JP2006270025A - 太陽電池用熱可塑性樹脂シートおよび太陽電池 - Google Patents
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Abstract
本発明は、安価で優れた耐加水分解性、界面剥離防止性、を改善し、更に、隠蔽性を向上することによって太陽電池の電換効率を向上させる太陽電池用熱可塑性樹脂シートおよびそれを用いた太陽電池を提供することを目的とするものである。
【解決手段】
数平均分子量が18500〜40000であって、層全体に対して二酸化チタンを5〜40重量%含有する熱可塑性樹脂層を有する太陽電池用熱可塑性樹脂シートであって、熱可塑性樹脂シートの波長300〜350nmの光線透過率が0.005〜10%、相対反射率が80%以上105%以下、みかけ密度が1.37〜1.65g/cm3、光学濃度が0.55〜3.50である太陽電池用熱可塑性樹脂シート。
【選択図】 図1
Description
屋外で用いる太陽電池モジュールの場合、機械的強度や環境雰囲気下で劣化し難い耐環境性能を高めて信頼性を確保するため、太陽電池を強化ガラス板や金属基板上に合成樹脂を用いて封入する構造が一般的に用いられている。より具体的にラミネート方法によるモジュール構造を説明すると、強化ガラス板上にエチレン−ビニルアセテート共重合体(以下「EVA」という)シート/太陽電池/EVAシート/アルミニウム箔をフッ化ビニルシートで挟んで構成したシート(以下「アルミ−フッ素複合シート」という)をこの順に積層して加熱圧着した構造のものが用いられている。
また、各メーカーで反射光を電気変換する効率を向上する目的で白色に着色した2軸ポリエステルフィルムや装飾目的に黒色に着色したポリエステルフィルムやフッ素系フィルムを裏面封止フィルムに用いた太陽電池が販売されている。
すなわち、
(1)数平均分子量が18500〜40000であって、層全体に対して二酸化チタンを5〜40重量%含有する熱可塑性樹脂層を有する太陽電池用熱可塑性樹脂シートであって、熱可塑性樹脂シートの波長300〜350nmの光線透過率が0.005〜10%、相対反射率が80%以上105%以下、みかけ密度が1.37〜1.65g/cm3、光学濃度が0.55〜3.50である太陽電池用熱可塑性樹脂シート、
(2)熱可塑性樹脂シートの全光線透過率が、0.005〜25%であることを特徴とする(1)に記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シート、
(3)請求項1に記載の熱可塑性樹脂層の厚みがシート全体の厚みの7〜100%である(1)または(2)に記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シート、
(4)温度85℃、湿度85%の環境下において3000時間エージング前後の伸度保持率が40〜100%である(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シート、
(5)温度140℃の環境下において15時間エージング前後の伸度保持率が40〜100%である(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シート、
(6)少なくとも、(1)〜(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートと、ガスおよび水蒸気バリア層とを積層したことを特徴とする太陽電池用熱可塑性樹脂シート積層品、
(7)JIS−K−7129に準じた水蒸気透過率測定において、温度40℃、湿度90%RHにおいて、100μm換算の水蒸気透過率が0.5g/(m2・24hr)であることを特徴とする(6)に記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シート積層品、
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シートまたは太陽電池用熱可塑性樹脂シート積層品であって、太陽電池の裏面封止材に使用される太陽電池裏面保護シート、
(9)(8)に記載の太陽電池裏面保護シートを用いた太陽電池モジュール、
である。
本発明の太陽電池用熱可塑性樹脂シートとは、上記のポリマーを溶融成形して得られた未延伸、無配向シートを、2軸に延伸して、熱処理してなるシートをいう。該シートの厚さは、太陽電池用裏面封止シートとしての適正な腰の強さ、加工性、太陽電池の軽量性の点から、20〜350ミクロンの範囲が好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂層とは、上記ポリマで構成された単一層のことであり、熱可塑性樹脂シートは、該フィルム層で構成された、多層または、単層の組成物のことを指す。
<物性および評価方法、評価基準>
(1)数平均分子量(Mn)
室温(23℃)でゲル浸透クロマトグラフ GCP−244(WATERS社製)を使用し、カラムにShodex HFIP 80M (昭和電工(株)製)を2本使用し、該太陽電池用熱可塑性樹脂シートの測定を実施する前に分子量校正をPET−DMT(標準品)を用いて実施した。溶出容積(V)及び分子量(M)を用いて3次の近似式(i)の係数(A1)を計算して作図する。
校正・作図を終了した後、溶媒にヘキサフルオロプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ソーダ)に該太陽電池用熱可塑性樹脂シートのサンプルを0.06%となるように溶解させた。クロマトグラフへのインジェクション量は0.300mlであり、流速は0.5ml/minで実施した。検出器は、R−401型示差屈折率器(WATERS)を用い、下記式により数平均分子量を算出した。
モル分率;Ni、各保持容量(Vi)に相当する分子量(Mi)
複合または単体のフィルムをサンプリングして測定した。なお、複合フィルムは、顕微鏡観察しながら該当フィルムを研磨してサンプリングした。
色差計(日本電色製:ND−300A)で下記数値を測定
白色度(W)=100[(100−L)2+a2+b2]1/2
L:明度、a:彩度、b:色相
(3)光学濃度(厚み換算値:F)
光学濃度計(マクベス製:TR−524)で透過光束を測定し、下記式で算出した。
光源:可視光線
分光組成:色温度 3006°Kのタングステン電球
測定環境:温度23℃±3℃、湿度65±10%RH
計算式:光学濃度=log10(F0/F)
F:試料の透過光束、F0 :試料無しの透過光束。
電磁式はかり(研精工業(株)製SD−120L)で測定した。
85℃−85%RHの雰囲気にフィルムをエージングし、ASTM−D61Tによりシートの破断伸度を測定し、エージングなしの破断伸度を100%にしたときの比(保持率)で比較し下記の基準で判定した。
エージング時間:0hr(100%)、3000hr
◎:保持率が50〜60%以上
○:保持率が50〜60%未満
△:保持率が40〜50%未満
×:保持率が40%未満。
促進試験器アイスーパーUWテスターを用い、下記サイクルを5サイクル行い、上記と同様に伸度保持率を求めて上記と同様の基準で評価した。
1サイクル:温度60℃、湿度50%RHの雰囲気で8時間紫外線照射した後、結露状態(温度35℃、湿度100RH)に4時間エージング
紫外線照射強度:100mW/cm2
○:b値上昇率(5以下)
△:b値上昇率(5〜25)
×:b値上昇率(25以上)。
スガ試験器製ヘイズメーターHGM−2DPを使用して、JIS−K−7105に準じて測定した。
日立製分光光度計U−3310を用い、標準白色板用開口部と試験片開口部ともに標準白色板として酸化アルミナを用いて560nmで試験片開口部の傾斜角度を10°付けて拡散反射率を測定し(T0)とし、そのときの反射率を100%とした。その後、試験片開口部を試験片に取り替え560nmで拡散反射率を測定した。その後、下記式により、相対反射率(R)に換算した。
T0:標準白色板の反射率
T1:試験片の反射率。
日立分光光度計U−3310を用い、標準白色板用開口部と試験片開口部ともに標準白色板として酸化アルミナを用いて300〜350nmで試験片開口部の傾斜角度を10°付けて試料のない状態の透過率を測定し(A0)とし、そのときの透過率を100%とした。その後、入射光前面に、該サンプルを配置し、300〜350nmの透過率(A1)を波長5nmおきに測定値を取り、測定値の平均値をUV透過率T(%)とした。
A0:試料なしでの透過率
A1:試験片の透過率。
JIS K7129に準じて水蒸気透過率を測定した。測定条件は24時間、温度40℃、90%RHとし、m2換算した。(厚みは、0.1mm換算)。
140℃の雰囲気にフィルムをエージングし、ASTM−D61Tによりフィルムの破断伸度を測定し、エージングなしの破断伸度を100%とし、エージング後の伸度との比(保持率)を計算した。そして、下記の基準で判定した。
△:保持率が30〜40%未満
×:保持率が30%未満。
1m角の太陽電池裏面封止フィルムを作製し、太陽電池システムへの組み込み性を考慮した腰の強さを下記基準で判定した。
JIS C2151に準じて誘電率を測定した。
全体の厚みをJIS C2151に準じて測定し、積層断面をミクロトームで厚み方向に断面を切る前処理をしたのち、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用い、厚み断面を全体像が写る倍率(×1000)で撮像し、その断面写真の厚み比率を断面写真から採寸した結果から複合比率を算出した。
ジメチルテレフタレート100部(重量部:以下単に部という)にエチレングリコール64部を混合し、さらに触媒として酢酸亜鉛を0.1部および三酸化アンチモン0.03部を添加し、エチレングリコールの環流温度でエステル交換を実施した。
の温度で5時間重合を行った。得られたポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.55であった。該ポリマーを長さ4mmのチップ状に切断した、これをPET−1とする。このPET−1を温度220℃、真空度0.5mmHgの条件の回転式の真空装置(ロータリーバキュームドライヤー)に入れ、20時間撹拌しながら加熱した。得られたPETの固有粘度は、0.63であった。このポリマーに酸化チタンをベースポリエステルに対して14重量%、蛍光増白剤0.03%添加したものをPET−2とする。
上記、接着剤は主剤10重量部に対し硬化剤1重量部の割合で配合し、酢酸エチルで30重量%に調整し、スパッタリングフィルムの非スパッタリング面にグラビアロール法で溶剤乾燥後の塗布厚みが5μm厚みになるように塗布した。乾燥温度は、100℃とした。また、積層の条件はロールラミネーターで60℃の温度で1kg/cm2の圧力で行い、硬化条件は60℃で3日間とした。
固有粘度を0.55とする以外は実施例1と同様の方法で得られた上記、ポリマー(PET−2)固有粘度0.55のシート−1を実施例1と同様の方法で積層したものを積層品−1とする。
実施例1〜4の方法及び複合構成ではありながら、PET−1層へPET−2層と同様の熱可塑性樹脂を押し出し、実質的に単層構造とした。単層への酸化チタンの添加量を5重量%のものをシート7(実施例5)、14重量%のものをシート8(実施例6)、40重量%のものをシート9(実施例7)として、3種類の複合フィルムを作製し、各シートの片面に実施例1〜4と同様にして酸化珪素スパッタリングフィルムを積層し、その積層品を積層品―7〜9とした。その他の部分については、実施例1〜4と同様とした。
実施例5と粒子濃度が異なる他、条件は同様とした。比較例2では、粒子濃度を4重量%とし出来たシートをシート−6とした。そしてガスバリア層との積層後のシートを積層品−6とした。比較例3では、粒子濃度を45重量%とし出来たシートをシート−10とした。そしてガスバリア層との積層後のシートを積層品−10としたが、すぐにフィルター部が粗粒分でろ圧が上昇し、フィルター交換が必要となってしまった。
PET−2の数平均分子量21000、固有粘度が0.81であるその他は、実施例4と同様であるPET−2を用いて、PET−2/PET−1/PET−2の複合比が7.2%のものをシート−12(実施例8)、11%のものをシート−13(実施例9)、20%のものをシート−14(実施例10)とし、100%のものはシート8同様であった。該フィルムの片面にアルミニウムを600オングストロームの厚さに真空蒸着した。該蒸着は太陽電池使用時のガスバリア性を目的としたものである。
上記、接着剤は主剤10重量部に対し硬化剤1重量部の割合で配合し、酢酸エチルで30重量%に調整し、スパッタリングフィルムの非スパッタリング面にグラビアロール法で溶剤乾燥後の塗布厚みが5μm厚みになるように塗布した。乾燥温度は、100℃とした。また、積層の条件はロールラミネーターで60℃の温度で1kg/cm2の圧力で行い、硬化条件は60℃で3日間とした。シート12〜14をこの様に両側ガスバリア層を設けた積層体をそれぞれ積層体―12〜14とした。
実施例6と同様の方法で、作成しシート8のガスバリア層を設けないで、同様に諸物性を測定した。
実施例8の方法と同様の方法で上記複合比が[PET−2/(PET−1+PET−2)]が0%、6%、の2種類のシートを得た。このシートを逐次2軸延伸法で、温度90℃でシート長手方向に3.0倍延伸し、引き続き後続するテンターに該フィルムを供給し、温度95℃で幅方向に3.0倍延伸した。さらにその後220℃で熱処理し2種類の厚さの50μmのシートを得た。さらに、実施例8と同様の方法により積層品を得た。
デュポン社製フッ素系フィルム“テドラー”TWH20BS3(50μm)を用い、このシートをシート17とした。このシート17を実施例などと同様の項目を測定した。
2 太陽電池セル
3 充填樹脂
4 太陽電池裏面保護シート
5 リード線
6 水蒸気およびガスバリア層
7 熱可塑性樹脂層(PET−1)
8 熱可塑性樹脂層(PET−2)
9 接着剤層
10 太陽電池モジュール
20 太陽電池用熱可塑性樹脂シート積層品
21 基材シート
22 金属または無機酸化物層
30 太陽電池用熱可塑性樹脂シート
Claims (9)
- 数平均分子量が18500〜40000であって、層全体に対して二酸化チタンを5〜40重量%含有する熱可塑性樹脂層を有する太陽電池用熱可塑性樹脂シートであって、熱可塑性樹脂シートの波長300〜350nmの光線透過率が0.005〜10%、相対反射率が80%以上105%以下、みかけ密度が1.37〜1.65g/cm3、光学濃度が0.55〜3.50である太陽電池用熱可塑性樹脂シート。
- 熱可塑性樹脂シートの全光線透過率が、0.005〜25%であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シート。
- 請求項1に記載の熱可塑性樹脂層の厚みがシート全体の厚みの7〜100%である請求項1または2に記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シート。
- 温度85℃、湿度85%の環境下において3000時間エージング前後の伸度保持率が40〜100%である請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シート。
- 温度140℃の環境下において15時間エージング前後の伸度保持率が40〜100%である請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シート。
- 少なくとも、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートと、ガスおよび水蒸気バリア層とを積層したことを特徴とする太陽電池用熱可塑性樹脂シート積層品。
- JIS−K−7129に準じた水蒸気透過率測定において、温度40℃、湿度90%RHにおいて、100μm換算の水蒸気透過率が0.5g/(m2・24hr)であることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シート積層品。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池用熱可塑性樹脂シートまたは太陽電池用熱可塑性樹脂シート積層品であって、太陽電池の裏面封止材に使用される太陽電池裏面保護シート。
- 請求項8に記載の太陽電池裏面保護シートを用いた太陽電池モジュール。
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