JP2006265444A - エポキシ系接着剤、金属張積層板、カバーレイ、およびフレキシブルプリント基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のエポキシ系接着剤は、エポキシ樹脂と硬化剤を含有するベース樹脂と、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムと、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体とからなり、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の配合比が85:15〜10:90の範囲内にあることを特徴とする。カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の添加量の合計は、前記ベース樹脂100質量部に対して10〜100質量部であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
エラストマーとしては、カルボキシ化NBR(なおNBRはニトリルブタジエンゴムを表す。)やアクリルゴム等が用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。
そこで特許文献2では、高圧ラジカル重合により生成されたカルボキシ化エチレン−アクリルゴムを添加することで耐マイグレーション性の改善を図っている。しかし、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムは粘度が低いため、加熱プレスにより接着および硬化を行う際に接着剤の接着剤フロー量が多い(接着剤フロー特性が悪い)という問題がある。
特許文献3では、エポキシ樹脂の耐熱性や屈曲性を向上させるため、エラストマーとしてフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体を添加している。しかし、本発明者の実験により、この共重合体を用いたエポキシ系接着剤には、微細な回路に対する埋め込み性の低下という問題が存在することが分かった。
本発明のエポキシ系接着剤は、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の添加量の合計が、前記ベース樹脂100質量部に対して10〜100質量部であることが好ましい。
また、本発明は、絶縁フィルムの片面に接着剤層を設けてなるカバーレイにおいて、前記接着剤層が、エポキシ樹脂と硬化剤を含有するベース樹脂と、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムと、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体とからなるエポキシ系接着剤により形成されており、前記エポキシ系接着剤中、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の配合比が85:15〜10:90の範囲内にあることを特徴とするカバーレイを提供する。
また、本発明は、上述の金属張積層板の金属箔面に、上述のカバーレイを貼着してなることを特徴とするフレキシブルプリント基板を提供する。
本発明のエポキシ系接着剤は、エポキシ樹脂と硬化剤を含有するベース樹脂と、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムと、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体とからなり、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の配合比が85:15〜10:90の範囲内にあることを特徴とするものである。
硬化剤(B)の配合量はエポキシ樹脂(A)に応じて定めることができるが、例えばエポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部とすることができる。
前記カルボキシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのα,β−不飽和多価カルボン酸;無水イタコン酸、無水マレイン酸などのα,β−不飽和多価カルボン酸無水物などが挙げられる。
なお、前記フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミドオリゴマーは、芳香族ジアミン成分と芳香族ジカルボン酸成分との縮重合によって合成することができる。前記オリゴマーにフェノール性水酸基を含有させるには、芳香族ジアミン成分および/または芳香族ジカルボン酸成分の少なくとも一部として、フェノール性水酸基を有する芳香族ジアミンまたは芳香族ジカルボン酸を混入させることにより製造することができる。また、前記オリゴマーの両末端基をアミノアリール基とするには、芳香族ジカルボン酸成分に対して芳香族ジアミン成分を過剰量として縮重合反応させることにより、容易に達成することができる。
カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の合計の添加量(すなわちエラストマー(C)の添加量)は、ベース樹脂100質量部に対して10〜100質量部であることが好ましい。これにより、耐マイグレーション性と、接着剤フロー特性と、微細な回路に対する埋め込み性とがすべて優れるとともに、接着力が高く、かつ柔軟性にも優れるエポキシ系接着剤を得ることができる。
なお、本発明の接着剤組成物中には、必要に応じて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、硬化促進剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、難燃化剤、分散剤、粘度調節剤、レベリング剤等を適宜添加してもよい。
本発明のエポキシ系接着剤組成物は、前記接着剤溶液を対象物に塗布し、乾燥および硬化させることで、対象物の接着や封止などを行うために用いることができる。この接着剤組成物の乾燥および硬化に際しては、例えば20〜200℃程度の温度下で行うことができる。
前記接着剤溶液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、ジメチルホルムアミド、2−メトキシエタノールなどが挙げられる。接着剤溶液中の固形分濃度は、塗工むらの抑制と接着剤の溶解性とを考慮して、好ましくは5〜70質量%の範囲内であり、より好ましくは、10〜50質量%の範囲内である。
カバーレイ用の絶縁フィルムとしては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などからなる厚み10μm〜150μm程度のフィルムなどを用いることができる。カバーレイ側の接着剤層の厚み(乾燥後)は、例えば1μm〜100μm程度とすることができる。本発明のエポキシ系接着剤から接着剤層を形成する方法は、上述したように、塗布などの方法によることができる。
なお、本発明のカバーレイが適用されるCCLとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミド等からなるベースフィルムに銅箔(金属箔)を接着剤で接着してなる3層CCLや、銅箔(金属箔)の片面にポリイミドワニスを塗布して乾燥してなる2層CCL(接着剤層を有しないCCL)等を用いることができる。
ベースフィルムとしては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などからなる厚み10μm〜150μm程度のフィルムなどを用いることができる。
金属張積層板の接着剤層の厚み(乾燥後)は、例えば1μm〜50μm程度とすることができる。銅箔等の金属箔としては、特に限定されるものではないが、電解銅箔、圧延銅箔などの厚み5μm〜100μm程度のものを用いることができる。
本発明の金属張積層板を用いてFPCを製造するときに使用されるカバーレイは特に限定されるものではないが、上述した本発明のカバーレイを用いることが好ましい。
表1〜表3に示す配合により、実施例および比較例に係るエポキシ系接着剤を調製した。なお各表において配合比は、ベース樹脂を100質量部とした質量部で表す。
各表において、ベース樹脂は、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:エピコート828EL)77質量%、硬化剤として4,4′−ジアミノジフェニルスルホン(試薬特級)23質量%からなるものを用いた。
エラストマーとしては、カルボキシ化NBR(日本ゼオン株式会社製、商品名:ニポール1072)、カルボキシ化エチレン−アクリルゴム(三井・デュポンポリケミカル株式会社製、商品名:ベイマックHVG)、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体(日本化薬株式会社製、商品名:BPAM−01)を用いた。
各エポキシ系接着剤の混和物を乾燥後の膜厚が10μmとなるようにポリイミドフィルム(厚さ25μm、東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン−100H)に塗布し、接着層面に厚さ18μmの圧延銅箔を貼着して片面板を作製する。この片面板の銅箔にL/S=100μm/100μmのくし型パターンを形成し、その上に各エポキシ系接着剤の混和物(ポリイミドフィルムと圧延銅箔との貼着に用いたものと同じもの)を乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗布し、乾燥後170℃、4MPaで40分間プレスすることによって試験サンプルを作製する。
各試験サンプルに、85℃、85%RH(相対湿度)の雰囲気下で50Vの直流電圧(DC)を印加しながら250時間保持する。その後、絶縁抵抗を測定し、その測定結果を「絶縁抵抗」の評価結果とする。
また、顕微鏡で試験サンプル中のデンドライト発生の有無を確認し、その結果、デンドライト発生が認められたものは×、デンドライトが全く発生していないものは○と評価する。
各エポキシ系接着剤の混和物を乾燥後の膜厚が30μmとなるようにポリイミドフィルム(厚さ25μm、東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン−100H)に塗布し、乾燥後、直径5mmのパンチ穴を10箇所にあける。さらに接着層面に圧延銅箔(厚さ18μm)を貼り合わせ、170℃、4MPaで40分間プレスすることによって試験サンプルを作製する。
プレス後、試験サンプルのパンチ穴内部への最大浸出距離をそれぞれのパンチ穴ごとに10箇所すべて測定し、10箇所の平均距離を「接着剤フロー距離」の評価結果とする。
この試験では、上記接着剤フロー距離の評価結果が0.50mm未満の場合に接着剤フロー特性が優れているものと評価する。
各エポキシ系接着剤の混和物を乾燥後の膜厚が10μmとなるようにポリイミドフィルム(厚さ25μm、東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン−100H)に塗布し、接着層面に厚さ30μmの圧延銅箔を貼着して片面板を作製する。この片面板の銅箔にL/S=50μm/50μmのくし型パターンを形成し、その上に各エポキシ系接着剤の混和物(ポリイミドフィルムと圧延銅箔との貼着に用いたものと同じもの)を乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗布し、乾燥後170℃、4MPaで40分間プレスすることによって試験サンプルを作製する。
プレス後の試験サンプルを顕微鏡で観察し、くし型パターン間に気泡があるものは×、気泡がないものは○と評価する。
上記エポキシ系接着剤の混和物を乾燥後の膜厚が30μmとなるようにポリイミドフィルム(厚さ25μm、東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン−100H)に塗布し、乾燥後の接着剤層に35μm銅箔を貼り合わせ、170℃、4MPaで40分間プレスしたものを試験サンプルとする。
試験サンプルのポリイミド層を剥離強度試験機を用いて引っ張り、90°剥離強度(単位:N/cm)を測定し、その測定結果を「接着性」の評価結果とする。本評価方法による「接着性」は、12N/cm以上であることが好ましい。
ポリイミドフィルム(厚さ25μm、東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン−100H)を2枚用意し、各ポリイミドフィルムの片面に上記エポキシ系接着剤の混和物を乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗布する。乾燥後、両ポリイミドフィルムの接着層面同士を貼り合わせ、170℃、4MPaで40分間プレスしたものを試験サンプルとする。
試験サンプルをそのまま180°折り曲げ一定の力で押圧した後に外観を観察し、割れや白化があるものは×、割れや白化がないものは○と評価する。
実施例1〜9の結果から、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の配合比が85:15〜10:90の範囲内にある場合、接着剤フロー距離が0.5mm未満であり、さらに85℃、85%RH、250時間後の絶縁抵抗が108Ω以上であり、デンドライト発生がなく、しかも埋め込み性も良好であった。これにより、本発明のエポキシ系接着剤は、耐マイグレーション性と、接着剤フロー特性と、微細な回路に対する埋め込み性とがいずれも優れたエポキシ系接着剤であると評価することができる。
とりわけ、実施例1〜7に示すように、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の添加量の合計が、ベース樹脂100質量部に対して10〜100質量部である場合、90°剥離強度が12N/cm以上であり、しかも180°折り曲げた後に割れや白化がなかった。このことから、接着性および柔軟性も優れたものであることが分かる。
比較例2,3の結果から、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の配合比が85:15よりもカルボキシ化エチレン−アクリルゴムが多くなると、接着剤フロー距離が0.50mm以上となり、接着剤フロー特性が悪くなることが分かる。
比較例4,5の結果から、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の配合比が10:90よりもフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体が多くなると、微細なくし型パターン間に気泡が残り、埋め込み性が低下することが分かる。
Claims (5)
- エポキシ樹脂と硬化剤を含有するベース樹脂と、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムと、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体とからなり、
カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の配合比が85:15〜10:90の範囲内にあることを特徴とするエポキシ系接着剤。 - カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の添加量の合計が、前記ベース樹脂100質量部に対して10〜100質量部であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ系接着剤。
- ベースフィルムと金属箔との間に接着剤層を設けてなる金属張積層板において、
前記接着剤層が、エポキシ樹脂と硬化剤を含有するベース樹脂と、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムと、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体とからなるエポキシ系接着剤により形成されており、前記エポキシ系接着剤中、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の配合比が85:15〜10:90の範囲内にあることを特徴とする金属張積層板。 - 絶縁フィルムの片面に接着剤層を設けてなるカバーレイにおいて、
前記接着剤層が、エポキシ樹脂と硬化剤を含有するベース樹脂と、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムと、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体とからなるエポキシ系接着剤により形成されており、前記エポキシ系接着剤中、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム共重合体の配合比が85:15〜10:90の範囲内にあることを特徴とするカバーレイ。 - 請求項3に記載の金属張積層板の金属箔面に、請求項4に記載のカバーレイを貼着してなることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
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