JP2009263409A - 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、活性エネルギー線硬化型塗料及び成形物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、活性エネルギー線硬化型塗料及び成形物 Download PDF

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二郎 松尾
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Abstract

【課題】優れた硬度を有し、透明性に優れ、また、付着した指紋が目立ちにくく、かつ、付着した指紋が拭取りやすい硬化塗膜を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物と、これを用いた硬化塗膜を有する成形物を提供する。
【解決手段】多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)とフッ化ビニリデン系樹脂(B)とを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であり、該フッ化ビニリデン系樹脂(B)の含有量が、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して0.01〜5重量部含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有する活性エネルギー線硬化型塗料、該活性エネルギー線硬化型塗料を用いて得られる硬化塗膜を有している成形物。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた硬度を有し、透明性に優れ、また、付着した指紋が目立ちにくく、かつ、付着した指紋が拭取りやすい硬化塗膜を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物と、これを用いた硬化塗膜を有する成形物に関する。
液晶テレビや携帯電話のパネルは表面に保護層としてプラスチックのフィルムやシートが使用される場合が多い。そして、これらの表面は、傷つき防止のため硬度の高い塗料の硬化塗膜でコーティングされている。この塗料として、多くの場合、活性エネルギー線硬化型塗料が使用されている。
保護層として用いているプラスチックのフィルムやシートは、汚染されやすい環境に曝露されている。具体的には、例えば、携帯電話の液晶画面やタッチパネル等の人の皮脂が付着しやすい環境が挙げられる。携帯電話の液晶画面やタッチパネル等は指先の皮脂が指紋となって付着しやすく、指紋が付着することにより、美観が損われたり、画面が見づらくなる等の問題が発生する。その為、保護層としてプラスチックのフィルムやシートを覆う硬化塗膜として、指紋が付着しにくい、指紋が付着しても目立たない、または、指紋が付着してもふき取りやすい等の性能(耐指紋性)が強く求められている。加えて、前記硬化塗膜としては、硬度が高い事に加え、透明性も求められている。
指紋が付着しにくい硬化塗膜が得られる組成物として、例えば、フッ素化(メタ)アクリレート(A)及び/又はポリシロキサン基含有(メタ)アクリレート(B)と、(A)及び(B)以外の(メタ)アクリレート(C)とを共重合させて得られる共重合体(I)と、(メタ)アクリロイル基を含有する単量体の重合体(II)と、フッ素化オレフィン系重合体(III)とを含有してなる被覆用防止性組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。具体的には、例えば、特許文献1の実施例では、でフッ素化オレフィン系重合体(III)を被覆用防止性組成物中の重合体100重量部中30〜40重量部含有する組成物が開示されている。
前記特許文献1に開示されている被覆用防止性組成物はその組成上重合体(I)が硬化塗膜の表面に配置する。その為、フッ素化オレフィン系重合体(III)のが有する防汚効果を発現させる為、前記のようにフッ素化オレフィン系重合体(III)を成物中の重合体100重量部中30〜40重量部と多量に含有させる必要がある。
前記特許文献1では、このようにフッ素化オレフィン系重合体(III)を多量に含有させても、前記重合体(I)や重合体(III)は、フッ素化オレフィン系重合体(III)と相溶性に優れる為、得られる硬化塗膜に濁り等の問題は生じにくい。
しかしながら、前記フッ素化オレフィン系重合体(III)重合体を、単に活性エネルギー線硬化型塗料の系に特許文献1で示された配合量で配合させたとしても、フッ素化オレフィン系重合体(III)重合体は、活性エネルギー線硬化型塗料中の重合性単量体との相溶性が良好でない為に、得られる硬化塗膜が白濁してしまう問題がある。また、得られる硬化塗膜の硬度も低い。
特開平7−228820号公報
本発明は、優れた硬度を有し、また、付着した指紋が目立ちにくく、かつ、付着した指紋が拭取りやすい塗膜を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物と、これを用いた硬化塗膜を有する成形物を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、多官能(メタ)アクリレート系化合物とフッ化ビニリデン系樹脂とを混合して活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得る際に、フッ化ビニリデン系樹脂を多官能(メタ)アクリレート系化合物100重量部に対して0.01〜5重量部含有させることにより得られる硬化塗膜が白濁しづらく、透明性に優れる硬化塗膜が得られること、指紋は付着しやすいが、それが目立ちにくい硬化塗膜となり、更に、付着した指紋もふき取りやすくなること等を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)とフッ化ビニリデン系樹脂(B)とを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であり、該フッ化ビニリデン系樹脂(B)の含有量が、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して0.01〜5重量部含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有することを特長とする活性エネルギー線硬化型塗料を提供するものである。
更に、本発明は、前記活性エネルギー線硬化型塗料を用いて得られる硬化塗膜を有していることを特徴とする成形物を提供するものである。
本発明によれば、優れた硬度を有し、また、付着した指紋が目立ちにくく、更に、付着した指紋が拭き取りやすい硬化塗膜を形成する活性エネルギー線硬化型塗料と該塗料を得る為の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及び活性エネルギー線硬化型塗料の硬化塗膜を有する成形物を提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)とフッ化ビニリデン系樹脂(B)とを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であり、該フッ化ビニリデン系樹脂(B)の含有量が、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して0.01〜5重量部含有する。該フッ化ビニリデン系樹脂(B)の含有量が、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して0.01重量部よりも小さいと、得られる硬化塗膜に付着した指紋が拭取りにくくなることから好ましくない。フッ化ビニリデン系樹脂(B)の含有量が、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して5重量部よりも大きいと、得られる硬度が高い硬化塗膜が得にくく、また、硬化塗膜に濁りが生じやすくなることから好ましくない。フッ化ビニリデン系樹脂(B)の含有量としては、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して0.1〜3重量部がより好ましい。
本発明で用いる多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)について説明する。多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)は、塗膜の主成分となるものであり、エネルギー線照射により反応して、高い硬度と透明性を有する塗膜を形成する主要構成成分である。
多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)とは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。例えば、多官能(メタ)アクリレートモノマーやウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの多官能光重合性プレポリマーが挙げられ、これらを適宜選択して、その1種を単独で使用することができるし、またはその2種以上を併用することもできる。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、及び、これらに1〜20モルのε−カプロラクトンを開環付加させた水酸基含有化合物などの水酸基を3つ以上有する化合物に、(メタ)アクリル酸が3分子以上エステル結合した化合物等が挙げられる。これら化合物の内、特に代表的なものを例示すれば、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどの多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、前記多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、2,2´−ジ(ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン及びそのハロゲン化物、2,2´−ジ(ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン及びそのハロゲン化物などの水酸基を二つ有する芳香族化合物に、(メタ)アクリル酸が2分子エステル結合した化合物;1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールにカプロラクトン付加した化合物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸が2分子エステル結合した化合物;トリシクロデカンジメタノールなどの水酸基を二つ有する脂環族化合物に(メタ)アクリル酸が2分子エステル結合した化合物等も挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとは、一分子中にウレタン結合と(メタ)アクリル基を有する化合物であり、市販の種々のウレタンアクリレートが使用できる。構造は、一般的にポリイソシアネート化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の反応物が挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略する。)、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
前記芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等が挙げられる。
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、脂肪族ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物、芳香族ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
前記脂肪族ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等の、3価のアルコールのモノまたはジ(メタ)アクリレートで水酸基を1個有するものや、これらアルコールの水酸基の一部をアルキル基やε−カプロラクトンで変性した水酸基を1個有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の、4価以上のアルコールの多官能(メタ)アクリレートで水酸基を1個有するものや、これらアルコールの水酸基の一部をアルキル基やε−カプロラクトンで変性した水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記ポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートの反応には、得られるウレタン(メタ)アクリレートを低粘度とするために必要に応じてポリオールを同時に反応させても良い。前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
ウレタンアクリレートを得るための触媒としては、各種のウレタン化触媒を用いることができる。具体的には、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン類、トリフェニルフォスフィン、トリエチルフォスフィンなどのフォスフィン類、ジブチルスズジラウレート、オクチルスズトリラウレート、オクチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセテート、オクタン酸スズなどの有機スズ化合物、オクタン酸亜鉛などの有機金属化合物が挙げられる。
通常、これらの反応は無溶剤で行うことができるが、必要により、ポリウレタン工業に常用の不活性溶剤、例えば、トルエン、キシレン、スワゾール(コスモ石油株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)、ソルベッソ(エクソン化学株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤を一種又は二種以上使用することもできるため、反応条件に応じた粘度に調整することができる。
前記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、二つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られる二つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。その具体例としては、脂肪族エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、ビスフェノール型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、水素添加ビスフェノール型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、ナフタレン骨格エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートなどや、これらの混合物などが挙げられる。
前記ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリオキシアルキレン構造を分子内に含まない前記ポリオール化合物と(メタ)アクリル酸の縮合物などが挙げられる。
本発明で用いる多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)としては、硬度が高い硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化塗膜が得られることから、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。また、硬度が高く、且つ、脆くない硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化塗膜が得られることからウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。従って、本発明で用いる多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)としては、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。更にウレタン(メタ)アクリレートの中でも、耐候性に優れ、黄変しにくい硬化塗膜が得られることから脂肪族系のイソシアネート化合物を用いて得られる脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
また、本発明で用いる前記多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)としては、耐擦傷性を低下させずに強靭性を発現させた硬化塗膜が得られることから、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートと、前記ウレタン(メタ)アクリレート以外の3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートを合計で95重量%以上含有し、かつ、前記ウレタン(メタ)アクリレートを5〜90重量%含有するものが好ましい。
次に、フッ化ビニリデン系樹脂(B)について説明する。フッ化ビニリデン系樹脂(B)は、指紋や皮脂の拭取り性を向上させる効果がある。一般に、C−F結合は、強固な結合力と低分極率から、撥水撥油性、非粘着性という性質を発現することが知られている。C−F結合を有する、いわゆるフッ素系樹脂の中で、最も良く知られているポリテトラフルオロエチレンは、表面自由エネルギーが低く、指紋や皮脂を丸く点状にはじいてしまうため、かえって指紋が白く目立ってしまい良くない。指紋や皮脂を点状にはじかない適度な表面自由エネルギーを持つフッ素系樹脂が有効なのであり、フッ化ビニリデン系重合体は目的の性能を満たすものである。
フッ化ビニリデン系樹脂(B)とは、フッ素ビニリデンモノマーを含む重合体であって、通常、有機溶剤に分散又は溶解する。その具体例として、例えばポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン・テトラフロロエチレン)共重合体、ポリ(フッ化ビニリデン・テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン)共重合体、ポリ(フッ化ビニリデン・ヘキサフロロプロピレン)共重合体等が挙げられるが、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)との相溶性、溶剤に対する溶解性が良好となることから、フッ化ビニリデンとテトラフロロエチレンとの共重合体〔ポリ(フッ化ビニリデン・テトラフロロエチレン)共重合体〕がより好ましい。ポリ(フッ化ビニリデン・テトラフロロエチレン)共重合体の中でも、フッ化ビニリデンとテトラフロロエチレンとを重量比で50:50〜95:5の範囲で反応させて得られたものがより好ましい。
本発明で用いるフッ化ビニリデン系樹脂(B)の分子量は、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)との相溶性に優れ、且つ、溶剤溶解性にも優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られることから、数平均分子量1,000,000以下が好ましい。また、付着した指紋が拭き取りやすい硬化塗膜が得られることから数平均分子量1,000以上が好ましい。より好ましくは、3,000〜200,000である。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料は、活性エネルギー線を照射することにより硬化することができるものである。活性エネルギー線とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合、架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、例えば、可視光線、紫外線、X線等の電磁波、電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらの内で実用上よく用いられるのは、可視光線、紫外線または電子線である。
紫外線で硬化させる場合は、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどの光源を用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料は、可視光線または紫外線により硬化させる場合には、紫外線または可視光線の照射によって解離し、ラジカルを発生するような光重合開始剤を通常含有させる。
かかる光重合開始剤としては、光の照射により解離してラジカルを発生するような各種の光重合開始剤が使用でき、例えば、ベンゾフェノン、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4´−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;キサントン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどのキサントン、チオキサントン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのアシロインエーテル類;ベンジル、ジアセチルなどのα−ジケトン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、p−トリルジスルフィドなどのスルフィド類;4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸類;
3,3´−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2,2´−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4´−メチルジメチルスルフィド、2,2´−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−[ジ−(エトキシカルボニルメチル)アミノ]フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(4−エトキシ)フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−エトキシ)フェニル−S−トリアジンアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノンなどが挙げられる。
また、光重合開始剤の市販品としては、例えば、Irgacure−184、同149、同261、同369、同500、同651、同754、同784、同819、同907、同1116、同1300、同1664、同1700、同1800、同1850、同2959、同4043、Darocur−1173、同MBF(以上、チバスペシャルティーケミカルズ社製)、ルシリンTPO(BASF社製)、KAYACURE−DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA、同BMS〔以上、日本化薬(株)製〕、VICURE−10、同55(以上、STAUFFER Co.LTD製)、TRIGONALP1(AKZO Co.LTD製)、SANDORY 1000(SANDOZ Co.LTD製)、DEAP(APJOHN Co.LTD製)、QUANTACURE−PDO、同ITX、同EPD(以上、WARD BLEKINSOP Co.LTD製)等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料では、粘度やフッ化ビニリデン系樹脂(B)との相溶性などを調整するために、単官能(メタ)アクリレートをも併用することができる。
前記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニル−2−(4−アクリロイルオキシフェニル)プロパン;クロロフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート、ブロモベンジル(メタ)アクリレート、クロロフェニルエチル(メタ)アクリレート、ブロモフェニルエチル(メタ)アクリレート、クロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する単官能(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジルシクロカーボネート(メタ)アクリレート等の脂環式のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの炭素原子数1〜22のアルキル基を持つ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物では、光重合開始剤に各種の光増感剤を併用することができる。光増感剤としては、例えば、アミン類、尿素類、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物、ニトリル類もしくはその他の含窒素化合物等が挙げられる。
前記光増感剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、チオキサントン、チオキサントン誘導体、2,2´−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。
これら光増感剤は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。その使用量は特に制限はないが、感度を良好に保ち、結晶の析出、塗膜物性の劣化等を防止するため、活性エネルギー線硬化型樹脂成分(A)100重量部に対して0.05〜20重量部用いること好ましく、なかでも0.1〜10重量部が特に好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料を用いてなる硬化塗膜を表面上に有する合成樹脂成形物等を製造する際に、紫外線等の活性エネルギー線は支持体となる合成樹脂成形物を通して照射される場合がある。また、色材などの添加のため短波長領域しか吸収できない光重合開始剤では十分な硬化性が得られない場合がある。その場合、光重合開始剤は、長波長領域に吸光能力を有する光重合開始剤が好ましく、例えば、波長が360〜450nmの範囲において光重合開始能力を発揮する光重合開始剤の使用が望ましい。450nmを越える光でも強い吸収を有するものは安定性に劣るため、完全に遮光した環境での製造が必要となり、その取扱いが困難となる。なお、電子線を用いる場合は、これら光重合開始剤や光増感剤は不要である。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料を用いてなる塗膜を電子線で硬化させる場合は、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器等の照射源を備えた装置をいずれも用いることができ、100〜1,000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子を通常照射する。照射線量としては、通常0.5〜30Mrad程度が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料は、合成樹脂成形物等の基材の表面上に形成された硬化塗膜に耐光性が要求される場合等、必要に応じて、紫外線吸収剤を添加することができる。さらに、塗膜の改質や塗装適性を改善させる場合には、酸化防止剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、防曇剤等を添加することも可能である。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体;2−(2´−キサンテンカルボキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−o−ニトロベンジロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体;2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。
前記した種々の添加剤の使用量としては、その効果を十分発揮し、また、紫外線硬化を阻害しない範囲であることから、活性エネルギー線硬化型樹脂成分(A)100重量部に対して、それぞれ0.01〜20重量部の範囲であることが好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、粘度や透明基板への接着性改良等を目的として、樹脂を併用することができる。
前記樹脂としては、例えば、メチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート系共重合物等のアクリル樹脂;ポリエステル樹脂、ポリブタジエンやブタジエン−アクリロニトリル系共重合物などのポリブタジエン樹脂などが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料は、粘度調節のために有機溶剤を使用することができる。有機溶剤としては、通常、沸点が50〜180℃のものが、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性に優れることから好ましく、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、またはこれらの混合物類等が挙げられる。
本発明で用いる有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常は本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の固形分濃度が5〜90重量%となる範囲である。
本発明の硬化物は、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料を用いて得られる硬化塗膜を有している。このような硬化物としては、例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料を、必要に応じて有機溶剤等により適当な塗装粘度に調整され、各種の基材の表面上に塗装され、活性エネルギー線を照射することにより硬化せしめて、優れた耐指紋性と優れた硬度を併有する硬化塗膜を有する基材等が挙げられる。前記基材として合成樹脂成形物を用いることにより本発明の合成樹脂成形物を製造することができる。なお、硬化塗膜の膜厚は通常0.5〜50μm、好ましくは1〜30μmである。
前記基材としては、特に限定されないが、例えばガラス基材、金属基材、プラスチック基材等が挙げられる。特に、プラスチック基材としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニルからなる基材が挙げられ、これらはフィルム状であってもよい。また、プラスチック基材は、表面改質のために、予めコロナ放電、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理等の表面酸化を行ったり、サンドブラスト、型押し、溶剤処理等の表面の凹凸化処理を行った後に、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いて塗工しても良い。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料は、光学部品やディスプレイなどを基材として適用すると好適である。具体的には、例えば、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラスや、液晶表示装置、CRT表示装置、プラズマ表示装置、プロジェクション型表示装置、エレクトロクロミック表示装置、発光ダイオード表示装置、EL表示装置などの各種ディスプレイの画面保護などに適用すると好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料の基材への塗工方法は、特に限定されないが、スピンコーター、ロールコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷などを用いる塗工方法の他、グラビア塗工、マイクログラビア塗工法、バー塗工法、スライドダイ塗工法、スロットダイ塗工法、デイップコート法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
次に本発明をより詳細に説明するために実施例を掲げる。なお、例中の部及び%は特に断りのない限り、すべて重量部、重量%を表す。
合成例1〔多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)の合成〕
攪拌機、乾燥空気導入管、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた1リットルの清浄な4つ口フラスコに、乾燥空気を吹き込んだ後、フラスコにアロニックスM305〔東亜合成工業(株)製のペンタエリスリトールトリアクリレート〕536g、2,6−ジーターシャリーブチルー4―メチルフェノール(BHT)1.8g、メトキノン0.18g、触媒としてオクタン酸スズ0.12g、オクタン酸亜鉛0.12gを仕込み、攪拌しながら温度を50℃まで昇温し、発熱に注意し必要に応じ冷却しながらヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)84.0gを1時間かけて滴下仕込みした。NCO%が0.1%以下になるまで80℃で約4時間ウレタン化反応を行い本発明で用いる脂肪族系ウレタンアクリレート(A1)を得た。
合成例2(同上)
攪拌機、乾燥空気導入管、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた1リットルの清浄な4つ口フラスコに、乾燥空気を吹き込んだ後、フラスコにアロニックスM305 510g、BHT 0.6g、メトキノン0.1g、触媒としてオクタン酸スズ0.13g、オクタン酸亜鉛0.13gを仕込み、攪拌しながら温度を50℃まで昇温し、発熱に注意し必要に応じ冷却しながらイソホロンジイソシアネート(IPDI)111.0gを1時間かけて滴下仕込みした。NCO%が0.1%以下になるまで80℃で約4時間ウレタン化反応を行い本発明で用いる脂肪族系ウレタンアクリレート(A2)を得た。
実施例1
ウレタンアクリレート(A−1)50部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50部、フッ化ビニリデン系重合体(B)として、カイナーSL(アルケマ株式会社製のフッ化ビニリデン−4フッ化エチレン共重合体、平均分子量80,000)0.5部、光重合開始剤イルガキュア184 4部、及びメチルエチルケトン(MEK)100.5部を配合し、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1を得た。
次いで、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1の硬化塗膜を表層に有する成形物(フィルム)を得た。この成形物を用いて成形物表層の硬化塗膜の外観、該硬化塗膜に付けた指紋の目立ちにくさ、該硬化塗膜に付けた指紋のふき取りやすさ、硬化塗膜の硬度及び硬化塗膜の水接触角を評価した。成形物の調製条件と各評価方法を下記に示す。また、評価結果は、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1の組成と共に第1表に示す。
<成形物の調製条件>
活性エネルギー硬化型樹脂組成物1を、バーコーター(#12)でPETフィルム(東洋紡(株)製コスモシャインA4300)に塗布し、70℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプ(照射強度80W/cm、積算光量500mJ/cm2)で紫外線を照射して、硬化塗膜を表層に有するペットフィルムを得た。
<硬化塗膜の外観の評価方法>
塗膜の外観を下記評価基準で目視にて評価した。
○:硬化塗膜表面全体が均一な状態である。
×:硬化塗膜表面が不均一である。
<成形物表層の硬化塗膜に付けた指紋の目立ちにくさの評価方法>
硬化塗膜上に指紋を付着させ、黒い紙を下に敷いて、垂直方向から指紋を目視にて観察し、下記基準に従って評価した。
○:指紋が見えない。
△:指紋がわずかに見える。
×:指紋が白くはっきり見える。
<成形物表層の硬化塗膜に付けた指紋のふき取りやすさの評価方法>
硬化塗膜上に付着させた指紋を、市販のアクリル不織布で2回擦った後、実体顕微鏡(倍率40倍)を用いて塗膜を1センチ四方観察し、下記基準に従って評価した。
○:指紋を付着する前と同様に、指紋の付着が認められない。
△:観察付着した指紋がわずかに認められる。
×:目視で明らかに指紋の付着が認められ、顕微鏡でも指紋が認められる。
<硬化塗膜の硬度を評価方法>
鉛筆引っかき試験機を用いて、硬化塗膜に鉛筆を45度の角度で、荷重500gをかけ、1cm引っかいた後、傷の付き具合を目視にて判定した。5回の測定を行い、3回以上傷が付かない最高の鉛筆硬度を測定値とした。
<水接触角測定の評価方法>
塗膜表面の液滴落下直後の水接触角測定を行った。接触角の測定は接触角計CA−X型(協和界面科学株式会社製)を用い、液滴法にて実施した。
<ヘイズの測定方法>
JIS K7136に準拠し、ヘイズメーターHZ−2(スガ試験機株式会社製)を用い、PETフィルムごと測定した。
実施例2〜5および比較例1〜3
第1表〜第3表に示す配合組成で各成分を配合した以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化型樹脂組成物2〜5及び比較対照用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1´〜4´を得た。実施例1と同様にしてこれらの硬化塗膜を有する成形品を作成し、評価した。評価結果を第1表及び第2表に示す。
Figure 2009263409
Figure 2009263409
Figure 2009263409
<第1〜第3表の脚注>
・DPHA:ルミキュアDPA−600〔大日本インキ化学工業(株)製ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート〕
・B1〔フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン(80/20wt比)ランダム共重合体、平均分子量200,000〕
・B2〔フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン(65/20/15重量比)ランダム共重合体、平均分子量65,000〕
・F−482〔大日本インキ化学工業(株)製パーフルオロアルキル基含表面改質剤、メガファックF−482〕
・光重合開始剤:イルガキュア184〔1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン〕

Claims (9)

  1. 多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)とフッ化ビニリデン系樹脂(B)とを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であり、該フッ化ビニリデン系樹脂(B)の含有量が、多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して0.01〜5重量部含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  2. 前記フッ化ビニリデン系樹脂(B)がフッ化ビニリデンとテトラフロロエチレンの共重合体である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  3. 前記共重合体がフッ化ビニリデンとテトラフロロエチレンとを重量比で50:50〜95:5の範囲で反応させて得られたものである請求項2記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  4. 前記フッ化ビニリデン系樹脂(B)が分子量3,000〜200,000の樹脂である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  5. 前記多官能(メタ)アクリレート系化合物(A)が3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートである請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  6. 前記3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートがウレタン(メタ)アクリレートである請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  7. 前記フッ化ビニリデン系樹脂(B)を(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して0.1〜3重量部含有する請求項1〜6のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有することを特長とする活性エネルギー線硬化型塗料。
  9. 請求項8記載の活性エネルギー線硬化型塗料を用いて得られる硬化塗膜を有していることを特徴とする成形物。
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