JP5018223B2 - 耐擦傷性樹脂板及びそれを用いた携帯型情報端末の表示窓保護板 - Google Patents

耐擦傷性樹脂板及びそれを用いた携帯型情報端末の表示窓保護板 Download PDF

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Description

本発明は、携帯型情報端末の表示窓保護板として好適な耐擦傷性樹脂板、及びそれを用いた携帯型情報端末の表示窓保護板に関するものである。
近年、携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)などの携帯型電話類が、インターネットの普及とともに、単なる音声伝達機能に加えて、文字情報や画像情報を表示する機能を持った携帯型情報端末として広く普及してきた。また、このような携帯型電話類とは別に、住所録などの機能にインターネット機能や電子メール機能を併せ持つPDA(Personal Digital Assistant)も幅広く使用されている。本明細書では、このような携帯電話やPHS、PDAなどをまとめて“携帯型情報端末”と呼ぶこととする。すなわち、本明細書でいう“携帯型情報端末”とは、人が携行できる程度の大きさであって、文字情報や画像情報などを表示するための窓(ディスプレイ)を有するものを総称する。
これらの携帯型情報端末では、液晶やEL(エレクトロルミネッセンス)などの方式により、文字情報や画像情報を表示するようになっているが、その表示窓には、保護板として透明樹脂製のものが一般に用いられており、中でも透明性の点からメタクリル樹脂板が好ましく用いられている(例えば特許文献1〜3参照)。そして、この保護板には、表面の傷付きを防止するため、硬化性塗料により耐擦傷性(ハードコート性)の硬化被膜を設けることが提案されている(同特許文献参照)。
特開2002−6764号公報 特開2004−143365号公報 特開2004−299199号公報
従来提案されている携帯型情報端末の表示窓保護板は、耐環境性が必ずしも十分でなく、例えば高温高湿下に長時間曝された場合に、反りが発生し易かったり、硬化被膜にクラックが発生し易かったりするという問題がある。
そこで、本発明者は、耐環境性に優れ、かつ耐擦傷性が高い硬化被膜を有する、携帯型情報端末の表示窓保護板として好適な耐擦傷性樹脂板を開発すべく、鋭意検討を行った結果、樹脂基板として所定の複数種のメタクリル樹脂からなる多層板を用い、その表面に硬化性塗料により硬化被膜を形成することにより、所望の耐擦傷性樹脂板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、樹脂基板の表面に硬化性塗料により硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板であって、上記樹脂基板は、下記の共重合体(A)からなる層の表面に下記の共重合体(B)からなる層が積層されてなり、該共重合体(B)からなる層の表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とする耐擦傷性樹脂板を提供するものである。
共重合体(A):メタクリル酸メチルを96〜99.5重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体を0.5〜4重量%の割合で重合させてなり、クロロホルム中、25℃での還元粘度が0.75dL/g以下である共重合体。
共重合体(B):メタクリル酸メチルを85〜95重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体を5〜15重量%の割合で重合させてなり、クロロホルム中、25℃での還元粘度が0.75dL/g以上である共重合体。
また、本発明によれば、この耐擦傷性樹脂板からなる携帯型情報端末の表示窓保護板も提供される。
本発明の耐擦傷性樹脂板は、耐環境性に優れ、かつ耐擦傷性が高い硬化被膜を有しており、この耐擦傷性樹脂板を携帯型情報端末の表示窓保護板として用いることにより、その表示窓を効果的に保護することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の耐擦傷性樹脂板は、樹脂基板の表面に硬化性塗料により硬化被膜が形成されてなるものである。そして、上記樹脂基板は、下記の共重合体(A)からなる層(以下、「共重合体(A)層」ということがある)の表面に下記の共重合体(B)からなる層(以下、「共重合体(B)層」ということがある)が積層されてなるものであり、かつ、該共重合体(B)からなる層の表面に上記硬化被膜が形成されているものである。
共重合体(A):メタクリル酸メチルを96〜99.5重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体を0.5〜4重量%の割合で重合させてなり、クロロホルム中、25℃での還元粘度が0.75dL/g以下である共重合体。
共重合体(B):メタクリル酸メチルを85〜95重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体を5〜15重量%の割合で重合させてなり、クロロホルム中、25℃での還元粘度が0.75dL/g以上である共重合体。
ここで、耐擦傷性樹脂板において、硬化被膜は、樹脂基板の両面に形成されていてもよいし、樹脂基板の片面に形成されていてもよい。また、樹脂基板において、共重合体(B)層は、共重合体(A)層の両面に積層されていてもよいし、共重合体(A)層の片面に積層されていてもよい。そして、共重合体(B)層が共重合体(A)層の両面に積層されている場合、硬化被膜は、両方の共重合体(B)層の表面に形成されていてもよいし、片方の共重合体(B)層の表面に形成されていてもよい。また、共重合体(B)層が共重合体(A)層の片面に積層されている場合、硬化被膜は、共重合体(B)層の表面だけに形成されているのが、クラック発生防止の点で好ましい。
したがって、耐擦傷性樹脂板の層構成の典型的な例としては、(1):硬化被膜/共重合体(B)層/共重合体(A)層/共重合体(B)層/硬化被膜、(2):硬化被膜/共重合体(B)層/共重合体(A)層/共重合体(B)層、(3):硬化被膜/共重合体(B)層/共重合体(A)層を挙げることができる。
共重合体(A)の単量体組成は、メタクリル酸メチルが96〜99.5重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体が0.5〜4重量%であり、好ましくはメタクリル酸メチルが97〜99.5重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体が0.5〜3重量%であり、より好ましくはメタクリル酸メチルが98〜99.5重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体が0.5〜2重量%である。共重合体(A)の還元粘度にもよるが、メタクリル酸メチル以外の単量体があまり少ないと、樹脂基板を得る際の成形性が不十分になり、メタクリル酸メチル以外の単量体があまり多いと、樹脂基板ないし耐擦傷性樹脂板の耐熱性が不十分になる。
共重合体(B)の単量体組成は、メタクリル酸メチルが85〜95重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体が5〜15重量%であり、好ましくはメタクリル酸メチルが90〜95重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体が5〜10重量%であり、より好ましくはメタクリル酸メチルが92〜95重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体が5〜8重量%である。共重合体(B)の還元粘度にもよるが、メタクリル酸メチル以外の単量体があまり少ないと、樹脂基板を得る際の成形性が不十分になり、メタクリル酸メチル以外の単量体があまり多いと、樹脂基板ないし耐擦傷性樹脂板の耐熱性が不十分になる。
共重合体(A)におけるメタクリル酸メチル以外の単量体と共重合体(B)におけるメタクリル酸メチル以外の単量体とは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、その例としては、アクリル酸メチルやアクリル酸ブチルのようなアルキル基の炭素数が1〜18程度のアクリル酸アルキル、メタクリル酸エチルやメタクリル酸ブチルのようなアルキル基の炭素数が2〜18程度のメタクリル酸アルキル、アクリル酸やメタクリル酸のようなα、β−不飽和酸、マレイン酸やフマル酸のような不飽和多価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル、スチレンやα−メチルスチレンのような芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのようなビニルシアン化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミドなどが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
共重合体(A)の還元粘度(クロロホルム中、25℃)は、0.75dL/g以下であり、好ましくは0.72dL/g以下であり、より好ましくは0.7dL/g以下である。この還元粘度があまり高いと、樹脂基板を得る際の成形性が不十分になる。なお、樹脂基板ないし耐擦傷性樹脂板の強度や耐溶剤性の点から、共重合体(A)の還元粘度は、通常0.5dL/g以上であり、好ましくは0.6dL/g以上である。
共重合体(B)の還元粘度(クロロホルム中、25℃)は、0.75dL/g以上であり、好ましくは0.8dL/g以上であり、より好ましくは0.82dL/g以上である。この還元粘度があまり低いと、耐擦傷性樹脂板の耐環境性が不十分になり、例えば高温高湿下に長時間曝された場合に硬化被膜にクラックが発生し易くなる。また、樹脂基板ないし耐擦傷性樹脂板の強度や耐溶剤性も低下し易くなる。なお、樹脂基板を得る際の成形性の点から、共重合体(B)の還元粘度は、通常1dL/g以下であり、好ましくは0.9dL/g以下である。
共重合体(A)及び(B)はそれぞれ、通常の懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合などの方法で製造することができる。重合には通常、連鎖移動剤やラジカル重合開始剤が用いられ、連鎖移動剤としては、ドデシルメルカプタンやオクチルメルカプタンのようなメルカプタン類が好ましく用いられ、ラジカル重合開始剤としては、有機過化酸化物やアゾ化合物が好ましく用いられる。
ここで、共重合体(A)及び(B)の還元粘度はそれぞれ、一般に連鎖移動剤やラジカル開始剤の量に支配される。すなわち、還元粘度は、連鎖移動剤の量が多いほど低くなり、ラジカル重合開始剤の量が多いほど低くなる傾向にある。したがって、他の条件にもよるが、共重合体(A)の製造は、連鎖移動剤の量を多めにしたり、ラジカル重合開始剤の量を多めにしたりして行うのがよく、共重合体(B)の製造は、連鎖移動剤の量を少なめにしたり、ラジカル重合開始剤の量を少なめにしたりして行うのがよい。
樹脂基板を製造するためには、通常、Tダイを用いた押出成形法が利用され、共重合体(A)及び(B)を共押出成形することにより、本発明の耐擦傷性樹脂板の基板となる押出板が得られる。この共押出成形では、例えば、複数の押出機と、それらから押し出される樹脂を積層するためのマルチマニホールド方式やフィードブロック方式などの機構とを有する、公知の多層押出機を用いることができる。
得られる押出板の表面は平滑であってもよいし、微細な凹凸が設けられていてもよい。平滑性や凹凸形状の付与には、共重合体(A)及び(B)を、例えばTダイから溶融押出しし、得られる板状物の少なくとも片面をロール又はベルトに接触させて製板する方法が、表面性状の良好な板が得られる点で好ましい。とりわけ、押出板の平滑性または形状付与の精密性を向上させる観点からは、共重合体(A)及び(B)を溶融押出して得られる板状物の両面をロール表面又はベルト表面に接触させて成形する方法が好ましい。この際に用いるロール又はベルトは、いずれも金属製であるのが好ましい。したがって、好ましい形態として、共重合体(A)及び(B)をTダイから溶融押出しした後、少なくとも1本の鏡面ロールに接触させて、より好ましくは2本の鏡面ロールに接触させて挟み込んだ状態で、成形する方法が挙げられる。
共重合体(A)及び/又は(B)には、必要に応じて他の成分を配合して、樹脂組成物として用いてもよい。この配合成分としては、例えば、ゴム粒子、染料や顔料のような着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。ゴム粒子を配合することにより、得られる押出板の耐衝撃性を向上させることができる。
ゴム粒子としては、例えば、アクリル系、ブタジエン系、スチレン−ブタジエン系などの各種ゴム粒子を用いることができるが、中でも、耐侯性の点から、アクリル系ゴム粒子が好ましく用いられる。アクリル系ゴム粒子としては、例えば、アクリル酸ブチルのようなアクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体からなる単層構造のものや、メタクリル酸メチルを主体とする硬質重合体からなる内層の周りに、アクリル酸ブチルのようなアクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体からなる外層を設けた多層構造のものなどを使用することができる。なお、上記弾性重合体には、一般に多官能単量体が少量共重合されている。
また、上記弾性重合体の周りにメタクリル酸メチルを主体とする硬質重合体からなる最外層を設けた多層構造のものも、有利に使用することができる。例えば、アクリル酸ブチルのようなアクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体からなる内層の周りに、メタクリル酸メチルを主体とする硬質重合体からなる外層を設けた二層構造のものや、メタクリル酸メチルを主体とする硬質重合体からなる内層の周りに、アクリル酸ブチルのようなアクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体からなる中間層を設け、さらにその周りに、メタクリル酸メチルを主体とする硬質重合体からなる外層を設けた三層構造のものなどが挙げられる。このような多層構造のゴム粒子は、例えば、特公昭55−27576号公報に開示されている。特に、上記した三層構造のものが好ましく、特公昭55−27576号公報の実施例3に記載のものは、好ましい組成の一つである。
ゴム粒子としては、樹脂基板の表面硬度や耐衝撃性、表面平滑性の点から、平均粒子径が0.1〜0.4μmであるものが好ましく用いられる。ゴム粒子の平均粒子径があまり小さいと、樹脂基板の表面硬度が十分でなかったり、樹脂基板が脆くなったりする。一方、ゴム粒子の平均粒子径があまり大きいと、樹脂基板の表面平滑性を損なう傾向にある。ゴム粒子は、一般的には乳化重合により製造することができ、その際、乳化剤の添加量や単量体の仕込み量などを調節することによって、平均粒子径を所望の値にコントロールすることができる。
共重合体(A)及び/又は(B)にゴム粒子を配合して樹脂基板とする場合、両者の割合は、共重合体(A)又は(B)を70〜95重量部、ゴム粒子を5〜30重量部とするのが好ましい。ゴム粒子の量があまり少ないと、樹脂基板の耐衝撃性や柔軟性が十分に向上せず、あまり多いと、樹脂基板の表面硬度や剛性が不十分となるので好ましくない。なお、共重合体(A)及び(B)の両方にゴム粒子を配合する場合、ゴム粒子の種類ないし量は、互いに同一であってもよし、異なっていてもよい。
樹脂基板の厚みは、通常0.2〜3mmであり、好ましくは0.25〜2.5mmである。厚みがあまり小さいと、携帯型情報端末の表示窓保護板の基板としては、強度ないし剛性が十分でないことがあり、また、厚みがあまり大きいと、携帯型情報端末の表示窓保護板の基板としては、デザイン上、適当でないことがある。なお、上記樹脂基板を携帯型情報端末の表示窓保護板の基板として用いるに際しては、その表示窓の表面形状に合わせて、平面形状で、又は曲面を有する形状で適用することができる。
樹脂基板における共重合体(B)層の厚さは、両表層に存在する場合はその合計厚さとして、10〜200μmであるのが好ましく、また樹脂基板全体の厚さの50%以下であるのが好ましい。共重合体(B)層の厚さがあまり大きいと、樹脂基板ないし耐擦傷性樹脂板の耐熱性が不十分になり、また、耐擦傷性樹脂板の耐環境性が不十分になり、例えば高温高湿下に長時間曝された場合に反り等の変形を生じ易くなる。
以上のような、共重合体(A)及び(B)からなる多層樹脂基板の表面に、硬化性塗料を塗布して硬化させることにより、耐擦傷性の高い硬化被膜を形成することができる。この際、硬化被膜は、樹脂基板の両面に設けてもよいし、片面に設けてもよいが、共重合体(B)層の表面に設ける必要がある。樹脂基板の片面に硬化被膜を設けた場合は、携帯型情報端末の表示窓保護板とするにあたり、その硬化被膜形成面が外側(使用する人が直接、見たり接したりする側)に向くようにすればよい。
硬化被膜を形成するのに用いられる硬化性塗料は、耐擦傷性をもたらす各種の硬化性化合物を主成分とし、必要に応じて、溶媒、導電性無機粒子、硬化触媒などを混合したものである。
まず、硬化性化合物について説明すると、アクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、エポキシアクリレート化合物、カルボキシル基変性エポキシアクリレート化合物、ポリエステルアクリレート化合物、共重合系アクリレート、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などのなかから、耐擦傷性を付与する効果を有するものを用いればよい。なかでも、高い耐擦傷性をもたらす硬化性化合物として、多官能アクリレート化合物、多官能ウレタンアクリレート化合物、多官能エポキシアクリレート化合物など、ラジカル重合系の硬化性化合物や、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシランなど、熱重合系の硬化性化合物を挙げることができる。これらの硬化性化合物は、例えば、電子線、放射線、紫外線などのエネルギー線を照射することにより硬化するか、あるいは加熱により硬化するものである。これらの硬化性化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数の化合物を組み合わせて用いてもよい。
これらの硬化性化合物のなかでも好ましいものは、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物である。ここで、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基をいう。その他、本明細書において、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸などというときの「(メタ)」も同様の意味である。
分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する硬化性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ−又はテトラ−(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ−、テトラ−、ペンタ−又はヘキサ−(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ−、ペンタ−、ヘキサ−又はヘプタ−(メタ)アクリレートのような、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート;分子内にイソシアナート基を少なくとも2個有する化合物に、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを、イソシアナート基に対して水酸基が等モル以上となる割合で反応させて得られ、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数が3個以上となったウレタン(メタ)アクリレート〔例えば、ジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの反応により、3〜6官能のウレタン(メタ)アクリレートが得られる〕;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。ここには単量体を例示したが、これら単量体のままで用いてもよいし、例えば2量体、3量体などのオリゴマーの形になったものを用いてもよい。また、単量体とオリゴマーを併用してもよい。これらの(メタ)アクリレート化合物はそれぞれ単独又は2種以上を混合して用いられる。
少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する硬化性化合物には、市販されているものもあるので、このような市販品を用いることもできる。市販品として、例えば、“NKハ−ド M101”〔新中村化学工業(株)製品、ウレタンアクリレート系〕、“NKエステル A−TMM−3L”〔新中村化学工業(株)製品、ペンタエリスリトールトリアクリレート〕、“NKエステル A−TMMT”〔新中村化学工業(株)製品、ペンタエリスリトールテトラアクリレート〕、“NKエステル A−9530”〔新中村化学工業(株)製品、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート〕、“NKエステル A−DPH”〔新中村化学工業(株)製品、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〕、“KAYARAD DPCA”〔日本化薬(株)製品、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〕、“ノプコキュア 200”シリーズ〔サンノプコ(株)製品〕、“ユニディック”シリーズ〔大日本インキ化学工業(株)製品〕などが挙げられる。
なお、硬化性塗料は、必要に応じて、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物以外の硬化性化合物、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのような、分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を含有していてもよいが、その量は、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物100重量部あたり、通常20重量部までである。
硬化性塗料を紫外線で硬化させる場合は、光重合開始剤を使用する。光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類などが挙げられる。光重合開始剤の添加量は、硬化性化合物100重量部に対し、0.1〜5重量部の範囲が一般的である。
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いることができるほか、多くは2種以上混合して用いることもできる。また、これらの各種光重合開始剤は市販されているので、そのような市販品を用いることができる。市販の光重合開始剤としては、例えば、“IRGACURE 651”、“IRGACURE 184”、“IRGACURE 500”、“IRGACURE 1000”、“IRGACURE 2959”、“DAROCUR 1173”、“IRGACURE 907”、“IRGACURE 369”、“IRGACURE 1700”、“IRGACURE 1800”、“IRGACURE 819”、“IRGACURE 784”〔以上のIRGACURE(イルガキュア)シリーズ及びDAROCUR(ダロキュア)シリーズは、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)で販売〕、“KAYACURE ITX”、“KAYACURE DETX−S”、“KAYACURE BP−100”、“KAYACUREBMS”、“KAYACURE 2−EAQ”〔以上のKAYACURE(カヤキュア)シリーズは、日本化薬(株)で販売〕などを挙げることができる。
また本発明においては、硬化被膜に帯電防止性を付与するために、硬化性塗料中に導電性無機粒子を添加することができる。このために用いる導電性無機粒子としては、例えば、アンチモンがドープされた酸化錫、リンがドープされた酸化錫、酸化アンチモン、アンチモン酸亜鉛、酸化チタン、ITO(インジウム錫酸化物)などが挙げられる。
導電性無機粒子を配合する場合、その粒子径は、粒子の種類によって適宜選択することが可能であり、通常は0.5μm以下のものが使用されるが、得られる硬化被膜の帯電防止性や透明性の観点からは、平均粒子径で0.001μm以上、また0.1μm以下のものが好ましく、さらに好ましくは0.001μm以上0.05μm以下のものである。導電性無機粒子の平均粒子径があまり大きいと、得られる耐擦傷性樹脂板のヘイズが大きくなり、透明性が低下することがある。また、導電性無機粒子の使用量は、硬化性化合物100重量部に対して、通常2〜50重量部程度、好ましくは3〜20重量部程度である。その量があまり少ないと、帯電防止性向上効果が乏しくなる。またその量があまり多いと、硬化被膜の透明性を低下させるおそれがある。
かかる導電性無機粒子は、例えば、気相分解法、プラズマ蒸発法、アルコキシド分解法、共沈法、水熱法などにより製造することができる。また、導電性無機粒子の表面は、例えば、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などで表面処理されていてもよい。
硬化性塗料には、塗料の粘度調整などを目的として、希釈溶媒を用いるが、特に導電性無機粒子を添加する場合には、その分散のために必要である。導電性無機粒子を用い、かつ溶媒を用いる場合には、例えば、導電性無機粒子及び溶媒を混合して、溶媒中に導電性無機粒子を分散させた後、硬化性化合物と混合してもよいし、硬化性化合物と溶媒を混合した後、そこに導電性無機粒子を加えて混合してもよい。
溶媒は、硬化性化合物を溶解することができ、かつ塗布後に揮発し得るものであればよく、また塗料成分として導電性無機粒子を用いる場合は、それを分散させることができるものであればよい。例えば、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールのようなケトン類、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、水などが挙げられる。硬化性塗料における溶媒の使用量に特別な限定はなく、硬化性化合物の性状等に合わせて、適切な量で使用することができる。
また、この硬化性塗料には、公知のレベリング剤を添加してもよい。レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル系のものなどが例示できる。シリコーンオイルとしては通常のものが使用でき、具体的には、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキル・アラルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコーンオイル、フェノール基含有シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどが例示される。これらのレベリング剤は市販されているので、市販品を用いることができる。市販のレベリング剤としては、例えば、“SH200−100cs”、“SH28PA”、“SH29PA”、“SH30PA”、“ST83PA”、“ST80PA”、“ST97PA”、“ST86PA”〔以上いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)で販売〕などを挙げることができる。これらのレベリング剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いることもできる。レベリング剤の使用量は、硬化性塗料の特性に応じて適宜選択されるが、一般的には硬化性化合物100重量部に対し、0.01〜5重量部程度である。
さらに、硬化性塗料には、安定化剤、酸化防止剤、着色剤などの添加剤が含まれていてもよい。
このようにして、硬化性化合物に、必要に応じて導電性無機粒子、溶媒、レベリング剤、光重合開始剤などを混合して得られる硬化性塗料は、前記樹脂基板の表面に塗布して硬化性塗膜とし、引き続いて硬化させることにより、表面に耐擦傷性の硬化被膜が形成された耐擦傷性樹脂板とすることができる。
前記樹脂基板に硬化性塗料を塗布して硬化性塗膜とする場合には、例えば、バーコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ダイコート法、スプレーコート法など、公知のコート方法により塗布すればよい。かくして、前記押出板の表面に硬化性塗膜が形成される。その後、硬化性塗料の種類に応じ、紫外線、電子線等のエネルギー線を照射するか、又は加熱することにより、硬化性塗膜を硬化させ、耐擦傷性の硬化被膜が形成される。
エネルギー線を照射して硬化させる場合のエネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、放射線などが挙げられ、その強度や照射時間などは、用いる硬化性塗料の種類に応じて適宜選択される。また、加熱により硬化させる場合の加熱温度や加熱時間などは、用いる硬化性塗料の種類に応じて適宜選択されるが、加熱硬化の場合には、樹脂基板が変形等を起こさないよう、一般的には100℃以下の温度が好ましい。硬化性塗料が溶媒を含有する場合には、塗布後、溶媒を揮発させた後に硬化性塗膜を硬化させてもよいし、溶媒の揮発と硬化性塗膜の硬化とを同時的に行ってもよい。
硬化被膜の厚みは、0.5〜50μm程度であるのが好ましく、さらに好ましくは1〜20μm程度である。硬化被膜の厚みがあまり大きいと、亀裂が生じやすくなり、あまり小さいと、耐擦傷性が不十分となる傾向にある。
得られた耐擦傷性樹脂板には、その表面に、コート法やスパッタ法、真空蒸着法など、公知の方法により反射防止処理を施すこともできる。また、別途作製した反射防止性のシートを上記の耐擦傷性樹脂板の片面又は両面に貼合して、反射防止効果を付与することも可能である。
かくして得られる耐擦傷性樹脂板は、耐擦傷性が高い硬化被膜を有しており、また、耐環境性にも優れた性能を有しているため、携帯電話等の携帯型情報端末の表示窓保護板として好適であるが、その他、デジタルカメラやハンディ型ビデオカメラなどのファインダー部、携帯型ゲーム機の表示窓保護板など、高い耐擦傷性や耐環境性が要求される分野での各種部材としても使用できる。とりわけ本発明の耐擦傷性樹脂板は、携帯電話、特に表示窓を含む表示部が、不使用時には折りたたまれて操作ボタン部を覆う構造となった携帯電話の表示窓保護板に対して、有利な効果を発揮する。
本発明の耐擦傷性樹脂板から、携帯型情報端末の表示窓保護板を作製するには、まず必要に応じ、印刷、穴あけ等の加工を行い、必要な大きさに切断処理すればよい。しかるのちに、携帯型情報端末の表示窓にセットすれば、耐擦傷性の高い表示窓とすることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。
実施例1
(a)共重合体(A)の調製
攪拌機付き反応容器中にメタクリル酸メチル99.2部、アクリル酸メチル0.8部、オクチルメルカプタン0.17部、及び1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン0.016部の混合物を連続的に供給し、平均滞留時間43分、175℃にて連続バルク重合を行った。得られた反応液から未反応のモノマーを揮発・除去し、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=99.2/0.8(重量比)の共重合体(A)を得た。この共重合体(A)の還元粘度を以下の方法で測定した結果、0.651dL/gであった。
〔還元粘度の測定〕
試料0.5gをクロロホルム50mLに溶解し、25℃でオストワルド粘度計を用いて測定した。
(b)共重合体(B)の調製
攪拌機付き反応容器中にメタクリル酸メチル93重部、アクリル酸メチル7部、オクチルメルカプタン0.11部、及び1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン0.013部の混合物を連続的に供給し、平均滞留時間43分、175℃にて連続バルク重合を行った。得られた反応液から未反応のモノマーを揮発・除去し、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=95/5(重量比)の共重合体(B)を得た。この共重合体(A)の還元粘度を先と同様の方法で測定した結果、0.842dL/gであった。
(c)樹脂基板の作製
上記(a)で得た共重合体(A)を、40mmφ一軸押出機を用いて溶融混練し、また上記(b)で得た共重合体(B)を、20mmφ一軸押出機を用いて溶融混練し、両者をフィードブロックを介して両表層が共重合体(B)となるように3層化し、次いでT型ダイを介して押し出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却して、厚さ1.0mmの多層の樹脂基板を得た。この際、各層の厚さは、共重合体(B)層/共重合体(A)層/共重合体(B)層=0.05mm/0.9mm/0.05mmとした。
(d)硬化性塗料の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔新中村化学工業(株)の“NKエステル A−DPH”〕30部、1−メトキシ−2−プロパノール35部、イソブチルアルコール35部、光重合開始剤〔チバスペシャリティーケミカルズ(株)の“IRGACURE 184”〕2部、及びシリコーンオイル〔東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)の“SH28PA”〕0.045部を混合して、硬化性塗料を調製した。
(e)耐擦傷性樹脂板の作製
上記(c)で得た樹脂基板を10cm×6cmの大きさに切断し、上記(d)で得た硬化性塗料中に浸漬し、定速引上装置を用いて5mm/secの速度で引き上げることにより、その両表面に硬化性塗量の塗膜を形成した。次いで、室温で1分間乾燥し、さらに45℃の熱風オーブン内で10分間乾燥して溶媒を揮発させた後、この塗膜に、120Wの高圧水銀ランプを用いて、0.5J/cm2の紫外線を照射して硬化させ、耐擦傷性樹脂板を得た。この耐擦傷性樹脂板について、以下の評価を行い、結果を表1に示した。
〔透明性〕
JIS K7105に準拠して、全光線透過率(Tt)及びヘイズ(H)を測定した。
〔硬化被膜の厚さ〕
膜厚測定装置〔Filmetrics社製、F−20〕を用いて測定した。
〔耐擦傷性〕
スチールウール#0000を500g/cm2の荷重で100往復させた。その際、硬化被膜表面と接触するスチールウールの形状は、2cm角の正方形(面積4cm2)とし、その辺と平行に繊維が並んだ状態とした。また、往復距離は10cm(片道5cm)とし、1往復1秒の速度で、該繊維方向に往復させた。100往復後、表面の傷つきの様子を目視で観察し、次の4段階で評価した。
A:傷つきなし、B:1〜2本の傷、C:3〜10本の傷、D:10本を超える傷。
〔耐環境性〕
7cm×5cmの試験片を切り出し、80℃/80%RHの環境下に10日間放置した後、硬化被膜の表面状態を目視で観察し、クラックが発生していなければ○、発生していれば×とした。また、4角が浮き上がる様に配置し、その高さを測定し、試験前に同様に測定した値との差を反り量とした。
実施例2
硬化性塗料として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔新中村化学工業(株)の“NKエステル A−DPH”〕28部、光重合開始剤〔チバスペシャリティーケミカルズ(株)のIRGACURE 184〕1部、5酸化アンチモン微粒子ゾル〔触媒化成工業(株)のELCOM−7514;固形分濃度20%〕8部、1−メトキシ−2−プロパノール32部、イソブチルアルコール32部及び、及びシリコーンオイル〔東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)の“SH28PA”〕0.045部を混合して得られた硬化性塗料を用いた以外は、実施例1(e)と同様の操作を行い、得られた耐擦傷性樹脂板の評価結果を表1に示した。また、硬化被膜の表面抵抗をASTM D−257に従って測定したところ、1.8×1011Ωであり、帯電防止性を有していた。
比較例1
(c’)樹脂基板の作製
実施例1(a)で得た共重合体(A)を、40mmφ一軸押出機を用いて溶融混練し、T型ダイを介して押し出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却して、厚さ1.0mmの単層の樹脂基板を得た。この樹脂基板を用いて、実施例1(e)と同様の操作を行い、得られた耐擦傷性樹脂板の評価結果を表1に示した。
比較例2
実施例1(b)で得た共重合体(B)を、40mmφ一軸押出機を用いて溶融混練し、T型ダイを介して押し出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却して、厚さ1.0mmの単層の樹脂基板を得た。この樹脂基板を用いて、実施例1(e)と同様の操作を行い、得られた耐擦傷性樹脂板の評価結果を表1に示した。
Figure 0005018223

Claims (5)

  1. 樹脂基板の表面に硬化性塗料により硬化被膜が形成されてなる耐擦傷性樹脂板であって、上記樹脂基板は、下記の共重合体(A)からなる層の表面に下記の共重合体(B)からなる層が積層されてなり、該共重合体(B)からなる層の表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とする耐擦傷性樹脂板。
    共重合体(A):メタクリル酸メチルを96〜99.5重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体を0.5〜4重量%の割合で重合させてなり、クロロホルム中、25℃での還元粘度が0.75dL/g以下である共重合体。
    共重合体(B):メタクリル酸メチルを85〜95重量%及びメタクリル酸メチル以外の単量体を5〜15重量%の割合で重合させてなり、クロロホルム中、25℃での還元粘度が0.75dL/g以上である共重合体。
  2. 樹脂基板の厚さが0.2〜3mmである請求項1に記載の耐擦傷性樹脂板。
  3. 硬化性塗料が、分子中に少なくとも3個の(メタ)アクロイルオキシ基を有する化合物を含むものである請求項1又は2に記載の耐擦傷性樹脂板。
  4. 硬化性塗料が、導電性無機微粒子を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板からなる携帯型情報端末の表示窓保護板。
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