JP2011148130A - 耐擦傷性樹脂板、並びにそれを用いたディスプレイ用保護板および携帯型情報端末の表示窓保護板 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れ、光の干渉による色ムラが少なく、高温下において硬化被膜にクラックが発生し難く、かつ耐擦傷性に優れる耐擦傷性樹脂板、並びにそれを用いたディスプレイ用保護板および携帯型情報端末の表示窓保護板を提供することである。
【解決手段】樹脂基板の少なくとも片面に、硬化被膜を形成してなり、前記樹脂基板は、ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面に、明細書中に記載の割合でゴム粒子を含有するアクリル樹脂層を積層してなり、前記硬化被膜は、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と、分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と、シリカ粒子と、を含有する硬化性塗料組成物を硬化させて形成されている耐擦傷性樹脂板である。この耐擦傷性樹脂板からなるディスプレイ用保護板と、携帯型情報端末の表示窓保護板とを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂基板の少なくとも片面に耐擦傷性(ハードコート性)の硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板に関する。また、本発明は、この耐擦傷性樹脂板からなるディスプレイ用の保護板、特に携帯型情報端末の表示窓の保護板に関する。
従来から、ディスプレイ用の保護板や、携帯型情報端末における表示窓の保護板として、耐擦傷性樹脂板が用いられている。特許文献1には、アクリル樹脂板を基板とし、その少なくとも片面に硬化被膜が形成されてなる、携帯型情報端末の表示窓保護板として好適な耐擦傷性樹脂板が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載されているアクリル樹脂板を基板とする耐擦傷性樹脂板は、耐衝撃性が十分でないことがある。特許文献2,3には、ポリカーボネート樹脂層の片面にアクリル樹脂層を積層してなる積層体を基板とすることで耐衝撃性を向上させ、前記アクリル樹脂層に硬化被膜を形成して、液晶ディスプレイカバーに用いることが記載されている。
しかしながら、特許文献2,3に記載されている積層体の耐衝撃性は、必ずしも十分ではなかった。また、該積層体を液晶ディスプレイカバーに用いると、積層体表面において、光の干渉による色ムラを発生することがあった。さらに、前記積層体を高温下に曝すと、硬化被膜にクラックを生じることがあった。
特開2004−143365号公報 特開2006−103169号公報 特開2007−237700号公報
本発明の課題は、耐衝撃性に優れ、光の干渉による色ムラが少なく、高温下において硬化被膜にクラックが発生し難く、かつ耐擦傷性に優れる耐擦傷性樹脂板、並びにそれを用いたディスプレイ用保護板および携帯型情報端末の表示窓保護板を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面にゴム粒子を特定の割合で含有するアクリル樹脂層を積層して樹脂基板とし、この樹脂基板の少なくとも片面に、特定の硬化性化合物とシリカ粒子とを含む硬化性塗料組成物を硬化させて硬化被膜を形成する場合には、耐衝撃性に優れ、光の干渉による色ムラが少なく、高温下において硬化被膜にクラックが発生し難く、かつ優れた耐擦傷性を得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の耐擦傷性樹脂板は、以下の構成からなる。
(1)樹脂基板の少なくとも片面に、硬化被膜を形成してなり、前記樹脂基板は、ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面に、ゴム粒子を含有するアクリル樹脂層を積層してなり、前記ゴム粒子の含有量は、前記アクリル樹脂層を構成するアクリル樹脂およびゴム粒子の合計100重量%を基準として5〜30重量%の割合であり、前記硬化被膜は、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と、分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と、シリカ粒子と、を含有する硬化性塗料組成物を硬化させて形成されていることを特徴とする耐擦傷性樹脂板。
(2)前記ゴム粒子が、多層構造アクリル系重合体である前記(1)記載の耐擦傷性樹脂板。
(3)前記樹脂基板が、ポリカーボネート樹脂層の両面に、前記アクリル樹脂層を積層してなる前記(1)または(2)記載の耐擦傷性樹脂板。
(4)前記分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板。
Figure 2011148130
[式中、X1およびX2は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。X3およびX4は、それぞれ同一または異なる基であって、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。nは0〜4の整数を示す。mは0〜4の整数を示す。]
本発明のディスプレイ用保護板は、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板からなる。
本発明の携帯型情報端末の表示窓保護板は、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板からなる。
なお、本発明における前記「携帯型情報端末」とは、人が携行できる程度の大きさであって、文字情報や画像情報等を表示するための窓(ディスプレイ)を有するものの総称を意味しており、例えば携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等が挙げられる。
本発明の耐擦傷性樹脂板は、耐衝撃性に優れ、光の干渉による色ムラが少なく、高温下において硬化被膜にクラックが発生し難く、かつ耐擦傷性が高いため、この耐擦傷性樹脂板をディスプレイ用の保護板、特に携帯型情報端末の表示窓の保護板として用いることにより、多様な環境下でも視認性に優れ、かつその表示窓を効果的に保護することができる。
本発明の耐擦傷性樹脂板は、樹脂基板の少なくとも片面に、硬化被膜を形成してなる。前記樹脂基板は、ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面に、ゴム粒子を特定の割合で含有するアクリル樹脂層が積層された積層体からなる。
前記ポリカーボネート樹脂層を構成するポリカーボネート樹脂としては、例えば二価フェノールとカルボニル化剤とを界面重縮合法や溶融エステル交換法等で反応させることにより得られるもの、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法等で重合させることにより得られるもの、環状カーボネート化合物を開環重合法で重合させることにより得られるもの等が挙げられる。
前記二価フェノールとしては、例えばハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
中でも、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれる二価フェノールを単独で、または2種以上用いるのが好ましく、特に、ビスフェノールAの単独使用や、ビスフェノールAと、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンと、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれる1種以上の二価フェノールとの併用が好ましい。
前記カルボニル化剤としては、例えばホスゲン等のカルボニルハライド、ジフェニルカーボネート等のカーボネートエステル、二価フェノールのジハロホルメート等のハロホルメート等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
一方、前記アクリル樹脂層を構成するアクリル樹脂としては、透明性に優れ、剛性も高いメタクリル樹脂が好適である。メタクリル樹脂は、メタクリル酸メチル単位を主成分とするもの、具体的にはメタクリル酸メチル単位を通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上含むメタクリル酸メチル樹脂であるのが好ましく、メタクリル酸メチル単位100重量%のメタクリル酸メチル単独重合体であってもよいし、メタクリル酸メチルと、該メタクリル酸メチルと共重合し得る他の単量体との共重合体であってもよい。
メタクリル酸メチルと共重合し得る前記他の単量体としては、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類や、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。また、スチレンや置換スチレン類として、例えばクロロスチレン、ブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類や、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のアルキルスチレン類等も挙げられる。さらに、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等も挙げられる。これらメタクリル酸メチルと共重合し得る他の単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル樹脂は、ゴム粒子を含有する。これにより、アクリル樹脂層の耐衝撃性を向上させることができる。該ゴム粒子としては、例えば多層構造アクリル系重合体、5〜80重量部のゴム状重合体にアクリル系不飽和単量体等のエチレン性不飽和単量体20〜95重量部をグラフト重合させてなるグラフト共重合体等が挙げられ、特に、多層構造アクリル系重合体が好適である。
前記多層構造アクリル系重合体は、弾性重合体層を20〜60重量%程度内在するものであるのがよく、最外層として硬質層を有するものであるのがよく、さらに最内層として硬質層を有するものでもよい。
前記弾性重合体層は、ガラス転移点(Tg)が25℃未満のアクリル系重合体の層であるのがよく、具体的には、低級アルキルアクリレート、低級アルキルメタクリレート、低級アルコキシアルキルアクリレート、シアノエチルアクリレート、アクリルアミド、ヒドロキシ低級アルキルアクリレート、ヒドロキシ低級アルキルメタクリレート、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれる1種以上の単官能単量体を、アリルメタクリレート等の多官能単量体で架橋させてなる重合体の層であるのがよい。
前記低級アルキルアクリレート等における低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基が挙げられ、前記低級アルコキシアルキルアクリレートにおける低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルコキシ基が挙げられる。また、前記単官能単量体を主成分として共重合体とする場合には、共重合成分として、例えばスチレン、置換スチレン等の他の単官能単量体を共重合させてもよい。
前記硬質層は、Tgが25℃以上のアクリル系重合体の層であるのがよく、具体的には、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを単独で、または主成分として重合させたものであるのがよい。前記炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル等の直鎖または分岐したアルキル基が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを主成分として共重合体とする場合には、共重合成分としては、他のアルキルメタクリレートやアルキルアクリレート、スチレン、置換スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の単官能単量体を用いてもよいし、さらにアリルメタクリレート等の多官能単量体を加えて架橋重合体としてもよい。前記アルキルメタクリレート等におけるアルキル基としては、例えば前記した低級アルキル基で例示したのと同じ炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基等が挙げられる。
上記した多層構造アクリル系重合体は、例えば特公昭55−27576号公報、特開平6−80739号公報、特開昭49−23292号公報等に記載されている。
5〜80重量部のゴム状重合体にエチレン性不飽和単量体20〜95重量部をグラフト重合させてなる前記グラフト共重合体において、ゴム状重合体としては、例えばポリブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体ゴム、スチレン/ブタジエン共重合体ゴム等のジエン系ゴム、ポリブチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル系ゴム、エチレン/プロピレン/非共役ジエン系ゴム等が挙げられる。また、このゴム状重合体にグラフト共重合させるのに用いられるエチレン性単量体としては、例えばスチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのグラフト共重合体は、例えば特開昭55−147514号公報、特公昭47−9740号公報等に記載されている。
前記ゴム粒子の含有量は、アクリル樹脂およびゴム粒子の合計100重量%を基準として、通常5〜30重量%、好ましく5〜20重量%、より好ましく6〜15重量%である。ゴム粒子の含有量が多い程、耐擦傷性樹脂板の耐衝撃性が向上し、また耐擦傷性樹脂板が押圧されても割れ難くなる傾向にあるが、ゴム粒子の使用量があまり多いと、耐擦傷性樹脂板の表面硬度が低下するので好ましくない。また、ゴム粒子の使用量があまり少ないと、ゴム粒子による効果が得られ難くなるので好ましくない。
なお、前記ポリカーボネート樹脂層およびアクリル樹脂層には、それぞれ必要に応じて、例えば光拡散剤、艶消剤、染料、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を1種または2種以上、添加してもよい。
本発明の樹脂基板は、上記したポリカーボネート樹脂層とアクリル樹脂層とを共押出成形で積層一体化することにより、好適に製造される。この共押出成形は、2基または3基の一軸または二軸の押出機を用いて、ポリカーボネート樹脂層の材料とアクリル樹脂層の材料とをそれぞれ溶融混練した後、フィードブロックダイやマルチマニホールドダイ等を介して積層することにより行うことができ、積層一体化された溶融積層樹脂体は、例えばロールユニット等を用いて冷却固化すればよい。共押出成形により製造した樹脂基板は、粘着剤や接着剤を用いた貼合により製造した樹脂基板に比べて、二次成形し易い点で好ましい。
前記樹脂基板は、通常、シート状ないしフィルム状であり、その厚みは、通常0.3〜3mm、好ましくは0.3〜2mm、さらに好ましくは0.4〜1.5mmである。該樹脂基板において、アクリル樹脂層の厚みは、通常50〜120μm、好ましくは60〜110μm、より好ましくは70〜100μmである。アクリル樹脂層の厚みが小さい程、耐擦傷性樹脂板の耐衝撃性が向上し、また耐擦傷性樹脂板が押圧されても割れ難くなる傾向にあるが、アクリル樹脂層の厚みがあまり小さいと、耐擦傷性樹脂板の表面硬度が低下するので好ましくない。
前記樹脂基板の構造は、ポリカーボネート樹脂層の片面にのみアクリル樹脂層が積層されてなる2層構造のものであってもよいし、ポリカーボネート樹脂層の両面にアクリル樹脂層が積層されてなる3層構造のものであってもよい。耐擦傷性樹脂板の耐環境性、例えば高温下や高湿下に曝したときの反り難さの点からは、ポリカーボネート樹脂層の両面にアクリル樹脂層が積層されてなる3層構造の樹脂基板が好ましい。なお、3層構造の場合には、両面のアクリル樹脂層の組成や厚みは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、例えば一方のアクリル樹脂層にのみゴム粒子を含有させることも可能である。
一方、前記硬化被膜は、上記した樹脂基板の少なくとも片面に形成される。つまり、該硬化被膜は、樹脂基板の両面に形成されていてもよいし、片面にのみ形成されていてもよい。したがって、本発明の耐擦傷性樹脂板の層構成としては、下記(i)〜(v)が挙げられる。
(i)硬化被膜/アクリル樹脂層/ポリカーボネート樹脂層
(ii)硬化被膜/アクリル樹脂層/ポリカーボネート樹脂層/硬化被膜
(iii)アクリル樹脂層/ポリカーボネート樹脂層/硬化被膜
(iv)硬化被膜/アクリル樹脂層/ポリカーボネート樹脂層/アクリル樹脂層
(v)硬化被膜/アクリル樹脂層/ポリカーボネート樹脂層/アクリル樹脂層/硬化被膜
ポリカーボネート樹脂層の片面にのみアクリル樹脂層が形成されてなる樹脂基板を用いる場合には、少なくともアクリル樹脂層上に硬化被膜が形成されているのが好ましい。したがって、上記(i)〜(iii)では、(i),(ii)が好ましい。なお、樹脂基板の両面に硬化被膜を形成する場合には、両面の硬化被膜の組成や厚みは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記硬化被膜は、硬化性塗料組成物を硬化させて形成されている。該硬化性塗料組成物は、硬化性化合物とシリカ粒子とを必須成分とし、必要に応じて、例えば硬化触媒、導電性粒子、溶媒、レベリング剤、安定化剤、酸化防止剤、着色剤等を含有するものである。
前記硬化性化合物は、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と、分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを必須成分として含むものであり、これにより硬化被膜の耐クラック性および耐擦傷性を向上させることができる。ここで、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基をいい、その他、本明細書において、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸などというときの「(メタ)」も同様の意味である。
分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ−またはテトラ−(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ−、テトラ−、ペンタ−またはヘキサ−(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ−、ペンタ−、ヘキサ−またはヘプタ−(メタ)アクリレートのような、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート;分子中にイソシアナト基を少なくとも2個有する化合物に、水酸基を有する(メタ)アクリレートを、イソシアナト基に対して水酸基が等モル以上となる割合で反応させて得られ、分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数が3個以上となったウレタン(メタ)アクリレート〔例えば、ジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとの反応により、6官能のウレタン(メタ)アクリレートが得られる〕;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、ここには単量体を例示したが、これら単量体のままで用いてもよいし、例えば2量体、3量体等のオリゴマーの形になったものを用いてもよい。また、単量体とオリゴマーとを併用してもよい。これらの(メタ)アクリレート化合物は、それぞれ単独か、または2種以上を混合して用いられる。
分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記化合物は、市販のものを用いることができ、具体例としては、例えばいずれも新中村化学工業(株)製の“NKハード M101”(ウレタンアクリレート系)、“NKエステル A−TMM−3L”(ペンタエリスリトールトリアクリレート)、“NKエステル A−TMMT”(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、“NKエステル A−9530”(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート)および“NKエステル A−DPH”(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、日本化薬(株)製の“KAYARAD DPCA”(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、サンノプコ(株)製の“ノプコキュア 200”シリーズ、大日本インキ化学工業(株)製の“ユニディック”シリーズ等が挙げられる。
分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の化合物が挙げられ、特に、前記一般式(1)で表される構造単位を有する分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましい。
前記一般式(I)中、X1およびX2は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。また、前記X3およびX4は、それぞれ同一または異なる基であって、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。前記炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば前記した低級アルキル基で例示したのと同じ炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基等が挙げられる。前記炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等が挙げられる。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。また、前記一般式(I)中、nは0〜4の整数を示し、mは0〜4の整数を示す。
前記一般式(1)で表される構造単位を有する分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記化合物としては、例えばビスフェノールAEO変性ジアクリレート等が挙げられる。前記ビスフェノールAEO変性ジアクリレートとしては、いずれも新中村化学工業(株)から販売されている商品名「NKエステル A−BPE−3(平均EO付加モル数3)」、「NKエステル A−BPE−4(平均EO付加モル数4)」、「NKエステル A−BPE−6(平均EO付加モル数6)」、「NKエステル A−BPE−10(平均EO付加モル数10)」、「NKエステル A−BPE−20(平均EO付加モル数17)」、「NKエステル A−BPE−30(平均EO付加モル数30)」等が好ましく用いられる。また、これらの化合物は、それぞれ単独か、または2種以上を混合して用いられる。
分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、および2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の使用量は、両者の合計100重量%を基準として、前者が80〜99.5重量%であり、後者が0.5〜20重量%であるのが好ましい。
一方、前記シリカ粒子は、光の干渉による色ムラを少なくするために硬化性塗料組成物に含有させる。該シリカ粒子を含有すると、形成される硬化被膜の屈折率が、硬化性塗料組成物が塗布される樹脂層の屈折率に近くなり、光の干渉による色ムラが少なくなるものと推察される。
前記シリカ粒子としては、平均粒径が5nm〜10μmの範囲にあるものが好ましく用いられる。特に、本発明の硬化被膜を形成する場合には、平均粒径が5nm〜100nmの範囲にある微粒子がより好ましく用いられる。粒径があまり小さいシリカ粒子は、工業的に製造することが困難であり、また粒径があまり大きくなると、被膜の透明性等の光学性能が低下するため好ましくない。
また、前記シリカ粒子として多孔質シリカ微粒子を用いてもよい。多孔質シリカは、アルコキシシランをアルカリの存在下で加水分解することにより得られる、高度に絡み合って枝分かれし、ポリマー状に生成したシリカであってもよいし、特開平7−133105号公報に記載されている方法等で製造された、表面が被覆された多孔質シリカであってもよい。
前記シリカ粒子の表面は、分散性を向上させ、カチオン重合性化合物との親和性を高めるために、例えば特開平7−133105号公報等に示される方法により有機ケイ素化合物で修飾されていてもよい。前記シリカ粒子は、ゾルの形態で使用することもできる。
前記シリカ粒子の添加量は、硬化性化合物100重量部に対し、通常10〜80重量部であり、好ましくは20〜50重量部である。シリカ粒子の添加量があまり多くなると、硬化被膜の強度が低下するため好ましくない。また、シリカ粒子の添加量があまり少ないと、シリカ粒子による効果が得られ難くなるので好ましくない。
前記硬化性塗料組成物を紫外線で硬化させる場合には、硬化触媒として光重合開始剤を使用するのが好ましい。該光重合開始剤としては、例えばベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。光重合開始剤の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常0.1〜5重量部である。
光重合開始剤は、市販のものを用いることができ、具体例としては、例えばいずれもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製の“IRGACURE 651”、“IRGACURE 184”、“IRGACURE 500”、“IRGACURE 1000”、“IRGACURE 2959”、“DAROCUR 1173”、“IRGACURE 907”、“IRGACURE 369”、“IRGACURE 1700”、“IRGACURE 1800”、“IRGACURE 819”、“IRGACURE 784”等のIRGACURE(イルガキュア)シリーズおよびDAROCUR(ダロキュア)シリーズ、いずれも日本化薬(株)製の“KAYACURE ITX”、“KAYACURE DETX−S”、“KAYACURE BP−100”、“KAYACUREBMS”、“KAYACURE 2−EAQ”等のKAYACURE(カヤキュア)シリーズ等が挙げられる。
前記硬化性塗料組成物に導電性粒子を含有させることにより、硬化被膜に帯電防止性を付与することができる。前記導電性粒子としては、例えばアンチモン−スズ複合酸化物、リンを含有する酸化錫、酸化アンチモン、アンチモン−亜鉛複合酸化物、酸化チタン、インジウム−錫複合酸化物(ITO)のような無機粒子が好ましく用いられる。
前記導電性粒子の粒子径は、通常0.5μm以下であり、硬化被膜の帯電防止性や透明性の点からは、平均粒子径で表して、0.001μm以上であるのが好ましく、また0.1μm以下であるのが好ましく、0.05μm以下であるのがより好ましい。導電性粒子の平均粒子径が小さい程、耐擦傷性樹脂板のヘイズを低くすることができ、透明性を高めることができる。
前記導電性粒子の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常2〜50重量部、好ましくは3〜20重量部である。導電性粒子の使用量が多い程、硬化被膜の帯電防止性が向上する傾向にあるが、導電性粒子の使用量があまり多いと、硬化被膜の透明性が低下するので好ましくない。
前記導電性粒子は、例えば気相分解法、プラズマ蒸発法、アルコキシド分解法、共沈法、水熱法等により製造することができる。また、導電性粒子の表面は、例えばノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等で表面処理されていてもよい。
前記硬化性塗料組成物には、その粘度調整等を目的として、溶媒を含有させるのがよく、特に導電性粒子が含まれる場合には、その分散のために溶媒を含有させるのがよい。導電性粒子および溶媒を含有する硬化性塗料組成物を調製する場合には、例えば導電性粒子と溶媒とを混合し、該溶媒に前記導電性粒子を分散させた後、この分散液を硬化性化合物と混合してもよいし、硬化性化合物と溶媒とを混合した後、この混合液に導電性粒子を分散させてもよい。
前記溶媒は、硬化性化合物を溶解することができ、かつ塗布後に容易に揮発し得るものであるのがよく、また塗料成分として導電性粒子を用いる場合には、それを分散させることができるものであるのがよい。このような溶媒としては、例えばジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、水等が挙げられる。前記溶媒の使用量は、硬化性化合物の性状等に合わせて、適宜調整すればよい。
前記硬化性塗料組成物にレベリング剤を含有させる場合には、シリコーンオイルが好ましく用いられ、その例としては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキル・アラルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコーンオイル、フェノール基含有シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらのレベリング剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いることもできる。前記レベリング剤の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常0.01〜5重量部である。
レベリング剤は、市販のものを用いることができ、具体例としては、例えばいずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の“SH200−100cs”、“SH28PA”、“SH29PA”、“SH30PA”、“ST83PA”、“ST80PA”、“ST97PA”および“ST86PA”、いずれもビック・ケミー・ジャパン(株)製の“BYK−302”、“BYK−307”、“BYK−310”、“BYK−320”および“BYK−330”等が挙げられる。
こうして得られる硬化性塗料組成物を、前記樹脂基板の少なくとも片面に塗布して硬化性塗膜とし、次いで硬化させて硬化被膜とすることにより、本発明の耐擦傷性樹脂板が得られる。
硬化性塗料組成物の塗布は、例えばバーコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ダイコート法、スプレーコート法等のコート法により行えばよい。硬化性塗膜の硬化は、硬化性塗料組成物の種類に応じて、エネルギー線の照射や加熱等により行えばよい。
エネルギー線の照射により硬化させる場合のエネルギー線としては、例えば紫外線、電子線、放射線等が挙げられ、その強度や照射時間等の条件は、硬化性塗料組成物の種類に応じて適宜選択される。また、加熱により硬化させる場合において、その温度や時間等の条件は、硬化性塗料組成物の種類に応じて適宜選択されるが、加熱温度は、樹脂基板が変形を起こさないよう、一般的には100℃以下であるのが好ましい。硬化性塗料組成物が溶媒を含有する場合には、塗布後、溶媒を揮発させた後に硬化性塗膜を硬化させてもよいし、溶媒の揮発と硬化性塗膜の硬化とを同時に行ってもよい。
硬化被膜の厚みは、好ましくは0.5〜50μmであり、より好ましくは1〜20μmである。硬化被膜の厚みが小さい程、亀裂が生じ難くなる傾向にあるが、あまり小さいと、耐擦傷性が不十分になり好ましくない。また、硬化被膜の厚みがあまり大きいと、高温下に曝したときに、クラックが発生し易くなるので好ましくない。
得られた耐擦傷性樹脂板には、必要に応じて、その表面に、コート法やスパッタ法、真空蒸着法等により反射防止処理を施してもよい。また、別途作製した反射防止性のシートを耐擦傷性樹脂板の片面または両面に貼合して、反射防止効果を付与してもよい。
かくして得られる本発明の耐擦傷性樹脂板は、耐衝撃性に優れ、光の干渉による色ムラが少なく、高温下において硬化被膜にクラックが発生し難く、かつ優れた耐擦傷性を示すため、各種用途に用いることができるが、中でもディスプレイ保護板として好適に用いられる。保護されるディスプレイの種類としては、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等が挙げられる。また、保護されるディスプレイの用途としては、例えばテレビやコンピューターのモニター、携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯型情報端末の表示窓、デジタルカメラやハンディ型ビデオカメラのファインダー部、携帯型ゲーム機の表示窓等が挙げられる。
本発明の耐擦傷性樹脂板は、特に液晶ディスプレイやELディスプレイ等による携帯型情報端末の表示窓保護板として好適に用いられる。
本発明の耐擦傷性樹脂板から、ディスプレイ保護板を作製するには、まず必要に応じ、印刷、穴あけ等の加工を行い、必要な大きさに切断処理をすればよい。しかるのちに、ディスプレイにセットすれば、ディスプレイを効果的に保護することができる。その際、樹脂基板の片面のみに硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板であれば、硬化被膜が形成された側が表側(視認者側)、硬化被膜が形成されていない側が裏側(ディスプレイ側)になるようにセットするのがよい。また、ポリカーボネート樹脂層の片面のみにアクリル樹脂層が形成されてなる樹脂基板の両面に硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板であれば、アクリル樹脂層側が表側、ポリカーボネート樹脂層側が裏側になるようにセットするのがよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。
実施例および比較例において、樹脂基板の作製に使用した材料は、次の通りである。
・ポリカーボネート樹脂:住友ダウ(株)製の「カリバー 301−10」を用いた。
・メタクリル樹脂:メタクリル酸メチル97.8%とアクリル酸メチル2.2%とからなる単量体のバルク重合により得られた熱可塑性重合体(ガラス転移温度104℃)のペレットを用いた。なお、このガラス転移温度は、JIS K7121:1987に従い、示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で求めた補外ガラス転移開始温度である。
・ゴム粒子:最内層がメタクリル酸メチル93.8%とアクリル酸メチル6%とメタクリル酸アリル0.2%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体であり、中間層がアクリル酸ブチル81%とスチレン17%とメタクリル酸アリル2%とからなる単量体の重合により得られた弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチル94%とアクリル酸メチル6%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体である、乳化重合法によるゴム粒子(多層構造アクリル系重合体)を用いた。
実施例および比較例で使用した硬化性塗料(A−1)〜(A−4)は、以下のようにして調製した。なお、硬化性塗料(A−1)〜(A−4)の調製に使用した材料は、次の通りである。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:新中村化学工業(株)製の「NKエステル A−DPH」;分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物
・ビスフェノールAEO変性ジアクリレート:新中村化学工業(株)製の「NKエステル A−BPE−4」;前記一般式(1)で表される構造単位を有する分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物
・光重合開始剤:チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製の「IRGACURE 184」
・コロイダルシリカゾル:日産化学工業(株)製の「XBA−ST」;固形分濃度30%;平均粒径15nm;シリカ粒子
・シリコーンオイル:東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の「SH28PA」;レベリング剤
・ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート:新中村化学工業(株)製の「NKエステル A−9300−1CL」
〔硬化性塗料(A−1)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート14部、ビスフェノールAEO変性ジアクリレート0.3部、光重合開始剤1部、コロイダルシリカゾル11.7部、1−メトキシ−2−プロパノール43.5部、イソブチルアルコール29.5部、およびシリコーンオイル0.045部を混合して硬化性塗料(A−1)を調製した。
〔硬化性塗料(A−2)の調製〕
前記ビスフェノールAEO変性ジアクリレートを使用しなかった以外は、前記硬化性塗料(A−1)と同じ配合割合で各成分を混合し、硬化性塗料(A−2)を調製した。
〔硬化性塗料(A−3)の調製〕
前記ビスフェノールAEO変性ジアクリレートに代えてε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート0.7部を使用した以外は、前記硬化性塗料(A−1)と同じ配合割合で各成分を混合し、硬化性塗料(A−3)を調製した。
〔硬化性塗料(A−4)の調製〕
前記ビスフェノールAEO変性ジアクリレートおよびコロイダルシリカゾルを使用しなかった以外は、前記硬化性塗料(A−1)と同じ配合割合で各成分を混合し、硬化性塗料(A−4)を調製した。
[実施例1,2および比較例1〜4]
〔樹脂基板の作製〕
まず、メタクリル樹脂とゴム粒子とを表1に示す割合でスーパーミキサーにて混合し、二軸押出機にて溶融混錬し、各メタクリル樹脂組成物をペレットとして得た。次いで、得られたメタクリル樹脂組成物のペレットを直径65mmφの東芝機械(株)製の一軸押出機で、ポリカーボネート樹脂を直径45mmφの東芝機械(株)製の一軸押出機で、それぞれ溶融させ、両者をフィードブロックを介して積層し、設定温度265℃のT型ダイスを介して押し出し、得られるフィルム状物を、一対の表面が平滑な金属製のロールの間に挟み込んで成形・冷却して、厚み1060μmのポリカーボネート樹脂層の両面に厚み70μmのメタクリル樹脂層が積層されてなる総厚み1200μmの3層構成の樹脂基板を作製した。該樹脂基板における両面のメタクリル樹脂層の組成および厚みは、互いに同一である。
〔耐擦傷性樹脂板の作製〕
まず、得られた樹脂基板を120mm×100mmの大きさに切断した。次いで、表1に示す組み合わせで硬化性塗料(A−1)〜(A−4)を切断した樹脂基板の両面にディッピング法にて塗布し、塗膜を形成した。次いで、室温で1分間乾燥し、さらに45℃の熱風オーブン内で3分間乾燥して溶媒を揮発させた後、この塗膜に、120Wの高圧水銀ランプを用いて、0.5J/cm2の紫外線を照射して硬化させ、樹脂基板の両面に厚み5μmの硬化被膜が形成された耐擦傷性樹脂板を得た。該耐擦傷性樹脂板における両面の硬化被膜の組成および厚みは、互いに同一である。
〔評価〕
得られた耐擦傷性樹脂板について、色ムラ、耐衝撃性(落球強度)、耐クラック性、および耐擦傷性(スチールウール硬度)を評価した。各評価方法を以下に示すとともに、その結果を表1に示す。
<色ムラ>
まず、得られた耐擦傷性樹脂板から、60mm×60mmの形状に試験片を切り出した。次いで、卓上型3波長蛍光灯下およそ20cmの距離で前記試験片を水平に保持し、該試験片の上斜め45度方向から観察し、試験片表面の光の干渉による色ムラがほとんど認められない場合を「○」、色ムラが認められる場合は「×」と判定した。
<耐衝撃性(落球強度)>
まず、得られた耐擦傷性樹脂板から、65mm×85mmの形状に試験片を切り出した。次いで、外寸65mm×85mm、内寸35mm×47mmの金属製の枠2枚の間に、前記試験片を挟み込んだ状態で固定し、重量36gで直径20mmφの金属球を、試験片の中央に、100cmの高さから落下させ、試験片に亀裂が入った否かを目視で観察した。試験片に亀裂が入らなかった場合を「○」、亀裂が入った場合を「×」と判定した。
<耐クラック性>
まず、得られた耐擦傷性樹脂板から、55mm×85mmの形状に試験片を切り出した。次いで、前記試験片を、85℃の環境下に7日間放置した後、試験片を観察し、硬化性被膜に亀裂が入らなかった場合を「○」、亀裂が入った場合を「×」と判定した。
<耐擦傷性(スチールウール硬度)>
まず、得られた耐擦傷性樹脂板から、100mm×80mmの形状に試験片を切り出した。次いで、前記試験片に対し、スチールウール#0000を500g/cm2の荷重で10往復させた。その際、試験片と接触するスチールウールの形状は2cm角の正方形(面積4cm2)とし、往復距離は10cm(片道は5cm)とし、1往復1秒の速度で、該スチールウールの繊維が並んでいる方向と平行方向に往復させた。10往復した後に、試験片表面の傷つきの様子を目視で観察し、硬化被膜表面に傷が付かなかった場合を「○」、傷が付いた場合を「×」と判定した。
Figure 2011148130
表1から明らかなように、実施例1,2は、色ムラ、耐衝撃性、耐クラック性および耐擦傷性の全ての評価において、良好な結果を示しているのがわかる。これに対し、ゴム粒子の含有量が5重量%より少ない比較例1は、耐衝撃性に劣る結果を示した。また、硬化性塗料が前記一般式(1)で表される構造単位を有する分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を含有していない比較例2,3は、耐衝撃性、耐クラック性および耐擦傷性のうち、少なくとも1つの評価が劣る結果を示した。さらに該化合物とシリカ粒子を含有していない比較例4では、色ムラが劣る結果を示した。

Claims (6)

  1. 樹脂基板の少なくとも片面に、硬化被膜を形成してなり、
    前記樹脂基板は、ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面に、ゴム粒子を含有するアクリル樹脂層を積層してなり、
    前記ゴム粒子の含有量は、前記アクリル樹脂層を構成するアクリル樹脂およびゴム粒子の合計100重量%を基準として5〜30重量%の割合であり、
    前記硬化被膜は、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と、分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と、シリカ粒子と、を含有する硬化性塗料組成物を硬化させて形成されていることを特徴とする耐擦傷性樹脂板。
  2. 前記ゴム粒子が、多層構造アクリル系重合体である請求項1記載の耐擦傷性樹脂板。
  3. 前記樹脂基板が、ポリカーボネート樹脂層の両面に、前記アクリル樹脂層を積層してなる請求項1または2記載の耐擦傷性樹脂板。
  4. 前記分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板。
    Figure 2011148130
    [式中、X1およびX2は、それぞれ同一または異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。X3およびX4は、それぞれ同一または異なる基であって、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。nは0〜4の整数を示す。mは0〜4の整数を示す。]
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板からなるディスプレイ用保護板。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板からなる携帯型情報端末の表示窓保護板。
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