JP5277775B2 - 耐擦傷性樹脂板及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂基板の少なくとも一方の面に耐擦傷性(ハードコート性)の硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板に関する。また、本発明は、この耐擦傷性樹脂板からなるディスプレイ保護板、特に携帯型情報端末の表示窓保護板に関する。
耐擦傷性樹脂板として、例えば特許文献1〜6には、メタクリル樹脂板を基板とし、その少なくとも一方の面に硬化被膜が形成されてなる、携帯型情報端末の表示窓保護板として好適な耐擦傷性樹脂板が開示されている。このメタクリル樹脂板を基板とする耐擦傷性樹脂板は、透明性が高く、耐擦傷性も高いという利点を有している。
特開2004−143365号公報 特開2004−299199号公報 特開2007−190794号公報 特開2008−6811号公報 特開2008−36927号公報 特開2008−49697号公報
しかしながら、上記のメタクリル樹脂板を基板とする耐擦傷性樹脂板は、耐環境性が必ずしも十分でなく、例えば、高温高湿下に長時間曝された場合に、反りが発生し易かったり、硬化被膜にクラックが発生し易かったりするという問題がある。
そこで、本発明の目的は、透明性及び耐擦傷性に優れ、耐環境性にも優れる耐擦傷性樹脂板を提供することにある。そして、この耐擦傷性樹脂板からなるディスプレイ保護板、特に携帯型情報端末の表示窓保護板を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、所定のスチレン系樹脂層の少なくとも一方の面に所定のメタクリル樹脂層が形成されてなる積層板を基板とし、そのメタクリル樹脂層上に硬化被膜を形成することにより、上記目的に適う耐擦傷性樹脂板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、基板の少なくとも一方の面に硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板であって、前記基板は、下記重合体(A)からなる層(A)の少なくとも一方の面に下記重合体(B)からなる層(B)が積層されてなり、前記層(B)上に前記硬化被膜が形成されていることを特徴とする耐擦傷性樹脂板を提供する。
重合体(A):スチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸及び(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体とを共重合させてなる重合体。
重合体(B):全単量体の合計100重量%を基準にメタクリル酸メチルを80〜100重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体を0〜20重量%の割合で重合させてなる重合体。
また、本発明は、この耐擦傷性樹脂板からなるディスプレイ保護板、特に携帯型情報端末の表示窓保護板を提供する。
本発明の耐擦傷性樹脂板は、透明性及び耐擦傷性に優れ、耐環境性にも優れるので、この耐擦傷性樹脂板をディスプレイ保護板、特に携帯型情報端末の表示窓保護板として用いることにより、その表示窓を効果的に保護することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の耐擦傷性樹脂板は、基板の少なくとも一方の面に硬化被膜が形成されてなるものである。そして、前記基板は、下記重合体(A)からなる層(A)の少なくとも一方の面に下記重合体(B)からなる層(B)が積層されてなるものであり、かつ、前記重合体(B)からなる層上に前記硬化被膜が形成されているものである。
重合体(A):スチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸及び(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体とを共重合させてなる重合体。
重合体(B):全単量体の合計100重量%を基準にメタクリル酸メチルを80〜100重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体を0〜20重量%の割合で重合させてなる重合体。
ここで、耐擦傷性樹脂板において、硬化被膜は、基板の両面に形成されていてもよいし、基板の片面のみに形成されていてもよい。また、基板において、層(B)は、層(A)の両面に積層されていてもよいし、層(A)の片面のみに積層されていてもよい。そして、層(B)が層(A)の両面に積層されている場合、硬化被膜は、両方の層(B)上に形成されていてもよいし、片方の層(B)上のみに形成されていてもよい。また、層(B)が層(A)の片面のみに積層されている場合、硬化被膜は、層(A)上と層(B)上の両方に形成されていてもよいし、層(B)上のみに形成されていてもよいが、硬化被膜のクラック発生防止の点では、層(B)上のみに形成されているのが好ましい。
したがって、耐擦傷性樹脂板の層構成の典型的な例としては、(1):硬化被膜/層(B)/層(A)/層(B)/硬化被膜、(2):硬化被膜/層(B)/層(A)/層(B)、(3):硬化被膜/層(B)/層(A)を挙げることができる。
重合体(A)は、スチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸及び(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体とを共重合させてなる重合体である。なお、(メタ)アクリロニトリルは、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルを意味し、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレン、アセトキシスチレン、p−ジメチルアミノメチルスチレンが挙げられ、必要によりそれらの2種以上を用いてもよい。
スチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸及び(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体との割合は、重合体(A)の機械的強度や耐熱性、層(A)と層(B)との密着性の点から、重合体(A)を構成する全単量体の合計100重量%を基準として、通常、前者が50〜95重量%、後者が5〜50重量%であり、好ましくは、前者が60〜95重量%、後者が5〜30重量%であり、より好ましくは、前者が80〜93重量%、後者が7〜20重量%である。なお、必要に応じて他の単量体を用いてもよいが、その量は、重合体(A)を構成する全単量体の合計100重量%を基準として、通常20重量%までである。
重合体(A)は、メタクリル樹脂と混合して用いることもできる。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。メタクリル樹脂としては、重合体(B)と同一のものを用いることができる。
重合体(A)とメタクリル樹脂との割合は、両者の合計100重量%を基準として、層(A)の耐薬品性の点から、通常、前者が25〜100重量%、後者が0〜75重量%であり、好ましくは、前者が40〜100重量%、後者が0〜60重量%である。
重合体(A)とメタクリル樹脂との混合は、両者を押出機やミキサーを用いて溶融混合し、混合樹脂組成物としてから、後述する方法で板状成形品としてもよいし、両者をそのまま混合し、溶融押出しながら板状成形品化してもよい。
なお、重合体(A)には、メタクリル樹脂の他、必要に応じて他の成分、例えば、紫外線吸収剤、有機系染料、無機系染料、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤を配合してもよい。
重合体(B)は、全単量体の合計100重量%を基準にメタクリル酸メチルを80〜100重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体を0〜20重量%の割合で重合させてなる重合体である。
ここで、メタクリル酸メチル以外の単量体の例としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどの、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜4である。
また、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルも挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
さらに、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物の例として、アクリル酸、メタクリル酸の如き不飽和カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアルケニルシアン化合物、無水マレイン酸、N−置換マレイミドが挙げられる。
また、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物の例として、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物が挙げられる。
なお、上記のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体、及び多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
重合体(B)は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより、調製することができる。その際、好適な機械強度や耐熱性を得るため、又は好適な成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
重合体(B)にはアクリル系ゴム粒子を配合して、その組成物により層(B)を構成することによって、耐衝撃性を付与することもできる。
アクリル系ゴム粒子は、ゴム成分としてアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を含有する粒子であり、この弾性重合体のみからなる単層構造の粒子であってもよいし、この弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であってもよいが、層(B)の表面硬度の点から、多層構造の粒子であることが好ましい。また、この弾性重合体は、アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、アクリル酸エステルとしては、通常、アクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、アクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、メタクリル酸アルキルが0〜49.9重量%、これら以外の単官能単量体が0〜49.9重量%、及び多官能単量体が0.1〜10重量%である。
ここで、アクリル酸アルキルの例は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは4〜8である。また、メタクリル酸アルキルの例は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げたメタクリル酸メチルを含むメタリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、これら以外の単官能単量体は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様である。中でもスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物が好ましく用いられる。
また、多官能単量体の例は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様であり、中でも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや、多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましく用いられる。
なお、上記のアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体、及び多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
アクリル系ゴム粒子として多層構造のものを使用する場合、その好適な例としては、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を内層とし、メタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも2層構造のものを挙げることができる。ここで、外層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。また、外層の重合体は、内層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。外層の重合体を、内層の弾性重合体100重量部に対し10重量部以上とすることで、該弾性重合体の凝集が生じ難くなり、層(B)の透明性が良好となる。
上記外層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単官能単量体が0〜50重量%、及び多官能単量体が0〜10重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げたメタクリル酸メチルを含むメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体の例は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体、及び多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
また、多層構造のアクリル系ゴム粒子の好適な例として、上記2層構造の内層であるアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、このメタクリル酸エステルを主体とする重合体を内層とし、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を中間層とし、先のメタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも3層構造のものを挙げることもできる。ここで、内層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。また、内層の重合体は、中間層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。
上記内層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが70〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜30重量%、これ以外の単官能単量体が0〜30重量%、及び多官能単量体が0〜10重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げたメタクリル酸メチルを含むメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。また、アクリル酸アルキルの例は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体の例は、先に重合体(B)の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体、及び多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
上記のようなアクリル系多層構造重合体は、例えば、特公昭55−27576号公報、特開平6−80739号公報、特開昭49−23292号公報に記載されている。
アクリル系ゴム粒子は、先に述べたアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、調製することができる。その際、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、この外層の重合体の単量体成分を、上記弾性重合体の存在下に、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。また、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、まず、この内層の重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させ、次いで、得られる重合体の存在下に、上記弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記内層の重合体にグラフトさせ、さらに、得られる弾性重合体の存在下に、上記外層の重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。なお、各層の重合を、それぞれ2段以上で行う場合、いずれも、各段の単量体組成ではなく、全体としての単量体組成が所定の範囲内にあればよい。
アクリル系ゴム粒子の粒径については、該ゴム粒子中のアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の平均粒子径が、0.01〜0.4μmであるのが好ましく、より好ましくは0.05〜0.3μm、さらに好ましくは0.07〜0.25μmである。この平均粒子径があまり大きいと、層(B)の透明性が低下するため、好ましくない。また、この平均粒子径があまり小さいと、層(B)の表面硬度が低下して後述する硬化被膜を設けても傷が付き易くなったり、層(B)の柔軟性が低下して耐衝撃性の改善効果が乏しくなったりするため、好ましくない。
なお、上記平均粒子径は、アクリル系ゴム粒子を重合体(B)と混合してフィルム化し、その断面において酸化ルテニウムによる上記弾性重合体の層の染色を施し、電子顕微鏡で観察して、染色された部分の直径から求めることができる。すなわち、アクリル系ゴム粒子を重合体(B)に混合し、その断面を酸化ルテニウムで染色すると、母相の重合体(B)は染色されず、上記弾性重合体の層の外側にメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層が存在する場合は、この外層の重合体も染色されず、上記弾性重合体の層のみが染色されるので、こうして染色され、電子顕微鏡でほぼ円形状に観察される部分の直径から、粒子径を求めることができる。上記弾性重合体の層の内側にメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層が存在する場合は、この内層の重合体も染色されず、その外側の上記弾性重合体の層が染色された2層構造の状態で観察されることになるが、この場合は、2層構造の外側、すなわち上記弾性重合体の層の外径で考えればよい。
重合体(B)とアクリル系ゴム粒子との配合割合は、両者の合計100重量部を基準に、重合体(B)が20〜95重量部であり、アクリル系ゴム粒子が5〜80重量部である。重合体(B)の割合があまり小さく、アクリル系ゴム粒子の割合があまり大きいと、層(B)の表面硬度が低下して傷が付き易くなると共に、製品外観が悪くなる。一方、重合体(B)の割合があまり大きく、アクリル系ゴム粒子の割合があまり小さいと、層(B)の柔軟性が低下して割れ易くなる。
また、アクリル系ゴム粒子中のアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の量は、重合体(B)及びアクリル系ゴム粒子の合計100重量部を基準に、5〜50重量部であることが好ましく、7〜40重量部であることがより好ましい。重合体(B)及びアクリル系ゴム粒子の合計100重量部あたり上記弾性共重合体の量が5重量部以上となるようにすれば、層(B)自体が脆くなることなく、製板性を向上させることができる。一方、重合体(B)及びアクリル系ゴム粒子の合計100重量部あたり上記弾性共重合体の量が50重量部以下となるようにすれば、層(B)の透明性や表面硬度を向上させることができる。
なお、重合体(B)には、アクリル系ゴム粒子の他、必要に応じて他の成分、例えば、紫外線吸収剤、有機系染料、無機系染料、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤を配合してもよい。
本発明の耐擦傷性樹脂板の基板を製造するためには、通常、Tダイを用いた押出成形法が利用され、重合体(A)及び(B)を共押出成形するのがよい。この共押出成形では、例えば、複数の押出機と、それらから押し出される樹脂を積層するためのマルチマニホールド方式やフィードブロック方式などの機構とを有する、公知の多層押出機を用いることができる。
得られる基板の表面は平滑であってもよいし、微細な凹凸が設けられていてもよい。平滑性や凹凸形状の付与には、重合体(A)及び(B)を、例えばTダイから溶融押出し、得られる板状物の少なくとも片面をロール又はベルトに接触させて製板する方法が、表面性状の良好な基板が得られる点で好ましい。とりわけ、基板の平滑性又は形状付与の精密性を向上させる観点からは、重合体(A)及び(B)を溶融押出して得られる板状物の両面をロール表面又はベルト表面に接触させて成形する方法が好ましい。この際に用いるロール又はベルトは、いずれも金属製であるのが好ましい。したがって、好ましい形態として、重合体(A)及び(B)をTダイから溶融押出した後、少なくとも1本の鏡面ロールに接触させて、より好ましくは2本の鏡面ロールに接触させて挟み込んだ状態で、成形する方法が挙げられる。
基板の厚さは、通常0.2〜3mmであり、好ましくは0.25〜2.5mmである。基板の厚さがあまり小さいと、ディスプレイ保護板の基板としては、強度ないし剛性が十分でないことがあり、また、基板の厚さがあまり大きいと、ディスプレイ保護板の基板としては、デザイン上、適当でないことがある。なお、上記基板をディスプレイ保護板の基板として用いるに際しては、そのディスプレイの表面形状に合わせて、平面形状で、又は曲面を有する形状で適用することができる。
基板における層(B)の厚さは、基板全体の厚さの50%以下であるのが好ましい。また、層(B)の厚さは、層(A)の両面に存在する場合は各々の厚さとして、3μm以上であるのが好ましく、また通常100μm以下である。層(B)の厚さがあまり大きいと、基板ないし耐擦傷性樹脂板の耐熱性が不十分になり、また、耐擦傷性樹脂板の耐環境性が不十分になり、例えば高温高湿下に長時間曝された場合に、反りなどの変形を生じ易くなる。
基板が層(A)の両面に層(B)が形成されてなるものであれば、少なくとも一方の層(B)上に硬化被膜が形成され、また、基板が層(A)の片面のみに層(B)が形成されてなるものであれば、少なくとも層(B)上に硬化被膜が形成される。
硬化被膜を形成するのに用いられる硬化性塗料は、耐擦傷性をもたらす硬化性化合物を必須成分とし、必要に応じて、硬化触媒、導電性粒子、溶媒、レベリング剤、安定化剤、酸化防止剤、着色剤などを含有するものである。
硬化性化合物としては、例えば、アクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、エポキシアクリレート化合物、カルボキシル基変性エポキシアクリレート化合物、ポリエステルアクリレート化合物、共重合系アクリレート化合物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物が挙げられる。中でも、硬化被膜の耐擦傷性の点から、多官能アクリレート化合物、多官能ウレタンアクリレート化合物、多官能エポキシアクリレート化合物の如きラジカル重合系の硬化性化合物や、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシランの如き熱重合系の硬化性化合物が好ましく用いられる。これらの硬化性化合物は、電子線、放射線、紫外線などのエネルギー線を照射することにより硬化するものであるか、加熱により硬化するものであるのがよい。これらの硬化性化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数の化合物を組み合わせて用いてもよい。
特に好ましい硬化性化合物は、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物である。ここで、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基をいう。その他、本明細書において、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸などというときの「(メタ)」も同様の意味である。
分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ−又はテトラ−(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ−、テトラ−、ペンタ−又はヘキサ−(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ−、ペンタ−、ヘキサ−又はヘプタ−(メタ)アクリレートのような、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート;分子内にイソシアナト基を少なくとも2個有する化合物に、水酸基を有する(メタ)アクリレートを、イソシアナト基に対して水酸基が等モル以上となる割合で反応させて得られ、分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数が3個以上となったウレタン(メタ)アクリレート〔例えば、ジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの反応により、6官能のウレタン(メタ)アクリレートが得られる〕;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、ここには単量体を例示したが、これら単量体のままで用いてもよいし、例えば2量体、3量体などのオリゴマーの形になったものを用いてもよい。また、単量体とオリゴマーを併用してもよい。これらの(メタ)アクリレート化合物はそれぞれ単独又は2種以上を混合して用いられる。
分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物の市販品としては、例えば、新中村化学工業(株)の“NKハ−ド M101”(ウレタンアクリレート系)、“NKエステル A−TMM−3L”(ペンタエリスリトールトリアクリレート)、“NKエステル A−TMMT”(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、“NKエステル A−9530”(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート)及び“NKエステル A−DPH”(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、日本化薬(株)の“KAYARAD DPCA”(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、サンノプコ(株)の“ノプコキュア 200”シリーズ、大日本インキ化学工業(株)の“ユニディック”シリーズが挙げられる。
なお、硬化性化合物として分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物を用いる場合、必要に応じて、他の硬化性化合物、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのような、分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を併用してもよいが、その使用量は、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物100重量部に対して、通常20重量部までである。
硬化性塗料を紫外線で硬化させる場合は、硬化触媒として光重合開始剤を使用するのがよい。光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。光重合開始剤の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常0.1〜5重量部である。
光重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)の“IRGACURE 651”、“IRGACURE 184”、“IRGACURE 500”、“IRGACURE 1000”、“IRGACURE 2959”、“DAROCUR 1173”、“IRGACURE 907”、“IRGACURE 369”、“IRGACURE 1700”、“IRGACURE 1800”、“IRGACURE 819”、“IRGACURE 784”の如き、IRGACURE(イルガキュア)シリーズ及びDAROCUR(ダロキュア)シリーズ、日本化薬(株)の“KAYACURE ITX”、“KAYACURE DETX−S”、“KAYACURE BP−100”、“KAYACUREBMS”、“KAYACURE 2−EAQ”の如き、KAYACURE(カヤキュア)シリーズが挙げられる。
硬化性塗料に導電性粒子を含有させることにより、硬化被膜に帯電防止性を付与することができる。導電性粒子としては、アンチモンがドープされた酸化錫、リンがドープされた酸化錫、酸化アンチモン、アンチモン酸亜鉛、酸化チタン、ITO(インジウム錫酸化物)のような無機粒子が好ましく用いられる。
導電性粒子の粒子径は、通常0.5μm以下であり、硬化被膜の帯電防止性や透明性の点からは、平均粒子径で表して、好ましくは0.001μm以上であり、また好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が小さい程、耐擦傷性樹脂板のヘイズを低くすることができ、透明性を高めることができる。
導電性粒子の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常2〜50重量部、好ましくは3〜20重量部である。導電性粒子の使用量が多い程、硬化被膜の帯電防止性が向上する傾向にあるが、導電性粒子の使用量があまり多いと、硬化被膜の透明性が低下して好ましくない。
導電性粒子は、例えば、気相分解法、プラズマ蒸発法、アルコキシド分解法、共沈法、水熱法により製造することができる。また、導電性粒子の表面は、例えば、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤で表面処理されていてもよい。
硬化性塗料には、その粘度調整などを目的として、溶媒を含有させるのがよく、特に導電性粒子が含まれる場合、その分散のために溶媒を含有させるのがよい。導電性粒子及び溶媒を含有する硬化性塗料を調製する場合、例えば、導電性粒子及び溶媒を混合して、溶媒に導電性粒子を分散させた後、この分散液を硬化性化合物と混合してもよいし、硬化性化合物と溶媒を混合した後、この混合液に導電性粒子を分散させてもよい。
溶媒は、硬化性化合物を溶解することができ、かつ塗布後に容易に揮発しうるものであるのがよく、また塗料成分として導電性粒子を用いる場合は、それを分散させることができるものであるのがよい。溶媒の例としては、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールのようなケトン類、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、水が挙げられる。溶媒の使用量は、硬化性化合物の性状などに合わせて、適宜調整すればよい。
硬化性塗料にレベリング剤を含有させる場合、シリコーンオイルが好ましく用いられ、その例としては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキル・アラルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコーンオイル、フェノール基含有シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイルが挙げられる。これらのレベリング剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いることもできる。レベリング剤の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常0.01〜5重量部である。
レベリング剤の市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)の“SH200−100cs”、“SH28PA”、“SH29PA”、“SH30PA”、“ST83PA”、“ST80PA”、“ST97PA”、“ST86PA”が挙げられる。
こうして得られる硬化性塗料を、前記基板の層(B)上に塗布して、硬化性塗膜とし、次いで硬化させて、硬化被膜とすることにより、本発明の耐擦傷性樹脂板が得られる。
硬化性塗料の塗布は、バーコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ダイコート法、スプレーコート法などのコート法により行えばよい。硬化性塗膜の硬化は、硬化性塗料の種類に応じて、エネルギー線の照射や加熱により行えばよい。
エネルギー線の照射により硬化させる場合、エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、放射線が挙げられ、その強度や照射時間などの条件は、硬化性塗料の種類に応じて適宜選択される。また、加熱により硬化させる場合、その温度や時間などの条件は、硬化性塗料の種類に応じて適宜選択されるが、加熱温度は、基板が変形を起こさないよう、一般的には100℃以下であるのが好ましい。硬化性塗料が溶媒を含有する場合は、塗布後、溶媒を揮発させた後に硬化性塗膜を硬化させてもよいし、溶媒の揮発と硬化性塗膜の硬化とを同時的に行ってもよい。
硬化被膜の厚さは、好ましくは0.5〜50μmであり、より好ましくは1〜20μmである。硬化被膜の厚さが小さい程、亀裂が生じ難くなる傾向にあるが、あまり小さいと、耐擦傷性が不十分になり好ましくない。
得られた耐擦傷性樹脂板には、必要に応じて、その表面に、コート法やスパッタ法、真空蒸着法などにより反射防止処理を施してもよい。また、別途作製した反射防止性のシートを耐擦傷性樹脂板の片面又は両面に貼合して、反射防止効果を付与してもよい。
かくして得られる耐擦傷性樹脂板は、透明性及び耐擦傷性に優れ、耐環境性にも優れるため、各種用途に用いることができるが、中でもディスプレイ保護板として好適に用いられる。保護されるディスプレイの種類としては、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイが挙げられる。また、保護されるディスプレイの用途としては、例えば、テレビやコンピューターのモニター、携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯型情報端末の表示窓、デジタルカメラやハンディ型ビデオカメラのファインダー部、携帯型ゲーム機の表示窓が挙げられる。本発明の耐擦傷性樹脂板は、特に液晶ディスプレイやELディスプレイなどによる携帯型情報端末の表示窓保護板として好適に用いられ、とりわけ、携帯電話、特に表示窓を含む表示部が、不使用時には折りたたまれて操作ボタン部を覆う構造となった携帯電話の表示窓保護板として、有利な効果を発揮する。
本発明の耐擦傷性樹脂板から、ディスプレイ保護板を作製するには、まず必要に応じ、印刷、穴あけなどの加工を行い、必要な大きさに切断処理すればよい。しかるのちに、ディスプレイにセットすれば、ディスプレイを効果的に保護することができる。その際、基板の片面のみに硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板であれば、硬化被膜が形成された側が表側(視認者側)、硬化被膜が形成されていない側が裏側(ディスプレイ側)になるようにセットするのがよい。また、層(A)の片面のみに層(B)が積層されてなる基板の両面に硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板であれば、層(B)側が表側、層(A)側が裏側になるようにセットするのがよい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。
〔重合体(A)〕
重合体(A)として、以下のものを使用した。
重合体(A1):スチレン−アクリロニトリル共重合体〔ダイセルポリマー(株)の“セビアンN080”〕。
重合体(A2):スチレン−無水マレイン酸共重合体〔ノバケミカル社の“ダイラークD332”〕。
重合体(A3):スチレン−メタクリル酸共重合体〔東洋スチレン(株)の“T080”〕。
重合体(A4):スチレン−メタクリル酸共重合体〔大日本インキ化学工業(株)の“リュ−レックスA−14”〕。
重合体(A5):スチレン重合体〔東洋スチレン(株)の“HRM−40”〕。
〔重合体(B)〕
重合体(B)として、重合体(B)として、メタクリル酸メチル97.8%とアクリル酸メチル2.2%とからなる単量体のバルク重合により得られた熱可塑性重合体のペレットを使用した。
〔アクリル系ゴム粒子〕
アクリル系ゴム粒子として、最内層がメタクリル酸メチル93.8%とアクリル酸メチル6%とメタクリル酸アリル0.2%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体であり、中間層がアクリル酸ブチル81%とスチレン17%とメタクリル酸アリル2%とからなる単量体の重合により得られた弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチル94%とアクリル酸メチル6%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体であり、最内層/中間層/最外層の重量割合が35/45/20であり、中間層の弾性重合体の層の平均粒子径が0.22μmである、乳化重合法による球形3層構造のゴム粒子を使用した。
実施例1
〔基板の作製〕
層(A)の原料として重合体(A1)を40mmφ一軸押出機を用いて溶融混練し、また層(B)の原料として重合体(B)を20mmφ一軸押出機を用いて溶融混練し、両者をフィードブロックを介して両表層が層(B)となるように3層化し、次いでT型ダイを介して押し出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却して、厚さ1.0mmの多層の基板を得た。この際、各層の厚さは、層(B)/層(A)/層(B)=0.05mm/0.9mm/0.05mmとした。
〔硬化性塗料の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔新中村化学工業(株)の“NKエステル A−DPH”〕28部、光重合開始剤〔チバスペシャリティーケミカルズ(株)の“IRGACURE 184”〕1部、5酸化アンチモン微粒子ゾル〔触媒化成工業(株)の“ELCOM−7514”;固形分濃度20%〕8部、1−メトキシ−2−プロパノール32部、イソブチルアルコール32部、及びシリコーンオイル〔東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)の“SH28PA”〕0.045部を混合して硬化性塗料を調製した。
〔耐擦傷性樹脂板の製造〕
基板を10cm×6cmの大きさに切断し、硬化性塗料中に浸漬し、定速引上装置を用いて5mm/secの速度で引き上げることにより、その両表面に硬化性塗料の塗膜を形成した。次いで、室温で1分間乾燥し、さらに45℃の熱風オーブン内で10分間乾燥して溶媒を揮発させた後、この塗膜に、120Wの高圧水銀ランプを用いて、0.5J/cm2の紫外線を照射して硬化させ、耐擦傷性樹脂板を得た。この耐擦傷性樹脂板について、以下の評価を行い、結果を表1に示した。
〔硬化被膜の厚さ〕
膜厚測定装置〔Filmetrics社の“F−20”〕を用いて測定した。
〔透明性〕
JIS K7105に従って、全光線透過率(Tt)及びヘイズ(H)を測定した。
〔密着性〕
耐擦傷性樹脂板の表面に1mm間隔で10×10の升目をカッターナイフで作成し、セロハンテープ〔ニチバン(株)〕を密着させた後、一気に引き剥がした。この操作を3回繰り返した後に升目を観察し、硬化被膜の剥離が一つもなければ○、一つでも剥離した升目があれば×とした。
〔耐擦傷性〕
スチールウール#0000を500g/cm2の荷重で10往復させた。その際、硬化被膜表面と接触するスチールウールの形状は、2cm角の正方形(面積4cm2)とし、その辺と平行に繊維が並んだ状態とした。また、往復距離は10cm(片道5cm)とし、1往復1秒の速度で、該繊維方向に往復させた。10往復後、表面の傷つきの様子を目視で観察し、次の4段階で評価した。
A:傷つきなし、B:1〜2本の傷、C:3〜10本の傷、D:10本を超える傷。
〔耐環境性〕
7cm×5cmの試験片を切り出し、80℃/80%RHの環境下に10日間放置した後、硬化被膜の表面状態を目視で観察し、クラックが発生していなければ○、発生していれば×とした。また、4角が浮き上がる様に配置し、その高さを測定し、試験前に同様に測定した値との差を反り量とした。
実施例2
層(A)の原料として、重合体(A1)に代えて重合体(A2)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、得られた耐擦傷性樹脂板の評価結果を表2に示した。
実施例3
層(A)の原料として、重合体(A1)に代えて重合体(A3)を使用した以外は、を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、得られた耐擦傷性樹脂板の評価結果を表2に示した。
実施例4
層(A)の原料として、重合体(A1)に代えて重合体(A4)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、得られた耐擦傷性樹脂板の評価結果を表2に示した。
実施例5
重合体(B)80部とアクリル系ゴム粒子20部とを、スーパーミキサーで混合し、二軸押出機にて溶融混錬して、重合体(B)組成物をペレットとして得た。
層(A)の原料として、重合体(A1)に代えて重合体(A4)を使用し、層(B)の原料として、重合体(B)に代えて上で得た重合体(B)組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、得られた耐擦傷性樹脂板の評価結果を表2に示した。
実施例6
重合体(A4)85部と重合体(B)15部とを、スーパーミキサーで混合し、二軸押出機にて溶融混錬して、重合体(A4)組成物をペレットとして得た。
層(A)の原料として、重合体(A1)に代えて上で得た重合体(A4)組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、得られた耐擦傷性樹脂板の評価結果を表2に示した。
比較例1
重合体(A1)を、40mmφ一軸押出機を用いて溶融混練し、T型ダイを介して押し出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却して、厚さ1.0mmの単層の基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様に耐擦傷性樹脂板の製造を行い、得られた耐擦傷性樹脂板の評価結果を表2に示した。
比較例2
重合体(B)を、40mmφ一軸押出機を用いて溶融混練し、T型ダイを介して押し出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却して、厚さ1.0mmの単層の基板を得た。この基板を用いて、実施例1と同様に耐擦傷性樹脂板の製造を行い、得られた耐擦傷性樹脂板の評価結果を表2に示した。
比較例3
層(A)の原料として、重合体(A1)に代えて重合体(A5)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、得られた耐擦傷性樹脂板の評価結果を表2に示した。この例では、硬化性塗料を塗布する前に基板を切断した際、層(A)と層(B)との密着性が悪く、層間で剥離が見られたり、切断面でクラックが発生したりした。
Figure 0005277775

Claims (8)

  1. 基板の少なくとも一方の面に硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板であって、前記基板は、下記重合体(A)からなる層(A)の少なくとも一方の面に下記重合体(B)からなる層(B)が積層されてなり、前記層(B)上に前記硬化被膜が形成されていることを特徴とする耐擦傷性樹脂板。
    重合体(A):スチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸及び(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体とを共重合させてなる重合体。
    重合体(B):全単量体の合計100重量%を基準にメタクリル酸メチルを80〜100重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体を0〜20重量%の割合で重合させてなる重合体。
  2. 基板の厚さが0.2〜3mmであり、層(B)の厚さが基板の厚さの50%以下、かつ3μm以上である請求項1に記載の耐擦傷性樹脂板。
  3. 層(A)が、重合体(A)及びメタクリル樹脂からなる層である請求項1又は2に記載の耐擦傷性樹脂板。
  4. 層(B)が、重合体(B)及びアクリル系ゴム粒子からなる層である請求項1〜3のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板。
  5. 硬化被膜が、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物を含む硬化性塗料により形成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板。
  6. 硬化被膜が、導電性粒子を含む硬化性塗料により形成されたものである請求項1〜5のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板からなるディスプレイ保護板。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板からなる携帯型情報端末の表示窓保護板。
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