JP2011105909A - 異形樹脂粒子の製造方法、異形樹脂粒子及び光拡散性材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単官能ビニルモノマー100重量部、多官能ビニルモノマー1〜40重量部及びメタクリル変性シリコーンオイル系ビニルモノマー1〜100重量部を、水性媒体中で、疎水性液体の非存在下に重合させることを特徴とする異形樹脂粒子の製造方法により課題を解決する。
【選択図】図2
Description
さらに本発明によれば、前記異形樹脂粒子を含む光拡散性材料も提供される。
本発明においては、特定のメタクリル変性シリコーンオイル系ビニルモノマーを用いることにより、異形樹脂粒子をより容易に製造することができる。
他方、単官能ビニルモノマーとして(メタ)アクリル系単官能ビニルモノマー及びスチレン系単官能ビニルモノマーのいずれか1つを用い、多官能ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル系多官能ビニルモノマー及びスチレン系多官能ビニルモノマーのいずれか1つを用いることにより、さらに安定に異形樹脂粒子を製造することができる。
また、単官能ビニルモノマー、多官能ビニルモノマー及びメタクリル変性シリコーンオイル系ビニルモノマーの使用量を調整することにより、異形樹脂粒子表面に2以上の凹部を有する異形樹脂粒子又は中央に1つの凹部を有するおわん型の異形樹脂粒子を容易に作り分けることができる。
また本発明の製造方法により、優れた吸油量を有する異形樹脂粒子を得ることができる。
他方、本発明の製造方法により、凹部の平均直径が極めて大きなおわん型の異形樹脂粒子を容易に得ることもできる。
また本発明によれば、優れた光拡散性を有する光拡散性材料も提供される。
以下に本発明の異形樹脂粒子の製造方法について説明する。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単官能ビニルモノマー;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アリルアルコール、ビニルピリジン、安息香酸ビニル、安息香酸アリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
本発明においては、(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルを意味する。
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート系多官能ビニルモノマー;
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート系多官能ビニルモノマー;
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート等のジメタクリレート系多官能ビニルモノマー;
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート系多官能ビニルモノマー;
ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のスチレン系多官能ビニルモノマー;
メチレンビスアクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、クロトン酸ビニル等が挙げられる。
(式中、Rはアルキレン基であり、R’はアルキル基であり、nは5〜350である)
のメタクリル変性シリコーンオイル系ビニルモノマーがより好ましい。
他方、前記nの値が、5より小さい場合又は350より大きい場合、異形樹脂粒子を得ることができないことがある。
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。なお、重合系、製品へ悪影響を与えない限り、1種又は2種以上の重合性開始剤を使用することができる。
他方、水性媒体は、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム等の水系重合禁止剤、食塩、硫酸アンモニウム等の塩析剤、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸マグネシウム等の凝集禁止剤、無機酸、有機酸、塩基性化合物等のpH調整剤、シリコン系消泡剤、鉱物油系泡消剤等の消泡剤等の添加剤を適宜含んでいてもよい。
本発明において、疎水性液体とは、水性媒体への溶解性をほとんど示さない液体を意味し、具体的には、従来異形樹脂粒子を製造するのに必要であった流動パラフィン、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン等の炭化水素、エステル類、エーテル類、シリコーン油、動物油、植物油等を意味する。
また、本発明において、非存在下とは、得られる異形樹脂粒子の形状、吸油性、光拡散性等の物性及び製造方法等に影響を与えない程度に存在しないことを意味する。よって、前記物性及び製造方法に影響を与えないような極少量の疎水性液体は、本発明の製造方法に含まれていてもよい。
また、単官能ビニルモノマー100重量部に対して、水性媒体が、好ましくは100〜
2000重量部、より好ましくは150〜1000重量部使用される。2000重量部より多い場合、製造コスト面で問題となることがあり、一方100重量部より少ない場合、重合時に過度な発熱、圧力上昇等を起こすことがある。
<異形樹脂粒子の吸油性>
JIS K 5101の方法で異形樹脂粒子の吸油量の測定を行う。詳細は以下の通りである。
・装置及び器具
測定板 300×400×5mmより大きい平滑なガラス板。
ヘラ 鋼製又はステンレス製の刃を持った柄つきのもの。
計量器 10mgオーダーまで計れるもの。
ビュレット JIS R 3505に規定するもので、10mlまでのもの。
・材料
アマニ油(JIS K 5421に規定するもの;今回は特級アマニ油(和光純薬社製)を用いる)
(1)以下の操作を行う前に、予備試験により予め吸油量の概略値を確認する。
(2)異形樹脂粒子1gを測定板上の中央部に取り、アマニ油をビュレットから一回に4、5滴ずつ、徐々に異形樹脂粒子の中央に滴下し、その都度全体をヘラで充分練り合わせる。
(3)滴下及び練り合わせを繰り返し、全体が固いパテ状の塊になったら1滴ごとに練り合わせて、最後の1滴で、ヘラを用いてらせん状に巻くことのできる状態になったときを終点とする。但し、らせん状に巻くことができない場合は、アマニ油の1滴で急激に軟らかくなる直前を終点とする。
(4)終点までの操作時間が7〜15分間になるように(1)及び(2)の操作を調節する。
(5)終点に達したときの、ビュレットのアマニ油の滴下量を読み取る。
吸油量は下式により算出する。
O=(V/m)×100
O : 吸油量(ml/100g)
m : 異形樹脂粒子の質量(g)
V : 滴下したアマニ油の容量(ml)
本発明においては、吸油量の値が80ml/100g以上の場合、合格(○)と判定する。
本発明の異形樹脂粒子の平均粒子径は、電気抵抗法によって測定されるものであり、具体的には、以下のようにして測定する。
まず、アパチャー(細孔)の両側に電極が配設されたアパチャー・チューブを、測定対象となる異形樹脂粒子が電解液中に懸濁されてなる懸濁液中に浸漬した状態とする。次いで、前記アパチャー・チューブの電極間に前記懸濁液を介して電流を流し、電極間の電気抵抗を測定する。懸濁液中の異形樹脂粒子が吸引されてアパチャーを通過するときに粒子体積に相当する電解液が置換されて、電極間の電気抵抗に変化が生じる。この電気抵抗の変化量は粒子の大きさに比例することから、前記電気抵抗の変化量を電圧パルスに変換して増幅、検出することによって粒子体積を算出することができ、この算出された粒子体積に相当する真球の直径を異形樹脂粒子の粒子径とする。
おわん型異形樹脂粒子の底部の直径D、底部から凸状表面の先端までの厚みH、凸状表面に対応する内径dは以下のようにして測定する(図4参照)。
走査型電子顕微鏡JSM−6360LV(日本電子社製)を用い5,000〜10,000倍で任意の40個のおわん型異形樹脂粒子を観察し、各部位を測定してその平均値を直径D、厚みH、内径dとする。
1)粒子平面形状の径を測定し、その最長径を底部の直径Dとする。
2)直径Dを中心にもつ面を底部としその面からの法線の最長径を厚みHとする。
3)直径D上の2つの頂点間距離を内径dとする。
異形樹脂粒子を含む光拡散性材料の光拡散性等の光学特性は、全光線透過率及びヘイズの値により評価する。全光線透過率はJIS K 7361により測定する。具体的には日本電色工業株式会社製、NDH−2000を使用する。ヘイズはJIS K 7136により測定し、具体的には日本電色工業株式会社製のNDH−2000を使用する。
全光線透過率及びヘイズの値は、それぞれ91%以上、93%以上が好ましい。
脱イオン水1000重量部に対してピロリン酸マグネシウム15重量部を分散させた水性媒体を、攪拌機、温度計を備えた2L重合器に加え、さらにラウリル硫酸ナトリウム0.02重量部を加えた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル260重量部(単官能ビニルモノマー)、エチレングリコールジメタクリレート40重量部(多官能ビニルモノマー)、メタクリル変性シリコーンオイル40重量部(メタクリル変性シリコーンオイル系ビニルモノマー、信越化学工業社製、製品名X−22−174DX)及びアゾビスイソブチロニトリル0.9重量部(重合性開始剤)からなる混合液を重合器中に加えた。次いで、混合液を、T.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)で水性媒体中に分散することにより、10μm程度の液滴径の懸濁液を調製した。攪拌機で攪拌しながら、懸濁液を65℃に加熱し6時間重合を行った後、100℃に昇温し、2時間加熱し、室温(約20℃)まで冷却した。得られた懸濁液を濾過、洗浄、乾燥して異形樹脂粒子を得た。
得られた異形樹脂粒子の平均粒子径は10μmであった。
また、異形樹脂粒子はおわん型異形樹脂粒子であり、その直径Dは13μmであり、比D/Hは1.7であり、内径dは7.5μmであった。
メタクリル酸メチル165重量部、エチレングリコールジメタクリレート5重量部及びメタクリル変性シリコーンオイル150重量部(信越化学工業社製、製品名X−22−2426)とした以外は実施例1と同様に実施した。
また、異形樹脂粒子は凹凸型異形樹脂粒子であった。
異形樹脂粒子の吸油量並びに光拡散性材料の全光線透過率及びヘイズの測定結果は表1に示している。
メタクリル酸メチル250重量部、エチレングリコールジメタクリレート50重量部及びメタクリル変性シリコーンオイル65重量部(信越化学工業社製、製品名X−22−2426)とした以外は実施例1と同様に実施した。
また、異形樹脂粒子は凹凸型異形樹脂粒子であった。
異形樹脂粒子の吸油量並びに光拡散性材料の全光線透過率及びヘイズの測定結果は表1に示している。
メタクリル酸メチル260重量部、エチレングリコールジメタクリレート40重量部及びメタクリル変性シリコーンオイル9重量部(信越化学工業社製、製品名X−22−2426)とした以外は実施例1と同様に実施した。
また、異形樹脂粒子はおわん型異形樹脂粒子であり、その直径Dは11μmであり、比D/Hは1.6であり、内径dは7.2μmであった。
異形樹脂粒子の吸油量並びに光拡散性材料の全光線透過率及びヘイズの測定結果は表1に示している。
メタクリル酸メチル260重量部、スチレン10重量部(単官能ビニルモノマー)、エチレングリコールジメタクリレート30重量部及びメタクリル変性シリコーンオイル50重量部(信越化学工業社製、製品名X−22−2426)とした以外は実施例1と同様に実施した。
また、異形樹脂粒子はおわん型異形樹脂粒子であり、その直径Dは14μmであり、比D/Hは1.9であり、内径dは7.8μmであった。
異形樹脂粒子の吸油量並びに光拡散性材料の全光線透過率及びヘイズの測定結果は表1に示している。
メタクリル酸ブチル150重量部(単官能ビニルモノマー)、アクリル酸ブチル60重量部(単官能ビニルモノマー)、エチレングリコールジメタクリレート65重量部及びメタクリル変性シリコーンオイル35重量部(信越化学工業社製、製品名X−22−2426)とした以外は実施例1と同様に実施した。
また、異形樹脂粒子はおわん型異形樹脂粒子であり、その直径Dは13μmであり、比D/Hは1.8であり、内径dは8.1μmであった。
異形樹脂粒子の吸油量並びに光拡散性材料の全光線透過率及びヘイズの測定結果は表1に示している。
メタクリル酸メチル260重量部、ジビニルベンゼン40重量部(多官能ビニルモノマー)及びメタクリル変性シリコーンオイル50重量部(信越化学工業社製、製品名X−22−2426)とした以外は実施例1と同様に実施した。
また、異形樹脂粒子はおわん型異形樹脂粒子であり、その直径Dは15μmであり、比D/Hは1.7であり、内径dは7.7μmであった。
異形樹脂粒子の吸油量並びに光拡散性材料の全光線透過率及びヘイズの測定結果は表1に示している。
メタクリル酸メチル120重量部、エチレングリコールジメタクリレート20重量部及びメタクリル変性シリコーンオイル150重量部(信越化学工業社製、製品名X−22−2426)とした以外は実施例1と同様に実施した。
また、樹脂粒子は真球状の樹脂粒子であった。
樹脂粒子の吸油量並びに光拡散性材料の全光線透過率及びヘイズの測定結果は表1に示している。
メタクリル酸メチル300重量部及びメタクリル変性シリコーンオイル20重量部(信越化学工業社製、製品名X−22−2426)とした以外は実施例1と同様に実施した。
また、樹脂粒子は真球状の樹脂粒子であった。
樹脂粒子の吸油量並びに光拡散性材料の全光線透過率及びヘイズの測定結果は表1に示している。
メタクリル酸メチル270重量部、エチレングリコールジメタクリレート30重量部及びメタクリル変性シリコーンオイル0.3重量部(信越化学工業社製、製品名X−22−174DX)とした以外は実施例1と同様に実施した。
また、樹脂粒子は真球状の樹脂粒子であった。
樹脂粒子の吸油量並びに光拡散性材料の全光線透過率及びヘイズの測定結果は表1に示している。
同様に実施例1〜7で得られた異形樹脂粒子を用いて得られる光拡散性材料は、優れた全光線透過率及びヘイズ等の光拡散性を有することを示している。
また、実施例1〜7の製造方法により、疎水性液体の非存在下に異形樹脂粒子を製造することができることを示している。
H 底部から凸状表面の先端までの厚み
d 凸状表面に対応した内径
Claims (9)
- 単官能ビニルモノマー100重量部、多官能ビニルモノマー1〜40重量部及びメタクリル変性シリコーンオイル系ビニルモノマー1〜100重量部を、水性媒体中で、疎水性液体の非存在下に重合させることを特徴とする異形樹脂粒子の製造方法。
- 前記メタクリル変性シリコーンオイル系ビニルモノマーが、一般式(I):
(式中、Rはアルキレン基であり、R’はアルキル基であり、nは5〜350である)
のメタクリル変性シリコーンオイル系ビニルモノマーである請求項1に記載の異形樹脂粒子の製造方法。 - 前記単官能ビニルモノマーが、(メタ)アクリル系単官能ビニルモノマー及びスチレン系単官能ビニルモノマーのいずれか1つであり、前記多官能ビニルモノマーが、(メタ)アクリル系多官能ビニルモノマー及びスチレン系多官能ビニルモノマーのいずれか1つである請求項1又は2に記載の異形樹脂粒子の製造方法。
- 前記重合が、懸濁重合である請求項1〜3のいずれか1つに記載の異形樹脂粒子の製造方法。
- 前記異形樹脂粒子が、前記異形樹脂粒子表面に2以上の凹部を有する異形樹脂粒子又は中央に1つの凹部を有するおわん型の異形樹脂粒子であり、前記異形樹脂粒子が、前記単官能ビニルモノマー、前記多官能ビニルモノマー及び前記メタクリル変性シリコーンオイル系ビニルモノマーの使用量を調整することにより作り分けられる請求項1〜4のいずれか1つに記載の異形樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1つに記載の製造方法により得られる異形樹脂粒子。
- 前記異形樹脂粒子が、80ml/100g以上の吸油量を有する請求項6に記載の異形樹脂粒子。
- 前記異形樹脂粒子が、前記異形樹脂粒子の中央に1つの凹部を有するおわん型の異形樹脂粒子であり、前記異形樹脂粒子の底部の直径(D)が0.8〜170μmであり、前記直径(D)と底部から前記異形樹脂粒子の凸状表面の先端までの厚み(H)との比(D/H)が1.4〜4であり、前記異形樹脂粒子の凸状表面に対応した内径(d)が0.3μm以上である請求項6又は7に記載の異形樹脂粒子。
- 請求項6〜8のいずれか1つに記載の異形樹脂粒子を含む光拡散性材料。
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