JP4320360B2 - 樹脂粒子、その製造方法およびそのシリコーンオイル分散体 - Google Patents
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Description
一般に、サブミクロンあるいはそれ以下の粒径を有する樹脂粒子の製造方法としては、水中での乳化重合法、ソープフリー重合法、有機溶媒中での分散重合法などが挙げられる(例えば、非特許文献1)。
例えば、電気粘性流体の媒体として用いられるシリコーンオイルにシリコーンマクロモノマーを共重合させた分散剤を添加し、分散剤を含むシリコーンオイルに粒子を分散させることで粒子の凝集を防ぐ方法がある(例えば、特許文献1)。
発明者らは、2−ビニルナフタレンをメタクリル酸メチルやスチレンなどの一般的なビニル系単量体に変更し追試を行った結果、重合中に粒子が凝集し、媒体に安定して分散するサブミクロンの樹脂粒子を得ることができなかったという知見を得ている。
また、本発明によれば、上記の樹脂粒子の製造方法により得られる樹脂粒子、とりわけ正帯電の樹脂粒子およびそれらのシリコーンオイル分散体が提供される。
このようにして得られる樹脂粒子、とりわけ正帯電の樹脂粒子は、シリコーンオイルへの分散安定性に優れており、画像表示素子、電気粘性流体、光学素子、化粧料、インク、塗料、潤滑剤などに有用に使用することができる。
本発明の方法は、非極性溶剤の存在下、特定の分散剤とビニル系単量体とを含む混合物を、超音波照射しつつ分散重合させることを特徴の1つとしている。
上記の特定の分散剤とは、シリコーンマクロモノマーとビニル系単量体とα−メチルスチレンダイマーからなる重合性共重合体である。
そのようなシリコーンマクロモノマーとしては、例えば次式:
で示される構造を有するものが挙げられる。
上記の式において、R2が意味するC2〜C4のアルキレン基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン基およびそれらの位置異性体などが挙げられる。
また、R3が意味するC1〜C4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル基およびそれらの位置異性体などが挙げられる。
また、nは3〜500の間、好ましくは10〜250の間の整数を意味する。
ラジカル重合開始剤として、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸)および2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)のようなアゾ系開始剤;および、ベンゾイルパーオキサイド、ハラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびt-ブチルパーベンゾエートのような過酸化物系開始剤などが挙げられる。
重合開始剤は、モノマー組成物(シリコーンマクロモノマーとビニル系単量体との混合物)中に0.1〜5重量%程度の量で予め溶解することが好ましい。
架橋剤としては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンおよびそれらの誘導体のような芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのジエチレン性カルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルファイトなどのジビニル化合物および3以上のビニル基を含有する化合物などを挙げることができ、これらを単独でもしくは2種以上組合せて使用できる。
また、分散剤製造に用いるビニル単量体として電子供与性基を有しないビニル単量体、例えばメタクリル酸メチルを用いることにより、シリコーンオイル中における樹脂粒子の極性を明確に正にすることができる。
α−メチルスチレンダイマーを用いてシリコーンマクロモノマーとビニル系単量体のリビング共重合を行うことで分子量が制御され、且つ末端に反応性の二重結合を有する重合性共重合体が得られる。
0.1重量部未満の場合、得られる分散剤の数平均分子量が大きくなりすぎるので好ましくない。また、10重量部より多い場合、α−メチルスチレンダイマーによる分子量制御が難しくなり、数平均分子量の低下が行えず、添加に見合った効果が得られないので好ましくない。
上記分散剤とビニル系単量体との割合は、分散剤がビニル系単量体100重量部に対して25重量部〜800重量部であることが好ましい。25重量部未満では樹脂粒子製造時に樹脂粒子同士の凝集が起こりやすくなるので好ましくない。また、800重量部より多い場合では得られる樹脂粒子が繊維状となりやすく、所望する樹脂粒子が得がたくなるので好ましくない。より好ましくは50〜400重量部である。
また、本発明による樹脂粒子の製造に用いられるビニル系単量体としては、前記の分散剤の製造において例示したビニル系単量体から選択して用いることができる。
超音波の発信周波数は16kHz以上であることが好ましく、20〜500kHzの範囲であることがより好ましい。また、出力は、超音波を照射する媒体1Lあたり、10〜1000Wが好適である。
また、外部温調装置により温度をコントロールした媒体を超音波洗浄装置内に循環させることによって重合温度(反応温度)を調整してもよい。
例えば、黒色顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタンなどの金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)などの有機顔料が挙げられる。
なお、顔料を分散させる装置としては、特に限定されないが、例えばボールミル、アトライター、サンドミルなどのメディア型分散装置、ホモミキサー、ホモジナイザー、バイオミキサーなどの剪断型分散装置、超音波分散装置などが挙げられる。
本発明の樹脂粒子は、非極性溶媒(例えば、シリコーンオイル)への分散安定性に優れている。本発明の樹脂粒子は、この性質を利用して、画像表示素子、電気粘性流体、光学素子、化粧料、インク、塗料、潤滑剤などの原料として好適に使用できる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、数平均分子量を測定した。なお、数平均分子量はポリスチレン(PS)換算数平均分子量を意味する。その測定方法は次の通りである。
測定装置:東ソー社製 GPC HLC−8020
ガードカラム:TOSOH TSKguardcolumn HHR(S)×1(7.5mmID×7.5cm)
カラム:TOSOH TSK−GEL GMHHR−H(S)×3(7.8mmID×30cm)
測定条件:カラム温度(40℃)、移動相(一級THF/45℃)、
S.PUMP/R.PUMP流量(0.8/0.5mL/min)、
RI温度(35℃)、INLET温度(35℃)、
測定時間(55min)、検出器(UV254nm、RI)
測定方法:試料50mgを10mL一級THF(移動相)で一晩放置して溶解し、0.45μm又は0.20μmのフィルターで濾過した。
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製、商品名「shodex」重量平均分子量:1030000と、東ソー社製、重量平均分子量:5480000、3840000、355000、102000、37900、9100、2630、495
ここでいう平均粒子径は、動的光散乱法と呼ばれる方法を利用して測定したZ平均粒子径を意味する。つまり、樹脂粒子のシリコーンオイル分散液にレーザー光を照射し、樹脂粒子から散乱される散乱光強度をマイクロ秒単位の時間変化で測定した。検出された樹脂粒子に起因する散乱強度分布を正規分布に当てはめて、平均粒子径を算出するためのキュムラント解析法により求めたZ平均粒子径である。この種の平均粒子径は、市販の測定装置で簡便に測定可能であり、本実施例ではマルバーン社から市販されている「ゼータサイザーナノZS」を測定に使用した。
上述の市販の測定装置にはデータ解析ソフトが搭載されており、測定データを自動的に解析することで、Z平均粒子径を算出した。
動粘度はJIS K 2283(原油および石油製品の動粘度試験方法)により測定した。
20mlのガラス瓶に、実施例に記載のシリコーンオイル分散体を量り取り、そこへ樹脂粒子固形分が1wt%となる様にシリコーンオイル(動粘度:1センチストークス、KF-96L-1CS、信越化学製)を加えて10gとし、これを測定用試料とした。
次に、片面にインジウムスズオキサイド(ITO)をコートしたガラス板2枚を、コート面を内側にし、銅テープを貼り付けたスペーサーをガラス板間に挟んでガラス板の間隔を1mmとした平行平板(冶具)を用意した。
超音波方式ゼータ電位測定装置(DT-300、日本ルフト製)を用い、コロイド振動電流を測定することにより、シリコーンオイル(動粘度:1センチストークス、KF-96L-1CS、信越化学製)中での樹脂粒子のゼータ電位を求めた。
(分散剤の作成)
300mlセパラブルフラスコにシリコーンオイル(動粘度:1センチストークス、KF-96L-1CS、信越化学製)96.0gと、予め開始剤として2,2'-アゾ-ビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.9gを溶解したメタクリル酸メチル7.0g、シリコーンマクロモノマー(サイラプレーンFM-0721、チッソ製、数平均分子量5900)87.9gおよびα−メチルスチレンダイマー(ノフマーMSD、日本油脂製)1.1gを添加し、窒素雰囲気下50℃にて攪拌を行いながら20時間溶液重合を行った。得られた反応物は無色透明な液体であり、分子量測定の結果、数平均分子量は26,800であった。以下この反応物をそのまま分散剤(固形分濃度50%)として用いて以下の実施例および比較例を実施した。
300mlセパラブルフラスコにシリコーンオイル(KF-96L-1CS、信越化学製)178.8gと、ラウロイルパーオキサイド0.47gを溶解したメタクリル酸メチル10.5gおよび実施例1で得られた分散剤21.0gを添加し、窒素雰囲気下60℃にて超音波照射下8時間分散重合を行った。
上記の得られた樹脂粒子の帯電性を測定したところ、この粒子は正に帯電していることが判った。
実施例1の分散剤、ビニル系単量体その他の成分を表1に記載のように変更した以外は、実施例2と同様の操作を行い、表1に示す平均粒子径を有する粒子を得た。これらの実施例および比較例で得られた樹脂粒子の平均粒子径およびシリコーンオイル分散1週間経過後の粒子沈殿状態と合せて表1に示す。
また、得られたそれぞれの樹脂粒子の帯電性も合わせて、表1に示すが、比較例1で得られた樹脂粒子は凝集固化したため、この粒子の帯電性は測定できなかった。
実施例1の分散剤、ビニル系単量体その他の成分を表1に記載のように変更した以外は、実施例2と同様の操作を行い、表1に示す平均粒子径を有する粒子を得た。これらの実施例および比較例で得られた樹脂粒子の平均粒子径およびシリコーンオイル分散1週間経過後の粒子沈殿状態と合せて表1に示す。
なお、シリコーンオイル中の樹脂粒子のゼータ電位を測定したところ、分散樹脂粒子ゼータ電位は94.3mVであった。
また、上記の得られた樹脂粒子の帯電性を測定したところ、この粒子は正に帯電していることが判った。
ジルコニアビーズ(直径5mm)500gを入れた300mlガラス製ビーズポットにシリコーンオイル(KF-96L-1CS、信越化学製)45.0gおよび実施例1で得られた分散剤30.0g、並びに顔料としてマゼンタ顔料(CROMOFUTAL Pink PT、チバスペシャリティケミカルズ製)3.0gを添加し、室温にて24時間ビーズミルによる顔料分散を行った。
なお、シリコーンオイル中の樹脂粒子のゼータ電位を測定したところ、分散樹脂粒子ゼータ電位は143.6mVであった。
また、上記の得られた樹脂粒子の帯電性を測定したところ、この粒子は正に帯電していることが判った。
顔料としてマゼンタ顔料の代わりにシアン顔料(Cyanin Blue G-314、山陽色素製)3.0gを用いた以外は実施例9と同様に操作を行い、固形分8%の樹脂粒子シリコーンオイル分散体を得た。得られた樹脂粒子のシリコーンオイル中での平均粒子径は335nmであり、シリコーンオイル分散後1週間経過した後も粒子の沈殿が見られなかった。
また、上記の得られた樹脂粒子の帯電性を測定したところ、この粒子は正に帯電していることが判った。
超音波照射を行わず、代わりに機械的攪拌を行った以外は実施例2と同様の操作を行った結果、分散重合の際樹脂粒子同士の合着が起こり、反応溶液の粘度が上昇し最終的には系全体が固化したため操作を終了した。
また、樹脂粒子の帯電性の測定も、樹脂粒子が凝集したため測定できなかった。
上記の実施例2〜10、比較例1および2における樹脂粒子の製造に用いた各組成物の量、得られた各樹脂粒子の粒子径、各樹脂粒子のシリコーンオイル分散体の1週間経過後における樹脂粒子の状態および各樹脂粒子の帯電性について調べた結果を以下の表に示す。
また、実施例2〜10の樹脂粒子の帯電性を調べたところ、これらの樹脂粒子はいずれも正帯電の樹脂粒子であったことが判明した。
また、比較例1および2の樹脂粒子は、いずれも凝集したためこれらの樹脂粒子の帯電性を測定することはできなかった。
実施例7〜10で得られたエチレングリコールジメタクリレートによって架橋された樹脂粒子を、それぞれイソプロピルアルコールで洗浄した。次に樹脂粒子を風乾燥し、更に減圧乾燥にてイソプロピルアルコールを除いた後シリコーンオイルに添加し超音波照射による分散を行い固形分8%のシリコーンオイル分散体を得た。得られたシリコーンオイル分散体は実施例7〜10同様シリコーンオイル分散後1週間経過した後も粒子の沈殿が見られなかった。この結果により、本発明による樹脂粒子は図1に示す構造を有していると推測するに至った。
2 重合性共重合体である分散剤
3 分散剤を構成するシリコーンマクロモノマー由来のシリコーン鎖の部位
4 分散剤を構成するシリコーンマクロモノマーとビニル系単量体由来の共重合鎖の部位
5 分散剤を構成するα−メチルスチレンダイマーと樹脂粒子を構成するビニル系単量体との化学結合部位
Claims (8)
- 非極性溶剤の存在下、シリコーンマクロモノマーとビニル系単量体とα−メチルスチレンダイマーとを重合して得られ、前記α−メチルスチレンダイマー由来の二重結合を有する重合性共重合体である分散剤と、ビニル系単量体とを含む混合物を、超音波照射下に分散重合させることを特徴とする樹脂粒子の製造方法。
- 前記樹脂粒子が、正電荷の樹脂粒子である請求項1に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記非極性溶剤が、動粘度100センチストークス以下のシリコーンオイルである請求項1または2に記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記混合物が、さらに顔料を含有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法によって得られることを特徴とする樹脂粒子。
- 前記樹脂粒子が、正帯電の樹脂粒子である請求項5に記載の樹脂粒子。
- 平均粒子径が0.02μm〜1.0μmである請求項5または6に記載の樹脂粒子。
- 請求項5〜7のいずれか一つに記載の樹脂粒子のシリコーンオイル分散体。
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