〔A.コアシェル型粒子〕
本発明のコアシェル型粒子は、コア部(A)とシェル部(B)とを有するコアシェル型粒子である。
本発明のコアシェル型粒子は、コア部(A)およびシェル部(B)が、それぞれ特徴ある原料および製造方法を用いて形成されている。したがって、本発明のコアシェル型粒子は、各種用途において様々な機能を発現し得る新規なコアシェル型粒子である。特に、コア部(A)およびシェル部(B)の特徴的な形状や組成などに起因して、本発明のコアシェル型粒子は特徴ある光学特性を発現できるので、光拡散剤や光拡散媒体などの光学分野に好ましく適用可能である。
≪A−1.コア部(A)を形成するための工程(I)≫
コア部(A)は、重合性モノマー(M1)の重合反応を行う工程(I)によって形成される。
重合性モノマー(M1)には、芳香族系モノマーが50重量%を超えて含まれている。重合性モノマー(M1)中の芳香族系モノマーの含有割合は、好ましくは51〜100重量%、より好ましくは55〜100重量%、さらに好ましくは60〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%、最も好ましくは80〜100重量%である。重合性モノマー(M1)中の芳香族系モノマーの含有割合が50重量%以下の場合、本発明のコアシェル型粒子は光拡散剤や光拡散媒体などの光学分野に適用することが困難となるおそれがある。具体的には、本発明のコアシェル型粒子を光拡散剤として用い、光拡散媒体としての光拡散フィルムを作製してバックライトに組み込んだ場合に、光源形状を十分に消失させることができないおそれがある。
上記芳香族系モノマーとしては、分子内に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を含有する芳香族化合物であれば、任意の適切な化合物を採用し得る。好ましくは、スチレン系モノマーである。スチレン系モノマーとしては、スチレン、ビニル基置換スチレン、アルキル置換スチレン、ハロゲン置換スチレンなどが挙げられ、具体的には、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレンなどが挙げられる。
上記重合性モノマー(M1)に含有し得る他の重合性モノマー(M3)としては、芳香族系モノマー以外の、分子内に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を含有する化合物であれば、任意の適切な重合性モノマーを採用し得る。
上記他の重合性モノマー(M3)としては、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体類;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、等のポリエチレングリコール成分を有する単量体類;(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等のアルキル(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタンフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロアミル(メタ)アクリレート等のフッ素原子含有(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;等が挙げられる。これらは1種のみで用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記他の重合性モノマー(M3)として、架橋性モノマーを用いても良い。架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレートおよびその異性体、トリアリルイソシアヌレートおよびその誘導体、等が挙げられる。これらは1種のみで用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記重合性モノマー(M1)の重合反応としては、該重合反応を行うことにより粒子状のコア部(A)を形成するものであれば、任意の適切な重合方法を採用し得る。このような重合方法としては、好ましくは、下記の2つの方法が挙げられる。
(方法1)重合性モノマー(M1)を懸濁重合法により重合して粒子状のコア部(A)を形成する方法。
(方法2)任意の適切な粒子と重合性モノマー(M1)とを混合した後に重合して粒子状のコア部(A)を形成する方法。
上記方法1においては、任意の適切な懸濁重合法を採用して粒子状のコア部(A)を形成すれば良い。懸濁重合法において用いられる溶媒としては、重合性モノマー(M1)を完全に溶解しないものであれば、任意の適切な溶媒を採用し得る。このような溶媒としては、好ましくは、水系溶媒が用いられる。上記溶媒は、重合性モノマー(M1)100重量部に対して、好ましくは20〜1000重量部の範囲内で用い得る。懸濁重合法による粒子の製造方法としては、上記重合性モノマー(M1)と重合開始剤とを含有するモノマー組成物を、分散安定剤を溶解または分散させた水系溶媒に懸濁させて重合する方法が、好適に用いられる。
上記重合開始剤としては、通常、重合反応に用い得るものであれば、任意の適切な重合開始剤を用い得る。このような重合開始剤としては、例えば、過酸化物系開始剤やアゾ系開始剤などを用い得る。
上記過酸化物系開始剤としては、過酸化水素、過酢酸、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
上記アゾ系開始剤としては、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。
上記重合開始剤は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。上記重合開始剤の添加量は、重合性モノマー(M1)100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。
上記分散安定剤は、重合反応前におけるモノマー組成物の液滴の安定化、重合反応段階における生成粒子の安定化を図るために使用される。上記分散安定剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを用いても良い。上記分散安定剤は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。上記分散安定剤としては、特に、アニオン性界面活性剤が好適である。このようなアニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等のポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アルキルリン酸エステル塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩;などが挙げられる。
上記分散安定剤の使用量は、重合性モノマー(M1)の総量に対して、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、さらに好ましくは1〜3重量%である。
上記モノマー組成物中には、顔料、可塑剤、重合安定剤、蛍光増白剤、磁性粉、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等の添加剤が含まれていても良い。これらの添加剤の使用量は、重合性モノマー(M1)の総量に対して、好ましくは0.01〜10重量%である。
上記懸濁重合法における重合温度は、好ましくは50〜95℃であり、より好ましくは55〜90℃であり、さらに好ましくは60〜85℃である。
上記懸濁重合法における重合反応時間は、好ましくは1〜10時間であり、より好ましくは2〜8時間であり、さらに好ましくは2〜5時間である。
上記懸濁重合法において、生成する重合体粒子の粒子径をコントロールするため、モノマー組成物の液滴径の規制を行った後あるいは液滴径の規制を行いながら重合反応を行うことが好ましい。上記液滴径の規制は、例えば、モノマー組成物を水性媒体に分散させた懸濁液を、T.K.ホモミキサー、ラインミキサー等の高速撹拌機によって撹拌することにより行うことができる。
上記懸濁重合法において、重合反応により生成した重合体粒子は、乾燥工程や、さらに必要であれば分級工程に供しても良い。上記乾燥工程における乾燥温度は、好ましくは150℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、さらに好ましくは100℃以下である。
上記懸濁重合法により、好ましくは、平均粒子径0.5〜90μm、粒子径の変動係数が40%以下の、重合性モノマー(M1)の組成を有するコア粒子が分散した水性分散体が得られる。
上記方法2においては、重合性モノマー(M1)と混合させる粒子として、該粒子に重合性モノマー(M1)が吸収される性質を有する粒子を採用する。
重合性モノマー(M1)と混合させる粒子として、重合性有機基を有する加水分解性シリコン化合物を必須として含むシリコン化合物群を加水分解および縮合して得られる重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)、上述した芳香族モノマー、上述した他の重合性モノマー(M3)、あるいはこれらの混合物を重合してなる、非架橋もしくは架橋度の低い有機系微粒子を採用することが好ましい。
上記有機系微粒子を採用する方法の好ましい形態は、従来公知の、ポリスチレン粒子などをシードとするシード重合が挙げられ、シードとなる有機系微粒子の水性懸濁体に、重合性モノマー(M1)を混合した後、ラジカル重合させる方法である。有機系微粒子を構成するモノマーと混合する重合性モノマー(M1)との全モノマー組成が重合性モノマー(M1)の組成となるように調整することが好ましい。通常、シードとなる有機系微粒子は、芳香族モノマー、特に、スチレン系モノマーを主成分とすることが好ましい。ラジカル重合の方法や条件は、上述した懸濁重合法において説明したものと同様のものを採用し得る。
上記シード重合により、好ましくは、平均粒子径0.5〜90μm、粒子径の変動係数が40%以下の、重合性モノマー(M1)の組成を有するコア粒子が分散した水性分散体が得られる。
重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)とは、無機質部分としてのポリシロキサン骨格と、重合性有機基としての有機質部分とを含んでなる粒子であり、有機質部分中の少なくとも1個の炭素原子が、ポリシロキサン骨格中のケイ素原子と直接化学結合した有機ケイ素原子を分子内に有している。上記ポリシロキサン骨格は、シロキサン単位(Si−O)が連続的に化学結合して網目構造のネットワークを有するものである。
重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)を得る工程では、重合性有機基を有する加水分解性シリコン化合物を必須として含むシリコン化合物群を加水分解および縮合して重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)を得る。
上記シリコン化合物群は、上記重合性有機基を有する加水分解性シリコン化合物を必須として含み、その含有割合は、上記シリコン化合物群100重量%に対して、50〜100重量%が好ましく、60〜100重量%がより好ましく、70〜100重量%がさらに好ましく、80〜100重量%が特に好ましく、90〜100重量%が最も好ましい。上記含有割合が50重量%未満の場合、加水分解および縮合による重合性オルガノポリシロキサン粒子の形成がうまく進行しないおそれがある。
上記重合性有機基を有する加水分解性シリコン化合物としては、具体的には、例えば、一般式(1)で表される化合物およびその誘導体が挙げられる。
(Ra)m(Ra´)m´SiX4−mーm´ ・・・(1)
一般式(1)中、Raは重合性有機基、Ra´は、アルキル基、アリール基、およびアラルキル基から選ばれる少なくとも1種の基であり、重合性有機基以外の他の置換基を有していても良い。一般式(1)中、Xは、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基から選ばれる少なくとも1種の基である。一般式(1)中、mは1から3までの整数、m´は0から2までの整数である。
上記重合性有機基として、好ましくはラジカル重合性二重結合を有する有機基である。上記重合性有機基の好ましい形態としては、例えば、一般式(2)、(3)、(4)で表される重合性有機基が挙げられる。
CH2=C(−Rb)−COORc− ・・・(2)
CH2=C(−Rd)− ・・・(3)
CH2=C(−Re)−Rf− ・・・(4)
一般式(2)中、Rbは水素原子またはメチル基を表し、Rcは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。
一般式(3)中、Rdは水素原子またはメチル基を表す。
一般式(4)中、Reは水素原子またはメチル基を表し、Rfは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。
上記一般式(2)で表される重合性有機基としては、例えば、アクリロキシ基、メタクリロキシ基が挙げられる。上記一般式(2)で表される重合性有機基を有する上記一般式(1)の加水分解性シリコン化合物としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン(または、γ−トリメトキシシリルプロピル−β−メタクリロキシエチルエーテルともいう)、11−メタクリロキシウンデカメチレントリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。これらは1種のみで用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(3)で表される重合性有機基としては、例えば、ビニル基、イソプロペニル基が挙げられる。上記一般式(3)で表される重合性有機基を有する上記一般式(1)の加水分解性シリコン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、4−ビニルテトラメチレントリメトキシシラン、8−ビニルオクタメチレントリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシランが挙げられる。これらは1種のみで用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(4)で表される重合性有機基としては、例えば、1−アルケニル基、ビニルフェニル基、イソアルケニル基、イソプロペニルフェニル基が挙げられる。上記一般式(4)で表される重合性有機基を有する上記一般式(1)の加水分解性シリコン化合物としては、例えば、1−ヘキセニルトリメトキシシラン、1−ヘキセニルトリエトキシシラン、1−オクテニルトリメトキシシラン、1−デセニルトリメトキシシラン、γ−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、ω−トリメトキシシリルウンデカン酸ビニルエステル、p−トリメトキシシリルスチレン、p−トリエトキシシリルスチレン、p−トリメトキシシリル−α−メチルスチレン、p−トリエトキシシリル−α−メチルスチレン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩、1−ヘキセニルメチルジメトキシシラン、1−ヘキセニルメチルジエトキシシランが挙げられる。これらは1種のみで用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記シリコン化合物群は、上記重合性有機基を有する加水分解性シリコン化合物以外のシリコン化合物(他のシリコン化合物と称する)を含んでいても良い。
他のシリコン化合物としては、具体的には、例えば、上記一般式(1)で表される化合物およびその誘導体が挙げられる。ここで、他のシリコン化合物が一般式(1)で表される場合は、一般式(1)中、Raは、アルキル基、アリール基、アラルキル基、および不飽和脂肪族基から選ばれる少なくとも1種の基であり、重合性有機基を有しておらず、その他の置換基を有していてもよい。一般式(1)中、Xは、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基から選ばれる少なくとも1種の基である。一般式(1)中、mは0から3までの整数である。
他のシリコン化合物としては、具体的には、例えば、一般式(1)におけるm=0のものとして、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどの4官能性シラン;一般式(1)におけるm=1のものとして、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどの3官能性シラン;一般式(1)におけるm=2のものとして、ジメチルシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニルシランジオールなどの2官能性シラン;一般式(1)におけるm=3のものとして、トリメチル、トリメチルエトキシシラン、トリメチルシラノールなどの1官能性シラン;などが挙げられる。これらは1種のみで用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(1)で表されるシリコン化合物の誘導体としては、具体的には、例えば、該シリコン化合物が有するアルコキシ基の少なくとも1つがβ−ジカルボニル基および/または他のキレート化合物を形成し得る基で置換された化合物、上記一般式(1)で表されるシリコン化合物および/またはそのキレート化合物を部分的に加水分解・縮合して得られた低縮合物が挙げられる。
本発明における重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)は、重合性有機基を有する加水分解性シリコン化合物を必須として含む上記シリコン化合物群を加水分解および縮合して得られる。上記加水分解および縮合は、好ましくは、水を含む溶媒中で行う。
上記加水分解および縮合については、一括、分割、連続等、任意の適切な方法を採用し得る。加水分解および縮合をさせるにあたり、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の触媒を用いてもよい。また、溶媒中には、水や触媒以外に有機溶剤が存在していても良い。
上記有機溶剤としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタン、シクロヘキサン等の(シクロ)パラフィン類;ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;などが挙げられる。これらは、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記加水分解および縮合は、例えば、上記シリコン化合物群および有機溶剤等を、水を含む溶媒に添加し、好ましくは0〜100℃、より好ましくは0〜70℃の温度範囲で、好ましくは30分〜100時間攪拌することによって行う。
重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)を得るにあたり、上記のようにして得られた粒子を1次粒子として、これを種粒子として予め合成系に仕込んでおき、そこに上記シリコン化合物群をさらに添加して上記種粒子を成長させることにより、2次粒子として得ることもできる。同様に繰り返して、3次粒子以上とすることもできる。
上記のようにして、上記シリコン化合物群を、溶媒中で、任意の適切な条件下で、加水分解および縮合させることにより、粒子が析出しスラリーが生成する。
上記加水分解および縮合を行うにあたっての任意の適切な条件は、例えば、得られたスラリーにおいて、上記一般式(1)で表されるシリコン化合物の濃度が20重量%以下、水濃度が50%以上、触媒濃度が10重量%以下となるような条件が好ましい。
上記加水分解および縮合を行うにあたっての任意の適切な条件は、より好ましくは、水濃度が50〜99.99重量%、触媒濃度が0.01〜10重量%、有機溶剤濃度が0〜90重量%、上記シリコン化合物群の濃度が0.1〜30重量%、上記シリコン化合物群の添加時間が0.001〜500時間、反応温度が0〜100℃である。
重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)を得るにあたり、上記のように2次粒子以上の粒子を得る場合には、上記種粒子の濃度は15重量%以下が好ましい。
上記方法2において、重合性モノマー(M1)と重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)とを混合した後に重合して粒子状のコア部(A)を形成する場合は、重合性モノマー(M1)を乳化分散させたエマルションを重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)と混合することが好ましい。混合の形態としては、任意の適切な形態を採用し得る。例えば、一括添加、分割添加、連続添加が挙げられる。
重合性モノマー(M1)を乳化分散させたエマルションを調製する際には乳化剤を用いることが好ましい。乳化剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、分子中に1個以上の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する重合性界面活性剤等がある。これらの中でも、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤は、分散状態をより十分に安定化させることができるので好ましい。これら乳化剤は、1種のみで用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記アニオン性界面活性剤としては、任意の適切なアニオン性界面活性剤を採用し得る。具体的には、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサルフェート類;アンモニウムドデシルサルフェート等のアンモニウムアルキルサルフェート類;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート、ナトリウムスルホシノエート、スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩類;スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート類;ナトリウムラウリレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩類;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート類;高級アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;等が挙げられる。
上記カチオン性界面活性剤としては、任意の適切なカチオン性界面活性剤を採用し得る。具体的には、例えば、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート類;高級アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤としては、任意の適切な非イオン界面活性剤を採用し得る。具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド類;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪酸アミン、アミドまたは酸との縮合生成物;等が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、任意の適切な両性界面活性剤を採用し得る。具体的には、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。より具体的には、例えば、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型の両性界面活性剤(例えば、第一工業製薬(株)製の「アモーゲンK」など)が挙げられる。
上記高分子界面活性剤としては、任意の適切な高分子界面活性剤を採用し得る。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドンおよびこれらの重合体の構成単位である重合性単量体の2種以上の共重合体または他の単量体との共重合体、クラウンエーテル類の相関移動触媒等が挙げられる。
上記重合性界面活性剤としては、任意の適切な重合性界面活性剤を採用し得る。具体的には、例えば、プロペニル−2−エチルヘキシルベンゼンスルホコハク酸エステルナトリウム、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル硫酸アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステルのリン酸エステル等のアニオン性重合性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルベンゼンエーテル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(メタ)アクリル酸エステル等のノニオン性の重合性界面活性剤;等が挙げられる。
上記乳化剤の使用量としては、任意の適切な使用量を採用し得る。具体的には、重合性モノマー(M1)の総重量に対して、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。上記乳化剤の使用量が、0.01重量%未満の場合は、安定な乳化分散物が得られないおそれがある。上記乳化剤の使用量が、10重量%を超える場合は、乳化重合等が副反応として併発してしまうおそれがある。
上記乳化剤を用いて重合性モノマー(M1)を乳化分散する際には、ホモミキサーや超音波ホモジナイザー等を用いて水中で乳濁状態とすることが好ましい。
上記乳化剤を用いて重合性モノマー(M1)を乳化分散する際には、重合性モノマー(M1)の総重量に対して0.3〜10倍の水や水溶性有機溶剤を使用することが好ましい。上記水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;などが挙げられる。
上記エマルション中には、ラジカル重合開始剤を含有させておくことが好ましい。上記エマルション中におけるラジカル重合開始剤の量は、重合性モノマー(M1)の総総量に対して、0.01〜10重量%であることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、前述したラジカル重合開始剤と同様のものを使用すれば良い。
上記エマルションを重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)と混合する際の温度は、任意の適切な温度を採用し得る。例えば、0〜60℃の温度範囲が好ましい。
上記エマルションを重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)と混合する際の添加時間は、任意の適切な時間を採用し得る。例えば、0.1〜720分間の時間が好ましい。混合後、好ましくは5〜720分間、より好ましくは20〜240分間、撹拌する。
上記エマルションを重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)と混合する際は、攪拌しながら行うことが好ましい。
重合性モノマー(M1)を乳化分散させたエマルションを重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)と混合することにより、重合性モノマー(M1)が重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)に吸収される。この場合、重合性モノマー(M1)が重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)に吸収されたかどうかの判断は、重合性モノマー(M1)を混合する前および混合した後に、顕微鏡等により粒子を観察し、重合性モノマー(M1)の吸収により粒子径が大きくなっていること等で容易に判断することができる。
重合性モノマー(M1)を乳化分散させたエマルションを重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)と混合する場合には、混合によって重合性モノマー(M1)が重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)に吸収された後に、分散液中の粒子濃度が40重量%以下となっていることが好ましく、30重量%以下となっていることがより好ましく、20重量%以下となっていることがさらに好ましい。上記分散液の粒子濃度が高すぎる場合には、続いて重合反応を行う場合において、重合反応に伴う発熱により温度のコントロールが困難となるおそれがある。上記分散液の粒子濃度が高すぎる場合には、水を添加して希釈することが好ましい。
上記方法2において、重合性モノマー(M1)と重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)とを混合した後に重合する場合の、重合の方法は、任意の適切な重合方法を採用し得る。好ましくは、ラジカル重合による重合方法である。ラジカル重合としては、例えば、ラジカル重合開始剤を用いたラジカル重合、紫外線や放射線を照射することによるラジカル重合、熱を加えることによるラジカル重合が挙げられる。
上記ラジカル重合の重合開始剤、その使用量、上記ラジカル重合を行う際の反応温度や反応時間などの諸条件は、上述した懸濁重合法において説明したものと同様のものを採用し得る。
重合性オルガノポリシロキサン粒子(S1)を用いた方法により、好ましくは、平均粒子径0.5〜90μm、粒子径の変動係数が40%以下の、重合性モノマー(M1)の組成を有するコア粒子が分散した水性分散体が得られる。
≪A−2.シェル部(B)を形成するための工程(II)≫
シェル部(B)は、上記工程(I)で形成されるコア部(A)に、重合性有機基を有する加水分解性シリコン化合物および重合性モノマー(M2)をこの順に添加した後に重合反応を行う工程(II)によって該コア部(A)の外殻に形成される。
上記重合性有機基を有する加水分解性シリコン化合物としては、上記A−1項で説明した重合性有機基を有する加水分解性シリコン化合物を採用し得る。
上記重合性モノマー(M2)には、脂肪族系モノマーが50重量%を超えて含まれている。重合性モノマー(M2)中の脂肪族系モノマーの含有割合は、好ましくは51〜100重量%、より好ましくは55〜100重量%、さらに好ましくは60〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%、最も好ましくは80〜100重量%である。重合性モノマー(M2)中の脂肪族系モノマーの含有割合が50重量%以下の場合、本発明のコアシェル型粒子は光拡散剤や光拡散媒体などの光学分野に適用することが困難となるおそれがある。具体的には、本発明のコアシェル型粒子を光拡散剤として用い、光拡散媒体としての光拡散フィルムを作製してバックライトに組み込んだ場合に、光源形状を十分に消失させることができないおそれがある。
上記脂肪族系モノマーとしては、分子内に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を含有する脂肪族化合物であれば、任意の適切な化合物を採用し得る。上記脂肪族系モノマーとしては、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体類;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、等のポリエチレングリコール成分を有する単量体類;(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等のアルキル(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタンフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロアミル(メタ)アクリレート等のフッ素原子含有(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;等が挙げられる。これらは1種のみで用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記脂肪族系モノマーとして、架橋性モノマーを用いても良い。架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレートおよびその異性体、トリアリルイソシアヌレートおよびその誘導体、等が挙げられる。これらは1種のみで用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
上記重合性モノマー(M2)に含有し得る他の重合性モノマー(M4)としては、脂肪族系モノマー以外の、分子内に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を含有する化合物であれば、任意の適切な重合性モノマーを採用し得る。
上記他の重合性モノマー(M4)としては、具体的には、例えば、スチレン系モノマーである。スチレン系モノマーとしては、スチレン、ビニル基置換スチレン、アルキル置換スチレン、ハロゲン置換スチレンなどが挙げられ、具体的には、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレンなどが挙げられる。これらは1種のみで用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
重合性モノマー(M2)として上記架橋性モノマーが用いられる場合、本発明の効果を十分に発現させる点で、上記加水分解性シリコン化合物および重合性モノマー(M2)の合計量に対する、上記加水分解性シリコン化合物および上記架橋性モノマーの合計量の含有割合は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上である。また、上記加水分解性シリコン化合物および上記架橋性モノマーの合計量に対する、上記加水分解性シリコン化合物の含有割合は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。上記加水分解性シリコン化合物および重合性モノマー(M2)の合計量に対する、上記加水分解性シリコン化合物および上記架橋性モノマーの合計量の含有割合、ならびに、上記加水分解性シリコン化合物および上記架橋性モノマーの合計量に対する、上記加水分解性シリコン化合物の含有割合が上記範囲内に収まれば、シェル部に優れた耐溶剤性を付与することができ、光拡散剤や光拡散媒体として使用した場合に優れた性能を発揮することができる。
上記工程(I)で形成されるコア部(A)に、重合性有機基を有する加水分解性シリコン化合物および重合性モノマー(M2)をこの順に添加した後に重合反応を行う方法としては、上記工程(I)で形成されるコア部(A)が溶媒に分散されてなる分散体に重合性有機基を有する加水分解性シリコン化合物を混合した混合物に、重合性モノマー(M2)を乳化分散させたエマルションを混合することが好ましい。
上記方法における、重合性モノマー(M2)を乳化分散させたエマルションの調製、混合の形態・条件・方法、重合反応の形態・条件・方法については、上記A−1項における方法2の説明が援用される。
≪A−3.コアシェル型粒子≫
本発明のコアシェル型粒子は、コア部(A)とシェル部(B)とを有するコアシェル型粒子であり、該コア部(A)は、上記工程(I)によって形成され、該シェル部(B)は、上記工程(II)によって該コア部(A)の外殻に形成される。
本発明のコアシェル型粒子においては、コア部(A)の屈折率をnc、シェル部(B)の屈折率をnsとすると、好ましくはnc>nsである。より好ましくは、nc≧1.55かつns<1.55である。nc>nsであれば、本発明のコアシェル型粒子を光拡散剤等の光学用途に好適に用いることが可能となる。なお、コア部(A)とシェル部(B)の屈折率は後述の方法により求めることができる。
本発明のコアシェル型粒子においては、好ましくは、シェル部(B)が連続構造であって、断面構造において、コアシェル型粒子の円中心と、コア部(A)の円中心が同一ではない構造を有する。本発明のコアシェル型粒子においては、コア部(A)とシェル部(B)がそれぞれ特定の組成を有しているため、コアシェル構造が、好ましくは上記のような特徴的構造を有することになり、その結果、優れた光学特性を発現し得る。
本発明のコアシェル型粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜100μm、より好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは5〜20μmである。本発明のコアシェル型粒子の平均粒子径が上記範囲を外れると、本発明の効果が十分に発現できないおそれがある。
本発明のコアシェル型粒子においては、粒子径の変動係数(CV値)が、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下である。上記変動係数(CV値)が上記範囲を外れると、本発明の効果が十分に発現できないおそれがある。
本発明のコアシェル型粒子は、光拡散剤や光拡散媒体などの光学用途に特に有用である。しかし、用途は限定されることなく、コアシェル構造に基づき、例えば、導電性微粒子用の基材、液晶表示素子用スペーサー、アンチブロッキング剤などの、従来、樹脂粒子、無機粒子が使用されている各種用途分野で採用し得る。
〔B.光拡散剤、光拡散媒体〕
本発明の光拡散剤は、本発明のコアシェル型粒子からなる。本発明の光拡散媒体は、本発明のコアシェル型粒子を含む。
本発明の光拡散媒体は、本発明のコアシェル型粒子以外に、好ましくはマトリクス樹脂を含む。また、本発明の光拡散媒体は、溶剤、硬化剤、架橋剤、硬化触媒、顔料、染料、可塑剤、分散剤、重合安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤など、他の任意の適切な添加剤を含んでいても良い。上記マトリクス樹脂や添加剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
本発明の光拡散媒体中における本発明のコアシェル型粒子の含有割合は、用いる目的に応じて任意に適宜設定し得る。例えば、1〜90重量%である。
上記マトリクス樹脂としては、目的に応じて、任意の適切な樹脂を採用し得る。上記マトリクス樹脂としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロへキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルシクロへキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ステアリル、および(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等から選択された一種または二種以上の共重合体である(メタ)アクリル系樹脂;(メタ)アクリルウレタン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;メラミン系樹脂;スチレン系樹脂;アルキド系樹脂;フェノール系樹脂;エポキシ系樹脂;ポリエステル系樹脂;(メタ)アクリルシリコーン系樹脂、アルキルポリシロキサン系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーンアルキド系樹脂、シリコーンウレタン系樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、シリコーンアクリル系樹脂等の変性シリコーン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィンビニルエーテルポリマー等のフッ素系樹脂;などが挙げられる。これらの樹脂は、熱硬化性樹脂、温気硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の硬化性樹脂であっても良い。
上記マトリクス樹脂としては、上記に例示した樹脂と共に、例えば、エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等の有機系バインダー樹脂;シリカゾル、アルカリ珪酸塩、シリコンアルコキシド、これらの縮合物、リン酸塩等の無機系結着剤;などを用いても良い。また、上記マトリクス樹脂には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレートなどの、水酸基を含有する重合性不飽和単量体が繰り返し単位として含有されていても良い。上記水酸基を含有する重合性不飽和単量体と多官能性イソシアネート化合物とが上記マトリクス樹脂に含有されていると、多官能性イソシアネート化合物と水酸基を有する成分とで架橋構造が形成されるので、上記マトリクス樹脂の耐湿性、可撓性、耐久性などの特性がさらに向上する。
上記溶剤としては、目的に応じて、任意の適切な溶剤を採用し得る。溶剤を用いると、光拡散媒体の塗工が容易になる。上記溶剤としては、具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤;イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のアルコール系溶剤;酢酸ブチル、酢酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド;などが挙げられる。
本発明の光拡散媒体を用いて製造し得る光学部材としては、例えば、本発明の光拡散媒体のみで成形された光学部材(例えば、光拡散板など);透明のシートと該シート表面に本発明の光拡散媒体で形成された光拡散層とを有する光学部材(例えば、光拡散フィルムなど);等が挙げられる。
図1は、本発明の光拡散媒体のみで形成された光学部材の一例を表す断面図である。図1に示す光学部材1は、フィルムまたは板状であって、マトリクス樹脂2中に本発明のコアシェル型粒子3が分散している。コアシェル型粒子3が光を拡散する。光学部材1の厚み、大きさは、その用途に応じて適宜に定められる。光学部材1の表面に凹凸が形成されていてもよいし、その表面が平坦であってもよい。凹凸が形成されている場合、光学部材1の光拡散性が向上するので好ましい。なお、本発明の光拡散媒体を押出成形、射出成形、キャスト成形等すれば光学部材1を製造できる。
図2は、透明シートと、該シート表面に本発明の光拡散媒体により形成された光拡散層とを有する光学部材の一例を表す断面図である。図2に示す光学部材5は、基材シート8と、該基材シート8の表面に形成された光拡散層Aとを有するものである。光拡散層Aは、本発明の光拡散媒体の層を含む。光拡散層Aは、マトリクス樹脂6中に本発明のコアシェル型粒子7が分散している。
基材シート8は、一般的な光学部材用シートから選択すると良い。このシートの材質としては、例えば、ガラス;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;トリアセチルセルロース;シクロポリオレフィン、非晶質ポリオレフィン等のオレフィン系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ラクトン環を有する(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル樹脂系ポリマー;ポリスチレン;ポリカーボネート;ブチラール樹脂等のポリビニルアセタール;ポリアリールエーテル系樹脂;等が挙げられる。熱収縮による反り、可撓性、剛直性、機械的強度等の要求特性に応じて基材シートの厚みが定められる。光学部材5をフィルム状にする場合、熱収縮に起因する反り等を抑制するとともに、取り扱い性および強度を高める観点から、基材シート8の下限値は、10μm以上であると好ましい。一方、光学部材5をフィルム状にする場合の基材シート8の厚みは、300μm未満が通常である。また、光学部材5を板状とする場合の基材シート8の厚みは、基材シート8自体が撓まず且つ光学部材5が撓むことが無い程度であると良く、0.3mm以上、10mm以下が通常である。
基材シート8のヘイズは、好ましくは0%以上、20%以下、より好ましくは0%以上、10%以下、さらに好ましくは0%以上、5%以下である。また、基材シートの全光線透過率は、好ましくは70%以上、100%以下、より好ましくは80%以上、100%以下である。なお、ヘイズおよび全光線透過率は、日本電色工業社製「NDH−1001DP」等の濁度計を用いて、JIS K7105に準拠した測定法により測定した値である。
本発明の光拡散媒体を基材シートに塗布後、乾燥させれば、光拡散層Aを形成できる。この光拡散層Aは、入射した光を充分に拡散する機能を有する。光拡散層Aの厚さは、1μm〜100μmが一般的である。光拡散層Aが1μm未満であると、光拡散層Aに入射した光を充分に拡散させることができないことがあり、光拡散層Aの厚さが100μmを超えると、光拡散層を通過する光量が減少する場合がある。光拡散層Aは、単層および2層以上の何れであっても良く、2層以上である場合には、少なくとも一層が本発明の光拡散媒体で形成されていれば良い。
光拡散層Aの厚みは、光学部材1において、任意に選択した5箇所における光拡散層Aの厚みを測定し、それらの平均値を光拡散層Aの厚みとする。具体的には、光学部材1の一部をエポキシ系樹脂で包埋、固化した後、ミクロトームで光学部材1の断面方向に薄片状に切断し、これを試料として透過型電子顕微鏡で観察する。そして、電子顕微鏡像における光拡散層Aの厚みを測定し、測定値の平均値を光拡散層Aの厚みとする。
光拡散層Aの表面に凹凸が形成されていても良いし、その表面が平坦であっても良い。光拡散層Aの表面に凹凸がある場合、光拡散層Aの表面に形成される凸部の少なくとも一部が、本発明のコアシェル型粒子7の存在に基づくものであることが好ましい。
本発明の光拡散媒体のみで成形された光学部材および光拡散層を有する光学部材は、例えば、携帯電話、PDA端末、デジタルカメラ、テレビ、コンピュータなどにおける液晶表示装置のバックライトユニットの構成部材として使用される。液晶表示パネルの背後にバックライトユニットが配置され、このバックライトユニットからの光が照射されると液晶表示パネルに画像が表示される。また、プラズマ表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置などの視野角を拡大する用途などに、その光学部材を使用できる。
図3は、バックライトユニットの構成例を表す分解図であり、図の上方向に液晶パネルが配設される。バックライトユニット9は、光源13と、光源13から下方向に出射した光を上方向に反射する役割を果たす反射シート14と、光源13からの光を拡散する光拡散板12と、光拡散板12を通過した光をさらに拡散する光拡散フィルム11と、光拡散フィルム11を通過した光を正面方向に集光するプリズムシート10と、を備える。なお、図3に表したバックライトユニット9は、公知のバックライトユニットの一例を表したものにすぎず、公知のバックライトユニットでは、複数枚の光拡散フィルムが用いられるのが通常である。
本発明の光拡散媒体のみで成形された光学部材および光拡散層を有する光学部材のいずれも、その厚み、寸法、構成部材を適宜に定めることにより、バックライトユニット等の構成部材に適用できる光拡散フィルム、光拡散板に使用できる。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。また、「重量%」を「wt%」と記すことがある。また、本明細書において、「重量」とあるのは、「質量」と読み替えても良い。なお、各種評価は下記のように行った。
<コアシェル型粒子におけるコア部、シェル部の屈折率の測定>
コア部重合後の粒子を用いて屈折率測定を行った値をコア部屈折率とした。また、シェル部成分のみで得られた粒子を用いて屈折率測定を行った値をシェル部屈折率とした。
屈折率の測定は下記の方法で行った。
粒子0.5gを二硫化炭素40gに分散させて粒子分散液を調製した。次いで、スターラーを用いて粒子分散液を撹拌しながら、この粒子分散液にエタノールを滴下していき、粒子分散液が目視で透明と判断されるまでに滴下したエタノールの重量と二硫化炭素の重量(40g)から、粒子分散液が目視で透明と判断された時点でのエタノール/二硫化炭素(重量比)に相当する二硫化炭素−エタノール混合液を調製し、この混合液の屈折率をアッベ屈折計(アタゴ社製、NAR−IT)にて測定し、得られた値を粒子の屈折率とした。
<正面輝度>
光源として、液晶テレビ(Wooo UT32−HV700、日立製作所製)のバックライトユニットおよびそれに設置されていた光拡散板とプリズムシートを用いた。光拡散板の上にプリズムシートを1枚重ね、その中央に、実施例・比較例で得られた光拡散フィルムを設置し、試験片から50cm離れた位置に分光放射計(SR−3A、(株)トプコン社製)を固定し、輝度を測定した。
<光源形状>
正面輝度測定時、目視にて光源の形状の状況を観察し、下記のように○、△、×で評価した。
○:光源形状が確認できなかったもの
△:光源形状がぼやけたものとして確認されたもの
×:光源形状がはっきりと確認されたもの
〔実施例1〕:コアシェル型粒子の合成
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水804部、25%アンモニア水1.2部、メタノール336部を入れ、攪拌しながらこの溶液に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン100部とメタノール59部の混合液を滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解・縮合を行って、オルガノポリシロキサン粒子を調製した。反応開始から1時間後、得られたオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、コールターマルチライザー(ベックマンコールター社製)により粒子径を測定したところ、平均粒子径は2.98μmであった。
次いで、乳化剤として20%ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)水溶液1.75部をイオン交換水70部で溶解した溶液に、スチレン70部、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)3.4部を溶解した溶液を加え、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により6000rpmで5分間乳化分散させてモノマーエマルションを調製し、得られたモノマーエマルションをオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から2時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、粒子が肥大化していることが確認された。
次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し、ラジカル重合を行い、コア部粒子の重合体を得た。重合後の反応液をサンプリングし、コールターマルチナイザー(ベックマンコールター社製)により粒子径を測定したところ、コア部粒子の平均粒子径は3.76μmであった。
次いで、冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、上記重合後の反応液を300部、イオン交換水を600部入れ、撹拌しながら、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン7.0部を添加し、さらに2時間撹拌後、得られた乳濁液をサンプリングし、コールターマルチナイザー(ベックマンコールター社製)により粒子径を測定したところ、平均粒子径は4.19μmであった。
次いで、乳化剤として20%ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)水溶液1.75部をイオン交換水70部で溶解した溶液に、メチルメタクリレート52.5部、エチレングリコールジメタクリレート17.5部、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)1.55部を溶解した溶液を加え、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により6000rpmで5分間乳化分散させてモノマーエマルションを調製し、得られたモノマーエマルションをフラスコ中に添加して、さらに2時間撹拌を行った。
次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し、ラジカル重合を行った。重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄し、さらに80℃で12時間真空乾燥させて、コアシェル型微粒子(1)を得た。
コアシェル型微粒子(1)の粒子径をコールターマルチライザー(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は7.05μm、変動係数(CV)は4.1%であった。
コア部の屈折率は、上記コア部粒子の重合体の乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄し、さらに80℃で12時間真空乾燥させたものを用いて測定を行ったところ、1.585であった。また、シェル部の組成は後述の比較例1と同一組成であり、その屈折率は1.517であった。
コアシェル型微粒子(1)の電解放射型電子顕微鏡による断面の透過電子像を図4に示す。
〔比較例1〕:均一組成のメタクリル架橋粒子の合成
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水804部、25%アンモニア水1.2部、メタノール336部を入れ、攪拌しながらこの溶液に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン70部とメタノール59部の混合液を滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解・縮合を行って、オルガノポリシロキサン粒子を調製した。反応開始から1時間後、得られたオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、コールターマルチライザー(ベックマンコールター社製)により粒子径を測定したところ、平均粒子径は2.67μmであった。
次いで、乳化剤として20%ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)水溶液17.5部をイオン交換水700部で溶解した溶液に、メチルメタクリレート525部、エチレングリコールジメタクリレート175部、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)15.4部を溶解した溶液を加え、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により6000rpmで5分間乳化分散させてモノマーエマルションを調製し、得られたモノマーエマルションをオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から2時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、粒子が肥大化していることが確認された。
次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し、ラジカル重合を行った。重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄し、さらに80℃で12時間真空乾燥させて、比較用微粒子(C1)を得た。
比較用微粒子(C1)の粒子径をコールターマルチライザー(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は7.08μm、変動係数(CV)は4.3%であった。また、比較用微粒子(C1)の屈折率は1.517であった。
〔実施例2〕
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製、コスモシャインA−4300)を基材フィルムとして使用した。下記の組成の光拡散インキをバーコーターにより基材フィルムの片面に塗布することにより、光拡散フィルム(1)を形成した。
(光拡散インキ組成)
アクリル樹脂(株式会社日本触媒製、ユーダブルS−2840) 100部
実施例1で得られたコアシェル型微粒子(1) 120部
イソシアネート(住友バイエルウレタン(株)製、デスモジュールN−3200)
10部
トルエン 80部
得られた光拡散フィルム(1)の輝度は8570cd/m2であり、光源形状は確認されなかった。結果を表1に示した。
〔比較例2〕
実施例1で得られたコアシェル型微粒子(1)の代わりに比較例1で得られた比較用微粒子(C1)を用いた以外は、実施例2と同様に行い、光拡散フィルム(C1)を形成した。
得られた光拡散フィルム(C1)の輝度は8430cd/m2であり、光源形状はぼやけたものとして確認された。結果を表1に示した。