JP5861366B2 - 樹脂積層体および紫外線硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
これらの用途において、樹脂積層体に用いられる樹脂としてはアクリル樹脂、ポリエチレンフタレート樹脂などに代表される熱可塑性樹脂が用いられる。中でもポリカーボネート樹脂はその透明性、耐熱性、耐湿熱性、加工性及び機械的強度等に優れているため、前述の通り広く利用されている。しかしながら、表面が軟らかく傷が付きやすいため、通常、ポリカーボネート樹脂の表面は傷付きや摩耗を防ぐ目的で、ハードコート処理が成されている。
ハードコート処理が施されたポリカーボネート樹脂板は、太陽光や室内の蛍光灯の光で膜表面と基材表面の反射光が干渉を起こし、リング状や筋状の虹色の干渉縞が見えることがあり、各種表示体保護板用途では重大な障害となっていた。特に三波長形蛍光灯の光でハードコート層を有するポリカーボネート樹脂積層体の反射光を見ると青、緑、赤の干渉縞がよりはっきりと認識され易く、三波長形蛍光灯でも干渉縞が観察されないハードコート層を有するポリカーボネート樹脂積層体が望まれている。
かかる課題を解決する手法としては、ハードコート層の表面もしくはポリカーボネート樹脂層とハードコート層との界面に凹凸形状を付与し、反射光を拡散させることが知られているが、透明性が損なわれる欠点があった。
また、ポリカーボネート樹脂とハードコート層の屈折率差を低減させる目的で、例えばハードコート層に、分子内の一部をハロゲン化あるいはスルフィド化した高屈折率アクリレートモノマーを添加することでハードコート層の屈折率を向上させる手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この手法では全体の架橋密度が下がるために耐摩耗性が低下する欠点があった。
一方で、酸化スズや酸化ジルコニウムや酸化アンチモンなどの高屈折率フィラーを用いる手法ではフィラーによる拡散反射により、透明性が損なわれるといった欠点があった(例えば、特許文献2参照)。
[1] 樹脂プレートと、該樹脂プレートの表裏両面または片面にコーティングされたハードコート層と、から構成される樹脂積層体であって、
前記ハードコート層は、分子中に少なくとも2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)、アルミナ微粒子(B)、および、6官能以上のウレタンアクリレートオリゴマーと2官能以上のアクリレートモノマーを含む紫外線硬化性樹脂(C)の硬化物よりなる樹脂積層体。
[2] 前記分子中に少なくとも2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)が、ハードコート層の(A)成分と紫外線硬化性樹脂(C)との合計100重量部に対して、10重量部以上50重量部以下である[1]記載の樹脂積層体。
[3] 前記アルミナ微粒子(B)の粒子径が、10nm以上100nm以下である[1]または[2]に記載の樹脂積層体。
[4] 前記樹脂プレートが、ポリカーボネート樹脂である[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の樹脂積層体。
[5] [1]乃至[4]のいずれか1項に記載の樹脂積層体のハードコート層に用いられる、紫外線硬化性樹脂組成物。
[6] 前記樹脂組成物は、分子中に少なくとも2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)、アルミナ微粒子(B)、および、6官能以上のウレタンアクリレートオリゴマーと2官能以上のアクリレートモノマーを含む紫外線硬化性樹脂(C)を含む[5]に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
上記ハードコート層は、分子中に少なくとも2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)、アルミナ微粒子(B)、および、6官能以上のアクリレートオリゴマーと2官能以上のアクリレートモノマーを含む紫外線硬化性樹脂(C)の硬化物である。
フェニル−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[アリール−((メタ)アクリロイルオキシアルコキシ)フェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[フェニル−((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン};9,9−ビス[3,5−ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ又はトリ((メタ)アクリロイルオキシアルコキシ)フェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[ジ又はトリ((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン;これらの化合物において環Z1及びZ2がナフチル基である化合物{例えば、9,9−ビス[5−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[((メタ)アクリロイルオキシアルコキシ)ナフチル]フルオレン[例えば、9,9−ビス[((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシ)ナフチル]フルオレンなどが挙げられる。
本発明で用いられる分子中に少なくとも2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)の数平均分子量は、300以上1500以下の範囲であるのが好ましい。
ウレタンアクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールとジイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーの反応により得られる。
エポキシアクリレートオリゴマーは、例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応により得られる。
ポリエステルアクリレートオリゴマーは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーを得、次いで、その両末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
上記ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーとの反応生成物であり、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールが挙げられる。
常に好ましい。これは、6官能以上のウレタンアクリレートを使用することで、硬度や耐摩耗性といったハードコート塗膜としての性能を実現しながら、高架橋度を達成し、かつ高架橋時に発生してしまう硬化収縮が他の多官能オリゴマーと比較的し少ないからである。
ウレタンアクリレートオリゴマーの作製に用いられるポリエステルポリオールの製造方法は特に限定されず、公知の製造方法を採用し得ることができる。
例えば、ジオールとジカルボン酸もしくはジカルボン酸クロライドとを重縮合反応させても、ジオールまたはジカルボン酸をエステル化して、エステル交換反応させてもよい。ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等。ジオールとしてはエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等が用いられる。
直鎖式または環式の脂肪族ジイソシアネートの代表的なものとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
エチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、アクリロイルモルフォリン、Nビニルピロリドン、Nビニルホルムアミド、イソボロニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化シクロヘサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどを挙げることができる。
これらの中でも、特に環状構造を有する2官能アクリレートを用いることが望ましい。こうすることで、特にハードコート層の硬度や耐摩耗性、耐熱性を高くすることができる。
5官能以上の紫外線硬化性モノマーまたはその2量体以上の化合物としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレートなどが挙げられる。
光重合開始剤は、紫外線照射によって紫外線硬化性樹脂の反応(重合)を開始させるために樹脂組成物に添加されるものであり、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインまたはベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸などの芳香族ケトン類、ベンジルなどのアルファージカルボニル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、アセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフ
ェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル-プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1などのアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、
2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのフォスフィンオキサイド類、
1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−[o−エトキシカルボニル]オキシムなどの
アルファーアシルオキシム類、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルなどのアミン類などを使用することができる。
光重合開始剤は、表面硬化性に優れるものと内部硬化性に優れるもの、2種以上を併用することが好ましい。
このシリコーン系表面調整剤としては、ポリジメチルシロキサンや、ポリジメチルシロキサンを変性した変性シリコーンなどが挙げられる。上前記変性シリコーンとしては、例えば、ポリエーテル変性体、アルキル変性体、ポリエステル変性体などが挙げられ、これらの中でもポリエーテル変性体が最も好適である。
この界面活性剤としては、以下のものが挙げられ、これらは、1種単独であっても2種以上であってもよい。
上記脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、アラキジン酸、リグノセリン酸などが挙げられる。
有機基としては、ポリエーテル基、ポリアルキル基、アラルキル基、ポリエステル基などが挙げられ、これらは、単独でもまたは2種類以上の組み合わせでもよい。
は例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシブタノールなどのグリコール系溶剤を単独または混合して使用できる。
溶剤成分を配合している紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、蒸発揮散に際しては樹脂プレートおよび雰囲気の温度を昇温させることでハードコート層を形成する。そして、紫外線照射には、一般の有電極型や無電極型の高圧紫外線灯やメタルハライドランプを使用することできる。
上記樹脂プレートに形成されるハードコート層の厚さは、2μm以上20μm以下の範囲になるのが好ましい。厚さが2μm未満では、十分な表面硬度が得られず、厚さが20μmを超える場合は、耐衝撃性が低下するからである。
ここで硬化の度合いは、赤外線吸光分析により反応基の残存量を測定することで定量化することができる。紫外線照射には、一般の有電極型や無電極型の高圧水銀灯やメタルハライドランプが使用可能である。また、100keV程度の低電圧の電子線照射装置も使用可能である。電子線を硬化手段とする場合は、先に例示したような重合開始剤は不要となる。
厚みを上記範囲とすることで、特に上記用途の表示窓保護板に必要とされる性能(耐衝撃性、加工性など)を維持しつつ、小型化、薄型化が可能であるため、好適に使用することができる。
また、デジタルカメラやハンドヘルドパソコン、PDA(Personal DateAssistance:携帯情報端末)、モバイルデジタルビデオディスクプレイヤー、携帯型ゲーム機の表示窓保護板など、耐摩耗性と意匠性が要求される分野の各種部材としても使用できる。
[参考例1]
2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)として、2官能フルオレンアクリレート(商品名:EA−F5503、大阪ガスケミカル社製)10重量部、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:EB1290、ダイセルサイテック社製、)80重量部、2官能アクリレートモノマー(商品名:A−BPE−4、新中村化学
工業社製)10重量部、紫外線硬化性樹脂となる成分の濃度が全体に対して30重量%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈した。ここへ、アルミナ微粒子(B)として、アルミナ微粒子(粒子径50nm)を紫外線硬化性樹脂比で1重量部、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを紫外線硬化性樹脂比5重量部、表面調整剤(商品名:グラノール450、共栄社化学社製)を紫外線硬化性樹脂比で0.05重量部添加し、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。紫外線硬化性樹脂組成物は充分に撹拌した後、密閉容器に保存した。
ここで、紫外線硬化性樹脂となる成分とは、2官能フルオレンアクリレート、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、2官能アクリレートモノマー、5官能以上の紫外線硬化性モノマーまたはその2量体以上の化合物であり、紫外線硬化性樹脂比とは、上記紫外線硬化性樹脂となる成分に対する比率とした。
樹脂プレートとして、厚さ0.8mmの透明ポリカーボネート樹脂プレート(住友ベークライト社製「ポリカエースEC105」)を準備し、バーコーターを用いて、ウェット膜厚が約33μmになるように前記作製した紫外線硬化性樹脂組成物を樹脂プレート上に塗布した。紫外線硬化性樹脂組成物を塗布した樹脂プレートを60℃の熱風循環型オーブンに入れ、10分間乾燥した後、80W/cmメタルハライドランプ(ウシオ電機社製)を用い、照射距離100mm、コンベア搬送速度10m/minの条件で紫外線を照射して塗膜を硬化させ、ドライ膜厚10μmのハードコート層を有するポリカーボネート樹脂積層体を作製した。
2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)を30重量部とし、6官能ウレタンアクリレートオリゴマーを60重量部とした以外は、参考例1と同様にして樹脂積層体を作製した。
[参考例3]
2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)を50重量部とし、6官能ウレタンアクリレートオリゴマーを40重量部とした以外は、参考例1と同様にして樹脂積層体を作製した。
[実施例4]
アルミナ微粒子(B)を0.2重量部とした以外は、実施例2と同様にして樹脂積層体を作製した。
アルミナ微粒子(B)を0.5重量部とした以外は、実施例2と同様にして樹脂積層体を作製した。
[実施例6]
アルミナ微粒子(B)を2重量部とした以外は、実施例2と同様にして樹脂積層体を作製した。
[実施例7]
アルミナ微粒子(B)を2.5重量部とした以外は、実施例2と同様にして樹脂積層体を作製した。
6官能ウレタンアクリレートオリゴマーを30重量部とし、その他の紫外線硬化性樹脂(C)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:A−DPH、新中村化学工業社製、6官能アクリレートオリゴマー)を30重量部とした以外は、実施例2と
同様にして樹脂積層体を作製した。
[参考例9]
2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)を15重量部とし、6官能ウレタンアクリレートオリゴマーを75重量部とした以外は、参考例1と同様にして樹脂積層体を作製した。
[参考例10]
2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)を45重量部とし、6官能ウレタンアクリレートオリゴマーを45重量部とした以外は、参考例1と同様にして樹脂積層体を作製した。
2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)を25重量部とし、6官能ウレタンアクリレートオリゴマーを55重量部とし、2官能アクリレートモノマーを20重量部とした以外は、参考例1と同様にして樹脂積層体を作製した。
[実施例12]
アルミナ微粒子(B)の粒子径を10nmとした以外は、実施例2と同様にして樹脂積層体を作製した。
[実施例13]
アルミナ微粒子(B)の粒子径を100nmとした以外は、実施例2と同様にして樹脂積層体を作製した。
2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)として、2官能フルオレンアクリレート(商品名:EA−F5503、大阪ガスケミカル社製)30重量部、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:EB1290、ダイセルサイテック社
製、)60重量部、2官能アクリレートモノマー(商品名:A−BPE−4、新中村化学工業社製、)10重量部、紫外線硬化性樹脂となる成分の濃度が全体に対して30重量%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈した。ここへ、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを5重量部、表面調整剤(商品名:グラノール450、共栄社化学社製)を紫外線硬化性樹脂比で0.05重量部添加し紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。紫外線硬化性樹脂組成物は充分に撹拌した後、密閉容器に保存した。
樹脂プレートとして、厚さ0.8mmの透明ポリカーボネート樹脂プレート(住友ベークライト社製「ポリカエースEC105」)を準備し、バーコーターを用いて、ウェット膜厚が約33μmになるように前記作製した紫外線硬化性樹脂組成物を樹脂プレート上に塗布した。紫外線硬化性樹脂組成物を塗布した樹脂プレートを60℃の熱風循環型オーブンに入れ、10分間乾燥した後、80W/cmメタルハライドランプ(ウシオ電機社製)を用い、照射距離100mm、コンベア搬送速度10m/minの条件で紫外線を照射して塗膜を硬化させ、ドライ膜厚10μmのハードコート層を有するポリカーボネート樹脂積層体を作製した。
ここで、紫外線硬化性樹脂となる成分とは、2官能フルオレンアクリレート、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、2官能アクリレートモノマー、5官能以上の紫外線硬化性モノマーまたはその2量体以上の化合物であり、紫外線硬化性樹脂比とは、上記紫外線硬化性樹脂となる成分に対する比率とした。
紫外線硬化性樹脂となる成分の濃度が全体に対して30重量%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈したところにシリカ微粒子(粒子径50nm)を紫外線硬化性樹脂比で1重量部添加した以外は、比較例1と同様にして樹脂積層体を作製した。
[比較例3]
2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)を0重量部とし、6官能ウレタンアクリレートオリゴマーを90重量部とし、紫外線硬化性樹脂となる成分の濃度が全体に対して30重量%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈したところにアルミナ微粒子(粒子径50nm)を紫外線硬化性樹脂比で1重量部添加した以外は、比較例1と同様にして樹脂積層体を作製した。
2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)を90重量部とし、6官能ウレタンアクリレートオリゴマーを0重量部とし、紫外線硬化性樹脂となる成分の濃度が全体に対して30重量%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈したところにアルミナ微粒子(粒子径50nm)を紫外線硬化性樹脂比で1重量部添加した以外は、比較例1と同様にして樹脂積層体を作製した。
[比較例5]
2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)を30重量部とし、6官能ウレタンアクリレートオリゴマーを70重量部とし、紫外線硬化性樹脂となる成分の濃度が全体に対して30重量%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈したところにアルミナ微粒子(粒子径50nm)を紫外線硬化性樹脂比で1重量部添加し、2官能アクリレートモノマーを0重量部とした以外は、比較例1と同様にして樹脂積層体を作製した。
[評価項目]
(1)干渉縞の目視判定
三波長形蛍光灯の光を30cmの距離から樹脂板積層体に反射させ、干渉縞の有無を目視にて判定した。
「A」:干渉縞が見えない/実用上優れる。
「B」:干渉縞がほとんど見えない/実用上充分に使用可能である。
「C」:見える/実用上問題あり。使用不可である。
(2)耐摩耗性
作製した樹脂積層体を用いて、スチールウール#0000を直径10mmの保持具に取り付け、一定荷重(500g)、一定速度(10cm/秒)にて10往復した後、樹脂積層体表面の傷の有無を目視により観察し、耐摩耗性を評価した。
評価基準は、以下のとおりとした。
「A」:傷が付かない/実用上優れる。
「B」:数本の傷が付く/実用上充分に使用可能である。
「C」:全体に傷が付く/実用上問題あり。使用不可である。
JIS K7105に準じて曇度を測定した。評価基準は、以下のとおりとした。
「A」:0.5%未満/実用上優れる。
「B」:0.5%以上1%未満/実用上充分に使用可能である。
「C」:1%以上/実用上問題あり。使用不可である。
(4)塗膜密着性
樹脂積層体を沸騰水中に試料を60分浸した後、水分をふき取り、室温中で2時間以上乾燥させた後、碁盤目テープ剥離試験(JIS K5600に準拠)を行い次のように評価した。
「A」:25マス中25マスともに剥離がみられない/実用上優れる。
「B」:25マス中5マス以下で剥離がみられる/実用上使用可能である。
「C」:25マス中25マスともに剥離がみられる/実用上問題あり使用不可である。
Claims (2)
- 樹脂プレートと、該樹脂プレートの表裏両面または片面にコーティングされたハードコート層と、から構成される樹脂積層体であって、
前記樹脂プレートが、ポリカーボネート樹脂であり、
前記ハードコート層は、分子中に少なくとも2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)と、アルミナ微粒子(B)と、6官能以上のアクリレートオ
リゴマーと2官能以上のアクリレートモノマーを含む紫外線硬化性樹脂(C)と、光重合開始剤と、表面調整剤とを含む紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物よりなり、
前記分子中に少なくとも2官能以上のフルオレン骨格を有するアクリレートモノマー(A)が、ハードコート層の(A)成分と紫外線硬化性樹脂(C)との合計100重量部に対して、20重量部以上40重量部以下であり、
前記アルミナ微粒子(B)の粒子径が、10nm以上100nm以下であり、
三波長形蛍光灯の光を30cmの距離から前記樹脂板積層体に反射させ、干渉縞の有無を目視にて判定したときに、干渉縞が観察されないことを特徴とする樹脂積層体。 - 請求項1に記載の樹脂積層体のハードコート層に用いられる、紫外線硬化性樹脂組成物。
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