JP2006244920A - 固体電解質組成物および高分子型燃料電池 - Google Patents

固体電解質組成物および高分子型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 湿度雰囲気下で高性能を発揮できる固体電解質組成物および高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】 本固体電解質組成物は、スルホン酸基を分子中に有するプロトン伝導性樹脂と、Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分およびプロトン伝導性の有機部分を含んでなる無機有機複合体とを含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高濃度の燃料を用い、高温低湿度雰囲気下で高性能を得ることができる高分子型燃料電池、特にダイレクトメタノール方式のメタノール燃料電池に関するものである。
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)、ノート型パソコンなどの携帯型電子機器の進展に伴い、その駆動電源やメモリ保持電源となる電池についても、小型化、軽量化、そして高容量化が求められてきている。現在の携帯型電子機器においては、リチウムイオン電池が駆動電源等として最も一般的に用いられている。
このリチウムイオン電池は、実用化当初から高い駆動電圧と電池容量を有し、携帯型電子機器の進歩にあわせるように性能改善が図られてきた。しかし、このリチウムイオン電池の性能改善にも限界があり、今後、更なる高機能化が進む携帯型電子機器の駆動電源等として用いるには、その要求を満足できなくなりつつある。
このような背景のもとで、リチウムイオン電池に代わる新たな発電デバイスの開発が行われた結果、リチウムイオン電池と比べて数倍の高容量化が期待できる燃料電池が提案されるに至った。
一般に、燃料電池は、触媒を含む燃料極(負極)および空気極(正極)と、これらの間に設けられ、所定のイオンの移動を許容する電解質層とからなる発電部を具備した構造を有している。この燃料電池においては、負極に水素や有機物質等の燃料を供給するとともに、正極に酸素(空気の形態であってもよい)を供給すると、電極に含まれる触媒の作用により各電極において電気化学的な反応が起こり、燃料を供給源として電子による直流電流を取り出すことができる。このようなメカニズムで発電する燃料電池においては、負極に燃料を補給するとともに正極に酸素を補給することにより、長時間にわたって連続発電が可能となり、二次電池と同様に使用することができ、携帯型電子機器類の電源への応用が期待されている。
燃料電池は、その電解質の種類に基づいて、リン酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型などに類別される。携帯型電子機器類の電源としては、室温付近の低温において作動可能であること、小型に構成可能であること、振動に強く大量生産が容易な固体電解質層を備えることなどの要請から、固体高分子型の燃料電池が適していると考えられている。なお、本発明では「固体高分子型の燃料電池」を「高分子型燃料電池」とも言う。
固体高分子型の燃料電池では、その燃料供給方法として、水素ガスを貯蔵して当該水素ガスを燃料極に直接供給する方法、有機燃料を貯蔵して当該有機燃料を改質することによって生ずる水素ガスを燃料極に供給する方法、プロトンを供給可能な液体燃料を貯蔵して当該液体燃料を燃料極に直接供給する方法などが知られている。
これらのうち、水素ガスを直接供給する方法は、水素ガスの取り扱いが困難であること、有機燃料を改質することによって生ずる水素ガスを燃料極に供給する方法は、改質するために装置構成が複雑になることおよび電力を必要とする装置が不可欠であることから、携帯型電子機器等に用いる小型電源としては適さない。そのため、小型電源を構成するという観点からは、液体燃料を供給する方式を採用する燃料電池、特に、メタノール水溶液を燃料極に対して供給するダイレクトメタノール方式の燃料電池(DMFC)が注目を集めている。
現在までに、多数のDMFCが開発されてきている。これらのDMFCは、その発電部への燃料供給の方式および燃料の状態により分類することができる。
まず、DMFCの燃料供給方式としては、液体燃料をポンプなどの補機と呼ばれる機器で強制的に循環させる「アクティブ式」と呼ばれる方式と、液体燃料を重力や毛管現象、自然拡散により供給する「パッシブ式」と呼ばれる方式に分類できる。
「アクティブ式」のDMFCは、その最大の特徴として、発電反応により生成する水を回収した上で当該回収した水を循環させ、供給する液体燃料の濃度を機械的に制御できることにある。これにより、DMFCの課題である発電部の電解質層へのメタノールの透過と、それに伴う空気極における性能の低下、いわゆるメタノールのクロスオーバを回避しつつ高濃度のメタノールの供給が可能となる。
しかし一方で、「アクティブ式」のDMFCは、機構が複雑で大型化すること、機構を動かすための電力が必要なことなどの問題を抱えているために、携帯型電子機器等の小型電源を構成するには不向きである。
これに対し、「パッシブ式」のDMFCは、機構が簡易であるため小型化が容易であるが、前述したクロスオーバを回避することが難しいという問題がある。
さらに、DMFCの発電部へ供給する燃料の状態としては、液体燃料をそのまま発電部に供給する「液体供給型」と、液体燃料を気化させて燃料ガスを発電部に供給する「気化供給型」に分類できる。
「液体供給型」のDMFCは、燃料が液体であるために、重力や毛管現象、自然拡散などの様々な方法により発電部へ液体燃料を供給することが可能である上に、「アクティブ式」を採用した場合にはポンプなどで簡単に液体燃料を輸送することができるが、前述したクロスオーバを抑制するために、液体燃料中のメタノール濃度を10重量%程度未満に抑える必要がある。
一方、「気化供給型」は、発電部に供給する燃料が気体であるために、液体燃料と比べてその体積密度が小さく、前述したクロスオーバの発生も懸念されないため、液体燃料と比べて共存する水の量を下げ、燃料を高濃度にすることが可能である。「気化供給型」の場合でも「アクティブ式」を採用する場合には機構が複雑になるが、「パッシブ式」のDMFCにおいては、自然気化式により、簡易な機構で、かつ高濃度の燃料ガスを発電部に直接供給することが可能となる(たとえば特許文献1,2参照。)。
特許第3413111号公報(特許請求の範囲) 特開2004−142831号公報(特許請求の範囲)
気化供給型の場合、電極反応が気体燃料の間で行われるため反応速度が大きく、気化速度のコントロールによりメタノールクロスオーバー(MCO)がある程度大きくても高濃度燃料が適用できる反面、低水分濃度すなわち低湿度雰囲気状態により、電極反応性または電解質のプロトン伝導性が低下するという課題があった。
燃料電池用の固体電解質膜としては、従来、たとえば、Du Pont社のNafion膜やDow Chemical社のDow膜に代表される、パーフルオロスルホン酸系高分子が広く使用されている。このパーフルオロスルホン酸系高分子は高湿度雰囲気下ではプロトン伝導性に優れているが低湿度の場合プロトン伝導性が低下し、またはMCOが非常に高くなる。従って、気化供給型の燃料電池に対しては適切な材料とは言えない。
MCOを遮断できる材料としては、スルホン化したポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンズチアゾールなどが着目されている。しかしながら、これらの材料の場合には、イオンチャンネル構造ができにくく、低湿度下でのプロトン伝導性が極めて低い。従って、これらも気化供給型の燃料電池に対しては充分適切な材料とは言えない。
本発明は、上記課題を解決し、低湿度雰囲気下で高性能を発揮できる固体電解質組成物および高分子型燃料電池を提供することを目的としている。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明の一態様によれば、スルホン酸基を分子中に有するプロトン伝導性樹脂と、Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分およびプロトン伝導性の有機部分を含んでなる無機有機複合体とを含んでなる固体電解質組成物が提供される。
本発明態様により、低湿度雰囲気下で高性能を発揮できる固体電解質組成物が得られる。
さらに、この固体電解質組成物が、Ca,Si,Al,Mg,Ti,Sn,ZrおよびPからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機物質を含んでなること、前記プロトン伝導性樹脂が、パーフルオロスルホン酸系樹脂、カルボキシル基とスルホン酸基とを有するパーフルオロカーボン系樹脂、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリベンゾオキサゾール、スルホン化ポリフェニレンエーテル、スルホン化ポリフェニレンエーテルスルホンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂であること、前記無機部分が、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシ錫、テトラアルコキシジルコニウム、トリアルコキシシラン、トリアルコキシチタン、トリアルコキシ錫、トリアルコキシジルコニウムからのゾルゲル酸化物およびそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの無機物質に由来するものであること、前記無機部分がSi−O結合を有すること、前記無機物質が、ゼオライト、アパタイト、アルミナ、コロイダルシリカや、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシ錫、テトラアルコキシジルコニウム、トリアルコキシシラン、トリアルコキシチタン、トリアルコキシ錫、トリアルコキシジルコニウムからのゾルゲル酸化物およびそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの無機物質であること、前記有機部分が、スルホン酸基、イミダゾール基、ピリジン基、ピロール基、ベンゾイミダゾール基およびピリミジン基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を有すること、Ca,Si,Al,Mg,Ti,Sn,ZrおよびPを合計で0.1〜10重量%の範囲で含むこと、イミダゾール基、ピリジン基、ピロール基、ベンゾイミダゾール基およびピリミジン基を合計で2〜10重量%の範囲で含むこと、スルホン酸基を、SO3Hとして、2〜20重量%の範囲で含むこと、が好ましい。
本発明の他の態様によれば、上記の固体電解質組成物を使用した高分子型燃料電池が提供される。本発明態様により、低湿度雰囲気下で高性能を発揮できる高分子型燃料電池が得られる。
固体電解質層に上記の固体電解質組成物を使用したものであること、ダイレクトメタノール方式の燃料電池であること、液体メタノールを気化させて発電部に供給する方式を採用したものであること、液体燃料気化部に上記の固体電解質組成物を使用したものであること、液体燃料気化部に、パーフルオロスルホン酸系樹脂、カルボキシル基とスルホン酸基とを有するパーフルオロカーボン系樹脂、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリフェニレンエーテル、シリコーンおよびポリイミドからなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂を使用したものであること、前記液体メタノールが、メタノールの濃度が10〜100重量%の水溶液として供給されること、が好ましい。
本発明により、低湿度雰囲気下で高性能を発揮できる固体電解質組成物および高分子型燃料電池が得られる。
以下に、本発明の実施の形態を図、式、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、式、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。図中、同一の符号は同一の要素を表す。
まず、本発明に係る燃料電池について説明する。図1は、本発明に係る燃料電池の一つである気化供給型の高分子型燃料電池の一例の概略断面図である。
この燃料電池は、発電を行う発電部100と、発電部100の燃料極10側に設けられた燃料供給機構200と、発電部100の空気極30側に設けられた空気供給機構300と、燃料供給機構200に設けられた燃料貯蔵部210に貯蔵されている液体燃料に圧力を印加する圧力印加部400を備えている。本実施形態における液体燃料では、たとえば、水とメタノールとの混合溶液であるメタノール水溶液を用いることができる。
発電部100は、気体燃料を酸化し、電子とプロトンを生成する燃料極10と、酸素と、燃料極10で生成した電子およびプロトンとから水を生成する空気極30と、燃料極10と空気極30との間に設けられ、燃料極10で生成しプロトンを空気極30に輸送する固体電解質層20とを備えて構成されている。燃料極と空気極で起こる反応は図4のように表すことができる。
燃料供給機構200は、燃料極側筐体201と、燃料供給口211から供給された液体燃料を貯蔵する燃料貯蔵部210と、液体燃料を気化して気体燃料とする液体燃料気化膜220と、液体燃料気化膜220で気化された気体燃料を拡散する燃料極ガス拡散層230と、気体燃料を燃料極10に導入するための燃料極集電体240と、燃料極集電体240を通過した気体燃料を拡散し、拡散させた気体燃料を燃料極10に供給するための燃料極ガス拡散層250とを備えて構成されている。
また、燃料極ガス拡散層250の上方には、燃料極10で生成した生成ガス(二酸化炭素)の導出を行うガス導出部260が設けられている。なお、燃料貯蔵部210に貯蔵されている液体燃料には、圧力印加部400から供給される窒素(N2)ガス等により、圧力が印加されている。
空気供給機構300は、空気極側筐体301と、空気極側筐体301の酸素供給口301aから供給された酸素を空気極30に導入するための空気極集電体310と、空気極集電体310を通過した酸素を拡散し、拡散させた酸素を空気極30に供給するための空気極ガス拡散層320とを備えて構成されている。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の分解斜視図である。本図は、図1の発電部100、燃料供給機構200および空気供給機構300における分解斜視図である。燃料供給口211から供給された液体燃料は、メッシュ状の樹脂(樹脂メッシュ)を介して封止材Aの中空部に貯蔵されている。この中空部が図1の燃料貯蔵部210に相当する。そして、燃料貯蔵部210に貯蔵されている液体燃料は、液体燃料気化膜220で気化される。ここで、液体燃料気化膜220は、液体燃料を浸透・移動しやすく、かつその表面から気体燃料を容易に放出可能な膜で形成されている。
液体燃料気化膜220の発電部100側には、多孔質体からなるカーボンペーパー1(以下、CPと称する)が配設されている。このCP1は、図1の燃料極ガス拡散層230に相当する。図2には、2枚のCPが設けられているが、1枚で構成されていてもよい。また、封止材Bは、CP1を囲んでこれを封止するものである。
CP1を通過した気体燃料は、燃料極集電体240に送られる。この燃料極集電体240は、Ni、SUS304、SUS316などの導電性を有し、かつ耐食性の高い金属から構成されている。また、その形状は、気体燃料を発電部100の燃料極に導入できるようにメッシュ、エキスパンドメタル、発泡金属などで形成されている。続いて、燃料極集電体240を通過した気体燃料はCP2に送られる。このCP2は、図1の燃料極ガス拡散層250に相当する。このCP2は、多孔質体であることから気体燃料を通過させると共に、発電部100の燃料極と燃料極集電体240との間を通電するための導電材としての役割も有している。封止材Cは、CP2の上方のみを大気に開放して、残りの三方を封止するものである。CP2を通過した気体燃料は発電部100の燃料極に送られる。
一方、空気極側筐体301から供給される酸素は、空気極集電体310に導入される。空気極集電体310は、燃料極集電体240と同様に、Ni、SUS304、SUS316などの導電性を有し、かつ耐食性の高い金属から構成されている。また、その形状は、酸素を発電部100の空気極に導入できるようにメッシュ、エキスパンドメタル、発泡金属などで形成されている。続いて、空気極集電体310を通過した酸素はCP3に送られる。CP3は、図1の空気極ガス拡散層320に相当する。CP3は、多孔質体であることから酸素を通過させると共に、発電部100の空気極と空気極集電体310との間を通電するための導電材としての役割も有している。封止材Dは、CP3を封止するものである。CP3を通過した酸素は発電部100の空気極に送られる。
図3は、発電部100の概略構成を示した断面図である。
前述したように、発電部100は、燃料極10および空気極30と、それらの間に設けられた固体電解質層20から構成されている。燃料極10は、多孔質体からなるCPと、当該CP上に白金(Pt)とルテニウム(Ru)の合金からなる触媒層を備えて構成されており、当該触媒層が固体電解質層20と接して配設されている。空気極30は、多孔質体からなるCPと、当該CP上に白金(Pt)からなる触媒層を備えて構成されており、当該触媒層が本発明に係る固体電解質層20と接して配設されている。
本発明に係る固体電解質組成物は、スルホン酸基を分子中に有するプロトン伝導性樹脂と、Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分およびプロトン伝導性の有機部分を含んでなる無機有機複合体とを含んでなる固体電解質組成物である。固体電解質組成物には、それ以外のプロトン伝導性樹脂や後述する無機物質等が含まれていてもよい。なお、本発明に係る固体電解質組成物は種々の形状を取り得る。最も一般的な形状は電解質膜のような膜形状である。「固体電解質組成物」における固体とは液状でないことを意味し、加圧により容易に変形し得る程度の状態も含まれる。ゲル状態も含まれる。
本発明に係る固体電解質組成物を使用した燃料電池は低湿度雰囲気下で高性能を発揮することができる。特に高分子型燃料電池用に好ましい。使用原料の観点からは、高分子型燃料電池としては水素燃料電池でもよいが、ダイレクトメタノール方式のメタノール燃料電池がより好ましい。原料供給方式の観点からは、上述したような液体燃料を気化させて発電部に供給する、気化供給型が好ましい。固体電解質組成物を使用する部分としては、固体電解質層と液体燃料気化部とが考えられるが、その他の部分に使用してもよい。固体電解質層に使用するのがより好ましい。本発明に係る固体電解質組成物を固体電解質層に使用する場合には、液体燃料気化部にその他の公知の材料を使用することができる。具体的には、パーフルオロスルホン酸系樹脂、カルボキシル基とスルホン酸基とを有するパーフルオロカーボン系樹脂、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリフェニレンエーテル、シリコーンおよびポリイミドからなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂を使用することができる。
本発明に係る固体電解質組成物を使用した高分子型燃料電池は、低湿度雰囲気下で高性能を発揮できるため、液体メタノールを供給する場合には、メタノールが10〜100重量%の水溶液として供給することが可能である。この範囲より低い濃度では燃料供給不足が生じやすい。100重量%の場合には水が実質的に存在しないことになる。
スルホン酸基を分子中に有するプロトン伝導性樹脂を使用することにより、良好なプロトン伝導性が得られる。このようなプロトン伝導性樹脂について特に制限はなく、公知の材料から選択することが可能である。性能の観点からは、プロトン伝導性樹脂が、パーフルオロスルホン酸系樹脂、カルボキシル基とスルホン酸基とを有するパーフルオロカーボン系樹脂、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリベンゾオキサゾール、スルホン化ポリフェニレンエーテル、スルホン化ポリフェニレンエーテルスルホンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂であることが好ましい。
固体電解質組成物中における濃度としては、SO3Hとして、2〜20重量%の範囲にあることが好ましい。なお、「スルホン酸基を分子中に有するプロトン伝導性樹脂」以外の成分がスルホン酸基を有する場合には、それらも含めて上記の範囲内にすることが好ましい。
Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分およびプロトン伝導性の有機部分を含んでなる無機有機複合体は、低湿度雰囲気下で燃料電池が高性能を発揮することに寄与しているものと考えられる。
Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分は、おそらくその親水性により、空気極から燃料極への水の輸送を促進し、このためメタノールの透過を抑制する働きを有しているものと考えられる。従って、「Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分」については、親水性を有する基である水酸基が存在していることが好ましいと考えられる。
「Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分」については、特に制限はなく、公知の、Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機物質に由来するものであればどのようなものから選択してもよい。ここで「由来する」としたのは、本発明に係る無機有機複合体がこのような無機部分とともにプロトン伝導性の有機部分を含んでおり、無機部分と有機部分との間に何らかの結合が存在するためである。言い換えれば、上記無機物質を改質して本発明に係る無機有機複合体を作製できるものであることを意味する。
上記無機物質は、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシ錫、テトラアルコキシジルコニウム、トリアルコキシシラン、トリアルコキシチタン、トリアルコキシ錫、トリアルコキシジルコニウムからのゾルゲル酸化物およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。特に、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)等のシラン系化合物、シロキサン系化合物およびそれらの混合物ならびにそれらの誘導体(たとえばTEOSからのゾルゲル酸化物)からなる群から選択することもできる。図8,9にその例を示す。
なお、「Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分」について、Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとは、Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素をMとした場合、M−Oの結合になっている部分が多いものと考えられる。このような結合上の観点からは、無機部分が、Siを含んでなる無機物質に由来するものであり、Si−O結合を有するものであることが好ましい。
上記プロトン伝導性の有機部分は、無機部分の存在によるプロトン伝導性の低下を防止する役割を有すると考えられる。このような有機部分には特に制限はなく、プロトン伝導性を有する公知の有機基を上記無機物質に導入することで得ることができる。あるいは、プロトン伝導性を有する公知の有機化合物を上記無機物質と反応させて得ることができる。これらの有機基を無機物質に導入する方法やこれらの有機化合物を無機物質と反応させる方法についても特に制限はなく、公知の方法から選択することができる。なお、有機基を無機物質に導入する場合や有機化合物を無機物質と反応させる場合に、反応生成物中に、未反応の無機物質、有機化合物および中間体が残存する場合も考えられるが、固体電解質組成物としての特性上問題ない限り、これらが固体電解質組成物中に含まれていてもよい。
上記有機部分は、具体的には、スルホン酸基、イミダゾール基、ピリジン基、ピロール基、ベンゾイミダゾール基およびピリミジン基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を有することが好ましい。
「Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分およびプロトン伝導性の有機部分を含んでなる無機有機複合体」は、上記のごとく、有機基を無機物質に導入し、あるいは有機化合物を無機物質と反応させて得ることができる。その構造は、たとえば、図5のように考えることができる。図5において、符号1は上記無機部分を、符号2は上記有機部分を、符号3は無機有機複合体を表す。有機部分2は、プロトン伝導性を有する基4のみから成り立っている必要はなく、プロトン伝導性を有する基と無機部分とを結合させるための連結部分5によって連結されていてもよい。このような連結部分としては、脂肪族炭化水素部分、パーフルオロアルキレン部分、芳香族炭化水素部分等を有する二価の基を挙げることができる。
本発明に係る固体電解質組成物は、さらに、Ca,Si,Al,Mg,Ti,Sn,ZrおよびPからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機物質を含んでいてもよい。この無機物質は、上記の未反応の無機物質であってもよく、また、積極的に加えたものであってもよい。
積極的に加えたものである場合、上記の無機部分を作製するための無機物質として挙げたものの中から選択することもできる。また、上記無機物質は、粘土、ゼオライト、含水酸化物、無機塩、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
好ましいゼオライトとしては、輝沸石、方沸石、斜方沸石、灰十字石、ZK5、ZK4、モルデン沸石、およびリンデファミリー(linde family)が挙げられる。好ましい含水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、および酸化ベリリウムが挙げられる。好ましい無機塩としては、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、ヒ酸ジルコニウム、リン酸スズ、およびリン酸セリウムが挙げられる。好ましい粘土としては、アルミノケイ酸塩ベースの材料が挙げられ、そのアルミノケイ酸塩ベースの材料としては、モンモリロナイト、カオリナイト、バーミキュライト、スメクタイト、ヘクトライト、マイカ、ベントナイト、ノントロナイト、バイデル石、ヴォルコンスキー石、サポナイト、マガディアイト、ケニヤアイト、ゼオライト、アルミナ、ルチル、およびその混合物が挙げられる。
より具体的には、無機部分が、ゼオライト、アパタイト、アルミナ、コロイダルシリカおよび、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシ錫、テトラアルコキシジルコニウム、トリアルコキシシラン、トリアルコキシチタン、トリアルコキシ錫、トリアルコキシジルコニウムからのゾルゲル酸化物ならびにそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの無機物質であることが好ましい。
このようにすると、おそらくその親水性により、空気極から燃料極への水の輸送を促進し、このためメタノールの透過を抑制する働きを容易に制御できるようになる場合が多い。
なお、本発明に係る「Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分」、その原料となる無機物質および「Ca,Si,Al,Mg,Ti,Sn,ZrおよびPからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機物質」には有機基が含まれることもあり得る。
固体電解質組成物中におけるCa,Si,Al,Mg,Ti,Sn,ZrおよびPの含有量は、固体電解質組成物の所望特性に応じて任意に定めることができるが、空気極から燃料極への水の輸送を促進し、このためメタノールの透過を抑制する働きを発揮させるには、一般的に、合計で0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
また、固体電解質組成物中における上記有機部分の含有量についても、固体電解質組成物の所望特性に応じて任意に定めることができるが、無機部分の存在によるプロトン伝導性低下を防止する役割を発揮させるには、一般的に、イミダゾール基、ピリジン基、ピロール基、ベンゾイミダゾール基およびピリミジン基を合計で2〜10重量%の範囲で含むことが好ましい。
なお、スルホン酸基を使用する場合には、上述のごとく、スルホン酸基を分子中に有するプロトン伝導性樹脂中のスルホン酸基との合計で考えることができる。
本発明に係る固体電解質組成物の構造を、独立した無機物質も存在する場合について、模式的に表すと図6,7のようになるものと考えられる。図6,7では、無機有機複合体3中の無機部分1および無機物質6がSiとOとからなり、無機有機複合体3中のプロトン伝導性有機基2がイミダゾール基またはスルホン酸基である場合を示している。無機有機複合体3と無機物質6は、スルホン酸基を分子中に有するプロトン伝導性樹脂7とは独立して存在し得る。ただし、無機有機複合体3と無機物質6とがイオン性でもあるため、プロトン伝導性樹脂7とイオン的相互作用を有する場合もあり得る。また、無機有機複合体3と無機物質6とは、層構造を有していたり、鎖構造や架橋構造を有している場合もあるため、層間化合物や相互貫入高分子網目(IPN:Interpenetrating Polymer Network)となっている場合もあり得る。
このような構造を有する固体電解質組成物は、上記プロトン伝導性樹脂と、上記無機有機複合体と、オプションで上記無機物質とを混合することにより得ることができる。この混合の際、加熱や加圧操作を加えてもよい。また混合のために溶媒を使用し、その後溶媒を除去してもよい。場合によっては、上記無機有機複合体を形成するための原料を使用し、混合やその後の操作により無機有機複合体が形成されるようにしてもよい。混合の際の加熱や加圧操作により、無機有機複合体や無機物質が変性する場合も考えられる。たとえば、シラン結合やシロキサン結合が存在する場合には、架橋構造が生じやすい。
次に本発明の実施例を詳述する。なお、評価は次のようにした。
(メタノール透過率測定)
10体積%メタノール水溶液と脱イオン水を、ステンレス容器中で、サンプルの電解質膜によって分離された状態にして30℃に保ち、脱イオン水中に透過するメタノール量をGC/MSによって一定の時間間隔で測定した。
(プロトン伝導率測定)
サンプルを、電極間距離1cmで、白金電極間に装着し、室温下で0.3Vの電圧条件で、交流インピーダンス法によって(周波数:100Hz〜100kHz)膜抵抗を測定し、プロトン伝導率を計算した。
[実施例1](本発明に係る電解質膜の作製)
ナフィオン112(50μm厚)膜を水:メタノール(体積比1:1)中に5時間浸漬膨潤させた後、イソプロパノールと式1に示すイミダゾールトリメトキシシラン(50重量%酢酸溶液)とが重量比で3:1の溶液に10分浸漬し、常温で12時間、130℃で2時間真空乾燥した。その後、この処理膜を1モル/L硫酸中に24時間浸漬し、さらに酸が検出できなくなるまで脱イオン水で洗浄した。このようにして本発明に係る固体電解質組成物よりなる電解質膜(55μm厚)を得た。
Figure 2006244920
この電解質膜について測定されたメタノール透過率は3.01x10-8mL/s.cmであった。一方、Nafion112のメタノール透過率は1.08x10-7mL/s.cmであった。
また、本電解質膜のプロトン伝導率は0.108S/cmであった。一方、Nafion112のメタノール透過率は0.112S/cmであった。
また、この電解質膜に含まれるSi量は2.5重量%、スルホン酸基量は、SO3H換算で6.1重量%であった。
[実施例2](メタノール直接型燃料電池の作製)
各電極触媒層を以下のようにして作製した。まず、ケッチェンブラック(ライオン社製の製品名ケッチェンブラックEC)に粒径2〜5nm程度のPt触媒を約50重量%担持させた触媒粒子2g、デュポン社製Nafion DE2020アルコール水溶液(4.4重量%)22mLをボールミルで混合し、脱泡してペースト状とした。これをテフロン(商標名)シートに塗布し、80℃で30分間乾燥し、正極触媒層を形成した。
負極触媒層も同様に、ケッチェンブラック(ライオン社製の製品名ケッチェンブラックEC)に粒径2〜5nm程度のPt−Ru(モル比が1:1)合金触媒を約50重量%担持させた触媒粒子2g、デュポン社製Nafionアルコール水溶液(4.4重量%)の22mLをボールミルで混合しで混合し、脱泡してペースト状とした。これをテフロン(商標名)シートに塗布し、80℃で30分間乾燥した。
実施例1において作製した電解質膜(55μm厚)の両側に上記の電極層を挟み、160℃で2分間25kgf/cm2荷重下でホットプレスした。
続いて図2に示すように、このホットプレス品の両側にカーボンペーパー(東レ社製の製品名TGP−H−090、290μm厚)をホットプレスにより圧着して、図3に示すような発電部を作製した。作製した発電部の両極からそれぞれ集電体リードを取り出した後、燃料極側にカーボンペーパー(東レ社製の製品名TGP−H−090、290μm厚)、封止材パッキング、ナフィオン117(175μm)気化膜、封止材パッキング、メッシュ状の樹脂(樹脂メッシュ)を順番に配設し、図1に示すような燃料電池を作製した。作製した燃料電池の燃料タンク内にメタノールの99.8体積%水溶液を1mL充填し、外部負荷に接続した。ナフィオン117(175μm)気化膜の存在から分かるとおり、この燃料電池は気化供給型燃料電池である。
以下の条件で、連続放電特性の実験を行った。すなわち、燃料電池に60mA/cm2の定電流を供給し、燃料電池の放電を行い、燃料電池における電圧が上昇後、0.1Vまで低下したときに放電を終了した。この連続放電特性の実験結果、平均放電電圧は0.20V、放電時間は80分であった。
[比較例1]
実施例2で使用された電解質膜の代わりにNafion112を使用した以外は実施例2と同様にして燃料電池を作成し、評価した結果、平均放電電圧は0.20V、放電時間は54分であった。
[実施例3](本発明に係る電解質膜の作製)
ナフィオン112(50μm)膜を、水:メタノール(体積比1:1)中に5時間浸漬膨潤させた後、イソプロパノール(溶媒)と式2のプロピルスルホン酸トリヒドロキシシランと式3のテトラエトキシシラン(本発明に係るオプションの無機物質に該当する)とが重量比で6:1:1の溶液に10分浸漬し、常温で12時間、130℃で2時間真空乾燥した。その後、膜を1モル/L硫酸中に24時間浸し、さらに酸が検出できなくなるまで脱イオン水で洗浄した。このようにして本発明に係る固体電解質組成物よりなる電解質膜(58μm厚)を得た。
Figure 2006244920
Figure 2006244920
この電解質膜について測定されたメタノール透過率は2.51x10-8mL/s.cmであった。また、プロトン伝導率は0.118S/cmであった。
実施例1と同様に燃料電池を作成し、評価した結果、平均放電電圧は0.20V、放電時間は84分であった。
また、この電解質膜に含まれるSi量は3.12重量%、スルホン酸基量は、SO3H換算で9.74重量%であった。
[実施例4]
ナフィオン(EW1100)20gをDMAc80gに溶解し、その溶液にゼオライト4Aの2gを分散させた。その後、式1のイミダゾールシラン4gを加えて1時間攪拌し、得たワニス状組成物をギャップサイズが300μmのドクターブレードでガラス板上に塗布し、50℃で1時間、100℃で1時間、ついで150℃で2時間加熱し、硬化フィルムを得た。この硬化フィルム(本発明に係る電解質膜)のメタノール透過率は1.04x10-8mL/s.cm、プロトン伝導率は0.126S/cmであった。
また、この電解質膜に含まれるSi量は4.20重量%、スルホン酸基量は、SO3H換算で6.10重量%であった。
実施例1と同様に燃料電池を作成し、評価した結果、平均放電電圧は0.20V、放電時間は74分であった。
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
(付記1)
スルホン酸基を分子中に有するプロトン伝導性樹脂と、
Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分およびプロトン伝導性の有機部分を含んでなる無機有機複合体と
を含んでなる固体電解質組成物。
(付記2)
さらに、Ca,Si,Al,Mg,Ti,Sn,ZrおよびPからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機物質を含んでなる、付記1に記載の固体電解質組成物。
(付記3)
前記プロトン伝導性樹脂が、パーフルオロスルホン酸系樹脂、カルボキシル基とスルホン酸基とを有するパーフルオロカーボン系樹脂、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリベンゾオキサゾール、スルホン化ポリフェニレンエーテル、スルホン化ポリフェニレンエーテルスルホンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂である、付記1または2に記載の固体電解質組成物。
(付記4)
前記無機部分が、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシ錫、テトラアルコキシジルコニウム、トリアルコキシシラン、トリアルコキシチタン、トリアルコキシ錫、トリアルコキシジルコニウムからのゾルゲル酸化物およびそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの無機物質に由来するものである、付記1〜3のいずれかに記載の固体電解質組成物。
(付記5)
前記無機部分が、Si−O結合を有する、付記4に記載の固体電解質組成物。
(付記6)
前記無機物質が、ゼオライト、アパタイト、アルミナ、コロイダルシリカおよび、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシ錫、テトラアルコキシジルコニウム、トリアルコキシシラン、トリアルコキシチタン、トリアルコキシ錫、トリアルコキシジルコニウムからのゾルゲル酸化物ならびにそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの無機物質である、付記2〜5のいずれかに記載の固体電解質組成物。
(付記7)
前記有機部分が、スルホン酸基、イミダゾール基、ピリジン基、ピロール基、ベンゾイミダゾール基およびピリミジン基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を有する、付記1〜6のいずれかに記載の固体電解質組成物。
(付記8)
Ca,Si,Al,Mg,Ti,Sn,ZrおよびPを合計で0.1〜10重量%の範囲で含む、付記1〜7のいずれかに記載の固体電解質組成物。
(付記9)
イミダゾール基、ピリジン基、ピロール基、ベンゾイミダゾール基およびピリミジン基を合計で2〜10重量%の範囲で含む、付記1〜8のいずれかに記載の固体電解質組成物。
(付記10)
スルホン酸基を、SO3Hとして、2〜20重量%の範囲で含む、付記1〜9のいずれかに記載の固体電解質組成物。
(付記11)
付記1〜10のいずれかに記載の固体電解質組成物を使用した高分子型燃料電池。
(付記12)
固体電解質層に付記1〜10のいずれかに記載の固体電解質組成物を使用した高分子型燃料電池。
(付記13)
ダイレクトメタノール方式の燃料電池である、付記11または12に記載の高分子型燃料電池。
(付記14)
液体メタノールを気化させて発電部に供給する、付記13に記載の高分子型燃料電池。
(付記15)
液体燃料気化部に付記1〜10のいずれかに記載の固体電解質組成物を使用した、付記13に記載の高分子型燃料電池。
(付記16)
液体燃料気化部に、パーフルオロスルホン酸系樹脂、カルボキシル基とスルホン酸基とを有するパーフルオロカーボン系樹脂、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリフェニレンエーテル、シリコーンおよびポリイミドからなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂を使用した、付記15に記載の高分子型燃料電池。
(付記17)
前記液体メタノールが、メタノールの濃度が10〜100重量%の水溶液として供給される、付記13〜16のいずれかに記載の高分子型燃料電池。
気化供給型の高分子型燃料電池の一例の概略断面図である。 図1の燃料電池の分解斜視図である。 発電部の概略構成を示した断面図である。 燃料極と空気極とで起こる反応を示す式である。 本発明に係る無機有機複合体の模式図である。 本発明に係る固体電解質組成物の模式図である。 本発明に係る固体電解質組成物の他の模式図である。 本発明に係る無機物質の例を示す図である。 本発明に係る無機物質の例を示す他の図である。
符号の説明
1 Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分
2 プロトン伝導性の有機部分
3 無機有機複合体
4 プロトン伝導性を有する有機基
5 連結基
6 無機物質
7 プロトン伝導性樹脂
10 燃料極
20 固体電解質層
30 空気極
100 発電部
200 燃料供給機構
201 燃料極側筐体
210 燃料貯蔵部
211 燃料供給口
220 液体燃料気化膜
230、250
燃料極ガス拡散層
240 燃料極集電体
260 ガス導出部
300 空気供給機構
301 空気極側筐体
301a 酸素供給口
310 空気極集電体
320 空気極ガス拡散層
400 圧力印加部

Claims (5)

  1. スルホン酸基を分子中に有するプロトン伝導性樹脂と、
    Si,Al,Ti,SnおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機部分およびプロトン伝導性の有機部分を含んでなる無機有機複合体と
    を含んでなる固体電解質組成物。
  2. さらに、Ca,Si,Al,Mg,Ti,Sn,ZrおよびPからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素とOとを含んでなる無機物質を含んでなる、請求項1に記載の固体電解質組成物。
  3. 前記無機部分が、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシ錫、テトラアルコキシジルコニウム、トリアルコキシシラン、トリアルコキシチタン、トリアルコキシ錫、トリアルコキシジルコニウムからのゾルゲル酸化物およびそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの無機物質に由来するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質組成物を使用した高分子型燃料電池。
  5. 液体メタノールを気化させて発電部に供給する、請求項4に記載の高分子型燃料電池。
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