JP2008085270A - 太陽電池裏面封止用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた機械特性、耐熱性を有する熱可塑性樹脂シートを、太陽光の電換効率に有利な高反射率を有し、作業性に優れた軽量性を持ちながら、耐加水分解性などの耐環境性に優れた太陽電池用熱可塑性樹脂シートおよびそれを用いた太陽電池を提供する。
【解決手段】厚み方向に2層以上積層し、そのうち1層(基材層B)が数平均分子量18500〜40000のポリエチレンテレフタレート(a)80〜99重量%と、非相溶樹脂(b)1〜20重量%(いずれも対基材層Bの総重量)との混合物からなり、他の1層(スキン層A)が数平均分子量18500〜40000のポリエチレンテレフタレート(c)90〜99.9重量%と、融点180〜250℃を有するポリエステル共重合体(d)0.1〜10重量%(いずれも対スキン層Aの総重量)との混合物から成るフィルムであって表層側に配置され、B層内部に微細な気泡を含有させることにより反射効率を高める。
【選択図】なし

Description

本発明は太陽電池封止用積層シートを用いた太陽電池裏面封止用フィルムに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりが世界的に広がりを見せている。CO2排出に伴う地球の温暖化現象に対する危惧感は深刻であり、クリーンなエネルギーへの要求が益々高まってきている。太陽電池は、その安全性と扱いやすさから、クリーンなエネルギー源として大きく期待されている。
太陽電池モジュールは屋外で長期間使用されるために高度な耐久性が要求され、光起電力素子の耐久性のみならず被覆材においても優れた耐候性、耐熱性が要求される。しかし10年以上に及ぶ屋外曝露では被覆材の光劣化、熱劣化は避けることができず、封止材樹脂の黄変や各部材間での剥離が顕在化しやすい。封止材樹脂の黄変は入射光量の減少を招き、電気出力が低下する。また、部材間の剥離は、剥離部分への水分の侵入による光起電力素子、素子に付随する金属部材の腐食を招き、太陽電池性能の低下につながる。
このような問題を解決するために従来から太陽電池被覆材料の耐久性向上が図られている。
例えば、特許文献1ではポリエチレンテレフタレートが複合されたガスバリア層を有する太陽電池裏面封止用フィルムが開示され、素材としてポリエチレンテレフタレートを使用し、その数平均分子量およびフィルム厚みを特定して太陽電池システムに使用することが開示されている。また特許文献2においては、太陽電池用裏面保護シートとして固有粘度や環状三量体含有量を特定したポリエステル樹脂が用いられている。
一方、複合フィルムとしても検討が行われている。例えば、特許文献3においては、太陽電池モジュール用途向けに、共押出しにより製造された異なる種類の有機高分子樹脂層が積層されたシートが提案された。この積層フィルムは、隣り合ういずれかの二層が共押出しによって製膜加工され、その片方にポリエチレンテレフタレート樹脂も使用されている。また特許文献4ではスキン層として接着剤層を介した環状三量体を含有するポリエステル樹脂が使用された技術が開示されている。
特開2002−26354号公報 特開2002−134770号公報 特開2001−094135号公報 特開2005−011923号公報
本発明の目的は、電換効率に有利な高反射率を有し、層間剥離することのない耐久性に優れた太陽電池封止用積層シートを用いた太陽電池裏面封止用フィルムを提供することにある。特に太陽電池を屋根などに施工した際に、該太陽電池裏面封止用フィルムに厚み方向の応力がかかり、複合層間で剥離しやすいといった問題を解決するため、層間剥離のない耐久性に優れ、高反射率を有する太陽電池封止用積層シートを用いた太陽電池裏面封止用フィルムを提供することである。
少なくとも基材層(B)とスキン層(A)とを用いて成る複合フィルムであって、
該基材層(B)は基材層(B)の総重量に対して数平均分子量18500〜40000の範囲のポリエチレンテレフタレート(a)80〜99重量%と非相溶樹脂(b)1〜20重量%との混合物を含有してなり、
一方、スキン層(A)はスキン層(A)の総重量に対して数平均分子量18500〜40000の範囲のポリエチレンテレフタレート(c)90〜99.9重量%と融点180〜250℃を有するポリエステル共重合体(d)0.1〜10重量%との混合物を含有して成る
太陽電池裏面封止用フィルムであることを特徴とする。

本発明は長期間の屋外使用においても層間剥離することがなく、耐久性に優れた太陽電池封止用積層シートが得られ、太陽電池裏面封止用フィルムとして有用である。
本発明に使用される基材層(B)は数平均分子量18500〜40000の範囲のポリエチレンテレフタレート(a)と非相溶樹脂(b)との混合物である。
ここで、ポリエチレンテレフタレート(a)として数平均分子量18500〜40000の範囲の高分子量物を使用するのは、フィルムの耐加水分解性を改善し耐久性を向上させるためである。一方、非相溶樹脂(b)を混合させるのは、この非相溶樹脂(b)を核として生成された気泡を利用して光の反射効率を向上させることにあり、太陽電池システムとしての効率を高めるためである。数平均分子量は19000〜35000の範囲であることが好ましい。
前記の基材層(B)で使用されるポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮合重合によって得られるポリマーである。ジカルボン酸としては、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等で代表されるものであり、またジオールとしては、たとえばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等で代表されるものである。
具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(ポリエチレンナフタレート)等を使用することができる。これらのポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることもできる。
前記の基材層(B)では数平均分子量18500〜40000の範囲のものを使用するが、本発明でいう数平均分子量は、後述するゾル浸透クロトマグラフ法(GPC)で測定することによるものである。数平均分子量が18500よりも小さくなると屋外耐久性を満足させることができなくなり、一方、40000を越える場合は実質上押出しが困難となる。溶融成形性、2軸延伸性の点から特に35000以下のものが好ましい。
前記の基材層(B)に使用される非相溶樹脂とは、ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂である。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのようなオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらは単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶樹脂を併用してもよい。これらの中でも、臨界表面張力の小さなポリプロピレン、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィンが好ましく、さらにはポリメチルペンテンが特に好ましく用いられる。
ポリメチルペンテンは相対的にポリエステルとの表面張力差が大きく、かつ融点が高いため、添加量当たりの気泡形成の効果が大きいという特徴があり、非相溶樹脂として特に好ましいものである。
非相溶樹脂の含有量は、基材層(B)の総重量に対して1〜20重量%の範囲内であり、5〜15重量%の範囲内であることがより好ましい。添加量が上記の範囲より少ない場合にはフィルムの反射率や隠蔽性などを向上させることが難しくなり、逆に上記範囲より多い場合には延伸時にフィルム破れ等が生じやすくなり生産性が低下する問題が生ずる。
また、本発明に用いる基材層(B)の中には、必要に応じて、本発明の効果が損なわれない範囲で、ポリエステル以外の樹脂、添加剤、例えば紫外線吸収剤、紫外線安定剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、有機の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
一方、本発明のスキン層(A)は数平均分子量18500〜40000の範囲のポリエチレンテレフタレート(c)と融点180℃〜250℃を有するポリエステル共重合体(d)との混合物である。
ここで、数平均分子量18500〜40000の範囲のポリエチレンテレフタレート(c)を使用するのは、前述の基材層(A)の場合の効果と同様に耐加水分解性を向上させるためである。数平均分子量は19000〜35000の範囲であることが好ましい。
さらに融点180〜250℃を有するポリエステル共重合体(d)をポリエチレンテレフタレート(c)と混合させるのは層間剥離の改善を目的としている。基材層(B)の高分子量のポリエチレンテレフタレート(a)に非相溶樹脂(b)を混合したフィルムは他層との接着性が悪くなりやすい。そこで、本発明では基材層(B)にスキン層(A)を積層させ、スキン層(A)として、融点180〜250℃を有するポリエステル共重合体(d)をポリエチレンテレフタレート(c)と混合させた混合物を用いて層間接着性を向上させた。スキン層(A)を設ける目的は、後述の図2あるいは図3において、ガスバリア層6との界面部、あるいは基材フィルム層(B)との境界部の剥離の発生を防止することにある。
上述のポリエチレンテレフタレート(c)は、本発明の基材層(B)で使用した数平均分子量が18500〜40000のポリエチレンテレフタレート(a)と同一であっても良く、異なるものであっても良い。
一方、ポリエステル共重合体(d)は融点180〜250℃を有するものであり、ソフトセグメントが共重合されたものであることが好ましい。熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合体が特に好ましい。
例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の如き芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸の如き脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸成分の少なくとも一種、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオールまたはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれた低分子ジオール成分の少なくとも一種および平均分子量が約400〜5000のポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体などのポリ(アルキレンオキシド)グリコールのうち少なくとも一種、の3者からなるブロック共重合体を挙げることができる。
本発明においては、ポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが特に好ましい。このハードセグメントを構成するポリエステル部分は、テレフタル酸またはこれとイソフタル酸を組合せた酸成分とテトラメチレングリコール成分とからなるポリテトラメチレンテレフタレートを主たる成分とするが、この酸成分の一部(通常30モル%以下)を他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置き換えることや、グリコール成分の一部(通常30モル%以下)をテトラメチレングリコール成分以外の低分子グリコール成分で置き換えたポリエステルであってもよい。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分の一部は、テトラメチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置き換えたポリエーテルであってもよい。
また、前記のスキン層(B)に使用する熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点は180〜250℃の範囲のものを使用できるが、好ましくは180〜220℃の範囲である。
融点180℃〜250℃を有するポリエステル共重合体(d)の混合量は、スキン層(A)の総重量に対して0.1〜10重量%である。ポリエステル共重合体(d)の混合量が0.1重量%より少ない場合には、剥離部分への水分の侵入による光起電力素子、素子に付随する金属部材の腐食を招き、太陽電池性能の低下につながる。また、10重量%より多い場合には、基材シートが柔軟になり過ぎるため耐熱性が逆に低下する問題が発生しやすい。
本発明において、前記の少なくとも基材層(B)とスキン層(A)とを用いて成る複合フィルムにおいて、スキン層の厚みは総フィルム厚みの7%以上であることが好ましい。さらに好ましくは10%以上である。
また、本発明では、スキン層(A)と基材層(B)との積層フィルム間の劈開強度は 950g/15mm以上であることが好ましい。劈開強度を上記の値とするためには、スキン層の厚みを上記の値であることが好ましい。スキン層(A)が7%未満になるとスキン層(A)としての層間剥離性の効果が低下し、一方、劈開強度が950g/15mm以下になると屋外使用時に界面剥離しやすい傾向がある。
本発明の少なくとも基材層(A)とスキン層(B)とを用いて成る複合フィルムは、層の構成はA/Bの2層、もしくはA/B/Aの3層から成ることが好ましい。特に3層積層構成としたものは、製膜性がより向上し、取扱性などの実用性も向上させることができる点からより好ましいものである。
本発明において、基材層(B)とスキン層(A)との積層の方法としては、溶融製膜中の共押出により複合化する方法、あるいはそれぞれ別々に製膜した後、ラミネートする方法のいずれでもよいが、コストなどの点で前者の方法がより好ましい。
本発明の複合フィルムの厚みは、薄いと誘電率の低減、軽量化の効果が大きくなるが、電気絶縁性、太陽電池への加工性が低下する問題があり、ガスバリア性も低下する傾向にある。また厚いと電気絶縁性、太陽電池への加工性、ガスバリア性も良くなるが、生産性に大きく低下する。従って、該複合フィルムの厚さは、太陽電池用裏面封止フィルムとしての適当な腰の強さ、加工性、太陽電池の軽量な点から、20〜350ミクロンの範囲が好ましい。
次に、本発明の複合フィルムの製造方法について説明するが、本発明はかかる例のみに限定されるものではない。
押出機と押出機を有する複合製膜装置において、基材層(B)を形成するため、乾燥したポリエチレンテレフタレート(a)のチップと、乾燥した非相溶樹脂(b)を混合したものを260〜300℃に加熱された押出機に供給し、溶融してTダイ複合口金内に導入する。非相溶樹脂の添加は、予めマスターチップとしたものを乾燥して使用してもよい。
一方、スキン層(A)としては、ポリエチレンテレフタレート(c)のチップと融点180℃〜250℃を有するポリエステル共重合体(d)を混合し、この乾燥原料を260〜300℃に加熱された押出機に供給し、溶融してTダイ複合口金内に導入し、押出機のポリマーが押出機のポリマーの表層(片面)あるいは両表層(両面)にくるように積層してシート状に共押出成形し、溶融積層シートを作製する。
この溶融積層シートを、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。該未延伸積層フィルムを70〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。こうして得られた二軸延伸積層フィルムは、結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するためにテンター内にて150〜230℃で1〜30秒間の熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取ることにより、本発明の太陽電池裏面封止用フィルムを得ることができる。
なお、上記熱処理工程中では必要に応じて横方向あるいは縦方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。また、二軸延伸は逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また二軸延伸後に、縦、横いずれか、あるいは両方向に再延伸してもよい。
次に、本発明の太陽電池裏面封止用フィルムを構成するシートにガスバリア性を付与させるには、酸化珪素、酸化アルミニウム等の酸化物やアルミニウム等の金属を真空蒸着やスパッタリングなどの周知の方法でフィルム表面に設ける。その厚みは通常100〜200オームストロームの範囲であるのが好ましい。また、該ガスバリア層は必ずしも該フイルム表面に配置される必要がなく、たとえば2層のフィルム間に挟まれてもよい。
本発明の太陽電池は、たとえば図1に示す構成でシステム化される。すなわち、高光線透過率を有する基材(ガラス、フィルムなど)を表面に置き、シリコン系等の太陽電池モジュールを電気を取り出せるリード線を付与して、EVA樹脂などの充填樹脂で固定し、その後裏面に、本発明の裏面封止フィルムを設けて、該塗剤で固定して得られる。
以下に、本発明で使用される物性およびその評価方法について説明する。
[特性の測定方法および評価方法]
本発明の特性値は、次の評価方法、評価基準による。
(1)融点
Perkin−Elmer社製示差走査熱量計Model DSC−2型を用い、約5mgの試料を20℃/分の昇温速度で280℃まで昇温し5分保持した後、冷却し、再度昇温した時の、いわゆるセカンドランの融解曲線を取り、そのピークの頂点の温度を融点とした。
(2)フィルム総厚み
マイクロメーターM-30(ソニー(株)製)を用いて厚みを測定した。
(3)複合フィルムの複合比
全体の厚みをJIS C2151に準じて測定し、積層断面をミクロトームで厚み方向に断面を切る前処理を行った後、日立製作所電界放電型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用い、厚み断面を全体像が写る倍率(×1000)で撮像し、その断面写真の厚み比率を断面写真から採寸した結果から複合比率を算出した。
(4)劈開強度
測定するスキン層(A)表面のフィルム上にポリウレタン系プライマーを塗布し、厚み2μmの塗膜を形成し、50℃の温度で未延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ100μm、東レ合成フィルム(株)製)を貼り合わせ、40℃48時間エージングした。次に幅15mmに切り、スキン層フィルムが接着したポリプロピレンフィルムの一端を剥してテンシロンに取り付け、剥した基材層(B)フィルム部分に対し直角に保ち、基材層フィルムとスキン層フィルム間の剥離時の劈開強度を測定した。基材層(B)フィルムとスキン層(A)フィルムを剥離させたときの強度を劈開強度とする。このときの剥離速度は300mm/分である。このとき、フィルムが破壊されず接着剤層で剥離したものは除き、5本の平均値をとった。
(5)耐加水分解性
85℃―85%RHの雰囲気にフィルムをエージングし、ASTM―61Tによりシートの破断伸度を測定し、エージングなしの破断伸度を100%にしたときの比(保持率)で比較し下記の基準で判断した。
エージング時間:0hr(100%)、3000hr
◎:保持率が60%以上
○:保持率が50〜60%未満
×:保持率が50%未満。
(6)反射率
日立製分光光度計U−3310を用い、標準白色板用開口部と試験片開口部ともに標準白色板として酸化アルミナを用いて560nmで試験片開口部の傾斜角度を10°付けて拡散反射率を測定し(T)とし、そのときの反射率を100%とした。その後、試験片開口部を試験片に取り替え560nmで拡散反射率を測定した。その後、下記式により、相対反射率(R)に換算した。
R(%)=T/T×100
:標準白色板の反射率
:試験片の反射率。
(7)数平均分子量(Mn)
室温(23℃)でゲル浸透クロマトグラフ GCP―244(WATERS社製)を使用し、カラムにshodex HFIP 80M(昭和電工(株)製)を2本使用し、該太陽電池ポリエステル樹脂シートの測定を実施する前に分子量構成をPET―DMT(標準品)を用いて実施した。溶出容積(V)及び分子量(M)を用いて近似式(i)の係数
(A1)を計算して作図する。
log(M)=A0+A1V+A2V2+A3V3・・・・(i)
校正・作図を終了した後、触媒にヘキサフルオロプロパノール(0.005N―トリフルオロ酢酸ソーダ)に溶解させた。クロマトグラフへのインジェクション量は0.300mlであり、流速は0.5ml/minで実施した。検出器は、R―401型示差屈率器(WATERS)を用い、下記式により数平均分子量を算出した。
数平均分子量(Mn)=ΣNiMi/ΣNi
モル分率:Ni、各保持量(Vi)に相当する分子量(Mi)
複合または単体のフィルムをサンプリングして測定した。なお、複合フイルムは、顕微鏡観察しながら該当フィルムを研磨してサンプリングした。
[実施例]
本発明を以下の実施例、比較例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1、2
A層樹脂チップの準備
ジメチルテレフタレート100部(重量部:以下単に部という)にエチレングリコール64部を混合し、さらに触媒として酢酸亜鉛を0.1部および三酸化アンチモン0.03部を添加し、エチレングリコールの環流温度でエステル交換を実施した。
これにトリメチルホスフェート0.08部を添加して徐々に昇温、減圧にして271℃
の温度で5時間重合を行った。得られたポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.55であった。該ポリマーを長さ4mmのチップ状にした切断した。その後、温度220℃、真空度0.5mmHgの条件の回転式の真空装置(ロータリーバキュームドライヤー)に入れ、20時間撹拌しながら加熱した。得られたPETの固有粘度は0.73であった(チップA)。
上記のチップAに、ポリエステル共重合体(d)としてのポリエチレンテレフタレートイソフタル酸共重合物のチップB(東レ(株)製F51M 融点220℃)を、その含有量が5重量%、10重量%になるようにそれぞれブレンドし、その後、温度180℃、真空度0.5mmHg、2時間の真空乾燥を行った。
B層樹脂チップの準備
上記で得られたポリエチレンテレフタレートの乾燥チップAを90重量%と、ポリメチルペンテンの粒状物10重量%とを別々の押出機に投入して溶融し、チップを作製した。
製膜化
上記のA層樹脂チップと、B層樹脂チップを別々の押出機に投入し、溶融流路内で該2種のポリマーを複合出来る装置(合流装置)を通し、A/B/Aの複合構成となる溶融シートをTダイから押しだし、25℃に保った冷却ドラムに静電印加密着してキャストした。得られたシートの厚さは、0.7mmであった。また押出し温度は両ポリマーとも270〜290℃であった。
このシートを逐次2軸延伸法で、90℃で長手方向に3.5倍縦延伸し、続いて縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、220℃の熱固定を行い、均一に除冷後、室温まで冷却して巻き取り、A層の厚みが表裏合計で6μm、総フィルム厚みの7%以上を有するスキン層とし、A/B/A層の総厚み60μmの2種類のフィルムを得た。得られたフィルムの太陽電池バックシート用基材としての特性は表1の通りで、いずれも劈開強度950g/15mm以上、耐久性(耐加水分解保持率)がいずれも50%以上、反射率がいずれも83%以上を満たし、耐久性に優れる太陽電池裏面封止用フィルムが得られた。また、実施例2として、A層の組成を表1記載の配合量とした以外は実施例1と同様に太陽電池裏面封止用フィルムを作製した。
比較例1、2
実施例1.2と同様な方法で行い、A層に第1表の割合でポリエチレンテレフタレートイソフタル酸共重合物の乾燥チップ(東レ(株)製F51M 融点220℃)の含有量を0重量%、15重量%とし、B層にポリメチルペンテン10重量%ブレンドした。得られたフィルム特性を表1に示した。比較例1の耐久性、反射率、比較例2の界面剥離性が劣った。
実施例3、4
実施例1と同様な方法で行い、A層に第1表の割合でポリエチレンテレフタレートイソフタル酸共重合物の乾燥チップ(東レ(株)製F51M 融点220℃)の含有量を10重量%とし、B層にポリメチルペンテン10重量%ブレンドし、A/B/Aとなるような積層装置で3層に積層し、Tダイよりシート状に成形し、延伸、熱処理を行い、A層の総厚みを13.3%、20%の2種のフィルムを得た。総フィルム厚みの7%以上を有するスキン層としたときの得られた特性は表1の通りであり、耐久性に優れる太陽電池裏面封止用フィルムが得られた。
実施例5〜7、比較例3、4
第1表において、スキン層(A)にポリエチレンテレフタレートイソフタル酸共重合物の乾燥チップ(東レ(株)製F51M 融点220℃))の含有量を10重量%とし、B層に添加するポリメチルペンテンの含有量を変えた。ポリメチルペンテンの含有量が1重量%未満になると反射率が82以下となり、20重量%を越えると耐久性が悪くなって問題が生じた。
実施例8
実施例2において、A層の樹脂チップを準備する際に、高重合化する温度を270℃、10時間加温し、チップの固有粘度0.81、数平均分子量が27000のチップを作製し、A層の総厚み10%になるように製膜した。その特性は表1のように耐久性が著しく優れたフィルムを得た。
比較例5
A層の樹脂チップを準備する際に、固有粘度を下げ0.55のチップを真空乾燥の条件を変えて固有粘度を低下させ、数平均分子量が16000のチップを作製した。数平均分子量を16000とする以外は実施例2と同様にしてA層の総厚み10%のフィルムを得た。
その特性は表1に示すように耐久性、反射率が悪い結果となった。
Figure 2008085270
本発明の太陽電池裏面封止用フィルムは、屋根材として用いられる太陽電池はもちろんのこと、フレキシブル性を有する太陽電池や電子部品等にも好適に使用することができる。
この図は、本発明の太陽電池裏面封止フィルムを用いてなる太陽電池の断面図を示すものである。 この図は、フィルムの片面にガスバリア層を有する太陽電池裏面封止フィルムの構造の一例を示す断面図である。 この図は、2層のフィルムの間にガスバリア層を有する太陽電池裏面封止フィルムの構造を示す他の一例の断面図である。
符号の説明
1 全光線透過材料
2 太陽電池モジュール
3 充填樹脂
4 太陽電池用裏面封止フィルム
5 リード線
6 ガスバリア層
7 本発明の基材層(B)
8 本発明のスキン層(A)

Claims (5)

  1. 少なくとも基材層(B)とスキン層(A)とを用いて成る複合フィルムであって、
    該基材層(B)は基材層(B)の総重量に対して数平均分子量18500〜40000の範囲のポリエチレンテレフタレート(a)80〜99重量%と非相溶樹脂(b)1〜20重量%との混合物を含有してなり、
    スキン層(A)はスキン層(A)の総重量に対して数平均分子量18500〜40000の範囲のポリエチレンテレフタレート(c)90〜99.9重量%と融点180〜250℃を有するポリエステル共重合体(d)0.1〜10重量%との混合物を含有して成る
    太陽電池裏面封止用フィルム。
  2. 前記の基材層(B)に使用する非相溶樹脂(b)がポリメチルペンテンである請求項1に記載の太陽電池裏面封止用フィルム。
  3. スキン層(A)の厚みが総フィルム厚みの7%以上であり、基材層(B)との積層フィルム間の劈開強度が950g/15mm以上である請求項1または2のいずれかに記載の太陽電池裏面封止用フィルム。
  4. 前記複合フィルムにおいて、層の構成がA/Bの2層、もしくはA/B/Aの3層から成る請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池裏面封止用フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池裏面封止用フィルムを太陽電池システムに使用した太陽電池。
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