JP2011207046A - 樹脂板、並びにそれを用いた耐擦傷性樹脂板、ディスプレイ用保護板および携帯型情報端末の表示窓保護板 - Google Patents

樹脂板、並びにそれを用いた耐擦傷性樹脂板、ディスプレイ用保護板および携帯型情報端末の表示窓保護板 Download PDF

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Abstract

【課題】耐擦傷性樹脂板の樹脂基板として使用され、表面硬度と耐衝撃性に優れる耐擦傷性樹脂板を実現することのできる樹脂板、並びにそれを用いた耐擦傷性樹脂板、ディスプレイ用保護板および携帯型情報端末の表示窓保護板を提供することである。
【解決手段】耐擦傷性樹脂板における樹脂基板として使用される樹脂板であって、ポリカーボネート樹脂層の両面にアクリル系樹脂層(A),(B)が積層されてなり、アクリル系樹脂層(A)は、ゴム粒子を3〜20重量%の割合で含有するメタクリル樹脂組成物(a)からなり、アクリル系樹脂層(B)は、ゴム粒子を10重量%以上の割合で含有するメタクリル樹脂組成物(b)からなる。この樹脂板を用いた耐擦傷性樹脂板、ディスプレイ用保護板および携帯型情報端末の表示窓保護板を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐擦傷性樹脂板における樹脂基板として使用される樹脂板に関する。また、本発明は、この樹脂板を基板とする耐擦傷性樹脂板に関する。さらに、本発明は、この耐擦傷性樹脂板からなるディスプレイ用保護板、特に携帯型情報端末の表示窓保護板に関する。
耐擦傷性樹脂板として、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂層の両面に、アクリル樹脂層が積層され、これらアクリル樹脂層の表面に硬化被膜が形成されてなる積層体が記載されている。
しかしながら、この積層体は表面硬度に優れるものの、耐衝撃性が十分に得られないことがあった。
また、耐衝撃性に優れる積層体として、特許文献2には、ポリカーボネート樹脂層の両面に、それぞれ所定量の架橋アクリル酸エステル系重合体を含有するメタクリル樹脂からなるアクリル系樹脂層を積層した積層体が記載されている。
しかしながら、この積層体の表面に硬化被膜を形成すると、耐衝撃性が低下し、積層体に割れが生じることがあった。
国際公開第08/047940号パンフレット 特開平11−58626号公報
本発明の課題は、耐擦傷性樹脂板の樹脂基板として使用され、表面硬度と耐衝撃性に優れる耐擦傷性樹脂板を実現することのできる樹脂板、並びにそれを用いた耐擦傷性樹脂板、ディスプレイ用保護板および携帯型情報端末の表示窓保護板を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ゴム粒子を特定の割合で含有するメタクリル樹脂組成物からなるアクリル系樹脂層が、ポリカーボネート樹脂層の両面に積層された樹脂板を、耐擦傷性樹脂板の樹脂基板として使用する場合には、表面硬度と耐衝撃性に優れる耐擦傷性樹脂板を得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の樹脂板は、樹脂基板の少なくとも一方の面に硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板における前記樹脂基板として使用される樹脂板であって、ポリカーボネート樹脂層の片面にアクリル系樹脂層(A)が積層され、他面にアクリル系樹脂層(B)が積層されてなり、前記アクリル系樹脂層(A)は、メタクリル樹脂およびゴム粒子の合計100重量%を基準にゴム粒子を3〜20重量%の割合で含有するメタクリル樹脂組成物(a)からなり、前記アクリル系樹脂層(B)は、メタクリル樹脂およびゴム粒子の合計100重量%を基準にゴム粒子を10重量%以上の割合で含有するメタクリル樹脂組成物(b)からなり、メタクリル樹脂組成物(b)におけるゴム粒子の含有量が、メタクリル樹脂組成物(a)におけるゴム粒子の含有量よりも多いことを特徴とする。
本発明の樹脂板は、前記ポリカーボネート樹脂層、アクリル系樹脂層(A)およびアクリル系樹脂層(B)が、共押出成形により積層されてなるのが二次成形し易い点で望ましい。
本発明の耐擦傷性樹脂板は、前記樹脂板における前記アクリル系樹脂層(A)またはアクリル系樹脂層(B)の表面に硬化被膜が形成されてなる。
本発明の耐擦傷性樹脂板は、前記アクリル系樹脂層(A)およびアクリル系樹脂層(B)の表面に硬化被膜が形成されているのが好ましい。
本発明のディスプレイ用保護板は、前記耐擦傷性樹脂板におけるアクリル系樹脂層(B)をディスプレイ側に向けて設置するものである。
本発明の携帯型情報端末の表示窓保護板は、前記耐擦傷性樹脂板におけるアクリル系樹脂層(B)を表示窓側に向けて設置するものである。
なお、本発明における前記「携帯型情報端末」とは、人が携行できる程度の大きさであって、文字情報や画像情報等を表示するための窓(ディスプレイ)を有するものの総称を意味しており、例えば携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等が挙げられる。
本発明の樹脂板によれば、表面硬度と耐衝撃性に優れる耐擦傷性樹脂板を得ることができるという効果がある。したがって、この樹脂板を使用した耐擦傷性樹脂板をディスプレイ用の保護板、特に携帯型情報端末の表示窓の保護板として用いると、多様な環境下でも視認性に優れ、かつその表示窓を効果的に保護することができる。
本発明の樹脂板は、ポリカーボネート樹脂層の片面にアクリル系樹脂層(A)が積層され、他面にアクリル系樹脂層(B)が積層されてなるものである。
前記ポリカーボネート樹脂層を構成するポリカーボネート樹脂としては、例えば二価フェノールとカルボニル化剤とを界面重縮合法や溶融エステル交換法等で反応させることにより得られるもの、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法等で重合させることにより得られるもの、環状カーボネート化合物を開環重合法で重合させることにより得られるもの等が挙げられる。
前記二価フェノールとしては、例えばハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
中でも、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれる二価フェノールを単独で、または2種以上用いるのが好ましく、特に、ビスフェノールAの単独使用や、ビスフェノールAと、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンと、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれる1種以上の二価フェノールとの併用が好ましい。
前記カルボニル化剤としては、例えばホスゲン等のカルボニルハライド、ジフェニルカーボネート等のカーボネートエステル、二価フェノールのジハロホルメート等のハロホルメート等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
一方、前記アクリル系樹脂層(A)は、メタクリル樹脂組成物(a)からなり、前記アクリル系樹脂層(B)は、メタクリル樹脂組成物(b)からなる。メタクリル樹脂組成物(a),(b)は、いずれも樹脂成分としてメタクリル樹脂を含有する。前記メタクリル樹脂は、メタクリル酸メチル単位を主成分とするもの、具体的にはメタクリル酸メチル単位を通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上含むメタクリル酸メチル樹脂であるのが好ましく、メタクリル酸メチル単位100重量%のメタクリル酸メチル単独重合体であってもよいし、メタクリル酸メチルと、該メタクリル酸メチルと共重合し得る他の単量体との共重合体であってもよい。
メタクリル酸メチルと共重合し得る前記他の単量体としては、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類や、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。また、スチレンや置換スチレン類として、例えばクロロスチレン、ブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類や、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のアルキルスチレン類等も挙げられる。さらに、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等も挙げられる。これらメタクリル酸メチルと共重合し得る他の単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、アクリル系樹脂層(A),(B)を構成するメタクリル樹脂組成物(a),(b)に含有されるメタクリル樹脂の組成は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、メタクリル樹脂組成物(a),(b)は、いずれも必須成分としてゴム粒子を含有する。該ゴム粒子としては、例えばアクリル系多層構造重合体や、5〜80重量部のゴム状重合体にアクリル系不飽和単量体等のエチレン性不飽和単量体20〜95重量部をグラフト重合させてなるグラフト共重合体等が挙げられる。
前記アクリル系多層構造重合体は、エラストマーの層を20〜60重量%程度内在するものであるのがよく、最外層として硬質層を有するものであるのがよく、さらに最内層として硬質層を有するものでもよい。
前記エラストマーの層は、ガラス転移点(Tg)が25℃未満のアクリル系重合体の層であるのがよく、具体的には、低級アルキルアクリレート、低級アルキルメタクリレート、低級アルコキシアルキルアクリレート、シアノエチルアクリレート、アクリルアミド、ヒドロキシ低級アルキルアクリレート、ヒドロキシ低級アルキルメタクリレート、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれる1種以上の単官能単量体を、アリルメタクリレート等の多官能単量体で架橋させてなる重合体の層であるのがよい。
前記低級アルキルアクリレート等における低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基が挙げられ、前記低級アルコキシアルキルアクリレートにおける低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルコキシ基が挙げられる。また、前記単官能単量体を主成分として共重合体とする場合には、共重合成分として、例えばスチレン、置換スチレン等の他の単官能単量体を共重合させてもよい。
前記硬質層は、Tgが25℃以上のアクリル系重合体の層であるのがよく、具体的には、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを単独で、または主成分として重合させたものであるのがよい。前記炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル等の直鎖または分岐したアルキル基が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを主成分として共重合体とする場合には、共重合成分としては、他のアルキルメタクリレートやアルキルアクリレート、スチレン、置換スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の単官能単量体を用いてもよいし、さらにアリルメタクリレート等の多官能単量体を加えて架橋重合体としてもよい。前記アルキルメタクリレート等におけるアルキル基としては、例えば前記した低級アルキル基で例示したのと同じ炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基等が挙げられる。
上記したアクリル系多層構造重合体は、例えば特公昭55−27576号公報、特開平6−80739号公報、特開昭49−23292号公報等に記載されている。
5〜80重量部のゴム状重合体にエチレン性不飽和単量体20〜95重量部をグラフト重合させてなる前記グラフト共重合体において、ゴム状重合体としては、例えばポリブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体ゴム、スチレン/ブタジエン共重合体ゴム等のジエン系ゴム、ポリブチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル系ゴム、エチレン/プロピレン/非共役ジエン系ゴム等が挙げられる。また、このゴム状重合体にグラフト共重合させるのに用いられるエチレン性単量体としては、例えばスチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのグラフト共重合体は、例えば特開昭55−147514号公報、特公昭47−9740号公報等に記載されている。なお、アクリル系樹脂層(A),(B)を構成するメタクリル樹脂組成物(a),(b)に含有されるゴム粒子の組成は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、アクリル系樹脂層(A)を構成するメタクリル樹脂組成物(a)は、メタクリル樹脂およびゴム粒子の合計100重量%を基準にゴム粒子を3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の割合で含有する。また、アクリル系樹脂層(B)を構成するメタクリル樹脂組成物(b)は、メタクリル樹脂およびゴム粒子の合計100重量%を基準にゴム粒子を10重量%以上の割合で含有する。さらに、メタクリル樹脂組成物(b)におけるゴム粒子の含有量は、メタクリル樹脂組成物(a)におけるゴム粒子の含有量よりも多い。これにより、表面硬度と耐衝撃性に優れる耐擦傷性樹脂板を得ることができる。すなわち、前記樹脂板の少なくとも一方の面に硬化被膜を形成して耐擦傷性樹脂板とし、この耐擦傷性樹脂板をディスプレイ用の保護板、特に携帯型情報端末の表示窓の保護板として用いる場合、前記耐擦傷性樹脂板は、通常、アクリル系樹脂層(A)が表側(視認者側)、アクリル系樹脂層(B)が裏側(ディスプレイ側・表示窓側)を向くように設置される。このように使用される耐擦傷性樹脂板において、アクリル系樹脂層(A)を構成するメタクリル樹脂組成物(a)におけるゴム粒子の含有量があまり少ないと、耐擦傷性樹脂板の耐衝撃性が低下する。また、メタクリル樹脂組成物(a)におけるゴム粒子の含有量があまり多いと、耐擦傷性樹脂板の表面硬度が低下する。さらに、アクリル系樹脂層(B)を構成するメタクリル樹脂組成物(b)におけるゴム粒子の含有量があまり少ないと、耐擦傷性樹脂板の耐衝撃性が低下する。一方、メタクリル樹脂組成物(b)におけるゴム粒子の含有量を、メタクリル樹脂組成物(a)におけるゴム粒子の含有量より多くすることで、さらに耐衝撃性に優れ、かつ表面硬度に優れる耐擦傷性樹脂板を得ることができる。なお、メタクリル樹脂組成物(b)におけるゴム粒子の含有量の上限値としては、特に限定されないが、あまり多いと耐擦傷性樹脂板の成形性が低下する傾向にあるので、80重量%程度が適当である。
ポリカーボネート樹脂層、アクリル系樹脂層(A),(B)には、それぞれ必要に応じて、例えば光拡散剤、艶消剤、染料、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を1種または2種以上、添加してもよい。
本発明の樹脂板は、ポリカーボネート樹脂層、アクリル系樹脂層(A)およびアクリル系樹脂層(B)を共押出成形で積層一体化することにより、好適に製造される。この共押出成形は、3基の一軸または二軸の押出機を用いて、ポリカーボネート樹脂層の材料、アクリル系樹脂層(A)の材料およびアクリル系樹脂層(B)の材料をそれぞれ溶融混練した後、フィードブロックダイやマルチマニホールドダイ等を介して積層することにより行うことができ、積層一体化された溶融積層樹脂体は、例えばロールユニットを用いて冷却固化すればよい。共押出成形により製造した樹脂板は、粘着剤や接着剤を用いた貼合により製造した樹脂板に比べて、二次成形し易い点で好ましい。
前記樹脂板は、通常、シート状ないしフィルム状であり、その厚みは、通常0.3〜3mm、好ましくは0.3〜2mm、さらに好ましくは0.4〜1.6mmである。該樹脂板において、アクリル系樹脂層(A)の厚みは、通常40〜200μm、好ましくは50〜150μmである。これにより、前記樹脂板を樹脂基板とする耐擦傷性樹脂板において、十分な表面硬度を得ることができる。また、アクリル系樹脂層(B)の厚みは、通常10〜150μm、好ましくは20〜120μmである。これにより、前記樹脂板を樹脂基板とする耐擦傷性樹脂板において、十分な耐衝撃性を得ることができる。なお、アクリル系樹脂層(A)およびアクリル系樹脂層(B)の厚みは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一方、前記樹脂板は、樹脂基板の少なくとも一方の面に硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板における前記樹脂基板として使用されるものである。つまり、耐擦傷性樹脂板は、前記樹脂板の少なくとも一方の面に硬化被膜を形成してなる。耐擦傷性樹脂板は、樹脂板のアクリル系樹脂層(A)の表面に硬化被膜を形成するのが好ましく、該表面に加えて、アクリル系樹脂層(B)の表面にも硬化被膜を形成するのがさらに好ましい。これにより、耐擦傷性樹脂板の耐擦傷性を向上させることができる。なお、アクリル系樹脂層(B)の表面にのみ硬化被膜を形成することもできる。
耐擦傷性樹脂板の層構成としては、下記(i)〜(iii)が挙げられる。
(i)硬化被膜/アクリル系樹脂層(A)/ポリカーボネート樹脂層/アクリル系樹脂層(B)
(ii)アクリル系樹脂層(A)/ポリカーボネート樹脂層/アクリル系樹脂層(B)/硬化被膜
(iii)硬化被膜/アクリル系樹脂層(A)/ポリカーボネート樹脂層/アクリル系樹脂層(B)/硬化被膜
なお、前記樹脂板の両面に硬化被膜を形成する場合には、両面の硬化被膜の組成や厚みは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記硬化被膜は、硬化性塗料組成物を硬化させて形成されている。該硬化性塗料組成物は、耐擦傷性をもたらす硬化性化合物を必須成分とし、必要に応じて、例えば硬化触媒、導電性粒子、溶媒、レベリング剤、安定化剤、酸化防止剤、着色剤等を含有するものである。
前記硬化性化合物としては、例えばアクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、エポキシアクリレート化合物、カルボキシル基変性エポキシアクリレート化合物、ポリエステルアクリレート化合物、共重合系アクリレート化合物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。中でも、硬化被膜の耐擦傷性の点から、多官能アクリレート化合物、多官能ウレタンアクリレート化合物、多官能エポキシアクリレート化合物等のラジカル重合系の硬化性化合物や、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等の熱重合系の硬化性化合物等が好ましく用いられる。これらの硬化性化合物は、例えば電子線、放射線、紫外線等のエネルギー線を照射することにより硬化するものであるか、加熱により硬化するものであるのがよい。これらの硬化性化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数の化合物を組み合わせて用いてもよい。
特に好ましい硬化性化合物は、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。ここで、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基をいい、その他、本明細書において、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等というときの「(メタ)」も同様の意味である。
分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ−またはテトラ−(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ−、テトラ−、ペンタ−またはヘキサ−(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ−、ペンタ−、ヘキサ−またはヘプタ−(メタ)アクリレートのような、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート;分子中にイソシアナト基を少なくとも2個有する化合物に、水酸基を有する(メタ)アクリレートを、イソシアナト基に対して水酸基が等モル以上となる割合で反応させて得られ、分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数が3個以上となったウレタン(メタ)アクリレート〔例えば、ジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの反応により、6官能のウレタン(メタ)アクリレートが得られる〕;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、ここには単量体を例示したが、これら単量体のままで用いてもよいし、例えば2量体、3量体等のオリゴマーの形になったものを用いてもよい。また、単量体とオリゴマーを併用してもよい。これらの(メタ)アクリレート化合物は、それぞれ単独か、または2種以上を混合して用いられる。
分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記化合物は、市販のものを用いることができ、具体例としては、例えばいずれも新中村化学工業(株)製の“NKハ−ド M101”(ウレタンアクリレート系)、“NKエステル A−TMM−3L”(ペンタエリスリトールトリアクリレート)、“NKエステル A−TMMT”(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、“NKエステル A−9530”(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート)および“NKエステル A−DPH”(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、日本化薬(株)製の“KAYARAD DPCA”(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、サンノプコ(株)製の“ノプコキュア 200”シリーズ、大日本インキ化学工業(株)製の“ユニディック”シリーズ等が挙げられる。
なお、硬化性化合物として分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を用いる場合には、必要に応じて、他の硬化性化合物、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのような、分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を併用してもよいが、その使用量は、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物100重量部に対して、通常20重量部までである。
前記硬化性塗料組成物を紫外線で硬化させる場合には、硬化触媒として光重合開始剤を使用するのがよい。該光重合開始剤としては、例えばベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。光重合開始剤の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常0.1〜5重量部である。
前記光重合開始剤は、市販のものを用いることができ、具体例としては、例えばいずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の“IRGACURE 651”、“IRGACURE 184”、“IRGACURE 500”、“IRGACURE 1000”、“IRGACURE 2959”、“DAROCUR 1173”、“IRGACURE 907”、“IRGACURE 369”、“IRGACURE 1700”、“IRGACURE 1800”、“IRGACURE 819”、“IRGACURE 784”等の、IRGACURE(イルガキュア)シリーズおよびDAROCUR(ダロキュア)シリーズ、いずれも日本化薬(株)製の“KAYACURE ITX”、“KAYACURE DETX−S”、“KAYACURE BP−100”、“KAYACUREBMS”、“KAYACURE 2−EAQ”等の、KAYACURE(カヤキュア)シリーズ等が挙げられる。
前記硬化性塗料組成物に導電性粒子を含有させることにより、硬化被膜に帯電防止性を付与することができる。前記導電性粒子としては、例えばアンチモン−スズ複合酸化物、リンを含有する酸化錫、5酸化アンチモン等の酸化アンチモン、アンチモン−亜鉛複合酸化物、酸化チタン、インジウム−錫複合酸化物(ITO)のような無機粒子が好ましく用いられる。前記導電性粒子は、固形分濃度が10〜30重量%程度のゾルの形態で使用することもできる。
前記導電性粒子の粒子径は、通常0.5μm以下であり、硬化被膜の帯電防止性や透明性の点からは、平均粒子径で表して、好ましくは0.001μm以上であり、また好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が小さい程、耐擦傷性樹脂板のヘイズを低くすることができ、透明性を高めることができる。
前記導電性粒子の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常2〜50重量部、好ましくは3〜20重量部である。導電性粒子の使用量が多い程、硬化被膜の帯電防止性が向上する傾向にあるが、導電性粒子の使用量があまり多いと、硬化被膜の透明性が低下するので好ましくない。
前記導電性粒子は、例えば気相分解法、プラズマ蒸発法、アルコキシド分解法、共沈法、水熱法等により製造することができる。また、導電性粒子の表面は、例えばノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等で表面処理されていてもよい。
前記硬化性塗料組成物には、その粘度調整等を目的として、溶媒を含有させるのがよく、特に導電性粒子が含まれる場合には、その分散のために溶媒を含有させるのがよい。導電粒子および溶媒を含有する硬化性塗料組成物を調製する場合には、例えば導電性粒子および溶媒を混合して、溶媒に導電性粒子を分散させた後、この分散液を硬化性化合物と混合してもよいし、硬化性化合物と溶媒を混合した後、この混合液に導電性粒子を分散させてもよい。
前記溶媒は、硬化性化合物を溶解することができ、かつ塗布後に容易に揮発し得るものであるのがよく、また塗料成分として導電性粒子を用いる場合には、それを分散させることができるものであるのがよい。このような溶媒としては、例えばジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールのようなケトン類、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、水等が挙げられる。溶媒の使用量は、硬化性化合物の性状等に合わせて、適宜調整すればよい。
前記硬化性塗料組成物にレベリング剤を含有させる場合には、シリコーンオイルが好ましく用いられ、その例としては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキル・アラルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコーンオイル、フェノール基含有シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらのレベリング剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いることもできる。レベリング剤の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常0.01〜5重量部である。
前記レベリング剤は、市販のものを用いることができ、具体例としては、例えばいずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の“SH200−100cs”、“SH28PA”、“SH29PA”、“SH30PA”、“ST83PA”、“ST80PA”、“ST97PA”および“ST86PA”、いずれもビック・ケミー・ジャパン(株)製の“BYK−302”、“BYK−307”、“BYK−320”および“BYK−330”等が挙げられる。
こうして得られる硬化性塗料組成物を、前記樹脂板の少なくとも一方の面に塗布して、硬化性塗膜とし、次いで硬化させて、硬化被膜とすることにより、耐擦傷性樹脂板が得られる。硬化性塗料の塗布は、例えばバーコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ダイコート法、スプレーコート法等のコート法により行えばよい。硬化性塗膜の硬化は、硬化性塗料組成物の種類に応じて、エネルギー線の照射や加熱等により行えばよい。
エネルギー線の照射により硬化させる場合のエネルギー線としては、例えば紫外線、電子線、放射線等が挙げられ、その強度や照射時間等の条件は、硬化性塗料組成物の種類に応じて適宜選択される。また、加熱により硬化させる場合において、その温度や時間等の条件は、硬化性塗料組成物の種類に応じて適宜選択されるが、加熱温度は、樹脂基板が変形を起こさないよう、一般的には100℃以下であるのが好ましい。硬化性塗料組成物が溶媒を含有する場合には、塗布後、溶媒を揮発させた後に硬化性塗膜を硬化させてもよいし、溶媒の揮発と硬化性塗膜の硬化とを同時に行ってもよい。
前記硬化被膜の厚みは、好ましくは0.5〜50μmであり、より好ましくは1〜20μmである。硬化被膜の厚みが小さい程、亀裂が生じ難くなる傾向にあるが、あまり小さいと、耐擦傷性が不十分になり好ましくない。
得られた耐擦傷性樹脂板には、必要に応じて、その表面に、コート法やスパッタ法、真空蒸着法等により反射防止処理を施してもよい。また、別途作製した反射防止性のシートを耐擦傷性樹脂板の片面または両面に貼合して、反射防止効果を付与してもよい。
かくして得られる耐擦傷性樹脂板は、耐衝撃性と表面硬度に優れるため、各種用途に用いることができるが、中でもディスプレイ保護板として好適に用いられる。保護されるディスプレイの種類としては、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等が挙げられる。また、保護されるディスプレイの用途としては、例えばテレビやコンピューターのモニター、携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯型情報端末の表示窓、デジタルカメラやハンディ型ビデオカメラのファインダー部、携帯型ゲーム機の表示窓等が挙げられる。本発明の耐擦傷性樹脂板は、特に液晶ディスプレイやELディスプレイ等による携帯型情報端末の表示窓保護板として好適に用いられる。
本発明の耐擦傷性樹脂板から、ディスプレイ保護板を作製するには、まず必要に応じて印刷、穴あけ等の加工を行い、必要な大きさに切断処理すればよい。しかるのちに、ディスプレイにセットすれば、ディスプレイを効果的に保護することができる。その際、アクリル系樹脂層(A)が表側(視認者側)、アクリル系樹脂層(B)が裏側(ディスプレイ側・表示窓側)になるように設置するのがよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。
実施例および比較例において、樹脂板および耐擦傷性樹脂板の作製に使用した材料は、次の通りである。
・ポリカーボネート樹脂:住友ダウ(株)製の「カリバー 301−10」を用いた。
・メタクリル樹脂:メタクリル酸メチル97.8%とアクリル酸メチル2.2%とからなる単量体のバルク重合により得られた熱可塑性重合体(ガラス転移温度104℃)のペレットを用いた。なお、このガラス転移温度は、JIS K7121:1987に従い、示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で求めた補外ガラス転移開始温度である。
・ゴム粒子:最内層がメタクリル酸メチル93.8%とアクリル酸メチル6%とメタクリル酸アリル0.2%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体であり、中間層がアクリル酸ブチル81%とスチレン17%とメタクリル酸アリル2%とからなる単量体の重合により得られた弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチル94%とアクリル酸メチル6%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体である、乳化重合法によるゴム粒子を用いた。
・硬化性塗料:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔新中村化学工業(株)製の「NKエステル A−DPH」〕25部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製の「IRGACURE 184」〕2部、5酸化アンチモン微粒子ゾル〔触媒化成工業(株)製の「ELCOM V−4514」;固形分濃度20%、平均粒子径0.1μm未満〕10部、1−メトキシ−2−プロパノール24部、イソブチルアルコール24部、およびジアセトンアルコール15部を混合して調製した硬化性塗料を用いた。
[実施例1,2および比較例1〜3]
〔樹脂板の作製〕
まず、アクリル系樹脂層(A),(B)の形成材料として、メタクリル樹脂組成物(a),(b)を調製した。すなわち、メタクリル樹脂とゴム粒子とを、表1に示す割合でスーパーミキサーで混合し、二軸押出機にて溶融混錬して、メタクリル樹脂とゴム粒子からなるメタクリル樹脂組成物(a),(b)をペレットとして得た。
次いで、メタクリル樹脂組成物(a)を直径20mmφの一軸押出機で、メタクリル樹脂組成物(b)を直径25mmφの一軸押出機で、ポリカーボネート樹脂を直径40mmφの一軸押出機で、それぞれ溶融させ、これらをフィードブロックを介して積層し、設定温度260℃のT型ダイスを介して押し出した。なお、メタクリル樹脂組成物(a),(b)およびポリカーボネート樹脂の溶融に用いた前記一軸押出機には、いずれも田辺プラスチックス機械(株)製のものを用いた。
T型ダイスを介して押し出すことにより得られるフィルム状物を、一対の表面が平滑な金属製のロールの間に挟み込んで成形・冷却し、ポリカーボネート樹脂層の片面にアクリル系樹脂層(A)が積層され、他面にアクリル系樹脂層(B)が積層されてなる、表1に示す厚さの3層構成の樹脂板を作製した。
〔耐擦傷性樹脂板の作製〕
まず、得られた樹脂板を100mm×80mmの大きさに切断し、ディッピング法にて樹脂板の両面に硬化性塗料の塗膜を形成した。次いで、室温で1分間乾燥し、さらに50℃の熱風オーブン内で3分間乾燥して溶媒を揮発させた後、この塗膜に、120Wの高圧水銀ランプを用いて、0.5J/cm2の紫外線を照射して硬化させ、樹脂板の両面に厚さ3.5μmの硬化被膜が形成された実施例1,2および比較例1〜3にかかる各耐擦傷性樹脂板を得た。各耐擦傷性樹脂板における両面の硬化被膜の組成および厚みは、互いに同一である。
〔評価〕
得られた各耐擦傷性樹脂板について、耐衝撃性(落球強度)および表面硬度(鉛筆硬度)を評価した。各評価方法を以下に示すとともに、その結果を表1に示す。
<耐衝撃性(落球強度)>
耐擦傷性樹脂板を85mm×65mmの大きさに切断し、アクリル系樹脂層(A)を上側(落球側)、アクリル系樹脂層(B)を下側として、上側には外形85mm×65mm、内形47mm×35mm、厚さ1mmの金属製型枠を配置し、下側には外形85mm×65mm、内形47mm×35mm、厚さ2mmの金属製型枠を配置して、これら金属製型枠で該耐擦傷性樹脂板を挟んだ。そして、重量36gで直径20mmφの金属球を、該耐擦傷性樹脂板の中央に30cmの高さから落下させたとき、耐擦傷性樹脂板が割れなかったものを○、耐擦傷性樹脂板が割れたものを×として評価した。
<表面硬度(鉛筆硬度)>
JIS K5600に従い、メタクリル樹脂層(A)の表面について測定した。
Figure 2011207046
表1から明らかなように、実施例1,2は、耐衝撃性および表面硬度に優れているのがわかる。これに対し、アクリル系樹脂層(A)がゴム粒子を含有していない比較例1、およびアクリル系樹脂層(B)におけるゴム粒子の含有量が所定量よりも少なくかつメタクリル樹脂組成物(b)におけるゴム粒子の含有量がメタクリル樹脂組成物(a)におけるゴム粒子の含有量よりも少ない比較例2は、いずれも耐衝撃性に劣る結果を示した。また、アクリル系樹脂層(A)におけるゴム粒子の含有量が所定量よりも多くかつメタクリル樹脂組成物(a),(b)における各々のゴム粒子の含有量が同じである比較例3は、表面硬度に劣る結果を示した。

Claims (7)

  1. 樹脂基板の少なくとも一方の面に硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板における前記樹脂基板として使用される樹脂板であって、
    ポリカーボネート樹脂層の片面にアクリル系樹脂層(A)が積層され、他面にアクリル系樹脂層(B)が積層されてなり、
    前記アクリル系樹脂層(A)は、メタクリル樹脂およびゴム粒子の合計100重量%を基準にゴム粒子を3〜20重量%の割合で含有するメタクリル樹脂組成物(a)からなり、
    前記アクリル系樹脂層(B)は、メタクリル樹脂およびゴム粒子の合計100重量%を基準にゴム粒子を10重量%以上の割合で含有するメタクリル樹脂組成物(b)からなり、
    メタクリル樹脂組成物(b)におけるゴム粒子の含有量が、メタクリル樹脂組成物(a)におけるゴム粒子の含有量よりも多いことを特徴とする樹脂板。
  2. 前記ポリカーボネート樹脂層、アクリル系樹脂層(A)およびアクリル系樹脂層(B)が、共押出成形により積層されてなる請求項1に記載の樹脂板。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂板における前記アクリル系樹脂層(A)の表面に硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板。
  4. 請求項1または2に記載の樹脂板における前記アクリル系樹脂層(B)の表面に硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板。
  5. 前記アクリル系樹脂層(B)の表面に硬化被膜が形成されてなる請求項3に記載の耐擦傷性樹脂板。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板におけるアクリル系樹脂層(B)をディスプレイ側に向けて設置するディスプレイ用保護板。
  7. 請求項3〜5のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板におけるアクリル系樹脂層(B)を表示窓側に向けて設置する携帯型情報端末の表示窓保護板。
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