JP2006282711A - 透明樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
優れた表面硬度、耐擦傷性、耐摩耗性を保有しつつ、皮脂や化粧品など実用上の汚れが付着しにくく、かつ良好に印刷加飾も施すことができるハードコート塗膜が形成された透明樹脂成形体を提供する
【解決手段】
透明樹脂基材上に、多官能オリゴマーと、多官能モノマ−および/または単官能モノマーとからなり平均官能基数3.4以上の紫外線硬化型樹脂からなる塗膜を形成し、該塗膜の表面エネルギーを32〜40mN/mとする。
【選択図】なし
Description
本発明で用いられる多官能オリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートやポリエステルアクリレートなどが使用可能である。
本発明に使用できる多官能アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートをあげることができる。
単官能モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、アクリロイルモルフォリン、Nビニルピロリドン、Nビニルホルムアミド、イソボロニルアクリレートなどが挙げられる。
<多官能オリゴマー>
(I)脂肪族系6官能ウレタンアクリレート(商品名:EB1290、ダイセルユーシービー社製)
(II)2官能のビスフェノールAエポキシアクリレート(商品名EB3700 ダイセルユーシービー社製)
<多官能モノマー>
(I)4官能のペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:PETA-K ダイセルユーシービー社製)
(II)2官能のエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(商品名:A−BPE−4 新中村化学工業社製)
(III)2官能のノナンジオールジアクリレート(商品名:A−NOD 新中村化学工業社製)
<単官能モノマー>
Nビニルホルムアミド(商品名:ビームセット770 荒川化学社製)
<変性シリコーン系表面調整剤>
ポリエーテル変性ジメチルシロキサン(商品名:BYK307、ビックケミー社製)
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた1リットルの四つ口フラスコにトリレンジイソシアネート(TDI)150部と平均分子量400のポリオキシエチレンジオール350部を仕込み、窒素雰囲気下80℃で5時間反応させた。その後、40℃迄冷却し、次に2−ヒドロキシエチルアクリレートを150部加え、空気雰囲気下80℃で4時間反応させ、2官能のウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
表1〜2に示す通りに多官能オリゴマーなどを配合し、不揮発分の濃度が溶液中20重量%となるように、イソプロピルアルコールと酢酸ブチルの50:50混合希釈溶剤で希釈した。この際、予めイソプロピルアルコールに溶解させた光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティケミカルズ社製)を不揮発分比5重量%となるように希釈溶剤の一部として添加した。さらに、不揮発分に対し0.01重量%のシリコーン系表面調整剤を添加した。組成物は充分に攪拌混合した後、密閉容器に保存した。
<表面エネルギー>
JISK6768に従い、市販の表面エネルギー測定用の試薬(商品名:ぬれ試験用試薬、和光純薬工業社製)を用いて塗膜の表面エネルギーを測定。
<汚れにくさI>
化粧品などを想定した実使用上の汚れにくさとして、マジックペン(商品名:マッキー ゼブラ社製)を使用し、塗膜表面に直径2cmほどの円を描き、30秒後、描かれた円またはマジックインキがはじかれて破線状にのこった跡を、イソプロパノールを含ませたティッシュペーパーで拭き取り、外観を目視により観察し、以下の通り評価した。
○:マジックペンにより描かれた円や破線となって残った跡が、簡単に拭き取れ、元通りの外観に戻ることができたもの/実用上優れるもの
△:マジックペンにより描かれた円や破線となって残った跡が、簡単に拭き取れず、うっすらと跡が残ったもの/実用上問題があるもの
×: マジックペンにより描かれた円や破線となって残った跡が、ほとんど拭き取れず、跡が残ったもの/実用上劣るもの
<汚れにくさII>
実使用上の皮脂などの油汚れの付着性および拭き取り性の評価として、綿棒を食用オリーブオイルに浸し、表面に直径1cmほどに薄く塗り拡げ、30秒後に、乾いたガーゼを用い拭き取り、拭き取り後の試料表面を目視により、観察し以下の通りに評価した。
○:拭き取り3往復後、表面に油膜がなく、完全に拭き取れたもの/実用上優れる
△:拭き取り3往復後、表面にうっすらと油膜が残るもの/実用上問題がある
×:拭き取り3往復後、表面に油が塗り拡げられ、完全な油膜となるもの/実用上劣るもの
<印刷性>
市販の2液型インク(商品名:HAC、セイコーアドバンス社製)を用い、T−270スクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法により、塗膜表面に2cm X 5cmのべた印刷を行い、80℃の熱風循環オーブン中で30分間乾燥させた後、25升目の碁盤目テープ法(JIS K5400に準拠)を行い次の通りに評価した。
○:1升目も剥離せずに印刷が密着しており、その後、爪でこすっても剥離が発生しないもの/実用上印刷可能である
×:1升目以上の剥離が生じるか、剥離が生じない場合でも、その後に爪でこすることで剥離が生じるもの/実用上印刷性が劣る
<鉛筆硬度>
ASTM D3363に準じて、各種硬度の鉛筆(商品名:ユニ 三菱鉛筆社製)を用い試験を行い硬度を判定した。
<耐摩耗性>
ASTM D1044に準じて、テーバー式摩耗試験(CS10F摩耗輪、荷重500g、100回転)を行い、発生したヘーズにより次のように評価した。
○:ヘーズの増分が10%未満/実用上優れる
△:ヘーズの増分が以上10%以上15%未満/実用上十分だが、用途が制限される
×:ヘーズの増分が15%超/実用上劣る
<耐擦傷性>
スチールウール#000を用い、直径30mmの保持具に取り付け、一定加重500gにて100往復した後、試料表面の傷の有無を目視により観察し、以下の通り評価した。
○:まったく傷がつかない/実用上優れる
△:数本の傷が発生した/実用上十分だが、用途が制限される
×:全体に傷が発生した/実用上劣るもの
表1に示す通りに多官能オリゴマー、多官能モノマーを配合し、さらに分子量1万で、1分子中に水酸基を平均4つ含有する、セルロースアセテートプロピオネート(商品名:CAP504 イーストマン社製)を不揮発分に対し5重量%添加した以外は実施例1と同様にしてハードコート塗膜が形成された透明樹脂成形体を得、同様の評価を行いその結果を表1に示す。
<実施例5>
表1に示す通りに多官能オリゴマー、多官能モノマーを配合し、実施例1と同様にしてハードコート塗膜が形成された透明樹脂成形体を得た。この塗膜にコロナ放電処理し、処理直後の表面エネルギー値が48mN/mとなった。その後1ヶ月間室内に放置し、放置後に再度表面エネルギー値を測定したところ35mN/mとなった。さらに3ヶ月経過後測定したところ、34mN/mとなっており、安定した状態となった。この成形体について、実施例1と同様に評価を行い、その結果を表1に示す。
<比較例3>
表2に示す通りに多官能オリゴマー、多官能モノマーを配合し、実施例1と同様にして透明樹脂成形体を得、同様の評価を行いその結果を表1に示す。
表1の通りに、多官能オリゴマー等を配合し、さらに数平均分子量600のポリエチレングリコール(商品名:ポリエチレングリコール600、関東化学社製)を不揮発分に対し1重量%添加した以外は、実施例1と同様に透明樹脂成形体を得、同様の評価を行った。
<比較例4〜5>
実施例6あるいは実施例7と同様にして(ただし、ポリエチレングリコールは添加せず)透明樹脂成形体を得た。
Claims (3)
- 透明樹脂基材上に、多官能オリゴマーと、多官能モノマ−および/または単官能モノマーとからなり平均官能基数3.4以上の紫外線硬化型樹脂からなる塗膜が形成された透明樹脂成形体であって、該塗膜の表面エネルギーが32〜40mN/mであることを特徴とする透明樹脂成形体。
- 多官能オリゴマーの少なくとも1種が、6官能以上のウレタンアクリレートである請求項1に記載の透明樹脂成形体。
- 多官能モノマーの少なくとも1種が、環状構造を有する2官能アクリレートである請求項1または請求項2に記載の透明樹脂成形体。
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