB・アクリル酸共重合粒子溶液を得た。
DVB(DVB−960) 10.29g
アクリル酸 4.41g
アセトニトリル 147g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 1.26g
n−ドデカン 8.4g
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってTHFで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返した後、真空乾燥して粒子を得た。得られた粒子の粒子径を、SEMにて観察、測定したところ、平均粒子径が3.5μmの球状の粒子であった。また、Cv値は4.0%であった。
[比較例1]
メタクリル酸をDVBに変更した以外は、実施例1と同様にしてDVB・1,10−デカンジオールジアクリレート共重合粒子溶液を得た。
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってTHFで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返した後、真空乾燥して粒子を得た。
この粒子径をSEMにて観察、測定したところ、粒子径1〜3μm程度の粒子がくっつきや凝集を起こしているのが確認され、単分散化した粒子は得られなかった。比較例1で得られた粒子のSEM写真を図2に示す。
[比較例2]
メタクリル酸をスチレンに変更した以外は、実施例3と同様にしてDVB・スチレン・1,10−デカンジオールジメタクリレート共重合粒子溶液を得た。
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってTHFで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返した後、真空乾燥して粒子を得た。
この粒子径をSEMにて観察、測定したところ、比較例1と同様に粒子径1〜3μm程度の粒子がくっつきや凝集を起こしているのが確認され、単分散化した粒子は得られなかった。
[比較例3]
アクリル酸をアクリル酸n−ブチルに変更した以外は、実施例8と同様にしてDVB・アクリル酸n−ブチル共重合粒子溶液を得た。
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってTHFで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返した後、真空乾燥して粒子を得た。
この粒子径をSEMにて観察、測定したところ、粒子同士がくっつきや凝集を起こしているのが散見された。平均粒子径が5.4μmの球状の粒子であった。また、Cv値は26.3%であった。
上記各実施例および比較例のまとめを表1に示す。
*比較例3ではくっつきや凝集が発生しているため、短径と長径との平均値を粒子径として表示した。
表1における球状単分散化は、下記基準にて評価した。
○:球状単分散化した粒子である。
△:一部単分散化した粒子である。
×:くっつきや凝集を起こした粒子が多く単分散化していない。
[参考評価試験1](ゼータ電位測定)
実施例の各粒子をゼータ電位測定装置[Zetasizer Nano Z](Malvern Instrumennts Ltd製)を使用して下記条件にて測定を行い、評価した。結果を表2に示す。
〈測定条件〉
測定温度:25℃
分散媒体:水
測定電圧:150V
pH:7
[参考評価試験2](粒子弾力性評価)
実施例1〜8の各粒子を微小圧縮試験機 MCT−W201(島津製作所製)を使用し、粒子弾力特性(K10値、50%圧縮変形回復率)を評価した(測定温度20℃)。結果を表3に示す。
なお、回復率は圧縮率が50%を超える負荷荷重にして測定した。
[参考評価試験3](粒度分布による耐薬品性、分散性評価)
実施例1〜8で得られた粒子を、公知の超音波分散設備を使用して水分散させた後、1質量%粒子分散水溶液を調製した。この溶液を、粒度分布計(日機装製 マイクロトラック9320HRA)で測定したところ、上記とほぼ同様の平均粒子径となり、その分布もシャープな一山の単分散した粒子分布となることが確認された。
実施例1の架橋球状ポリマー微粒子のSEM写真である。 比較例1のポリマー微粒子のSEM写真である。 実施例1の架橋球状ポリマー微粒子の負荷−除荷試験(圧縮変位50%)の結果を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 2個以上の不飽和二重結合を有する単量体と、親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体と、を含む原料モノマーを、この原料モノマーは溶解するが生成するポリマーは溶解しない媒体中で重合開始剤を用いて溶液重合することを特徴とする架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  2. 前記2個以上の不飽和二重結合を有する単量体の含有量が、前記原料モノマー中の35〜97質量%であり、親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体の含有量が、前記原料モノマー中の3〜65質量%であることを特徴とする請求項1記載の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  3. 前記親水性官能基または活性水素基を有する不飽和単量体が、水溶性であることを特徴とする請求項1または2記載の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  4. さらに、重合条件下では前記原料モノマーと反応しない、炭素原子5個以上、かつ、融点80℃以下の有機化合物の存在下で前記溶液重合を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  5. 前記有機化合物が、前記媒体に対して1〜50質量%存在することを特徴とする請求項4項記載の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  6. 前記有機化合物が、疎水性化合物であることを特徴とする請求項4または5記載の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  7. 前記有機化合物が、炭化水素化合物およびシロキサン化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項記載の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  8. 前記炭化水素化合物が、脂鎖式炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類およびオイル類から選ばれる少なくとも1種であり、前記シロキサン化合物が、有機ポリシロキサンであることを特徴とする請求項7記載の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  9. 前記2個以上の不飽和二重結合を有する単量体が、ジビニルベンゼンおよびジ(メタ)アクリル酸エステル系モノマーから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  10. 前記親水性官能基または活性水素基が、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、カルボニル基、エーテル基、シアノ基、アミド基、スルホン酸基、リン酸基、第4級アンモニウム(塩)基、およびアルキレンオキサイド基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  11. 前記原料モノマーが、3種類以上の単量体を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  12. 前記溶液重合が、分散重合または沈殿重合であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の架橋球状ポリマー微粒子の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法により得られ、
    ゼータ電位A(mV)の絶対値│A│が、25以上であることを特徴とする架橋球状ポリマー微粒子。
  14. 前記ゼータ電位A(mV)が、マイナスであることを特徴とする請求項13記載の架橋球状ポリマー微粒子。
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