JP5262366B2 - 耐擦傷性樹脂板及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、耐擦傷性樹脂板及びその用途に関する。
近年、携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)などの携帯型電話類が、インターネットの普及とともに、単なる音声伝達機能に加えて、文字情報や画像情報を表示する機能を持った携帯型情報端末として広く普及してきた。また、このような携帯型電話類とは別に、住所録などの機能にインターネット機能や電子メール機能を併せ持つPDA(Personal Digital Assistant)も幅広く使用されている。本明細書では、このような携帯電話やPHS、PDAなどをまとめて“携帯型情報端末”と呼ぶこととする。すなわち、本明細書でいう“携帯型情報端末”とは、人が携行できる程度の大きさであって、文字情報や画像情報などを表示するための窓を有するものを総称する。
これらの携帯型情報端末では、液晶やEL(エレクトロルミネッセンス)などの方式により、文字情報や画像情報を表示するようになっているが、その表示窓には、保護板として透明樹脂製のものが一般に用いられており、中でも透明性の点からメタクリル樹脂板が好ましく用いられている(例えば特許文献1〜3参照)。そして、この保護板には、表面の傷付きを防止するため、硬化性塗料により耐擦傷性(ハードコート性)の硬化被膜を設けることが提案されている(同特許文献参照)。
特開2002−6764号公報 特開2004−143365号公報 特開2004−299199号公報
携帯型情報端末の表示窓保護板の基板となる透明樹脂板は、生産性の点から熱可塑性樹脂の押出成形により製造するのが有利であるが、熱可塑性樹脂の押出板に硬化被膜を設けると、その硬化被膜の耐擦傷性が必ずしも十分なものではなかった。
そこで、本発明者は、熱可塑性樹脂の押出板を基板とし、耐擦傷性が高い硬化被膜を有する携帯型情報端末の表示窓保護板として好適な耐擦傷性樹脂板を開発すべく、鋭意検討を行った結果、基板として面内のリタデーション値が所定値以下である熱可塑性樹脂の押出板を採用し、その少なくとも一方の面に硬化被膜を形成することにより、所望の耐擦傷性樹脂板が容易に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂を押出成形してなり、面内のリタデーション値が15nm以下である押出板の少なくとも一方の面に、硬化被膜が形成されてなることを特徴とする耐擦傷性樹脂板を提供するものである。
また、本発明によれば、この耐擦傷性樹脂板からなる携帯型情報端末の表示窓保護板も提供され、さらには、携帯型情報端末のみならず、他の携帯型表示機器や設置型の表示機器をも対象とするディスプレイ用保護板も提供される。
本発明によれば、耐擦傷性が高い硬化被膜を有する耐擦傷性樹脂板を容易に得ることができ、この耐擦傷性樹脂板をディスプレイ用保護板、特に携帯型情報端末の表示窓保護板として用いることにより、その表示窓を効果的に保護することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の耐擦傷性樹脂板は、熱可塑性樹脂を押出成形してなる押出板を基板とし、その少なくとも一方の面に硬化被膜が形成されてなるものである。そして、上記押出板は、その面内のリタデーション値が15nm以下である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ環状オレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−メタクリル共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF樹脂)などの透明樹脂が挙げられる。その種類は、適宜選択されるが、特にメタクリル樹脂が好ましく用いられる。
メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%であり、より好ましくは、メタクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、アクリル酸アルキルが0.1〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。そして、この単官能単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアルケニルシアン化合物、アクリル酸、メタクリル酸の如き不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミドなどが挙げられる。
さらに、メタクリル酸メチルの単独重合体、或いは、メタクリル酸メチルとメタクリル酸及び/又はアクリル酸との共重合体を環化反応させて、グルタル酸無水物構造〔式(1)〕やグルタルイミド構造〔式(2)〕を持たせた重合体も、メタクリル樹脂として用いることができる。
Figure 0005262366
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表す。式(2)中、R3水素原子又はメチル基を表し、R4水素原子又はメチル基を表し、R5は水素原子又は置換基を表し、この置換基の例としては、メチル基、エチル基のようなアルキル基、シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基、フェニル基のようなアリール基、ベンジル基のようなアラルキル基が挙げられ、その炭素数は通常1〜20程度である。
また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
メタクリル樹脂は、押出板の耐熱性の点から、そのガラス転移温度が60℃以上であるのが好ましく、80℃以上であるのがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより、調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、又は好適な押出板への成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
熱可塑性樹脂には、他の成分を配合して、樹脂組成物として用いてもよい。この配合成分としては、例えば、ゴム粒子、染料や顔料のような着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。とくにメタクリル樹脂の場合、ゴム粒子を配合すると、押出板の耐衝撃性や柔軟性が向上し、割れ難くなって、好ましい。
熱可塑性樹脂、特にメタクリル樹脂に配合されるゴム粒子としては、例えば、アクリル系、ブタジエン系、スチレン−ブタジエン系などの各種ゴム粒子を用いることができるが、中でも、耐侯性の点から、アクリル系ゴム粒子が好ましく用いられる。アクリル系ゴム粒子としては、例えば、アクリル酸ブチルのようなアクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体からなる単層構造のものや、メタクリル酸メチルを主体とする硬質重合体からなる内層の周りに、アクリル酸ブチルのようなアクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体からなる外層を設けた多層構造のものなどを使用することができる。なお、上記弾性重合体には、一般に多官能単量体が少量共重合されている。
また、上記弾性重合体の周りにメタクリル酸メチルを主体とする硬質重合体からなる最外層を設けた多層構造のものも、有利に使用することができる。例えば、アクリル酸ブチルのようなアクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体からなる内層の周りに、メタクリル酸メチルを主体とする硬質重合体からなる外層を設けた二層構造のものや、メタクリル酸メチルを主体とする硬質重合体からなる内層の周りに、アクリル酸ブチルのようなアクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体からなる中間層を設け、さらにその周りに、メタクリル酸メチルを主体とする硬質重合体からなる外層を設けた三層構造のものなどが挙げられる。このような多層構造のゴム粒子は、例えば、特公昭55−27576号公報に開示されている。特に、上記した三層構造のものが好ましく、特公昭55−27576号公報の実施例3に記載のものは、好ましい組成の一つである。
熱可塑性樹脂に配合されるゴム粒子としては、表面硬度や耐衝撃性、表面平滑性の点から、平均粒子径が0.05〜0.4μmであるものが好ましく用いられる。ゴム粒子の平均粒子径があまり小さいと、押出板の表面硬度が十分でなかったり、押出板が脆くなったりする。一方、ゴム粒子の平均粒子径があまり大きいと、押出板の表面平滑性を損なう傾向にある。ゴム粒子は、一般的には乳化重合により製造することができ、その際、乳化剤の添加量や単量体の仕込み量などを調節することによって、平均粒子径を所望の値にコントロールすることができる。
熱可塑性樹脂にゴム粒子を配合する場合、両者の割合は、熱可塑性樹脂を50〜95重量部、ゴム粒子を5〜50重量部とするのが好ましい。ゴム粒子の量があまり少ないと、押出板の耐衝撃性や柔軟性が十分に向上せず、あまり多いと、押出板の表面硬度や剛性が不十分となるので好ましくない。
上記の熱可塑性樹脂を押出成形することにより、本発明の耐擦傷性樹脂板の基板となる押出板が得られる。押出成形は、具体的にはダイ法やインフレーション法の如き溶融押出法により行うことができる。得られる押出板の表面は平滑であってもよいし、微細な凹凸が設けられていてもよい。平滑性や凹凸形状の付与には、熱可塑性樹脂を、例えばTダイから溶融押出しし、得られる板状物の少なくとも片面をロール又はベルトに接触させて製板する方法が、表面性状の良好な板が得られる点で好ましい。とりわけ、押出板の平滑性又は形状付与の精密性を向上させる観点からは、熱可塑性樹脂を溶融押出して得られる板状物の両面をロール表面又はベルト表面に接触させて成形する方法が好ましい。この際に用いるロール又はベルトは、いずれも金属製であるのが好ましい。したがって、好ましい形態として、熱可塑性樹脂をTダイから溶融押出しした後、少なくとも1本の鏡面ロールに接触させて、より好ましくは2本の鏡面ロールに接触させて挟み込んだ状態で、成形する方法が挙げられる。
また、押出板は、必要に応じて多層構成とすることもできる。例えば、ゴム粒子を含むメタクリル樹脂とゴム粒子を含まないメタクリル樹脂との多層構造、ガラス転移温度の異なる複数種のメタクリル樹脂の多層構造、メタクリル樹脂とポリカーボネート樹脂のようなメタクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂との多層構造などが例として挙げられる。
このような多層構造の押出板を製造するには、例えば、複数の押出機と、それらから押し出される樹脂を積層するためのマルチマニホールド方式やフィードブロック方式などの機構とを有する、公知の多層押出機を用いることができる。
押出板の厚さは、通常0.2〜3mmであり、好ましくは0.25〜2.5mmである。厚さがあまり小さいと、ディスプレイ用保護板の基板としては、強度ないし剛性が十分でないことがあり、また、厚さがあまり大きいと、ディスプレイ用保護板の基板としては、デザイン上、適当でないことがある。なお、押出板をディスプレイ用保護板の基板として用いるに際しては、その表示窓の表面形状に合わせて、平面形状で、又は曲面を有する形状で適用することができる。
本発明で必要な、面内のリタデーション値が15nm以下の押出板を得るためには、先に述べた如く、ダイから押し出された溶融熱可塑性樹脂を2本のロール間に挟み込んで成形するのであれば、その少なくとも一本のロールとして弾性ロールを用い、面で溶融熱可塑性樹脂の両面をロールに接触、通過させる方法が、成形時の歪みを低減させ、強度や熱収縮性の異方性を低減できるので、面内のリタデーション値が小さな押出板を得るのに好適な方法である。弾性ロールとしては、金属弾性ロール、例えば、軸ロールと、この軸ロールの外周面を覆うように配置され、溶融熱可塑性樹脂に接触する円筒形の金属製薄膜とを備えており、これら軸ロールと金属製薄膜との間に水や油などの温度制御された流体が封入されたものや、ゴムロールの表面に金属ベルトを巻いたが好ましく用いられる。また、2本の高剛性の金属ロールを用いた方法でも、金属ロール間の圧力、各金属ロールの温度、押出成形時の生産速度などを調整することにより、得られる押出板の面内のリタデーション値を15nm以下にすることができる。さらに、面内のリタデーション値が15nmよりも大きい押出板であっても、所定の温度で加熱処理をすることにより、面内のリタデーション値を15nm以下にすることができる。
加熱処理の温度は、押出板を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも3〜25℃程度低い温度が好ましい。また処理時間は適宜選択されるが、通常30分〜24時間である。加熱方法も適宜選択されるが、例えば熱風循環オーブン内に静置する方法や、赤外線などのヒーターの輻射熱により加熱する方法が挙げられる。中でも、熱風循環オーブン内に静置する方法が、大量の押出板を同時に処理できることから好ましく用いられる。熱風循環オーブン内に押出板を静置する方法としては、1枚を単独で静置してもよいし、複数枚を重ねて同時に静置してもよい。また静置した押出板には、荷重をかけて熱による変形が発生しないようにしてもよい。荷重は適宜選択されるが、面内で荷重に分布が発生しないように、均等の圧力となるように荷重を設定することが好ましい。荷重も適宜選択されるが、通常0.001〜0.1kg/cm2程度である。所定時間の加熱処理後は、押出板を室温まで冷却する必要がある。冷却の方法は特に限定されず、すぐに押出板を取り出して、荷重を取り除いて冷却してもよいし、荷重をかけたまま室温まで徐冷した後に押出板を取り出してもよい。面内のリタデーション値を小さくするには後者の方法がより好ましい。徐冷する場合、その温度変化速度は特に限定されないが、通常2〜30℃/Hrである。
こうして得られる面内のリタデーション値が15nm以下である押出板の少なくとも一方の面に硬化被膜を形成することにより、耐擦傷性の高い硬化被膜を有する本発明の耐擦傷性樹脂板が得られる。硬化被膜を形成するのに用いられる硬化性塗料は、耐擦傷性をもたらす各種の硬化性化合物を主成分とし、必要に応じて、溶媒、導電性粒子、硬化触媒などを混合したものである。
まず、硬化性化合物について説明すると、アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、カルボキシル基変性エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、共重合系アクリレート、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などのなかから、耐擦傷性を付与する効果を有するものを用いればよい。なかでも、高い耐擦傷性をもたらす硬化性化合物として、多官能アクリレート系、多官能ウレタンアクリレート系、多官能エポキシアクリレート系など、ラジカル重合系の硬化性化合物や、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシランなど、熱重合系の硬化性化合物を挙げることができる。これらの硬化性化合物は、例えば、電子線、放射線、紫外線などのエネルギー線を照射することにより硬化するか、あるいは加熱により硬化するものである。これらの硬化性化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数の化合物を組み合わせて用いてもよい。
これらの硬化性化合物のなかでも好ましいものは、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物である。ここで、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基をいう。その他、本明細書において、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸などというときの「(メタ)」も同様の意味である。
分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する硬化性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ−又はテトラ−(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ−、テトラ−、ペンタ−又はヘキサ−(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ−、ペンタ−、ヘキサ−又はヘプタ−(メタ)アクリレートのような、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート;分子内にイソシアナート基を少なくとも2個有する化合物に、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを、イソシアナート基に対して水酸基が等モル以上となる割合で反応させて得られ、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数が3個以上となったウレタン(メタ)アクリレート〔例えば、ジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの反応により、3〜6官能のウレタン(メタ)アクリレートが得られる〕;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。ここには単量体を例示したが、これら単量体のままで用いてもよいし、例えば2量体、3量体などのオリゴマーの形になったものを用いてもよい。また、単量体とオリゴマーを併用してもよい。
少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する硬化性化合物には、市販されているものもあるので、このような市販品を用いることもできる。市販品として、例えば、“NKハ−ド M101”〔新中村化学工業(株)製品、ウレタンアクリレート系〕、“NKエステル A−TMM−3L”〔新中村化学工業(株)製品、ペンタエリスリトールトリアクリレート〕、“NKエステル A−TMMT”〔新中村化学工業(株)製品、ペンタエリスリトールテトラアクリレート〕、“NKエステル A−9530”〔新中村化学工業(株)製品、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート〕、“NKエステル A−DPH”〔新中村化学工業(株)製品、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〕、“KAYARAD DPCA”〔日本化薬(株)製品、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〕、“ノプコキュア 200”シリーズ〔サンノプコ(株)製品〕、“ユニディック”シリーズ〔大日本インキ化学工業(株)製品〕などが挙げられる。
少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物は、硬化性塗料の固形分100重量部あたり、50重量部以上、さらには60重量部以上を占めるように用いるのが好ましい。少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する硬化性化合物の含有量が50重量部未満であると、表面硬度が不十分となるおそれがある。
以上説明した分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物以外に、例えば、以下に示す各種の混合物を硬化性化合物として用いることもできる。これらは、少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物と併用してもよい。
マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸のような化合物の組合せによる、飽和又は不飽和二塩基酸と(メタ)アクリル酸の混合ポリエステルなど。
硬化性塗料を紫外線で硬化させる場合は、光重合開始剤を使用する。光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類などが挙げられる。光重合開始剤の添加量は、硬化性化合物100重量部に対し、0.1〜5重量部の範囲が一般的である。
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いることができるほか、多くは2種以上混合して用いることもできる。また、これらの各種光重合開始剤は市販されているので、そのような市販品を用いることができる。市販の光重合開始剤としては、例えば、“IRGACURE 651”、“IRGACURE 184”、“IRGACURE 500”、“IRGACURE 1000”、“IRGACURE 2959”、“DAROCUR 1173”、“IRGACURE 907”、“IRGACURE 369”、“IRGACURE 1700”、“IRGACURE 1800”、“IRGACURE 819”、“IRGACURE 784”〔以上のIRGACURE(イルガキュア)シリーズ及びDAROCUR(ダロキュア)シリーズは、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)で販売〕、“KAYACURE ITX”、“KAYACURE DETX−S”、“KAYACURE BP−100”、“KAYACUREBMS”、“KAYACURE 2−EAQ”〔以上のKAYACURE(カヤキュア)シリーズは、日本化薬(株)で販売〕などを挙げることができる。
また本発明においては、硬化被膜に帯電防止性を付与するために、硬化性塗料中に導電性粒子を添加することができる。このために用いる導電性粒子としては、例えば、アンチモンがドープされた酸化錫、リンがドープされた酸化錫、酸化アンチモン、アンチモン酸亜鉛、酸化チタン、ITO(インジウム錫酸化物)などの無機粒子が挙げられる。
導電性粒子を配合する場合、その粒子径は、粒子の種類によって適宜選択することが可能であり、通常は0.5μm以下のものが使用されるが、得られる硬化被膜の帯電防止性や透明性の観点からは、平均粒子径で0.001μm以上、また0.1μm以下のものが好ましく、さらに好ましくは0.001μm以上0.05μm以下のものである。導電性粒子の平均粒子径があまり大きいと、得られる耐擦傷性樹脂板のヘイズが大きくなり、透明性が低下することがある。また、導電性粒子の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常2〜50重量部程度、好ましくは3〜20重量部程度である。その量があまり少ないと、帯電防止性向上効果が乏しくなる。またその量があまり多いと、硬化被膜の透明性を低下させるおそれがある。
かかる導電性粒子は、例えば、気相分解法、プラズマ蒸発法、アルコキシド分解法、共沈法、水熱法などにより製造することができる。また、導電性粒子の表面は、例えば、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などで表面処理されていてもよい。
硬化性塗料には、塗料の粘度調整などを目的として、希釈溶媒を用いるが、特に導電性粒子を添加する場合には、その分散のために必要である。導電性粒子を用い、かつ溶媒を用いる場合には、例えば、導電性粒子及び溶媒を混合して、溶媒中に導電性粒子を分散させた後、硬化性化合物と混合してもよいし、硬化性化合物と溶媒を混合した後、そこに導電性粒子を加えて混合してもよい。
溶媒は、硬化性化合物を溶解することができ、かつ塗布後に揮発し得るものであればよく、また塗料成分として導電性粒子を用いる場合は、それを分散させることができるものであればよい。例えば、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールのようなケトン類、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、水などが挙げられる。硬化性塗料における溶媒の使用量に特別な限定はなく、硬化性化合物の性状などに合わせて、適切な量で使用することができる。
また、この硬化性塗料には、公知のレベリング剤を添加してもよい。レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル系のものなどが例示できる。シリコーンオイルとしては通常のものが使用でき、具体的には、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキル・アラルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコーンオイル、フェノール基含有シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどが例示される。これらのレベリング剤は市販されているので、市販品を用いることができる。市販のレベリング剤としては、例えば、“SH200−100cs”、“SH28PA”、“SH29PA”、“SH30PA”、“ST83PA”、“ST80PA”、“ST97PA”、“ST86PA”〔以上いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)で販売〕などを挙げることができる。これらのレベリング剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いることもできる。レベリング剤の使用量は、硬化性塗料の特性に応じて適宜選択されるが、一般的には硬化性化合物100重量部に対し、0.01〜5重量部程度である。
このようにして、硬化性化合物に、必要に応じて導電性粒子、溶媒、レベリング剤、光重合開始剤などを混合して得られる硬化性塗料は、前記押出板の表面に塗布して硬化性塗膜とし、引き続いて硬化させることにより、表面に耐擦傷性の硬化被膜が形成された耐擦傷性樹脂板とすることができる。
前記押出板に硬化性塗料を塗布して硬化性塗膜とする場合には、例えば、バーコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ダイコート法、スプレーコート法など、公知のコート方法により塗布すればよい。かくして、前記押出板の表面に硬化性塗膜が形成される。その後、硬化性塗料の種類に応じ、紫外線、電子線などのエネルギー線を照射するか、又は加熱することにより、硬化性塗膜を硬化させ、耐擦傷性の硬化被膜が形成される。
エネルギー線を照射して硬化させる場合のエネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、放射線などが挙げられ、その強度や照射時間などは、用いる硬化性塗料の種類に応じて適宜選択される。また、加熱により硬化させる場合の加熱温度や加熱時間などは、用いる硬化性塗料の種類に応じて適宜選択されるが、加熱硬化の場合には、基材である押出板が変形などを起こさないよう、一般的には100℃以下の温度が好ましい。硬化性塗料が溶媒を含有する場合には、塗布後、溶媒を揮発させた後に硬化性塗膜を硬化させてもよいし、溶媒の揮発と硬化性塗膜の硬化とを同時的に行ってもよい。ここで、溶媒の揮発、すなわち塗膜の乾燥が不十分であると、得られる硬化被膜の耐擦傷性が不十分となり易いところを、本発明によれば、前記所定の押出板を基板に採用することで、耐擦傷性の高い硬化被膜を容易に形成することができる。
硬化被膜の厚さは、0.5〜50μm程度であるのが好ましく、さらに好ましくは1〜20μm程度である。硬化被膜の厚さがあまり大きいと、亀裂が生じやすくなり、あまり小さいと、耐擦傷性が不十分となる傾向にある。
得られた耐擦傷性樹脂板には、その表面に、コート法やスパッタ法、真空蒸着法など、公知の方法により反射防止処理を施すこともできる。また、別途作製した反射防止性のシートを上記の耐擦傷性樹脂板の片面又は両面に貼合して、反射防止効果を付与することも可能である。
かくして得られる耐擦傷性樹脂板は、耐擦傷性が高い硬化被膜を有しており、各種用途に用いることができ、中でも、携帯電話などの携帯型情報端末の表示窓保護板として好適であるが、その他、デジタルカメラやハンディ型ビデオカメラなどのファインダー部、携帯型ゲーム機の表示窓保護板など、また、家庭用や業務用のテレビの画面保護板など、携帯型情報端末のみならず、他の携帯型表示機器や設置型の表示機器をも対象とするディスプレイ用保護板として用いることもできる。とりわけ本発明の耐擦傷性樹脂板は、携帯電話、特に表示窓を含む表示部が、不使用時には折りたたまれて操作ボタン部を覆う構造となった携帯電話の表示窓保護板として、有利な効果を発揮する。
本発明の耐擦傷性樹脂板から、ディスプレイ用保護板を作製するには、まず必要に応じ、印刷、穴あけなどの加工を行い、必要な大きさに切断処理すればよい。しかるのちに、ディスプレイにセットすれば、耐擦傷性の高いディスプレイとすることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。また、押出板の面内のリタデーション値(以下、「Re」と略記する)は、自動複屈折計〔王子計測器(株)製のKOBRA−CCD/X〕を用いて測定した。
〔押出板(A1)の調製〕
メタクリル樹脂ペレット〔住友化学(株)製のスミペックスEX、ガラス転移温度97℃〕を、65mmφ一軸押出機〔東芝機械(株)製〕を用いて溶融混練し、T型ダイを介して押し出し、2本の高剛性の金属製ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、厚さ1.0mmの押出板(A1)を得た。
〔押出板(A2)の調製〕
ゴムが添加された耐衝撃性メタクリル樹脂ペレット〔住友化学(株)製のスミペックスHT−55X、ガラス転移温度94℃〕を、65mmφ一軸押出機〔東芝機械(株)製〕を用いて溶融混練し、T型ダイを介して押し出し、2本の高剛性の金属製ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、厚さ0.5mmの押出板(A2)を得た。
〔押出板(A3)の調製〕
メタクリル樹脂ペレット〔住友化学(株)製のスミペックスEX、ガラス転移温度97℃〕を、65mmφ一軸押出機〔東芝機械(株)製〕を用いて溶融混練し、T型ダイを介して押し出し、1本の高剛性の金属製ポリシングロールと1本のゴムロール上に金属スリーブを巻き付けてなる金属弾性ロールとの間に挟持して、溶融樹脂の両面が完全に接するようにして冷却し、厚さ1.0mmの押出板(A3)を得た。
〔硬化性塗料(B1)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔新中村化学工業(株)から販売されている“NKエステル A−DPH”〕30部、1−メトキシ−2−プロパノール20部、2−エトキシエタノール50部、光重合開始剤〔チバスペシャリティーケミカルズ(株)から販売されている“IRGACURE 184”〕2部、及びシリコーンオイル〔東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)から販売されている“SH28PA”〕0.045部を混合して、硬化性塗料(B1)を調製した。
〔硬化性塗料(B2)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔新中村化学工業(株)から販売されている“NKエステル A−DPH”〕27.7部、光重合開始剤〔チバスペシャリティーケミカルズ(株)のIRGACURE 184〕1.5部、5酸化アンチモン微粒子ゾル〔触媒化成工業(株)のELCOM−7514;固形分濃度20%〕12部、イソブチルアルコール29.4部、及び1−メトキシ−2−プロパノール29.4部、及びシリコーンオイル〔東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)から販売されている“SH28PA”〕0.045部を混合して、硬化性塗料(B2)を調製した。
実施例1
(1)押出板の加熱処理
押出板(A1)を200mm×300mmの大きさに切断し、5枚重ねて80℃の熱風循環オーブン中に静置し、均等な圧力になるように10kgの荷重(0.017kg/cm2)を加え、8時間静置した。その後、荷重を加えたままの状態で、10℃/Hrの速度で室温まで冷却した。
(2)耐擦傷性樹脂板の作製
硬化性塗料(B1)中に、上記(1)で得た加熱処理後の押出板(A1)(Re5.4nm)を浸漬し、5mm/secの速度で引き上げることにより、両面に硬化性塗料を塗布した後、室温で1分間乾燥して、塗膜を押出板の表面に形成した。次いで、45℃の熱風オーブン内で10分間乾燥して溶媒を揮発させた後、この塗膜に、120Wの高圧水銀ランプを用いて、0.5J/cm2の紫外線を照射して硬化させ、耐擦傷性樹脂板を得た。この耐擦傷性樹脂板について、以下の評価を行い、結果を表1に示した。
〔全光線透過率(Tt)及びヘイズ(H)〕
JIS K7361−1に従って全光線透過率(Tt)を測定し、JIS K7136に従ってヘイズ(H)を測定した。
〔硬化被膜の厚さ〕
高速顕微膜厚計〔大塚電子(株)社製、MS−2000〕を用いて測定した。
〔鉛筆硬度〕
JIS K5600に従って測定した。
〔表面抵抗率〕
ASTM−D257に従って測定した。
実施例2
熱風循環オーブンの温度を80℃から90℃に変更した以外は、実施例1(1)と同様の操作により、押出板(A1)の加熱処理を行った。この加熱処理後の押出板(A1)(Re2.8nm)を用いて、実施例1(2)と同様の操作を行い、耐擦傷性樹脂板を得た。この耐擦傷性樹脂板について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
比較例1
押出板(A1)を200mm×300mmの大きさに切断し、加熱処理を行うことなく(Re15.8nm)、実施例1(2)と同様の操作を行い、耐擦傷性樹脂板を得た。この耐擦傷性樹脂板について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
実施例3
押出板(A1)に代えて押出板(A2)を用いた以外は、実施例1(1)と同様の操作により、押出板(A2)の加熱処理を行った。この加熱処理後の押出板(A2)(Re10.1nm)を用いて、実施例1(2)と同様の操作を行い、耐擦傷性樹脂板を得た。この耐擦傷性樹脂板について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
実施例4
押出板(A1)に代えて押出板(A2)を用い、かつ、熱風循環オーブンの温度を80℃から90℃に変更した以外は、実施例1(1)と同様の操作により、押出板(A2)の加熱処理を行った。この加熱処理後の押出板(A2)(Re2.7nm)を用いて、実施例1(2)と同様の操作を行い、耐擦傷性樹脂板を得た。この耐擦傷性樹脂板について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
比較例2
押出板(A2)を200mm×300mmの大きさに切断し、加熱処理を行うことなく(Re19.0nm)、実施例1(2)と同様の操作を行い、耐擦傷性樹脂板を得た。この耐擦傷性樹脂板について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
実施例5
押出板(A3)を200mm×300mmの大きさに切断し、加熱処理を行うことなく(Re6.5nm)、実施例1(2)と同様の操作を行い、耐擦傷性樹脂板を得た。この耐擦傷性樹脂板について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
実施例6
実施例1(1)と同様の操作により押出板(A1)の加熱処理を行い、この加熱処理後の押出板(A1)(Re5.3nm)を用い、硬化性塗料(B1)に代えて硬化性塗料(B2)を用いた以外は、実施例1(2)と同様の操作を行い、耐擦傷性樹脂板を得た。この耐擦傷性樹脂板について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
比較例3
押出板(A1)を200mm×300mmの大きさに切断し、加熱処理を行うことなく(Re16.4nm)、硬化性塗料(B1)に代えて硬化性塗料(B2)を用いた以外は、実施例1(2)と同様の操作を行い、耐擦傷性樹脂板を得た。この耐擦傷性樹脂板について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
Figure 0005262366

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂を押出成形してなり、面内のリタデーション値が15nm以下である押出板の少なくとも一方の面に、硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板であり、前記押出板が、ダイから押し出された溶融熱可塑性樹脂を少なくとも1本が弾性ロールである2本のロール間に挟み込んで成形してなるものであり、熱可塑性樹脂がメタクリル樹脂であり、厚みが0.2〜3mmであることを特徴とする耐擦傷性樹脂板。
  2. 硬化被膜が、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物を含む硬化性塗料により形成されたものである請求項1に記載の耐擦傷性樹脂板。
  3. 硬化被膜が、導電性粒子を含む硬化性塗料により形成されたものである請求項1又は2に記載の耐擦傷性樹脂板。
  4. 押出板が、それを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度より3〜25℃低い温度で熱処理されたものである請求項1〜のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板からなる携帯型情報端末の表示窓保護板。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板からなるディスプレイ用保護板。
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