JP5555115B2 - 樹脂被覆顔料粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
表示装置は、顔料粒子が偏在することなく、外部電場により移動することが求められており、この観点から、顔料粒子を樹脂で被覆した樹脂被覆顔料粒子が種々報告されている。
例えば、特許第4188091号公報(特許文献1)では、顔料粒子に1〜15重量%の範囲で樹脂を共有結合又はイオン結合させた樹脂被覆顔料粒子が記載されている。また、特開2008−145713号公報(特許文献2)及び特開2008−145879号公報(特許文献3)では、顔料粒子に15〜100重量%の範囲で樹脂をグラフト結合させた樹脂被覆顔料粒子が記載されている。
特許4516481号公報(特許文献4)では、溶媒中での顔料粒子の分散性を向上する観点から、顔料粒子の表面をカップリング剤で処理した後、ラジカル重合により樹脂で顔料粒子を被覆した樹脂被覆顔料粒子が記載されている。
かくして本発明によれば、金属酸化物からなる顔料粒子100重量部と、前記顔料粒子の表面を被覆する表面処理剤由来の層と、前記表面処理剤由来の層を被覆する樹脂層40〜300重量部とを含み、
前記表面処理剤が、下記一般式(I)
で表されるアルミニウム含有有機化合物であり、
前記樹脂層が、シリコーンマクロモノマーと第1のビニル系単量体とα−メチルスチレンダイマーとを重合させて得られた末端に2重結合を有する分散剤の存在下で、第1のビニル系単量体と同一又は異なる第2のビニル系単量体を重合させて得られた層であることを特徴とする樹脂被覆顔料粒子が提供される。
で表されるアルミニウム含有有機化合物である表面処理剤で処理することで、前記顔料粒子の表面を被覆する表面処理剤由来の層を形成する工程と、
前記顔料粒子100重量部に対して40〜300重量部となるように樹脂層で前記表面処理剤由来の層を被覆する工程とを含み、
前記樹脂層が、シリコーンマクロモノマーと第1のビニル系単量体とα−メチルスチレンダイマーとを重合させて得られた末端に2重結合を有する分散剤の存在下で、第1のビニル系単量体と同一又は異なる第2のビニル系単量体を重合させて得られた層であることを特徴とする樹脂被覆顔料粒子の製造方法が提供される。
R1が8〜20の直鎖状アルキル基、R2が炭素数1〜3の直鎖状アルキル基、R3が炭素数3〜6の分岐状アルコキシ基、mが2、nが1であるアルミニウム含有有機化合物である表面処理剤を使用した場合、より高い樹脂付着量の樹脂被覆顔料粒子を提供できる。
表面処理剤由来の層が、顔料粒子の表面積に対して、0.0015〜0.0080g/m2の量の表面処理剤で、顔料粒子を処理することにより得られた層である場合、より高い樹脂付着量の樹脂被覆顔料粒子を提供できる。
樹脂層が、前記分散剤と前記第2のビニル系単量体とを1:0.5〜5.0の重量比とする条件の下で、第2のビニル系単量体を重合させて得られた層である場合、非極性溶剤中での分散安定性に優れ、より高い樹脂付着量の樹脂被覆顔料粒子を提供できる。
樹脂被覆顔料粒子が、0.05〜1μmの平均粒子径を有する場合、電気泳動性を利用する表示装置に適切な大きさの樹脂被覆顔料粒子を提供できる。
本発明の樹脂被覆顔料粒子は、金属酸化物からなる顔料粒子と、顔料粒子の表面を被覆する表面処理剤由来の層と、表面処理剤由来の層を被覆する樹脂層とを含んでいる。本発明では、表面処理剤に特定の構造のアルミニウム含有有機化合物が使用される。
(1)表面処理剤由来の層
表面処理剤由来の層は、顔料粒子の表面を表面処理剤で処理することにより形成できる。ここで使用できる表面処理剤は、下記一般式(I)
で表されるアルミニウム含有有機化合物である。
R3は、炭素数1〜6のアルコキシ基である。具体的なR3としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ等が挙げられる。また、アルミニウム含有有機化合物の安定性の観点で、R3は炭素数3〜6の分岐状のアルキル基であることが好ましい。
mとnの合計(m+n)は3である。また、mは0〜2、nは1〜3である。
特に好ましい表面処理剤は、R1がオクタデシル、R2がメチル、R3がイソプロポキシ、mが2、nが1のアセトオクタデシルオキシアルミニウムジイソプロピレートである。この表面処理剤は、味の素ファインテクノ社製からプレンアクトAL−Mの商品名のアルミニウム系カップリング剤として入手可能である。
表面処理剤由来の層は、上記アルミニウム含有有機化合物である表面処理剤で顔料粒子の表面を処理することで形成できる。
これらの表面処理方法の中では、顔料粒子を直接処理できる直接法が簡便である。この直接法には、前述のように乾式法、湿式法、スプレー法の3種類があり、それらについての一例を以下に記載するが、表面処理剤による処理は、これらの方法に限定されるものではない。
また、顔料粒子と表面処理剤の分散を効率よく行うために、シリコーンオイルは、JIS K 2283で測定した動粘度が100センチストークス以下のオイルであることが更に好ましい。
溶媒中には、樹脂層を形成するための単量体が一部又は全部含まれていてもよい。単量体を含むことで、表面処理剤由来の層と樹脂層とのなじみをより向上できる。
本発明において顔料粒子としては、金属酸化物であれば特に限定されない。顔料粒子としては、雲母状酸化鉄、鉄黒等の酸化鉄系顔料、鉛丹、気鉛等の酸化鉛系顔料、チタンホワイト、チタンイエロー、チタンブラック等の酸化チタン系顔料、酸化コバルト、亜鉛黄のような酸化亜鉛系顔料、モリブデン赤、モリブデンホワイト等の酸化モリブデン系顔料等が挙げられる。
顔料粒子は、表示装置からの要求に応じて、適宜平均粒子径が設定される。一般に、50〜300nmの平均粒子径の顔料粒子が用いられる。
また、顔料粒子の形状は、特に限定されないが、分散媒への分散安定性を考慮すると、できるだけ球形に近いことが好ましい。
樹脂層を構成する樹脂としては、疎水性の樹脂であれば、特に限定されず、公知の樹脂をいずれも使用できる。例えば、樹脂層としては、次の単量体に由来する層が挙げられる。即ち、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、n−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレン類及びその誘導体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸等の分子内に二重結合を有する脂肪酸類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタリン塩等の分子内に二重結合を有する単量体が挙げられる。
更に、上記樹脂層以外に、シリコーンマクロモノマーと第1のビニル系単量体とα−メチルスチレンダイマーとを重合させて得られた末端に2重結合を有する分散剤の存在下で、第1のビニル系単量体と同一又は異なる第2のビニル系単量体を分散重合させて得られた分散剤含有樹脂層でもよい。
シリコーンマクロモノマーとしては、片末端に重合性不飽和基を有し、かつシリコーン単位(ジメチルポリシロキサン単位のようなオルガノシロキサン単位)を有する種々の化合物を適時使用できる。そのようなシリコーンマクロモノマーとしては、例えば次式:
で示される構造を有するものが挙げられる。
また、RCが意味する炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル基及びそれらの位置異性体等が挙げられる。
また、nは3〜500の間、好ましくは10〜250の間の整数を意味する。
シリコーンマクロモノマーの分子量は、数平均分子量500〜40000の範囲が好ましく、より好ましくは1000〜20000である。上記シリコーンマクロマーを二種以上混合して使用してもよい。
より具体的なシリコーンマクロモノマーとしては、α−ブチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
また、第1のビニル系単量体として電子供与性基を有しないビニル系単量体、例えばメタクリル酸メチルを用いることにより、シリコーンオイル中における顔料粒子の極性を明確に正にすることができる。
第1のビニル系単量体は、シリコーンマクロモノマー100重量部に対して、2〜50重量部使用することが好ましい。2重量部未満の場合、顔料粒子との親和性が悪くなるため物理的に固定することが難しく、その結果、顔料粒子の分散安定性が悪くなることがある。また、50重量部より多い場合、溶媒との親和性が悪くなり顔料粒子の分散安定性が悪くなることがある。より好ましい使用量は5〜25重量部である。
具体的な重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤であれば特に限定されない。ラジカル重合開始剤として、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)のようなアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド及びt−ブチルパーベンゾエートのような過酸化物系開始剤等が挙げられる。重合開始剤は、モノマー組成物(シリコーンマクロモノマーとビニル系単量体との混合物)中に0.1〜5重量%程度の量で予め溶解することが好ましい。
溶媒の量は、モノマー組成物100重量部に対し、20〜400重量部が好ましく、より好ましくは50〜200重量部である。
また、重合雰囲気は、大気雰囲気でも、不活性ガス雰囲気でもよい。この内、雰囲気中の酸素による重合速度の遅延及び重合阻害を防止するために、不活性ガス雰囲気で行なうことが好ましい。このような不活性ガスとしては、窒素ガス及びアルゴンガスが挙げられる。特に、経済性の面から窒素ガス雰囲気が好ましい。
ここで、得られる分散剤は、分散剤の製造後に使用した非極性溶剤から分離しても、分離しなくてもよい。分離しない場合は、非極性溶剤に分散又は溶解した分散剤を、樹脂粒子の製造にそのまま使用できる。
分散剤含有樹脂層の製造に用いられる第2のビニル系単量体としては、分散剤の製造において例示した第1のビニル系単量体から選択して用いることができる。
第2のビニル系単量体の使用量としては、顔料粒子100重量部に対して、10〜500重量部使用することが好ましい。使用量が10重量部未満の場合、顔料粒子の樹脂での被覆が不完全となり非極性溶剤への分散性が悪化することがある。また、500重量部より多い場合、顔料粒子に樹脂で被覆されない領域が発生し、電気泳動を利用する表示装置に使用した場合に電気泳動性の阻害及びコントラストの低下が生じることがある。より好ましい使用量は100〜400重量部である。
また、分散剤含有樹脂層は、超音波照射下における溶媒中での分散重合により形成することが好ましい。溶媒としては、分散剤の製造において例示した溶媒から選択して用いることができる。この溶媒の使用量としては、例えば、第2のビニル系単量体100重量部に対し、650〜3200重量部が好ましく、より好ましくは650〜1500重量部である。
分散剤の使用量は、第2のビニル系単量体100重量部に対して20〜400重量部であることが好ましい。20重量部未満の場合、非極性溶剤中での分散安定性が低下することがある。また、400重量部より多い場合、粒子径が小さくなり、非極性溶媒中の粘度が上昇し、その結果、非極性溶剤中での分散安定性が低下することがある。より好ましい使用量は40〜200重量部である。
重合は超音波照射下で行うことが好ましい。また、重合は、前記の分散剤の製法と同じ理由から、不活性雰囲気下で行なうのが好ましい。より好ましい不活性雰囲気は、窒素ガス雰囲気である。
超音波の発信周波数は16kHz以上であることが好ましく、20〜500kHzの範囲であることがより好ましい。また、出力は、超音波を照射する媒体1Lあたり、10〜1000Wが好適である。
また、超音波照射下における分散重合には、マグネチックスターラー等の機械的撹拌装置の併用も可能である。
また、外部温調装置により温度をコントロールした媒体を超音波洗浄装置内に循環させることによって重合温度(反応温度)を調整してもよい。
樹脂層の付着量は、顔料粒子100重量部に対し、40〜300重量部が好ましく、更に100〜250重量部が好ましい。付着量が40重量部より小さい場合、顔料の樹脂の被覆が不完全となり非極性溶剤への分散性が悪化することがあり、300重量部より大きい場合、顔料に被覆されない樹脂が発生し、電気泳動を利用する表示装置に使用した場合に電気泳動性の阻害及びコントラストの低下が生じることがある。
樹脂層は、必要に応じて、公知の塗面調整剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒、体質顔料、着色顔料、金属顔料、マイカ粉顔料、染料、有機溶剤等を含んでいてもよい。
樹脂被覆顔料粒子の形状は、特に限定されない。しかしながら、表示装置の用途では、できるだけ球状に近い形状を樹脂被覆顔料粒子が有していることが好ましい。
樹脂被覆顔料粒子の大きさは、使用する用途に応じて適宜設定できる。
本発明の樹脂被覆顔料粒子は、表示装置、電気粘性流体、光学素子、化粧料、インク、塗料、潤滑剤等の原料として好適に使用できる。表示装置としては、電子ペーパーのような電気泳動を利用した装置が挙げられる。
電気泳動を利用した装置としては、例えば、電極を有する一対の基板間に、溶媒に分散させた樹脂被覆顔料粒子からなる表示層を挟んだ構造が挙げられる。電極間に電圧を印加することで、印加された電圧の極性に応じて樹脂被覆顔料粒子が、一対の基板の内の片側に移動する。この装置では、樹脂被覆顔料粒子の移動を利用して情報が表示される。
(シリコーンマクロモノマーの数平均分子量)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、数平均分子量を測定した。なお、数平均分子量はポリスチレン(PS)換算数平均分子量を意味する。その測定方法は次の通りである。
測定装置:東ソー社製GPC HLC−8020
ガードカラム:TOSOH TSKguardcolumn HHR(S)×1(7.5mmID×7.5cm)
カラム:TOSOH TSK−GEL GMHHR−H(S)×3(7.8mmID×30cm)
測定条件:カラム温度(40℃)、移動相(一級THF/45℃)、
S.PUMP/R.PUMP流量(0.8/0.5mL/min)、
RI温度(35℃)、INLET温度(35℃)、
測定時間(55min)、検出器(UV254nm、RI)
測定方法:試料50mgを10mL一級THF(移動相)で一晩放置して溶解し、0.45μm又は0.20μmのフィルターで濾過する。
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製、商品名「shodex」重量平均分子量:1030000と、東ソー社製、重量平均分子量:5480000、3840000、355000、102000、37900、9100、2630、495
動粘度はJIS K 2283(原油及び石油製品の動粘度試験方法)により測定する。
平均粒子径は、動的光散乱法と呼ばれる方法を利用して測定したZ平均粒子径である。Z平均粒子径は次のようにして得る。即ち、粒子のシリコーンオイル分散液にレーザー光を照射し、粒子から散乱される散乱光強度をマイクロ秒単位の時間変化で測定する。検出された樹脂粒子に起因する散乱強度分布を正規分布に当てはめて、平均粒子径を算出するためのキュムラント解析法によりZ平均粒子径が得られる。この種の平均粒子径は、市販の測定装置で簡便に測定可能であり、本実施例ではマルバーン社から市販されている「ゼータサイザーナノZS」を測定に使用する。
上述の市販の測定装置にはデータ解析ソフトが搭載されており、測定データを自動的に解析することで、Z平均粒子径を算出できる。
樹脂被覆顔料粒子を秤量する。秤量後の樹脂被覆顔料粒子を熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TG/DTA6200型)中の白金セル中に入れる。白金セル中の樹脂被覆顔料粒子を、窒素雰囲気下、室温から800℃まで10℃/分の速度での昇温で加熱処理することで、樹脂を熱分解させた。取り出した粒子を秤量する。樹脂被覆顔料粒子の秤量値Aと加熱処理後の粒子の秤量値Bを以下の式に代入することで顔料粒子100重量部に対する樹脂量を算出する。
樹脂割合(重量%)=(秤量値A−秤量値B)×100/秤量値A
樹脂量(重量部)=樹脂割合/(100−樹脂割合)×100
比表面積は、気体吸着による粒子(固体)の比表面積測定法であるJIS Z 8830:2001のBET多点定容量に基づき、自動比表面積/細孔分布測定装置(トライスター3000:島津製作所社製)により、窒素ガスを用いて測定する。
粒子分散液40mLを50mLのコニカルチューブに入れ、遠心分離機(トミー精工社製卓上遠心機LC−200)を用いて、4000rpmで30分間遠心分離を行う。その後、取り出したコニカルチューブ中の粒子の分散状態を目視にて観察して、以下の基準で分散安定性を評価する。
○:沈降しない
△:沈降する粒子としない粒子とが共存している
×:沈降する
20mlのガラス瓶に、実施例に記載のシリコーンオイル分散体を量り取り、そこへ樹脂粒子固形分が1重量%となる様にシリコーンオイル(非極性溶媒、信越化学社製KF−96L−1CS、動粘度1センチストークス)を加えて10gとし、これを測定用試料とする。
次に、片面にインジウムスズオキサイド(ITO)をコートしたガラス板2枚を、コート面を内側にし、銅テープを貼り付けたスペーサーをガラス板間に挟んでガラス板の間隔を1mmとした平行平板(冶具)を用意する。
冶具を測定用試料に浸漬し、冶具の左側に+100Vの電圧を印加して10秒静置した。10秒経過後、測定用試料から冶具を引き上げ、左側のガラス板に粒子が付着していればその粒子の帯電性は負、右側のガラス板に粒子が付着していればその粒子の帯電性は正として評価する。
(分散剤の作製)
300mlのセパラブルフラスコ中で、シリコーンオイル(非極性溶媒、信越化学社製KF−96L−1CS、動粘度1センチストークス)100重量部、予め開始剤として2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(日本ヒドラジン工業社製、以下ABNVと称する)2.0重量部を溶解したメタクリル酸メチル8.0重量部、シリコーンマクロモノマー(チッソ社製サイプラレーンFM−0721、数平均分子量5850、RAはメチル、RBはプロピル、RCはメチル)90.9重量部及びα−メチルスチレンダイマー(日本油脂社製ノフマーMSD)1.1重量部を混合した。得られた混合物を、窒素雰囲気下、50℃で攪拌しながら20時間溶液重合に付すことで分散剤を得た。得られた分散剤の数平均分子量は26800であった。
50ml容器中で、シリコーンオイル(信越化学社製KF−96L−1CS)20.0重量部、アルミニウム系カップリング剤(表面処理剤、味の素ファインテクノ社製プレンアクトAL−M、式(1)中、R1はオクタデシル、R2はメチル、R3はイソプロポキシ、mは2、nは1である)2.6重量部、酸化チタン(顔料粒子、石原産業社製PT−401M、比表面積20.5m2/g、平均粒子径70nm)20.0重量部を室温で24時間攪拌することで、混合液を得た。
ジルコニアビーズ(直径1mm)500gを入れた300mlのガラス製ビーズポット中で、上記混合液42.6重量部、シリコーンオイル(信越化学社製KF−96L−1CS)10.0重量部、分散剤30.0重量部を室温で24時間ビーズミルによる分散に付すことで、分散液を得た。
分散重合終了後、樹脂被覆顔料粒子を遠心分離により沈降分離し、分離された樹脂被覆顔料粒子をシリコーンオイル(信越化学社製KF−96L−1CS)に再分散させた。この沈降分離と再分散の操作を3回繰り返して、樹脂被覆顔料粒子を洗浄した。洗浄後の樹脂被覆顔料粒子を、シリコーンオイル(信越化学社製KF−96L−1CS)に分散させることで、固形分10重量%の樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル分散体を得た。
得られた樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル中での平均粒子径は263nmであった。熱重量分析により顔料粒子100重量部に対する樹脂量は72重量部であった。上記の得られた樹脂粒子の帯電性を測定したところ、この粒子は正に帯電していることが判った。
(分散剤の作製)
実施例1と同様にして分散剤を作製した。
(顔料被覆粒子の作製)
セパラブルフラスコに添加されるエチレングリコールジメタクリレート及び分散剤の量をそれぞれ20.0重量部及び40.0重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして固形分10重量%の樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル分散体を得た。
得られた樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル中での平均粒子径は490nmであった。熱重量分析により顔料粒子100重量部に対する樹脂量は150重量部であった。上記の得られた樹脂粒子の帯電性を測定したところ、この粒子は正に帯電していることが判った。
(分散剤の作製)
実施例1と同様にして分散剤を作製した。
(顔料被覆粒子の作製)
セパラブルフラスコに添加されるアクリル酸イソステアリル、エチレングリコールジメタクリレート及び分散剤の量をそれぞれ30.0重量部、20.0重量部及び40.0重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして固形分10重量%の樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル分散体を得た。
得られた樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル中での平均粒子径は560nmであった。熱重量分析により顔料粒子100重量部に対する樹脂量は194重量部であった。上記の得られた樹脂粒子の帯電性を測定したところ、この粒子は正に帯電していることが判った。
(分散剤の作製)
実施例1と同様にして分散剤を作製した。
(顔料被覆粒子の作製)
顔料粒子を石原産業社製PT−501R、比表面積20.5m2/g、平均粒子径180nm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして固形分10重量%の樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル分散体を得た。
得られた樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル中での平均粒子径は333nmであった。熱重量分析により顔料粒子100重量部に対する樹脂量は67重量部であった。上記の得られた樹脂粒子の帯電性を測定したところ、この粒子は正に帯電していることが判った。
(分散剤の作製)
実施例1と同様にして分散剤を作製した。
(顔料被覆粒子の作製)
顔料粒子をテイカ社製JR−600A、比表面積12.0m2/g、平均粒子径250nm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして固形分10重量%の樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル分散体を得た。
得られた樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル中での平均粒子径は352nmであった。熱重量分析により顔料粒子100重量部に対する樹脂量は81重量部であった。上記の得られた樹脂粒子の帯電性を測定したところ、この粒子は正に帯電していることが判った。
(分散剤の作製)
実施例1と同様にして分散剤を作製した。
(顔料被覆粒子の作製)
アルミニウム系カップリング剤(表面処理剤)をチタネート系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製プレンアクトKR−TTS)に変更したこと以外は実施例1と同様にして固形分10重量%の樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル分散体を得た。
得られた樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル中での平均粒子径は407nmであった。熱重量分析により顔料粒子100重量部に対する樹脂量は21重量部であった。上記の得られた樹脂粒子の帯電性を測定したところ、この粒子は正に帯電していることが判った。
(分散剤の作製)
実施例1と同様にして分散剤を作製した。
(顔料被覆粒子の作製)
表面処理剤を使用しないこと以外は実施例1と同様にして固形分10重量%の樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル分散体を得た。
得られた樹脂被覆顔料粒子のシリコーンオイル中での平均粒子径は261nmであった。熱重量分析により顔料粒子100重量部に対する樹脂量は22重量部であった。上記の得られた樹脂粒子の帯電性を測定したところ、この粒子は正に帯電していることが判った。
実施例1、2及び比較例1の結果を表1にまとめて示す。
Claims (8)
- 金属酸化物からなる顔料粒子100重量部と、前記顔料粒子の表面を被覆する表面処理剤由来の層と、前記表面処理剤由来の層を被覆する樹脂層40〜300重量部とを含み、
前記表面処理剤が、下記一般式(I)
で表されるアルミニウム含有有機化合物であり、
前記樹脂層が、シリコーンマクロモノマーと第1のビニル系単量体とα−メチルスチレンダイマーとを重合させて得られた末端に2重結合を有する分散剤の存在下で、第1のビニル系単量体と同一又は異なる第2のビニル系単量体を重合させて得られた層であることを特徴とする樹脂被覆顔料粒子。 - 前記表面処理剤は、R1が8〜20の直鎖状アルキル基、R2が炭素数1〜3の直鎖状アルキル基、R3が炭素数3〜6の分岐状アルコキシ基、mが2、nが1であるアルミニウム含有有機化合物である請求項1に記載の樹脂被覆顔料粒子。
- 前記表面処理剤由来の層が、前記顔料粒子の表面積に対して、0.0015〜0.0080g/m2の量の前記表面処理剤で、前記顔料粒子を処理することにより得られた層である請求項1又は2に記載の樹脂被覆顔料粒子。
- 前記樹脂層が、前記分散剤と前記第2のビニル系単量体とを1:0.5〜5.0の重量比とする条件の下で、第2のビニル系単量体を重合させて得られた層である請求項1〜3のいずれか1つに記載の樹脂被覆顔料粒子。
- 前記樹脂被覆顔料粒子が、0.05〜1μmの平均粒子径を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の樹脂被覆顔料粒子。
- 前記樹脂被覆顔料粒子が、電気泳動性を有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の樹脂被覆顔料粒子。
- 金属酸化物からなる顔料粒子を、下記一般式(I)
で表されるアルミニウム含有有機化合物である表面処理剤で処理することで、前記顔料粒子の表面を被覆する表面処理剤由来の層を形成する工程と、
前記顔料粒子100重量部に対して40〜300重量部となるように樹脂層で前記表面処理剤由来の層を被覆する工程とを含み、
前記樹脂層が、シリコーンマクロモノマーと第1のビニル系単量体とα−メチルスチレンダイマーとを重合させて得られた末端に2重結合を有する分散剤の存在下で、第1のビニル系単量体と同一又は異なる第2のビニル系単量体を重合させて得られた層であることを特徴とする樹脂被覆顔料粒子の製造方法。 - 前記樹脂層で表面処理剤由来の層を被覆する工程が、動粘度100センチストークス以下のシリコーンオイルからなる溶媒の存在下で行なわれる請求項7に記載の樹脂被覆顔料粒子の製造方法。
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