JP2006282428A - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 化学強化工程を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、ガラス基板の表層部における圧縮応力の分布が一様となるようにして、ヘッドクラッシュ及びサーマル・アスペリティといった障害を防止しつつ磁気ヘッドの低フライングハイト化を図り高密度情報記録が可能であって、特に、携帯情報機器用の小型の磁気ディスクに適用して好適な磁気ディスク用ガラス基板を提供する。
【解決手段】 化学強化工程において、板状ガラス中のアルカリ金属イオンよりもイオン半径の大きい第1のイオンを含有する化学強化処理液にガラス基板を接触させる第1工程と、2価イオンである第2以降のイオンを含有する処理液に板状ガラスを接触させる第2以降の工程とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気ディスク装置であるハードディスクドライブ(HDD)等に用いられる磁気ディスクを構成する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及びこの磁気ディスク用ガラス基板を用いる磁気ディスクの製造方法に関する。
今日、情報記録技術、特に、磁気記録技術は、いわゆるIT産業の発達に伴って飛躍的な技術革新が要請されている。そして、コンピュータ用ストレージ等として用いられる磁気ディスク装置であるハードディスクドライブ(HDD)に搭載される磁気ディスクにおいては、磁気テープやフレキシブルディスクなどの他の磁気記録媒体と異なり、急速な情報記録密度の増大化が続けられている。そして、パーソナルコンピュータ装置に収納することのできるハードディスクドライブの情報記録容量は、このような磁気ディスクの情報記録密度の増大に支えられて、飛躍的に増加している。
このような磁気ディスクは、アルミニウム系合金基板やガラス基板などの基板上に、磁性層等が成膜されて構成されている。そして、ハードディスクドライブにおいては、高速回転される磁気ディスク上に磁気ヘッドを浮上飛行させながら、この磁気ヘッドにより、情報信号を磁化パターンとして磁性層に記録し、また、再生を行なう。
近年、このような磁気ディスクにおいては、情報記録密度が1平方インチ当り40ギガビットを超えるまでに到っており、さらに、1平方インチ当り100ギガビットを超えるような超高記録密度をも実現されようとしている。このように高い情報記録密度が実現できるようになった近年の磁気ディスクは、従来のフレキシブルディスクなどの磁気ディスクに比較して、ずっと小さなディスク面積であっても、実用上十分な情報量を収納できるという特徴を有している。
また、このような磁気ディスクは、他の情報記録媒体に比較して、情報の記録速度や再生速度(応答速度)が極めて敏速であり、情報の随時書き込み及び読み出しが可能であるという特徴も有している。
このような磁気ディスクの種々の特徴が注目された結果、近年においては、いわゆる携帯電話、デジタルカメラ、携帯情報機器(例えば、PDA(personal digital assistant):パーソナルデジタルアシスタント)、あるいは、カーナビゲーションシステムなどのように、パーソナルコンピュータ装置よりも筐体がずっと小さく、かつ、高い応答速度が求められる携帯用機器に搭載できる小型のハードディスクドライブが求められるようになってきている。
ハードディスクドライブを携帯用機器に搭載すること(いわゆる「モバイル用途」)に対する要求が高まったことに伴い、磁気ディスク用の基板として、硬質材料であるガラスからなるガラス基板が採用されている。ガラス基板は、軟質材料である金属からなる基板に比較して、高強度、かつ、高剛性であるからである。
また、ガラス基板においては、平滑な表面が得られるので、ヘッドクラッシュ及びサーマル・アスペリティといった障害を防止しつつ、磁気ディスク上を浮上飛行しながら記録再生を行う磁気ヘッドの浮上量を狭隘化(低フライングハイト化)することが可能であり、高い情報記録密度の磁気ディスクを得ることができる。
しかしながら、ガラス基板は、脆性材料であるという側面も有している。そのため、従来より、様々なガラス基板の強化方法が提案されている。例えば、特許文献1には、図3に示すように、ガラス基板101を、化学強化層102において300°C程度に加熱した硝酸ナトリウム(NaNO)や硝酸カリウム(KNO)等の硝酸塩溶液中に所定時間浸漬することによって、ガラス基板中の表層部のリチウムイオン(Li)をナトリウムイオン(Na)やカリウムイオン(K)に置換し、あるいは、ガラス基板中の表層部のナトリウムイオン(Na)をカリウムイオン(K)に置換し、両面の表層部に圧縮応力層を形成し、これら圧縮応力層の間を引張応力層とする化学強化処理が記載されている。
また、特許文献2には、化学強化工程後において生ずるいわゆる「ヤケ」を防止する方法が記載されている。
なお、この「ヤケ」とは、一般的には、化学強化を行ったガラス基板の表面に水分が付着し、この水分に空気中の二酸化炭素が混入して炭酸(HCO)が生じた場合、ガラス基板中のナトリウムイオン(Na)と炭酸とが反応して炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどが生じ、これが表面に凸部を形成してしまう現象をいう。
特許文献2には、ガラス基板を硝酸カリウム(KNO)のみからなる溶融塩溶液中に浸漬させた後に、硝酸ナトリウム(NaNO)及び硝酸カリウム(KNO)の混合溶融塩溶液中に浸漬させることによって、ガラス表面へのアルカリ溶出量を抑制し、化学的耐久性の高いガラス基板を得ることが記載されている。
特開2002−121051公報 特開平7−223844号公報
ところで、前述したような化学強化工程においては、ガラス基板101を所定時間に亘って化学強化処理を行う化学強化槽102に浸漬させた後、この化学強化槽102からガラス基板を引き上げた後、洗浄槽103に移動させるまでの間に、ガラス基板101の表面に化学強化処理液が付着していることによって、さらに化学強化が余分に行われてしまうことがある。
このとき、ガラス基板101の表面に付着している化学強化処理液は、図4に示すように、ガラス基板101の表面上においていわゆる「液だれ」を生ずることによって、急激に冷却されて凝固した固体部分104と、液体状のままで流動する部分105とを生ずる。そのため、このような余分な化学強化は、ガラス基板101の表面全体に対して行われるのではなく、図3に示すように、化学強化処理液の流動に応じて筋状の箇所106においてなされる。
すると、ガラス基板101の表層部においては、図5に示すように、余分な化学強化がなされた筋状の箇所106においてのみ、矢印Aで示すように、圧縮応力が増大し、圧縮応力の分布が一様でなくなる。その結果、余分な化学強化がなされた筋状の箇所106の表面部が膨出し、高さが2nm乃至5nm程度の複数の凸部(微小うねり)107が形成されてしまう。
ガラス基板101の表面部にこのような凸部(微小うねり)107が形成されてしまうと、このガラス基板101を用いて構成した磁気ディスクにおいて、磁気ヘッドのフライングハイトに影響が生じ、ヘッドクラッシュなどの障害を生ずる虞れがある。これまでは、この程度の凸部(微小うねり)は問題とならなかったが、低フライングハイト化により、この程度の凸部(微小うねり)が問題となるようになった。
そこで、本発明は、前述のような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、化学強化処理によりガラス基板の両主表面側の表層部分に圧縮応力層を形成するとともにこれら圧縮応力層の間に引張応カ層を形成する化学強化工程を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、ガラス基板の表層部における圧縮応力の分布が一様となるようにして、ヘッドクラッシュ及びサーマル・アスペリティといった障害を防止しつつ磁気ヘッドの低フライングハイト化を図り高密度情報記録が可能であって、特に、携帯情報機器用の小型のハードディスクドライブに用いて好適な磁気ディスクを構成することができる磁気ディスク用ガラス基板を製造できる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することにある。
また、本発明は、このような磁気ディスク用ガラス基板を用いることによって、ヘッドクラッシュ及びサーマル・アスペリティといった障害を防止しつつ磁気ヘッドの低フライングハイト化を図り高密度情報記録が可能であって、特に、携帯情報機器用の小型のハードディスクドライブに用いて好適な磁気ディスクを製造できる磁気ディスクの製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく研究を進めた結果、化学強化工程において、化学強化処理液の条件を適切に設定し制御することにより、前記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の構成のいずれか一を有するものである。
〔構成1〕
本発明は、ガラス基板を化学強化する化学強化工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、化学強化工程は、少なくとも2つの工程を有しており、第1工程においては、ガラス基板に含まれるイオンのイオン半径よりもイオン半径が大きい第1のイオンを含有する化学強化処理液とガラス基板とを接触させて、イオン交換をさせ、第2以降の工程おいては、2価イオンである第2以降のイオンを含有する処理液とガラス基板とを接触させることを特徴とするものである。
〔構成2〕
本発明は、構成1を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、第2以降のイオンは、Pb2+、Cd2+、Zn2+、Hg2+、Ca2+、Sr2+、または、Ba2+のいずれかであることを特徴とするものである。
〔構成3〕
本発明は、構成1、または、構成2を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、ガラス基板の主表面の微小うねりの最大値が、各辺が800μm及び980μmの矩形の測定範囲内において5nm未満であることを特徴とするものである。
〔構成4〕
本発明に係る磁気ディスクの製造方法は、構成1乃至構成3のいずれか一を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とするものである。
本発明による磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、ガラス基板と化学強化処理液とを接触させる化学強化工程の第1工程においては、ガラス基板に含まれるイオンのイオン半径よりもイオン半径が大きい第1のイオンを含有する化学強化処理液とガラス基板とを接触させて、イオン交換をさせ、第2以降の工程おいては、2価イオンである第2以降のイオンを含有する処理液とガラス基板とを接触させるので、第2以降の工程において、ガラス基板の表面部に付着した化学強化処理液による余分な化学強化がなされることが抑制され、凸部(微小うねり)が形成されなくなり、磁気ヘッドの浮上が安定する。
第2以降のイオンは、Pb2+、Cd2+、Zn2+、Hg2+、Ca2+、Sr2+、または、Ba2+のいずれかであることが望ましい。
また、ガラス基板の主表面の微小うねりの最大値は、各辺が800μm及び980μmの矩形の測定範囲内において5nm未満となっていることが望ましい。
したがって、本発明によれば、化学強化工程を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、凸部(微小うねり)が形成されなくなり、ヘッドクラッシュ及びサーマル・アスペリティといった障害を防止しつつ磁気ヘッドの低フライングハイト化を図り高密度情報記録が可能であって、特に、携帯情報機器用の小型のハードディスクドライブに用いて好適な磁気ディスクを構成することができる磁気ディスク用ガラス基板を製造できる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することができるものである。
そして、本発明に係る磁気ディスクの製造方法においては、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって製造された磁気ディスク用ガラス基板を用いるので、ヘッドクラッシュ及びサーマル・アスペリティといった障害を防止しつつ磁気ヘッドの低フライングハイト化を図り高密度情報記録が可能であって、特に、携帯情報機器用の小型のハードディスクドライブに用いて好適な磁気ディスクを製造することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の工程を示すフローチャートである。
〔ラッピング工程〕
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、まず、図1に示すように、板状ガラス1の主表面をラッピング(研削)処理してガラス母材2とし、このガラス母材2を切断してガラス基板3を切り出し、このガラス基板3の主表面に対し、少なくともポリッシング(研磨)処理を行う。
ラッピング処理に供する板状ガラス1としては、様々な形状の板状ガラス1を用いることができる。この板状ガラス1の形状は、矩形状であっても、ディスク状(円盤状)であってもよい。ディスク状の板状ガラス1は、従来の磁気ディスク用ガラス基板の製造において用いられているラッピング装置を用いてラッピング処理を行うことができ、信頼性の高い加工を安価にて行うことができる。
この板状ガラス1のサイズは、製造しようとする磁気ディスク用ガラス基板より大きいサイズである必要がある。例えば、「1インチ型ハードディスクドライブ」、あるいは、それ以下のサイズの小型ハードディスクドライブに搭載する磁気ディスクに用いる磁気ディスク用ガラス基板を製造する場合にあっては、この磁気ディスク用ガラス基板の直径は略々20mm乃至30mm程度であるので、ディスク状の板状ガラス1の直径としては、30mm以上、好ましくは、48mm以上であることが好ましい。直径が65mm以上のディスク状の板状ガラス1を用いれば、1枚の板状ガラス1から、複数の「1インチ型ハードディスクドライブ」に搭載する磁気ディスクに用いる磁気ディスク用ガラス基板を採取することができ、大量生産に好適である。
この板状ガラス1は、例えば、溶融ガラスを材料として、プレス法やフロート法、または、フュージョン法など、公知の製造方法を用いて製造することができる。これらのうち、プレス法を用いれば、板状ガラス1を廉価に製造することができる。
また、板状ガラス1の材料としては、化学強化されるガラスであれば、特に制限は設けないが、アルミノシリケートガラスを好ましく挙げることができる。特に、リチウムを含有するアルミノシリケートガラスが好ましい。このようなアルミノシリケートガラスは、イオン交換型化学強化処理、特に、低温イオン交換型化学強化処理により、好ましい圧縮応力を有する圧縮応力層及び引張応力を有する引張応力層を精密に得ることができるので、磁気ディスク用化学強化ガラス基板3の材料として好ましい。
このようなアルミノシリケートガラスの組成比としては、SiOを、58乃至75重量%、Alを、5乃至23重量%、LiOを、3乃至10重量%、NaOを、4乃至13重量%、主成分として含有することが好ましい。
さらに、アルミノシリケートガラスの組成比としては、SiOを、62乃至75重量%、Alを、5乃至15重量%、LiOを、4乃至10重量%、NaOを、4乃至12重量%、ZnOを、5.5乃至15重量%、主成分として含有するとともに、NaOとZnOとの重量比(NaO/ZnO)が0.5乃至2.0、AlとZnOとの重量比(Al/ZnO)が0.4乃至2.5であることが好ましい。
ラッピング処理(第1ラッピング工程)は、板状ガラス1の主表面の形状精度(例えば、平坦度)や寸法精度(例えば、板厚の精度)を向上させることを目的とする加工である。このラッピング処理は、板状ガラス1の主表面に、砥石、あるいは、定盤を押圧させ、これら板状ガラス1及び砥石または定盤を相対的に移動させることにより、板状ガラス1の主表面を研削することにより行われる。このようなラッピング処理は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置を用いて行うことができる。
ラッピング処理において用いる砥石としては、ダイヤモンド砥石を用いることができる。また、遊離砥粒としては、アルミナ砥粒やジルコニア砥粒、または、炭化珪素砥粒などの硬質砥粒を用いるとよい。
このラッピング処理により、板状ガラス1の形状精度が向上し、主表面の形状が平坦化されるとともに板厚が所定の値となるまで削減されたガラス母材2が形成される。ガラス母材2の主表面がラッピング処理により平坦となされ、また、板厚が削減されていることにより、このガラス母材2を切断して、このガラス母材2からガラス基板3を切り出すことができる。すなわち、ガラス母材2からガラス基板3を切り出すときに、欠け、ひび、割れといった欠陥が発生することを防止することができる。
〔端面ポリッシング工程〕
ガラス基板3の端面の鏡面研磨(端面ポリッシング工程)をしておくことが好ましい。ガラス基板3の端面は切断形状となっているので、この端面を鏡面にポリッシングしておくことにより、端面からのパーティクルの発生を抑制することができ、この磁気ディスク用ガラス基板を用いて製造された磁気ディスクにおいて、いわゆるサーマルアスペリティ障害を良好に防止することができるからである。また、端面が鏡面であれば、微小クラックによる遅れ破壊を防止できる。端面の鏡面状態としては、算術平均粗さ(Ra)で100nm以下の鏡面が好ましい。
〔第2ラッピング工程〕
後述するガラス基板3のポリッシング工程の前に、ラッピング処理(第2ラッピング工程)をしておくことが好ましい。このときのラッピング処理は、前述した板状ガラス1に対するラッピング処理と同様の手段により行うことができる。ガラス基板3をラッピング処理してからポリッシング処理を行うことにより、より短時間で、鏡面化された主表面を得ることができる。
〔ポリッシング工程〕
ガラス母材2から切り出されたガラス基板3に対してポリッシング処理を施し、ガラス基板3の主表面を鏡面化する。
このポリッシング処理を施すことにより、ガラス基板3の主表面のクラックが除去され、主表面の微小うねりは、例えば、最大値で5nm以下となされる。この微小うねりの最大値は、フェイズシフトテクノロジー(PHASE SHIFT TECHNOLOGY)社製「MicroXAM」を用いて、非接触レーザ干渉法により、波長4μm乃至1mmの周波数のうねりを測定した場合の最大値である。測定範囲は、各辺が800μm及び980μmの矩形(800μm×980μm)の範囲内である。
ガラス基板3の主表面がこのような鏡面となっていれば、このガラス基板3を用いて製造される磁気ディスクにおいて、磁気ヘッドの浮上量が、例えば、10nmである場合であっても、いわゆるクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害の発生を防止することができる。また、ガラス基板3の主表面がこのような鏡面となっていれば、後述する化学強化処理において、ガラス基板3の微細領域において均一に化学強化処理を施すことができ、また、微小クラックによる遅れ破壊を防ぐことができる。
このポリッシング処理は、例えば、ガラス基板3の主表面に、研磨布(例えば、研磨パッド)が貼り付けられた定盤を押圧させ、ガラス基板3の主表面に研磨液を供給しながら、これらガラス基板3及び定盤を相対的に移動させ、ガラス基板3の主表面を研磨することにより行われる。このとき、研磨液には、研磨砥粒を含有させておくとよい。研磨砥粒としては、コロイダルシリカ研磨砥粒を用いることができる。研磨砥粒としては、平均砥粒が10nm乃至200nmの砥粒を用いるとよい。
また、別のポリッシング処理としては、例えば、ガラス基板3の主表面にテープ状の研磨布(例えば、研磨テープ)を押し付け、ガラス基板3の主表面に研磨液を供給しながら、これらガラス基板3及び研磨布を相対的に移動させ、ガラス基板3の主表面を研磨するテープ研磨方法を用いてもよい。このとき、研磨液には、研磨砥粒を含有させておくとよい。研磨砥粒としては、ダイヤモンド研磨砥粒を用いることができる。研磨砥粒としては、平均粒径が10nm乃至200nmの砥粒を用いるとよい。
研磨パッド、あるいは、研磨テープの研磨面は、ポリウレタン、ポリエステルなどの樹脂材料とすることが好ましい。研磨パッドであれば、研磨面を発泡樹脂(例えば、発泡ポリウレタン)、研磨テープであれぱ、研磨面を樹脂繊維(例えば、ポリエステル樹脂繊維)とすることが好適である。
〔化学強化工程〕
ガラス基板3のポリッシング工程の前及び/又は後の化学強化工程において、化学強化処理を施す。化学強化処理を行うことにより、磁気ディスク用ガラス基板の表面に高い圧縮応力を生じさせることができ、耐衝撃性を向上させることができる。特に、ガラス基板3の材料としてアルミノシリケートガラスを用いている場合には、好適に化学強化処理を行うことができる。
本発明における化学強化工程としては、それぞれにおいて化学強化処理液とガラス基板3とを接触させる少なくとも2つの工程を有している。この化学強化工程は、それぞれにおいて化学強化処理液中にガラス基板3を浸漬させる少なくとも2槽の化学強化槽を用いて行うことができる。
(第1工程)
図2は、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法における化学強化工程を示す側面図である。
ガラス基板3と化学強化処理液とを始めに接触させる第1工程においては、ガラス基板3に含まれるイオンのイオン半径よりもイオン半径が大きい第1のイオンを含有する第1の処理液(化学強化処理液)とガラス基板3とを接触させて、イオン交換をさせる。この化学強化工程を少なくとも2槽の処理槽を用いて行う場合には、図2に示すように、この第1工程は、第1の処理槽(化学強化槽)4を用いて行われ、ガラス基板33は、このガラス基板3に含まれるイオンのイオン半径よりもイオン半径が大きい第1のイオンを含有する第1の処理液(化学強化処理液)中に浸漬される。
この化学強化工程の第1工程は、化学強化処理方法として公知のものと同等であり、第1の処理液(化学強化処理液)としては、加熱した化学強化溶融塩を用いることができる。イオン交換法としては、低温型イオン交換法、高温型イオン交換法、表面結晶化法、ガラス表面の脱アルカリ法などが知られているが、この第1工程においては、ガラスの徐冷点を超えない温度領域でイオン交換を行う低温型イオン交換法を用いることが好ましい。
なお、ここでいう低温型イオン交換法は、ガラスの徐冷点以下の温度領域において、ガラス中のアルカリ金属イオンをこのアルカリ金属イオンよりもイオン半径の大きいアルカリ金属イオンと置換し、イオン交換部の容積増加によってガラス表層に圧縮応力を発生させ、ガラス表層を強化する方法のことをさす。
なお、化学強化処理を行なうときの溶融塩の加熱温度は、イオン交換が良好に行われるという観点等から、280°C乃至660°C、特に、300°C乃至400°Cであることが好ましい。ガラス基板3を溶融塩に接触させる時間は、数時間乃至数十時間とすることが好ましい。
なお、ガラス基板3を溶融塩に接触させる前に、予備加熱として、ガラス基板3を100°C乃至300°Cに加熱しておくことが好ましい。
化学強化工程を行うための化学強化槽の材料としては、耐食性に優れるとともに、低発塵性の材料であれば、特に限定されない。化学強化塩や化学強化溶融塩は酸化性があり、かつ、処理温度が高温なので、耐食性に優れた材料を選定することにより、損傷や発塵を抑制し、もって、サーマルアスペリティ障害や、ヘッドクラッシュを抑制する必要がある。この観点からは、化学強化槽の材料としては、石英材が特に好ましいが、ステンレス材や、特に耐食性に優れるマルテンサイト系、または、オーステナイト系ステンレス材も用いることができる。なお、石英材は、耐食性に優れるが、高価なので、採算性を考慮して、適宜選択することができる。
第1の処理液(化学強化処理液)としては、アルカリ金属元素を含有する硝酸塩、例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸リチウムなどを含有する硝酸塩を用いることが好適である。なお、硝酸塩に含有されるリチウム元素は、0ppm〜2000ppmとすることが好適である。このような化学強化塩は、ガラス、特に、リチウム元素を含むアルミノシリケートガラスを化学強化処理したときに、磁気ディスク用ガラス基板としての所定の剛性及び耐衝撃性を実現することができるからである。第1工程での化学強化溶融塩中に含有されるリチウムイオンが多すぎると、イオン交換が阻害されてしまう結果、本発明で得ようとする引張応カや圧縮応カを得ることが困難になる場合がある。
(第2以降の工程)
化学強化工程の第2工程は、前述した第1工程に続いて、ガラス基板3と第2の処理液とを接触させる。この第2の工程おいては、2価イオンである第2のイオンを含有する第2の処理液とガラス基板とを接触させる。
なお、第2のイオンは、第1工程において、第1の処理液(化学強化処理液)中に存在していてもよく、この場合には、第2工程における第2の処理液中での第2のイオンの割合は、第1工程における第1の処理液(化学強化処理液)中での第2のイオンの割合よりも高くする。また、第1工程における第1の処理液(化学強化処理液)とガラス基板3とを接触させる時間は、第2の工程における第2の処理液とガラス基板3とを接触させる時間よりも長いようにする。
この第2工程は、第2の処理槽5を用いて行われ、ガラス基板3は、第1の処理槽(化学強化槽)4から引き上げられ、第2の処理槽5において第2の処理液中に浸漬される。
この第2の工程おいては、2価イオンである第2のイオンを含有する第2の処理液、あるいは、第1工程における第1の処理液(化学強化処理液)中での第2のイオンの割合よりも高い割合で第2のイオンが存在する第2の処理液とガラス基板3とを接触させる。
したがって、ガラス基板3が第1の処理槽(化学強化槽)4から引き上げられたときに、このガラス基板3の表面部に、第1の処理液(化学強化処理液)が付着していたとしても、第2の処理槽5で第2の処理液に接触させられるため、この第1の処理液(化学強化処理液)によって余分な化学強化が行われることを防止できる。
ガラス基板3の表面に付着している第1の処理液(化学強化処理液)は、ガラス基板3の表面上においていわゆる「液だれ」を生ずることによって、急激に冷却されて凝固した固体部分と、液体状のままで流動する部分とを生じている虞れがある。しかし、本発明においては、第1の処理槽(化学強化槽)4の後すぐに第2の処理槽5で第2の処理液に接触させられるため、第1の処理液(化学強化処理液)による余分な化学強化が防止され、ガラス基板3の表層部において、圧縮応力の分布が一様のまま保たれる。その結果、ガラス基板3の表面部は、平坦な状態に維持される。
ガラス基板3の表面部が平坦な状態に維持されることにより、このガラス基板3を用いて構成した磁気ディスクにおいて、磁気ヘッドのフライングハイトが良好に維持され、ヘッドクラッシュなどの障害が防止される。また、小型のハードディスクドライブに搭載するために薄型化したガラス基板3においても、表層部の圧縮応力の分布が一様であることにより、反りを生ずることが防止される。
このような第2の工程を実行することができる第2の処理液に含有される2価イオンとしては、Pb2+、Cd2+、Zn2+、Hg2+、Ca2+、Sr2+、または、Ba2+のいずれかであることが望ましい。
なお、第2工程以降に、この第2工程と同様の工程を、第3工程、第4工程・・・と繰返し行ってもよい。これら第3以降の工程においては、第3以降の処理槽を用いて、第3以降の処理液にガラス基板3を浸漬させることにより、これら第3以降の処理液とガラス基板3とを接触させる。第3以降の処理液には、第3以降のイオンが含有されている。この第3以降のイオンは、第2のイオンと同様に、2価イオンである。また、この第3以降のイオンは、第1工程において、第1の処理液(化学強化処理液)中に存在していてもよく、この場合には、第3以降の工程における処理液中での第3以降のイオンの割合は、第1工程における第1の処理液(化学強化処理液)中での第3以降のイオンの割合よりも高くする。また、第1工程における第1の処理液(化学強化処理液)とガラス基板3とを接触させる時間は、第3以降の工程における処理液とガラス基板3とを接触させる時間よりも長いようにする。
そして、上述のような化学強化工程を完了した後のガラス基板3は、図1に示すように、冷却、洗浄工程等を経て、製品(磁気ディスク用ガラス基板)となされる。
前述のようにして製造される本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板は、ディスク厚が0.5mm未満、特に、ディスク厚が0.1mm乃至0.4mmの薄型磁気ディスク用ガラス基板として特に好適である。また、この磁気ディスク用ガラス基板は、ディスクの直径(外径)が30mm以下の小型磁気ディスク用ガラス基板として特に好適である。このような薄型、小型磁気ディスクは、「1インチ型ハードディスクドライブ」、または、「1インチ型ハードディスクドライブ」よりも小型のハードディスクドライブに搭戴されるからである。すなわち、この磁気ディスク用ガラス基板は、「1インチ型ハードディスクドライブ」、または、「1インチ型ハードディスクドライブ」よりも小型のハードディスクドライブに搭戴される磁気ディスク用ガラス基板として好適である。
なお、「1インチ型ハードディスクドライブ」に搭載する磁気ディスクを製造するための磁気ディスク用ガラス基板の直径は、約27.4mm、ディスク厚は、0.381mmである。また、「0.85インチ型ハードディスクドライブ」に搭載する磁気ディスクを製造するための磁気ディスク用ガラス基板の直径は、約21.6mmである。
〔磁性層の成膜〕
本発明に係る磁気ディスクの製造方法において、上述のようにして製造された磁気ディスク用ガラス基板上に形成される磁性層としては、例えば、コバルト(Co)系強磁性材料からなるものを用いることができる。特に、高い保磁力が得られるコバルト−プラチナ(Co−Pt)系強磁性材料や、コバルト−クロム(Co−Cr)系強磁性材料からなる磁性層として形成することが好ましい。なお、磁性層の形成方法としては、DCマグネトロンスパッタリング法を用いることができる。
また、ガラス基板と磁性層との間に、適宜、下地層等を介挿させることが好ましい。これら下地層の材料としてはAl−Ru系合金や、Cr系合金などを用いることができる。
また、磁性層上には、磁気ヘッドの衝撃から磁気ディスクを防護するための保護層を設けることができる。この保護層としては、硬質な水素化炭素保護層を好ましく用いることができる。
さらに、この保護層上に、PFPE(パーフルオロポリエーテル)化合物からなる潤滑層を形成することにより、磁気ヘッドと磁気ディスクとの干渉を緩和することができる。この潤滑層は、例えば、ディップ法により、塗布成膜することにより形成することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、具体的に説明する。なお、本発明は、これら実施例の構成に限定されるものではない。
〔実施例1(磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の実施例)〕
以下に述べる本実施例における磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、以下の(1)乃至(7)の工程からなる。
(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)
(2)形状加工工程
(3)精ラッピング工程(精研削工程)
(4)端面鏡面加工(ポリッシング)工程
(5)第1研磨(ポリッシング)工程
(6)第2研磨(ポリッシング)工程
(7)化学強化工程(第1工程)
(8)化学強化工程(第2工程)
(9)洗浄工程
まず、アモルファスのアルミノシリケートガラスからなるディスク状のガラス母材を用意した。このアルミノシリケートガラスは、リチウムを含有している。このアルミノシリケートガラスの組成は、SiOを、63.6重量%、Alを、14.2重量%、NaOを、10.4重量%、LiOを、5.4重量%、ZnOを、6.0重量%、Sbを、0.4重量%含むものである。
(1)粗ラッピング工程
溶融させたアルミノシリケートガラスから形成した厚さ0.6mmのシートガラスをガラス母材として用いて、このシートガラスから、研削砥石により、直径28.7mm、厚さ0.6mmの円盤状のガラス基板を得る。
このシートガラスの材料であるアルミノシリケートガラスとしては、SiOを、58乃至75重量%、Alを、5乃至23重量%、NaOを、4乃至13重量%、LiOを、3乃至10重量%、含有するものであればよい。
次に、ガラス基板に対し、寸法精度及び形状精度の向上のために、ラッピング工程を施す。このラッピング工程は、両面ラッピング装置を用いて、粒度#400の砥粒を用いて行う。
具体的には、始めに粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷量を100kg程度に設定して、サンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を、面精度0乃至1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングする。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いて、ガラス基板の中央部分に直径6.1mmの孔を形成するとともに、外周端面の研削をして、直径を27.43mmとした後、外周端面及び内周端面に所定の面取り加工を施す。このときのガラス基板の端面の表面粗さは、Rmaxで4μm程度にする。
(3)精ラッピング工程
次に、砥粒の粒度を#1000に替え、ガラス基板の主表面をラッピングすることにより、主表面の表面粗さを、Rmaxで2μm程度、算術平均粗さ(Ra)で0.2μm程度とする。
この精ラッピング工程を行うことにより、前工程である粗ラッピング工程や形状加工工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を低減させる。
このような精ラッピング工程を終えたガラス基板を、超音波を印加した中性洗剤及び水の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄を行う。
(4)端面鏡面加工(ポリッシング)工程
次いで、ガラス基板の端面について、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながら、ガラス基板の端面(内周端面及び外周端面)の表面の粗さを、算術平均粗さ(Ra)で40nm程度に研磨する。
そして、端面鏡面加工を終えたガラス基板の主表面を水洗浄する。
なお、この端面鏡面加工(ポリッシング)工程においては、ガラス基板を重ね合わせて端面をポリッシングするが、この際に、ガラス基板の主表面にキズ等が付くことを避けるため、後述する第1研磨(ポリッシング)工程よりも前、あるいは、第2研磨(ポリッシング)工程の前後に行うことが好ましい。
この端面鏡面加工(ポリッシング)工程により、ガラス基板の端面は、パーティクル等の発塵を防止できるような鏡面状態に加工する。
(5)第1研磨(ポリッシング)工程
次に、前述した精ラッピング工程において残留した傷や歪みを除去するため、両面研磨装置を用いて、第1研磨(ポリッシング)工程を行う。
研磨パッドとして発泡ポリウレタンを用いて、第1研磨(ポリッシング)工程を実施する。研磨条件は、酸化セリウム及びRO水からなる研磨液を用いる。この第1研磨(ポリッシング)工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬させて、超音波洗浄し、乾燥させる。
(6)第2研磨(ポリッシング)工程
次に、第1研磨工程で使用した両面研磨装置と同様の両面研磨装置を用いて、ポリッシャを軟質研磨パッド(発泡ポリウレタン)に替えて、主表面の鏡面研磨工程として、第2研磨(ポリッシング)工程を実施する。
第2研磨(ポリッシング)工程は、前述した第1研磨(ポリッシング)工程により得られた平坦な主表面を維持しつつ、クラックを確実に除去し、この主表面の表面粗さ算術平均粗さ(Ra)を、例えば、0.4乃至0.1nm程度まで低減させた鏡面とすることを目的とするものである。
研磨液は、コロイダルシリカ研磨砥粒(平均粒径80nm)及びRO水からなる研磨液を用い、荷重を100g/cm、研磨時間を5分とする。
この第2研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬させて、超音波洗浄し、乾燥させる。
(7)化学強化工程(第1工程)
次に、洗浄を終えたガラス基板に対し、化学強化処理を施す。化学強化処理は、第1工程として、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムと硝酸リチウムとを混合させた化学強化塩を溶融させた化学強化溶融塩を第1の処理液(化学強化処理液)として用いて行う。
この第1の処理液(化学強化処理液)を、340°C乃至380°Cに加熱し、洗浄及び乾燥を終えたガラス基板を、約2時間乃至4時間、第1の処理槽(化学強化槽)4において浸漬して、化学強化処理を行う。この浸漬の際には、磁気ディスク用ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数の磁気ディスク用ガラス基板が端面で保持されるように、ホルダーに収納した状態で行う。
(8)化学強化工程(第2工程)
次に、化学強化工程の第1工程を終えたガラス基板に対し、化学強化工程の第2工程を施す。化学強化処理の第2工程は、第2のイオンである2価イオンとしてPb2+、Cd2+、Zn2+、Hg2+、Ca2+、Sr2+、または、Ba2+をそれぞれ含む処理液を第2の処理液として用いて行う。
この第2の処理液を、第2の処理槽において340°C乃至380°Cに加熱しておき、第1工程を終えて第1の処理槽(化学強化槽)4から引き上げたガラス基板を、直ちに第2の処理槽において第2の処理液に浸漬させる。
(9)洗浄工程
化学強化工程を終えた磁気ディスク用ガラス基板を、20°Cの水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持する。
急冷を終えた磁気ディスク用ガラス基板を、約40°Cに加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行う。さらに、硫酸洗浄を終えた磁気ディスク用ガラス基板を、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬させて、超音波洗浄し、乾燥させる。
次に、洗浄を終えた磁気ディスク用ガラス基板の主表面について、目視検査を行い、さらに、光の反射、散乱及び透過を利用した精密検査を実施する。
このような工程を経て得られた磁気ディスク用ガラス基板の主表面の微小うねりは、2.5nmとなされ、超平滑な鏡面となっていることが確認された。この微小うねりの最大値は、フェイズシフトテクノロジー(PHASE SHIFT TECHNOLOGY)社製「MicroXAM」を用いて、非接触レーザ干渉法により、波長4μm乃至1mmの周波数のうねりを測定した場合の最大値である。測定範囲は、各辺が800μm及び980μmの矩形(800μm×980μm)の範囲内である。
得られた磁気ディスク用ガラス基板の主表画を精密に電子顕微鏡を用いて分析したが、クラックや凸部(微小うねり)などは存在しない良好な鏡面であることが確認された。コロイダルシリカ研磨砥粒(平均粒径80nm)を用いて主表面の鏡面研磨を行うことで、Raで0.30nmの平滑な鏡面に仕上げることができた。
主表面がRaで0.1nm乃至0.4nm程度であるクラックが除去された鏡面となされることにより、化学強化ガラスの遅れ破壊を、より確実に防止できる。
また、磁気ディスク用ガラス基板の表面に異物やサーマルアスペリティの原因となるパーティクルは認められず、円孔の内周側端面にも異物やクラックは認められなかった。
〔実施例2(磁気ディスクの製造方法の実施例)〕
次に、以下の工程を経て、磁気ディスクを製造した。
前述の工程により得られる磁気ディスク用ガラス基板の両主表面に、静止対向型のDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、Al−Ru合金のシード層、Cr−W合金の下地層、Co−Cr−Pt−Ta合金の磁性層、水素化炭素保護層を順次成膜する。シード層は、磁性層の磁性グレインを微細化させる作用を奏し、下触層は、磁性層の磁化容易軸を面内方向に配向きせる作用を奏する。
この磁気ディスクは、非磁性基板である磁気ディスク用ガラス基板と、この磁気ディスク用ガラス基板上に形成された磁性層と、この磁性層上に形成された保護層と、この保護層上に形成された潤滑層とを少なくとも備えて構成される。
磁気ディスク用ガラス基板と磁性層との間には、シード層及び下地層からなる非磁性金属層(非磁性下地層)が形成されている。この磁気ディスクにおいて、磁性層以外は、全て非磁性体からなる層である。この実施例においては、磁性層及び保護層、保護層及び潤滑層は、それぞれ接した状態で形成されている。
すなわち、まず、スパッタリングターゲットとして、Al−Ru(アルミニウム−ルテニウム)合金(Al:50at%、Ru:50at%)を用いて、磁気ディスク用ガラス基板上に、膜厚30nmのAl−Ru合金からなるシード層をスパッタリングにより成膜する。次に、スパッタリングターゲットとして、Cr−W(クロム−タングステン)合金(Cr:80at%、W:20at%)を用いて、シード層5上に、膜厚20nmのCr−W合金からなる下地層をスパッタリングにより成膜した。次いで、スパッタリングターゲットとして、Co−Cr−Pt−Ta(コバルト−クロム−プラチナ−タンタル)合金(Cr:20at%、Pt:12at%、Ta:5at%、残部Co)からなるスパッタリングターゲットを用いて、下地層上に、膜厚15nmのCo−Cr−Pt−Ta合金からなる磁性層をスパッタリングにより形成する。
次に、磁性層上に水素化炭素からなる保護層を形成し、さらに、PFPE(パーフルオロポリエーテル)からなる潤滑層をディップ法で成膜する。保護層は、磁気ヘッドの衝撃から磁性層を保護する作用を奏する。
このようにして得られた磁気ディスクを用い、浮上量が10nmのグライドヘッドによりグライド検査を行ったところ、衝突する異物等は検出されず、安定した浮上状態を維持することができた。また、この磁気ディスクを用いて、700kFCIで記録再生試験を行ったところ、十分な信号強度比(S/N比)を得ることができた。また、信号のエラーは確認されなかった。
さらに、1平方インチ当り60ギガビット以上の情報記録密度を必要とする「1インチ型ハードディスクドライブ」に搭載して駆動させたところ、特に問題なく記録再生を行うことができた。すなわち、クラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害は発生しなかった。
なお、本発明においては、磁気ディスク用ガラス基板の直径(サイズ)については、特に限定されるものではない。しかし、本発明は、特に、小径の磁気ディスク用ガラス基板を製造する場合に優れた有用性を発揮する。ここでいう小径とは、例えば、直径が30mm以下の磁気ディスク用ガラス基板である。
すなわち、例えば、直径が30mm以下の小径の磁気ディスクは、いわゆるカーナビゲーションシステムなどの車載用機器や、いわゆるPDAや携帯電話端末装置などの携帯用機器における記憶装置において用いられ、固定されて使用される機器における通常の磁気ディスクに比較して、高い耐久性や耐衝撃性が要求されるからである。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の工程を示すフローチャートである。 本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法における化学強化工程を示す側面図である。 従来の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法における化学強化工程を示す側面図である。 従来の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法における化学強化工程を終了した後のガラス基板の表面部の状態を示す斜視図である。 従来の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法における化学強化工程を終了した後に生ずる現象を説明する斜視図である。
符号の説明
1 板状ガラス
2 ガラス母材
3 ガラス基板
4 第1の処理槽
5 第2の処理槽

Claims (4)

  1. ガラス基板を化学強化する化学強化工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、
    前記化学強化工程は、少なくとも2つの工程を有しており、
    第1工程においては、前記ガラス基板に含まれるイオンのイオン半径よりもイオン半径が大きい第1のイオンを含有する化学強化処理液とガラス基板とを接触させて、イオン交換をさせ、
    第2以降の工程おいては、2価イオンである第2以降のイオンを含有する処理液とガラス基板とを接触させる
    ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記第2以降のイオンは、Pb2+、Cd2+、Zn2+、Hg2+、Ca2+、Sr2+、または、Ba2+のいずれかである
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記ガラス基板の主表面の微小うねりの最大値は、各辺が800μm及び980μmの矩形の測定範囲内において、5nm未満である
    ことを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成する
    ことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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