JP2004168937A - 懸濁重合用分散剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】重合時に懸濁系に優れた安定性をもたらす懸濁重合用分散剤を安定的に製造する方法を提供する。
【解決手段】特定構造の(メタ)アクリル酸誘導体100〜10質量%と、これと共重合可能な他のビニル系単量体0〜90質量%とからなる混合物を重合して重合体を形成することを含む、前記重合体からなる懸濁重合用分散剤の製造方法において、前記(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物としての過酸化物の量が、前記(メタ)アクリル酸誘導体の質量を基準として0.5ppm以下であることを特徴とする懸濁重合用分散剤の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】特定構造の(メタ)アクリル酸誘導体100〜10質量%と、これと共重合可能な他のビニル系単量体0〜90質量%とからなる混合物を重合して重合体を形成することを含む、前記重合体からなる懸濁重合用分散剤の製造方法において、前記(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物としての過酸化物の量が、前記(メタ)アクリル酸誘導体の質量を基準として0.5ppm以下であることを特徴とする懸濁重合用分散剤の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、懸濁重合における分散剤、特に、ビニル系単量体の懸濁重合における分散剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、(メタ)アクリル酸エステル等のビニル系単量体を懸濁重合する方法に関して、多数の提案がなされている。特に、重合中の懸濁状態を安定に保つための分散剤として各種の物質が提案されており、そのような分散剤としては、例えば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、澱粉末シリカ等の水難溶性無機化合物;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロース誘導体等のノニオン系高分子化合物;ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステルとメタクリル酸およびその塩との共重合体等のアニオン系高分子化合物;などが知られている。
【0003】
しかしながら、分散剤として上述の無機化合物を用いた場合には、懸濁安定性を維持するためには比較的多量の分散剤が必要となる。結果として、懸濁重合により得られる重合体が着色したり、又は、純度が低くなるなどの問題があり、さらには、重合体の洗浄に煩雑な操作が必要となることが多い。
【0004】
また、ノニオン系高分子化合物を用いた場合にも、多量の分散剤が必要となることから、重合系の安定性や重合体の着色などの問題が残る。それらの問題点を解決する手段として、メタクリル酸エステル単量体の懸濁重合において、ポリアクリル酸およびその塩やポリメタクリル酸およびその塩などのアニオン系高分子化合物を分散剤として用いることが提案されている。しかし、この場合、水溶性を付与する官能基がカルボキシル基であるため、pHが酸性側では分散剤として機能せず、適当な緩衝剤を併用するなどの必要がある。そのため、上記アニオン系高分子化合物にpHの影響を受けにくいスルホン酸基等の親水性官能基を導入する試みがなされている(特許文献1及び2)。
【0005】
しかしながら、この方法によれば、確かに重合系のpHの影響を受けにくく着色や純度への影響が低減されるものの、得られる重合体からなる分散剤の品質安定性が十分でないために、懸濁系の安定性に関して十分な性能を有する分散剤を安定に得ることが困難であった。
【特許文献1】
特公昭51−43877号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開平1−168702号公報(請求項1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これら従来技術の課題を解決すべくなされたものである。すなわち本発明の目的は、重合時に懸濁系に優れた安定性をもたらす懸濁重合用分散剤を安定的に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の単量体を重合して懸濁重合用分散剤を得るに際し、前記一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物としての過酸化物が懸濁重合用分散剤の品質安定性を低下させる物質であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記一般式(I)
【化4】
【0009】
(式中、R1はHまたはCH3を、R2およびR3はH、CH3、またはC2H5を、Xは−O−、−NH−、または−N(CH3)−を、M1はH、リチウム、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウム塩を、nは0〜3の整数を示す。)
で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体100〜10質量%と、これと共重合可能な他のビニル系単量体0〜90質量%とからなる混合物を重合して重合体を形成することを含む、前記重合体からなる懸濁重合用分散剤の製造方法において、上記一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物としての過酸化物の量が、前記(メタ)アクリル酸誘導体の質量を基準として0.5ppm以下であることを特徴とする懸濁重合用分散剤の製造方法である。ここでの過酸化物量は、試料中の過酸化物をo−トリジン二塩酸塩で発色させたときの吸光度を測定し、予め作成した検量線により算出したものである。
【0010】
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称である。また、本発明においては懸濁重合用分散剤に好適な重合体が共重合体であっても、便宜的に重合体と称する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の方法により得られる懸濁重合用分散剤を構成する重合体は、前記一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体100〜10質量%と、これと共重合可能な他のビニル系単量体0〜90質量%とからなる混合物を重合する懸濁重合用分散剤の製造において、前記一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物としての過酸化物が上記(メタ)アクリル酸誘導体の質量を基準として0.5ppm以下としたものを用いることで得られる。なお、本発明においては、一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体100質量%からなる単一均質であっても、便宜的に「混合物」とか「単量体混合物」と称する。
【0012】
前記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸誘導体としては、具体的には各種の単量体が挙げられるが、それらの(メタ)アクリル酸誘導体は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。それらの(メタ)アクリル酸誘導体の中で好適な具体例としては、メタクリル酸2−スルホエチルのナトリウム塩またはカリウム塩、メタクリル酸2−スルホプロピルのナトリウム塩またはカリウム塩等が挙げられる。
【0013】
共重合可能な他のビニル系単量体としては、水溶液中でラジカル重合可能な一般のビニル化合物であれば特に制限は無い。また、共重合可能な他のビニル系単量体を二種以上用いることもできる。その場合はそれら二種以上のビニル系単量体が互いに共重合可能であればよい。なお、本発明においては、メタクリル酸誘導体やメタクリル酸エステルも、便宜的にビニル系単量体と称する。
【0014】
他のビニル系単量体としては、例えば、下記一般式(II)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体、下記一般式(III)表わされる(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0015】
【化5】
【0016】
(式中、R4はHまたはCH3を、M2はH、リチウム、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウム塩を示す。)
【0017】
【化6】
【0018】
(式中、R5はHまたはCH3を、R6は炭素数1〜12のアルキル基を示す。)一般式(II)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体の好適な具体例としては、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム等が挙げられ、その中で特に好ましいのは、メタクリル酸カリウムである。
【0019】
一般式(III)で表される(メタ)アクリル酸エステルの好適な具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられ、その中で特に好ましいのは、メタクリル酸メチルである。また、その他のビニル系単量体として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類;などを用いることもできる。
【0020】
本発明において、一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物としての過酸化物の量は、0.5ppm以下にする必要がある。一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物過酸化物が0.5ppm以下であると、得られる懸濁重合用分散剤の品質が安定になり、そしてこの懸濁重合用分散剤を用いた懸濁重合では、得られるビーズ状重合体の凝集が見られなくなり、分散剤としての性能が十分満足するものになる。
【0021】
一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体中に含有される不純物としての過酸化物の量を0.5ppm以下にするために使用できる方法は以下のとおりである。過酸化物を含む(メタ)アクリル酸誘導体を脱イオン水などの溶媒に溶解させた後、アセトンなどの非溶媒で再沈して精製することにより、過酸化物の濃度を0.5ppm以下に低下させることができる。また、(メタ)アクリル酸誘導体中の過酸化物量は常温における時間の経過に伴い、上昇する傾向があるので、低温(例えば、3℃以下)で保管することにより、過酸化物の濃度の上昇を抑制することができる。
【0022】
本発明で得られる懸濁重合用分散剤を構成する重合体の好ましい単量体組成は、一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体が100〜10質量%、より好ましくは90〜20質量%、共重合可能な他のビニル系単量体が0〜90質量%、より好ましくは10〜80質量%である。一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体が10質量%以上、他のビニル系単量体の量が90質量%以下であると、得られる重合体の親水性が十分にあり、これを分散剤として懸濁重合に使用すると懸濁系が安定になり、さらには、特に低pH領域およびpH変化を伴う懸濁重合に使用することが可能になる。
【0023】
本発明の方法において、懸濁重合用分散剤を構成する重合体を得る為の重合は、実質的に均一な水溶液中で行うことが好ましい。有機溶媒あるいは有機溶媒と水との混合溶媒中で重合を行って得た重合体では、これを水系懸濁重合の分散剤として使用する場合、その有機溶媒あるいは有機溶媒と水を除去する為の煩雑な操作が必要となり、また、水系懸濁重合の目的物に異物やゴミあるいは残存溶媒が混入する可能性がある。
【0024】
本発明の方法における重合において、単量体相と水相の質量比率は、1/5以下とすることが好ましい。単量体相と水相の質量比率が1/5以下であれば、水溶液の粘度が高くなり過ぎず、重合温度を均一に保つことが容易になる。さらに、溶解度の小さい単量体を用いた場合でも単量体濃度の制限が少なくかつ単量体の拡散速度や重合速度への影響を小さくするために、単量体相と水相の質量比率を1/10以下にすることが好ましい。また、単量体相と水相の質量比率は1/15以上であれば、生産性、経済性の点から有利であり好ましい。
【0025】
本発明の方法に用いる重合開始剤は、特に限定されないが、例えば、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩等の水溶性過酸化物や2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド等の水溶性アゾ化合物等を挙げることができる。これらの開始剤の使用量は、上記単量体混合物100質量部に対して0.005〜5質量部であることが好ましい。
【0026】
また、重合開始剤の他に、例えば、重合度を調節する目的でメルカプタン等の連鎖移動剤を添加することもできる。具体的には、メルカプトエタノール等の水溶性メルカプタンを用いることができる。連鎖移動剤の使用量は、単量体混合物100質量部に対して0〜3質量部程度であることが好ましい。
【0027】
重合温度は、一般に30〜120℃の範囲であり、重合開始剤の半減温度などを考慮して適宜決定すればよい。
【0028】
上述のような方法で得られる重合体の粘度に関しては、重合体の10質量%水溶液の粘度が25℃で500〜1500mPa・sであることが好ましい。この粘度が1500mPa・s以下であれば、分散剤として懸濁重合に用いた場合、懸濁系が安定し、固化し難い傾向にある。また、500mPa・s以上であれば、その重合体を分散剤として懸濁重合に用いた場合、懸濁粒子表面の斥力が十分であり、乳化粉量が適度に抑制され、粗大粒子およびカレット生成量が抑制され、固化し難い傾向にある。この粘度は、さらに、600〜1500mPa・sであることが好ましく、特に好ましくは700〜1300mPa・sである。なお、上記の粘度はブルックフィールド粘度計(B型粘度計)(25℃、ローターNo.2)で測定した値である。
【0029】
以上説明した本発明の方法により得られる重合体、すなわち、不純物としての過酸化物が0.5ppm以下の一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸誘導体を含む単量体を重合することにより得られる重合体は、懸濁重合用分散剤として非常に有用である。
【0030】
本発明の方法で得られる懸濁重合用分散剤を用いて懸濁重合できるビニル系単量体としては、ラジカル重合可能なものであれば特に制限はない。また、2種以上のビニル系単量体を用いて共重合してもよい。ビニル系単量体の具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリフルオロエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類;などが挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸エステルを主成分(50質量%以上)とする単量体の懸濁重合において、本発明の方法で得られた懸濁重合用分散剤を用いると、懸濁系を安定に維持するという効果が顕著になる。
【0031】
さらに、本発明の方法で得られる重合体を、ビニル系単量体の懸濁重合のための分散剤として用いる場合、重合体は、通常、ビニル系単量体100質量部あたり0.005〜5質量部の量で使用される。この量は、懸濁重合されるビニル系単量体の組成や、懸濁重合によって得られるビーズの目標粒子径によって、便宜、調整できる。懸濁重合においては、必要に応じて他の分散剤を併用してもよい。
【0032】
本発明で得られる懸濁重合用分散剤を用いた懸濁重合において、さらに、所望に応じて公知の添加剤、例えば、染料、顔料等の着色剤、可塑剤、離型剤、紫外線吸収剤等の光安定剤などを添加することも可能である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。また、実施例および比較例における物性の評価は、以下に示す方法で実施した。
(1)過酸化物量の測定
試料中の過酸化物をo−トリジン二塩酸塩で発色させ吸光度を測定し、予め作成した検量線により過酸化物量を算出した。
(2)分散剤水溶液の粘度
10質量%水溶液における粘度を、ブルックフィールド粘度計(B型粘度計)(25℃、ローターNo.2)を用いて測定した。
(3)ビーズ状重合体の凝集状態
得られたビーズ状重合体を80℃で16時間乾燥した後、ビーズ状重合体が凝集しているか以下の基準にて目視評価した。
○:凝集なし
△:やや凝集している
×:激しく凝集している
(4)ビーズ状重合体の質量平均粒子径
懸濁重合後のスラリーの粒度分布を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置[(株)堀場製作所製、LA−910]を用いて測定した。
(5)重合廃液中の乳化粒子質量(100μmパス分)
懸濁重合後のスラリーを、目開き100μmのナイロンメッシュにて濾過し、その濾液を蒸発乾固し、得られた残存量を対仕込み単量体質量%として算出した。
(6)粗大粒子の生成量:
100μmのナイロンメッシュにて捕捉した重合体を乾燥し、目開き1400μmの篩にて篩別し、その捕捉(on)分の重合体粒子質量を対仕込み単量体質量%として算出した。
【0034】
[製造例1:メタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの製造]
攪拌機を備えた反応容器中において、メタクリル酸53質量%とイセチオン酸ナトリウム47質量%との混合物100質量部に対して重合反応禁止剤としてヒドロキノン0.05質量部を添加し、さらに、p−キシレン250質量部中のp−トルエンスルホン酸5.2質量部を触媒として添加し、空気雰囲気下に共沸状態で9時間エステル化反応させた。得られたスラリーを冷却、濾過後、得られた固形分をアセトン1000質量部で洗浄した。洗浄後の固形分を脱イオン水30質量部に溶解後、アセトン500質量部を用いて再沈し、その後50mmHg、40℃で一晩乾燥させてメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを得た。得られたメタクリル酸2−スルホエチルナトリウム中の不純物としての過酸化物の量は、質量基準で0.23ppmであった。
【0035】
[製造例2:メタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの製造]
メタクリル酸とイセチオン酸ナトリウムとの混合物を反応させるに際し、ヒドロキノンを0.03質量部添加したこと以外は、製造例1と同様にしてメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを得た。得られたメタクリル酸2−スルホエチルナトリウム中の不純物としての過酸化物の量は、質量基準で0.7ppmであった。
【0036】
[実施例1:分散剤水溶液(A1)の製造]
製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウム73質量%、メタクリル酸カリウム12質量%、メタクリル酸メチル15質量%の単量体混合物100質量部と、脱イオン水900質量部とを、攪拌機を備えた反応容器に添加し、反応容器の内容物を窒素雰囲気下に攪拌しながら50℃に昇温し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1質量部を添加し、60℃に昇温した。重合開始剤を添加したと同時に滴下ポンプを使用し、0.3質量部/分の速度でメタクリル酸メチルの滴下を開始し、75分間連続的に滴下を行った。同温度で6時間攪拌を続けたところ、950mPa・sの粘度を呈する透明な重合体溶液が得られた。重合の間、水溶液は均一に保たれており、メタクリル酸メチルの油滴が懸濁状態で存在することは観測されなかった。これを分散剤水溶液(A1)とする。
【0037】
[比較例1:分散剤水溶液(A2)の製造]
製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの代わりに製造例2で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、200mPa・sの粘度を呈する透明な重合体溶液を得た。重合中、水溶液は均一に保たれていた。これを分散剤水溶液(A2)とする。
【0038】
[実施例2:分散剤水溶液(A3)の製造]
製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを3℃で2週間保管したところ、過酸化物が0.42ppmに増加した。そのメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様にして、550mPa・sの粘度を呈する透明な重合体溶液を得た。重合中、水溶液は均一に保たれていた。これを分散剤水溶液(A3)とする。
【0039】
[比較例2:分散剤水溶液(A4)の製造]
製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを3℃で4週間保管したところ、過酸化物は0.65ppmに増加した。そのメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様にして、300mPa・sの粘度を呈する透明な重合体溶液を得た。重合中、水溶液は均一に保たれていた。これを分散剤水溶液(A4)とする。
【0040】
[実験例1:分散剤水溶液(A1)を懸濁重合用分散剤として用いた重合反応]攪拌機を備えた反応容器中において、メタクリル酸メチル97質量%、アクリル酸メチル3質量%の単量体混合物100質量部に、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン0.2質量部を加え、攪拌溶解した。また、別の容器に懸濁安定剤(懸濁重合用分散剤)として、実施例1で得た分散剤水溶液(A1)(純分10質量%)0.1質量部、硫酸ナトリウム0.35質量部を脱イオン水200質量部に溶解させ、その後、攪拌機を備えた反応容器内に加えた。窒素置換しながら撹拌回転数200rpmで10分間撹拌を行った後、撹拌回転数を400rpmに変更し、窒素雰囲気中で75℃に加熱して重合を開始した。重合発熱ピークを温度記録計で確認し、その後95℃で30分間加熱した。懸濁重合中の油滴の分散安定性、得られたビーズの形状および質量平均粒子径、重合廃液中の乳化粒子質量、および粗大粒子の生成量を表1に示す。得られたビーズ状重合体は、均一球状で良好な粒子であった。このことから、実施例1で得た懸濁重合用分散剤は、分散性能が良好であることが判る。
【0041】
[実験例2:分散剤水溶液(A2)を懸濁重合用分散剤として用いた重合反応]実験例1で使用した懸濁用分散剤水溶液(A1)(純分10質量%)を比較例1で得た分散剤水溶液(A2)(純分10質量%)に変更したこと以外は、実験例1と同様にして懸濁重合を行った。懸濁重合中の油滴の分散安定性、得られたビーズの形状および質量平均粒子径、重合廃液中の乳化粒子質量、および粗大粒子の生成量を表1に示す。得られたビーズ状重合体は、一部凝集を起こし不均一な形状の粒子であった。また、水層中にも乳化粒子が存在しており、このことから、比較例1で得た懸濁重合用分散剤は、分散性能が劣ることが判る。
【0042】
[実験例3:分散剤水溶液(A3)を懸濁重合用分散剤として用いた重合反応]実験例1で使用した懸濁用分散剤水溶液(A1)(純分10質量%)を実施例2で得た分散剤水溶液(A3)(純分10質量%)に変更したこと以外は、実験例1と同様にして懸濁重合を行った。懸濁重合中の油滴の分散安定性、得られたビーズの形状および質量平均粒子径、重合廃液中の乳化粒子質量、および粗大粒子の生成量を表1に示す。得られたビーズ状重合体は、均一球状で良好な粒子であった。このことから、実施例2で得た懸濁重合用分散剤は、分散性能が良好であることが判る。
【0043】
[実験例4: 分散剤水溶液(A4)を懸濁重合用分散剤として用いた重合反応]実験例1で使用した懸濁用分散剤水溶液(A1)(純分10質量%)を比較例2で得た分散剤水溶液(A4)(純分10質量%)に変更したこと以外は、実験例1と同様にして懸濁重合を行った。懸濁重合中の油滴の分散安定性、得られたビーズの形状および質量平均粒子径、重合廃液中の乳化粒子質量、および粗大粒子の生成量を表1に示す。得られたビーズ状重合体は、一部凝集を起こし不均一な形状の粒子であった。また、水層中にも乳化粒子が存在しており、このことから、比較例2で得た懸濁重合用分散剤は、分散性能が劣ることが判る。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、親水性を付与するスルホン酸基を側鎖に有する特定構造の単量体あるいは単量体混合物を重合して、懸濁重合用分散剤を構成する重合体を製造するに際し、親水性を付与するスルホン酸基を側鎖に有する特定構造の単量体に含有される不純物としての過酸化物の量を制限することにより、重合時の懸濁系に優れた安定性をもたらす懸濁重合分散剤を安定的に得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、懸濁重合における分散剤、特に、ビニル系単量体の懸濁重合における分散剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、(メタ)アクリル酸エステル等のビニル系単量体を懸濁重合する方法に関して、多数の提案がなされている。特に、重合中の懸濁状態を安定に保つための分散剤として各種の物質が提案されており、そのような分散剤としては、例えば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、澱粉末シリカ等の水難溶性無機化合物;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロース誘導体等のノニオン系高分子化合物;ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステルとメタクリル酸およびその塩との共重合体等のアニオン系高分子化合物;などが知られている。
【0003】
しかしながら、分散剤として上述の無機化合物を用いた場合には、懸濁安定性を維持するためには比較的多量の分散剤が必要となる。結果として、懸濁重合により得られる重合体が着色したり、又は、純度が低くなるなどの問題があり、さらには、重合体の洗浄に煩雑な操作が必要となることが多い。
【0004】
また、ノニオン系高分子化合物を用いた場合にも、多量の分散剤が必要となることから、重合系の安定性や重合体の着色などの問題が残る。それらの問題点を解決する手段として、メタクリル酸エステル単量体の懸濁重合において、ポリアクリル酸およびその塩やポリメタクリル酸およびその塩などのアニオン系高分子化合物を分散剤として用いることが提案されている。しかし、この場合、水溶性を付与する官能基がカルボキシル基であるため、pHが酸性側では分散剤として機能せず、適当な緩衝剤を併用するなどの必要がある。そのため、上記アニオン系高分子化合物にpHの影響を受けにくいスルホン酸基等の親水性官能基を導入する試みがなされている(特許文献1及び2)。
【0005】
しかしながら、この方法によれば、確かに重合系のpHの影響を受けにくく着色や純度への影響が低減されるものの、得られる重合体からなる分散剤の品質安定性が十分でないために、懸濁系の安定性に関して十分な性能を有する分散剤を安定に得ることが困難であった。
【特許文献1】
特公昭51−43877号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開平1−168702号公報(請求項1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これら従来技術の課題を解決すべくなされたものである。すなわち本発明の目的は、重合時に懸濁系に優れた安定性をもたらす懸濁重合用分散剤を安定的に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の単量体を重合して懸濁重合用分散剤を得るに際し、前記一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物としての過酸化物が懸濁重合用分散剤の品質安定性を低下させる物質であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記一般式(I)
【化4】
【0009】
(式中、R1はHまたはCH3を、R2およびR3はH、CH3、またはC2H5を、Xは−O−、−NH−、または−N(CH3)−を、M1はH、リチウム、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウム塩を、nは0〜3の整数を示す。)
で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体100〜10質量%と、これと共重合可能な他のビニル系単量体0〜90質量%とからなる混合物を重合して重合体を形成することを含む、前記重合体からなる懸濁重合用分散剤の製造方法において、上記一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物としての過酸化物の量が、前記(メタ)アクリル酸誘導体の質量を基準として0.5ppm以下であることを特徴とする懸濁重合用分散剤の製造方法である。ここでの過酸化物量は、試料中の過酸化物をo−トリジン二塩酸塩で発色させたときの吸光度を測定し、予め作成した検量線により算出したものである。
【0010】
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称である。また、本発明においては懸濁重合用分散剤に好適な重合体が共重合体であっても、便宜的に重合体と称する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の方法により得られる懸濁重合用分散剤を構成する重合体は、前記一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体100〜10質量%と、これと共重合可能な他のビニル系単量体0〜90質量%とからなる混合物を重合する懸濁重合用分散剤の製造において、前記一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物としての過酸化物が上記(メタ)アクリル酸誘導体の質量を基準として0.5ppm以下としたものを用いることで得られる。なお、本発明においては、一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体100質量%からなる単一均質であっても、便宜的に「混合物」とか「単量体混合物」と称する。
【0012】
前記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸誘導体としては、具体的には各種の単量体が挙げられるが、それらの(メタ)アクリル酸誘導体は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。それらの(メタ)アクリル酸誘導体の中で好適な具体例としては、メタクリル酸2−スルホエチルのナトリウム塩またはカリウム塩、メタクリル酸2−スルホプロピルのナトリウム塩またはカリウム塩等が挙げられる。
【0013】
共重合可能な他のビニル系単量体としては、水溶液中でラジカル重合可能な一般のビニル化合物であれば特に制限は無い。また、共重合可能な他のビニル系単量体を二種以上用いることもできる。その場合はそれら二種以上のビニル系単量体が互いに共重合可能であればよい。なお、本発明においては、メタクリル酸誘導体やメタクリル酸エステルも、便宜的にビニル系単量体と称する。
【0014】
他のビニル系単量体としては、例えば、下記一般式(II)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体、下記一般式(III)表わされる(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0015】
【化5】
【0016】
(式中、R4はHまたはCH3を、M2はH、リチウム、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウム塩を示す。)
【0017】
【化6】
【0018】
(式中、R5はHまたはCH3を、R6は炭素数1〜12のアルキル基を示す。)一般式(II)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体の好適な具体例としては、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム等が挙げられ、その中で特に好ましいのは、メタクリル酸カリウムである。
【0019】
一般式(III)で表される(メタ)アクリル酸エステルの好適な具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられ、その中で特に好ましいのは、メタクリル酸メチルである。また、その他のビニル系単量体として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類;などを用いることもできる。
【0020】
本発明において、一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物としての過酸化物の量は、0.5ppm以下にする必要がある。一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物過酸化物が0.5ppm以下であると、得られる懸濁重合用分散剤の品質が安定になり、そしてこの懸濁重合用分散剤を用いた懸濁重合では、得られるビーズ状重合体の凝集が見られなくなり、分散剤としての性能が十分満足するものになる。
【0021】
一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体中に含有される不純物としての過酸化物の量を0.5ppm以下にするために使用できる方法は以下のとおりである。過酸化物を含む(メタ)アクリル酸誘導体を脱イオン水などの溶媒に溶解させた後、アセトンなどの非溶媒で再沈して精製することにより、過酸化物の濃度を0.5ppm以下に低下させることができる。また、(メタ)アクリル酸誘導体中の過酸化物量は常温における時間の経過に伴い、上昇する傾向があるので、低温(例えば、3℃以下)で保管することにより、過酸化物の濃度の上昇を抑制することができる。
【0022】
本発明で得られる懸濁重合用分散剤を構成する重合体の好ましい単量体組成は、一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体が100〜10質量%、より好ましくは90〜20質量%、共重合可能な他のビニル系単量体が0〜90質量%、より好ましくは10〜80質量%である。一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体が10質量%以上、他のビニル系単量体の量が90質量%以下であると、得られる重合体の親水性が十分にあり、これを分散剤として懸濁重合に使用すると懸濁系が安定になり、さらには、特に低pH領域およびpH変化を伴う懸濁重合に使用することが可能になる。
【0023】
本発明の方法において、懸濁重合用分散剤を構成する重合体を得る為の重合は、実質的に均一な水溶液中で行うことが好ましい。有機溶媒あるいは有機溶媒と水との混合溶媒中で重合を行って得た重合体では、これを水系懸濁重合の分散剤として使用する場合、その有機溶媒あるいは有機溶媒と水を除去する為の煩雑な操作が必要となり、また、水系懸濁重合の目的物に異物やゴミあるいは残存溶媒が混入する可能性がある。
【0024】
本発明の方法における重合において、単量体相と水相の質量比率は、1/5以下とすることが好ましい。単量体相と水相の質量比率が1/5以下であれば、水溶液の粘度が高くなり過ぎず、重合温度を均一に保つことが容易になる。さらに、溶解度の小さい単量体を用いた場合でも単量体濃度の制限が少なくかつ単量体の拡散速度や重合速度への影響を小さくするために、単量体相と水相の質量比率を1/10以下にすることが好ましい。また、単量体相と水相の質量比率は1/15以上であれば、生産性、経済性の点から有利であり好ましい。
【0025】
本発明の方法に用いる重合開始剤は、特に限定されないが、例えば、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩等の水溶性過酸化物や2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド等の水溶性アゾ化合物等を挙げることができる。これらの開始剤の使用量は、上記単量体混合物100質量部に対して0.005〜5質量部であることが好ましい。
【0026】
また、重合開始剤の他に、例えば、重合度を調節する目的でメルカプタン等の連鎖移動剤を添加することもできる。具体的には、メルカプトエタノール等の水溶性メルカプタンを用いることができる。連鎖移動剤の使用量は、単量体混合物100質量部に対して0〜3質量部程度であることが好ましい。
【0027】
重合温度は、一般に30〜120℃の範囲であり、重合開始剤の半減温度などを考慮して適宜決定すればよい。
【0028】
上述のような方法で得られる重合体の粘度に関しては、重合体の10質量%水溶液の粘度が25℃で500〜1500mPa・sであることが好ましい。この粘度が1500mPa・s以下であれば、分散剤として懸濁重合に用いた場合、懸濁系が安定し、固化し難い傾向にある。また、500mPa・s以上であれば、その重合体を分散剤として懸濁重合に用いた場合、懸濁粒子表面の斥力が十分であり、乳化粉量が適度に抑制され、粗大粒子およびカレット生成量が抑制され、固化し難い傾向にある。この粘度は、さらに、600〜1500mPa・sであることが好ましく、特に好ましくは700〜1300mPa・sである。なお、上記の粘度はブルックフィールド粘度計(B型粘度計)(25℃、ローターNo.2)で測定した値である。
【0029】
以上説明した本発明の方法により得られる重合体、すなわち、不純物としての過酸化物が0.5ppm以下の一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸誘導体を含む単量体を重合することにより得られる重合体は、懸濁重合用分散剤として非常に有用である。
【0030】
本発明の方法で得られる懸濁重合用分散剤を用いて懸濁重合できるビニル系単量体としては、ラジカル重合可能なものであれば特に制限はない。また、2種以上のビニル系単量体を用いて共重合してもよい。ビニル系単量体の具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリフルオロエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類;などが挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸エステルを主成分(50質量%以上)とする単量体の懸濁重合において、本発明の方法で得られた懸濁重合用分散剤を用いると、懸濁系を安定に維持するという効果が顕著になる。
【0031】
さらに、本発明の方法で得られる重合体を、ビニル系単量体の懸濁重合のための分散剤として用いる場合、重合体は、通常、ビニル系単量体100質量部あたり0.005〜5質量部の量で使用される。この量は、懸濁重合されるビニル系単量体の組成や、懸濁重合によって得られるビーズの目標粒子径によって、便宜、調整できる。懸濁重合においては、必要に応じて他の分散剤を併用してもよい。
【0032】
本発明で得られる懸濁重合用分散剤を用いた懸濁重合において、さらに、所望に応じて公知の添加剤、例えば、染料、顔料等の着色剤、可塑剤、離型剤、紫外線吸収剤等の光安定剤などを添加することも可能である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。また、実施例および比較例における物性の評価は、以下に示す方法で実施した。
(1)過酸化物量の測定
試料中の過酸化物をo−トリジン二塩酸塩で発色させ吸光度を測定し、予め作成した検量線により過酸化物量を算出した。
(2)分散剤水溶液の粘度
10質量%水溶液における粘度を、ブルックフィールド粘度計(B型粘度計)(25℃、ローターNo.2)を用いて測定した。
(3)ビーズ状重合体の凝集状態
得られたビーズ状重合体を80℃で16時間乾燥した後、ビーズ状重合体が凝集しているか以下の基準にて目視評価した。
○:凝集なし
△:やや凝集している
×:激しく凝集している
(4)ビーズ状重合体の質量平均粒子径
懸濁重合後のスラリーの粒度分布を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置[(株)堀場製作所製、LA−910]を用いて測定した。
(5)重合廃液中の乳化粒子質量(100μmパス分)
懸濁重合後のスラリーを、目開き100μmのナイロンメッシュにて濾過し、その濾液を蒸発乾固し、得られた残存量を対仕込み単量体質量%として算出した。
(6)粗大粒子の生成量:
100μmのナイロンメッシュにて捕捉した重合体を乾燥し、目開き1400μmの篩にて篩別し、その捕捉(on)分の重合体粒子質量を対仕込み単量体質量%として算出した。
【0034】
[製造例1:メタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの製造]
攪拌機を備えた反応容器中において、メタクリル酸53質量%とイセチオン酸ナトリウム47質量%との混合物100質量部に対して重合反応禁止剤としてヒドロキノン0.05質量部を添加し、さらに、p−キシレン250質量部中のp−トルエンスルホン酸5.2質量部を触媒として添加し、空気雰囲気下に共沸状態で9時間エステル化反応させた。得られたスラリーを冷却、濾過後、得られた固形分をアセトン1000質量部で洗浄した。洗浄後の固形分を脱イオン水30質量部に溶解後、アセトン500質量部を用いて再沈し、その後50mmHg、40℃で一晩乾燥させてメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを得た。得られたメタクリル酸2−スルホエチルナトリウム中の不純物としての過酸化物の量は、質量基準で0.23ppmであった。
【0035】
[製造例2:メタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの製造]
メタクリル酸とイセチオン酸ナトリウムとの混合物を反応させるに際し、ヒドロキノンを0.03質量部添加したこと以外は、製造例1と同様にしてメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを得た。得られたメタクリル酸2−スルホエチルナトリウム中の不純物としての過酸化物の量は、質量基準で0.7ppmであった。
【0036】
[実施例1:分散剤水溶液(A1)の製造]
製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウム73質量%、メタクリル酸カリウム12質量%、メタクリル酸メチル15質量%の単量体混合物100質量部と、脱イオン水900質量部とを、攪拌機を備えた反応容器に添加し、反応容器の内容物を窒素雰囲気下に攪拌しながら50℃に昇温し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1質量部を添加し、60℃に昇温した。重合開始剤を添加したと同時に滴下ポンプを使用し、0.3質量部/分の速度でメタクリル酸メチルの滴下を開始し、75分間連続的に滴下を行った。同温度で6時間攪拌を続けたところ、950mPa・sの粘度を呈する透明な重合体溶液が得られた。重合の間、水溶液は均一に保たれており、メタクリル酸メチルの油滴が懸濁状態で存在することは観測されなかった。これを分散剤水溶液(A1)とする。
【0037】
[比較例1:分散剤水溶液(A2)の製造]
製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの代わりに製造例2で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、200mPa・sの粘度を呈する透明な重合体溶液を得た。重合中、水溶液は均一に保たれていた。これを分散剤水溶液(A2)とする。
【0038】
[実施例2:分散剤水溶液(A3)の製造]
製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを3℃で2週間保管したところ、過酸化物が0.42ppmに増加した。そのメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様にして、550mPa・sの粘度を呈する透明な重合体溶液を得た。重合中、水溶液は均一に保たれていた。これを分散剤水溶液(A3)とする。
【0039】
[比較例2:分散剤水溶液(A4)の製造]
製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを3℃で4週間保管したところ、過酸化物は0.65ppmに増加した。そのメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムを製造例1で得たメタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様にして、300mPa・sの粘度を呈する透明な重合体溶液を得た。重合中、水溶液は均一に保たれていた。これを分散剤水溶液(A4)とする。
【0040】
[実験例1:分散剤水溶液(A1)を懸濁重合用分散剤として用いた重合反応]攪拌機を備えた反応容器中において、メタクリル酸メチル97質量%、アクリル酸メチル3質量%の単量体混合物100質量部に、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン0.2質量部を加え、攪拌溶解した。また、別の容器に懸濁安定剤(懸濁重合用分散剤)として、実施例1で得た分散剤水溶液(A1)(純分10質量%)0.1質量部、硫酸ナトリウム0.35質量部を脱イオン水200質量部に溶解させ、その後、攪拌機を備えた反応容器内に加えた。窒素置換しながら撹拌回転数200rpmで10分間撹拌を行った後、撹拌回転数を400rpmに変更し、窒素雰囲気中で75℃に加熱して重合を開始した。重合発熱ピークを温度記録計で確認し、その後95℃で30分間加熱した。懸濁重合中の油滴の分散安定性、得られたビーズの形状および質量平均粒子径、重合廃液中の乳化粒子質量、および粗大粒子の生成量を表1に示す。得られたビーズ状重合体は、均一球状で良好な粒子であった。このことから、実施例1で得た懸濁重合用分散剤は、分散性能が良好であることが判る。
【0041】
[実験例2:分散剤水溶液(A2)を懸濁重合用分散剤として用いた重合反応]実験例1で使用した懸濁用分散剤水溶液(A1)(純分10質量%)を比較例1で得た分散剤水溶液(A2)(純分10質量%)に変更したこと以外は、実験例1と同様にして懸濁重合を行った。懸濁重合中の油滴の分散安定性、得られたビーズの形状および質量平均粒子径、重合廃液中の乳化粒子質量、および粗大粒子の生成量を表1に示す。得られたビーズ状重合体は、一部凝集を起こし不均一な形状の粒子であった。また、水層中にも乳化粒子が存在しており、このことから、比較例1で得た懸濁重合用分散剤は、分散性能が劣ることが判る。
【0042】
[実験例3:分散剤水溶液(A3)を懸濁重合用分散剤として用いた重合反応]実験例1で使用した懸濁用分散剤水溶液(A1)(純分10質量%)を実施例2で得た分散剤水溶液(A3)(純分10質量%)に変更したこと以外は、実験例1と同様にして懸濁重合を行った。懸濁重合中の油滴の分散安定性、得られたビーズの形状および質量平均粒子径、重合廃液中の乳化粒子質量、および粗大粒子の生成量を表1に示す。得られたビーズ状重合体は、均一球状で良好な粒子であった。このことから、実施例2で得た懸濁重合用分散剤は、分散性能が良好であることが判る。
【0043】
[実験例4: 分散剤水溶液(A4)を懸濁重合用分散剤として用いた重合反応]実験例1で使用した懸濁用分散剤水溶液(A1)(純分10質量%)を比較例2で得た分散剤水溶液(A4)(純分10質量%)に変更したこと以外は、実験例1と同様にして懸濁重合を行った。懸濁重合中の油滴の分散安定性、得られたビーズの形状および質量平均粒子径、重合廃液中の乳化粒子質量、および粗大粒子の生成量を表1に示す。得られたビーズ状重合体は、一部凝集を起こし不均一な形状の粒子であった。また、水層中にも乳化粒子が存在しており、このことから、比較例2で得た懸濁重合用分散剤は、分散性能が劣ることが判る。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、親水性を付与するスルホン酸基を側鎖に有する特定構造の単量体あるいは単量体混合物を重合して、懸濁重合用分散剤を構成する重合体を製造するに際し、親水性を付与するスルホン酸基を側鎖に有する特定構造の単量体に含有される不純物としての過酸化物の量を制限することにより、重合時の懸濁系に優れた安定性をもたらす懸濁重合分散剤を安定的に得ることができる。
Claims (2)
- 下記一般式(I)
で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体100〜10質量%と、これと共重合可能な他のビニル系単量体0〜90質量%とからなる混合物を重合して重合体を形成することを含む、前記重合体からなる懸濁重合用分散剤の製造方法において、上記一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸誘導体に含有される不純物としての過酸化物の量が、前記(メタ)アクリル酸誘導体の質量を基準として0.5ppm以下であることを特徴とする懸濁重合用分散剤の製造方法。
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