JP2011201183A - ディスプレイ保護用積層板 - Google Patents

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貴之 美濃
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Abstract

【課題】ディスプレイとの貼合部における気泡の発生を抑制することができるディスプレイ保護用積層板を提供することである。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面に、メタクリル樹脂層が積層されてなるディスプレイ保護用積層板であって、該積層板を炭酸ガス採取バッグ内部に設置し、該炭酸ガス採取バッグ内部に窒素を充填させ、80℃で3時間加熱した後に、ガスクロマトグラフィーにより測定する前記炭酸ガス採取バッグ内部の炭酸ガス量が、前記積層板の単位体積あたり500nL/cm3以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ディスプレイを保護する積層板に関する。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、加工の自由度等に優れるので、液晶ディスプレイ等のディスプレイカバー等に用いられているが、表面硬度が不十分であった。この問題を解決するため、特許文献1,2には、ポリカーボネート樹脂層の片面にアクリル樹脂層を積層し、さらにアクリル樹脂層上にハードコート処理を施した液晶ディスプレイカバー用のポリカーボネート樹脂積層体が記載されている。
前記積層体を、ディスプレイの表面保護用として使用する場合には、通常、前記ポリカーボネート樹脂層をディスプレイに対向させ、積層体とディスプレイとの間に空気層が存在するよう、ディスプレイから所定の間隔をおいて設置される。
一方、液晶ディスプレイ等に代表されるディスプレイの薄型化や視認性向上等の観点からは、前記空気層が存在しないように、前記積層体をディスプレイに貼合して使用することが望ましい。
しかしながら、特許文献1,2に記載されている前記積層体をディスプレイに貼合して使用すると、積層体とディスプレイとの間、すなわち貼合部に気泡が生じて視認性が低下することがあった。
特開2006−103169号公報 特開2007−237700号公報
本発明の課題は、ディスプレイとの貼合部における気泡の発生を抑制することができるディスプレイ保護用積層板を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を見出した。すなわち、透明性に優れ、剛性も高いメタクリル樹脂層をポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面に積層してなる積層板は、ディスプレイ保護用として好適である。ところが、この積層板をディスプレイに貼合して使用すると、貼合部に気泡が発生することがある。
本発明者らは、この要因が、積層板に含まれる炭酸ガス量にあると考え、この炭酸ガス量について検討を重ねた。その結果、所定の条件下で積層板の炭酸ガス量を測定したとき、その炭酸ガス量によっては、前記貼合部に多くの気泡が発生するという知見を得た。
そして、この知見に基づき、さらに鋭意研究を重ねた結果、前記条件下で測定された積層板の炭酸ガス量が特定の値以下であれば、ディスプレイに貼合しても、貼合部における気泡の発生を十分に抑制し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のディスプレイ保護用積層板は、以下の構成からなる。
(1)ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面に、メタクリル樹脂層が積層されてなるディスプレイ保護用積層板であって、該積層板を炭酸ガス採取バッグ内部に設置し、該炭酸ガス採取バッグ内部に窒素を充填させ、80℃で3時間加熱した後に、ガスクロマトグラフィーにより測定する前記炭酸ガス採取バッグ内部の炭酸ガス量が、前記積層板の単位体積あたり500nL/cm3以下であることを特徴とするディスプレイ保護用積層板。
(2)70〜90℃で5〜30時間乾燥させた前記積層板を、前記炭酸ガス採取バッグ内部に設置する前記(1)記載のディスプレイ保護用積層板。
(3)前記ポリカーボネート樹脂層の両面に、前記メタクリル樹脂層が積層されてなる前記(1)または(2)記載のディスプレイ保護用積層板。
(4)前記ポリカーボネート樹脂層と前記メタクリル樹脂層とが、共押出成形により積層されてなる前記(1)〜(3)のいずれかに記載のディスプレイ保護用積層板。
(5)少なくとも一方の面に硬化被膜が形成されている前記(1)〜(4)のいずれかに記載のディスプレイ保護用積層板。
(6)ディスプレイに貼合して使用される前記(1)〜(4)のいずれかに記載のディスプレイ保護用積層板。
(7)ディスプレイに貼合する貼合面と反対側の面に硬化被膜が形成されている前記(6)記載のディスプレイ保護用積層板。
(8)前記貼合面に硬化被膜が形成されている前記(6)または(7)記載のディスプレイ保護用積層板。
本発明によれば、ディスプレイに貼合しても、貼合部における気泡の発生を抑制することができるという効果がある。したがって、本発明のディスプレイ保護用積層板をディスプレイに貼合すれば、貼合部における気泡の発生を抑制しつつディスプレイを保護することができるので、ディスプレイの薄型化や視認性向上等に対応することができる。
本発明のディスプレイ保護用積層板(以下、「積層板」と言うことがある。)は、ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面に、メタクリル樹脂層が積層されてなる。
前記ポリカーボネート樹脂層を構成するポリカーボネート樹脂としては、例えば二価フェノールとカルボニル化剤とを界面重縮合法や溶融エステル交換法等で反応させることにより得られるもの、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法等で重合させることにより得られるもの、環状カーボネート化合物を開環重合法で重合させることにより得られるもの等が挙げられる。
前記二価フェノールとしては、例えばハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
中でも、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれる二価フェノールを単独で、または2種以上用いるのが好ましく、特に、ビスフェノールAの単独使用や、ビスフェノールAと、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンと、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれる1種以上の二価フェノールとの併用が好ましい。
前記カルボニル化剤としては、例えばホスゲン等のカルボニルハライド、ジフェニルカーボネート等のカーボネートエステル、二価フェノールのジハロホルメート等のハロホルメート等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
一方、前記メタクリル樹脂層を構成するメタクリル樹脂は、メタクリル酸メチル単位を主成分とするもの、具体的にはメタクリル酸メチル単位を通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上含むメタクリル酸メチル樹脂であるのが好ましく、メタクリル酸メチル単位100重量%のメタクリル酸メチル単独重合体であってもよいし、メタクリル酸メチルと、該メタクリル酸メチルと共重合し得る他の単量体との共重合体であってもよい。
メタクリル酸メチルと共重合し得る前記他の単量体としては、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類や、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。また、スチレンや置換スチレン類として、例えばクロロスチレン、ブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類や、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のアルキルスチレン類等も挙げられる。さらに、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等も挙げられる。これらメタクリル酸メチルと共重合し得る他の単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記メタクリル樹脂は、ゴム粒子を含有してもよい。これにより、メタクリル樹脂層の耐衝撃性を向上させることができる。該ゴム粒子としては、例えばアクリル系多層構造重合体、5〜80重量部のゴム状重合体にアクリル系不飽和単量体等のエチレン性不飽和単量体20〜95重量部をグラフト重合させてなるグラフト共重合体等が挙げられる。
前記アクリル系多層構造重合体は、エラストマーの層を20〜60重量%程度内在するものであるのがよく、最外層として硬質層を有するものであるのがよく、さらに最内層として硬質層を有するものでもよい。
前記エラストマーの層は、ガラス転移点(Tg)が25℃未満のアクリル系重合体の層であるのがよく、具体的には、低級アルキルアクリレート、低級アルキルメタクリレート、低級アルコキシアルキルアクリレート、シアノエチルアクリレート、アクリルアミド、ヒドロキシ低級アルキルアクリレート、ヒドロキシ低級アルキルメタクリレート、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれる1種以上の単官能単量体を、アリルメタクリレート等の多官能単量体で架橋させてなる重合体の層であるのがよい。
前記低級アルキルアクリレート等における低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基が挙げられ、前記低級アルコキシアルキルアクリレートにおける低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルコキシ基が挙げられる。また、前記単官能単量体を主成分として共重合体とする場合には、共重合成分として、例えばスチレン、置換スチレン等の他の単官能単量体を共重合させてもよい。
前記硬質層は、Tgが25℃以上のアクリル系重合体の層であるのがよく、具体的には、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを単独で、または主成分として重合させたものであるのがよい。前記炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル等の直鎖または分岐したアルキル基が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを主成分として共重合体とする場合には、共重合成分としては、他のアルキルメタクリレートやアルキルアクリレート、スチレン、置換スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の単官能単量体を用いてもよいし、さらにアリルメタクリレート等の多官能単量体を加えて架橋重合体としてもよい。前記アルキルメタクリレート等におけるアルキル基としては、例えば前記した低級アルキル基で例示したのと同じ炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基等が挙げられる。
上記したアクリル系多層構造重合体は、例えば特公昭55−27576号公報、特開平6−80739号公報、特開昭49−23292号公報等に記載されている。
5〜80重量部のゴム状重合体にエチレン性不飽和単量体20〜95重量部をグラフト重合させてなる前記グラフト共重合体において、ゴム状重合体としては、例えばポリブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体ゴム、スチレン/ブタジエン共重合体ゴム等のジエン系ゴム、ポリブチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル系ゴム、エチレン/プロピレン/非共役ジエン系ゴム等が挙げられる。また、このゴム状重合体にグラフト共重合させるのに用いられるエチレン性単量体としては、例えばスチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのグラフト共重合体は、例えば特開昭55−147514号公報、特公昭47−9740号公報等に記載されている。
ゴム粒子の使用量は、メタクリル樹脂100重量部に対して、通常3〜150重量部、好ましくは4〜50重量部、より好ましくは5〜9重量部である。ゴム粒子の使用量が多い程、メタクリル樹脂層の耐衝撃性が向上し、また前記積層板が押圧されても割れ難くなる傾向にあるが、ゴム粒子の使用量があまり多いと、積層板の表面硬度が低下して好ましくない。
なお、前記ポリカーボネート樹脂層およびメタクリル樹脂層には、それぞれ必要に応じて、例えば光拡散剤、艶消剤、染料、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を1種または2種以上、添加してもよい。
本発明の積層板は、ポリカーボネート樹脂層の片面にのみメタクリル樹脂層が積層されてなる2層構造の他、ポリカーボネート樹脂層の両面にメタクリル樹脂層が積層されてなる3層構造のものであってもよい。積層板の耐環境性、例えば高温下や高湿下に曝したときの反り難さの点からは、ポリカーボネート樹脂層の両面にメタクリル樹脂層が積層されてなる3層構造の積層板が好ましい。なお、3層構造の場合には、両面のメタクリル樹脂層の組成や厚みは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、例えば、一方がゴム粒子を含有すれば、他方はゴム粒子を含有しないように構成することも可能である。
前記積層板は、ポリカーボネート樹脂層とメタクリル樹脂層とを共押出成形で積層一体化することにより、好適に製造される。この共押出成形は、2基または3基の一軸または二軸の押出機を用いて、ポリカーボネート樹脂層の材料とメタクリル樹脂層の材料とをそれぞれ溶融混練した後、フィードブロックダイやマルチマニホールドダイ等を介して積層することにより行うことができ、積層一体化された溶融積層樹脂体は、例えばロールユニット等を用いて冷却固化すればよい。共押出成形により製造した積層板は、粘着剤や接着剤を用いた貼合により製造した積層板に比べて、二次成形し易い点で好ましい。
ここで、本発明の積層板は、該積層板を炭酸ガス採取バッグ内部に設置し、該炭酸ガス採取バッグ内部に窒素を充填させ、80℃で3時間加熱した後に、ガスクロマトグラフィーにより測定する前記炭酸ガス採取バッグ内部の炭酸ガス量が、前記積層板の単位体積あたり500nL/cm3以下、好ましくは300nL/cm3以下である。前記炭酸ガス量が500nL/cm3以下の積層板は、ディスプレイに貼合しても、ディスプレイとの貼合部に気泡が発生し難い。したがって、前記積層板は、ディスプレイに貼合して好適に使用することができる。前記積層板のディスプレイへの貼合は、例えば接着剤、粘着剤等を用いて行うことができる。前記積層板において、ディスプレイとの貼合面は、ポリカーボネート樹脂層およびメタクリル樹脂層のいずれであってもよい。
前記炭酸ガス採取バッグとしては、積層板に含まれる炭酸ガスを採取できる限り特に限定されないが、例えばテドラーバッグ等が好適である。該テドラーバッグの材質としては、例えばポリフッ化ビニルフィルム等が挙げられる。また、前記炭酸ガス採取バッグの内容量としては、測定する積層板の形状に応じて適当なものを採用することができる。前記炭酸ガス採取バッグ内部に充填させる前記窒素としては、純度99.99995%の高純度窒素が好ましい。前記炭酸ガス採取バッグの加熱は、例えば恒温層等を用いて行うことができる。
前記積層板は、炭酸ガス採取バッグ内部に設置する前に、乾燥処理を施すのが好ましい。具体的には、70〜90℃で5〜30時間乾燥させた前記積層板を、前記炭酸ガス採取バッグ内部に設置するのが好ましい。これにより、前記炭酸ガス量を500nL/cm3以下にすることができる。前記乾燥処理は、0.1MPa未満、好ましくは0.01Pa以上0.1MPa未満の減圧状態で行うのが好ましい。
前記積層板は、通常、シート状ないしフィルム状であり、その厚みは、通常0.3〜3mm、好ましくは0.3〜2mm、さらに好ましくは0.4〜1.5mmである。この積層板において、メタクリル樹脂層の厚みとしては、50〜200μmが好ましく、140〜200μmがより好ましい。特に、メタクリル樹脂層の厚みが140〜200μmであると、前記炭酸ガス量を500nL/cm3以下にすることができる。
一方、前記積層板は、耐擦傷性を向上させる上で、少なくとも一方の面に硬化被膜を形成するのが好ましい。また、前記積層板をディスプレイに貼合して使用する場合には、ディスプレイに貼合する貼合面と反対側の面に硬化被膜を形成するのが好ましく、該反対側の面に加えて前記貼合面にも硬化被膜を形成するのが好ましい。なお、前記貼合面にのみ硬化被膜を形成することもできる。
硬化被膜を積層板上に形成する場合の層構成としては、下記(i)〜(v)が挙げられる。
(i)メタクリル樹脂層/ポリカーボネート樹脂層/硬化被膜
(ii)硬化被膜/メタクリル樹脂層/ポリカーボネート樹脂層/硬化被膜
(iii)硬化被膜/メタクリル樹脂層/ポリカーボネート樹脂層
(iv)硬化被膜/メタクリル樹脂層/ポリカーボネート樹脂層/メタクリル樹脂層
(v)硬化被膜/メタクリル樹脂層/ポリカーボネート樹脂層/メタクリル樹脂層/硬化被膜
なお、前記積層板の両面に硬化被膜を形成する場合には、両面の硬化被膜の組成や厚みは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記硬化被膜は、硬化性塗料組成物を硬化させて形成されている。該硬化性塗料組成物は、耐擦傷性をもたらす硬化性化合物を必須成分とし、必要に応じて、例えば硬化触媒、導電性粒子、溶媒、レベリング剤、安定化剤、酸化防止剤、着色剤等を含有するものである。
前記硬化性化合物としては、例えばアクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、エポキシアクリレート化合物、カルボキシル基変性エポキシアクリレート化合物、ポリエステルアクリレート化合物、共重合系アクリレート化合物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。中でも、硬化被膜の耐擦傷性の点から、多官能アクリレート化合物、多官能ウレタンアクリレート化合物、多官能エポキシアクリレート化合物等のラジカル重合系の硬化性化合物や、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等の熱重合系の硬化性化合物等が好ましく用いられる。これらの硬化性化合物は、例えば電子線、放射線、紫外線等のエネルギー線を照射することにより硬化するものであるか、加熱により硬化するものであるのがよい。これらの硬化性化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数の化合物を組み合わせて用いてもよい。
特に好ましい硬化性化合物は、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。ここで、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基をいい、その他、本明細書において、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸などというときの「(メタ)」も同様の意味である。
分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ−またはテトラ−(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ−、テトラ−、ペンタ−またはヘキサ−(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ−、ペンタ−、ヘキサ−またはヘプタ−(メタ)アクリレートのような、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート;分子中にイソシアナト基を少なくとも2個有する化合物に、水酸基を有する(メタ)アクリレートを、イソシアナト基に対して水酸基が等モル以上となる割合で反応させて得られ、分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数が3個以上となったウレタン(メタ)アクリレート〔例えば、ジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとの反応により、6官能のウレタン(メタ)アクリレートが得られる〕;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、ここには単量体を例示したが、これら単量体のままで用いてもよいし、例えば2量体、3量体等のオリゴマーの形になったものを用いてもよい。また、単量体とオリゴマーとを併用してもよい。これらの(メタ)アクリレート化合物は、それぞれ単独か、または2種以上を混合して用いられる。
分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記化合物は、市販のものを用いることができ、具体例としては、例えばいずれも新中村化学工業(株)製の“NKハード M101”(ウレタンアクリレート系)、“NKエステル A−TMM−3L”(ペンタエリスリトールトリアクリレート)、“NKエステル A−TMMT”(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、“NKエステル A−9530”(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート)および“NKエステル A−DPH”(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、日本化薬(株)製の“KAYARAD DPCA”(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、サンノプコ(株)製の“ノプコキュア 200”シリーズ、大日本インキ化学工業(株)製の“ユニディック”シリーズ等が挙げられる。
なお、硬化性化合物として分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記化合物を用いる場合には、必要に応じて、他の硬化性化合物として、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのような、分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を併用してもよいが、その使用量は、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物100重量部に対して、通常20重量部までであるのがよい。
前記硬化性塗料組成物を紫外線で硬化させる場合には、硬化触媒として光重合開始剤を使用するのがよい。該光重合開始剤としては、例えばベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。光重合開始剤の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常0.1〜5重量部である。
前記光重合開始剤は、市販のものを用いることができ、具体例としては、例えばいずれもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製の “IRGACURE 651”、“IRGACURE 184”、“IRGACURE 500”、“IRGACURE 1000”、“IRGACURE 2959”、“DAROCUR 1173”、“IRGACURE 907”、“IRGACURE 369”、“IRGACURE 1700”、“IRGACURE 1800”、“IRGACURE 819”、“IRGACURE 784”等のIRGACURE(イルガキュア)シリーズおよびDAROCUR(ダロキュア)シリーズ、いずれも日本化薬(株)製の“KAYACURE ITX”、“KAYACURE DETX−S”、“KAYACURE BP−100”、“KAYACUREBMS”、“KAYACURE 2−EAQ”等のKAYACURE(カヤキュア)シリーズ等が挙げられる。
前記硬化性塗料組成物に導電性粒子を含有させることにより、硬化被膜に帯電防止性を付与することができる。前記導電性粒子としては、例えばアンチモン−スズ複合酸化物、リンを含有する酸化錫、酸化アンチモン、アンチモン−亜鉛複合酸化物、酸化チタン、インジウム−錫複合酸化物(ITO)のような無機粒子が好ましく用いられる。
前記導電性粒子の粒子径は、通常0.5μm以下であり、硬化被膜の帯電防止性や透明性の点からは、平均粒子径で表して、0.001μm以上であるのが好ましく、また0.1μm以下であるのが好ましく、0.05μm以下であるのがより好ましい。導電性粒子の平均粒子径が小さい程、積層板のヘイズを低くすることができ、透明性を高めることができる。
前記導電性粒子の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常2〜50重量部、好ましくは3〜20重量部である。導電性粒子の使用量が多い程、硬化被膜の帯電防止性が向上する傾向にあるが、導電性粒子の使用量があまり多いと、硬化被膜の透明性が低下するので好ましくない。
前記導電性粒子は、例えば気相分解法、プラズマ蒸発法、アルコキシド分解法、共沈法、水熱法等により製造することができる。また、導電性粒子の表面は、例えばノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等で表面処理されていてもよい。
前記硬化性塗料組成物には、その粘度調整等を目的として、溶媒を含有させるのがよく、特に導電性粒子が含まれる場合には、その分散のために溶媒を含有させるのがよい。導電性粒子および溶媒を含有する硬化性塗料組成物を調製する場合には、例えば導電性粒子と溶媒とを混合し、該溶媒に前記導電性粒子を分散させた後、この分散液を硬化性化合物と混合してもよいし、硬化性化合物と溶媒とを混合した後、この混合液に導電性粒子を分散させてもよい。
前記溶媒は、硬化性化合物を溶解することができ、かつ塗布後に容易に揮発し得るものであるのがよく、また塗料成分として導電性粒子を用いる場合には、それを分散させることができるものであるのがよい。このような溶媒としては、例えばジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、水等が挙げられる。前記溶媒の使用量は、硬化性化合物の性状等に合わせて、適宜調整すればよい。
前記硬化性塗料組成物にレベリング剤を含有させる場合には、シリコーンオイルが好ましく用いられ、その例としては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキル・アラルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコーンオイル、フェノール基含有シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらのレベリング剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いることもできる。前記レベリング剤の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常0.01〜5重量部である。
前記レベリング剤は、市販のものを用いることができ、具体例としては、例えばいずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の“SH200−100cs”、“SH28PA”、“SH29PA”、“SH30PA”、“ST83PA”、“ST80PA”、“ST97PA”および“ST86PA”、いずれもビック・ケミー・ジャパン(株)製の“BYK−302”、“BYK−307”、“BYK−320”および“BYK−330”等が挙げられる。
こうして得られる硬化性塗料組成物を、前記積層板に塗布して硬化性塗膜とし、次いで硬化させて硬化被膜にすることができる。硬化性塗料組成物の塗布は、例えばバーコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ダイコート法、スプレーコート法等のコート法により行えばよい。硬化性塗膜の硬化は、硬化性塗料組成物の種類に応じて、エネルギー線の照射や加熱等により行えばよい。
エネルギー線の照射により硬化させる場合のエネルギー線としては、例えば紫外線、電子線、放射線等が挙げられ、その強度や照射時間等の条件は、硬化性塗料組成物の種類に応じて適宜選択される。また、加熱により硬化させる場合において、その温度や時間等の条件は、硬化性塗料組成物の種類に応じて適宜選択されるが、加熱温度は、積層板が変形を起こさないよう、一般的には100℃以下であるのが好ましい。硬化性塗料組成物が溶媒を含有する場合には、塗布後、溶媒を揮発させた後に硬化性塗膜を硬化させてもよいし、溶媒の揮発と硬化性塗膜の硬化とを同時に行ってもよい。
前記硬化被膜の厚みは、好ましくは0.5〜50μmであり、より好ましくは1〜20μmである。硬化被膜の厚みが小さい程、亀裂が生じ難くなる傾向にあるが、あまり小さいと、耐擦傷性が不十分になり好ましくない。
なお、前記積層板には、必要に応じて、その表面に、コート法やスパッタ法、真空蒸着法等により反射防止処理を施してもよい。また、別途作製した反射防止性のシートを積層板の片面または両面に貼合して、反射防止効果を付与してもよい。
かくして得られる本発明の積層板は、ディスプレイの保護用として好適に用いられる。保護されるディスプレイの種類としては、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等が挙げられる。また、保護されるディスプレイの用途としては、例えばテレビやコンピューターのモニター、携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯型情報端末の表示窓、デジタルカメラやハンディ型ビデオカメラのファインダー部、携帯型ゲーム機の表示窓等が挙げられ、特に、表示窓を含む表示部が不使用時には折りたたまれて操作ボタン部を覆う構造となった携帯電話の液晶ディスプレイの保護用として有利な効果を発揮する。
本発明の積層板から、ディスプレイの保護板を作製するには、まず必要に応じて印刷、穴あけ等の加工を行い、必要な大きさに切断処理をすればよい。しかるのちに、ディスプレイに貼合すれば、ディスプレイを効果的に保護することができる。その際、積層板の片面のみに硬化被膜が形成されている場合には、硬化被膜が形成された側が表側(視認者側)、硬化被膜が形成されていない側が裏側(ディスプレイ側)になるようにセットするのがよい。また、ポリカーボネート樹脂層の片面のみにメタクリル樹脂層が形成されてなる積層板の両面に硬化被膜が形成されている場合には、メタクリル樹脂層側が表側、ポリカーボネート樹脂層側が裏側になるようにセットするのがよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。
実施例および比較例において、積層板の作製に使用した材料は、次の通りである。
・ポリカーボネート樹脂:住友ダウ(株)製の「カリバー 301−10」を用いた。
・メタクリル樹脂:メタクリル酸メチル97.8%とアクリル酸メチル2.2%とからなる単量体のバルク重合により得られた熱可塑性重合体(ガラス転移温度104℃)のペレットを用いた。なお、このガラス転移温度は、JIS K7121:1987に従い、示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で求めた補外ガラス転移開始温度である。
・ゴム粒子:最内層がメタクリル酸メチル93.8%とアクリル酸メチル6%とメタクリル酸アリル0.2%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体であり、中間層がアクリル酸ブチル81%とスチレン17%とメタクリル酸アリル2%とからなる単量体の重合により得られた弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチル94%とアクリル酸メチル6%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体である、乳化重合法によるゴム粒子を用いた。
・硬化性塗料:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔新中村化学工業(株)製の「NKエステル A−DPH」〕28部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製の「IRGACURE 184」〕1部、1−メトキシ−2−プロパノール32部、イソブチルアルコール32部、およびシリコーンオイル〔東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の「SH28PA」〕0.045部を混合して調製した硬化性塗料を用いた。
[実施例1〜4および比較例1,2]
〔積層板の作製〕
積層板を共押出成形により作製した。具体的には、まず、メタクリル樹脂91部とゴム粒子9部とをスーパーミキサーで混合し、二軸押出機にて溶融混錬して、メタクリル樹脂組成物をペレットとして得た。次いで、得られたメタクリル樹脂組成物のペレットを直径65mmφの東芝機械(株)製の一軸押出機で、ポリカーボネート樹脂を直径45mmφの東芝機械(株)製の一軸押出機で、それぞれ溶融させ、両者をフィードブロックを介して積層し、設定温度265℃のT型ダイスを介して押し出した。
次いで、得られるフィルム状物を、一対の表面が平滑な金属製のロールの間に挟み込んで成形・冷却し、ポリカーボネート樹脂層の両面に表1に示す厚みのメタクリル樹脂層が積層されてなる総厚み1.2mmの3層構成の積層板(実施例1〜3および比較例1,2)と、ポリカーボネート樹脂層の片面に厚さ70μmのメタクリル樹脂層が積層されてなる総厚み1.2mmの2層構成の積層板(実施例4)とを作製した。なお、実施例1〜3および比較例1,2における積層板の両面のメタクリル樹脂層の組成および厚さは、互いに同一である。
実施例1〜4および比較例1,2のうち、実施例1〜3および比較例1にかかる各積層板については、両面に硬化被膜を形成した。具体的には、得られた積層板を寸法10cm×10cmの大きさに切断し、ディッピング法にて両面に硬化性塗料の塗膜を形成した。次いで、室温で1分間乾燥し、さらに45℃の熱風オーブン内で3分間乾燥して溶媒を揮発させた後、この塗膜に、120Wの高圧水銀ランプを用いて、0.5J/cm2の紫外線を照射して硬化させ、両面に厚さ4μmの硬化被膜を形成した。
また、実施例2〜4にかかる各積層板には、乾燥処理を施した。具体的には、実施例2にかかる積層板については、乾燥機内に前記積層板を静置し、0.1MPa(大気圧)の下、80℃で24時間乾燥した。また、実施例3,4にかかる各積層板については、真空ポンプを備える乾燥機内に前記積層板を静置し、前記真空ポンプにより0.1Paまで減圧にした状態で、85℃で24時間乾燥した。
〔評価〕
得られた各積層板について、炭酸ガス量を測定し、気泡発生の評価を行った。測定方法および評価方法を以下に示すとともに、その結果を表1に示す。
<炭酸ガス量の測定>
まず、得られた各積層板から寸法85mm×65mmの試験片を切り出した。次いで、該試験片を、内容量100mlのポリフッ化ビニルフィルムからなるデュポン社製のテドラーバッグ内部に設置し、該テドラーバッグ内部に窒素を充填させた。この窒素の充填は、前記テドラーバッグ内部のガスを、純度99.99995%の高純度窒素で3回置換して、高純度窒素100mlをテドラーバッグ内部に封入することにより行った。このテドラーバッグを80℃の恒温槽に3時間静置させて加熱した後に、テドラーバッグ内部の炭酸ガス量を、ガスクロマトグラフィーを使用して測定した。
前記ガスクロマトグラフィーの装置としては島津製作所製の「GC−2014/MTN−1」を使用し、カラムとしては長さ6m×内径3mmφの信和化工(株)製の「PoraPAK−Q」を使用した。オーブン温度を40℃、検出器温度を80℃として、メタナイザーを接続したFID(水素炎イオン検出器)により炭酸ガス量を測定した。測定した炭酸ガス量について、試験片の単位体積あたりに換算したものを表1に示す。
<気泡発生の評価>
まず、寸法120mm×200mm、厚さ0.7mmのガラス板〔コーニング社製の「イーグルXG」〕に、粘着剤付き偏光フィルム〔住友化学(株)製の「TRDX31AP7−HC5−S/8N−YWSY」〕を貼合した。
次いで、該ガラス板の偏光フィルム面に、粘着剤シート〔新タック化成(株)製の「NSS100−1310#100」〕を介して、上記で得た積層板を貼合した。なお、実施例4の積層板は、ポリカーボネート樹脂層側を貼合した。次いで、オートクレーブにて0.5MPaの圧力をかけて粘着剤層の気泡を取り除き、試験片を作製した。かかる試験片を、70℃のオーブンに24時間静置した後、室温(23℃)まで放冷した。そして、試験片の中央部分5cm角内における気泡の数を目視にてカウントした。
Figure 2011201183
表1から明らかなように、所定の条件下における炭酸ガス量が500nL/cm3以下である実施例1〜4は、炭酸ガス量が500nL/cm3より多い比較例1,2よりも、気泡の数が少ないのがわかる。実施例1〜4のうち、減圧状態で乾燥処理を施した実施例3,4では、炭酸ガス量が300nL/cm3以下になり、気泡の数が著しく少なく、特に良好な結果を示した。

Claims (8)

  1. ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面に、メタクリル樹脂層が積層されてなるディスプレイ保護用積層板であって、
    該積層板を炭酸ガス採取バッグ内部に設置し、該炭酸ガス採取バッグ内部に窒素を充填させ、80℃で3時間加熱した後に、ガスクロマトグラフィーにより測定する前記炭酸ガス採取バッグ内部の炭酸ガス量が、前記積層板の単位体積あたり500nL/cm3以下であることを特徴とするディスプレイ保護用積層板。
  2. 70〜90℃で5〜30時間乾燥させた前記積層板を、前記炭酸ガス採取バッグ内部に設置する請求項1記載のディスプレイ保護用積層板。
  3. 前記ポリカーボネート樹脂層の両面に、前記メタクリル樹脂層が積層されてなる請求項1または2記載のディスプレイ保護用積層板。
  4. 前記ポリカーボネート樹脂層と前記メタクリル樹脂層とが、共押出成形により積層されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のディスプレイ保護用積層板。
  5. 少なくとも一方の面に硬化被膜が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載のディスプレイ保護用積層板。
  6. ディスプレイに貼合して使用される請求項1〜4のいずれかに記載のディスプレイ保護用積層板。
  7. ディスプレイに貼合する貼合面と反対側の面に硬化被膜が形成されている請求項6記載のディスプレイ保護用積層板。
  8. 前記貼合面に硬化被膜が形成されている請求項6または7記載のディスプレイ保護用積層板。
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